5スレ目>>5~>>42

5 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:04:56.14 ID:tRrD29fbo [2/39]

前回までのあらすじ

妖刀『小春日和』を抜くと、
『ひなたん星人』になってしまう少女・小日向美穂は、
街に現れた怪人ハンテーンの反転薬のせいで、
刀を抜いてない時でも常時、『ひなたん星人』になってしまうのだったひなた!
小日向美穂の運命や如何に!

参考
(美穂と『小春日和』)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373517140/155-183
(ひなたん星人とハンテーン)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373517140/507-519

6 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:05:49.99 ID:tRrD29fbo [3/39]

『万年桜』の公園は今日もあたたかな日差しが心地よい。

そして公園にある、いつもの特等席では

いつもの様に彼女が日向ぼっこをしていました。


美穂「すやすや・・・・・・」 コクリコクリ


美穂「ふふっ、煩わしい太陽め・・・・・・いつか堕とすナリ・・・・・・すやすや」 コクリコクリ


・・・・・・やっぱ、いつもと違うわこれ。

 

さて、そんな彼女の元に近づいてくる足音が一つ


「やはり、ここに居ましたか」


美穂「ん・・・?誰ひなた?」


目を開けて顔を向けると、そこに立っていたのは、

背中に4本の筒の様な袋を背負い、

腰に1本の刀を差した一人の少女だった。


肇「すみません、起こしてしまいましたね。」

7 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:06:52.35 ID:tRrD29fbo [4/39]

肇「はじめまして、小日向美穂さん。」

肇「それと、久しぶりだね。『小春日和』。」


少女は、美穂と刀、両方に挨拶をしたが、

された方は、しっくりこないようで。


美穂「・・・・・・なんだか変な感じナリ」

美穂「”私”からすれば知ってるのに知らない人ひなた」


小日向美穂と『小春日和』、その両方でありながら、

両方でない『ひなたん星人』にとっては奇妙な感覚であった。


肇「あっ、そうですね。なら・・・・・・少し言い換えます。」


肇「はじめまして、ひなたん星人さん。」

肇「ご存知かもしれませんが、刀匠・藤原一心の孫娘、藤原肇です。」


美穂「うん♪今度はティンと来たひなたっ☆」

美穂「私はあなたも知ってのとおり、愛と正義のはにかみ侵略者ひなたん星人ナリ♪」


そんな変な挨拶を交し合って、

小日向美穂は藤原肇と出合ったのだった。

8 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:07:33.74 ID:tRrD29fbo [5/39]

肇「隣、座ってもいいですか?」

美穂「どうぞどうぞひなたっ、あなたなら大歓迎ナリ☆」

肇「ふふっ、ありがとうございます。では、失礼して」


美穂の座るベンチの反対側に、ちょこんと肇が座る。


美穂「ここが、この公園の中で一番日差しが気持ちいいひなた♪」

肇「そうですね、この場所では春の暖かさがいつでも感じられるようです。」


しばし、『万年桜』の公園の暖かさに浸る二人。


美穂「・・・・・・。」

肇「・・・・・・。」


美穂「・・・・・・」 コクリコクリ

肇「・・・・・・」 ウツラウツラ


美穂「・・・・・・すやすや」

肇「すぅ・・・・・・」


肇「はっ!本題に入る前に寝てしまうところだった!」

美穂「ふぇ?」

9 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:08:00.51 ID:tRrD29fbo [6/39]

閑話休題


肇「その様子ですと、美穂さんは」

肇「あ、いえひなたん星人さんは、もう出会ってるんですよね。」

肇「近頃、世間を騒がせる怪人達に。」


肇は話を始める。

ここ最近、巷を騒がせる悪党ニ匹について。

一匹は、人の秘密を暴くアルパカ獣人。

一匹は、人の心を裏返すカピバラ獣人。


美穂「『ハンテーン』と『アバクーゾ』ナリ」

肇「名前もご存知でしたか」

美穂「これでも私は勉強熱心ひなたっ☆」

美穂「特に一度負かされた子の事はしっかり覚えてるナリ」

負けず嫌いと言うか、執念深いと言うか

『傲慢』の刀から生まれた人格らしくはある。

肇「負かされた、ですか・・・。」

肇の顔が曇ったのを、ひなたん星人は見逃さない。


美穂「・・・・・・私が負けたって聞いて、ちょっと残念ナリ?」

肇「あ、いえ。そう言うことでは。」

美穂「私に失礼とか思わなくていいひなた」

10 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:08:48.50 ID:tRrD29fbo [7/39]

