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懐から写真を取り出す
この人が・・・か

表ミッションはここで達成。だけど和田さんごめんなさい。
福田さんのミッションの方が優先。

福田さんの、スマ高の皆の笑顔が見たいから

その為にはこの人は邪魔。一時ご退場願いましょう。

どぅー、相変わらず弱いなぁ・・・こんなんでモー商でやっていけてるのかな?

どこか手頃な場所は・・・お、モー商は校舎の中に体育館があるんだ。
なら・・・

 

「へぇ、そういくかフクちゃん」

道重さゆみは1-Cの教室に留まり戦況を見守っていた。
何気にこの教室からは丁度校庭の様子が見易かった、理由はただそれだけ。
自分が出て行って指揮をとってもいいのだがそれでは面白くない。

さゆみはいわゆる『新世代』、九鬼組の個々の実力は大体把握している。
モー商内で競い合ってきた彼女達が外敵に対してどう立ち向かうのか?
この戦いは総長として非常に興味深く、意味の大きいものだ。

誰に後を託すか?

そういうことをそろそろ考えなければならないのだ。
それを見極めるのにスマ高は丁度手頃な相手と言えるだろう。
なんでいきなり攻めて来たのかはわからないがさゆみ的にはウェルカムだ。

私なら生田を正面に突っ込ませるけどなぁ・・・う~ん・・・
譜久村と生田は左右に別れて敵の強者、リーゼントと赤ガクランの2人を封じる策に出たようだ。
確かにそれも一つの正解。あの2人を封じれば他の生徒達はフリーになり本陣に圧力をかけていくことが出来るだろう。

あれこれ考えてる内にリーゼントと生田がお互いノーガードで殴り合いを始めた。
おーおー、若いっていいねぇ。っていうか相変わらず生田はなんにも考えてないよね・・・ま、生田らしいけど
一方の譜久村は構えを取ったまま赤ガクランとずっと対峙している。
何故か赤ガクランの方も譜久村に手を出して来ない・・・あの2人、やっぱ訳ありかな?

1年の2人は真っ直ぐに本陣に突撃していった。他の生徒もそれに続いている。
後は本丸の和田ちゃんを陥とせるかだね・・・さゆみと違って結構強いよあの子は。

ところで・・・

「アンタなんか用なの?」

別に気配とかを感じたわけじゃない。化粧崩れが気になって懐から手鏡を出して偶然気付いた。
たまにはナルシストも役に立つね。

さゆみの後ろに目立たない、大人しい感じの子が立っていた。

「アンタさ、ウチの生徒じゃないよね?」

鏡越しに話しかける。一応、全校生徒の顔は全員チェックしてるつもり。
可愛い子が大好きなさゆみの美少女チェック・・・とは言っているが
実際は自分を脅かす可愛さの生徒が居ないかのさゆみチェックだ。
ウチの制服は着てるけど見たことのない顔。
少なくともさゆみの脳内美少女データベースには入っていない。
あるいは転校生?・・・でも転校生がいきなり総長のとこに来るわけない!

フッ・・・
鏡から生徒の姿が消えた。

ぶんっ!さゆみが反射的に放った回し蹴りは虚しく宙を切った
どこに!?

「痛っ!?」

ガッ!と軸足に衝撃と痛みが走る。水面蹴り!?
生徒は姿勢を低くしてさゆみの鏡越しの視界から消え
更に回し蹴りを避わして地に張り付いてリーチの長い脚で水面蹴りを放ってきたのだ

グッ!・・・窓際で良かった。
軸足を払われ、そのまま転倒しそうになったさゆみは右手の手鏡ごとカーテンを掴んで
何とかバランスを保った。地元から持ってきた大事なこの手鏡をと落とすわけには・・・って
ガッ!地面から起き上がり様に今度はハイキックを繰り出してきた!
咄嗟に左腕でガードしたが衝撃で脳が揺れる・・・コイツ、地味顔のくせに出来る!

何とか体勢を立て直さないと!

 

むぐ~っ!ぐ~っ!むぐ~っ!ぐ~っ!んんん~っ!むぐぐぐぅ!むぐぐぅ!

