3スレ目・その2

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<dl style="padding-top:10px;"><dt id="a221"><span class="resnum">221</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY<span class="namenum">2</span>y<span class="namenum">1</span>UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:06:45.01<span class="id">ID:NljtLaCR0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ユズvsルシファー投下します</dd> <dt id="a222"><span class="resnum">222</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:07:28.50 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 今日も街は霧に覆われている。たった一人の少女を隠すために。<br /><br /> 「姫様、アタシちょっと出かけてきますね。」<br /><br /> 「ほう、どこに行こうというのだ?」<br /><br /> 「…えっと、知り合いの魔法使いに会いに…」<br /><br /> 「我も行くぞ!」<br /><br /> 「えー…」<br /><br /> ブリュンヒルデの起こす魔の霧のおかげで、ユズはある程度自由に行動できるようになった。<br /><br /> 例えば誰だか知らないがカメラを持った男は同じ道をずっとグルグル歩き、ユズが近づくとユズが視界に入らないように動き、別の場所をグルグル歩く。<br /><br /> 傍から見れば滑稽だが、本人は大まじめにユズを探しているようだ。<br /><br /> こうなってしまえばユズから会おうと思わない限り二度と彼とユズは出会えない。<br /><br /> 「あら、柚ちゃんお出かけ?最近霧が濃いから車には気を付けてねー!昼子も!」<br /><br /> 「はーい!」<br /><br /> 「わかっておる!」<br /><br /> 昼子の洗脳により、神崎蘭子の両親には彼女は喜多見柚という、『両親が海外に出張している親戚の少女』と認識されている。<br /><br /> (正直申し訳ないんだけどね…食費とか食費とか…)</dd> <dt id="a223">223 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:08:29.81 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 数日後、とある市街地で、二つのテレビ局が今まさに生放送を始めようとしてた。<br /><br /> 「ディレクター!本当にここにあの死神が来るんですかー!?」<br /><br /> 「サクライP様直々に教えてくださった情報だぞ!疑うな!理由は知らんがその死神の悪行映しているだけでボーナスもらえるんだぞ!」<br /><br /> 財閥の息のかかったテレビ局。それらにもたらされた情報は、『死神の今までの行動パターンから推測される出現位置』。<br /><br /> それが真実かはともかく、その二つのテレビ局が丁度持っていた生放送のニュース番組でその辺りに取材を申し込んでいた。<br /><br /> 「死神が来なくても普段通りにやればいいんだ。何も考えることはない!」<br /><br /> そこに、笑い声が降り注いだ。<br /><br /> 「あはは♪人間共!死神ユズちゃんだよー!」<br /><br /> 黒いコートに大きな鎌。カースを従えた恐怖の死神だ。<br /><br /> 「来たぞ!」<br /><br /> 逃げながらカメラが死神を映し出す。その映像はすぐに生放送として放送される。<br /><br /> 死神ユズの悪行を、全国に届けているのだ。<br /><br /> すぐさま他のテレビ局、新聞会社も映像を、写真を一瞬でも撮ろうと集ってくる。<br /><br /> 「まて!」<br /><br /> 不意に、別の声が響き渡った。そして不思議なことが起きる。<br /><br /> 死神に従う様に動いていたカースが消滅したのだ。<br /><br /> 黒いコートに綺麗な水晶のついた杖に跨った姿。魔力から生まれたカースを魔力を奪うことで消滅させた…もう一人の死神ユズだ。</dd> <dt id="a224">224 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:09:04.95 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…あれあれー?ユズがもう一人いるぞー?」<br /><br /> 「やっとアンタを倒すことができるよ…ね、偽物サン?」<br /><br /> ルシファーが化けたユズはふざけた態度をとりながらも鎌を構え、本物のユズは決して鎌を構えず、杖から降りるとそのまま杖を構えた。<br /><br /> 「やっぱり、偽物サンは杖が使えないみたいだね!」<br /><br /> ユズがルシファーを馬鹿にするように杖を振りかざす。たちまちルシファーの周囲の魔力が遮断されてしまった。<br /><br /> …ルシファーは、鎌や杖をバッヂから元の姿に戻すことはできる。そこまではユズの性質だからだ。<br /><br /> しかし、持ち主を選ぶ杖のようなものは、性質で選んでいるわけではない。魂で選んでいるのだ。<br /><br /> だからこそ、大罪の悪魔たちが人間に取りついてもその道具を使えるわけで。<br /><br /> 簡単に言えば杖を出しても消滅してしまうのだ。<br /><br /> …つまり今のルシファーは劣化版ユズなのである。</dd> <dt id="a225">225 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:09:34.84 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 様々なカメラが彼女達を映す。ここで変身を解けば強欲の彼女の作戦は狂ってしまう。それにここならヒーローはともかくGDFのような部隊は来れないはずだ。<br /><br /> つまり、戦火に紛れて本物に罪を擦り付けることも困難、杖に跨ってスピードの上がった彼女から逃げることも困難な訳で。<br /><br /> ルシファーに残された選択肢は一つしかない。このままユズの姿で勝つことだ。<br /><br /> 『『雷よ、大いなる我が力に従い、その音を置き去りにして走るその身をもって我が敵の生命に終止符を打て!』』<br /><br /> 二人の魔術がぶつかり合う。しかし、魔力を遮断されてはそこまでの威力は出ない。カースを生み出し、打ち消しきれなかった雷を受けた。<br /><br /> 「ぷち、ゴー!」<br /><br /> 「みー!」<br /><br /> 魔法陣から一体の使い魔が飛び出し、風に乗ってカースの核を破壊してゆく。<br /><br /> それと同時にその風がルシファーを打ち上げた。</dd> <dt id="a226">226 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:10:33.93 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 下から杖に魔力で構成された刃で作られた鎌でユズが追撃してくる。<br /><br /> 「…自分の力を甘く見たね…!」<br /><br /> しかし、ルシファーが魔法の風で体制を変え地面に向かって加速させる。<br /><br /> 鎌を振りかぶってユズを迎え撃つ。杖を鎌で弾くと、そのまま重力に身を任せて押し倒すように地面へ叩き付けた。<br /><br /> あんな高度からあんな速度で叩き付けられたのだ。死んではいないだろうが、無事でいるはずがない。<br /><br /> 「トドメだよ、『偽物サン』♪」<br /><br /> ルシファーは笑顔のまま、気絶したユズの心臓に向かって鎌を振り下ろした。</dd> <dt id="a227">227 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:11:00.73 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> パリン</dd> <dt id="a228">228 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:11:38.08 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 何かの砕けるような音。もちろんルシファーの想像していた生々しい感触とはかけ離れた物。<br /><br /> それがクリスタルの砕けた音と判断したのは、暴風というのも生ぬるい程の風が襲い掛かってからだった。<br /><br /> …使い魔の核となっているクリスタルは魔術が刻まれた物だ。そもそも魔力そのものであるクリスタルを制御する為に人格を与えたに過ぎない。<br /><br /> クリスタルは圧縮された魔力。砕けたり、管理人以外が触れれば魔力はもちろん解放される。<br /><br /> それが何も刻まれていない物ならいい。しかし、使い魔のそれの場合、刻まれた魔術が魔力と反応し、初級、中級、上級、応用、発展…全てが同時に発生する。破壊した対象に向かって。<br /><br /> その結果がこの空中に投げ出されたルシファーなのだ。<br /><br /> 「いつの、まに…!」<br /><br /> もちろん、使い魔と入れ替わっていると錯覚させるほど、ユズは幻術魔術が得意ではない。<br /><br /> なら誰が?</dd> <dt id="a229">229 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:12:18.38 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「二人とも、いくよー!」<br /><br /> 「「「合唱魔術・三角陣形結界の発動を宣言する!」」」<br /><br /> 空中でルシファーを囲むように3人の少女が宙に浮かんでいた。<br /><br /> 一人はユズ。一人は悪姫ブリュンヒルデ、そして魔法使いイヴ。<br /><br /> 正義のヒーロー側の魔法使いと、悪を名乗ってはいるものの、悪行は犯したことがなく、人々を何度か救っている少女。彼女達と悪のはずの死神少女が同時に仲良く魔法を使っている。<br /><br /> …この光景はどう人々の目に映るだろうか?<br /><br /> 『空間の管理者よ、我が魔力を生贄に我が敵の自由を奪え!ロックドサイン!』<br /><br /> 完全に自由を奪われたルシファーはユズがこちらに高速で飛び掛かり、杖で作られた鎌が振り下ろされる光景を瞬きすら許されずに見せつけられた。<br /><br /> 悪魔から解放された雪菜は元の姿へ戻り、地に落下するが、イヴの召喚したブリッツェンによってキャッチされた。</dd> <dt id="a230">230 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:12:46.90 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「おい!カメラ止めろ!死神の善行なんて映すな!サクライPの意向と違う!」<br /><br /> 「ディレクター!あの死神ちゃん、いい子じゃないですか!」<br /><br /> 「いいから止めろ!生放送だぞ!」<br /><br /> しかし、他のテレビ局、新聞会社は地面に降り立った3人に詰め寄るように駆け寄っていく。<br /><br /> 「…あ、アタシ、もう免罪じゃないんだぁ…!」<br /><br /> ぼろぼろと涙を流して喜ぶその姿は、二つのテレビ局以外の全てのテレビ局、新聞で公開された。</dd> <dt id="a231">231 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:14:00.37 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> …さて、今まで例のなかった免罪事件。アイドルヒーロー同盟、GDF等はすぐに彼女に謝罪し、慰謝料を払った。<br /><br /> 各情報機関からは彼女の情報が公開され、『彼女は喜多見柚という魔法使いの少女。悪行を働いていたのは彼女に化けた怪人の仕業だった。』と報道される事となる。<br /><br /> …しかし、とあるテレビ局の生放送で、聞き取りづらいものの、とある音声が拾われた。<br /><br /> 「カメラ…ろ!死神…善行…映すな!サクライ…違う!」<br /><br /> この音声はネット上で話題となり、さらには『同時生中継の比較してみたら悪意ありすぎワロタw』、『電凸してみたけど話にならない件についてw』などの動画で評判は悪くなってゆく。<br /><br /> 消されても消されても動画は上がり続けた。そして消され続けるということがさらに評判を悪くする。<br /><br /> さらには最初に彼女の映像を公開した2つのテレビ局が、櫻井財閥がスポンサーをしているという共通点を持っており、『櫻井財閥黒幕説』等も流れ始めた。<br /><br /> 『櫻井財閥の気持ち悪い程の金持ちっぷりは悪魔と契約しているから』<br /> 『あんなにカワイイ柚ちゃんを陥れたのは、社長がもうすでに寿命を迎えているのに無理やり生きているから死神を恐れた結果』<br /> 『失望しました柚ちゃんのファンになるので櫻井財閥のファン止めます』<br /><br /> 様々な情報が行きかうが、共通しているのは財閥への不信感。<br /><br /> 『アイドルヒーロー同盟や、GDFが誤情報の提供を詐欺として訴えようとしている』<br /> 『マジかよ財閥のいいところって娘が可愛いロリってとこだけじゃん…』<br /> 『鬼!悪魔!サクライ!』<br /><br /> 根も葉もない情報もあるが、どれもこれも財閥をマイナスへ陥れてゆく。<br /><br /> …少しずつ、しかし確実に財閥は威厳を失いつつある。「あの日」のように。</dd> <dt id="a232">232 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:14:38.05 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">「…よかったぁ…」<br /><br /> 「まさかあそこで泣くとは…引きこもるほどショックを受けていただけはあるな…」<br /><br /> 「それはもう止めてください…イヴさんもありがとう。魔術とかの手伝いしてくれて。」<br /><br /> 「あそこまでなったのは私の責任でもありますし、汚名挽回のお手伝いができてよかったです~♪」<br /><br /> 「…ん?汚名返上ではないのか?」<br /><br /> 「あら~?」<br /><br /> イヴの事務所で3人が考えた計画は、彼女達の想像以上に上手くいっていた。<br /><br /> 「…ところで、保護したこの子はどうしよう…?」<br /><br /> ソファに横になっている雪菜を見てユズが呟く。<br /><br /> 「我が家で引き取るわけにもいかんしな…」<br /><br /> 「なら、しばらくこちらで引き取りますよ~目が覚めた後のアフターケアもお任せ下さい♪」<br /><br /> 「え?いいの?」<br /><br /> 「さすがにテレビに映ってしまってるし、この子に悪い評判が付きまとわないともかぎりませんしね~一人くらい匿えるはずですよ♪」<br /><br /> こうして、雪菜は一時的にイヴ非日常相談事務所に匿われることとなった。</dd> <dt id="a233">233 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:15:39.68 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> もちろん、ルシファーの魂は魔界へ持ち帰られ、キヨラによる裁きを受けた。<br /><br /> 「貴方には『堕天した罪』『契約・許可無しで人間界に滞在した罪』『カースを生み出した罪』『契約していない人間に憑依した罪』『契約していない・指定されていない人間の評価を変えた罪』『身の程知らずの罪』等がありますね…ざっと数十世紀は働いてもらいますよ♪」<br /><br /> 力を失い、魂の醜い怪物の姿のルシファーを閉じ込めた箱を持ち上げて、笑顔でキヨラは去って行った。<br /><br /> 「…ユズ、連絡が入った。ベルゼブブの討伐依頼は解除だ。あいつは悪行を犯していない。他の召喚された魔族と同様に扱っていいぞ。」<br /><br /> 「了解しました!あとは嫉妬・色欲・強欲って訳ですね!」<br /><br /> 仕事が一つ減って嬉しそうな笑顔を見せる。<br /><br /> そしてそのまま再び人間界へと飛び立った。</dd> <dt id="a234"><span class="resnum">234</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:16:17.17 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そういえば慰謝料はすべて神崎家へ渡しておいた。<br /><br /> 膨大な量ではあったが…変化と言えば最新式のテレビとおかずが一品増えたことぐらいだろうか。<br /><br /> 平和だ。ユズは幸せを噛みしめた。</dd> <dt id="a235">235 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:18:22.25 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です<br /> …レイナサマ関連で不味ければ数週間後の話ということで…<br /><br /> 最近ちゃまをどうやって絶望させるかしか浮かばなくて困る…<br /> 偏見報道ヨクナイよね!先にやって来たのはそっちだからね!と言い訳を並べてはおこうかなーって(目逸らし)</dd> <dt id="a239"><span class="resnum">239</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:41:32.97 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">短いのを投下</dd> <dt id="a240"><span class="resnum">240</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:42:20.56 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ――――――――――<br /><br /> 『なんということだ……』<br /><br /> 張り詰めたウサミン星人の声に、リンも内心で頷いた。いや、テクノロジストの彼女でなくとも、<br /> 地上の惨劇を目の当たりにすれば彼と同じ思いに至るに違いない。<br /><br /> 化学防護服のブーツ越しに踏みしめた大地は、アンダーワールドのそれとさして違いはないように思える。<br /> だが、この視界いっぱいに広がる荒野にかつて街があったと言われて、それを信じる人間はどれくらい<br /> いるのだろうか。<br /><br /> 空前の規模のカースの大量発生と、それに端を発する史上最大規模の戦闘。<br /> 平和な地方都市を一昼夜にして修羅場とした事件を収束させたのは、たった一発の爆弾によるものだった。<br /> カースの坩堝と化した街へ投下された一発の爆弾が、実に480平方キロメートルを一瞬にして焼き尽くし、<br /> 街に存在するすべてを灰燼に帰したのだ。<br /> その街は地図から消え、惨禍の跡には巨大なクレーターが残るのみである。<br /><br /> 幸い、公式発表では死者・行方不明者はゼロであったが、それはあくまで地上人のことを指して<br /> 言っているのであって、アンダーワールド人や異星人などの異邦人が含まれているものではない。<br /><br /> 地上のあちこちでスカベンジングを行っているアコは無事だろうか――そう考えて、リンは唇を噛んだ。<br /><br /> 『……沙織を連れてこなくてよかった。この惨状を見れば、ショックを受けるのは間違いないだろう』</dd> <dt id="a241">241 :<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:44:33.01 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 防護服に内蔵された通信機から、ウサミン星人の声が響いた。<br /><br /> あのアウトレイジの女に襲われて以来、彼は『歌姫』の身の安全を最優先にしている。<br /> テレポーターは個人認証システムを更新して自分達以外の生体データを検出したら自動で停止するようにし、<br /> 歌姫には綺麗な指輪やイヤリング型の発信機を手渡して顔を赤くさせたりしていた。<br /> すっぴんの歌姫――奥山沙織は世間ずれしていない田舎娘そのもので、彼女を見出したウサミン星人には<br /> スカウトなりプロデューサーなりの才能があるに違いないと、リンは密かに思っていた。<br /><br /> それでいて、どうせなら宇宙船で寝泊まりさせてはどうかと言うと、この生真面目なウサミン星人は<br /> 底堅い声音で「彼女には彼女の生活がある。必要以上に束縛することはできない」と答えるのだ。<br /> 現に今、新型爆弾の投下跡を偵察しに来るときも、歌姫は彼女の下宿のアパートに残してある。<br /><br /> ひょっとして、種族の違いさえなければ結構いい男なのではないか……とリンはほんの少しだけ考える。<br /> とはいえ、頭にウサミミを屹立させた大男の恋人役は遠慮しておきたいところだ。<br /><br /> 『有害物質は今のところ検出されていないが……しかし、正気の沙汰とは思えんな』<br /><br /> 「街をひとつ消し飛ばすなんてね……でも、丸っきり意味のないことでもないんじゃない?」<br /><br /> 『というと?』<br /><br /> 「これってつまり、カースの駆除と、侵略者に対する牽制をいっぺんにやったってことでしょ」</dd> <dt id="a242">242 :<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:45:35.26 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> いみじくもリンが指摘するように、GDF上層部の狙いはまさにそこにあった。<br /> 強大な軍事力を誇示することで、異星人、魔界、アンダーワールドへの抑止力とする意図があった。<br /> 簡単に言ってしまえば、核抑止論の延長にすぎない理屈だ。<br /> Mutual Assured Destruction――相互確証破壊などは、おそらく最もよく知られた核抑止論であろう。<br /><br /> 「やったらやりかえせ」を徹底し、「やったらやられる」という恐怖でもってお互いを束縛し、<br /> 戦争の勃発と大量破壊兵器の使用を抑止する。それが抑止論だ。<br /> そして相互確証破壊とは、仮に先制攻撃で相手に打撃を与えることができても、生残戦力による<br /> 報復攻撃によって大きな存在を被り、結果として双方が必ず破滅するという状況を作り、開戦を躊躇わせる<br /> ドクトリンである。<br /><br /> 核兵器を新型爆弾に入れ替えただけで、思想の根っこの部分は何ら変わるところはない。<br /> それはまるで、ほんの半世紀では人間の心性は変わりようがないのだと語っているようだ。<br /><br /> 「地上人がこれだけの兵器を持っているって知ったら、地上を攻めようって気は削がれると思う。<br />  少なくとも、私はそう思うな」<br /><br /> 『……それはどうかな』<br /><br /> リンはそう考えたのだが、ウサミン星人の見解は異なっていた。<br /><br /> 『地球人が超兵器の存在を誇示したことで、侵略者がより強力な兵器を作って対抗しないという保証はない。<br />  それに君の言う抑止の考え方が妥当性を持つには、ある前提がある』<br /><br /> 「前提?」<br /><br /> 『当事者双方が理性的判断に基づいて行動するという前提だ。<br />  地上で起こる紛争の原因は領土や資源の獲得だけでなく、民族的宗教的対立に根差すものもある』</dd> <dt id="a243">243 :<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:47:13.10 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「突発的な感情で意思決定する可能性もあるってこと?」<br /><br /> 『そうだ。そういった場合、しばしば非理性的な決定がなされる。<br />  恐怖に尻込みせず、報復を恐れない相手には、抑止論は意味を成さない』<br /><br /> ウサミン星人が語る内容に、リンは胸中に突き刺さった棘を自覚せずにはいられなかった。<br /> 自分だって、好奇心の求めるままに宇宙船に忍び込むのを非理性的だと言われれば返す言葉もない。<br /><br /> 「……地上人もアンダーワールド人も、そんなにバカだとは思いたくないよね」<br /><br /> と、苦し紛れに珍しく殊勝な態度を取って見せると、ウサミン星人は寂寥を感じさせる声を絞り出した。<br /><br /> 『地球人を信じたい気持ちは、私も同じだ』<br /><br /> 信じたい、という表現に、リンは彼の心情の複雑さを垣間見る思いだった。<br /> 話を聞いたところ彼は地球が好きなようだし、その星に住む人々が野蛮で非理性的な連中だと思いたく<br /> ないのは理解できる。そこまで買い被ってもらえるなら地球人冥利に尽きるというものだ。<br /> どれだけ技術が進歩しても、人という生き物は過ちを繰り返し続けるというのに。<br /><br /> 「……ねぇ、ウサミミ」<br /><br /> ふと気になったリンは、意地悪く問うた。<br /><br /> 「地球人って、どっちのこと?」<br /><br /> ――だが、リンの問いに対して、ウサミン星人はついぞ答えを返さなかった。</dd> <dt id="a244"><span class="resnum">244</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:48:03.44 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> GC爆弾投下後の反応。<br /> この事件になんか適当な名前をつけてくれる人募集</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a251"><span class="resnum">251</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/03(水) 01:12:12.07 ID:Yv7Sw5Sao</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 実際、GDFに対するバッシングの声も相当なもんでしょうねー<br /><br /> むくむくとアホな小ネタが浮かんだので投下ー<br /> 紗枝はんと周子さんの百合っぽい要素アリなので苦手な方は読み飛ばしをば</dd> <dt id="a252">252 :<span class="name" style="color:#008000;">◆<span class="namenum">3</span>Y/<span class="namenum">5</span>nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/03(水) 01:13:01.75 ID:Yv7Sw5Sao</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「・・・・・・それで、周子はん?何か、言う事はありまへんか?」<br /><br /> 「・・・えーと、あの、紗枝ちゃん?ちょ、ちょーっと落ち着こうか、ね?」<br /><br /> 「あら、うちは十分落ち着いてます。それはもう、波ひとつない水面のように」<br /><br /> 「うーん、だったらこの式神くんたち引っ込めてくれないかなーって」<br /><br /> 「それは嫌どす」<br /><br /> 「・・・うぅ、何か紗枝ちゃん不機嫌だよー。ねーそこのちっちゃい子ー、何か知らないー?」<br /><br /> 「なッ、た、珠美はちっちゃい子ではありませんッ」<br /><br /> 『いや、十分小せェだろ。まーアレだわ姐さん、とりあえず謝っときな』<br /><br /> 「謝る?・・・んー?」<br /><br /> 「・・・まぁ、そらかいらしい子です。式神伝いに見てもよぉわかりますわ」<br /><br /> 「・・・あー、そゆこと。あのね紗枝ちゃん、あれはそういう事じゃなくてさ・・・」</dd> <dt id="a253"><span class="resnum">253</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/03(水) 01:13:28.03 ID:Yv7Sw5Sao</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「せやったら、一体全体どういう事でっしゃろうか?」<br /><br /> 「いや、母性本能くすぐられるというかね?アレだよ、美玲にかわいいっていうのと同じというかさー」<br /><br /> 「ほーぉ?生まれて一年ちょっとの美玲はんと・・・えーと・・・」<br /><br /> 「あ、アーニャ15歳ね。紗枝ちゃんと同い年」<br /><br /> 「・・・そうですか。で、そのうちと同じ年の子に向けた『可愛い』が、一緒の意味やと、周子はんはそう言うわけですか」<br /><br /> 「・・・あ、ダメだ、よけい地雷ふんだわコレ」<br /><br /> 「しゅ・う・こ・はん?」<br /><br /> 「いやいやいや、だから違うって、ちょ、待って、落ち着いて話聞いてってばー」<br /><br /><br /> 『・・・・・・確か、ここ最近の妖怪の異常発生について話がしたい、っつーんでわざわざ式神飛ばして呼んだんじゃなかったか、あの姐さん』<br /><br /> 「・・・そのはずですが」<br /><br /><br /> 「そら、周子はんにとったらうち位の小娘なんか娘や孫同然なんでしょうけど?赤ん坊と変わらんのでしょうけど?」<br /><br /> 「もー、そんな拗ねないでよ紗枝ちゃーん」<br /><br /> 「すっ、拗ねてませんッ!そんなっ、うち、なんも拗ねることありまへんっ!!」<br /><br /><br /> 『・・・やってる事、ただの痴話喧嘩じゃねェか』<br /><br /> 「・・・見回り、行ってきましょうか。ここに居るの、珠美は何か気まずいです・・・」</dd> <dt id="a254"><span class="resnum">254</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/03(水) 01:14:41.08 ID:Yv7Sw5Sao</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><a href="http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1372607434/212" style="text-decoration:none;" target="_blank">&gt;&gt;212</a>の「かわいいわ」発言、うっかり紗枝はんが聞いたら修羅場りそうだなー、とか考えてたらコレだよ!