肇「・・・・・・すみません。ただ『小春日和』に斬れないものがあるなんて思ってなかったから。」


彼女にとって『鬼神の七振り』は、自慢のお爺ちゃんの最高傑作。

特に『小春日和』は、負のエネルギーの力を借り比喩無く鉄骨すら両断できる優れた刀なのだ。

『ハンテーン』と呼ばれる怪人が、斬撃に対して強い耐性を持つとは噂で聞いていたが、

まさか『鬼神の七振り』ですら斬れないとは思ってもいなかった。


肇「少しだけ悔しいですね。」

美穂「私も同じ気持ちナリ」

肇の気持ちを聞いて、ひなたん星人も答える。


美穂「だけど」

そう言うと、ひなたん星人は立ち上がって刀を抜き、肇の目の前に掲げた。

肇「・・・・・・。」

肇は掲げられた刀をまじまじと見つめる。

『ハンテーン』の超硬度の毛の鎧に強く撃ち付けたにも関わらず、

『小春日和』には刃こぼれ一つ無く、美しいままであった。

美穂「『小春日和』はやっぱり日本一の刀ナリ☆」

ひなたん星人は刀から生まれた人格である事を考えれば、自画自賛ともとれるのだが。


美穂「肇ちゃんのためにも、次こそは勝ってみせるひなたっ♪」 キャピーン

そして、なぜかここでキメポーズ

肇「ふふっ、ありがとう。ひなたん星人さん。」

しかしながら、ひなたん星人の言葉で、肇は元気を取り戻したようだ。

11 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:10:04.12 ID:tRrD29fbo [8/39]

美穂「次は勝つ!そのためにももっと強くなりたいひなたっ!」

肇「もっと強くですか・・・・・・。」

肇は少し考える素振をする。


肇「実は私が、今回美穂さんのところに来たのは『アバクーゾ』の方を退治して貰うつもりで来たんです」

美穂「まあ、私ならそっちの怪人は完封できるナリ」


精神攻撃を無効化するひなたん星人には彼らの攻撃は効かず、

斬撃耐性も無いアバクーゾの方であれば、逃げ足にさえ追いつけばどうとでも料理できる相手であったりする。


肇「だから『ハンテーン』の方は他の方に任せても・・・・・・と思っていたのですが」

美穂「それはひなたん星人のプライドが許さないナリっ☆」

肇「ふふっ、そうですか」

ひなたん星人の頼もしい即答に、つい笑ってしまう肇だった。

美穂「何かおかしかったひなた?」

肇「いえ、私も同感です。『鬼神の七振り』は日本一の刀だって証明したいですから。」

肇「負けっぱなしは嫌ですね!」

負けず嫌いなのは鬼の孫娘も同じであったようだ。

12 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:10:52.26 ID:tRrD29fbo [9/39]

美穂「・・・・・・何か策があるひなた?」

肇「策と呼べるものはないですが・・・・・・強くなれる手立てはあるかもしれません。」

肇もベンチから立ち上がり、少し離れた場所まで歩く。

そして真剣な目で、美穂に向かい合う。

肇「ひなたん星人さん」

美穂「?」


肇「私と戦ってみてくれませんか。」


美穂「・・・・・・」

美穂「ふっふっふ」

美穂「あ~っはっはっはっは!」


美穂「いや、どうしてそうなるひなたっ!」


ひなたん星人珍しく突っ込みをする。

13 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:11:55.51 ID:tRrD29fbo [10/39]

肇「すみません、説明が足りなかったですね。」

肇「単刀直入に言えば、『小春日和』と美穂さんの事を知るためです。」

肇「『小春日和』は持てば日本一の剣士と同等の技術を発揮できる刀。」

肇「ですが、それが限界だとは私は思いません。」


日本一の剣士と同等が『小春日和』の到達点ではない、と肇は言う。

『鬼神の七振り』は”その先”を目指すための刀なのだから。


美穂「・・・・・・私が100%実力を発揮してないってことナリ?」

肇「いえ、そうは言いませんよ。」

肇「ただ、その先・・・・・・つまり120%を発揮できるんじゃないかって事ですね。」

美穂「なるほど、単色片面大アップひなた♪」

それは違う。


肇「だから、ひなたん星人さんがその域まで到達できる実力を持つのか、この目で見てみたい。」

肇「そのための模擬戦みたいなものですよ。」

肇は腰の刀の柄をつかむ。

美穂「なるほど、ひなた」

その様子を見て、ひなたん星人も答える。

14 名前: ◆6osdZ663So[sage] 投稿日:2013/07/27(土) 12:12:53.45 ID:tRrD29fbo [11/39]

美穂「まあ、そこまで言われたなら」

美穂「ひなたん星人の真の実力を見せない訳にはいかないナリっ!」


ひなたん星人は『小春日和』を構える。


肇「ふふっ、ありがとうございます。」

肇もまた刀を抜いた。


美穂「・・・・・・。」

美穂「てっきり、『鬼神の七振り』を使うのかと思ってたナリ。」

肇の刀を見て、ひなたん星人は呟いた。

こうして刀を抜いて向かい合っても、『鬼神の七振り』特有の核の共鳴の様なものを感じない。

それはつまり、肇が手に持つ刀には『カースの核』が取り付けられていないと言う事だ。

肇「この刀は、祖父の刀ではなく、私が打った”ごく普通の妖刀”ですよ。」

肇「いつまでも刀匠”見習い”で居るわけにはいきませんから。」

肇「これは『鬼神の七振り』にも負けないつもりで打った、私のための刀。」


成り立ちが似ているためか、その刀の佇まいは『小春日和』に似ていた。

見た目は『小春日和』と同じく、ごく普通の日本刀。

しかし『緊張感のある静けさ』を彷彿させる『小春日和』に対して、

その刀は、自然と一体となる様な『穏やかな静けさ』を思わせた。


肇「名前は『桜花夜話』と言います。」


美穂「ふふっ、いい名前ひなたっ」

15 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:14:13.60 ID:tRrD29fbo [12/39]