チッ、何だよもう。こっちは寝てんだぞこのヤロ!うる・・・
うるせー!と叫ぼうとしたが叫べなかった。猿轡。
ん?ん?あれ?ええと・・・そうだ!ハルはいきなりやられて!
どてっ!・・・立ち上がろうとしたがしっかり両手両足を縛られていた。

「ん~っ!むぐぅ!」

さっきからずっとうるさかったのはコイツか。
飯窪もしっかり両手両足を縛られて猿轡を噛まされている。
マズい、マズ過ぎる。アレがアイツだとしたら狙いは・・・

「むーぐぐむーぐぅぐ!むぐぐぐむむぐっ?」

あーうるせー!何言ってんだか全然わかんねーっつーの
こんな状態でまで会話しようとすんなよ!

つーかここ何処だ?薄暗い、カビ臭い匂い・・・体育倉庫かどっかか?
なんかお化け出そうだなぁ・・・ってビビってなんかいないぞ!

ガタガタガタッ!!!

ヒイッ!いきなり部屋の片隅から物音がして遥と飯窪はビクッ!と震え上がった
ひたっ、ひたっ・・・何かが近付いてくる音

やだやだやだ!お化け怖い!ごめんさいごめんなさい!
もう悪いことはしません!いやーっ!来るなー!うわーん!

遥が涙目で目を瞑り、声にならない叫びを上げようとしたところでパチッ、と部屋の明かりが点いた。

「ちょっと、さっきからむぐむぐうるさいんだけど?・・・ってアンタ達何してんの?」

 

再び、さゆみに向かって放たれる蹴り・・・ドシュッ!ミドルがさゆみの脇腹を抉る
うぐっ、少しうずくまり、下を向くさゆみ
キラっ!ん?・・・窓からの陽光を反射した手鏡の光が足元を照らしている・・・これ使える!
さゆみは手鏡の角度を微妙にずらした。キラっ!手鏡の光が生徒の顔を直撃する

「とりゃー!」

もふっ!眩しさに顔を歪める生徒のボディにさゆみの放った前蹴りが一応ヒットした
うわ、入り浅っ!・・・さゆみは自分で苦笑してしまった。
なんせちゃんとした実戦久し振りだからねー・・・でも少し距離は取れたよ、と

「アンタ、スマ高の刺客?なかなかやるじゃん。名前は?」
「・・・」

刺客は無言のまま答えない。やっと冷静に顔を見ることが出来た。
笑顔・・・笑顔なのだが感情を読み取れない張り付いたような笑顔。まさにザ・刺客って感じ。
刺客はその笑顔のまま、じりじりとさゆみとの距離を詰め仕掛ける隙を窺っている。

「闇討ちなんかしなくてもさ、普通にタイマンでさゆみに勝てるんじゃない?アンタ」
「・・・」

ほんの少しだけ・・・刺客の張り付いたような笑顔がピクっ、と反応した気がした。
お、そっちでいけるかな?限り無く本音でもあるんだけどね。

「さゆみは逃げも隠れもしないよ?こんなセコい真似しなくてもさ、タイマン申し込んでくれればいつでも受けるって」
「・・・」

まぁそれは嘘なんだけど
・・・お、目が泳いでいる。この方向かな?どんどん行こう

「ホントはアンタもさ、下でやってる2人みたいに陽の当たるところで戦いたいんじゃないの?ん?ん?」
「・・・うるさい」

効いてる効いてる!

「やっと喋ったね。さゆみね、実はアンタにずっと会いたかったんだよ」
「・・・」
「この辺の番長連中の間でかなり話題になってるよ?スマ高には凄腕の刺客が居るって。
 ベリ工の清水もキュー学の矢島もアンタに会うの楽しみにしてたよ?」
「・・・!!!」

勿論、嘘っぱちなんだけどね。でもカーッ、と刺客の顔が真っ赤になった。
なんか可愛い!