</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a255"><span class="resnum">255</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY<span class="namenum">2</span>y<span class="namenum">1</span>UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:16:41.74<span class="id">ID:NljtLaCR0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙です<br /> こっちも小ネタ投下するよー</dd> <dt id="a256"><span class="resnum">256</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:17:21.05 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 真夜中。少女が霧に包まれた地図から消えた街を歩いていた。<br /><br /> 「可哀想な子たち。人間の爆弾に焼かれるなんてさぞ苦しかっただろうに…」<br /><br /> 人の行いに絶望しているのではない。ここに生きていた小さな動物と植物を憐れんでいるのだ。<br /><br /> 少女の名は相葉夕美。植物を司る大精霊ユミ。<br /><br /> 「愚かな人間さん。後先考えずに火をつけるなんて。畑にもしないなんて。」<br /><br /> 地面に寝転がり、大地を撫でる。<br /><br /> 「確かにここにいたのにね。」</dd> <dt id="a257"><span class="resnum">257</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:17:54.84 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 溜息をつきながら起き上り、更地の上を歩く。<br /><br /> 「ナナちゃんもお悩みムードなのに、こんな酷い事が起こってるよ。ナナちゃん『こっち』と『あっち』で悩んでるのに…。」<br /><br /> 「『こっち』じゃないと一緒にいられないのに…」<br /><br /> 大好きな親友。初めての友達。<br /><br /> (…母星で偉い人になったら、一緒にアイドルできないよね?)<br /><br /> 夕美はその言葉を何度も飲み込んだ。</dd> <dt id="a258"><span class="resnum">258</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:20:19.27 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…やめやめ!今はここを大いに利用させてもらおうかな!」<br /><br /> 夕美が実態を失い、完全な精霊の姿となる。<br /><br /> 『…私の声に答えよ、この地に生きていた我らの恋人よ!』<br /><br /> ―ユミ様…!<br /> ―ユミ様だ!<br /><br /> 夕美から、蛍のような緑色のエネルギーが溢れてくる。<br /><br /> 幻想的なその光景は、夕美の起こしておいた霧で誰も見る事は出来ない。<br /><br />   るんたらったぴょんぴょん、るんたらったぴょん♪<br /><br /> その光をばらまきながら、踊るように、跳ねるように、笑いながら更地を歩く。<br /><br /> 『人に侵される前の姿を思い出せ!目覚めよ!』<br /><br /> 光りが落ちた大地から、まるで種が撒かれたように植物の芽が顔を出す。<br /><br /> 『新たな目覚めだ!』<br /><br /> 夕美がくるりと回って両腕を上げると、その芽がみるみるうちに成長してゆく。<br /><br />   るんたらったぴょんぴょん、るんたらったぴょん♪<br /><br /> ビルのあった場所は大きな樹が聳え立ち、道路は花畑となった。<br /><br /> 街の外見をそのまま植物にしたかのような森が形成されてゆく。<br /><br /> 『幸せ?』<br /><br /> ―ユミ様!<br /> ―ユミ様!<br /><br /> さわさわ、ざわざわ、木々が揺れて答える。<br /><br /> 『たとえ再び、人々に侵されようとも、魂は大地に刻まれる…。誇り高く、美しく生きよ!』<br /><br /> 踊り終えた夕美は実態を取り戻し、人の姿へ戻る。<br /><br /> 「…あのね。母星の世界樹様とっても寛容なの。私にこの星を任せてくれたくらいにはね。」<br /><br /> 「私…まだ、この星を信じるから…ナナちゃんは…どうするの…?」<br /><br /> その声は植物達に吸い込まれて消えた。</dd> <dt id="a259"><span class="resnum">259</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:21:23.00 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 以上です。ちょっと百合っぽい夕美ちゃん…。どうしてこうなった…<br /> 植物が生えるイメージはとなりのトトロが一番イメージしやすいかと</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a261"><span class="resnum">261</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/03(水) 01:33:03.49 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 投下した方々乙です<br /><br /> 気づいたらルシファーさんやられてたんで、ちょっとそこら編の設定でレイナサマのこと掘り下げます</dd> <dt id="a262">262 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS<span class="namenum">0</span>ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:33:57.35 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 小関麗奈がルシファーから『南条光』抹殺の命を受けた翌日のこと。<br /> 麗奈はその日は朝からきちんと学校へと登校してきた光に声をかけた。<br /><br /> 麗奈「おはよ…ちょっと話があるんだけど…」<br /><br /> 光「おっ、おはよう麗奈!どうした!?」<br /><br /> 麗奈「あーウン……ここじゃちょっとね…」<br /><br /> 幸い『望月聖』はまだ登校してきていないようだ。<br /> いや、もしかしたら今日も欠席なのかもしれない。<br /><br /><br /> ―――チャンスは今しか無い<br /><br /><br /> 麗奈は光を屋上へと誘う。<br /> そこが怠惰の悪魔ベルフェゴールの居場所だったのも、もはや過去のこと。<br /> 今この場所には麗奈と光、二人だけしかいない。</dd> <dt id="a263">263 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:34:42.13 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 光「屋上で内緒の話なんて、まるで秘密会議みたいだな!」<br /><br /> 光が屈託も無く笑う。<br /> まるで警戒心が無い。<br /><br /><br /> ―――これからアタシがアンタのことを殺そうとしているのに<br /><br /><br /> アタシが即座に変身をして不意打ちを仕掛ければ、恐らく光は手も足も出ないだろう。<br /> 光も正義に燃えるヒーローとはいえ、変身出来なければただの夢見る女子中学生だ。<br /><br /> 麗奈「(それにルシファーの言う通り、本来アタシの力には人一人殺せるほどのものが…)」<br /><br /> 初めて力を手にした時からそれは理解していた。<br /> しかし、その力を使おうとは思わなかった。<br /> アタシには夢があったけど、それを誰かの命を奪ってまで叶えたいとは思っていなかったから。<br /><br /><br /> ―――そして、それは今も変わらない</dd> <dt id="a264">264 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:35:24.85 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> けれど、今は状況が違う。<br /> 光の命をこの手で奪わないと自分の命が奪われてしまう。<br /> 自分じゃルシファーには勝てない。<br /><br /> 殺されてしまっては夢も野望もそれまでだ。<br /> アタシは夢を叶えなければならない。<br /> 世界に認められるために。<br /><br /><br /> ―――だから光をこの手で<br /><br /><br /> 光「…?」<br /><br /> 光「どうした、麗奈?顔が怖いぞ?」<br /><br /> 光「ま、まさか…!?ホントに重要なミッションか何かか…!?」<br /><br /> 麗奈「……」<br /><br /> 麗奈「なーに言ってんのよ。アタシら別に組織の仲間でもなんでもないじゃない」<br /><br /> 光「あっ、そっか」<br /><br /> 麗奈「……」<br /><br /> 麗奈「(…そんなの)」<br /><br /> 麗奈「(出来るわけないじゃない…)」</dd> <dt id="a265">265 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:36:12.19 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そう、出来るわけがない。<br /> アタシからすれば光は友人でもなんでも無いけれど、アタシのことを友人と見なしている見どころのある存在だ。<br /> そんな利用価値ある奴を自らの手で消すなんて世界征服を目論むアタシからすれば非効率的な行為そのもの。<br /><br /> 麗奈「(…覚悟は決めるわよ)」<br /><br /> 自分より強い者に逆らうだなんて、アタシの美学には反する行為。<br /> けれど…<br /><br /> 麗奈「(誰かの言いなりになってるアタシの方がカッコ悪いわよねッ!!)」<br /><br /> 麗奈「(とは言っても、どうしたものかしらね…)」<br /><br /> 麗奈「(ルシファーは、あんな奴でもアタシに力を与えてくれた恩人でもあるわけで…)」<br /><br /> 反逆を起こすにしても命まで奪う真似はしたくない。<br /> しかしゴマをすって和解という線も彼女相手には難儀なことだろう。<br /><br /> 麗奈「う~ん…」<br /><br /> 光「…?なんだ、もしかして悩み事か?」<br /><br /> 光「アタシで良ければ聞くぞ!!」<br /><br /> 光「もしかしてまた前髪切りすぎたか?」<br /><br /> 麗奈「またってなによ!?これはファッションよ!!」<br /><br /> 光「あははっ!」</dd> <dt id="a266">266 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:37:49.95 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> この時、麗奈は知らなかった。<br /> 自分を脅迫するルシファーが一人の死神によって魂が魔界に送還されていたことを。<br /><br /> そして、麗奈は気づいていなかった。<br /> ルシファーが魔界に送還され裁きを受けたことで自身がルシファーから授かった闇の力の効力を失ってしまったことを。<br /><br /> 麗奈が悪魔の力を得て自分の前に立ちはだかっていたことなんて光は知る由も無かった。<br /> もちろん自分が悪魔に標的にされていたことさえも。<br /><br /> そんな二人を影から見守る影が二つあった。<br /><br /> 雪美「……ルシファー……私が決着……つけたかった……」<br /><br /> 聖「わがままはダメ…」<br /><br /> それは魔族と天使の不思議なパートナー。<br /> 佐城雪美と望月聖の姿であった。<br /><br /> 聖「私達以外にも……この世界を救おうと頑張っている人がいる…」<br /><br /> 聖「それは喜ぶべきことなの…」<br /><br /> 聖「それに…雪美にとっての敵はルシファーだけじゃないでしょう?」<br /><br /> 雪美「……」</dd> <dt id="a267">267 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:38:40.56 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『傲慢』を司るグリフォンと、四大天使『聖ミカエル』<br /> 本来相容れない仲に思えるが何故、行動を共にするのか。<br /> その答えは未だわからない。<br /><br /> 聖「(それよりも…)」<br /><br /> 聖「(レイナ…彼女は闇の誘惑に打ち勝ち…)」<br /><br /> 聖「(自分に…『自信』を手に入れた…)」<br /><br /> 聖「(それは『傲慢』とは違う…)」<br /><br /> 聖「(『誇り』の感情…)」<br /><br /> 聖「(彼女は…本来優しい心を持っている……)」<br /><br /> 聖「(きっと彼女も…)」<br /><br /> 聖「(ヒカルを導く光となって…)」<br /><br /> 聖「(この世界を……)」<br /><br /><br /> ―――この聖の予言は後に現実となる<br /><br /> ―――そう、一人の天使が<br /><br /> ―――麗奈に希望を見出し、その力を与えることになるのだ</dd> <dt id="a268">268 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@予約</b>◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:40:40.16 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> おわりです。<br /><br /> レイナサマが変身能力を失いました。<br /> ひじりんは天使、雪美は魔族ですが二人の関係はまだ掘り下げません。<br /><br /> 三人目の四大天使登場フラグを立てました。<br /> というわけで、松尾千鶴ちゃんを予約します。</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a271"><span class="resnum">271</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:25:04.70 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙です<br /> 綺麗なレイナサマ…確実にいくわよ南条!おう相棒!みたいな事にはならない<br /> 憤怒Pと先輩で投下します</dd> <dt id="a272">272 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j<span class="namenum">4</span>KjALPDp<span class="namenum">2</span></span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:25:45.03 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 案の定騙された<br /><br /> 『アイツ』の言うとおりの場所に来て私が見たものは<br /><br /> 一番見たくなかったって言っていい物で<br /><br /> 本性やら正体やら色んな物をあっさり白状した割には<br /><br /> 結局こいつは変わっていなくて<br /><br /> ずっと、ずっと嫌な嘘付きだって事を思い知った</dd> <dt id="a273">273 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:26:36.76 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…全部知っててやってる癖に何を言ってるんですか」<br /><br /> 「ちょうどこの体が都合の良かっただけですよ」<br /><br /> 「貴方と同じように芸能界を追い出されたみたいですけど人を扱う術には長けていたみたいでね」<br /><br /> 「割りと偉いんですよ?この体?末端とは言えそれなりに凄い組織の一員みたいですし」<br /><br /> 「貴方を暫く匿うなんて屁でもないから安心してください」<br /><br /> 「ほら よくあるじゃないですか」<br /><br /> 「過去を乗り越えていくーみたいな修行の展開」<br /><br /> 「アレと同じ様な物ですよ」<br /><br /> 「貴方は過去に操られた人形じゃないんでしょう?」<br /><br /> 「サタンさんの力があれば今の私を消すなんてイージーモードを超えてチュートリアルみたいな物ですよ」</dd> <dt id="a274">274 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:27:28.56 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「まぁ少し嘘混じりですけど」<br /><br /> 「魔力管理人があそこまで早く復活するとは思いませんでした」<br /><br /> 「愛と勇気が勝つはよく言ったものです」<br /><br /> 「やはり無意識とはいえ娘さんが父上の魔力の痕跡を感じたのかもしれませんね」<br /><br /> 「一応本体にも気づかれないクラスに彼の魔力に細工はしてるんですか所詮付け焼刃みたいな物」<br /><br /> 「魔力の譲渡なんてデカイ事に関しては流石にあちらの方に気づかれない保証は無いですしね」<br /><br /> 「一応クリスタルを介しての反応はジャミングできるので時間はまだあります」<br /><br /> 「それに人間たちも面白いことをやらかしたみたいですしね」</dd> <dt id="a275">275 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:28:00.53 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「全く面白い世界だ」<br /><br /> 「私も龍世界なんかに引き篭もってないで爆弾の作り方でも習いに来ればよかったんですかねぇ」<br /><br /> 「おっと話が長くなりました始めましょうか」<br /><br /> 「改めて貴方をプロデュースです」<br /><br /> 「お人形さん?」</dd> <dt id="a276">276 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:29:34.45 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> 過去なんてすぐ無かったことにできると思ってた<br /><br /> きっと少し奴らを懲らしめてやればもう後は大丈夫だって<br /><br /> 過去を乗り越えられるって<br /><br /> でも結局人なんてすぐ変わらなかった<br /><br /> ただの子供で<br /><br /> 私は過去に囚われた人形のままで<br /><br /> でもきっと今度こそ<br /><br /> 胸を張って皆に言ってやるんだ<br /><br /> その先なんて考えたって無駄だってイヤと言うほど思い知らされた<br /><br /> 私は<br /><br /><br /><br /> 私は…</dd> <dt id="a277">277 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:30:56.17 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 憤怒P(本体)<br /> 昔の泰葉のプロデューサーの体を借りたティアマット<br /> 本人曰く魂だけのちっぽけな存在なんて嘘に決まってるじゃないですかwwwwww<br /> 魂だけなんで他人の体を乗っ取れるとかいうアレ<br /> 魔力譲渡とか管理人にばれない訳無いしそんなでっかい魔力どこに隠してたんだよとか<br /> 色々彼も頑張ってたからそのへんは何とかなったよ!よ!<br /> 奪って弄りまくったとはいえサタンの魔力は今は彼の魂にあるので力も使えるかも?<br /><br /> ボイスは分かる人はACfaのあのうっぜぇ依頼人みたいな感じで再生してください<br /> 新キャラ作らないで他人のキャラ勝手に弄りまくって大丈夫なんだろうか…一応少し考えてます…ごめんなさい</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a278"><span class="resnum">278</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆<span class="namenum">6</span>osdZ<span class="namenum">663</span>So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:35:48.53 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央ちゃんお借りして、世界一お金持ちなあの子の話投下します</dd> <dt id="a279"><span class="resnum">279</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆<span class="namenum">6</span>osdZ<span class="namenum">663</span>So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:36:32.89 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> <br /> あるところに女の子がいました。<br /><br /> 女の子の家は世界でいちばんお金持ちで、<br /><br /> 女の子がほしい物はなんでも手にはいりました。<br /><br /><br /> 玩具も、本も、服も、宝石も、お金も、家も、人も、国も、<br /><br /><br /> ほしい物はみんなお父さんが買ってくれました。<br /><br /> ただ一つだけ、彼女が欲しくても手に入らないものがありました。<br /><br /><br /> 『ならば、わたくしがそれを手に入れてさしあげますわ。』<br /><br /> 悪魔は言いました。<br /><br /> こうして少女と悪魔は一緒にくらし始めたのでした。<br /><br />  </dd> <dt id="a280"><span class="resnum">280</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:37:42.32 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">――<br /><br /><br /> 桃華「いい風ですわね。」<br /><br /><br /> 驚天動地とはこの事だろう。<br /><br /><br /> 桃華「たまには、いいですわね。外に出るのも。」<br /><br /><br /> 『強欲』の悪魔が、屋敷の外に居るとは。<br /><br /><br /> あれほど自分の身を守るために、<br /><br /> 自分のフィールドからは出なかった彼女が<br /><br /> 今になって外に出た理由。それは<br /><br /><br /> 桃華「さあ、散歩に出かけましょう。」<br /><br /><br /> なんて事の無い理由であった。<br /><br /><br /> 彼女の身体から漆黒の翼が生える。<br /><br /> ――鴉の翼<br /><br /> ――『強欲』の象徴<br /><br /> ――かつて、全ての空飛ぶ者の羽を得んとして集めた結果<br /><br /> ――全ての羽の色が混ざりあい醜く染まった漆黒。<br /><br /><br /> その翼をはためかせ彼女は優雅に空の散歩に出かける。</dd> <dt id="a281">281 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:39:27.19 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『傲慢』の悪魔ルシファーが敗れた。<br /><br /> それは『強欲』たる彼女にとってあまりに意外な事であった。<br /><br /> いや、あの『傲慢』の悪魔であるのならば、<br /><br /> 「何らかの手を残し、生き残ってるのでは?」と言う思いも未だに拭えはしないのだが。<br /><br /><br /> まあ、どちらにせよ、<br /><br /> 『強欲』の悪魔とサクライの計画は破綻した。<br /><br /> 本来であれば末端で動く人間にサクライの名が伝わってるはずなど無く、<br /><br /> 失敗するのはともかく、その刃が反転する事などありえ無かった計画。<br /><br /><br /> サクライPは今各地を飛び回り、財閥の建て直しをはかっている。<br /><br /> 当分は屋敷にも戻ってこれないだろう。<br /><br /><br /><br /> 桃華(例の貧乏神の影響がまだあったのかもしれませんわね。)<br /><br /><br /><br /> ――『文香さんの能力を狙うもの、また攻撃意思を決めたもの全員がやることなす事並べて『全部失敗』ます』<br /><br /> ――『それは恐ろしいな』<br /><br /> 本当に、世には恐ろしい力もあったものだ。</dd> <dt id="a282">282 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:40:49.39 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華(もしそうであるなら、わたくしは全てを諦めねばなりませんわ。)<br /><br /><br /> これから何を成してもあの力が邪魔をするのであれば、<br /><br /> 『強欲』の悪魔の唯一にして全ての願い「全宇宙の支配」を諦めるしかないだろう。<br /><br /> 『強欲』の悪魔が全てを諦める。<br /><br /> それは死を選ぶ事と同義である。<br /><br /><br /> 桃華(馬鹿げてますわね。)<br /><br /> 桃華(わたくしは『強欲』の悪魔マンモン。)<br /><br /> 桃華(全てを諦めるなどあり得ない話ですわ。)<br /><br /><br /><br /> 未央「やっほー、何してるの?」<br /><br /> 桃華「なっ!?!」<br /><br /><br /> 『強欲』の悪魔の前に突然少女が現れた。<br /><br /> ここは空。<br /><br /> 言うまでも無く、普通の少女が現れるはずがない。<br /><br /> そう、普通の少女なら。<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・天使、ですの?」<br /><br /><br /> 目の前の少女には六枚の羽が生えていて、<br /><br /> 『強欲』の悪魔と同じく空に浮かんでいた。<br /><br /><br /> 未央「それ聞いちゃう?えへへっ、そうだよ!ラファエルちゃんだよ☆」</dd> <dt id="a283">283 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:41:33.93 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「・・・・・・癒しの天使がわたくしに何の用ですの?」<br /><br /><br /> 未央「何の用ってことはないでしょ、ほら私達は一応敵対関係なんだし?」<br /><br /><br /> 桃華「笑えますわね。」<br /><br /> 桃華「これまでわたくし達の活動を放置しておいて、」<br /><br /> 桃華「今更、悪魔を成敗しにきたとでも言うおつもりでして?」<br /><br /><br /> 未央「うーん、何もしてこなかった訳じゃないんだけどね。」<br /><br /> 未央「人間に力とか貸してあげてるし。」<br /><br /><br /> 桃華「それならわたくしもですわ。」<br /><br /> 桃華「貴女は『癒し』、わたくしは『欲望』。」<br /><br /> 桃華「与える力の属性が違うだけで、やってる事は一緒ですわよ。」<br /><br /> 桃華「一方的に断罪される覚えはありませんわね。」<br /><br /><br /> 未央「いやいや、別に成敗とか断罪とか物騒なことをしにきた訳じゃないんだけど。」<br /><br /><br /> 桃華「あら、そうですの。天使の風上にもおけませんのね。」<br /><br /><br /> 未央「それはもう、私がどうすれば満足なんですか・・・・・・。」</dd> <dt id="a284">284 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:44:19.89 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「それで、でしたら尚更に何の用ですの?」<br /><br /> 桃華「わたくしはこれからやる事がありますから、忙しいのですわ。」<br /><br /> 桃華「手短にお願いしますわね。」<br /><br /><br /> 未央「嫌われてるなぁ・・・・・・、私ショックで寝込んじゃうよ?」<br /><br /><br /> 桃華「『強欲』を愛するわたくしは、進歩しない者達は嫌いですの。」<br /><br /> 桃華「快楽を忘れることを是とし、欲望を滅ぼそうとしている宇宙に居る者達も。」<br /><br /> 桃華「その宇宙を脅威とわかっていながら、自ら地上に出て来ない魔王も。」<br /><br /> 桃華「そんな世界を変えられる力を持っていながら、行動しない神も。」<br /><br /> 桃華「全部嫌いですのよっ!」<br /><br /> 桃華「天使ちゃまだって例外ではありませんわ!」<br /><br /><br /> 未央「そっか、それで世界征服なんだ。」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・進歩の無い世界は嫌いですもの。」<br /><br /> 桃華「だって何も求めない世界なんて、それは死んだ世界で一緒ではありませんの?」<br /><br /> 桃華「人々は『強欲』であり続ける限り、進歩できますわ!」