1スレ目>>491~>>505


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村上巴は普通の中学生である。
 
家は極道だが、なんの能力なければ、素手で侵略者を倒せるような力もない。
 
だから、この状況も正しいものである。
 
巴「グッ……」ハァ…ハァ…
 
『ユルサネェェェェェエ!!オレヲバカニシテェェェェ!!!』
 
巴「ちょっと、きついのう……」
 
息を荒くしながらポツリと呟いた。
 
 
自分が好きなドラマの撮影をしていると聞き、若い衆や親父に内緒でこっそり見に行ったのが不運だった。
 
撮影中にいきなり黒い泥の不定形なモノが現れ、暴れ始めたのだ。
 
そう。彼女は出会ってしまった。心の闇から産まれた怪物--カースに。
 
 
彼女は曲がった事が嫌いだ。
 
故に、ヒーローでもなんでもないのに、人々が襲われてるのを黙って見過ごせる人間じゃない。
カタギに手を出す事や、筋の通らない事が大嫌いだ。
 
身体が自然に動く。
 
彼女は立ち向かう。せめて周りの人達が逃げる時間稼ぎになるならと。
撮影に使われた模造刀を手に取り、≪勇敢/無謀≫にも化け物にたちむかった。
 
幸いにも、彼女のおかげで、彼女以外の人間はもう既に逃げ切ることができた。
 
この場にいるのは………
 
彼女と化け物だけだ。
 
 
ボロボロになったお気に入りの皮ジャン、肌は所々に擦り傷や痣ができている。
幸いにも大きな怪我はしてないが、このままじゃ危ないのは自分でもわかってる。
 
だが、状況は更に悪化する。
 
『コロシテヤルゥゥゥゥゥゥ!!!』
 
巴「なっ!?」
 
新たなカースがまた来たのだ。しかも一匹ではない。何匹もだ。
 
 
絶望
 
この二文字が頭をよぎった。
 
自分はこのままコイツらに殺されるんだ。その思考が頭をうめつくす。
 
自然と、足の力が抜け、地面にへたり込む。
 
巴「すまんのう……親父…みんな…」
 
諦めが口から漏れ出した。
 
このまま絶望に飲まれるしか、選択肢はないのだから…
 
 
 
 
 
 
『海よ!!』『空よ!!』
 
その絶望を裂くように、二つの頼りなさそうな叫びが聞こえた。
 
 
 
 
 
 
「「悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう」」
 
二つの影が空から舞い降りる。
 
「「自然を愛する優しき乙女に力を!」」
 
巴をカース達から守るように間にと。
 
乃々「全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!」
 
ほたる「全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!」
 
「「人々を守り、自然を守る戦士!!ナチュルスター!!」」
 
頼りないけど、頼もしいヒーローが!!
 
 
乃々「う、動かないでください…。今、治療するので」
 
乃々「海よっ!!」
そう言うと、マリンの腕から優しい光が放たれ、巴の身体を包み込む。
 
徐々に、徐々にと傷が治っていき、まるで母親の胎内にいるような安らぎが巴を包み込む。
 
ほたる「あの…大丈夫でしょうか?」
 
巴「……ああ、大丈夫じゃけん。アンタらのおかげじゃ」
 
乃々「あ、あの…ほたるさん。治療終わりました…。もう、帰りたいんですけど…」
 
ほたる「の、乃々ちゃん!ダメだよ!早く、カース達を倒さないと!
あ、貴女は早く逃げてください!ここは私達がやりますから!」
 
そう言うと、二人の少女はカースの軍団に立ち向かった。
 
 
だが、村上巴は逃げなかった。
 
----うちは何をしておるんじゃ?
 
黒い泥の化け物に襲われて、自分を助けてくれたのが同い年くらいの女の子。しかも、自分より弱そうで頼りなさそうで、心配で逆に守ってあげたくなるようなそんな二人に。
 
今、彼女達は化け物と戦ってるのだ。
 
自分は、このまま逃げることしかできないのか?
 
----助けられたのに、何もしないでうちは逃げるんか?
 