心理戦・・・その優れた洞察力で相手の人間を見極め心の弱い部分を弄り、動揺させる。
道重さゆみがタイマンで用いる最大の武器である。動揺している人間は、100%の力を出せない。

勿論、これが通用するタイプとしないタイプが居る。
確固たる信念を持っていたり、こちらの話を聞くような知性を持ち合わせていない相手には通用しない。
しかしこの刺客は後者、通用するタイプとさゆみは見抜いた。
バカではここまで潜入して敵の大将に挑むなんてことは出来ない。
そして今ひとつ気の入ってない、張り付いたような笑顔。確たる信念のようなものはあまり感じられない。
次はそこを弄ってみようか

「アンタの笑顔、悲しい笑顔だね・・・」
「・・・!?」
「誰に言われてこんなことしてんのかわかんないけどさ、ちゃんと自分の為に笑ってるの?アンタは」
「・・・うるさい!黙れ!」

バッ!蹴りを放ってきた。
でもさっきまでより全然荒い感じのブレた蹴り
これならさゆみでも余裕で避わせる!

 

「うるぁああ!!!」
「どぅりぁあ!!!」

バキっ!!!互いの頬にヒットする拳・・・だがお互いに倒れない

「・・・っ、なかなかやんじゃねぇか!やっと骨のある奴が出てきて嬉しいぜぇ」
「スマ高にしては強いやん!でも勝つのはえりなっちゃよ!」

・・・とは、言ってみたもののナマタ、生田衣梨奈は内心相当焦っていた。
パワーはこっちが多分上・・・でも身体のバネとリーチは向こうのリーゼントが上
元々長いリーチとバネの合わさった伸びのある打撃・・・
一見互角に打ち合ってるように見えてより深く入ってるのは向こうの打撃の方だ
このままじゃマズいっちゃね・・・

「朱莉ちゃん!」
「うぉあぉあ!?聖ちゃん!?」

竹内朱莉が最も恐れていた事態が起こった。
チームエッグ時代からの親友、譜久村聖との対峙である。
これが今回の殴り込みに竹内が乗り気になれなかったもう一つの理由

「朱莉ちゃん教えて!なんでスマ高はいきなり攻めてきたの?」
「ごめん聖ちゃん!朱莉は反対したんだけどね・・・」

ざわざわざわ・・・後方でピンチケ達がざわついている
向こうの後方ではモー商勢がざわついてる・・・これはマズい!

「とりぁあああああああああああああああ!!!」
「うぉらぁああああああああああああああ!!!」

聖と朱莉はアイコンタクトをしてお互い頷き
わざとらしく雄叫びを挙げ、ダッシュで激突して激しく揉み合った。以心伝心である。

(どういうこと?)
(そっちに和田さんの友達が居るらしいんだよ。その友達が・・・)
(飯窪?聞いたことないけど・・・1年?)
(はるなんがはるなんがって和田さんうるさくてさぁ・・・)

聖と朱莉は揉み合う振りを続けながら世間話・・・否、情報交換を始めた。

一方、スマ高本陣

「よっしゃ抜けたぁ!」
「本陣なぅなぅ!」

石田亜佑美と佐藤優樹は他の生徒達と一緒に正面を守るピンチケを軽々と蹴散らして突破し敵の本陣に突入した

「まーちゃん、ウチが大将を・・・」
「あーっ!!!」

おい!人の話を聞け!優樹は敵の大将の方ではなく、明後日の方向に突っ走っていった。
ああっ、もうっ!こうなったらウチだけでやるしかっ!
アレがたぶん大将・・・細身で浅黒い肌、脚が長く、見事なプロポーション。
一目で大将と分かる立派な風格だった。若干気後れするが・・・やるしかねぇ!

亜佑美は地を蹴って大将に向けて全力でダッシュする
何人かピンチケ達が亜佑美の前を塞ごうとしたが、全てすり抜けた
モー商最速のスプリンター、石田亜佑美のスピードをナメるんじゃねぇ!
ピンチケ最後の1人を突破し、後は大将だけ!!!お命頂戴っ!

「モー商天鬼組、石田亜佑美参・・・」

言いかけたところで、亜佑美の身体はふわっ、と宙を舞った

「えっ!?」

どしゃぁっ!
痛ってぇー!