<br /><br /> 桃華「そうですわ、人は『強欲』に『知恵』を求めたからこそ進化することができましたのにっ!」<br /><br /> 桃華「宇宙も魔王も神も天使も!どうしてそれがわかりませんの!」<br /><br /> 桃華「・・・・・・」<br /><br /> 桃華「わたくしが世界の全てを支配すれば、停止しようとする世界を変えられますわ。」<br /><br /><br /> 未央「なるほどねー、そんな風に考えてるんだ。」<br /><br /> 未央「でもさ」<br /><br /> 未央「その方法じゃあ、貴女が”本当に欲しい物”は手に入らないんだよね」</dd> <dt id="a285">285 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:45:53.66 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「・・・・・・何を言ってますの?」<br /><br /><br /> 未央「マモちゃんは今までずっと、欲しい物は全部奪ってきたんでしょ。」<br /><br /> 未央「お金も、物も、力も、心も、全部ね。」<br /><br /> 未央「だからマモちゃんが本当に欲しがってる」<br /><br /><br /> 未央「”絆”は手に入らない。」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・ウフ、ウフフフフフ。何を言い出すのかと思えば、」<br /><br /> 桃華「わたくしが絆を?そんな物を求めてなんて・・・・・・」<br /><br /><br /> 未央「一人は寂しいよ。誰だってそうだよ。」<br /><br /> 未央「私も一人は嫌、だから友達を作って一緒に遊んだりするんだ。」<br /><br /> 未央「ついこの間も、人だとか妖怪だとか竜だとか、集まるところに遊びにいったりね♪」<br /><br /><br /> 桃華「ふ・・・・・・ふざけないでくださいましっ!」<br /><br /><br /> 未央「ふざけてないよ。」<br /><br /> 未央「だって・・・・・・マモちゃんさっき言ったよね。」<br /><br /> 未央「『わかってほしい』って。」<br /><br /><br /> 桃華「なっ!そんな事言って・・・・・・」<br /><br /> ――『どうしてそれがわかりませんの!』<br /><br /><br /> 桃華「くっ!」</dd> <dt id="a286">286 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:47:13.87 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「『わかってほしい』って事はさ、仲良くなりたいって事なんだよ。」<br /><br /> 桃華「ちがう」<br /><br /><br /> 未央「傍に居て、一緒に隣で歩んで欲しい。」<br /><br /> 桃華「やめ・・・・・・・」<br /><br /><br /> 未央「一人で出来ないこともみんなと居れば超えられる。」<br /><br /> 桃華「聞きたくありませんわっ!!」<br /><br /><br /> 未央「マモちゃんは全宇宙を支配して、『強欲』で満たせば世界は動き続けるって言ったけど。」<br /><br /> 未央「そうやって出来るのは、マモちゃん一人の意思で動く世界だよ。」<br /><br /> 未央「一人の意思で出来る事なんて少ないよ。」<br /><br /> 未央「一人で考えて、一人で行動して、その内一人じゃあ超えられない壁にぶつかるんだ。」<br /><br /> 未央「その時、マモちゃんだけだと立ち止まるしかない。」<br /><br /> 未央「それは、マモちゃんが嫌う『進歩の無い止まった世界』じゃないの?」<br /><br /><br /> 桃華「だったら、どうすれば良かったと言うんですの・・・・・・?」<br /><br /> 未央「簡単だよ、話し合って仲良くなればいいんだよ。」<br /><br /> 桃華「・・・・・・馬鹿げてますわね。」<br /><br /> 未央「そうだね、馬鹿かもしれない。それでも仲良くなれば開ける道もあるよ。」<br /><br /> 未央「1人なら一つの道しかないけど」<br /><br /> 未央「2人集まれば二通りの道が。」<br /><br /> 未央「3人集まれば三通りの道ができるってね☆」</dd> <dt id="a287">287 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:48:51.69 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「私はね、”あの日”色んな世界からこうしてみんなが集まったのは」<br /><br /> 未央「きっと、みんな友達になるためだって信じてるんだ!」<br /><br /> 未央「そうじゃなくても、せっかくの機会なんだから仲良くなれたらいいと思うんだよね。」<br /><br /><br /> 桃華「馬鹿ですわね、頭の中お花畑ですの?」<br /><br /> 桃華「そんな簡単に自分とは異なる者を信じられるわけがありませんわ。」<br /><br /><br /> 未央「でも、信じられないから、嫌って傷つけるなんて悲しすぎるよ。」<br /><br /> 未央「マモちゃんも、まずは信じてみない?」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・そんなキレイゴトは力のある者だから言えるのですわ。」<br /><br /> 桃華「持たざる者が求める物を、貴女は持っているから言えるのですわ。」<br /><br /><br /> 未央「・・・・・・それは、やっぱり自分の持ってない”絆”を求めてるってこと?」<br /><br /> 桃華「・・・・・・。」</dd> <dt id="a288">288 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:49:49.87 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「わかりましたわ・・・・・・認めましょう。」<br /><br /> 桃華「百歩譲って貴女が言うように、わたくしが”絆”を求めているのだとして・・・・・・。」<br /><br /> 桃華「わたくしにはPちゃまが居ますわ。」<br /><br /> 桃華「Pちゃまはわたくしを裏切らない。」<br /><br /><br /> 未央「・・・・・・それはその子から奪った絆じゃないの?」<br /><br /> 未央「マモちゃんが『櫻井桃華』から奪った親子の絆」<br /><br /><br /> 桃華「違いますわっ!!」<br /><br /> 未央「!」<br /><br /> 桃華「あの時まで、”お父様”はわたくしの傍には居ませんでしたものっ!」<br /><br /><br /> 未央「・・・・・・あぁ、そう言う事だったんだ。」<br /><br /> 未央「やっぱり話してみないと分からない事もあるよね。」</dd> <dt id="a289">289 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:50:52.96 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「わたくしは『強欲』に全てを求め続けますわ。」<br /><br /> 桃華「貴女がわたくしに絆を持ってない、と言うならそれも手にするまでのこと。」<br /><br /> 桃華「それで、貴女はどうしますの?ここでわたくしと戦いますの?」<br /><br /> 未央「・・・・・・」<br /><br /><br /> 未央「いや、戦わない。」<br /><br /> 未央「今日の私はあなたと・・・・・・あなた達と話に来ただけだからね。」<br /><br /> 未央「できれば友達になりたかったけど。」<br /><br /> 桃華「丁寧にお断りしますわ。」<br /><br /> 未央「残念。」<br /><br /> 桃華「・・・・・・天使ちゃま、貴女はわたくしが今から何をするかわかってるのでしょう?」<br /><br /> 未央「だいたいの予想は付いてるよ。」<br /><br /> 桃華「止めませんの?」<br /><br /> 未央「止めて欲しい?」<br /><br /> 桃華「・・・・・・。」<br /><br /> 未央「ごめんごめん、意地悪だったね。今のは。」<br /><br /> 未央「でも安心して、私は止めないよ。」<br /><br /> 未央「だって信じてるからね。」<br /><br /> 桃華「人間や死神ちゃまがわたくしを止められると?」<br /><br /> 未央「それもだけど、マモちゃんのこともね☆」<br /><br /> 桃華「本当に馬鹿ですわね。」<br /><br /> 未央「えへへ♪」</dd> <dt id="a290">290 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:51:38.62 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「・・・・・・天使ちゃま、もしこれからわたくしがする事失敗しても」<br /><br /> 桃華「世界からカースは、”呪い”は消えませんわよ。」<br /><br /> 未央「・・・・・・そうだろうね。」<br /><br /> 桃華「『原罪』を求める者にお気をつけなさい。」<br /><br /> 未央「!」<br /><br /> 桃華「強欲に全てを求める者としての忠告ですわ。」<br /><br /> 未央「えへへ、ありがと。マモちゃん。」<br /><br /> 桃華「・・・・・・世迷言に惑わされましたわね。わたくしも落ちぶれましたわ。」<br /><br /> 桃華「わたくしは行かせて貰いますわよ。」<br /><br /> 未央「長々と引き止めてごめんね♪」<br /><br /> 桃華「謝る気ありますの?ま、いいですわ。」<br /><br /><br /> 桃華「さよなら」<br /><br /> 未央「またね」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・最後まで不快ですわね。」<br /><br /> 未央「えへへ」<br /><br /><br /> こうして、『強欲の悪魔』と『癒しの天使』は出会い、そして別れた。</dd> <dt id="a291">291 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:52:25.76 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> 『櫻井桃華、あなたともここまでですわね。』<br /><br /><br /> 『力になれなくて申し訳ないと思わなくもありませんけれど、』<br /><br /><br /> 『やはりあなたは自分でそれを手に入れなさいな。』<br /><br /><br /> 『わたくしは行きますわよ。全てを手に入れるために。』</dd> <dt id="a292"><span class="resnum">292</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:52:52.36 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> <br /> あるところに女の子がいました。<br /><br /> 女の子の家は世界でいちばんお金持ちで、<br /><br /> 女の子がほしい物はなんでも手にはいりました。<br /><br /> ほしい物はみんなお父さんが買ってくれる、<br /><br /> けれど<br /><br /> 世界ではたらくお父さんはいつも帰ってこれるわけではありませんでした。<br /><br /><br /> 「神様。玩具も、本も、服も、宝石も我慢しますわ。」<br /><br /> 「ですから神様、わたくしにお父様との時間をくださいな。」<br /><br /> 『ならば、わたくしがそれを手に入れてさしあげますわ。』<br /><br /><br /> 女の子と悪魔は一緒にくらし始め、<br /><br /> お父さんは娘のために帰ってくるようになりましたとさ。<br /><br /><br /> めでたしめでたし?<br />  </dd> <dt id="a293">293 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:53:44.74 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">おしまい<br /><br /> この夏、ひきこもりが外に出るのが流行る。<br /> ちゃまが狩られる前に盛大に死亡フラグ立てておくだけの話でした。<br /><br /><br /> 『グリードガーデン』<br /> 強欲なる庭。マンモンがその翼を広げ展開する結界。<br /> 『強欲』の証であり、強欲なる悪魔の奥の手。<br /> この庭に存在するものは全てマンモンの所有物になる。<br /> 進入する者も、如何なる意思も法則もすべてマンモンの思うがまま。<br /><br /> マンモンは櫻井桃華の庭園に敷いていたこの結界を片付け、何処かに移動するつもりらしい。</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a304"><span class="resnum">304</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 19:50:30.49 ID:9a17vdwD0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> さとみん書けてないけど、筆が進んでしまったので投下するかな…<br /><br /> 加蓮を少し借ります。</dd> <dt id="a305">305 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi<span class="namenum">7</span>reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 19:57:31.84 ID:ZysAmX1j0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「お会計が7329円になります」<br /><br /> 「………」<br /><br /> 「一万円お預かりしますー」<br /><br /> とある日の夕方、その日のあはいつもどおりスーパーに買い物に来ていた。<br /><br /> 最近は、日菜子やみくだけでは無く愛梨に菜帆とベル、みくの友人だという城ヶ崎美嘉・莉嘉の姉妹まで暇があれば夕飯をいただきに来るため、常に冷蔵庫の中を満タンにしないといけないという事態になっていたりする。<br /><br /> …もっとも、それでもこのうちの大半は菜帆とベルとみくの三人が消化する訳だが。<br /><br /> 「あ、おつかれさまでしたー!」<br /><br /> 「おつかれー」<br /><br /> アルバイトであろう女の子がすっとレジの店員に声をかけながら歩いていく。<br /><br /> …そういえば、そろそろみくの仕事が終わる時間帯だ。<br /><br /> 「2671円のお返しです」<br /><br /> 「…はい」<br /><br /> お釣りを受け取って、レジ袋に買った物を詰めていく。<br /><br /> じゃがいも、人参、玉ねぎ、長ネギ、キャベツ、なす、豚バラ肉とベーコンにソーセージ、卵に牛乳にチーズにその他etc…<br /><br /> これだけあればうまくいけば三日は持つだろうと、三日分の献立を考えながらスーパーを出る。</dd> <dt id="a306">306 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:01:19.41 ID:OTp4v02e0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「ねぇ……これ」<br /><br /> 「え、これ本当なのか?」<br /><br /> 「ちょっと、なによこれ!?こんなのが許されるの!?」<br /><br /> 「……………?」<br /><br /> ざわざわと、街中が騒がしい事に気づいたのはそんな時であった。<br /><br /> 「町一つ消えたって……」<br /><br /> 「おいおい…」<br /><br /> 「GDFは守ってくれるんじゃなかったのかよ!?」<br /><br /> 「号外!号外だよー!ほらそこのお姉さんも読みなって!」<br /><br /> 号外を配り歩いている青年が一冊押し付けてきた。<br /><br /><br /> ………『カース大量発生に街一つ消滅!?GDFの新兵器か!!』<br /><br /><br /> 「………………」<br /><br /> 読み進んでいくと、なぜここまで騒がれているのかがすぐにわかった。<br /><br /> 自分たちを守ってくれるはずのGDFが街一つ吹き飛ばしたのだ、次は我が身と思うのは当然だと思う。</dd> <dt id="a307">307 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:05:51.97 ID:zXFxpfkR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /> ―――ざわめきは、やがて様々な形を成していく。<br /><br /> ―――破壊兵器を恐る者、どうしていいかわからず戸惑う者、裏切られたと怒る者、自分には関係ないと決め込む者。<br /><br /> ―――様々な感情が振りまかれ、負の感情が高まる中に『ソレ』が現れるのは、ある意味当然であった。</dd> <dt id="a308">308 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:09:56.94 ID:ODkxeHR20</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「ウラギリモノガアアアア!!」<br /><br /> 「ナンデ!ナンデダヨオオオ!!」<br /><br /> 「ミンナオレガケシテヤルヨオオオ!」<br /><br /> 「うわああああああああああああ!?」<br /><br /> 「出たぞおおおおおお!」<br /><br /> 「ッ!」<br /><br /> 憤怒が二体に、傲慢が一体。<br /><br /> それぞれ道路、路地裏、そしてスーパー入口の三ヶ所に現れたカースに人々は蜘蛛の子を散らすように逃げ始めた。<br /><br /> 「…………ターゲット、憤怒2傲慢1」<br /><br /> ドサっとレジ袋を落とし、状況を確認する。<br /><br /> 道路と路地裏に居る二体の憤怒はこちらを標的にしたようで、身を震わせながら迫ってくる。<br /><br /> 残った、スーパー入口の傲慢は……<br /><br /> 「―――オープンコンバット」<br /><br /> 《Weapon:高収束型デュアルマシンガン》<br /><br /> 即、武装を召喚し無理やりスーパーに入ろうとしていた傲慢に撃ちまくる。<br /><br /> まだ、店内には逃げ遅れた客の姿が多いようで、中に入れさせるわけには行かなかった。</dd> <dt id="a309">309 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:12:25.54 ID:ODkxeHR20</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 《Leg:特殊機動装甲[白兎]》<br /><br /> 「ツブレチマエエエエエ!!」<br /><br /> 十分傲慢の注意を引いたところで更に召喚、跳躍力と瞬発力に重点を置いた白い装甲を太ももから下全体に装着。<br /><br /> そしてすぐに跳躍、憤怒のカースによる一撃をかわし頭上を取って銃弾を叩き込む。<br /><br /> 「オオオオオオオオオ!」<br /><br /> 《Weapon:コロナ・グレネードランチャー》<br /><br /> 着地を狙う二体目の攻撃を再び跳躍で回避、マシンガンを返還し小型のグレネードランチャーとチェンジ。<br /><br /> そのまま固まっている二体まとめてグレネードの爆撃を浴びせる。<br /><br /> 「ムシスンジャネエエエエエ!!」<br /><br /> 「くっ…」<br /><br /> 予想外に俊敏な動きで、傲慢がまだ空中にいるのあに飛びかかるが近くの柱を蹴り避けるとともにすかさずグレネードを放つ。<br /><br /> 「オラアアアアアアアアア!!」<br /><br /> 「しつこい…っ」<br /><br /> だが、爆破によるダメージを受けても構わず追い縋ってくる傲慢に更なる回避行動を余儀なくされ、今度はスーパーの壁を蹴り地上に降りる。<br /><br /> そして、まるでそのタイミングを待っていたかのように二体の憤怒が豪腕を振り上げて突撃してくるが冷静に二体の間を飛び跳ねるようにすり抜けて距離を取る。</dd> <dt id="a310">310 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:13:39.14 ID:ODkxeHR20</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「………………」<br /><br /> ランチャーの残弾を確認しながら状況を考えるが、どう戦っても苦戦は免れなかった。<br /><br /> 並のカースなら三発強で沈むグレネードに耐える憤怒が二体と、予想外の俊敏性を持った傲慢。<br /><br /> ―――この場にみくが居れば、かく乱を任せてその隙に強力な兵装で一体ずつ撃破もできたであろう。<br /><br /> ―――この場に日菜子が居れば、圧倒的な手数で翻弄しながら核を狙い撃ちできたであろう。<br /><br /> 「………考えても仕方ないわね」<br /><br /> しかし、この場にはのあ一人。ゆっくりとこちらに迫る三体のカースを目に打開策を考える。<br /><br /> その時だった。<br /><br /> 「このッ!」<br /><br /> 「ギャアアア!?」<br /><br /> ずっとこちらを注視していた傲慢が、突如飛び出した何かに弾かれ吹っ飛ばされる。<br /><br /> 「…隙だらけね」<br /><br /> それにより憤怒二体の注意がそちらに逸れた瞬間を逃すのあではなく、主に足元を狙い残弾すべてを撃ち込む。<br /><br /> ちらりと、吹き飛ばされた傲慢を見れば、乱入者であろう黒い翼を生やした何者かに翻弄されていた。</dd> <dt id="a311">311 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:17:40.45 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 《Weapon:対魔力障壁弾併用アンチマテリアルライフル[亡牙]》<br /><br /> 視線を二体の憤怒に戻し、撃ちきったランチャーを返還し代わりに現在のあが使える兵装の中でも最高クラスの威力を誇る切り札級の一つ、ズシンと重量がある銀色のアンチマテリアルライフルを召喚する。<br /><br /> 「テメエエエエエエエエエエ!!」<br /><br /> 「…ファイア」<br /><br /> 爆煙の中から一体の憤怒が飛び出してくるが時既に遅く、轟音とともに放たれた銃弾が正確に核を撃ち貫きその衝撃でカースの体が四散、その上さらに後ろにあった電柱を中ほどから吹き飛ばす。<br /><br /> 「……ガアアアアアアアアアアアアッ!!」<br /><br /> 素早く、二体目に照準を合わせるが一瞬早く憤怒が狂ったように地面に腕を叩きつけ、粉塵が巻き起こる。<br /><br /> 「…ファイア……ッ!?」<br /><br /> 「ゲヒャヒャヒャハハハハ!!」<br /><br /> それでも構わず撃ち込むが、今までとは違う素早い動きで射線から逃れられた上に明らかに狂ったような声を吐き出しながら迫ってきた。<br /><br /> その上厄介なことに直線上にはスーパーの店舗、威力がありすぎるアンチマテリアルライフルでは何が起きるか分からない。<br /><br /> 故に取るべき手段は回避であり、振り上げた両腕の一撃をダンッと力強く地面を蹴り後ろに跳ねる。</dd> <dt id="a312">312 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:20:25.47 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そこに、憤怒の背後から先ほどの乱入者が突撃していった。<br /><br /> 素早くあたりを見渡せば消えていく泥とキラキラと光る何かがあり、傲慢が片付けられた事が分かる。<br /><br /> 「ちょ…なにコイツ!?」<br /><br /> 乱入者が困惑の声を挙げながら憤怒から距離をとる。<br /><br /> ……黒い翼に、手には槍と盾、さらによく見るとその姿は先ほどスーパーでレジに話しかけてた女の子だった。<br /><br /> 「ゲヒャ、ゼンブゼンブゼンブアヒャアア!!」<br /><br /> そして困惑の原因であるカースは、めちゃくちゃに暴れながら体を構成している泥がボコボコと泡立っている異常な状態。<br /><br /> 「…あの、えーと……」<br /><br /> 「…何かしら?」<br /><br /> と、その女の子が近くに降りて来た。<br /><br /> 「その、よかったら協力しませんか?……なんか、あのカースいやな予感がす…しますし」<br /><br /> 「…のあよ」<br /><br /> 「え?」<br /><br /> 「…名前」<br /><br /> 「あ、えっと、ほう……うん、北条加蓮です!」<br /><br /> 「……注意を引ける?」<br /><br /> 「はい!それくらいなら任せて!……ください」<br /><br /> 「…そんなに緊張しなくてもいいわ……くる」</dd> <dt id="a313">313 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:22:42.91 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「アヒャヒャヒャ!!」<br /><br /> 加蓮と名乗った子にかく乱を頼み、散開。<br /><br /> 少し遅れて飛び込んできた憤怒に加蓮が槍を構えて突撃、そのまま突き刺すが構わず暴れまくる憤怒の足を狙い狙撃し、粉砕。<br /><br /> 支えを崩して倒れこむ憤怒から離れた加蓮は、今度は体から黒い泥―――幾つもの蛇を作り出して攻撃して押さえつけた。<br /><br /> 「くうっ!…なら!」<br /><br /> だが、単純な力では考えるまでもなく劣る加蓮が徐々に引っ張られていくが、すぐに今度は再び槍を片手に突進していく。<br /><br /> それと同時にのあもアンチマテリアルライフルを返還し、一気に地面を滑るように跳ねながら近づく。<br /><br /> 「きゃああッ!?」<br /><br /> 突進、槍が届くか届かないかの寸前でいきなりボコボコと憤怒の腕が増えて槍を掴み、恐ろしい力で加蓮もろとも投げ飛ばして身を起こそうとする。<br /><br /> 「アヒャヒャヒャ、ハハハハ!!」<br /><br /> 《Weapon:ミスリル鋼芯使用炸薬式パイルバンカー[憐骸]》<br /><br /> 明らかに異常だが、それでも振るわれる腕を紙一重で避け、アンチマテリアルライフルと並び切り札級である赤く大型のパイルバンカーを至近距離で召喚、そのままゼロ距離で、<br /><br /> 「ゲハハ……!?」<br /><br /> 「…フィニッシュ」<br /><br /> ズドンッと、鈍く重い音と薬莢を排出しながら撃ち込まれた杭の一撃が正確に核を貫いた。</dd> <dt id="a314">314 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:24:16.88 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「……ふぅ」<br /><br /> あたりは爆発とカースの攻撃でボロボロ、しかしなんとか犠牲者は0。<br /><br /> 「……多いわね」<br /><br /> しかし、のあの表情は浮かばなかった。<br /><br /> ―――最近、妙にカースが複数同時に発生するし、だんだんと強力な個体が増えてきている気がする。<br /><br /> 目覚めた、と言うべきあの出会いの日からそんなに日にちは立っていないはずなのに、それでも強力になっているとわかるほど明らかにカースは凶暴性をましていた。<br /><br /> 何か、原因があるのだろうか、そもそもカースはどうして生まれるのか……<br /><br /> 「あのー、ちょっと…」<br /><br /> 「……何かしら?」<br /><br /> と、気づかない内に近づいていた加蓮の声で現実に戻される。<br /><br /> 「えっと…ありがとうございます、かな?」<br /><br /> 「…?」<br /><br /> 「一応、みんな助かったのは………えーと」<br /><br /> 「……のあ」<br /><br /> 「あはは…のあさんのおかげですから」<br /><br /> 「…無理をして堅く話す必要は無いわ」<br /><br /> ―――戦いは激化しても、人に感謝されるのは悪い気はしないと思う、のあだった。</dd> <dt id="a315">315 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:27:54.54 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /> ちなみにこの後、のあは戦いの余波で買ったものが吹っ飛んでいたことに気づいて困惑したり、更にはこの日から加蓮までが料理を食べに来るようになるのだがそれはまた別の話である。<br /><br /><br /><br /><br /><br /> ーーーそして、傲慢の悪魔と魔力を統べる死神の激突により、人々は更に混迷の最中へと陥るのだった。</dd> <dt id="a319"><span class="resnum">319</span>:<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/03(水) 21:27:01.42 ID:wGNEoBYD0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「のあの武装について」<br /><br /> weapon→手持ち武器<br /> leg→脚部装備<br /> arm→腕部装備<br /> back pack→背部装備<br /> option→自立兵器<br /><br /> と言った感じで分類わけされてます。<br /><br /><br /> ・新たに判明した装備<br /><br /> 「Leg:特殊機動装甲[白兎]」<br /> →跳躍力と瞬発力を重視した脚部装甲。<br /> 軽く地面を蹴っただけで1から2メートル程ジャンプでき、使いこなせば立体的な戦い方ができる。<br /><br /> 「Weapon:コロナ・グレネードランチャー」<br /> →小型の灰色のグレネードランチャー。<br /> 弾数は12と少ないが取り回しに優れ、並のカースなら三発程度で塵になる威力。<br /><br /> 「Weapon:対魔翌力障壁弾併用アンチマテリアルライフル[亡牙]」<br /> →重量はあるが、圧倒的な威力と通常弾のほかにバリア等を破壊・貫通できる計三種類の弾丸を使い分けらる強力な武器。<br /> ただし、威力がありすぎるため射線上には特に注意が必要なのと、ある程度の機動力の低下は避けられないため状況を選ぶ。