肇「・・・・・・。」

美穂「・・・・・・。」


それっきり二人は口を閉じ、

『万年桜』の公園が静けさに包まれる。

刀を抜いて向き合う少女達の様子を、何事かと見に来た野次馬達も、

その穏やかながら、真剣な場の空気に飲まれ、騒ぐ事もなく、静かに成り行きを見守っていた。

鳥や虫の鳴き声すら聞こえない。

ただ、『万年桜』の花が風に揺れ、散ってゆく音だけが、その場にはあった。


先に静寂を破ったのは鬼の少女。


肇「鬼匠・藤原一心の孫娘!藤原肇!参ります!」


美穂「愛と正義のはにかみ侵略者!ひなたん星人!かかってくるナリ!」


お互いに高らかに名乗りあい、

『刀使い』対『刀使い』の模擬戦が始った。

16 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:14:55.75 ID:tRrD29fbo [13/39]

開始と同時に肇が動く。

両手で『桜花夜話』を持ち、正面に構えながらの突撃。

肇「やあっ!」

わずかな歩数で美穂まで近づくと、

ほんの少し飛び掛る様に、上段から斬りかかる。

しかし当然の様に、その一撃は『小春日和』によって受け止められ、

かん高い、金属音が響き、肇の体は押し飛ばされた。

美穂「甘いナリっ!ラブリージャスティスっ・・・・・・」

そして続けざまに美穂の攻撃が、体勢を崩し膝を突いた肇を襲う。

美穂「ひなたんみねうち!!」

まさか模擬戦で命をとるわけにもいかないので、

流石のひなたん星人もひなたんビームやひなたんフラッシュは自重しました。


ガィン!

っと、金属音が響く。

美穂「!」

肇「っ!」

例えみねうちだとしても、彼女の攻撃はすべて日本一の技術をもって行われる攻撃。

しかし、なんと肇は体勢が崩れた状態からその攻撃を刀で受け、防いでいた!

17 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:15:46.13 ID:tRrD29fbo [14/39]

ひなたん星人は後退し、わずかに距離をとって尋ねる。

美穂「短い間に、私の必殺技が二回も防がれるなんて自信無くしそうナリ。」

美穂「けれど今の一撃、普通の人なら反応が間に合うはずなんてないひなた。」

肇「ええ、そうでしょうね。何しろ日本一の一撃ですから。」


再び構え直した肇は答える。

先ほどの攻撃、常人ならば反応が間に合うはずが無い。

”常人”ならばだ。


肇「”鬼心伝心”」

肇「鬼のまじないの一つです。簡単に言えば自己暗示のようなものですが。」

肇「相対する相手の心、技、体の動きを読み取り、自信の動きをそれに合わせる。」

肇「それによって、相手の技量をそのまま自分の身体に反映することができると言う術です。」

肇「つまり、ひなたん星人さんが日本一の剣士なら、私も日本一の剣士と言う事ですよ。」


同じく日本一の剣の技術を持つならば、日本一の攻撃を受ける事ができると言う理屈だ。


美穂「ふふふ、思わぬ強敵の登場ひなたっ!」

肇「ひなたん星人さん、私は100%以上の力が見たいって言いました。」

肇「手加減して倒せると思わないで下さいね。」

美穂「わかってるナリ!楽しくなってきたひなたっ☆」

18 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:16:45.55 ID:tRrD29fbo [15/39]

とは言え、『桜花夜話』を構える肇の手は震えていた。

肇「少し手が痺れてしまいましたね。」

肇「すぅー・・・・・・はぁー・・・・・・」


深呼吸をただ一度。

すると刃先の震えがピタリと止まる。


美穂「それも、鬼のまじないひなた?」

肇「いえ、単なる精神統一ですよ。」


それだけで手の振るえは止まった。

止まりはしたが、


美穂「一撃受けて手が痺れちゃうなら、そう何度も防げる訳じゃあないひなたっ☆」

肇「さあ。それは、どうでしょうね。」


鬼のまじないによって使い手の技量が同等になっていたとしても、

『小春日和』による負のエネルギーの身体能力ブーストで、

その攻撃力が強化されているひなたん星人と、

鬼の孫とは言え、生身の肇では力の差が歴然である。

故にひなたん星人の攻撃を一度受けただけで、肇の手は痺れてしまったのだ。

何度も連続で攻撃を受ければ、刀を持てなくなるだろう。

ならばこの勝負は後、数撃で決まる。

そんな風に、ひなたん星人は判断していた。

19 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:17:45.83 ID:tRrD29fbo [16/39]


しかし、それは間違いであった

いや、この時点で気づいておくべきだったのだ。


所有者に歴然たる力の差がありながら、

『桜花夜話』が『小春日和』の攻撃を受ける事ができたこと。


一度目の剣劇では突撃してきた肇の身体を押し飛ばす事が出来たのに、

二度目の剣劇では彼女から攻撃したにも関わらず受けられたこと。


それらの事実が指し示す、『桜花夜話』の能力に気づくべきであった。

20 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:18:27.72 ID:tRrD29fbo [17/39]

再び、肇は両手で刀を持ち、

ひなたん星人に向けて突撃する。

先ほどと同じ攻撃。

美穂「ワンパターンナリ・・・・・・」

同じ攻撃ならば、対処法も変わらない。

またはじき返して、隙が出来た所を返り討ちにするだけだ。

今度は手加減もしない。


肇「やあっ!」

そして肇は少し飛び掛る様に斬りかかり。

キィイン!