ひょい、っと急に横から現れた人影が出した足
亜佑美はそれに躓き、勢い良く宙をダイブし、顔面から地面に突っ込んだ

「困るんだなぁ、そういうの」

ぐっ、亜佑美は泥にまみれた顔を上げ声の方を見た。
腕を組んで見下すおかめ顔のスマ高生が小馬鹿にしたようにフフっ、と鼻で笑う

「てめェ・・・ぐっ!」

バキッ!
立ち上がろうとした亜佑美の顔面を容赦なくおかめ顔の蹴りが襲った。

「ほらほらぁ!石田何だって?早く名乗ってみなよ!」

ドカッ!バキッ!
次々におかめ顔の容赦ない蹴りが亜佑美の小さな身体を襲う
やべぇ・・・何とかしないと
しかし亜佑美はうずくまって、転がって耐えることしかできない

「「「「「「「おおおおーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」」
「何っ!?」

モー商陣営、そしてスマ高陣営から大きくどよめく生徒達の声が聞こえた。
何だ?・・・

「ふ、福田さん!旗がぁっ!」

その声におかめ顔が一瞬を気を取られ、そちらを向く
ディスイズ ア チャ~ンス!

 

「こちょこちょこちょこちょ!ウヒヒヒヒ」
「ちょ、何やお前!やめ・・・ヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」

中西香菜はギリギリまで耐えた・・・しかしもう限界だった。
突然風のように現れたモー商生はあっという間に旗を守るピンチケ達を蹴散らし
香菜に悪戯っぽい笑顔を向けると容赦ないくすぐり攻撃を開始したのだ。

「ねー!その旗まーにもくれよー!」
「あかん!これは大事な・・・うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」

ダメだ、もうアカン!香菜の手を離れ
ゆっくりと、スローモーションのように王冠エンブレムの大スマ高旗は倒れた。

「「「「「「「おおおおーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」」」」」」

主にモー商陣営から大きくどよめく、歓喜のような声が聞こえる・・・やられた!

「やったー!旗げっとー!」
「ダメや!それは!」
「いぇーい!!!」

香菜をくすぐり倒したモー商生がはしゃぎながら旗を持ち上げ、走り回る
ごめんさい・・・ごめんなさい福田さん・・・旗が・・・

「福田さん!旗が復活しました!・・・けどなんか動いてます???」
「ちょっと!何やってんのかななんは!士気に関わるじゃ・・・」

ドカっ!うぐっ!

福田花音は背後から衝撃を受けて一瞬、息が詰まった

「余所見してんじゃねぇよ!おかめ!」

おかめ・・・?この天才美少女福田かにょん様をおかめ呼ばわり?・・・石田ナントカ、コイツぶっ殺す!

 

「成程、スマ高か」

その生徒に遥達は猿轡を外してもらい、縄を解いてもらった。かくかくしかじかで、と大体の事情は説明した。
その話を聞いていたはるなんがいちいち物凄く驚いたり、激しく動揺したりしていたのがウザかったが・・・
ま、気絶してて全部初耳の話だろうからしょーがねぇか
あ、一番大事なことを言い忘れてた!

「あと道重さんが危ないんです!スマ高の刺客が中に侵入してます!」
「・・・そうか」

この人なら、この人ならきっと道重さんを救える!

しかし、反応が至極素っ気ない。今までの話を聞いてもさして動揺する素振りすら見せない。
これが大物の余裕って奴か?・・・スッ、と生徒は立ち上がった。

「行くんスか?刺客を倒しに!」
「・・・意味あるの?それ。校庭に行くつもりだけど」
「えっ!?」

分からない・・・この人の思考回路は全然わからない。フツーそこは大将を助けるだろうが!

「何でっスか!道重さんやられたらどうするんスか!」
「大丈夫、道重さんがやられてもモー商にはこの私が居るから」

この人は・・・唯我独尊。まさに噂通りの人だ。

「それに・・・」

生徒は振りむいて鋭いアーモンドのような目を向けて遥達の方を指差した。

「やるべきだって思ってることがあるのなら自分でやるべきじゃないかな?」

 

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