<br /><br /> 「Weapon:ミスリル鋼芯使用炸薬式パイルバンカー[憐骸]」<br /> →魔翌力を遮断する性質のある、現代技術では生成するのが困難なミスリル銀を杭に使用した炸薬式の赤い流線型のパイルバンカー。<br /> それなりの重量もあるが、直撃した時の威力は計り知れない。<br /> また、かなり頑丈で盾としても使える。</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a320"><span class="resnum">320</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb<span class="namenum">6</span>gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/03(水) 21:36:53.30 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙<br /><br /><br /> G3 法子と『わたし』<br /> 投下開始</dd> <dt id="a321">321 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb<span class="namenum">6</span>gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:37:51.32 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  最近……具体的に言うとあの核を吐いた翌日あたりから、『わたし』の自己主張が激しくなった。<br />  以前はぼんやりと感情が伝わって「こうしたいんだな」っていうのがわかる程度だったんだけど、あれ以来はっきりとした言葉を向けてくるようになった。<br /><br /> わたし『ねぇお母様、何をそんなに悩んでいるの』<br /><br />  お母様はやめてよ。13歳の母とかその手のはドラマだけで充分だから。<br /><br /> わたし『連れないのね、わたしという自我は貴女の中で生まれたのよ?<br />     母娘の関係と言えるじゃない。たまには乗って甘やかしてくださらない?』<br /><br />  やだ。<br />  ところで、会話の相手を『わたし』って呼ぶの変な感じなんだけど名前無いの?<br /><br /> わたし『えぇ? そうね……安直だけど全てを喰らう者とかでいいんじゃない?<br />     All Eatar、AかつEなのよ』<br /><br />  AでEだからなんなのさ?</dd> <dt id="a322">322 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:38:20.13 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> AE『あら、分からない?<br /><br />   みちるお母様はBread<br />   かな子お母様はCake<br />   そして貴女がDoughnut<br /><br />   BCDと連なっているでしょ?<br />   わたし(A)から始まってわたし(E)で終わるの。<br /><br />   ねぇ、気づいていて?<br />   わたしを食べたあの日から、貴女たちへ少しずつわたしが染みいって侵していたことを。<br />   わたしという自我が生まれたあのときに、それがピタリと止まったことを』<br /><br />  え、なにそれこわい。</dd> <dt id="a323">323 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:38:56.06 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> AE『今さら怖がっても遅いわよ。<br />   もう終わってしまったことだもの。<br />   そんなことよりお母様、あの仔を捨てたりしないでね』<br /><br />  あの子? 子どもなんて居たっけ?<br /><br /> AE『お母様ったら薄情ね。あんなに苦しんで吐きだしたのに』<br /><br />  あー、あの核? あれが子ども?</dd> <dt id="a324">324 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:39:21.47 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> AE『苦しんだのは貴女でも、あの仔はわたしから生まれたんだもの、わたしの仔よ。<br /><br />   わたしはいずれ貴女たちから一度出るわ。<br />   その時あの仔がわたしに還れば、わたしは十全たる力を得るの。<br />   それはわたしの力を有する貴女たちにとっても利となるわ。<br /><br />   だから決して手放さないよう、かな子お母様に進言して』<br /><br />  えー、まあ、いいけど。<br /><br /> AE『ふふ、ありがとうお母様。<br />   さあ、今夜はもう寝ましょう?<br />   明日も明後日も、まだまだお話する時間はあるもの』<br /><br />  うん、そうだね。おやすみ……</dd> <dt id="a325">325 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:41:24.43 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  全てを喰らう者<br />  暴食のカース<br />  All Eater<br />  法子の中で自我を得た『わたし』の自称<br />  『わたし』を食べることで始まった三人への侵食は、『わたし』に自我が芽生えることで終わりを迎えた<br /><br />  自らの自我と共に生まれた原罪の核を『わたしの仔』と呼び、いずれ一つとなるつもり<br />  今はまだ法子の中にいて、おしゃべりに夢中</dd> <dt id="a326">326 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/03(水) 21:43:20.48 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">終了<br /><br /> 短いけど早めにお披露目したかった<br /><br /> 前回投下で出した原罪はAE誕生の副産物なので、これ以上G3から原罪が生産されることは無いよ</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a329"><span class="resnum">329</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:43:17.85 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙ー<br /><br /> コレはヤバイ<br /><br /> ドキッ☆ベルちゃんのお仕置きターイム♪はっじまるよー<br /><br /> ……すいません。投下します</dd> <dt id="a330"><span class="resnum">330</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:45:00.46 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> GDF極東総司令部<br /><br /> そこは重ぐるしい空気がながれていた。<br /><br /> 「……どういうことですか?」<br /><br /> 新・総司令「どうしたもこうしたもない。前の総司令は辞職した。そして、私が新しい総司令であり、我々GDFはあなたとは今後一切、取引もしない。そして、あの兵器を封印する」<br /><br /> 「我々は地球の繁栄の為に御協力してあげてるのですよ?」<br /><br /> 新・総司令「それが、そもそもの間違えだったんだ。我々は誤ちを起こしてしまったのだ。それで牽制になる?違う……我々は新たな火種の素を作ってしまった。それに気づいたのだよ」<br /><br /> 「使ったのは貴方達ではないですか?いいんですか?貴方がそんなこといってたら地球はm」<br /><br /> 新・総司令「我々をたぶらかすな!今後一切そちらに協力を得ない!!もうこちらにはかかわるなっ!!」<br /><br /> そう言って新・総司令は通信を切った。<br /><br /> 新・総司令「我々はもう二度と誤ちを犯しはしない……」</dd> <dt id="a331">331 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:46:12.41 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ------<br /><br /> 通信を終えた異星人---野々村そらは内心苛立ちを覚えながら、強く通信機をしまった。<br /><br /> そら「(どういうことだ!?どういうことだ!?どういうことだ!?)」<br /><br /> そら「(あと少しで、あと少しで、内紛を起こし、そこからGDFを弱体化させ、それに乗じて野蛮人共で勝手に殺戮を起こし滅亡させる手筈だったのに!)」<br /><br /> そら「(何故急に!?まさか、我々の計画がバレた?いや、そんな筈はない!盗聴器や逆探知機も仕掛けられてない!ましてや、私自身に心が読まれないようにプロテクトもしてある)」<br /><br /> そら「(……何を慌てている。まだ色々と内輪もめをさせる手はある。GDFがダメならアンダーグラウンドの連中に≪おもちゃ≫を渡せば……)」<br /><br /> そう思考していると、部屋に鐘の音がなり始めた。</dd> <dt id="a332">332 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:47:25.90 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そら「はーい。今出ますよー!」<br /><br /> どうせ、またあの神だろう。<br /><br /> なんとか心を読まれないように注意しないと。<br /><br /> そう思いながら、扉を開けた。</dd> <dt id="a333">333 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:48:22.80 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 菜帆「こんにちは~~」<br /> ベル『こんにちは~~』<br /><br /> どこかふくよかで優しそうな知らない女性だった。何故か女性からは二つの声が聞こえた、<br /><br /> だが、そらの勘が警報を鳴らす。<br /><br /> そら「ど、どちら様かなー?」<br /><br /> 菜帆「始めまして~。海老原菜帆っていいます」<br /><br /> ベル『暴食を司る悪魔ベルゼブブです~』<br /><br /> そら「なっ!?」<br /><br /> 悪魔!?何故、そんな奴が!?いや、神がいるんだ。悪魔ぐらいで驚きは……<br /><br /> そう思考してると、菜帆は部屋に入って来てしまった。</dd> <dt id="a334">334 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:50:14.37 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 菜帆「シュークリームもってきました~。食べますか~?」<br /><br /> ベル『それより、あなたには色々と教えてあげないと~。≪友好的な異星人≫さん?裏でコソコソ直接手を下さないで、争わせて、自分は安全だと錯覚してました~?そんなことないじゃないですか~~』ニコッ<br /><br /> そら「!?」ゾクッ<br /><br /> そらは思わず、後退りをしてしまった。目の前の女はのんびりと微笑んでるだけなのに、自分のあらゆるものが警報をならす。<br /><br /> そもそも何故、こいつは私の正体を知ってる?<br /> そして、このタイミング……<br /> まさか!こいつが仕組んだのか?<br /><br /> だとしたら…逃げないと…<br /><br /> そう、ポケットに手をやろうとした。<br /><br /> だが、気づいた時には自分は組み伏せられ天井を見上げていたのだ。</dd> <dt id="a335">335 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:52:47.45 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> それは本当に一瞬だった。<br /><br /> 何かしようと身体が一瞬だけビクッとした瞬間に、そらの身体を何かが押さえつけ、床に組み伏せたのだ。。<br /> 横目で見ると、押さえてるソレは人の腕より大きい虫のような腕が4本だ。<br /><br /> 暴食を司る悪魔ベルゼブブ。蠅の姿の悪魔と言われている。<br /><br /> そして歴代のベルゼブブは----皆、蝿のように素早かった。<br /><br /> 恐らくスピードなら7つの大罪の悪魔1だろう。<br /><br /> そして、いくら鍛えられた工作員とはいえ、力の差は歴然だった……</dd> <dt id="a336">336 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:55:01.75 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ベル『虫ってどこにもいますよね~?虫って五分の魂が宿ってるって言われてますよね~?虫達が見た聞いた情報が私に入ってきたら凄いですよね~?』<br /><br /> 菜帆「けど、ここまで辿り着くのに色々情報をあわせたんですよね~。苦労したんです~」<br /><br /> そら「な、なんで悪魔が邪魔をするのかな!?あなた達悪魔だって色々と悪さをして、滅亡させようとしてるんじゃないのかな!?悪魔ってそういうものだよね?」<br /><br /> 動けない身体に、震えた声で、それでも抵抗しようと、悪魔を睨みながら彼女は吠える。<br /><br /> そして、悪魔の異形の腕がズブズブと、そらの身体にはいっていく。<br /><br /> ----評議会の為に!<br /> ----評議会の為に!<br /> ----評議会の為に!<br /><br /> ----評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!----<br /><br /> ベル『違いますよ~。今のそんな世の中じゃ、考えが古いですよ~?それに悪魔だって人間がいないと生きていけないのですから~~』<br /><br /> 菜帆「それに、争いなんか起こったら美味しいモノが食べられないじゃないですか~?あなたも美味しいモノ食べれば考えが変わりますよ?」<br /><br /> ベル『無駄ですよ?菜帆ちゃん。触ってわかったけど、この子色々弄られてますよ~?自分の意思なんて抑えられちゃってます~』<br /><br /><br /><br /> ---ー評議会の……た…め………に……?</dd> <dt id="a337">337 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:57:04.74 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そら「な、何を言ってるのかなー?わ、私は………」<br /><br /> ---…………私は?<br /><br /> ダマレ!!!ソンナノヒツヨウナイ!!!<br /><br /><br /> ---そういえば私はいつから?<br /><br /> ニンムノジャマダ!!!!カンジョウハイラナイ!!!<br /><br /><br /> ---そもそも、なんで私はこんな事を?<br /><br /> ヒョウギカイノタメニ!ウチュウノタメニ!!</dd> <dt id="a338">338 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:57:52.22 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 私は今ハッピーなのかな?<br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a339">339 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:59:16.96 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そら「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!」<br /><br /> 突然、発狂したようにジタバタ暴れ始めた。<br /><br /> ベルゼブブの腕は、そらの体内に入り、精神プロテクトを直接触れていたのだ。<br /><br /> それにくわえ、色々と言われ、自問自答をしてしまった事により、精神不安定になり、このよつな行動を起こしたのだ。<br /><br /> それは一種の防衛本能だ。</dd> <dt id="a340">340 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:00:49.07 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 菜帆「べ、ベルちゃん。ど、どうするんですか~?」<br /><br /> ベル『ねえ、菜帆ちゃん。菜帆ちゃんはこの子助けたい?』<br /><br /> 急にベルゼブブの声が菜帆の声真似ではなく真面目なものにかわる。<br /><br /> それは、真剣そのもので……<br /><br /> 彼女をこのまま殺すのも生かすのも契約者の菜帆しだいなのだ……<br /><br /><br /><br /> 果たして、彼女は………<br /><br /><br /><br /> 菜帆「もちろん。助けてあげてください」<br /><br /> 即答だった。</dd> <dt id="a341">341 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:01:49.57 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 『その願い。聞き届けた』<br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a342">342 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:03:10.78 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> すると菜帆の背後から、巨大な蟲のような不気味な悪魔が現れる。<br /><br /> 『≪喰い改めよ≫………いただきまぁぁぁぁぁぁぁあす!!!!!!』<br /><br /> そのまま、そらの身体を飲み込んだ。</dd> <dt id="a343">343 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:05:54.65 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ------<br /><br /> 菜帆「ベルちゃん。この子まだ起きないですよ~?」<br /><br /> ベル『精神プロテクトとか、洗脳プログラムとか、悪いモノ色々食べられちゃったんですよ~?なかなか起きませんよ~』<br /><br /> 菜帆は膝枕をされて、眠っているそらの頭を撫でながら、シュークリームを食べていた。<br /><br /> 菜帆「それにしても、ベルちゃん。この部屋にあった変な機械とか食べちゃってたけどよかったんですか~?」モグモグ<br /><br /> ベル『どうせ、向こうにはバレてますよ~。この子が失敗してるって~』モグモグ<br /><br /> ベル『菜帆ちゃんこそ、良かったんですか~。あの総司令の野心や悪心を私に食べさせて、反省した良い人に≪喰い改め≫させるだけで~。それで、マトモな人に席をゆずらせるだけでよかったんですか~~?』<br /><br /> 菜帆「そしたら、美味しいものも美味しく食べられないじゃないですか~。私は今みたいに普通に食べて、ベルちゃんと食べ歩くだけで充分幸せなんです~。そんな事できないです~」<br /><br /> ベル『そうですね~~』<br /><br /> やっぱり、この子を選んで良かった。<br /><br /> そう思いながら、そらが起きるまでシュークリームを食べていた。</dd> <dt id="a344">344 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:07:16.08 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 余談だが、茄子ちゃんにお邪魔した料金として、高級和菓子をプレゼントして菜帆のお財布にちょっとダメージを与えたのは別の話である。<br /><br /> 終わり</dd> <dt id="a345"><span class="resnum">345</span>:<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:08:20.05 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ≪胃界の門≫<br /><br /> 暴食の証。ベルゼブブの口。<br /><br /> 食べたモノを特殊な≪胃≫空間に送り込まれ、食べられたモノを消化し、作り変えて、吐き出し、≪喰い改める≫。<br /><br /> 本来なら魂や存在、なんでもそれをベルゼブブの思い通りに作り変える事が可能だが……<br /><br /> ベルゼブブも菜帆もそれをしようとはせず、ただ悪い感情などを良い感情にしたり、洗脳プログラムを解除し、元の人格に戻してあげるなど必要以上の事はしない。<br /><br /> だから滅多に使われる事はない。</dd> <dt id="a346"><span class="resnum">346</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:11:55.98 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 以上です。<br /><br /><br /> なんか、すいません!!!<br /><br /> そして、そらちゃんの口調難しい……<br /><br /> ついでに前の総司令はベルちゃんに喰い改められて、辞職し罪を償おうと頑張っています。<br /><br /> ベルちゃんが暴食の証を発動する時のイメージはネ○ロが謎を食べる時みたいな感じです</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a365">365 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:52:25.78 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> やっと完成したんで投下します<br /><br /> 今回は…いよいよもってSAN値チェック必要かなあ?<br /><br /> では投下。</dd> <dt id="a366">366 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi<span class="namenum">7</span>reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:54:34.05 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ―――とある日、日菜子のマンション前。<br /><br /> 「はわぁ……どうしましょう」<br /><br /> 「……………にゃ」<br /><br /> 「どこか忘れてしまいましたぁ……ほえぇ…」<br /><br /> 「……そうかにゃ」<br /><br /> 「ふえぇ……確かこの近くのはずなんですぅ…」<br /><br /> 「……なるほどにゃ」<br /><br /> 「困りましたぁ……くとさんは何わかりますかぁ?」<br /><br /> 『×』<br /><br /> ペシペシペシペシ。<br /><br /> 「………………にゃあ」<br /><br /> 「ほえぇ………本当どうしましょう…」<br /><br /> 『…』<br /><br /> ペシペシペシペシ。<br /><br /> 「……………ほえぇ~」<br /><br /> 「………にゃあもうなんなんだにゃこれっていうかコイツなんとかするにゃさっきからペシペシペシペシみくになんの恨みがあるんだにゃ果てしなく鬱陶しいにゃあああ!!?」<br /><br /> 『?』<br /><br /> 「ふえ?」<br /><br /> 「………むふふ♪」<br /><br /> 「そこ!見てないで助けるにゃあ!ゼッタイ日菜子ちゃんの関係者にゃこの感覚は!」<br /><br /><br /><br /> ―――その日、みくは、超弩級天然少女と、手のひらサイズで緑色のタコに遭遇した。</dd> <dt id="a367">367 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:56:25.36 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ―――所変わって、日菜子家。<br /><br /> 「あ、おかえりー」<br /><br /> 「……愛梨ちゃんなんで居るにゃ?」<br /><br /> 「……暑かったから?」<br /><br /> 「あ~!愛梨さんこんにちわです~」<br /><br /> 「久しぶりだねー里美ちゃん!」<br /><br /> 『!』<br /><br /> 「ん、くとさんも久しぶりー!」<br /><br /> みくと日菜子、そして榊原里美と名乗った少女とその頭の上に乗っている謎のタコ『くとさん』が日菜子の家に入ると当たり前のように十時愛梨が居て、勝手に麦茶を飲んでいた。<br /><br /> とりあえず4人で机を囲んで座る。<br /><br /> 「………………にゃあ」<br /><br /> 「あれ、どうしたのみくちゃん?」<br /><br /> と、みくがなぜか落ち着き無く尻尾を振っている事に気づいた愛梨が声をかける。<br /><br /> 「どうしたもこうしたもないにゃ。慣れはしたけどやっぱり3人+オマケまで居たら落ち着かないにゃ」<br /><br /> 「みくさんはなかなか感受性が強いですからねぇ…感じ取ってしまうのもむりないですよぉ」<br /><br /> 「はい、くとさんお茶ですよ~」<br /><br /> 『♪』<br /><br /> 「………いや、なんかもうどうでもいいにゃ…」<br /><br /> 脱力したように座り込み机に突っ伏すみく。<br /><br /> その右側では里美がくとさんにお茶を与えていた。<br /><br /> ―――このくとさん、見た目はほぼタコなのだがジェスチャーで意思疎通ができていた。<br /><br /> …………ただし、その姿は可愛いというか、むしろガリガリと何かゲージ的な物を削られて脱力してしまうようなものなのだが。</dd> <dt id="a368">368 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:57:51.71 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 「それにしても今日も暑いですねー……あ、脱いでいいですか?」<br /><br /> 「やめるにゃ、女の子しか居ないけどその凶器を出すのはやめるにゃ」<br /><br /> 「むふふ……確かに暑いですねぇ…あ、日菜子もちょっと汗がでてきましたぁ」<br /><br /> 「日菜子ちゃん便乗しないでほしいにゃ、十中八九面白がってるってのはお見通しにゃあ」<br /><br /> 「ほえぇ……皆さ脱ぐんですかぁ……なら私も脱ぎます~」<br /><br /> 「だぁこのド級天然娘があああ!?なんでホントにぬぐにゃあああああ!!」<br /><br /> 『///』<br /><br /> 「そこ!赤くなるにゃ茹でダコと変わんないにゃああ!!………はぁ、なんでこんな目に合わなきゃなんないにゃ…」<br /><br /> 「はわぁ……お疲れ様です~」<br /><br /> ひとしきりツッコミをした後、ガクンっと心底疲れたように脱力するみく。<br /><br /> 「だいたい、もうちょっと色々教えてくれても良いと思うにゃあ」<br /><br /> 「何をですかぁ?」<br /><br /> 「……のあちゃんから聞いたにゃ。ベルちゃんが日菜子ちゃん達は、なんというか………この世界の条理というか、法則というか、そう言ったものから外れかかってる感じがするって言ってたって」<br /><br /> それは紛れもなく、力を持つ七大罪の悪魔の一人、ベルゼブブの言葉であった。<br /><br /> 更にいえば、ある意味妹分である城ヶ崎莉嘉や最近来るようになった北条加蓮もベル程ではないが何か感じ取っていたようだった。<br /><br /> 「……確かに、最初はちょっと怖かったにゃ。けど、日菜子ちゃんも愛梨ちゃんも、それにまだよくわかんないけど里美ちゃんもきっと悪い子じゃ無いっていうのは感じるにゃ」<br /><br /> だからこそ、みくは聞いてみようと思った。<br /><br /> ―――一緒に過ごしてきた中で、感じた違和感を。<br /><br /> 「だから、教えてほしいにゃ。日菜子ちゃん達が何を抱えてるかを、にゃ」<br /><br /> 「…………参りましたねぇ……むふふ」<br /><br /> 「えーと、隠してるつもりは無かったんだけどなぁ」<br /><br /> 「ほえぇ…」<br /><br /> 『…』<br /><br /> 「………そうですねぇ、」<br /><br /> そして彼女は、</dd> <dt id="a369">369 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:59:14.30 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 「―――日菜子達は、寂しくて寂しくてしかたがなかった神様たちに魅いられちゃったんですよ……むふふ♪」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ―――謳うように、笑うように、憐れむように、懐かしむように、そう言った。<br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a370">370 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:02:27.95 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 「むかしむかし、本当に気が遠くなるくらいとてつもなく昔、この世界に存在していた、旧くて忘れられて世界に否定された神様たち―――『旧支配者』………それが、日菜子とみなさんが内に秘めてるものですよ」<br /><br /> 「本当にとてつもなく強い力を持ってたらしいんだけどね……それでも、ある時突然ほとんどが姿を消したって教えられたよ」<br /><br /> 「えっとぉ……強すぎたから世界に嫌われたんでしたっけ~?」