2スレ目>>764~>>766


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京都。古来より霊的な力を多く有するが故に、それを狙う妖怪どもの暴れまわることの多い街。

『・・・ったく、えらく気前の良い歓迎会だなァ、えェ?』

「到着して早々に・・・いや、これも修練、そう考えましょう」

その外れに、両手に収まらない数の『鬼』の群れと対峙する少女が一人。

『相変わらずクッソ真面目だこって。そんなんだからいつまでたってもちんちくりんのまんまなんだよ』

「なっ、今背の話は関係ないでしょうが!!それに珠美はちびっこちゃうし!!」

この場に居る下級の鬼どもには、言葉を理解し操る程の知能を持つものはない。ならば、彼女は一体『何』と言葉を交わしているのか。


『ま、それに関する口論は後回しだわな。・・・オウ珠美、ちゃっちゃと片付けるぞ』

「・・・ですね。この程度で、『小早川のお嬢さま』の手を煩わせるのも忍びないです。一気に決めますよ、西蓮(さいれん)」

―――声は、少女の背に負われた『太刀』から発せられていた。


自身の体の半分以上の大きさの太刀を、事もなげに抜き放ち構えるは、妖怪退治屋『脇山家』八代目当主、珠美。

ぎらり、と刀身から妖しい輝きを放つ意志持つ刀は、かつて人の身にありて『鬼』と恐れられた武人の魂を宿す妖刀、西蓮といった。


はるばる九州より、このところ妖怪どもの活動の活発化した京都で修練を積むためにやって来た二人は。


「・・・ふっ!!」

『・・・何でぇ、京都の妖怪っつーのも大した事ァねぇんじゃねえか?』


一跳び、一振りで、殴りかかって来た数多の鬼を撫で切りにして見せた。

鬼たちは、自身が斬りつけられた事にも気付かないまま、妖気の塵となって消えていく。

『・・・・・・まァ、馬鹿じゃねェのも一匹いたみたいだがなァ』

ただ一匹、離れた場所に胡坐をかいて鎮座していた、10mはあろう群れの長を残して。

豆粒ほどの小娘風情、どれほどの物かと楽観視していた長であったが、瞬きする間に群れの鬼が尽く姿を消すのを見て考えを改めたらしい。

ずしん、と大地を揺るがす衝撃とともに立ち上がると、巨体に見合わぬ俊敏な動きで拳を珠美に叩きつけにかかる。

ぐらり、と立ち上がる際の地響きで体勢を傾いだ珠美に、この一撃を避けられようはずもない。群れの長たる自分にかかれば、『退治屋』とてこの程度よ。


「――――――えぇ、全く。大馬鹿者も居たものです」


そう呟く声が、長の頭上から降り注ぐ。

馬鹿な、と天を振り仰げば、曇天を背に大太刀を構え中空に躍り出る少女の姿。


『あァ、手前ェの腕を駆け上がられたことすら気付かねェたァよ。よくそれで群れの長なんぞ務まったモンだ』


重力という『至って常識的な力』を味方につけ、ぐんぐんと落下速度を増しながら『常識を超越した存在』たる鬼に肉薄する少女と大太刀。

ぐっ、と一層強い力で珠美が柄を握りなおし、大きく振りかぶると――――――


「『 ち ぇ す と ぉ ぉ ぉ ぉ ォ ォ ォ ォ ォ オ オ オ オ オ オ オ ッ ッ ッ ! ! ! 」』


裂帛の雄叫びと共に一閃、振り下ろす刃は、鬼の巨体を真っ二つに引き裂いた――――――


「―――やぁ、お手紙にあった以上の技の冴え、お見事です」

いつの間にやら、番傘を片手にその様子を見ていた紗枝は、思わずそう漏らした。

九州の退治屋の筆頭である脇山の家から手紙が届いたのは、一週間ほど前のこと。

『この度家督を次代に譲ることとなったが、未だ16の若輩ゆえ、京都で実践修行をさせたい。ついては、小早川の補佐役としてこき使ってやって欲しい』との内容に、紗枝は正直なところ助かった。

七大罪の悪魔が活発に行動しだした影響か―――京都に居る紗枝には知る由のないことではあったが―――京都でも妖怪の襲来が頻繁に起こるようになっていた。

一体一体は紗枝にとっては取るに足らない小物ばかりではあるが、あまりにも件数が多い。

たまにふらっと周子が遊びにきても、おちおちお茶のみ話もしていられないのだ。人手が増えれば、ある程度はそちらと分担することで少しは楽になるだろうか。

「これは、思った以上に上手いこと事が運ぶかもしれませんなぁ・・・」

『少し』どころではない。荒削りではあるが、そこそこの大物も任せて問題ないくらいの人材がやって来たようだった。

 

『・・・・・・おゥ珠美、いい加減立たねえか?さっきからそこでお嬢じーっとこっち見てンぞ』

「・・・ちゃ、着地の衝撃で、足が、痺れて・・・・・・・・・いたい」

「・・・・・・あらぁ」

『締まらねェなァオイ・・・』

・・・問題、ないだろうか。