575 名前: ◆llXLnL0MGk[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 10:55:16.89 ID:wXB/oYyN0 [2/7]
――海皇宮。
サヤ『申し訳ありません、ヨリコ様ぁ。他勢力の協力要請を得られませんでしたぁ』
サヤからの通信を聞いた海皇ヨリコは、静かに頷いてみせた。
ヨリコ「ええ、そうだろうと思っていました」
サヤ『ええっ!? 失敗するって分かってサヤを行かせたんですかぁ!?』
驚きを隠せない様子のサヤに、ヨリコが説明を始める。
ヨリコ「私達の目的は、地上を海に沈める事。もうこれだけで大半の組織にはこちらに協力する
メリットはありません。それどころか脅威であるとさえ考えるでしょう」
サヤ『じゃ、じゃあ危険なんじゃ……』
ヨリコ「サヤ。あなたは会談中、または会談の前後に海水を浴びましたか?」
サヤ『えっ、はい……会談前に必ず……』
ヨリコ「その光景は十中八九相手に見られています。それはウェンディ族の弱点が露見した事を意味します。つまり」
サヤ『つまり……?』
ヨリコは一度言葉を切り、モノクルを掛けなおして続けた。
ヨリコ「彼らから見てウェンディ族は『弱点が分かりきっている上に少数勢力、いつでも叩ける取るに足らない相手』
……となるでしょう。まあ、思い切った賭けでしたが」
サヤ『あっ……あれ? 少数勢力というのは……』
ヨリコ「『大事な会談に一人で現れる、それほどに人員不足な組織』ということです」
サヤ『なるほどぉ』
ヨリコ「後は彼らのマークが外れている間にこちらの準備を進めるだけです。万一攻めてこられても、
海はこちらのホームグラウンド。敗れる道理はありません」
そう言ってヨリコは穏やかな笑みを浮かべた。
サヤ『んふっ、やっぱりヨリコ様は策士ですねぇ。では、サヤは帰還いたしまぁす』
ヨリコ「その前にサヤ。護衛に付けたイワッシャーが見えないようですが……」
途端にサヤがバツの悪そうな顔をした。
サヤ『あ、あーえっとですねぇ……実はさっきカースに遭遇しまして……』
ヨリコ「カースに? 破壊されたのですか?」
サヤ『あ、いえ……なんというか、その……取り込まれてしまって……』
ヨリコ「…………」
予想外の報告に、ヨリコも開いた口が塞がらない。
辛うじて、どうにか言葉を搾り出す。
ヨリコ「……カースドヒューマンならぬ、カースドイワッシャーという訳ですか……」
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576 名前: ◆llXLnL0MGk[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 10:56:21.48 ID:wXB/oYyN0
[3/7]
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さて、当のカースドイワッシャー(以下Cイワッシャー)はと言うと。
Cイワッシャー「ワーッシャッシャッシャッシャ! モウアノオンナニツキシタガウヒツヨウモネエ!
カースサイコー! オレサマガイチバンダアッシャッシャシャシャシャシャ!!」
カースに取り込まれたことで『傲慢』の感情を得て、暴れまわっていた。
目から放たれるビームの威力も数段増し、停車してあったトラックを瞬く間に蒸発させてしまった。
Cイワッシャー「ッシャッシャッシャッシャッシャ! チカラッテノハタマンネエゼェェェ!!」
街の人々は既に避難が完了している。多くのヒーローは『憤怒の街』にいる。
故に今、街はCイワッシャーのなすがままになっているのである。
しかし、そんなCイワッシャーの前に一人の女性が立ちふさがった。
??「……ふう、とっくに引退決め込んでたのにね」
Cイワッシャー「アァン? ナンナンダテメエハ」
瞳子「私は服部瞳子。といっても、名を知りたい訳ではなさそうね」
ふう、と息を吐いて瞳子は手のひらを空に掲げた。
瞳子「……フレイムアップ、リライザブル」
瞳子の手のひらに、黒い火の玉が浮かぶ。
その火の玉は瞳子の周囲を駆け巡り、体を包んでいく。
程なくして火の玉が消えると、瞳子の服装はガラッと様変わりしていた。
黒く、熱く、禍々しくも可愛らしいドレス姿。
577 名前: ◆llXLnL0MGk[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 10:57:36.56 ID:wXB/oYyN0 [4/7]
瞳子「……魔法少女、エンジェリックファイア」
そう、彼女は三船美優達と同じ、魔法少女だったのだ。
となれば、次に待っているのは……
瞳子「……にひっ☆」
敵に背を向け右手を腰に、振り向きざまに子供のような悪戯っぽい笑み。
魔法少女恒例のオート名乗りアクション(キャンセル不可)である。
瞳子「……これはどうにかならないものかしら」
Cイワッシャー「……オユーギヤッテンジャネンダゾォォー!」
痺れをきらしたCイワッシャーがビームを乱射してくる。
瞳子「それはこちらも同じよ……!」
瞳子ことファイアはそのビームを華麗に掻い潜り、Cイワッシャーに接近する。
瞳子「はぁっ!」
ファイアの掌底がCイワッシャーの腹にめり込む。
Cイワッシャー「ゴブッ!? オッ、オレサマ二タテツクナァ! オレサマガイチバン!! ナンバー!!