<br /><br /> 『○』<br /><br /> 「むふ……そして、嫌われ者の神様たちはその全てがあらゆる場所に分けられて封じられたんです……終わることのない牢獄に」<br /><br /> 「それが解けたのが『あの日』なんだよね」<br /><br /> 「けど、それでもたくさんダメダメって感じなんですよね~、くとさ~ん」<br /><br /> 『○』<br /><br /> 「………え?なにまさかとは思ってたけどコイツがそのきゅーしはいしゃって奴なのかにゃ?」<br /><br /> 「むふふ…そうですよぉ、くとさんは本当は怖くて忌まわしい神様の一柱なんです」<br /><br /> 「ほえぇ……くとさん怖いんですかぁ?」<br /><br /> 『×』<br /><br /> 「うわっ…色々と台無しになった気がするにゃ」<br /><br /> 机の上でふんぞり返っていたのに、里美が天然発動して日菜子の言葉を信じかけると慌てて否定しているタコもどきを見ていると本当に色々と台無しだった。<br /><br /> 「むふふ♪……けど、本当にこんなになってしまうくらい運良く封印から開放された神様たちは弱ってたんですよぉ」<br /><br /> 「後は……みんなそれぞれ事情が違うし、人に話すような事じゃないから今は言えないけど……こうして、神様たちが存在するために一緒になったんだ」<br /><br /> 「……あ、神様と一緒にいることは日菜子後悔してませんよぉ?むしろ日菜子は自分からしましたからぁ♪」<br /><br /> 「私も………うん、私も後悔してないかな。きっと、こうするのが一番だったから」<br /><br /> 「ほわぁ………私もです~。かわいそうでしたし……大変、でしたから~」<br /><br /> 『…』</dd> <dt id="a371">371 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:03:14.21 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 「………とりあえず、今はこのくらいですねぇ……あまり話せる事は少ないですし、一気に説明すると分かりづらいですからぁ…むふふ」<br /><br /> 「……なんだかよくわかんなかったけど、やっぱりみくの目に間違いはなかったにゃ」<br /><br /> 「ほぇ?」<br /><br /> 一通り話を聞いて、けどまだよくわからなかったみくだが、一つだけわかったことがあった。<br /><br /> 「3人ともやっぱり悪い子じゃないって事にゃ。それだけ分かってちゃんと話してくれたんだからみくはそれで十分にゃ」<br /><br /> 「…流石だなぁ、みくちゃんは」<br /><br /> 『○』<br /><br /> 空気が和む。<br /><br /> 少なくとも、嘘をついている目では無かったし、なら今はこれでいいとみくは思う。<br /><br /> 「にゃはは!……にゃ、そろそろ準備しないと莉嘉ちゃんとの約束に間に合わなくなるから、続きはまた今度聞くにゃ」<br /><br /> 「はい♪日菜子はいつでも構わないですからねぇ……王子様の事でもありますし………むふ、むふふ♪」<br /><br /> 「…そういえば、ずっと気になってたけけど日菜子ちゃんの王子様って名前とかないのかにゃ?いやきっとさっき話した、きゅーしはいしゃってのだとは思うけどにゃあ」<br /><br /> 「……知りたいですかぁ?」<br /><br /> 「にゃ」<br /><br /> 「……………むふ、むふふふふ♪」<br /><br /> ふと起きた一つの疑問。<br /><br /> その答えを持つ少女が、立ち上がると同時にふわっとみくの隣に来る。<br /><br /> 「…特別ですからねぇ、ちゃんと聞いてくださいねぇ♪」</dd> <dt id="a372">372 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:04:48.48 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 「―――『這い寄る混沌』―――『ニャルラトホテプ』と呼ばれていた素敵な素敵な日菜子の王子様ですよぉ……むふふ♪」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a373">373 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:05:38.90 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ――――――。<br /><br /> 「……強いね、みくちゃん」<br /><br /> 「みくさんだけじゃないですよぉ……ここに来る人はみんな、心の中に何か強いものを持っていますからぁ」<br /><br /> 『…』<br /><br /> 「日菜子ちゃんがそう言うなら、きっとそうですよ~」<br /><br /> 「……なら、私たちも頑張らないとね!」<br /><br /> 「むふふ♪…そうしましょうかぁ♪」<br /><br /> 「はわぁ…お二人ともやる気が出てます~、私たちも頑張りましょうね~くとさん」<br /><br /> 『!』<br /><br /> みくを見送った後、神に魅入られた者たちは何気ないように話していた。<br /><br /><br /> 「とりあえずですけど『原罪』は『悲劇』が起きた場所に埋めておきました……『種』みたいだったので生まれるのはきっと『木』だと思いますよぉ」<br /><br /> 「『旧き魔道書』の一冊がありそうな場所を見つけたけど…あそこは『歪み』が酷くて私だけじゃちょっと時間がかかるかも……そんなに強い本じゃなさそうだけど…」<br /><br /> 「桃華ちゃんの所は、なんかおかしい動きがあるっておにいちゃんが言ってました~……でも残りの『悪魔』さんも『死神』さんもどこにいるかさっぱりです~…」<br /><br /> 『×』<br /><br /><br /> 「そうですかぁ……とりあえず、今までどおり一つずつこなしていきましょうかぁ………むふふ♪」<br /><br /><br /><br /><br /> 続く?</dd> <dt id="a374">374 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定 </b>◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:06:43.84 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 『旧支配者』<br /> →太古の昔、世界を支配していたとされる神々の総称。<br /> 強大な力を持つが、ある時世界そのものに存在を否定され、様々な種族の手によってことごとくが封印された。<br /> 現在では、一部が封印から脱しているがその力は極端なまでに低下しており、存在を維持するには人間の魂と同化・共存しなければならない。<br /> しかし、それでも古と比べてのパワーダウンであり一般的な目から見れば充分強大な存在である。<br /><br /> 『くとさん』<br /> →榊原里美がいつも連れ歩いているタコみたいな緑色のナマモノ。<br /> 手のひらサイズであり、ジェスチャーで意思疎通をするがその様子は何かがガリガリと削られていく感覚が起きる少々冒涜的なものだったりする。<br /> その正体は旧支配者の一体であり水の神性。<br /> 里美と共生している。<br /><br /> 『原罪の種』<br /> →日菜子が回収した原罪の核が変化した、植物の種のような物質。<br /> 日菜子曰く、成長するとやがて『木』となるらしい。<br /> 現在はとある場所に埋まっているらしい。<br /><br /> 『旧き魔道書』<br /> →太古の昔に存在していた力もつ書物。<br /> そのほとんどは歴史の闇に葬られ、人々の記憶からは消え去っている。<br /> しかし、それでも現存はしているらしく空間を超えて様々な場所・世界に散らばっている。<br /><br /> 『ニャルラトホテプ』<br /> →『這い寄る混沌』『無貌の神』とも呼ばれる。<br /> 旧支配者の中でも特に強大な力をもつ神の一体であり、日菜子と共生している。<br /> 今のところ名前以外は謎の存在。</dd> <dt id="a375">375 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定 </b>◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:07:24.62 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ・榊原里美<br /> 属性:人間?<br /> 能力:「水」の操作、???<br /> 詳細:<br /> 名家中の名家『榊原家』の出身であるドがつくレベルの天然少女。<br /> 榊原家は古くから財界や政界と根深い関係にある家系であり、主に監査や査察を受け持ってきた。<br /> のだが、そういった事は『おにいちゃん』にまわることが殆どで里美自身はのびのびと育ったためそういう『暗部』についてはあまり知らない。<br /> いつも『くとさん』と呼ばれるタコみたいな生物を連れて歩いており、ある意味里美のボディガードである。<br /> あまり戦うのは得意ではないと言うが、くとさんがサポートしているためやはり侮れなかったりする。<br /><br /><br /> ・イベント情報<br /> 1.原罪の核が種になって埋められました。最近起きた大きな悲劇の舞台といえば…<br /> 2.どこかのダンジョンに精神をやられそうな魔道書が出現しました。</dd> <dt id="a376"><span class="resnum">376</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:09:28.86 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 投下終了です<br /><br /> …なんだか一気に設定掘り下げたから少し不安ですが、何か無理がありましたらスルーで;<br /><br /> それではお目汚し失礼しました。</dd> <dt id="a387"><span class="resnum">387</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/05(金) 17:59:13.89 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 度々すみません、説明不足の補足を。<br /><br /> 自分の中では<br /> 大量発生(原因不明)→更地→夕美ちゃんが森に→『悲劇』の地として原罪の種を埋める<br /><br /> という感じです。<br /><br /> 原罪と大量発生は関係ないはず<br /><br /> では本当に失礼しました</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a390"><span class="resnum">390</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:32:58.17<span class="id">ID:uftpE7LTo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 大槻唯ちゃん投下します。<br /><br /> 設定は投げ捨てるもの</dd> <dt id="a391">391 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:34:03.42 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 夕刻、海老原菜帆はネオトーキョーのとある高級ホテルのエレベーターに乗っていた。<br /><br /> 菜帆「ベルちゃん私こんなところに来るの初めてですよ~」<br /><br /> ベル『私の用事につき合ってもらってごめんなさいね~』<br /><br /> ベルゼブブはつい先日、とある事情で虫を利用して情報を集めている際にコンタクトをとってきたものがいた。<br /> 相手はネオトーキョーの高級ホテルの最上階にある展望レストランを待ち合わせ場所に指定してきたのだ。<br /><br /> 菜帆「ベルちゃん夜景がきれいですよ~」<br /><br /> エレベーターから眼下に広がる人工光が星空のように地上を照らしている。<br /> ここ近年技術は目まぐるしく発展している。<br /> さらに『あの日』より様々な技術が流入してきたことにより人類の生活レベルは格段に跳ね上がった。<br /> そしてこの経済特区ネオトーキョーはその象徴ともいえよう。<br /><br /> ベル『それが幸か不幸かはわかりませんけどね~』<br /><br /> 菜帆「どうかしましたか~?ベルちゃん?」<br /><br /> ベル『いえ、私たちは美味しいものが食べられて、幸せならそれでいいな~って、それだけですよ~』<br /><br /> 菜帆「そういえば私ここのレストランの料理前々から食べてみたかったんですよ!」<br /><br /> ベル『お代は向こう持ちだそうですから、気にせず食べられますよ~』<br /><br /> そうこうしている間にエレベーターは最上階に到着したのを知らせるように高い音を鳴らす。</dd> <dt id="a392">392 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:35:27.45 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 最上階にある展望レストランは星を持っているので、客層はかなり富裕層の人間が多い。<br /> そこに人間の立ち振る舞いはきらびやかな場にそぐう様に気品にあふれていた。<br /><br /> しかし菜帆はそういった家の生まれではないので服装だけは整えてきたものの、やはり周囲から少し浮いていた。<br /> そんな奇異の対象として見られていたので、菜帆は落ち着かない様子で店内を進んでいく。<br /> そんな菜帆にこのレストランのウェイターであろう男が近づいて行った。<br /><br /> 「海老原菜帆様でいらっしゃいますね」<br /><br /> 菜帆は後ろから急に話しかけられたため少し驚いて体を震わせたが、ウェイターの方へと体を向ける。<br /><br /> 「奥の個室まで案内します。大槻様がお待ちです」<br /><br /> そういってウェイターに先導されながら、レストランの関係者以外立ち入り禁止の場所へと入っていく。<br /> そして案内された個室は、ネオトーキョーを一望できるような大きなガラス張りの窓の部屋になっていた。<br /> 電気がつけられていないが、いくつか置いてある燭台の火とネオトーキョーの光で十分な明るさを保っていた。<br /><br /> そんな部屋の中にあまりに場違いな少女が窓を背に座っていた。<br /> この高級レストランにはあまりにもそぐわない流行りの服装で、ウェーブのかかった金髪には室内だというのに帽子をかぶっていた。<br /> さらに目を引くのが口にくわえた大きなくるくるキャンディだろう。<br /> 当然このレストランのメニューではないので外から持ち込んだものなのだろうと予想ができた。<br /><br /> 「ちぃーっす!待ってたよ♪」<br /><br /> 菜帆はこの少女とは初対面だがまるで少女は知り合いにでも合うかのように挨拶をしてくる。<br /> その挨拶にはベルゼブブが答えた。</dd> <dt id="a393">393 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:36:34.79 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ベル『お久しぶりで~す。バ』<br /><br /> しかし途中で少女に遮られる。<br /><br /> 「おっと、アタシは今は大槻唯って名乗ってるの♪こっちで呼んでくれるとうれしいなっ」<br /><br /> ベル『わかりました~。唯さん」<br /><br /> 唯「んー、違う違う。アタシとベルちゃんの仲なんだから『さん』なんてつけなくていいってばー」<br /><br /> 菜帆を置き去りにしたままベルゼブブと唯の会話が進んでいく。<br /><br /> 唯「ところでその子がベルちゃんの契約者?」<br /><br /> ここで急に話題が菜帆へと向けられる。<br /><br /> 菜帆「あ、えーと、海老原菜帆です。ベルちゃんとは仲良くさせてもらってます~」<br /><br /> 唯「よろしくねっ、菜帆ちゃん。ところでそれ、食べる?」<br /><br /> 個室の会話での配慮なのだろう。すでにコースメニューがすべて机に並べられており、食欲を誘う香りを放っていた。<br /> なので菜帆の口からはよだれが漏れ出していた。<br /><br /> 菜帆「あっ、ごめんなさ~い」<br /><br /> 菜帆は慌てて垂れたよだれをぬぐった。<br /><br /> 唯「やっぱりベルちゃんの契約者だけはあるね。さぁジャンジャン食べて☆ご飯食べながらのほうが話も盛り上がるだろうし。ベルちゃんももう我慢できないでしょ!」<br /><br /> 菜帆「ごめんなさ~い、じゃあ遠慮なく」</dd> <dt id="a394">394 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:37:13.32 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /> 菜帆「いただきます」<br /> ベル『いただきます』<br /><br /><br />  </dd> <dt id="a395">395 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:38:29.62 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 手を合わせた後、まずは前菜から手を伸ばした。<br /><br /> 前菜である魚介のサラダに手を付ける。<br /> みずみずしい触感が口の中で音を立てソースドレッシングが野菜の味を殺さず、引き立てている。<br /> 魚介である海老とカツオはソースに加えて、食材そのままの塩味が胃を満足させるどころかさらなる食欲を湧かせる。<br /><br /> 唯「じゃあ本題に入るけどね。今回呼んだのは実はおいしいご飯をご馳走してあげるためじゃないんだ☆」<br /><br /> ベル『私が一番楽しみにしてたのはここのお料理なんですけどね~』<br /><br /> 会話中も手は止まらない。<br /> スープはやはり少し冷めてはいたが、それでもなお口に運べばぬくもりを伝播していく。<br /> よくあるブイヤベースだが、複数の魚介と香味野菜から出たうまみは混ざり合いながらも互いに引き立てあっていた。<br /> それは口内を満たすことによって、舌からだけではなく口全体でそれの味を貪欲に吸収しているように錯覚するほどであった。<br /><br /> 唯「たしか今の怠惰と傲慢が魔界に連れ戻されたんだよねー」<br /><br /> ベル『ええ、ちょっとやりたい放題し過ぎたようですね~』<br /><br /> 唯「キャハハハハ!ダッサ~い。もっとうまくやれなかったのかな?」<br /><br /> ベル『私みたいに正規の手順を踏めばよかったんですけどね~。それにあまり悪さもしなければ連れ戻されることもなかったのに』<br /><br /> 唯「悪魔に『正規』とか『悪さをしない』とかを求める方が酷ってもんでしょー。逆にベルちゃんがいい子すぎるんだって」<br /><br /> そういって唯は目の前にあったオレンジジュースの入ったグラスに手を付けた。<br /> その小さな口は刺さっていたストローに口をつけて、ジュースを吸い上げる。</dd> <dt id="a396">396 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:39:37.41 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 唯「ぷはぁー。悪さをしなくても欲を満たせるベルちゃんとは違うからねー。でも本来悪魔なんだから欲に忠実に生きないとね☆」<br /><br /> ベル『みんななかなか思うようにすごせないんですね~』<br /><br /> 唯「悪魔なのに欲望を抑えられてる今がおかしいんだよ。まぁ捕まった二人を同情するわけでもないんだけど」<br /><br /> 菜帆はこの間にも手は止めない。<br /> メインディッシュである肉厚のステーキへとついに手を伸ばした。<br /> 国内産の最高級ビーフのステーキは付け合わせとのいろどりの中、宝石のように輝く。<br /> ナイフとフォークを丁寧に用いて、一口大にカットした。<br /> その際に湯気を未だに立てながら肉汁がミディアムレアに焼き上げられた軽いピンク色の断面からこぼれだした。<br /><br /> これを目の前にして我慢できるものがいようか。<br /> 菜帆は丁寧に、待ちきれないように、上品に口へと運ぶ。<br /> 口へと運んだ途端にステーキソースの洗礼を受ける。<br /> 肉をコーティングしたソースは肉汁と合わさることによって、味覚を刺激する。<br /> そして肉を噛むことによってさらなるうまみを内包した肉汁の奔流を発生させる。<br /> その肉は柔らかく簡単にかみ切れてしまう。それでも奥歯で噛みしめると踊るような弾力があった。<br /> その触感は神経を伝わって脳を震わせる。<br /> その頃湧き出した肉汁は口内を覆いつくし、するりと肉を胃へと落としていった。<br /><br /> それなのにも関わらず口内にはいまだに肉の触感の余韻を残している。<br /> 胃は歓喜に満ち、さらなる獲物を求める。<br /><br /> 菜帆「……ああ」<br /><br /> 菜帆(……しあわせ)<br /><br /> 菜帆の幸福度は上昇を続ける。<br /> もはや手は止まらない。<br /> 下品にならないように、丁寧に、さらに口へと運んでいく。<br /> 菜帆は恍惚の表情を浮かべていた。</dd> <dt id="a397">397 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:40:36.33 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 唯「結局のところ、詰めが甘かったってことだね☆自身の欲のためならそれをただ求めるだけじゃダメってこと」<br /><br /> ベル『う~ん?私にはよくわからないです』<br /><br /> 唯「とにかくアタシも欲のためにいろいろ苦労してるってワケ!だからこそできることはやっておこうと思ってるんだよねー」<br /><br /> 唯はテーブルにオレンジジュースを置いて、菜帆、ベルゼブブの瞳を見つめながら言う。<br /><br /><br /><br /><br /><br /> 唯「同じ『暴食』の悪魔として、ゆいたちに協力してくれないかなっ?」<br /><br /><br />  </dd> <dt id="a398">398 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:42:09.49 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 菜帆「どうして断っちゃったんですか~?」<br /><br /> 菜帆は今、来たときにも乗っていたエレベーターで階を下っていた。<br /><br /> ベル『だって菜帆ちゃんに迷惑かけちゃうと思いますからね~。唯さんは嫌いではないですけど、今は菜帆ちゃん優先です~』<br /><br /> 菜帆「でもおいしいものをいっぱい食べさしてくれるっていうので、すこしもったいなかったかな~って」<br /><br /> ベル『でも協力するといろいろ面倒なことになるでしょうし、菜帆ちゃんのことを考えると承諾はしかねますね~。<br /> やっぱり私はおいしいものを食べてるときが一番幸せなんです。<br /> そして新しいおいしいものを探すのも楽しみなんですよ~。<br /> ごちそうしてもらうのもいいけど、やっぱり菜帆ちゃんと見つけたおいしいものを食べたいんですよ~』<br /><br /> 菜帆「そう言ってもらうと、なんだか照れちゃいます~』<br /><br /> エレベーターはかなり下の方まで来たので先ほどまで見下ろしていた町の光は眼前にあった。<br /> 夜であってもこの町は眠ることはない。<br /> ホテル最上階の落ち着いた雰囲気と違い、人々の雑踏が窓からうかがえる。<br /><br /> 菜帆「ところで結局よくわからなかったんですけど、唯さんはどんな人なんですか?」<br /><br /> 終始食事に夢中になっていた菜帆は本来一番初めに疑問に思うことを思いつく。<br /><br /><br /><br /><br /> ベル『え~と、私の大先輩、初代ベルゼブブさんですね~』<br /><br />  </dd> <dt id="a399">399 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:43:27.16 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 大槻唯はホテルの屋上の端からネオトーキョーを見下ろしていた。<br /><br /> 唯「やっぱりあの菜帆ちゃん、いい顔してたねー。アタシの契約者になってほしくなっちゃったな♪」<br /><br /> そのとき唯の背後から轟音が響く。<br /><br /> 唯「でもベルちゃんに怒られちゃうからやっぱり駄目だよね。ベルちゃんの勧誘には失敗したけど、ゆいたちの邪魔はしないみたいだしそれでいいかなっ」<br /><br /> 轟音は上空から響く。<br /> 空からはヘリコプターが下りてきていてそのローターが音を響かせていた。<br /><br /> 唯「そう、欲のため、目的のためならできることは全部しないといけないし、仲間は多いに越したことなしっ!」<br /><br /> ヘリはすでにヘリポートに着陸しており、メインローターは勢いを少し落としつつも大きな音と強風を生み出していた。<br /> 唯はヘリの方を振り返る。<br /><br /> ヘリから男が下りてきて唯に近づいていき、頭を下げた。</dd> <dt id="a400">400 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:44:19.08 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /> 「お迎えに上がりました。バアル・ゼブル(崇高なるバアル)」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 唯「この街はいい街だね。混沌として秩序のない感じ、アタシ大好き☆」<br /><br /> 唯はそのまま男に連れられヘリへと乗り込む。<br /><br /> 唯「ゆいたちはこの混沌の時代を待ち続けた。うひひ、計画を実行に移す日はもうすぐだねっ」<br /><br /> 唯は楽しそうに、凶悪な笑顔を浮かべる。<br /> ヘリはそのままローターの回転を上げてヘリポートから浮かび上がった。<br /><br /> 男は口を開き賛同する。<br /><br /> 「ええ、我ら『イルミナティ』の理想は目前です」<br /><br /> 唯「そう、アタシを堕としたときと同じ屈辱を与えてアゲル♪<br /><br /> 全能神、神をこの混沌の世界の元に引き摺り降ろしてやるんだから」<br /><br /> ヘリはそのまま星の見えない暗闇の空へと消えていく。<br /> そしてそのまま地上からは見えなくなっていった。<br /><br />  </dd> <dt id="a401">401 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:45:55.66 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 大槻唯(??)<br /> 職業 『イルミナティ』創設メンバー<br /> 属性 邪神<br /> 能力 不明<br /><br /> かつて天界を追放され、魔界へと堕ちた神バアルであり暴食の悪魔、初代『ベルゼブブ』。<br /> すでに死んだと思われているが、魔界から姿を消した後、人間界で暗躍してきた。<br /> それはごく一部の悪魔のみが知っている。<br /> 天界と自身を追放した全能神に復讐を誓っている。<br /> 普通の悪魔と違って元神(邪神)なので普通では殺すことができず、寿命で死ぬこともない。<br /> 見た目は天界にいたころから変わっておらず、悪魔らしからぬ容姿。結構ミーハー。<br /> 暴食の悪魔だったが、あまり『暴食』ではない。<br /> 大槻唯という名前は現在人間社会で名乗っている名前である。<br /><br /> イルミナティ<br /> 悪神信仰のある秘密結社。その実態は悪魔によって作られた組織で名称は時代とともに変わり、また特定の名称でもない。<br /> 組織としての目的は世界の掌握だが、バアルにとっては『神堕とし』が目的。<br /> 古くから世界中に影響を及ぼし、アンダーワールドや外宇宙とのつながりもある。<br /> 魔法や能力なども『あの日』以前から手中に収めている。<br /><br /> 高級和牛のステーキ~地中海の香りとともに~<br /> ホテルのコースメニューのメインディッシュで厳選された食材を用いた至高の一品。<br /> 頬がとろけるうまさ。腹減ってきた。<br />  </dd> <dt id="a402">402 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:46:52.70 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 以上です<br /> ヒーローといったら悪の秘密結社です。<br /> いろんな勢力と繋がってる設定にしたので悪同士のパイプ役に使ってもらうのもあり。<br /> またいろんな能力とか設定の敵も出しやすいようにしてみました。<br /><br /> 唯ちゃんの口調難しいですね。</dd> </dl><h4>その3へ</h4>