美穂「っ!?!」

美穂(強い!?)


さっきとほとんど変わらない所作からの攻撃は、

明らかに先ほどよりも、重い一撃であった。

ひなたん星人は『小春日和』で受けて、その攻撃をはじき返すつもりであったが、

重くなったその攻撃をはじき返す事が出来ず、鍔迫り合いとなる。


美穂「くっ、どう言う事ひな・・・たぁっ!」

まさかの事態に、ひなたん星人は少し焦るが

身体と刃先を上手くずらし、攻撃に転じようとする。

しかし肇はその攻撃が来る前にすぐさま後ろに飛びのいた。


両者の間に再び距離ができる。

21 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:19:21.42 ID:tRrD29fbo [18/39]

肇「如何ですか?真価を発揮した『桜花夜話』は。」

少しだけ自慢げに肇は言う。

美穂「思わず焦ったひなた。急に力が強くなるなんて・・・・・・今度はどんな手品を使ったナリ?」

肇「ふふっ、この子のおかげですよ。」

ひなたん星人に問いかけられて、肇は素直に種明かしを始めた。


肇「『桜花夜話』は対話する刀です。」

美穂「対話?お喋りするひなた?」

肇「いえ。まあ、人と同じ様に喋る刀も知ってはいますが。」


肇「『桜花夜話』にとっての対話とは、すなわち”打ち合い”です。」

美穂「打ち合い・・・・・・あっ!!」

”打ち合い”と聞いて彼女は気づく。

美穂「じゃ、じゃあ二度も突撃してきたのはわざとだったひなたっ!?」

肇「はい、ひなたん星人さんは『小春日和』が作った人格であるなら」

肇「単調な攻撃はかわさずに受けるだろう。と思ってましたから。」

美穂「うぅぅ・・・・・・引っ掛かったナリっ・・・・・・。」

肇「ふふっ。」

『傲慢』の刀から生まれた人格が、やや自信過剰である事は知っていた。

『鬼神の七振り』のことはよく知っている肇だから出来るちょっとしたズルである。

22 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:20:18.30 ID:tRrD29fbo [19/39]

肇「『桜花夜話』は打ち合った対象の事を良く知り、理解しようとする刀。」

肇「そうしてその相手と対等であろうとする刀。」

肇「故に”対話する刀”なんです。」


打ち合った相手の力を分析し、刃と所有者の力を相手と対等になるまで引き上げる。

それが、肇の打った妖刀『桜花夜話』の特性。


肇「『桜花夜話』は、既に三度も、『小春日和』と打ち合いました。」

肇「だからこの子は、『小春日和』の力の事をよく理解しています。」

肇「そして、その力と対等であろうとしたのですよ。」

美穂「・・・・・・だから最初より力が増したひなた。」


三度の”対話”を経て、

『桜花夜話』はその切れ味も攻撃力も、『小春日和』に追いついたのだ。

先ほどの競合いが拮抗したのも当然である。

23 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:21:11.61 ID:tRrD29fbo [20/39]

肇「さて、ひなたん星人さん」

肇「私の技術は”鬼心伝心”によって、あなたと同等で、」

肇「今や『桜花夜話』の力は『小春日和』と対等です。」


肇「これにて技術も力も、同等にして対等。」

肇「なら私達が100%同士で戦ったら、引き分けしかあり得ませんね。」

どこか面白そうに、現在の状態を肇は語る。


美穂「ふっふっふ」

美穂「あーっはっはっはっはっは!」


ひなたん星人もまた面白そうに笑った。


美穂「なるほど、言いたいことはわかったひなた。」

美穂「つまり、今より強い自分を・・・・・・120%を引き出せないと勝てないって事ナリ!」


肇「そう言うことですね、ここからが本番ですよ。」

美穂「そうみたいナリ!」

美穂「この勝負、肇ちゃんのためにも勝ってみせるひなたっ☆」

肇「ふふっ、期待しています。」

24 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:21:56.56 ID:tRrD29fbo [21/39]

肇「・・・・・・。」

美穂「・・・・・・。」

会話を止めて、みたび、真剣に向き合う二人。

今度は肇がいきなり突撃してくる事もなかった。


肇「・・・・・・。」

美穂「・・・・・・。」


『万年桜』の公園は今日もあたたかな日差しが心地よい。


肇「・・・・・・。」

美穂「・・・・・・。」


辺りには、鳥や虫の鳴き声すら聞こえない。

25 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:22:27.21 ID:tRrD29fbo [22/39]

肇「・・・・・・。」


美穂「・・・・・・。」


向き合うのは、どちらも刃こぼれ一つ無く、美しい妖刀。

 


肇「・・・・・・。」


美穂「・・・・・・。」

 

一陣の風が吹き、『万年桜』の花が大きく揺れた。

桜の花が散る。


それが合図だった。

26 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:22:52.71 ID:tRrD29fbo [23/39]

肇「やああっ!」

美穂「はぁあっ!」

どちらからともなく目の前の相手に疾風の様に近づき、

キィイン!

