2スレ目>>861~>>864


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夜の街、ビルの合間を縫って飛び交う影二つ。

『ウォアアアアアアアアッッ!!』「っ・・・くっ、『隠密万華鏡』ッ!」

片や、人の負の感情の具現化した怪物、『嫉妬』を司るカース。手当たり次第に暴れまわり、周囲をなぎ払う。

片や、『成敗』と書かれた面頬で顔を隠し、ニンジャヒーロー『アヤカゲ』を名乗る忍びの少女、浜口あやめ。分身を作りだし、カースの攻撃をやり過ごす。

カースの猛攻を前に防戦一方を強いらているあやめだが、しかし決して相手に好き勝手を許しているわけではない。

攻撃を避けながらも確実に人通りの少ない場所へカースをおびき寄せ、相手の動きを観察し、隙を窺っているのだ。

(核の位置の見定めは済んでいる。次に隙を見せたとき、そこを突けばそれでお仕舞いです―――)

ひらりひらりと舞うが如く跳び回るあやめに、すでにカースの攻撃は掠めることすらできなくなっていた。

しかし、相手の属性は『嫉妬』。その見事な動きに、カースの攻撃はさらに苛烈さを増していく。

「っ、ふっ!!・・・やはり、『嫉妬』は一番やっかいですね・・・ッ!」

相対する相手が強ければ強いほど、自身と相手との力の差に自ら『嫉妬』の感情を生み出し、力を増していく。

『自らの糧となる感情を自ら賄う』という点において、これほど厄介なカースも存在しないだろう。


『オオオォォアアアアアアアァァァァァ・・・・・・ア、アッ!?』

「っ・・・ん?」

拳を思い切り振りかぶり、突きを放たんとカースが身構えた、その瞬間であった。『なんとも不自然なタイミングで』、カースが突如動きを止めたのだ。

(何でしょう?誰か他のヒーローの手助けか何か・・・?いえ、ともかく好機!ここで仕留めてしまえば・・・ッ)

一瞬訝しむあやめだが、すぐに気を取り直し、疾風の如きスピードでカースへと肉薄する。


―――身体能力に恵まれ、忍びの技を会得し、数多の悪と闘ってきたあやめだが、本来の彼女は中学生である。

―――そして幸か不幸か、彼女はこれまで、『それ』と相まみえた経験が、奇跡的に一切なかったのだ。


『―――ア、ヒ、ヒヒッ、ヒャハハハハハハハハハハッッ!!』

「・・・えっ、わ、ぁあぁっ!!?」

―――故に、彼女は対処法を知らない。どころか、自分が何をされたのかも、理解が一泊遅れてしまう。

突如カースの背中から出現した触手・・・本来、『色欲』の特性として発揮されるそれに、あやめは足を奪われ、宙吊りにされてしまった。


「っ、このっ、何、をッ!?」

それでも修羅場をくぐった事は数知れず、すぐさま手にした忍者刀で触手を切り落とさんとするあやめ。しかし、カースが刀を持つ手の自由を奪う方が一手早かった。

どんどんと数を増す触手に絡められ、あやめは逆さ吊りのまま手足の自由をすっかり奪われてしまう。

(こ、この体勢はマズいです・・・頭に、血がのぼっ、て・・・)

修行の成果か、平衡感覚こそ失わないあやめだったが、今はそれが余計に辛い。頭がくらくらして、意識が鈍る。

『ヒヒッ、ハッ、ヒャハハハハッ』

狂ったような嗤い声を上げながら、尚も触手を生み出し続けるカース。身体を這いずりまわる触手が、あやめの正体を隠す面頬をずり下げんと力を込めた。


「そぉおりゃぁあああああああああああああッ!!!」


―――その、瞬間だった。

何者かが、あやめに意識を向けすぎて、周囲への警戒が散漫になっていたカースを、背後から一刀両断する。


「・・・まだ幼い少女に、こんな変態ちっくで特殊すぎるプレイを強要するとは不届き千番!!そこに直れッ、アタシが直々に成敗してくれるわー!!」

『・・・いや、今しがた核ごとぶった斬っただろうが』

べしゃり、と地面に落下した(不幸中の幸いか、カースの触手が上手いことクッションになってくれた)あやめの目に映ったのは、ド派手な甲冑に陣羽織まで羽織り(何故かそこだけ西洋風の)大槍を掲げる少女と、漆黒の毛並みと妖しい光を放つ紅い目をした喋る馬の姿だった。


―――後に趣味の話で意気投合した彼女らは『戦国乱舞』なる名を名乗り、コンビで活動を始める。それにより松風、もといシャドウメアの気苦労が増すことになることは、この時の三人は知る由も無かった。

 

 

「うん、『カースに注ぎ込む』練習はこのくらいでいいかしら。・・・あの子でさえなければ、『嫉妬』と『色欲』の相性、悪くは無いのよね」


「さて、さっさと行かないと。すぐに倒してくれたお陰で足はつかないとはいえ、万が一バレたら相手するのも面倒だし」


「・・・ふふっ、もうすぐ。もうすぐで、調整も完璧になるわ。それまで、楽しみに待っててね、ベル・・・うふふっ♪」