1スレ目>>214~>>224


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「裕美ちゃんは『カース』って知ってますかぁ~?」
 
イヴさんが何か手紙のようなものを広げながらポツリと尋ねてきます。
 
…カース?
 
「えっと、ごめんなさい、ちょっと分からないかな?」
 
「それがですねぇ…出るみたいなんですよぉ…そんな化け物が…」
 
…ば、化け物…!?
 
「『カース』正体不明の化け物、不定形であることが多い、周囲の人間の感情と密接に関わっていること以外現状不明」
 
「核となる部分があり、その部分を砕かない限り蘇り、核以外への有効打は調査中…」
 
「『高慢』『憤怒』『色欲』『怠惰』『暴食』『強欲』『嫉妬』などそれぞれ七罪に関する名称が付けられているってことみたいですよぉ~」
 
「なんでそんなに詳しく知ってるの…?」
 
「これですぅ~♪」
 
そう行ってイヴさんは封筒ごと読んでいた手紙を私に差し出しました。
 
 
イヴ非日常相談事務所様
 
          ○月△日 『アイドルヒーロー同盟』 プロデューサー
 
 
「…なんでアイドルヒーロー同盟から…?」
 
「あんなでっかいところとうちって関わりあったかな…?」
 
というかこんな大事なこと郵便で送って良かったの…?
 
「一応私たちって魔法系統に関してはエキスパートですからぁ~♪」
 
「…どういうこと?」
 
意味が分かりません。
 
「ヒーローだって私たちとそっくりのタイプだって居るってことですよぉ~♪」
 
「それって魔法使いって意味?」
 
「格闘みたいにしゅっしゅーって戦うヒーローも居るんですから水や風、炎とか雷を操るヒーローだって居ますよ~?」
 
しゅっしゅーってなんだろう…?
 
「少なくとも後者のヒーローは私たちに近いですね~それに私たちより力が強いことが多いです~♪」
 
「…そんなに強いの?」
 
「所謂ヒーローの様に突然発現するタイプの異能は力が強いことが多いですねぇ~♪」
 
「でもそれと私たちに何の関係があるの?」
 
力が強いならなおさら私たちはお払い箱じゃないかな?
 
 
「私たち魔法使いは幼い頃から魔力の存在に気づいてて基本的に慣れちゃってるじゃないですか~?」
 
「うん…」
 
そういえば魔法自体は割りとすんなりと覚えられたな……。
 
「それがですよぉ~?私たちの数倍の力がいきなりどーんと目覚めちゃったらどうなりますかぁ?」
 
「…扱いきれない…?」
 
「流石裕美ちゃんですねぇ、正解ですぅ~♪」
 
「肉体系のヒーローならともかく魔法系のヒーローは暴発すると大惨事ですからぁ~♪」
 
「まぁ、その関係で『アイドルヒーロー同盟』からもちょくちょく相談があるんですよぉ~♪」
 
「私知らなかったよ?」
 
「制御のお話もありますから今度からは裕美ちゃんにも頼ることになりますから安心してください~」
 
「…でもこの情報をわざわざ送ってきてくれたってことはそれなりに危険なんでしょうねぇ…」
 
急に真面目な顔をするイヴさん。
 
「…そういうのをヒーロー数人がかりで倒すんだよね…?」
 
「はい~♪」
 
「…一人の時にそういうのに会いたくはないよね…」
 
 
 
『ナゼ…?ナゼワタシダケ……?』
 
私の目の前には不定形の泥のような化け物。
 
『ナンデ……ナンデェェェェ!』
 
「…私、なんでご丁寧にフラグなんて建てちゃったのかな…」
 
「これが『嫉妬』のカースかな…言動がそれっぽいし…」
 
カースは体から黒いもやを噴出しながら近づいてきます。
 
私は慌ててポケットからボールペンを取り出し先端をカースに向けます
 
『か、風よっ!』
 
『ウゴ、ウゴォォォォ!』
 
『イヤダ…!ワタシハキエナイ……キエナイ!』
 
カースの泥のような体から突如触手のような腕が生えて私に迫ってきました。
 
「わわっ!?」
 
風魔法の余波を使って大きく後ろにステップをして避けます。
 
 
『氷よ!寄り集まりて塊になれっ!』
 
出来た!これで次は…!
 
『風よ!』
 
風魔法で生成した氷の塊を一斉にカースに放ちます。
 
『グギィ…!』
 
「き、効いた!?」
 
『イタイイタイイタイイタイイタイ……』
 
『イヒッ♪アハ!アハハハハハ!』
 
「ひっ!?」
 
き、気持ち悪いっ!?
 
こんなことならイヴさんから戦闘用の魔法習っておくんだったよ!
 