打ち合う。

ガァン!

打ち合う。

キン!カァン!キィイン!

打ち合う、打ち合う、打ち合う。


そして、その次に来た肇の一撃を、

美穂は翻すように身をかわし、その脇から剣撃を放つ。

しかし、それを予期していたかのように肇はすぐ体勢を整えなおすと、

『桜花夜話』の刃先を近づく美穂に対して向ける。

喉元に迫る刀を美穂は、わずかに首を動かしてかわすと、すぐさま後退。

つづく肇の追撃を、『小春日和』で受け止めた。

その実力は確かに拮抗している。

再び、打ち合いが始まる。

27 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:23:28.69 ID:tRrD29fbo [24/39]

キィイン!

――金属音を聞きながらひなたん星人は考える。

美穂(どうすれば、どうすれば勝てるひなたっ!)


――技術も力も同じ、ならば何かを掴めなければ勝てる相手ではない。


カァン!

――肇は100%の実力のその先、120%の力を引き出せるはずと言っていた。


ガィィン!

――そもそも”私”の・・・・・・『小春日和』の力とは何だろうか。


――持てば、日本一の剣士と同等の技術を発揮できる。

――もう一つ、負のエネルギーを纏い、切れ味と身体能力を強化できる。


――この二つ。

――120%の実力を引き出すとすれば、

――日本一の剣士を超える技術を発揮するか、

――負のエネルギーを増量し、さらに切れ味と身体能力を磨き上げるか。

28 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:24:12.94 ID:tRrD29fbo [25/39]

キィイン!


――あ、いや待って。

――たしかもう一つ、『小春日和』には能力があったはず。


――人格を作り上げる。


――もしかしてそれが、120%を発揮する鍵なのだろうか?


カカァン!


――いや、流石に違うような気がする。

――そもそも”人格を作り上げる”のは、横暴たる刀である『小春日和』が、

――人間の肉体を使いやすくするためだ。

――”私”の実力とは関係ないはず・・・・・・。


キリィン!


――今にして思えば、一本の刀に対してバラバラの能力だ。

――日本一の剣士としての技術を発揮する。

――負のエネルギーを纏い攻撃力を上げる。

――刀が支配する人格を作り上げる。


――本当にバラバラなのだろうか。

――それらは、一本に繋がっては、いないのだろうか。

29 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:24:55.88 ID:tRrD29fbo [26/39]

――日本一の剣士としての技術を発揮しているのは、

――”私”と言う人格だ。

――人格とは

――人の成長によって、つまりは経験によって形成されるものだから、


――逆に”私”と言う人格が無理やり形成された事で、

――それを形作るところの、”あるはず無い経験”が生まれると言う事があったはずだ。

――日本一の剣士としての技術は、

――”私”と言う人格を作るために、偽造された小日向美穂の経験の一つなのだ。


――少なくともこの2つは繋がっている。

――ならもう1つは?

――負のエネルギーを纏い攻撃力を上げる。

――これもまた、”私”と言う人格を形作っている”偽造された経験”の1つによるものではないのか?

30 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:25:36.62 ID:tRrD29fbo [27/39]

美穂(集めた負のエネルギーを纏って刀の切れ味と、身体能力を上げる)

美穂(今まで意識して使ってなかったけど)

美穂(これもひなたん星人の人格が持つ、技術の一つなのだとしたら)


美穂「試してみる価値はあるナリっ☆」

肇「何をっ!」

ガィイン!

ひなたん星人は、肇の一撃を受けると、その身体を引いた。


ただしそれは足を後ろに動かしての後退ではなく、

肇「えっ!?」

身体の向きや足の位置はそのままに、滑るような後退。

人の動作ではあり得ない、魔法の様な動き。

美穂「思えば、今までも身体能力が上がっただけじゃ説明できない動きもしてきたひなたっ!」

美穂「だから、こんな動きだってできるはずナリっ!」

肇の刀は空振りする。

慌てて前方に倒れようとする身体を止め、そのまま突きに転じようとする。

しかし、ほとんど体勢を変えずに移動したために、ひなたん星人の次の動作はあまりに早かった。

ひなたん星人の振り下ろしが頭上に迫っている事を察知して、

肇は攻撃に転じるのをやめ、その一撃を『桜花夜話』で受け止めることにした。

31 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:26:37.42 ID:tRrD29fbo [28/39]


『小春日和』の一撃が負のエネルギーを纏う。


しかし、それはこれまでの様にただ切れ味の向上のために、

刀身に力を纏わせただけではない。

刀身に流れる負のエネルギーの流れを操作し、渦巻く様に回転させる。


螺旋の流れは、蓄えられたその力を増幅し、

『小春日和』からは、これまでのどの一撃よりも、錬度の高い斬撃が放たれる。


美穂「くまモォオン!!」


カァアアン!!