空を飛びながら、化け物達の攻撃をよけていき、一カ所に集めさせる白い服の少女を見ながら立ち上がる。
 
----そんな事して、うちは納得するか?
 
オドオドしながらも、鉄砲水のやうな大きな水流を作り出して、一カ所に集まった化け物達を派手に撃ち抜く青い少女を見ながら自分の無力差を噛みしめる。
 
----そんなのうちの筋が通らん!うちも一緒に戦いたいんじゃ。うちもコイツらみたいになりたいけぇ。
 
 
ピカーン!!
 
巴「な、なんじゃ!?」
 
ほたる「えっ?」
 
乃々「な、なんですか?…帰っていいですか?」
 
突然、乃々とほたるの右手の人差し指の≪ナチュルリング≫が光出した。
 
それと同時に巴の右手の人差し指に光が放たれた。
それは、だんだん小さくなり、指輪となった。
 
そして、巴の頭に響き渡る声。
 
わかる。今、自分が何をすべきか……
 
 
巴「地よ!!」
 
巴「悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう」
 
巴「自然を愛する優しき乙女に力を!」
 
声高らかに彼女は叫んだ。
そして、光に包まれ、姿が変わり始める。
 
プリキュアのような橙のフリフリの衣装だが、頭の右上に和風な花の髪飾りがついている。それは樹をイメージしたような感じである。
 
巴「全てを支え、豊かを与える地!ナチュルアース!!」
 
新たなナチュルスターがここに誕生した。
 
 
ほたる「私達と同じ…ナチュルスター…」
 
乃々「これはあれですか?私、辞めていいんですか?」
 
巴「何を言うとるんじゃ!よくわからんが、うちも一緒に戦うけえのう。よろしく頼むのう」
 
戸惑う二人に対し、巴も内心戸惑いながらもニカッと笑う。
 
 
『フザケンナァァァァァア!!!』
『ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ』
『ブンナグッテヤルゥッ!!!』
 
残っていたカース達が一斉に三人に襲いかかる。
 
巴「地よッ!力をかせえ!!」
そう言って巴が地面を殴ると、大地がヒビ割れ、カース達を飲み込む地割れが起こる。
 
ほたる「私達も行くよ!嵐よっ!雷よっ!力を貸して!!」
乃々「少しだけ…頑張ります…。波よっ!力を貸して!!」
 
『グガァァォォァォォァァァ!!!!!!』
 
あたり一帯に複数のカースの断末魔が木霊した。
 
 
乃々「………わかってたんですけど……いつもより酷いんですけど…」
巴「……コレは酷いのう。うち達がやったんじゃけえ、申し訳ないんじゃ」
ほたる「すみません…すみません…裕美ちゃんにまた迷惑かけちゃう…」
 
結論から言うとカースの群れは全滅させた。
 
だが撮影現場は、草木がおおい茂り、近くの建造物は黒焦げてずぶ濡れで、いつもより被害がすごい事になっていた。
 
 
巴「コレで人を守れるとはいえ、恐ろしい力じゃのう……」
乃々「いい案があるんですけど、私が辞めれば…あ、えっと、すいません。嘘です。だから睨まないで欲しいんですけど…」
 
ほたる「あ、あの…」
 
そんなやり取りをしていると、ほたるが巴に話しかけてきた。
 
ほたる「私は白菊ほたるです。こっちの子は森久保乃々。貴女の名前はなんていうんですか?」
 
巴「うちは村上巴じゃ。よろしくな。ほたる。乃々」
 
ほたる「よろしくお願いします。巴ちゃん。えっと…今から私達のチカラの制御の特訓をしてくれてるイヴ非日常相談事務所に行くんだけど、巴ちゃんもきますか?」
 
巴「ええ、機会じゃ。うちも行くけえのう」
 
乃々「私はもう帰りたいんですけど……」
 
こうして、ナチュルスターは地空海と三人そろった。
 
嫌がる乃々を引っ張りながら三人はイヴ非日常相談事務所へいくのであった。
 
終わり