<dl style="padding-top:10px;"><dt id="a221"><span class="resnum">221</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY<span class="namenum">2</span>y<span class="namenum">1</span>UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:06:45.01<span class="id">ID:NljtLaCR0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ユズvsルシファー投下します</dd> <dt id="a222"><span class="resnum">222</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:07:28.50 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 今日も街は霧に覆われている。たった一人の少女を隠すために。<br /><br /> 「姫様、アタシちょっと出かけてきますね。」<br /><br /> 「ほう、どこに行こうというのだ?」<br /><br /> 「…えっと、知り合いの魔法使いに会いに…」<br /><br /> 「我も行くぞ!」<br /><br /> 「えー…」<br /><br /> ブリュンヒルデの起こす魔の霧のおかげで、ユズはある程度自由に行動できるようになった。<br /><br /> 例えば誰だか知らないがカメラを持った男は同じ道をずっとグルグル歩き、ユズが近づくとユズが視界に入らないように動き、別の場所をグルグル歩く。<br /><br /> 傍から見れば滑稽だが、本人は大まじめにユズを探しているようだ。<br /><br /> こうなってしまえばユズから会おうと思わない限り二度と彼とユズは出会えない。<br /><br /> 「あら、柚ちゃんお出かけ?最近霧が濃いから車には気を付けてねー!昼子も!」<br /><br /> 「はーい!」<br /><br /> 「わかっておる!」<br /><br /> 昼子の洗脳により、神崎蘭子の両親には彼女は喜多見柚という、『両親が海外に出張している親戚の少女』と認識されている。<br /><br /> (正直申し訳ないんだけどね…食費とか食費とか…)</dd> <dt id="a223">223 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:08:29.81 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 数日後、とある市街地で、二つのテレビ局が今まさに生放送を始めようとしてた。<br /><br /> 「ディレクター!本当にここにあの死神が来るんですかー!?」<br /><br /> 「サクライP様直々に教えてくださった情報だぞ!疑うな!理由は知らんがその死神の悪行映しているだけでボーナスもらえるんだぞ!」<br /><br /> 財閥の息のかかったテレビ局。それらにもたらされた情報は、『死神の今までの行動パターンから推測される出現位置』。<br /><br /> それが真実かはともかく、その二つのテレビ局が丁度持っていた生放送のニュース番組でその辺りに取材を申し込んでいた。<br /><br /> 「死神が来なくても普段通りにやればいいんだ。何も考えることはない!」<br /><br /> そこに、笑い声が降り注いだ。<br /><br /> 「あはは♪人間共!死神ユズちゃんだよー!」<br /><br /> 黒いコートに大きな鎌。カースを従えた恐怖の死神だ。<br /><br /> 「来たぞ!」<br /><br /> 逃げながらカメラが死神を映し出す。その映像はすぐに生放送として放送される。<br /><br /> 死神ユズの悪行を、全国に届けているのだ。<br /><br /> すぐさま他のテレビ局、新聞会社も映像を、写真を一瞬でも撮ろうと集ってくる。<br /><br /> 「まて!」<br /><br /> 不意に、別の声が響き渡った。そして不思議なことが起きる。<br /><br /> 死神に従う様に動いていたカースが消滅したのだ。<br /><br /> 黒いコートに綺麗な水晶のついた杖に跨った姿。魔力から生まれたカースを魔力を奪うことで消滅させた…もう一人の死神ユズだ。</dd> <dt id="a224">224 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:09:04.95 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…あれあれー?ユズがもう一人いるぞー?」<br /><br /> 「やっとアンタを倒すことができるよ…ね、偽物サン?」<br /><br /> ルシファーが化けたユズはふざけた態度をとりながらも鎌を構え、本物のユズは決して鎌を構えず、杖から降りるとそのまま杖を構えた。<br /><br /> 「やっぱり、偽物サンは杖が使えないみたいだね!」<br /><br /> ユズがルシファーを馬鹿にするように杖を振りかざす。たちまちルシファーの周囲の魔力が遮断されてしまった。<br /><br /> …ルシファーは、鎌や杖をバッヂから元の姿に戻すことはできる。そこまではユズの性質だからだ。<br /><br /> しかし、持ち主を選ぶ杖のようなものは、性質で選んでいるわけではない。魂で選んでいるのだ。<br /><br /> だからこそ、大罪の悪魔たちが人間に取りついてもその道具を使えるわけで。<br /><br /> 簡単に言えば杖を出しても消滅してしまうのだ。<br /><br /> …つまり今のルシファーは劣化版ユズなのである。</dd> <dt id="a225">225 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:09:34.84 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 様々なカメラが彼女達を映す。ここで変身を解けば強欲の彼女の作戦は狂ってしまう。それにここならヒーローはともかくGDFのような部隊は来れないはずだ。<br /><br /> つまり、戦火に紛れて本物に罪を擦り付けることも困難、杖に跨ってスピードの上がった彼女から逃げることも困難な訳で。<br /><br /> ルシファーに残された選択肢は一つしかない。このままユズの姿で勝つことだ。<br /><br /> 『『雷よ、大いなる我が力に従い、その音を置き去りにして走るその身をもって我が敵の生命に終止符を打て!』』<br /><br /> 二人の魔術がぶつかり合う。しかし、魔力を遮断されてはそこまでの威力は出ない。カースを生み出し、打ち消しきれなかった雷を受けた。<br /><br /> 「ぷち、ゴー!」<br /><br /> 「みー!」<br /><br /> 魔法陣から一体の使い魔が飛び出し、風に乗ってカースの核を破壊してゆく。<br /><br /> それと同時にその風がルシファーを打ち上げた。</dd> <dt id="a226">226 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:10:33.93 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 下から杖に魔力で構成された刃で作られた鎌でユズが追撃してくる。<br /><br /> 「…自分の力を甘く見たね…!」<br /><br /> しかし、ルシファーが魔法の風で体制を変え地面に向かって加速させる。<br /><br /> 鎌を振りかぶってユズを迎え撃つ。杖を鎌で弾くと、そのまま重力に身を任せて押し倒すように地面へ叩き付けた。<br /><br /> あんな高度からあんな速度で叩き付けられたのだ。死んではいないだろうが、無事でいるはずがない。<br /><br /> 「トドメだよ、『偽物サン』♪」<br /><br /> ルシファーは笑顔のまま、気絶したユズの心臓に向かって鎌を振り下ろした。</dd> <dt id="a227">227 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:11:00.73 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> パリン</dd> <dt id="a228">228 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:11:38.08 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 何かの砕けるような音。もちろんルシファーの想像していた生々しい感触とはかけ離れた物。<br /><br /> それがクリスタルの砕けた音と判断したのは、暴風というのも生ぬるい程の風が襲い掛かってからだった。<br /><br /> …使い魔の核となっているクリスタルは魔術が刻まれた物だ。そもそも魔力そのものであるクリスタルを制御する為に人格を与えたに過ぎない。<br /><br /> クリスタルは圧縮された魔力。砕けたり、管理人以外が触れれば魔力はもちろん解放される。<br /><br /> それが何も刻まれていない物ならいい。しかし、使い魔のそれの場合、刻まれた魔術が魔力と反応し、初級、中級、上級、応用、発展…全てが同時に発生する。破壊した対象に向かって。<br /><br /> その結果がこの空中に投げ出されたルシファーなのだ。<br /><br /> 「いつの、まに…!」<br /><br /> もちろん、使い魔と入れ替わっていると錯覚させるほど、ユズは幻術魔術が得意ではない。<br /><br /> なら誰が?</dd> <dt id="a229">229 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:12:18.38 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「二人とも、いくよー!」<br /><br /> 「「「合唱魔術・三角陣形結界の発動を宣言する!」」」<br /><br /> 空中でルシファーを囲むように3人の少女が宙に浮かんでいた。<br /><br /> 一人はユズ。一人は悪姫ブリュンヒルデ、そして魔法使いイヴ。<br /><br /> 正義のヒーロー側の魔法使いと、悪を名乗ってはいるものの、悪行は犯したことがなく、人々を何度か救っている少女。彼女達と悪のはずの死神少女が同時に仲良く魔法を使っている。<br /><br /> …この光景はどう人々の目に映るだろうか?<br /><br /> 『空間の管理者よ、我が魔力を生贄に我が敵の自由を奪え!ロックドサイン!』<br /><br /> 完全に自由を奪われたルシファーはユズがこちらに高速で飛び掛かり、杖で作られた鎌が振り下ろされる光景を瞬きすら許されずに見せつけられた。<br /><br /> 悪魔から解放された雪菜は元の姿へ戻り、地に落下するが、イヴの召喚したブリッツェンによってキャッチされた。</dd> <dt id="a230">230 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:12:46.90 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「おい!カメラ止めろ!死神の善行なんて映すな!サクライPの意向と違う!」<br /><br /> 「ディレクター!あの死神ちゃん、いい子じゃないですか!」<br /><br /> 「いいから止めろ!生放送だぞ!」<br /><br /> しかし、他のテレビ局、新聞会社は地面に降り立った3人に詰め寄るように駆け寄っていく。<br /><br /> 「…あ、アタシ、もう免罪じゃないんだぁ…!」<br /><br /> ぼろぼろと涙を流して喜ぶその姿は、二つのテレビ局以外の全てのテレビ局、新聞で公開された。</dd> <dt id="a231">231 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:14:00.37 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> …さて、今まで例のなかった免罪事件。アイドルヒーロー同盟、GDF等はすぐに彼女に謝罪し、慰謝料を払った。<br /><br /> 各情報機関からは彼女の情報が公開され、『彼女は喜多見柚という魔法使いの少女。悪行を働いていたのは彼女に化けた怪人の仕業だった。』と報道される事となる。<br /><br /> …しかし、とあるテレビ局の生放送で、聞き取りづらいものの、とある音声が拾われた。<br /><br /> 「カメラ…ろ!死神…善行…映すな!サクライ…違う!」<br /><br /> この音声はネット上で話題となり、さらには『同時生中継の比較してみたら悪意ありすぎワロタw』、『電凸してみたけど話にならない件についてw』などの動画で評判は悪くなってゆく。<br /><br /> 消されても消されても動画は上がり続けた。そして消され続けるということがさらに評判を悪くする。<br /><br /> さらには最初に彼女の映像を公開した2つのテレビ局が、櫻井財閥がスポンサーをしているという共通点を持っており、『櫻井財閥黒幕説』等も流れ始めた。<br /><br /> 『櫻井財閥の気持ち悪い程の金持ちっぷりは悪魔と契約しているから』<br /> 『あんなにカワイイ柚ちゃんを陥れたのは、社長がもうすでに寿命を迎えているのに無理やり生きているから死神を恐れた結果』<br /> 『失望しました柚ちゃんのファンになるので櫻井財閥のファン止めます』<br /><br /> 様々な情報が行きかうが、共通しているのは財閥への不信感。<br /><br /> 『アイドルヒーロー同盟や、GDFが誤情報の提供を詐欺として訴えようとしている』<br /> 『マジかよ財閥のいいところって娘が可愛いロリってとこだけじゃん…』<br /> 『鬼!悪魔!サクライ!』<br /><br /> 根も葉もない情報もあるが、どれもこれも財閥をマイナスへ陥れてゆく。<br /><br /> …少しずつ、しかし確実に財閥は威厳を失いつつある。「あの日」のように。</dd> <dt id="a232">232 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:14:38.05 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">「…よかったぁ…」<br /><br /> 「まさかあそこで泣くとは…引きこもるほどショックを受けていただけはあるな…」<br /><br /> 「それはもう止めてください…イヴさんもありがとう。魔術とかの手伝いしてくれて。」<br /><br /> 「あそこまでなったのは私の責任でもありますし、汚名挽回のお手伝いができてよかったです~♪」<br /><br /> 「…ん?汚名返上ではないのか?」<br /><br /> 「あら~?」<br /><br /> イヴの事務所で3人が考えた計画は、彼女達の想像以上に上手くいっていた。<br /><br /> 「…ところで、保護したこの子はどうしよう…?」<br /><br /> ソファに横になっている雪菜を見てユズが呟く。<br /><br /> 「我が家で引き取るわけにもいかんしな…」<br /><br /> 「なら、しばらくこちらで引き取りますよ~目が覚めた後のアフターケアもお任せ下さい♪」<br /><br /> 「え?いいの?」<br /><br /> 「さすがにテレビに映ってしまってるし、この子に悪い評判が付きまとわないともかぎりませんしね~一人くらい匿えるはずですよ♪」<br /><br /> こうして、雪菜は一時的にイヴ非日常相談事務所に匿われることとなった。</dd> <dt id="a233">233 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:15:39.68 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> もちろん、ルシファーの魂は魔界へ持ち帰られ、キヨラによる裁きを受けた。<br /><br /> 「貴方には『堕天した罪』『契約・許可無しで人間界に滞在した罪』『カースを生み出した罪』『契約していない人間に憑依した罪』『契約していない・指定されていない人間の評価を変えた罪』『身の程知らずの罪』等がありますね…ざっと数十世紀は働いてもらいますよ♪」<br /><br /> 力を失い、魂の醜い怪物の姿のルシファーを閉じ込めた箱を持ち上げて、笑顔でキヨラは去って行った。<br /><br /> 「…ユズ、連絡が入った。ベルゼブブの討伐依頼は解除だ。あいつは悪行を犯していない。他の召喚された魔族と同様に扱っていいぞ。」<br /><br /> 「了解しました!あとは嫉妬・色欲・強欲って訳ですね!」<br /><br /> 仕事が一つ減って嬉しそうな笑顔を見せる。<br /><br /> そしてそのまま再び人間界へと飛び立った。</dd> <dt id="a234"><span class="resnum">234</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:16:17.17 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そういえば慰謝料はすべて神崎家へ渡しておいた。<br /><br /> 膨大な量ではあったが…変化と言えば最新式のテレビとおかずが一品増えたことぐらいだろうか。<br /><br /> 平和だ。ユズは幸せを噛みしめた。</dd> <dt id="a235">235 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:18:22.25 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です<br /> …レイナサマ関連で不味ければ数週間後の話ということで…<br /><br /> 最近ちゃまをどうやって絶望させるかしか浮かばなくて困る…<br /> 偏見報道ヨクナイよね!先にやって来たのはそっちだからね!と言い訳を並べてはおこうかなーって(目逸らし)</dd> <dt id="a239"><span class="resnum">239</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:41:32.97 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">短いのを投下</dd> <dt id="a240"><span class="resnum">240</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:42:20.56 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ――――――――――<br /><br /> 『なんということだ……』<br /><br /> 張り詰めたウサミン星人の声に、リンも内心で頷いた。いや、テクノロジストの彼女でなくとも、<br /> 地上の惨劇を目の当たりにすれば彼と同じ思いに至るに違いない。<br /><br /> 化学防護服のブーツ越しに踏みしめた大地は、アンダーワールドのそれとさして違いはないように思える。<br /> だが、この視界いっぱいに広がる荒野にかつて街があったと言われて、それを信じる人間はどれくらい<br /> いるのだろうか。<br /><br /> 空前の規模のカースの大量発生と、それに端を発する史上最大規模の戦闘。<br /> 平和な地方都市を一昼夜にして修羅場とした事件を収束させたのは、たった一発の爆弾によるものだった。<br /> カースの坩堝と化した街へ投下された一発の爆弾が、実に480平方キロメートルを一瞬にして焼き尽くし、<br /> 街に存在するすべてを灰燼に帰したのだ。<br /> その街は地図から消え、惨禍の跡には巨大なクレーターが残るのみである。<br /><br /> 幸い、公式発表では死者・行方不明者はゼロであったが、それはあくまで地上人のことを指して<br /> 言っているのであって、アンダーワールド人や異星人などの異邦人が含まれているものではない。<br /><br /> 地上のあちこちでスカベンジングを行っているアコは無事だろうか――そう考えて、リンは唇を噛んだ。<br /><br /> 『……沙織を連れてこなくてよかった。この惨状を見れば、ショックを受けるのは間違いないだろう』</dd> <dt id="a241">241 :<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:44:33.01 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 防護服に内蔵された通信機から、ウサミン星人の声が響いた。<br /><br /> あのアウトレイジの女に襲われて以来、彼は『歌姫』の身の安全を最優先にしている。<br /> テレポーターは個人認証システムを更新して自分達以外の生体データを検出したら自動で停止するようにし、<br /> 歌姫には綺麗な指輪やイヤリング型の発信機を手渡して顔を赤くさせたりしていた。<br /> すっぴんの歌姫――奥山沙織は世間ずれしていない田舎娘そのもので、彼女を見出したウサミン星人には<br /> スカウトなりプロデューサーなりの才能があるに違いないと、リンは密かに思っていた。<br /><br /> それでいて、どうせなら宇宙船で寝泊まりさせてはどうかと言うと、この生真面目なウサミン星人は<br /> 底堅い声音で「彼女には彼女の生活がある。必要以上に束縛することはできない」と答えるのだ。<br /> 現に今、新型爆弾の投下跡を偵察しに来るときも、歌姫は彼女の下宿のアパートに残してある。<br /><br /> ひょっとして、種族の違いさえなければ結構いい男なのではないか……とリンはほんの少しだけ考える。<br /> とはいえ、頭にウサミミを屹立させた大男の恋人役は遠慮しておきたいところだ。<br /><br /> 『有害物質は今のところ検出されていないが……しかし、正気の沙汰とは思えんな』<br /><br /> 「街をひとつ消し飛ばすなんてね……でも、丸っきり意味のないことでもないんじゃない?」<br /><br /> 『というと?』<br /><br /> 「これってつまり、カースの駆除と、侵略者に対する牽制をいっぺんにやったってことでしょ」</dd> <dt id="a242">242 :<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:45:35.26 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> いみじくもリンが指摘するように、GDF上層部の狙いはまさにそこにあった。<br /> 強大な軍事力を誇示することで、異星人、魔界、アンダーワールドへの抑止力とする意図があった。<br /> 簡単に言ってしまえば、核抑止論の延長にすぎない理屈だ。<br /> Mutual Assured Destruction――相互確証破壊などは、おそらく最もよく知られた核抑止論であろう。<br /><br /> 「やったらやりかえせ」を徹底し、「やったらやられる」という恐怖でもってお互いを束縛し、<br /> 戦争の勃発と大量破壊兵器の使用を抑止する。それが抑止論だ。<br /> そして相互確証破壊とは、仮に先制攻撃で相手に打撃を与えることができても、生残戦力による<br /> 報復攻撃によって大きな存在を被り、結果として双方が必ず破滅するという状況を作り、開戦を躊躇わせる<br /> ドクトリンである。<br /><br /> 核兵器を新型爆弾に入れ替えただけで、思想の根っこの部分は何ら変わるところはない。<br /> それはまるで、ほんの半世紀では人間の心性は変わりようがないのだと語っているようだ。<br /><br /> 「地上人がこれだけの兵器を持っているって知ったら、地上を攻めようって気は削がれると思う。<br />  少なくとも、私はそう思うな」<br /><br /> 『……それはどうかな』<br /><br /> リンはそう考えたのだが、ウサミン星人の見解は異なっていた。<br /><br /> 『地球人が超兵器の存在を誇示したことで、侵略者がより強力な兵器を作って対抗しないという保証はない。<br />  それに君の言う抑止の考え方が妥当性を持つには、ある前提がある』<br /><br /> 「前提?」<br /><br /> 『当事者双方が理性的判断に基づいて行動するという前提だ。<br />  地上で起こる紛争の原因は領土や資源の獲得だけでなく、民族的宗教的対立に根差すものもある』</dd> <dt id="a243">243 :<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:47:13.10 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「突発的な感情で意思決定する可能性もあるってこと?」<br /><br /> 『そうだ。そういった場合、しばしば非理性的な決定がなされる。<br />  恐怖に尻込みせず、報復を恐れない相手には、抑止論は意味を成さない』<br /><br /> ウサミン星人が語る内容に、リンは胸中に突き刺さった棘を自覚せずにはいられなかった。<br /> 自分だって、好奇心の求めるままに宇宙船に忍び込むのを非理性的だと言われれば返す言葉もない。<br /><br /> 「……地上人もアンダーワールド人も、そんなにバカだとは思いたくないよね」<br /><br /> と、苦し紛れに珍しく殊勝な態度を取って見せると、ウサミン星人は寂寥を感じさせる声を絞り出した。<br /><br /> 『地球人を信じたい気持ちは、私も同じだ』<br /><br /> 信じたい、という表現に、リンは彼の心情の複雑さを垣間見る思いだった。<br /> 話を聞いたところ彼は地球が好きなようだし、その星に住む人々が野蛮で非理性的な連中だと思いたく<br /> ないのは理解できる。そこまで買い被ってもらえるなら地球人冥利に尽きるというものだ。<br /> どれだけ技術が進歩しても、人という生き物は過ちを繰り返し続けるというのに。<br /><br /> 「……ねぇ、ウサミミ」<br /><br /> ふと気になったリンは、意地悪く問うた。<br /><br /> 「地球人って、どっちのこと?」<br /><br /> ――だが、リンの問いに対して、ウサミン星人はついぞ答えを返さなかった。</dd> <dt id="a244"><span class="resnum">244</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆kaGYBvZifE</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 00:48:03.44 ID:/q6YABDB0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> GC爆弾投下後の反応。<br /> この事件になんか適当な名前をつけてくれる人募集</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a251"><span class="resnum">251</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/03(水) 01:12:12.07 ID:Yv7Sw5Sao</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 実際、GDFに対するバッシングの声も相当なもんでしょうねー<br /><br /> むくむくとアホな小ネタが浮かんだので投下ー<br /> 紗枝はんと周子さんの百合っぽい要素アリなので苦手な方は読み飛ばしをば</dd> <dt id="a252">252 :<span class="name" style="color:#008000;">◆<span class="namenum">3</span>Y/<span class="namenum">5</span>nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/03(水) 01:13:01.75 ID:Yv7Sw5Sao</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「・・・・・・それで、周子はん?何か、言う事はありまへんか?」<br /><br /> 「・・・えーと、あの、紗枝ちゃん?ちょ、ちょーっと落ち着こうか、ね?」<br /><br /> 「あら、うちは十分落ち着いてます。それはもう、波ひとつない水面のように」<br /><br /> 「うーん、だったらこの式神くんたち引っ込めてくれないかなーって」<br /><br /> 「それは嫌どす」<br /><br /> 「・・・うぅ、何か紗枝ちゃん不機嫌だよー。ねーそこのちっちゃい子ー、何か知らないー?」<br /><br /> 「なッ、た、珠美はちっちゃい子ではありませんッ」<br /><br /> 『いや、十分小せェだろ。まーアレだわ姐さん、とりあえず謝っときな』<br /><br /> 「謝る?・・・んー?」<br /><br /> 「・・・まぁ、そらかいらしい子です。式神伝いに見てもよぉわかりますわ」<br /><br /> 「・・・あー、そゆこと。あのね紗枝ちゃん、あれはそういう事じゃなくてさ・・・」</dd> <dt id="a253"><span class="resnum">253</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/03(水) 01:13:28.03 ID:Yv7Sw5Sao</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「せやったら、一体全体どういう事でっしゃろうか?」<br /><br /> 「いや、母性本能くすぐられるというかね?アレだよ、美玲にかわいいっていうのと同じというかさー」<br /><br /> 「ほーぉ?生まれて一年ちょっとの美玲はんと・・・えーと・・・」<br /><br /> 「あ、アーニャ15歳ね。紗枝ちゃんと同い年」<br /><br /> 「・・・そうですか。で、そのうちと同じ年の子に向けた『可愛い』が、一緒の意味やと、周子はんはそう言うわけですか」<br /><br /> 「・・・あ、ダメだ、よけい地雷ふんだわコレ」<br /><br /> 「しゅ・う・こ・はん?」<br /><br /> 「いやいやいや、だから違うって、ちょ、待って、落ち着いて話聞いてってばー」<br /><br /><br /> 『・・・・・・確か、ここ最近の妖怪の異常発生について話がしたい、っつーんでわざわざ式神飛ばして呼んだんじゃなかったか、あの姐さん』<br /><br /> 「・・・そのはずですが」<br /><br /><br /> 「そら、周子はんにとったらうち位の小娘なんか娘や孫同然なんでしょうけど?赤ん坊と変わらんのでしょうけど?」<br /><br /> 「もー、そんな拗ねないでよ紗枝ちゃーん」<br /><br /> 「すっ、拗ねてませんッ!そんなっ、うち、なんも拗ねることありまへんっ!!」<br /><br /><br /> 『・・・やってる事、ただの痴話喧嘩じゃねェか』<br /><br /> 「・・・見回り、行ってきましょうか。ここに居るの、珠美は何か気まずいです・・・」</dd> <dt id="a254"><span class="resnum">254</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/03(水) 01:14:41.08 ID:Yv7Sw5Sao</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;212</span>の「かわいいわ」発言、うっかり紗枝はんが聞いたら修羅場りそうだなー、とか考えてたらコレだよ!</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a255"><span class="resnum">255</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY<span class="namenum">2</span>y<span class="namenum">1</span>UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:16:41.74<span class="id">ID:NljtLaCR0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙です<br /> こっちも小ネタ投下するよー</dd> <dt id="a256"><span class="resnum">256</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:17:21.05 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 真夜中。少女が霧に包まれた地図から消えた街を歩いていた。<br /><br /> 「可哀想な子たち。人間の爆弾に焼かれるなんてさぞ苦しかっただろうに…」<br /><br /> 人の行いに絶望しているのではない。ここに生きていた小さな動物と植物を憐れんでいるのだ。<br /><br /> 少女の名は相葉夕美。植物を司る大精霊ユミ。<br /><br /> 「愚かな人間さん。後先考えずに火をつけるなんて。畑にもしないなんて。」<br /><br /> 地面に寝転がり、大地を撫でる。<br /><br /> 「確かにここにいたのにね。」