4スレ目>>570~>>577


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名前: ◆3Y/5nAqmZM[saga sage] 投稿日:2013/07/22(月) 15:36:50.03 ID:O3XfpYaDo [2/9]
小関麗奈は、後悔していた。慣れない事などするものではないと。


「……もういっぺん聞くわよ?アンタ、名前は?」

「こずえはー……こずえだよー?こずえはねー……おにんぎょうさんなのー……」

「お人形さん、って何よ……苗字は?」

「んー……みょうじー……?」

「……はぁ、もういいわ。で、アンタどっから来たの?」

「……こずえはねー……ここじゃないところからー……きたんだってー」

「……その『ここじゃないところ』がどこかって聞いてんのよ」

「ここじゃないところはー……ここじゃないところだよー……?」

「……だぁぁぁもう、埒が明かない!!」

学校帰りにたまたまその少女を見かけた。十歳にもならないだろうか、とても小柄なその少女は、あっちへふらふら、こっちへきょろきょろ、たった一人で歩き回っていた。

どこからどう見ても迷子の女の子、普段の麗奈ならば素通りしていただろう。だが、何故だかその日は、なんとなく声を掛けてやってもいいか、と思ってしまった。

しかし、何度聞いてみても「名前はこずえ」「ここじゃないところから来た」以外の情報がとんと出てこない。

小さな子供の相手をするのが得意ではない麗奈にしては粘った方だが、そろそろ限界を感じ始めていた。

「ハァ……もうとっとと交番連れて行こ。っていうか、最初からそうしてりゃ良かったのよ」

「こうばんー……?」

「オマワリが居る所よ。迷子の親捜し位ならやってくれるでしょ」

「んー……まいごー……?」

「なにきょとんとした顔してんのよ、アンタよアンタ」

「こずえー……?こずえ、まいごじゃないよー……?」

「迷子じゃない、って……じゃあアンタ、一人で何してたのよ?」

「んー……こずえねー……かくれんぼしてたのー……」

「かくれんぼ、って……」

あっちこっちふらふら歩きまわっていてかくれんぼも何もあるものか、とツッコミを入れようとした、その時である。

『クワセロォ……クワセロォォォォオ!!』

「っ、カース……ッ!?」

間の悪いことに、カースと出くわしてしまった。

(何だってこんな時にッ…!コイツの前で変身するワケにもいかないし……)

実際はルシファーが魔界へ連れ戻されたせいで麗奈は力を失っているのだが、当人はまだそのことに気づいていない。

どうにか隙を窺って逃げるか、癪に障るがヒーローの助けを待つしかないか。

「……やー、なの……」

逡巡する麗奈の手を、こずえがぎゅっと握った。

「……こっちきたら、いやなのー……!」

そして、こずえがそう声を上げた、次の瞬間。


「……えっ?」

麗奈とこずえの前から、カースの姿は消え去っていた。

いや、その表現は正確ではない。

「……ちょっと、どこよここ……?」

正しくは、『麗奈とこずえが、カースの前から姿を消した』のである。二人の周囲の景色は、先ほどまで立っていた場所とは全く別物になっていた。

「かくれんぼ、って、もしかしてさっきのカースから逃げてたってこと……?」

景色が切り替わる前、こずえは「こっちに来るな」とカースに言い放っていたはずだ。

「んー……ちがうよー?さっきの、うにょーってしたのはー……こっちきたらやなのー……」

「…………」

駄目だ、まるで意志の疎通ができない。子供ってこんなに話するの難しい相手だったっけ、と麗奈は頭を抱える。

「……じゃあー、こずえ、もういくねー……」

「え?あ、ちょっと……」

そう一言だけ残して、いつの間にか繋いだ手を離していたこずえは、ばいばい、と手を振りながらとことこ歩き去ってしまった。

色々な事が一度に起こりすぎて茫然としていた麗奈は、それを追うことも忘れてしばらくぽかんと立ち尽くしていた。

「……いや、ちょっと、マジで待ちなさい!結局ここはどこなのよッ!こら、戻ってこいこずえーッ!!」

しばらく周囲を歩きまわり、やっとこさ見つけた案内板を見てみれば二つ隣の町。

その日、麗奈が家に帰れたのはとっぷりと日の暮れた頃になってしまったトカ。

「で、まーだ見つかんないカンジ?」

「……申し訳ありません。監視体制は整えていたはずなのですが」

「いーよいーよ、世界一つヒョイっと飛び越えちゃうようなトンデモちゃん相手だし、そのうち逃げちゃうとは思ってたから」

「まるでその場から消滅したかのように魔力を検知できなくなった事を考えると、やはり別の世界へ転移したのでしょうか」

「そう見せかけてるだけじゃない?消えたワケじゃなくて一時的に隠したとか。そうやってこっちの目をくらますつもりなんだろーね。
ま、あんだけの膨大な魔力、そうそう長いこと隠しきれるもんでもないっしょ。別にこれからのことに必須ってワケでもないし、気長に探せばオッケーってことで」

「了解しました。隠蔽魔術の痕跡が無いかを中心に捜索してみます」

「ん、がーんばってねー」


「……まーでも、ここまで早く逃げられるとはねー。よっぽど無理やり起こされたのがぉこだったのかにゃー?」

「ま、どこまで行ったのかは知んないけどサ。ゆいから簡単に逃げられるとは思わない方がいいよー……」

 

 

「『妖精の秘宝』ちゃん♪」

 

 

 


こずえ(??)

属性:自立型マジックアイテム
能力:未知数(大部分は封印中)

唯/バアルによって強制的に覚醒させられた『妖精の秘宝』。彼女らに使われることを良しとせず、イルミナティから逃げ出してきた。
その際、捜索の目を撹乱させるために保有する魔力と能力の大部分を自ら封印した。現在使用できる能力は『傷の回復』と『テレポート』のみ。
強力な封印術を使用した反動で身体つきや思考能力が子供と同等になっており、自らを『おにんぎょうさん』と称する。