肇「あっ!!」


螺旋の一撃を防ごうとした『桜花夜話』が、

その力に耐え切れずに、弾き飛ばされ、そして折れてしまった。


頭上に迫る一撃は、肇の頭に届くわずか数センチのところピタッと止まる。


美穂「・・・・・・。」

肇「・・・・・・。」


カツン、と

折られた『桜花夜話』の先端が、地面に落ちた。


美穂「・・・・・・ひなたん星人の大勝利ナリっ♪」

肇「ええ、参りました。」


わぁあ!と野次馬達から歓声が上がる。

パチパチパチパチ、と大きな拍手が沸いたのであった。

32 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:27:33.65 ID:tRrD29fbo [29/39]
――

――

――


それから野次馬達が帰ると、

『万年桜』の公園は普段と変わらない暖かな場所へと姿を戻す。

アレほど沸いた野次馬達も、肇が促すと素直に帰っていった。

何かの”鬼のまじない”を使ったのだろう。


美穂「ごめんなさいひなた、折るつもりは無かったナリ。」


少し頭を下げながら、先ほど拾った『桜花夜話』の先端を手渡すひなたん星人。


肇「いえ、あなたが謝ることじゃないですよ。」

肇「『桜花夜話』が折れてしまったのは、私の未熟さ故ですから。」

肇「・・・・・・まだまだ日本一には遠いですね、励まないと。」

『桜花夜話』を見つめて、決意するように呟く肇。


肇「まあそれに、ひなたん星人さんが何かを掴めたのなら」

肇「きっとこの子が折れたことも無駄にはなりません。」


美穂「うん、『小春日和』の特性は負のエネルギーを纏わせて、身体能力や切れ味を強化することじゃなくって。」

美穂「負のエネルギーを、自分の力として扱える人格を作り出すことが、その特性だったひなたっ☆」


ひなたん星人は自身の能力の真価について知った。

刀が集めた負のエネルギーを自在に操る技術。

負のエネルギーを肉体に纏わせ、強化するのも、刀身に纏わせ、切れ味を向上させるのも。

どちらもその技術の一部に過ぎなかった。

しかし、負のエネルギーを使って出来ることはそれだけではない。

負のエネルギーをうまく放出することで、体勢を変えないままに移動できる魔法の様な機動。

負のエネルギーをただ刀身に纏わせるだけでなく、螺旋を描くことで、さらなる攻撃力を得ること。

その様な事もできるのだと、知った。

それは確かな成長であった。

33 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:28:53.77 ID:tRrD29fbo [30/39]

肇「ひなたん星人さんの負のエネルギーを扱い方は、」

肇「私達、鬼や妖怪が”妖力”と呼ばれる力を扱うのに似ています。」

肇「『小春日和』はおじいちゃん・・・・・・祖父が作った刀だからでしょうね。」

美穂「私の前で、今更言いなおしても仕方ないひなた」

肇「こ、こほん!・・・・・・そう言うわけですので」

肇「扱い方を極めれば、きっと天狗の如き一足跳びや空中浮遊、なんかも出来るはずですよ。」

肇は負のエネルギーの扱い方のその先について語る。

美穂「・・・・・・もしかして、私が強くなる方法。戦う前からだいたいわかってたナリ?」

肇「ふふっ、おぼろげではありましたが」

美穂「最初から教えてくれれば、こんな事しなくて済んだひなたっ」

ひなたん星人の突っ込みはもっともだ。


肇「しかしそれでは、美穂さんの事も、ひなたん星人さんの事もわかりませんから。」

肇「模擬戦を通すことで、私達は心を合わせて対話していたんですよ。」

肇「『桜花夜話』と同じく、相手の事を知って理解するために。」

彼女の使う”鬼心伝心”も、妖刀『桜花夜話』の持つ特性も、

戦うための力と言う訳ではなく、相手の事を知って通じ合わせるための力であった。


肇「それに私の刀が、おじいちゃんの刀にどこまで通じるか試してもみたかったので」

美穂「ちゃっかりしてるひなた・・・・・・。」

34 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:30:09.46 ID:tRrD29fbo [31/39]