</dd> <dt id="a257"><span class="resnum">257</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:17:54.84 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 溜息をつきながら起き上り、更地の上を歩く。<br /><br /> 「ナナちゃんもお悩みムードなのに、こんな酷い事が起こってるよ。ナナちゃん『こっち』と『あっち』で悩んでるのに…。」<br /><br /> 「『こっち』じゃないと一緒にいられないのに…」<br /><br /> 大好きな親友。初めての友達。<br /><br /> (…母星で偉い人になったら、一緒にアイドルできないよね?)<br /><br /> 夕美はその言葉を何度も飲み込んだ。</dd> <dt id="a258"><span class="resnum">258</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:20:19.27 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…やめやめ!今はここを大いに利用させてもらおうかな!」<br /><br /> 夕美が実態を失い、完全な精霊の姿となる。<br /><br /> 『…私の声に答えよ、この地に生きていた我らの恋人よ!』<br /><br /> ―ユミ様…!<br /> ―ユミ様だ!<br /><br /> 夕美から、蛍のような緑色のエネルギーが溢れてくる。<br /><br /> 幻想的なその光景は、夕美の起こしておいた霧で誰も見る事は出来ない。<br /><br />   るんたらったぴょんぴょん、るんたらったぴょん♪<br /><br /> その光をばらまきながら、踊るように、跳ねるように、笑いながら更地を歩く。<br /><br /> 『人に侵される前の姿を思い出せ!目覚めよ!』<br /><br /> 光りが落ちた大地から、まるで種が撒かれたように植物の芽が顔を出す。<br /><br /> 『新たな目覚めだ!』<br /><br /> 夕美がくるりと回って両腕を上げると、その芽がみるみるうちに成長してゆく。<br /><br />   るんたらったぴょんぴょん、るんたらったぴょん♪<br /><br /> ビルのあった場所は大きな樹が聳え立ち、道路は花畑となった。<br /><br /> 街の外見をそのまま植物にしたかのような森が形成されてゆく。<br /><br /> 『幸せ?』<br /><br /> ―ユミ様!<br /> ―ユミ様!<br /><br /> さわさわ、ざわざわ、木々が揺れて答える。<br /><br /> 『たとえ再び、人々に侵されようとも、魂は大地に刻まれる…。誇り高く、美しく生きよ!』<br /><br /> 踊り終えた夕美は実態を取り戻し、人の姿へ戻る。<br /><br /> 「…あのね。母星の世界樹様とっても寛容なの。私にこの星を任せてくれたくらいにはね。」<br /><br /> 「私…まだ、この星を信じるから…ナナちゃんは…どうするの…?」<br /><br /> その声は植物達に吸い込まれて消えた。</dd> <dt id="a259"><span class="resnum">259</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 01:21:23.00 ID:NljtLaCR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 以上です。ちょっと百合っぽい夕美ちゃん…。どうしてこうなった…<br /> 植物が生えるイメージはとなりのトトロが一番イメージしやすいかと</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a261"><span class="resnum">261</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/03(水) 01:33:03.49 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">投下した方々乙です<br /><br /> 気づいたらルシファーさんやられてたんで、ちょっとそこら編の設定でレイナサマのこと掘り下げます</dd> <dt id="a262">262 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS<span class="namenum">0</span>ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:33:57.35 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 小関麗奈がルシファーから『南条光』抹殺の命を受けた翌日のこと。<br /> 麗奈はその日は朝からきちんと学校へと登校してきた光に声をかけた。<br /><br /> 麗奈「おはよ…ちょっと話があるんだけど…」<br /><br /> 光「おっ、おはよう麗奈!どうした!?」<br /><br /> 麗奈「あーウン……ここじゃちょっとね…」<br /><br /> 幸い『望月聖』はまだ登校してきていないようだ。<br /> いや、もしかしたら今日も欠席なのかもしれない。<br /><br /><br /> ―――チャンスは今しか無い<br /><br /><br /> 麗奈は光を屋上へと誘う。<br /> そこが怠惰の悪魔ベルフェゴールの居場所だったのも、もはや過去のこと。<br /> 今この場所には麗奈と光、二人だけしかいない。</dd> <dt id="a263">263 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:34:42.13 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 光「屋上で内緒の話なんて、まるで秘密会議みたいだな!」<br /><br /> 光が屈託も無く笑う。<br /> まるで警戒心が無い。<br /><br /><br /> ―――これからアタシがアンタのことを殺そうとしているのに<br /><br /><br /> アタシが即座に変身をして不意打ちを仕掛ければ、恐らく光は手も足も出ないだろう。<br /> 光も正義に燃えるヒーローとはいえ、変身出来なければただの夢見る女子中学生だ。<br /><br /> 麗奈「(それにルシファーの言う通り、本来アタシの力には人一人殺せるほどのものが…)」<br /><br /> 初めて力を手にした時からそれは理解していた。<br /> しかし、その力を使おうとは思わなかった。<br /> アタシには夢があったけど、それを誰かの命を奪ってまで叶えたいとは思っていなかったから。<br /><br /><br /> ―――そして、それは今も変わらない</dd> <dt id="a264">264 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:35:24.85 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> けれど、今は状況が違う。<br /> 光の命をこの手で奪わないと自分の命が奪われてしまう。<br /> 自分じゃルシファーには勝てない。<br /><br /> 殺されてしまっては夢も野望もそれまでだ。<br /> アタシは夢を叶えなければならない。<br /> 世界に認められるために。<br /><br /><br /> ―――だから光をこの手で<br /><br /><br /> 光「…?」<br /><br /> 光「どうした、麗奈?顔が怖いぞ?」<br /><br /> 光「ま、まさか…!?ホントに重要なミッションか何かか…!?」<br /><br /> 麗奈「……」<br /><br /> 麗奈「なーに言ってんのよ。アタシら別に組織の仲間でもなんでもないじゃない」<br /><br /> 光「あっ、そっか」<br /><br /> 麗奈「……」<br /><br /> 麗奈「(…そんなの)」<br /><br /> 麗奈「(出来るわけないじゃない…)」</dd> <dt id="a265">265 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:36:12.19 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そう、出来るわけがない。<br /> アタシからすれば光は友人でもなんでも無いけれど、アタシのことを友人と見なしている見どころのある存在だ。<br /> そんな利用価値ある奴を自らの手で消すなんて世界征服を目論むアタシからすれば非効率的な行為そのもの。<br /><br /> 麗奈「(…覚悟は決めるわよ)」<br /><br /> 自分より強い者に逆らうだなんて、アタシの美学には反する行為。<br /> けれど…<br /><br /> 麗奈「(誰かの言いなりになってるアタシの方がカッコ悪いわよねッ!!)」<br /><br /> 麗奈「(とは言っても、どうしたものかしらね…)」<br /><br /> 麗奈「(ルシファーは、あんな奴でもアタシに力を与えてくれた恩人でもあるわけで…)」<br /><br /> 反逆を起こすにしても命まで奪う真似はしたくない。<br /> しかしゴマをすって和解という線も彼女相手には難儀なことだろう。<br /><br /> 麗奈「う~ん…」<br /><br /> 光「…?なんだ、もしかして悩み事か?」<br /><br /> 光「アタシで良ければ聞くぞ!!」<br /><br /> 光「もしかしてまた前髪切りすぎたか?」<br /><br /> 麗奈「またってなによ!?これはファッションよ!!」<br /><br /> 光「あははっ!」</dd> <dt id="a266">266 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:37:49.95 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> この時、麗奈は知らなかった。<br /> 自分を脅迫するルシファーが一人の死神によって魂が魔界に送還されていたことを。<br /><br /> そして、麗奈は気づいていなかった。<br /> ルシファーが魔界に送還され裁きを受けたことで自身がルシファーから授かった闇の力の効力を失ってしまったことを。<br /><br /> 麗奈が悪魔の力を得て自分の前に立ちはだかっていたことなんて光は知る由も無かった。<br /> もちろん自分が悪魔に標的にされていたことさえも。<br /><br /> そんな二人を影から見守る影が二つあった。<br /><br /> 雪美「……ルシファー……私が決着……つけたかった……」<br /><br /> 聖「わがままはダメ…」<br /><br /> それは魔族と天使の不思議なパートナー。<br /> 佐城雪美と望月聖の姿であった。<br /><br /> 聖「私達以外にも……この世界を救おうと頑張っている人がいる…」<br /><br /> 聖「それは喜ぶべきことなの…」<br /><br /> 聖「それに…雪美にとっての敵はルシファーだけじゃないでしょう?」<br /><br /> 雪美「……」</dd> <dt id="a267">267 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:38:40.56 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『傲慢』を司るグリフォンと、四大天使『聖ミカエル』<br /> 本来相容れない仲に思えるが何故、行動を共にするのか。<br /> その答えは未だわからない。<br /><br /> 聖「(それよりも…)」<br /><br /> 聖「(レイナ…彼女は闇の誘惑に打ち勝ち…)」<br /><br /> 聖「(自分に…『自信』を手に入れた…)」<br /><br /> 聖「(それは『傲慢』とは違う…)」<br /><br /> 聖「(『誇り』の感情…)」<br /><br /> 聖「(彼女は…本来優しい心を持っている……)」<br /><br /> 聖「(きっと彼女も…)」<br /><br /> 聖「(ヒカルを導く光となって…)」<br /><br /> 聖「(この世界を……)」<br /><br /><br /> ―――この聖の予言は後に現実となる<br /><br /> ―――そう、一人の天使が<br /><br /> ―――麗奈に希望を見出し、その力を与えることになるのだ</dd> <dt id="a268">268 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@予約</b>◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 01:40:40.16 ID:IqdlMbKbo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">おわりです。<br /><br /> レイナサマが変身能力を失いました。<br /> ひじりんは天使、雪美は魔族ですが二人の関係はまだ掘り下げません。<br /><br /> 三人目の四大天使登場フラグを立てました。<br /> というわけで、松尾千鶴ちゃんを予約します。</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a271"><span class="resnum">271</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:25:04.70 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙です<br /> 綺麗なレイナサマ…確実にいくわよ南条!おう相棒!みたいな事にはならない<br /> 憤怒Pと先輩で投下します</dd> <dt id="a272">272 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j<span class="namenum">4</span>KjALPDp<span class="namenum">2</span></span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:25:45.03 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">案の定騙された<br /><br /> 『アイツ』の言うとおりの場所に来て私が見たものは<br /><br /> 一番見たくなかったって言っていい物で<br /><br /> 本性やら正体やら色んな物をあっさり白状した割には<br /><br /> 結局こいつは変わっていなくて<br /><br /> ずっと、ずっと嫌な嘘付きだって事を思い知った</dd> <dt id="a273">273 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:26:36.76 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…全部知っててやってる癖に何を言ってるんですか」<br /><br /> 「ちょうどこの体が都合の良かっただけですよ」<br /><br /> 「貴方と同じように芸能界を追い出されたみたいですけど人を扱う術には長けていたみたいでね」<br /><br /> 「割りと偉いんですよ?この体?末端とは言えそれなりに凄い組織の一員みたいですし」<br /><br /> 「貴方を暫く匿うなんて屁でもないから安心してください」<br /><br /> 「ほら よくあるじゃないですか」<br /><br /> 「過去を乗り越えていくーみたいな修行の展開」<br /><br /> 「アレと同じ様な物ですよ」<br /><br /> 「貴方は過去に操られた人形じゃないんでしょう?」<br /><br /> 「サタンさんの力があれば今の私を消すなんてイージーモードを超えてチュートリアルみたいな物ですよ」</dd> <dt id="a274">274 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:27:28.56 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「まぁ少し嘘混じりですけど」<br /><br /> 「魔力管理人があそこまで早く復活するとは思いませんでした」<br /><br /> 「愛と勇気が勝つはよく言ったものです」<br /><br /> 「やはり無意識とはいえ娘さんが父上の魔力の痕跡を感じたのかもしれませんね」<br /><br /> 「一応本体にも気づかれないクラスに彼の魔力に細工はしてるんですか所詮付け焼刃みたいな物」<br /><br /> 「魔力の譲渡なんてデカイ事に関しては流石にあちらの方に気づかれない保証は無いですしね」<br /><br /> 「一応クリスタルを介しての反応はジャミングできるので時間はまだあります」<br /><br /> 「それに人間たちも面白いことをやらかしたみたいですしね」</dd> <dt id="a275">275 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:28:00.53 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「全く面白い世界だ」<br /><br /> 「私も龍世界なんかに引き篭もってないで爆弾の作り方でも習いに来ればよかったんですかねぇ」<br /><br /> 「おっと話が長くなりました始めましょうか」<br /><br /> 「改めて貴方をプロデュースです」<br /><br /> 「お人形さん?」</dd> <dt id="a276">276 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:29:34.45 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> 過去なんてすぐ無かったことにできると思ってた<br /><br /> きっと少し奴らを懲らしめてやればもう後は大丈夫だって<br /><br /> 過去を乗り越えられるって<br /><br /> でも結局人なんてすぐ変わらなかった<br /><br /> ただの子供で<br /><br /> 私は過去に囚われた人形のままで<br /><br /> でもきっと今度こそ<br /><br /> 胸を張って皆に言ってやるんだ<br /><br /> その先なんて考えたって無駄だってイヤと言うほど思い知らされた<br /><br /> 私は<br /><br /><br /><br /> 私は…</dd> <dt id="a277">277 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 02:30:56.17 ID:JVo7uVvto</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">憤怒P(本体)<br /> 昔の泰葉のプロデューサーの体を借りたティアマット<br /> 本人曰く魂だけのちっぽけな存在なんて嘘に決まってるじゃないですかwwwwww<br /> 魂だけなんで他人の体を乗っ取れるとかいうアレ<br /> 魔力譲渡とか管理人にばれない訳無いしそんなでっかい魔力どこに隠してたんだよとか<br /> 色々彼も頑張ってたからそのへんは何とかなったよ!よ!<br /> 奪って弄りまくったとはいえサタンの魔力は今は彼の魂にあるので力も使えるかも?<br /><br /> ボイスは分かる人はACfaのあのうっぜぇ依頼人みたいな感じで再生してください<br /> 新キャラ作らないで他人のキャラ勝手に弄りまくって大丈夫なんだろうか…一応少し考えてます…ごめんなさい</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a278"><span class="resnum">278</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆<span class="namenum">6</span>osdZ<span class="namenum">663</span>So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:35:48.53 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央ちゃんお借りして、世界一お金持ちなあの子の話投下します</dd> <dt id="a279"><span class="resnum">279</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆<span class="namenum">6</span>osdZ<span class="namenum">663</span>So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:36:32.89 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> <br /> あるところに女の子がいました。<br /><br /> 女の子の家は世界でいちばんお金持ちで、<br /><br /> 女の子がほしい物はなんでも手にはいりました。<br /><br /><br /> 玩具も、本も、服も、宝石も、お金も、家も、人も、国も、<br /><br /><br /> ほしい物はみんなお父さんが買ってくれました。<br /><br /> ただ一つだけ、彼女が欲しくても手に入らないものがありました。<br /><br /><br /> 『ならば、わたくしがそれを手に入れてさしあげますわ。』<br /><br /> 悪魔は言いました。<br /><br /> こうして少女と悪魔は一緒にくらし始めたのでした。<br /><br />  </dd> <dt id="a280"><span class="resnum">280</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:37:42.32 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">――<br /><br /><br /> 桃華「いい風ですわね。」<br /><br /><br /> 驚天動地とはこの事だろう。<br /><br /><br /> 桃華「たまには、いいですわね。外に出るのも。」<br /><br /><br /> 『強欲』の悪魔が、屋敷の外に居るとは。<br /><br /><br /> あれほど自分の身を守るために、<br /><br /> 自分のフィールドからは出なかった彼女が<br /><br /> 今になって外に出た理由。それは<br /><br /><br /> 桃華「さあ、散歩に出かけましょう。」<br /><br /><br /> なんて事の無い理由であった。<br /><br /><br /> 彼女の身体から漆黒の翼が生える。<br /><br /> ――鴉の翼<br /><br /> ――『強欲』の象徴<br /><br /> ――かつて、全ての空飛ぶ者の羽を得んとして集めた結果<br /><br /> ――全ての羽の色が混ざりあい醜く染まった漆黒。<br /><br /><br /> その翼をはためかせ彼女は優雅に空の散歩に出かける。</dd> <dt id="a281">281 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:39:27.19 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『傲慢』の悪魔ルシファーが敗れた。<br /><br /> それは『強欲』たる彼女にとってあまりに意外な事であった。<br /><br /> いや、あの『傲慢』の悪魔であるのならば、<br /><br /> 「何らかの手を残し、生き残ってるのでは?」と言う思いも未だに拭えはしないのだが。<br /><br /><br /> まあ、どちらにせよ、<br /><br /> 『強欲』の悪魔とサクライの計画は破綻した。<br /><br /> 本来であれば末端で動く人間にサクライの名が伝わってるはずなど無く、<br /><br /> 失敗するのはともかく、その刃が反転する事などありえ無かった計画。<br /><br /><br /> サクライPは今各地を飛び回り、財閥の建て直しをはかっている。<br /><br /> 当分は屋敷にも戻ってこれないだろう。<br /><br /><br /><br /> 桃華(例の貧乏神の影響がまだあったのかもしれませんわね。)<br /><br /><br /><br /> ――『文香さんの能力を狙うもの、また攻撃意思を決めたもの全員がやることなす事並べて『全部失敗』ます』<br /><br /> ――『それは恐ろしいな』<br /><br /> 本当に、世には恐ろしい力もあったものだ。</dd> <dt id="a282">282 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:40:49.39 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華(もしそうであるなら、わたくしは全てを諦めねばなりませんわ。)<br /><br /><br /> これから何を成してもあの力が邪魔をするのであれば、<br /><br /> 『強欲』の悪魔の唯一にして全ての願い「全宇宙の支配」を諦めるしかないだろう。<br /><br /> 『強欲』の悪魔が全てを諦める。<br /><br /> それは死を選ぶ事と同義である。<br /><br /><br /> 桃華(馬鹿げてますわね。)<br /><br /> 桃華(わたくしは『強欲』の悪魔マンモン。)<br /><br /> 桃華(全てを諦めるなどあり得ない話ですわ。)<br /><br /><br /><br /> 未央「やっほー、何してるの?」<br /><br /> 桃華「なっ!?!」<br /><br /><br /> 『強欲』の悪魔の前に突然少女が現れた。<br /><br /> ここは空。<br /><br /> 言うまでも無く、普通の少女が現れるはずがない。<br /><br /> そう、普通の少女なら。<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・天使、ですの?」<br /><br /><br /> 目の前の少女には六枚の羽が生えていて、<br /><br /> 『強欲』の悪魔と同じく空に浮かんでいた。<br /><br /><br /> 未央「それ聞いちゃう?えへへっ、そうだよ!ラファエルちゃんだよ☆」</dd> <dt id="a283">283 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:41:33.93 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「・・・・・・癒しの天使がわたくしに何の用ですの?」<br /><br /><br /> 未央「何の用ってことはないでしょ、ほら私達は一応敵対関係なんだし?」<br /><br /><br /> 桃華「笑えますわね。」<br /><br /> 桃華「これまでわたくし達の活動を放置しておいて、」<br /><br /> 桃華「今更、悪魔を成敗しにきたとでも言うおつもりでして?」<br /><br /><br /> 未央「うーん、何もしてこなかった訳じゃないんだけどね。」<br /><br /> 未央「人間に力とか貸してあげてるし。」<br /><br /><br /> 桃華「それならわたくしもですわ。」<br /><br /> 桃華「貴女は『癒し』、わたくしは『欲望』。」<br /><br /> 桃華「与える力の属性が違うだけで、やってる事は一緒ですわよ。」<br /><br /> 桃華「一方的に断罪される覚えはありませんわね。」<br /><br /><br /> 未央「いやいや、別に成敗とか断罪とか物騒なことをしにきた訳じゃないんだけど。」<br /><br /><br /> 桃華「あら、そうですの。天使の風上にもおけませんのね。」<br /><br /><br /> 未央「それはもう、私がどうすれば満足なんですか・・・・・・。」</dd> <dt id="a284">284 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:44:19.89 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「それで、でしたら尚更に何の用ですの?」<br /><br /> 桃華「わたくしはこれからやる事がありますから、忙しいのですわ。」<br /><br /> 桃華「手短にお願いしますわね。」<br /><br /><br /> 未央「嫌われてるなぁ・・・・・・、私ショックで寝込んじゃうよ?」<br /><br /><br /> 桃華「『強欲』を愛するわたくしは、進歩しない者達は嫌いですの。」<br /><br /> 桃華「快楽を忘れることを是とし、欲望を滅ぼそうとしている宇宙に居る者達も。」<br /><br /> 桃華「その宇宙を脅威とわかっていながら、自ら地上に出て来ない魔王も。」<br /><br /> 桃華「そんな世界を変えられる力を持っていながら、行動しない神も。」<br /><br /> 桃華「全部嫌いですのよっ!」<br /><br /> 桃華「天使ちゃまだって例外ではありませんわ!」<br /><br /><br /> 未央「そっか、それで世界征服なんだ。」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・進歩の無い世界は嫌いですもの。」<br /><br /> 桃華「だって何も求めない世界なんて、それは死んだ世界で一緒ではありませんの?」<br /><br /> 桃華「人々は『強欲』であり続ける限り、進歩できますわ!」<br /><br /> 桃華「そうですわ、人は『強欲』に『知恵』を求めたからこそ進化することができましたのにっ!」<br /><br /> 桃華「宇宙も魔王も神も天使も!どうしてそれがわかりませんの!」<br /><br /> 桃華「・・・・・・」<br /><br /> 桃華「わたくしが世界の全てを支配すれば、停止しようとする世界を変えられますわ。」<br /><br /><br /> 未央「なるほどねー、そんな風に考えてるんだ。」<br /><br /> 未央「でもさ」<br /><br /> 未央「その方法じゃあ、貴女が”本当に欲しい物”は手に入らないんだよね」</dd> <dt id="a285">285 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:45:53.66 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「・・・・・・何を言ってますの?」<br /><br /><br /> 未央「マモちゃんは今までずっと、欲しい物は全部奪ってきたんでしょ。」<br /><br /> 未央「お金も、物も、力も、心も、全部ね。」<br /><br /> 未央「だからマモちゃんが本当に欲しがってる」<br /><br /><br /> 未央「”絆”は手に入らない。」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・ウフ、ウフフフフフ。何を言い出すのかと思えば、」<br /><br /> 桃華「わたくしが絆を?そんな物を求めてなんて・・・・・・」<br /><br /><br /> 未央「一人は寂しいよ。誰だってそうだよ。」<br /><br /> 未央「私も一人は嫌、だから友達を作って一緒に遊んだりするんだ。」<br /><br /> 未央「ついこの間も、人だとか妖怪だとか竜だとか、集まるところに遊びにいったりね♪」<br /><br /><br /> 桃華「ふ・・・・・・ふざけないでくださいましっ!」