ワンナンダヨォォォォォォォ!!」
Cイワッシャーは激昂したように腕を振り回す。
しかし、ファイアはそれを悉く回避する。
瞳子「……回避に余裕が無い。やっぱり十年単位のブランクは大きいわね」
しまいには回避しながら反省会を始めてしまった。
Cイワッシャー「マダオワッテネエゾォォォォォォォォォ!!!」
腕を振り回しながらも、Cイワッシャーの目が輝きを増す。ビームを最大までチャージしている証だ。
瞳子「隙ありっ……!」
一瞬の隙をついて、ファイアの回し蹴りがCイワッシャーの側頭部を捉えた。
578 名前: ◆llXLnL0MGk[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 10:58:26.68 ID:wXB/oYyN0 [5/7]
Cイワッシャー「シャギッ……!?」
瞳子「まだまだよ!」
更に続けて回し蹴りが二発、三発、四発。
衝撃に耐えかねたCイワッシャーはとうとう真横へ吹っ飛んでいった。
Cイワッシャー「ギ、ギギギギギ……ギ!?」
どうにか起き上がるCイワッシャー。その目に映ったものは。
瞳子「……ファイアズムサイズ……!」
身の丈ほど長大な、黒い、炎でできた大鎌。
それを構え、一直線に突進してくるファイアの姿だった。
Cイワッシャー「ヒッ、ヒィィィィィ!!」
Cイワッシャーは慌ててビームを乱射する。
しかしファイアはそれをジグザグに避けながら、なおもCイワッシャーを目指す。
そしてその鎌がついに――
瞳子「……グッバイ」
Cイワッシャー「シ//ャ」
――Cイワッシャーの首を捉え、のど仏の核もろとも両断した。
爆発を背に、静かに変身を解く瞳子。
瞳子「……引退は撤回ね」
誰に言うでもなく呟くと、瞳子は歩き出した。
瞳子「美優達は今どうしているかしら……」
ひとまず、かつての仲間達と合流するために。
仲間の魔力を感じる場所――憤怒の街へ。
続く?
579 名前: ◆llXLnL0MGk[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 10:59:54.18 ID:wXB/oYyN0
[6/7]
・服部瞳子/エンジェリックファイア
職業
不明
属性
魔法少女
能力
魔法少女への変身及び魔法の行使
詳細説明
かつて三船美優/エンジェリックカインドと共に戦った魔法少女たちの一人。
最初は「悪者やっつけるためならちょっとくらい街壊れてもいいよねっ」という思想を持ち、
美優達とはどちらかといえば対立し、単独で敵と戦うことも多かった。
やがて戦いを重ねるうちにお互いの心を通わせ、真の仲間となった。
いわゆる追加戦士枠で、彼女だけ使う力が光でなく炎だったり、変身掛け声が違うのもお約束。
・カースドイワッシャー
カースに取り込まれたイワッシャーが、その核を埋め込まれた姿。
カースの属性を基にした自我が芽生え、戦闘力も向上する。
・イベント追加情報
海底都市が各組織への協力要請を中止、暗躍を始めました。
瞳子が憤怒の街へ移動を開始しました。
え、いまさら間に合うのかって? わしゃ知らん。