美穂「けれど、ありがとうナリ!」

ひなたん星人は微笑み、礼を言う。


美穂「肇ちゃんのおかげで力の使い方もわかって強くなれたひなたっ☆」

美穂「あ、そうナリ!」

彼女はその場でクルリと一回転して、

美穂「ひなたん☆ドレスチェンジ!」 シャピーン


肇「えっ」

急にキメポーズをする美穂の姿に驚く肇。

次の瞬間、美穂の衣装が変わる。

黒色を基調とし、フリフリしたアイドル系の衣装である。


美穂「負のエネルギーを形にして衣装を作ってみたナリ♪」

美穂「ずっと生身で戦ってたから、防御力の方に不安があったひなた」

美穂「けれど、これなら例えカースの攻撃に当たっても安心ひなたっ☆」

美穂「それにヒーローと言えばカワイイ衣装が基本ナリ♪」

美穂「元が負のエネルギーだから、黒色がメインになるのはちょっと残念だけどひなた」

ひなたん星人はご機嫌に語る。

対する肇は空いた口が塞がらなかった。

美穂「・・・・・・似合ってないひなた?」

肇の反応に心配そうに尋ねるひなたん星人。

肇「いえいえ!そんな事は!可愛いと思いますよ。」

美穂「えへへ、良かったナリ☆」

肇「ただ、既にそこまで使いこなすとは・・・・・・。」

美穂「一度やり方がわかってしまえば、このくらいは意外と簡単ナリ」

肇(才能なのかな、『小春日和』に選ばれるだけあって)

35 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:31:09.07 ID:tRrD29fbo [32/39]

美穂「さて!」

そして彼女は気合を入れた声で宣言する。

美穂「この勢いで!カピバラさん達を侵略しに行くなり!!」


今回のことで、ひなたん星人は強くなった。

新たに習得した力を使えば、彼らの逃げ足に追いつくことも

斬撃耐性だって貫くことも、できるかもしれない。

ならば今こそ、引導を渡す時!!


美穂「と、言いたいところだけどひなた」

ひなたん星人は衣装の変身を解き、『小春日和』を鞘に収めた。


美穂「流石に、刀のバッテリーが少なくなってきたナリ。」

美穂「しばらくはカース狩りに勤しむひなたっ☆」

ハンテーンや肇との戦闘では負のエネルギーを供給できず、

かつ、蓄えていたエネルギーも慣れていない使い方をしたのだ。

ほとんど枯渇していても仕方ない。

しばらくの間はカースを狩って、負のエネルギーを集める必要がある。

その間、ハンテーンたちへのリベンジはお預けであろう。

36 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:31:55.81 ID:tRrD29fbo [33/39]

美穂「肇ちゃんはこの後どうするひなた?」

肇「そうですね・・・・・・」

ひなたん星人に問われた肇は少し考えて、

肇「あっ、いい機会ですから少し試させて貰ってもいいですか?」

美穂「試すって?また何をするつもりナリ?」

肇「ふふっ、すぐにわかりますよ。」

肇「ひなたん星人さん、こちらを向いてください。」

美穂「?」

言われたとおり、ひなたん星人は肇に向き合う。


肇は両手を広げて、

パンッ

と、ひなたん星人の目の前で手拍子を打った。

美穂「っ?!」

少女は驚く。

美穂「えっ、あ、あの?急に?どう言う事?」

肇「ふむ、では改めて言わせてください。」


肇「はじめまして、”小日向美穂さん”。」

美穂「あ、は、はははじめましてっ!肇ちゃん!・・・・・・って、あれ、私・・・・・・?」


どうやら、反転状態であったひなたん星人の人格は引っ込み、

小日向美穂としての人格が戻ってきたようだ。

37 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:32:37.27 ID:tRrD29fbo [34/39]

肇「鬼のまじないの一つで、”鬼手快晴”と言います。」

肇「目の前で手拍子を打って、驚かせる事で一度相手の心を無にして」

肇「心の靄を晴らし、精神状態を回復させる、と言う術です。」

肇「ハンテーンによる反転状態に効くかはわかりませんでしたが、うまくいったみたいですね。」

美穂「鬼のまじないってそう言うのもあるんだね。」


美穂「でも・・・・・・、本当によかったぁ・・・・・・」

どこか安心したように、へたり込む美穂。


美穂「このまま、ずっとひなたん星人のまま過ごすことになるのかと思うと怖くて」


美穂「ああっ、で、でもどうしよう!!お父さんにもお母さんにもあの姿見られちゃってるしっ!」

美穂「学校はカピバラさん達の騒ぎがあったから、休みになったからいいけれどっ」

美穂「うぅぅ・・・・・・家族に顔を合わせるのも恥ずかしいよぉお」

美穂「と言うか、さっきも大勢の人に見られてたよね・・・・・あの中に学校の友達いたらどうしよぉ」

安心したのも束の間で、顔を抑えてうずくまるのであった。


パタリ

美穂「えっ?」


そんな時、急に肇が倒れた。

38 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:33:23.14 ID:tRrD29fbo [35/39]

美穂「は、肇ちゃん!?肇ちゃん!!」

美穂「大丈夫!?しっかりして!」


倒れた肇にすぐさま駆け寄る美穂。

美穂が肇ちゃんと呼ぶのは、ひなたん星人の時に親しげに会話した記憶が残っているからだろう。


肇「うっ・・・・・・お腹が。」

美穂「えっ、お腹が痛むの!?」

美穂「も、もしかしてさっき戦った時に、変に攻撃しちゃったからじゃあっ・・・・・・」

肇が倒れてしまったのは、自分が攻撃したせいなのかもしれない、と思った美穂。


肇「お腹が空きました・・・・・・」

美穂「・・・・・・えっ?」

しかし、そういう事では無かったようだ。


肇「少し妖力を使いすぎましたね・・・・・・」

”鬼心伝心”の常時発動によって、『小春日和』の技量に付いていくのは相当に負担が掛かる。

その上、『桜花夜話』もまた、肇の妖力を使ってその特性を発動する妖刀なのだから、

本人はおくびにも出さなかったが、大量の妖力を消費していたのだろう。

39 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:34:19.22 ID:tRrD29fbo [36/39]

