2スレ目>>69~>>77


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黒猫に変化する少女…いや、少女に変化する黒猫と呼ぶのが正しいのか。
佐城雪美は夜の街を歩いていた。

本来、猫という生き物は夜行性なので何も不思議なことのようにはみえない。
だが、佐城雪美は望月家では人間の生活のサイクルに合わせて行動しているため、昼は活動し、夜はしっかりと睡眠をとる生活を送っていた。

しかし今日は大好きな彼女の歌を聴いて早くに眠りについてしまった為に、真夜中にふと目が覚めてしまった。
静寂。
そこには、大好きな彼女の姿。
望月聖の姿が無かった。

雪美「(聖……どこ……?)」

雪美「(そばに……いないとダメ……)」

雪美「(……離れないで)」

佐城雪美はいなくなってしまった望月聖を求め、当ても無くさまよい歩き続けていた。
けれども自分が当ても無く歩いていても、聖はきっと見つけてくれる。
そう信じて佐城雪美は歩き続ける。


―――しかし


「―――あらぁ♪可愛い子猫ちゃん♪」

雪美「……!」

彼女を見つけたのは、求めていたものとは違う…受け入れがたい存在だった。

雪菜「って、よく見たらぁ…」

雪菜「うふふ♪雪美ちゃんじゃなぁい♪」

雪美「……ルシ…ファー……!」

雪菜「うふ…私の声だけでわかってくれるなんて嬉しいなぁ♪」

雪菜「姿と形は別物なのに♪」

雪菜「でも、今の私は井村雪菜って名前なの♪」

雪菜「って言っても…その井村雪菜ちゃんの精神は完全に乗っ取っちゃってますけどっ♪」

「ルシファー」と呼ばれ、そして自らを「井村雪菜」と名乗る少女はクスクスと笑う。

雪美「……相変わらず…ふざけている……」

雪美「本当に……乗っ取っている……限らない……」

雪菜「それはそうねぇ♪」

雪菜「私の能力なら、メイク一つで顔も形も…」

雪菜「必要なら声だって…性質全てを思いのままに変えられるしね」

雪美「……」

雪美「……あなたに……用無い……」

雪美「…私……行かなきゃ……」

雪菜「…つれないわねぇ」

雪菜「もっとこう、感動の再会にはならないのぉ?」

雪菜「私たち…」

雪菜「―――「傲慢の大罪」を司る仲魔じゃない♪」

雪美「……っ」

「傲慢の大罪」

その言葉が雪美の顔を歪める。

雪美「……私は……」

雪菜「それともなぁに?」

雪菜「もしかしてあの天使様に毒されちゃったの?」

雪菜「…って、まさかそんなことないよねぇ♪」

雪美「……ルシファー」

雪菜「ん?なぁに?」

雪美「…私……人間を……傷つけるつもり…ない…」

雪美「……あなたと私……繋がってない……」

雪美「今は……聖と……繋がっている……」

雪美「……私に……関わらないで……」

雪菜「……」

雪菜「…うふ。そっかぁ…」

雪菜「あ~あ…雪美ちゃんに裏切られちゃった…」

そう言いながら「井村雪菜」は手のひらに上に黄色の物質を形成する。

雪菜「―――カースを生み出す作業、一人でやるの大変なんだよぉ?」

雪美「……なら……そんな核……作らない……」

雪菜「正論ね♪」

雪菜「でも、それは出来ない相談なの♪」

雪菜「―――それとも、力づくで止めてみる?」

雪菜「そのために、あの天使様と一緒にいるんでしょう?」

「井村雪菜」から不敵な笑みこぼれる。
その笑みは「傲慢」を司る「悪魔ルシファー」の余裕にも見える。

雪美「……わかった……」

雪美「……今……止める……」

雪美「……!!」

刹那、佐城雪美という少女の小さな肉体が異形に変化する。
鋭い鉤爪、巨大な翼。
鷲の頭にライオンの下半身。
普段の愛らしい黒猫の姿とは遠くかけ離れた姿がそこにはあった。

グリフォン(雪美)「…aaaaaaaaaaa!!!」

雪菜「うそぉ!?ホントにやる気なのぉ!?」

雪菜「それってつまり私と戦って勝つ自信があるってことなのぉ?」

しかし、その変わり果てた姿を前にしても「井村雪菜」は雪美相手におどけてみせる。

雪菜「……」

雪菜「…うふ♪」

雪菜「貴女もやっぱり「傲慢」を司ってるだけあるわ♪」

雪菜「良いわ…そのプライドがどれほどのものなのか…」

雪菜「試してみましょうかっ!!」

グリフォン(雪美)「aaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

「―――雪美……ダメ…」

グリフォン(雪美)「……!!」

雪菜「…!」

雪菜「…タイミング悪いわね」

二つの力の衝突。
それは望月聖の柔らかな声と共に未遂となって消えた。

グリフォン(雪美)「…aaa」

聖「……」

変わり果てた雪美の姿。
しかし聖はいつもと変わらない優しい口調で彼女を宥める。

聖「雪美…それは…あなたの姿じゃない……」

聖「良い子だから…戻りましょう……?」

グリフォン(雪美)「……」

聖がそう言い終わると同時に雪美の身体を光が包み込んだかと思うと

雪美「……聖」

次の瞬間には異形の存在は消え、そして聖を不安そうに見つめる小さな少女の姿があった。

聖「……」

そんな雪美に対して、聖は柔らかく微笑む。

その微笑みを見た雪美も安心したように微笑み返す。

雪菜「…スポットライト、こっちにも当ててよね」

聖「…!」

雪菜「それとも天使様は視界が狭くていらっしゃるのかしら?」

自分が無視されてることに若干の憤りを感じたのか「井村雪菜」は嫌味ったらしく、そう発言する。

聖「……ルシファー」

雪菜「うふ♪人間界では「井村雪菜」って名前なんですよっ♪」

雪菜「この顔と身体、可愛いでしょう?」

聖「……」

聖「…今ここで、あなたと争うつもりは無い……」

雪菜「…雪美ちゃんといい、あなたといい、もう少し会話を楽しむ気はないの?」

「井村雪菜」はわざとらしく、頬を膨らませ抗議する。

雪菜「まぁ、私も無駄に争う気はないわ」

雪菜「疲れるだけですもの♪」

雪菜「それに私の核が生み出すカースは基本的に人間を襲ったりはしないし、今すぐに決着をつける必要も無いわよねぇ」

雪菜「ねぇ、雪美ちゃん?」

雪美「…!」

聖「ルシファー」

雪菜「…なにかしら?」

聖「いつかは…争う時は来る…」

聖「そして、今後雪美を挑発することがあるようなら…」

聖「その時は…容赦しない…」

雪美「……聖」

雪菜「うふ…怖い怖い♪」

雪菜「……また会いましょう。雪美ちゃん、天使様」

そう言い残し、「井村雪菜」こと「ルシファー」はその場から瞬間的に姿を消した。

雪美「…聖」

聖「…雪美」

聖「…帰りましょう」

雪美「……うん」

雪美「……」

雪美「…聖……ばか……」

聖「えっ…?」

雪美「……どこ……行ってたの……?」

聖「…夜のお散歩……」

雪美「……」

雪美「…私たち…いつも…一緒……」

雪美「離れたら……ばか……」

聖「…ごめんなさい」

聖「もう…一人にしないから……」

雪美「………約束……」

聖「…うん」

聖「(…もう、一人にはさせない…)」