 
「私じゃ力不足かも…」
 
ただでさえ魔力のキャパシティが少ない私じゃ一人じゃ厳しいかな…。
 
「ここは一旦逃げてイヴさんに助けを…」
 
その時でした。
 
『海よっ!』 『空よっ!』
 
緊迫した空気に割り込んでくるオドオドした二つの声。
 
『悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう』
 
『自然を愛する優しき乙女に力を』
 
『全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!』
 
『全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!』
 
『「人々を守り、自然を守る戦士!ナチュルスター!!』
 
『い、一般人に手を出すなんて許しませんよっ!』
 
…派手な登場シーンをこなして現れる二人の女の子、どうやら私は変身ヒロインに奇妙な縁があるようです。
 
…それにしても私一般人…一般人かぁ…。地味に凹むかな…。
 
 
「あの、あの人グネグネしてて怖いんですけど……帰りたいんですけど……」
 
「の、乃々ちゃん!?今あの黒いのからなんか生えてきましたぁ…」
 
……なんだかこの二人不安です…。
 
『イナクナレ!ミンナイナクナッテシマエ!』
 
化け物は二人に向かって触手を伸ばします。
 
『氷よ!寄り……』
 
…間に合わない…!こうなったらイチかバチか…!
 
私は彼女たちを庇うように飛び込みボールペンの先端に魔力を集中させて飛んできた触手の先端に合わせてボールペンを振りぬきます。
 
「ギギャッ……!?」
 
ボールペンの先端に触れた部分から触手が真っ二つに引き裂かれていきます。
 
で、出来た…!
 
まさか魚肉ソーセージのフィルムがうまく剥がせなくてついイライラして思いつきで作っただけの魔法が役に立つなんて…。
 
「た、助かったんですか…?帰れるんですか…?」
 
…私はむしろ生きて帰れる自信が無くなってきたよ…二人を放って逃げられないし…。
 
 
『ミンナモウイラナイ!イナクナッチャエ!』
 
再度触手を伸ばしてくるカース。
 
「っ!」
 
私は横薙ぎにペンを振るい再び触手を切断します。
 
「…体の中心に真っ黒な魔力の塊が見える…多分あれが核かな…」
 
『氷よ!寄り集まりて塊になれっ!』
 
…これじゃ足りない…。さっきはこれじゃ駄目だった…!
 
「もっと……もっと…!」
 
必要最低限の魔力を残して残りの力を全て氷の生成に向けます。
 
『アナタタチイナクナレバワタシガイチバン!イチバン!』
 
私に向けて大量の触手を飛ばしてくるカース。
 
「させません!い、行きます!」
 
そう言って私の前に飛び出すナチュルスカイと名乗る女の子。
 
『嵐よっ!雷よっ!力を貸して!』
 
『アグ……アガアアアアア!!』
 
「危な……え…?」
 
そこから先はカースの悲鳴がこだまする地獄絵図でした。
 
 
 
「…どうするんですかこれ……どうしようもないんですけど…」
 
辺りの建物は暴風と雷の力で軽く二十年分は劣化したのではないかという有様。所々落雷の焦げ跡が見えます。
 
それにしても弱点の核とか無視でカースをまるごと消し飛ばすってイヴさんが言ってた通り凄い力……。
 
「ごめんなさい、ごめんなさい!」
 
涙目でペコペコと頭を下げ続けるナチュラルスカイ。
 
「私がきちんと直しておくから大丈夫…大丈夫だから…」
 
私は特に活躍せずに役目を終えた巨大な氷の塊を消しながら彼女の背中をぽんぽんと叩いてあげる。
 
…うわ、なんかすっごい建物に蔦絡まってる…自然系の魔法なのかなこれ……。
 
『…元ある形に戻れ!』
 
…駄目だ。さっきの氷で今日は魔力がもうないよ…。
 
…これ全部直すのに何日掛かるかな…?
 
 
 
「なるほどぉ~、そういういきさつでうちに連れてきたんですかぁ~♪」
 
「うん、ちょっとこのままじゃ危ないかなって思って…暫くの間力のコントロールを教えようと思って…」
 
「…少しだけ頑張るって言いましたけど正直もう帰りたいんですけど…」
 
「乃々ちゃん!これが終われば私たち一人前ですっ!」
 
「た、多分ですけど……」
 
……完全にコントロール出来たら恐ろしい強さになりそうだけど…。
 
「せめて範囲をお家一軒分くらいまで狭められればまだ……うん…」
 
それだけでも被害は大分減ると思う…。
 
「て、掌サイズで十分なんですけど…そんなに目立ちたくないんですけど……」
 
あれを掌サイズまで圧縮したら私の『魚肉ソーセージカッター』の比じゃないよね…。
 
 
「私まだ直接お二人の力見てないんですよねぇ~♪」
 
「良かったら使ってみて貰えませんかぁ~?」
 
「は、はいっ!行きますよ!乃々ちゃん!」
 
「うぅ…どうしてもって言うならちょっとだけ頑張りますけど… 」
 
『悪しき心を持つ邪悪な意志に立ち向かう』
 
『自然を愛する優しき乙女に力を』
 
『全てを包み込み、安らぎを与える海!ナチュルマリン!!』
 
『全てを見渡し、恵みを与える空!ナチュルスカイ!!』
 
『「人々を守り、自然を守る戦士!ナチュルスター!!』
 
「凄~い!格好良いですぅ~♪」
 
ニコニコしながらパチパチと手を叩くイヴさん。
 
「そ、そうですか…?は、初めて褒められた気がします…えへへ…私は嵐と雷が操れるんです!」
 
「行きますっ!」
 
…えっ?ここで…?
 
『嵐よっ!雷よっ!力を貸して!』
 
 
 
 
街を直す前に最優先で事務所直さなくっちゃ…。