肇「・・・・・ご飯を食べて、ちょっと眠らないと・・・・・・」

美穂「あの・・・・・・良かったら私の家で、ご飯食べる?」

美穂「私の家、ここからすぐだから、ね?」

肇「・・・・・・いいんですか?」

美穂「うん、もちろんだよ!肇ちゃんにはお世話になったし、」

美穂「こんなのじゃあ足りないかもしれないけど、お礼もかねてっ!」

肇「そんなことは・・・・・・ないですよ。」

肇「ありがたくいただかせてもらいます。」

美穂「うんっ♪」


そんな訳で美穂の家で、二人は遅めのお昼ご飯を食べて、お昼寝する事になりました。


おしまい。

40 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:34:46.63 ID:tRrD29fbo [37/39]

『小春日和』

『鬼神の七振り』の1本で、日本一、横暴な刀。
黒一色に三輪の菊が描かれた鞘には、見た目には地味でごく普通の刀が納まっている。
『傲慢』であるため、プライドが高く、所有者は『小春日和』自身が選ぶ。
所有者の中に新たな人格を作り上げる刀。
作り上げられた人格は、日本一の剣豪と同等の技術、
そして己の持つ負のエネルギーを自在に操る技術を発揮する。
刀によって作られた人格は、他の精神攻撃をシャットアウトできるのも特徴。
カースを斬れば斬るほど、刀に負のエネルギーが溜まる。
これにより、作られた人格が扱える負のエネルギーは増えるのでより強くなるが、
扱いきれない負のエネルギーは人格の暴走に繋がるので、浄化の鞘に収めないまま長時間の使用は望ましくない。


『桜花夜話』

肇が腰に携えた刀。
肇が打った、肇のための刀。
肇曰くごく普通の妖刀。ごく普通の妖刀って何だ。
『小春日和』に似せて作っており、鞘は黒一色に桜の花びらを散らしたデザイン。
カースの核こそ埋め込まれていないが、『鬼神の七振り』に負けないつもりで作り上げられた妖刀で、
負のエネルギーの代わりに、肇の持つ妖力を使ってその特性を発揮する。
対等に対話する刀。
打ち合う度に相手の力を覚え、学習し、花開くように錬度が上昇する特性を持つ。
対刀を想定した刀。
数撃打ち合えば、相手の力100%に対して100%の力で返す事が出来る。

41 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:35:14.81 ID:tRrD29fbo [38/39]

『妖術:鬼心伝心』

肇が習得している鬼のまじないの一つ。
自己暗示によって対象の技量をそのまま自分の技量にしてしまう術。
対象と同等の技術を発揮できるが、素の筋力や、魔術や妖術等の特殊な力まではコピーできない。
戦闘に使う場合は、相手の癖や弱点までコピーしてしまうため、
”自分自身の事をよく知っている者”が相手だと不利がついてしまう事に注意。


『妖術:鬼手快晴』

肇が習得している鬼のまじないの一つ。
対象の目の前で手拍子を叩き、混乱や催眠などの精神異常ステータスを解く術。
成功率はその精神に掛かっている術の強力さに依存する。


《鬼神の七振り》 …… さり気なく1本減って4本になってます、誰かの手に渡ったようです
《ハンテーンの毛の鎧》 …… 斬撃耐性マジ半端ないな
《模擬戦》 …… 模擬戦とか言って、バリバリ真剣使っての決闘なんですけど。通報はやめてあげてください。
《ひなたんみねうち》 …… 一応は不殺の一撃、いやでも普通にみねうちでも痛いよっ!
《負のエネルギー》 …… 人の負の感情から生まれる謎エネルギー。何せカースを形成してるエネルギーだから万能なんだよ。

42 名前: ◆6osdZ663So[sage saga] 投稿日:2013/07/27(土) 12:35:49.38 ID:tRrD29fbo [39/39]

◆方針
ひなたん星人 …… 『小春日和』の切れ味が上昇。魔法の様な動作が可能に。ドレス着用で防御力も上がりました。
藤原肇 …… この後は、妖術『鬼手回生』を使って、ハンテーンの催眠を解いて回るようです。
小日向美穂 …… せっかく回復したけど、『ひなたん星人』にしばらくカース狩りに連れまわされそうです。


ハンテーンにリベンジするぜ、みたいな流れだけど
目的はひなたん星人の強化でした、これからの戦いにひなたんが付いて行く為にも凄い斬撃だけじゃあね?

刀持ってる女の子同士のチャンバラはロマン
よ、妖刀同士だから問題なくできるんだよ!深く考えたらダメだよ!

 

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2019年03月18日 00:14