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「ふぁーあ、もぉそんなに暇じゃないんけどなぁ。
 そもそも手打ちするぐらいなら最初っから抗争すんなっつーの。ねぇ舞美ちゃん」

モー商とスマ高の手打ちの立ち会いからの帰り道。
嗣永桃子が自慢のももち結びを弄りながらぷりぷりと怒っている
しかし、矢島舞美はその愚痴に付き合わず爽やかな笑顔で答えた

「助けを求めてくる人が居たら手を差し伸べるのは当然でしょ?でもさぁもも・・・」
「んっ?」

嗣永がクリッとわざとわしく目を見開いて矢島を見る

「ももは何であんなに早く来れたわけ?私はたまたま近くでランニングしてたんだけど。ベリ工って結構遠いよね?」

その言葉に、嗣永は唇の端を歪めてニヤリ、と笑った

「へぇ、たまたまランニングねぇ・・・『争いあるところにキュー学の矢島現れる』って最近噂になってるけど」

一瞬の沈黙の後、嗣永と矢島は顔を見合わせてまた爽やかに笑った

「ももから見て今のモー商どう思った?」
「おっ、舞美ちゃんがそんな話するなんて珍しいねぇ・・・これは真面目に答えた方がいいかな」

キョロキョロ、とわざとらしく周囲を見回した後、嗣永が矢島の耳に口を近付ける

「ちょっともも、誰も聞いてないってこんなところで!」
「いや、誰が見てるかわかったもんじゃないって・・・で、モー商だけどね・・・」

またまたわざとらしく嗣永がひそひそ声にトーンを切り替えた

「弱くなったな・・・って。スマ高に手こずってるってどういうこと?って感じ」

ふぅ、と矢島が溜息をついた

「やっぱりずっと見てたんだねももは。譜久村ちゃんの電話がある前から・・・」
「まぁこの辺じゃ久々の祭だったから。見とかないと損でしょ?興味あるじゃん」

開き直った嗣永が口を尖らせてなんともいえない困り顔をする
しかし矢島はそれを完全スル―して真顔で答える

「もも、隠しても無駄よ。単なる興味でももはわざわざ見に来たりはしない」

今度は嗣永がふぅ、と溜息をついて真顔になった

「いや、単なる興味だよ。もぉ個人としてのね」
「信じていいの?」

矢島が真正面からじっと嗣永の目を見つめる
・・・嗣永は矢島のこの澄んだ瞳が昔から苦手だ。目を逸らしながら答える

「今更モー商なんてどうでもいいって。獲っても価値無い。ただ・・・」
「ただ?」

嗣永と矢島の間をひゅ~、と寒い風が駆け抜けた。もう日が落ちかけている

「みや達がモー商の現状知ったらどうなるかなぁ~、って」

ガッ!矢島が動いた・・・しかし嗣永の肩を掴もうとした手はするっ、と空振りする
嗣永はふわり、と身体を浮かせて既に民家の塀の上に立っていた

「もも!みや達に話すの?モー商のこと」

塀の上をすいすいと走る嗣永、塀の下を並走して追う矢島

「ん~、どうだろうね?でもさぁ舞美ちゃん・・・」

急に嗣永が立ち止まり、塀の上から矢島を見下ろした

「余所のこと気にするより自分の足元気にした方がいいんじゃないかな?」
「もも、それどういう意味!?」
「さぁね。でもとにかく気を付けた方がいいよ~、じゃあね、舞美ちゃん!」

そう言い放つと、嗣永は民家の塀の内側に身を躍らせた

「ちょ!もも!」

どでーん!と嗣永が尻餅を突く音
ワンワンワンワンッ!おそらく庭に居た民家の飼い犬が激しく吠えたてる
パチンパチンパチン、民家の灯りが点った。ガラガラッ!サッシの開く音

「きゃ~!」
「一体何事かね!」
「助けてください~!筋肉ムキムキの変な女に追われているんですぅ」
「変な女!?キミが変な女ではないのかね?」
「ちょ!失礼ね!おじさん波浪区のアイドルももちを知らないの?」
「人の家に勝手に入るキミが失礼だろう!母さん!警察だ!警察を呼んでくれ!あっ、こら待て!」

・・・舞美は民家の入り口に回ったが嗣永は出てこない

ドシンバタン!キャ~ッ!

その奥の民家からまた騒ぎの声が聞こえた
もも・・・喧嘩や抗争はともかく市民の皆さんに迷惑をかけるのはやめなよ・・・
民家を突きぬけて転々とする嗣永をこれ以上追うわけにもいかず、矢島舞美は自宅への帰路へ着いた

(足元に気をつけろ?・・・何だろう?)

矢島舞美には嗣永の言葉の意味が全く理解出来ていなかった。
なぜなら舞美はTeam℃-uteの、キュー学の結束を固く信じていたから。しかし・・・