<br /><br /><br /> 未央「ふざけてないよ。」<br /><br /> 未央「だって・・・・・・マモちゃんさっき言ったよね。」<br /><br /> 未央「『わかってほしい』って。」<br /><br /><br /> 桃華「なっ!そんな事言って・・・・・・」<br /><br /> ――『どうしてそれがわかりませんの!』<br /><br /><br /> 桃華「くっ!」</dd> <dt id="a286">286 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:47:13.87 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「『わかってほしい』って事はさ、仲良くなりたいって事なんだよ。」<br /><br /> 桃華「ちがう」<br /><br /><br /> 未央「傍に居て、一緒に隣で歩んで欲しい。」<br /><br /> 桃華「やめ・・・・・・・」<br /><br /><br /> 未央「一人で出来ないこともみんなと居れば超えられる。」<br /><br /> 桃華「聞きたくありませんわっ!!」<br /><br /><br /> 未央「マモちゃんは全宇宙を支配して、『強欲』で満たせば世界は動き続けるって言ったけど。」<br /><br /> 未央「そうやって出来るのは、マモちゃん一人の意思で動く世界だよ。」<br /><br /> 未央「一人の意思で出来る事なんて少ないよ。」<br /><br /> 未央「一人で考えて、一人で行動して、その内一人じゃあ超えられない壁にぶつかるんだ。」<br /><br /> 未央「その時、マモちゃんだけだと立ち止まるしかない。」<br /><br /> 未央「それは、マモちゃんが嫌う『進歩の無い止まった世界』じゃないの?」<br /><br /><br /> 桃華「だったら、どうすれば良かったと言うんですの・・・・・・?」<br /><br /> 未央「簡単だよ、話し合って仲良くなればいいんだよ。」<br /><br /> 桃華「・・・・・・馬鹿げてますわね。」<br /><br /> 未央「そうだね、馬鹿かもしれない。それでも仲良くなれば開ける道もあるよ。」<br /><br /> 未央「1人なら一つの道しかないけど」<br /><br /> 未央「2人集まれば二通りの道が。」<br /><br /> 未央「3人集まれば三通りの道ができるってね☆」</dd> <dt id="a287">287 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:48:51.69 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「私はね、”あの日”色んな世界からこうしてみんなが集まったのは」<br /><br /> 未央「きっと、みんな友達になるためだって信じてるんだ!」<br /><br /> 未央「そうじゃなくても、せっかくの機会なんだから仲良くなれたらいいと思うんだよね。」<br /><br /><br /> 桃華「馬鹿ですわね、頭の中お花畑ですの?」<br /><br /> 桃華「そんな簡単に自分とは異なる者を信じられるわけがありませんわ。」<br /><br /><br /> 未央「でも、信じられないから、嫌って傷つけるなんて悲しすぎるよ。」<br /><br /> 未央「マモちゃんも、まずは信じてみない?」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・そんなキレイゴトは力のある者だから言えるのですわ。」<br /><br /> 桃華「持たざる者が求める物を、貴女は持っているから言えるのですわ。」<br /><br /><br /> 未央「・・・・・・それは、やっぱり自分の持ってない”絆”を求めてるってこと?」<br /><br /> 桃華「・・・・・・。」</dd> <dt id="a288">288 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:49:49.87 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「わかりましたわ・・・・・・認めましょう。」<br /><br /> 桃華「百歩譲って貴女が言うように、わたくしが”絆”を求めているのだとして・・・・・・。」<br /><br /> 桃華「わたくしにはPちゃまが居ますわ。」<br /><br /> 桃華「Pちゃまはわたくしを裏切らない。」<br /><br /><br /> 未央「・・・・・・それはその子から奪った絆じゃないの?」<br /><br /> 未央「マモちゃんが『櫻井桃華』から奪った親子の絆」<br /><br /><br /> 桃華「違いますわっ!!」<br /><br /> 未央「!」<br /><br /> 桃華「あの時まで、”お父様”はわたくしの傍には居ませんでしたものっ!」<br /><br /><br /> 未央「・・・・・・あぁ、そう言う事だったんだ。」<br /><br /> 未央「やっぱり話してみないと分からない事もあるよね。」</dd> <dt id="a289">289 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:50:52.96 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「わたくしは『強欲』に全てを求め続けますわ。」<br /><br /> 桃華「貴女がわたくしに絆を持ってない、と言うならそれも手にするまでのこと。」<br /><br /> 桃華「それで、貴女はどうしますの?ここでわたくしと戦いますの?」<br /><br /> 未央「・・・・・・」<br /><br /><br /> 未央「いや、戦わない。」<br /><br /> 未央「今日の私はあなたと・・・・・・あなた達と話に来ただけだからね。」<br /><br /> 未央「できれば友達になりたかったけど。」<br /><br /> 桃華「丁寧にお断りしますわ。」<br /><br /> 未央「残念。」<br /><br /> 桃華「・・・・・・天使ちゃま、貴女はわたくしが今から何をするかわかってるのでしょう?」<br /><br /> 未央「だいたいの予想は付いてるよ。」<br /><br /> 桃華「止めませんの?」<br /><br /> 未央「止めて欲しい?」<br /><br /> 桃華「・・・・・・。」<br /><br /> 未央「ごめんごめん、意地悪だったね。今のは。」<br /><br /> 未央「でも安心して、私は止めないよ。」<br /><br /> 未央「だって信じてるからね。」<br /><br /> 桃華「人間や死神ちゃまがわたくしを止められると?」<br /><br /> 未央「それもだけど、マモちゃんのこともね☆」<br /><br /> 桃華「本当に馬鹿ですわね。」<br /><br /> 未央「えへへ♪」</dd> <dt id="a290">290 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:51:38.62 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「・・・・・・天使ちゃま、もしこれからわたくしがする事失敗しても」<br /><br /> 桃華「世界からカースは、”呪い”は消えませんわよ。」<br /><br /> 未央「・・・・・・そうだろうね。」<br /><br /> 桃華「『原罪』を求める者にお気をつけなさい。」<br /><br /> 未央「!」<br /><br /> 桃華「強欲に全てを求める者としての忠告ですわ。」<br /><br /> 未央「えへへ、ありがと。マモちゃん。」<br /><br /> 桃華「・・・・・・世迷言に惑わされましたわね。わたくしも落ちぶれましたわ。」<br /><br /> 桃華「わたくしは行かせて貰いますわよ。」<br /><br /> 未央「長々と引き止めてごめんね♪」<br /><br /> 桃華「謝る気ありますの?ま、いいですわ。」<br /><br /><br /> 桃華「さよなら」<br /><br /> 未央「またね」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・最後まで不快ですわね。」<br /><br /> 未央「えへへ」<br /><br /><br /> こうして、『強欲の悪魔』と『癒しの天使』は出会い、そして別れた。</dd> <dt id="a291">291 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:52:25.76 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> 『櫻井桃華、あなたともここまでですわね。』<br /><br /><br /> 『力になれなくて申し訳ないと思わなくもありませんけれど、』<br /><br /><br /> 『やはりあなたは自分でそれを手に入れなさいな。』<br /><br /><br /> 『わたくしは行きますわよ。全てを手に入れるために。』</dd> <dt id="a292"><span class="resnum">292</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:52:52.36 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> <br /> あるところに女の子がいました。<br /><br /> 女の子の家は世界でいちばんお金持ちで、<br /><br /> 女の子がほしい物はなんでも手にはいりました。<br /><br /> ほしい物はみんなお父さんが買ってくれる、<br /><br /> けれど<br /><br /> 世界ではたらくお父さんはいつも帰ってこれるわけではありませんでした。<br /><br /><br /> 「神様。玩具も、本も、服も、宝石も我慢しますわ。」<br /><br /> 「ですから神様、わたくしにお父様との時間をくださいな。」<br /><br /> 『ならば、わたくしがそれを手に入れてさしあげますわ。』<br /><br /><br /> 女の子と悪魔は一緒にくらし始め、<br /><br /> お父さんは娘のために帰ってくるようになりましたとさ。<br /><br /><br /> めでたしめでたし?<br />  </dd> <dt id="a293">293 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 05:53:44.74 ID:j8+zYXDRo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">おしまい<br /><br /> この夏、ひきこもりが外に出るのが流行る。<br /> ちゃまが狩られる前に盛大に死亡フラグ立てておくだけの話でした。<br /><br /><br /> 『グリードガーデン』<br /> 強欲なる庭。マンモンがその翼を広げ展開する結界。<br /> 『強欲』の証であり、強欲なる悪魔の奥の手。<br /> この庭に存在するものは全てマンモンの所有物になる。<br /> 進入する者も、如何なる意思も法則もすべてマンモンの思うがまま。<br /><br /> マンモンは櫻井桃華の庭園に敷いていたこの結界を片付け、何処かに移動するつもりらしい。</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a304"><span class="resnum">304</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 19:50:30.49 ID:9a17vdwD0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> さとみん書けてないけど、筆が進んでしまったので投下するかな…<br /><br /> 加蓮を少し借ります。</dd> <dt id="a305">305 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi<span class="namenum">7</span>reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 19:57:31.84 ID:ZysAmX1j0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「お会計が7329円になります」<br /><br /> 「………」<br /><br /> 「一万円お預かりしますー」<br /><br /> とある日の夕方、その日のあはいつもどおりスーパーに買い物に来ていた。<br /><br /> 最近は、日菜子やみくだけでは無く愛梨に菜帆とベル、みくの友人だという城ヶ崎美嘉・莉嘉の姉妹まで暇があれば夕飯をいただきに来るため、常に冷蔵庫の中を満タンにしないといけないという事態になっていたりする。<br /><br /> …もっとも、それでもこのうちの大半は菜帆とベルとみくの三人が消化する訳だが。<br /><br /> 「あ、おつかれさまでしたー!」<br /><br /> 「おつかれー」<br /><br /> アルバイトであろう女の子がすっとレジの店員に声をかけながら歩いていく。<br /><br /> …そういえば、そろそろみくの仕事が終わる時間帯だ。<br /><br /> 「2671円のお返しです」<br /><br /> 「…はい」<br /><br /> お釣りを受け取って、レジ袋に買った物を詰めていく。<br /><br /> じゃがいも、人参、玉ねぎ、長ネギ、キャベツ、なす、豚バラ肉とベーコンにソーセージ、卵に牛乳にチーズにその他etc…<br /><br /> これだけあればうまくいけば三日は持つだろうと、三日分の献立を考えながらスーパーを出る。</dd> <dt id="a306">306 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:01:19.41 ID:OTp4v02e0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">「ねぇ……これ」<br /><br /> 「え、これ本当なのか?」<br /><br /> 「ちょっと、なによこれ!?こんなのが許されるの!?」<br /><br /> 「……………?」<br /><br /> ざわざわと、街中が騒がしい事に気づいたのはそんな時であった。<br /><br /> 「町一つ消えたって……」<br /><br /> 「おいおい…」<br /><br /> 「GDFは守ってくれるんじゃなかったのかよ!?」<br /><br /> 「号外!号外だよー!ほらそこのお姉さんも読みなって!」<br /><br /> 号外を配り歩いている青年が一冊押し付けてきた。<br /><br /><br /> ………『カース大量発生に街一つ消滅!?GDFの新兵器か!!』<br /><br /><br /> 「………………」<br /><br /> 読み進んでいくと、なぜここまで騒がれているのかがすぐにわかった。<br /><br /> 自分たちを守ってくれるはずのGDFが街一つ吹き飛ばしたのだ、次は我が身と思うのは当然だと思う。</dd> <dt id="a307">307 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:05:51.97 ID:zXFxpfkR0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /> ―――ざわめきは、やがて様々な形を成していく。<br /><br /> ―――破壊兵器を恐る者、どうしていいかわからず戸惑う者、裏切られたと怒る者、自分には関係ないと決め込む者。<br /><br /> ―――様々な感情が振りまかれ、負の感情が高まる中に『ソレ』が現れるのは、ある意味当然であった。</dd> <dt id="a308">308 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:09:56.94 ID:ODkxeHR20</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「ウラギリモノガアアアア!!」<br /><br /> 「ナンデ!ナンデダヨオオオ!!」<br /><br /> 「ミンナオレガケシテヤルヨオオオ!」<br /><br /> 「うわああああああああああああ!?」<br /><br /> 「出たぞおおおおおお!」<br /><br /> 「ッ!」<br /><br /> 憤怒が二体に、傲慢が一体。<br /><br /> それぞれ道路、路地裏、そしてスーパー入口の三ヶ所に現れたカースに人々は蜘蛛の子を散らすように逃げ始めた。<br /><br /> 「…………ターゲット、憤怒2傲慢1」<br /><br /> ドサっとレジ袋を落とし、状況を確認する。<br /><br /> 道路と路地裏に居る二体の憤怒はこちらを標的にしたようで、身を震わせながら迫ってくる。<br /><br /> 残った、スーパー入口の傲慢は……<br /><br /> 「―――オープンコンバット」<br /><br /> 《Weapon:高収束型デュアルマシンガン》<br /><br /> 即、武装を召喚し無理やりスーパーに入ろうとしていた傲慢に撃ちまくる。<br /><br /> まだ、店内には逃げ遅れた客の姿が多いようで、中に入れさせるわけには行かなかった。</dd> <dt id="a309">309 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:12:25.54 ID:ODkxeHR20</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 《Leg:特殊機動装甲[白兎]》<br /><br /> 「ツブレチマエエエエエ!!」<br /><br /> 十分傲慢の注意を引いたところで更に召喚、跳躍力と瞬発力に重点を置いた白い装甲を太ももから下全体に装着。<br /><br /> そしてすぐに跳躍、憤怒のカースによる一撃をかわし頭上を取って銃弾を叩き込む。<br /><br /> 「オオオオオオオオオ!」<br /><br /> 《Weapon:コロナ・グレネードランチャー》<br /><br /> 着地を狙う二体目の攻撃を再び跳躍で回避、マシンガンを返還し小型のグレネードランチャーとチェンジ。<br /><br /> そのまま固まっている二体まとめてグレネードの爆撃を浴びせる。<br /><br /> 「ムシスンジャネエエエエエ!!」<br /><br /> 「くっ…」<br /><br /> 予想外に俊敏な動きで、傲慢がまだ空中にいるのあに飛びかかるが近くの柱を蹴り避けるとともにすかさずグレネードを放つ。<br /><br /> 「オラアアアアアアアアア!!」<br /><br /> 「しつこい…っ」<br /><br /> だが、爆破によるダメージを受けても構わず追い縋ってくる傲慢に更なる回避行動を余儀なくされ、今度はスーパーの壁を蹴り地上に降りる。<br /><br /> そして、まるでそのタイミングを待っていたかのように二体の憤怒が豪腕を振り上げて突撃してくるが冷静に二体の間を飛び跳ねるようにすり抜けて距離を取る。</dd> <dt id="a310">310 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:13:39.14 ID:ODkxeHR20</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">「………………」<br /><br /> ランチャーの残弾を確認しながら状況を考えるが、どう戦っても苦戦は免れなかった。<br /><br /> 並のカースなら三発強で沈むグレネードに耐える憤怒が二体と、予想外の俊敏性を持った傲慢。<br /><br /> ―――この場にみくが居れば、かく乱を任せてその隙に強力な兵装で一体ずつ撃破もできたであろう。<br /><br /> ―――この場に日菜子が居れば、圧倒的な手数で翻弄しながら核を狙い撃ちできたであろう。<br /><br /> 「………考えても仕方ないわね」<br /><br /> しかし、この場にはのあ一人。ゆっくりとこちらに迫る三体のカースを目に打開策を考える。<br /><br /> その時だった。<br /><br /> 「このッ!」<br /><br /> 「ギャアアア!?」<br /><br /> ずっとこちらを注視していた傲慢が、突如飛び出した何かに弾かれ吹っ飛ばされる。<br /><br /> 「…隙だらけね」<br /><br /> それにより憤怒二体の注意がそちらに逸れた瞬間を逃すのあではなく、主に足元を狙い残弾すべてを撃ち込む。<br /><br /> ちらりと、吹き飛ばされた傲慢を見れば、乱入者であろう黒い翼を生やした何者かに翻弄されていた。</dd> <dt id="a311">311 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 20:17:40.45 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 《Weapon:対魔力障壁弾併用アンチマテリアルライフル[亡牙]》<br /><br /> 視線を二体の憤怒に戻し、撃ちきったランチャーを返還し代わりに現在のあが使える兵装の中でも最高クラスの威力を誇る切り札級の一つ、ズシンと重量がある銀色のアンチマテリアルライフルを召喚する。<br /><br /> 「テメエエエエエエエエエエ!!」<br /><br /> 「…ファイア」<br /><br /> 爆煙の中から一体の憤怒が飛び出してくるが時既に遅く、轟音とともに放たれた銃弾が正確に核を撃ち貫きその衝撃でカースの体が四散、その上さらに後ろにあった電柱を中ほどから吹き飛ばす。<br /><br /> 「……ガアアアアアアアアアアアアッ!!」<br /><br /> 素早く、二体目に照準を合わせるが一瞬早く憤怒が狂ったように地面に腕を叩きつけ、粉塵が巻き起こる。<br /><br /> 「…ファイア……ッ!?」<br /><br /> 「ゲヒャヒャヒャハハハハ!!」<br /><br /> それでも構わず撃ち込むが、今までとは違う素早い動きで射線から逃れられた上に明らかに狂ったような声を吐き出しながら迫ってきた。<br /><br /> その上厄介なことに直線上にはスーパーの店舗、威力がありすぎるアンチマテリアルライフルでは何が起きるか分からない。<br /><br /> 故に取るべき手段は回避であり、振り上げた両腕の一撃をダンッと力強く地面を蹴り後ろに跳ねる。</dd> <dt id="a312">312 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:20:25.47 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そこに、憤怒の背後から先ほどの乱入者が突撃していった。<br /><br /> 素早くあたりを見渡せば消えていく泥とキラキラと光る何かがあり、傲慢が片付けられた事が分かる。<br /><br /> 「ちょ…なにコイツ!?」<br /><br /> 乱入者が困惑の声を挙げながら憤怒から距離をとる。<br /><br /> ……黒い翼に、手には槍と盾、さらによく見るとその姿は先ほどスーパーでレジに話しかけてた女の子だった。<br /><br /> 「ゲヒャ、ゼンブゼンブゼンブアヒャアア!!」<br /><br /> そして困惑の原因であるカースは、めちゃくちゃに暴れながら体を構成している泥がボコボコと泡立っている異常な状態。<br /><br /> 「…あの、えーと……」<br /><br /> 「…何かしら?」<br /><br /> と、その女の子が近くに降りて来た。<br /><br /> 「その、よかったら協力しませんか?……なんか、あのカースいやな予感がす…しますし」<br /><br /> 「…のあよ」<br /><br /> 「え?」<br /><br /> 「…名前」<br /><br /> 「あ、えっと、ほう……うん、北条加蓮です!」<br /><br /> 「……注意を引ける?」<br /><br /> 「はい!それくらいなら任せて!……ください」<br /><br /> 「…そんなに緊張しなくてもいいわ……くる」</dd> <dt id="a313">313 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:22:42.91 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「アヒャヒャヒャ!!」<br /><br /> 加蓮と名乗った子にかく乱を頼み、散開。<br /><br /> 少し遅れて飛び込んできた憤怒に加蓮が槍を構えて突撃、そのまま突き刺すが構わず暴れまくる憤怒の足を狙い狙撃し、粉砕。<br /><br /> 支えを崩して倒れこむ憤怒から離れた加蓮は、今度は体から黒い泥―――幾つもの蛇を作り出して攻撃して押さえつけた。<br /><br /> 「くうっ!…なら!」<br /><br /> だが、単純な力では考えるまでもなく劣る加蓮が徐々に引っ張られていくが、すぐに今度は再び槍を片手に突進していく。<br /><br /> それと同時にのあもアンチマテリアルライフルを返還し、一気に地面を滑るように跳ねながら近づく。<br /><br /> 「きゃああッ!?」<br /><br /> 突進、槍が届くか届かないかの寸前でいきなりボコボコと憤怒の腕が増えて槍を掴み、恐ろしい力で加蓮もろとも投げ飛ばして身を起こそうとする。<br /><br /> 「アヒャヒャヒャ、ハハハハ!!」<br /><br /> 《Weapon:ミスリル鋼芯使用炸薬式パイルバンカー[憐骸]》<br /><br /> 明らかに異常だが、それでも振るわれる腕を紙一重で避け、アンチマテリアルライフルと並び切り札級である赤く大型のパイルバンカーを至近距離で召喚、そのままゼロ距離で、<br /><br /> 「ゲハハ……!?」<br /><br /> 「…フィニッシュ」<br /><br /> ズドンッと、鈍く重い音と薬莢を排出しながら撃ち込まれた杭の一撃が正確に核を貫いた。</dd> <dt id="a314">314 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:24:16.88 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">「……ふぅ」<br /><br /> あたりは爆発とカースの攻撃でボロボロ、しかしなんとか犠牲者は0。<br /><br /> 「……多いわね」<br /><br /> しかし、のあの表情は浮かばなかった。<br /><br /> ―――最近、妙にカースが複数同時に発生するし、だんだんと強力な個体が増えてきている気がする。<br /><br /> 目覚めた、と言うべきあの出会いの日からそんなに日にちは立っていないはずなのに、それでも強力になっているとわかるほど明らかにカースは凶暴性をましていた。<br /><br /> 何か、原因があるのだろうか、そもそもカースはどうして生まれるのか……<br /><br /> 「あのー、ちょっと…」<br /><br /> 「……何かしら?」<br /><br /> と、気づかない内に近づいていた加蓮の声で現実に戻される。<br /><br /> 「えっと…ありがとうございます、かな?」<br /><br /> 「…?」<br /><br /> 「一応、みんな助かったのは………えーと」<br /><br /> 「……のあ」<br /><br /> 「あはは…のあさんのおかげですから」<br /><br /> 「…無理をして堅く話す必要は無いわ」<br /><br /> ―――戦いは激化しても、人に感謝されるのは悪い気はしないと思う、のあだった。</dd> <dt id="a315">315 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga ]:2013/07/03(水) 20:27:54.54 ID:UYVlbnlV0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /> ちなみにこの後、のあは戦いの余波で買ったものが吹っ飛んでいたことに気づいて困惑したり、更にはこの日から加蓮までが料理を食べに来るようになるのだがそれはまた別の話である。<br /><br /><br /><br /><br /><br /> ーーーそして、傲慢の悪魔と魔力を統べる死神の激突により、人々は更に混迷の最中へと陥るのだった。</dd> <dt id="a319"><span class="resnum">319</span>:<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/03(水) 21:27:01.42 ID:wGNEoBYD0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「のあの武装について」<br /><br /> weapon→手持ち武器<br /> leg→脚部装備<br /> arm→腕部装備<br /> back pack→背部装備<br /> option→自立兵器<br /><br /> と言った感じで分類わけされてます。<br /><br /><br /> ・新たに判明した装備<br /><br /> 「Leg:特殊機動装甲[白兎]」<br /> →跳躍力と瞬発力を重視した脚部装甲。<br /> 軽く地面を蹴っただけで1から2メートル程ジャンプでき、使いこなせば立体的な戦い方ができる。<br /><br /> 「Weapon:コロナ・グレネードランチャー」<br /> →小型の灰色のグレネードランチャー。<br /> 弾数は12と少ないが取り回しに優れ、並のカースなら三発程度で塵になる威力。<br /><br /> 「Weapon:対魔翌力障壁弾併用アンチマテリアルライフル[亡牙]」<br /> →重量はあるが、圧倒的な威力と通常弾のほかにバリア等を破壊・貫通できる計三種類の弾丸を使い分けらる強力な武器。<br /> ただし、威力がありすぎるため射線上には特に注意が必要なのと、ある程度の機動力の低下は避けられないため状況を選ぶ。<br /><br /> 「Weapon:ミスリル鋼芯使用炸薬式パイルバンカー[憐骸]」<br /> →魔翌力を遮断する性質のある、現代技術では生成するのが困難なミスリル銀を杭に使用した炸薬式の赤い流線型のパイルバンカー。<br /> それなりの重量もあるが、直撃した時の威力は計り知れない。<br /> また、かなり頑丈で盾としても使える。</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a320"><span class="resnum">320</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb<span class="namenum">6</span>gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/03(水) 21:36:53.30 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙<br /><br /><br /> G3 法子と『わたし』<br /> 投下開始</dd> <dt id="a321">321 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb<span class="namenum">6</span>gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:37:51.32 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  最近……具体的に言うとあの核を吐いた翌日あたりから、『わたし』の自己主張が激しくなった。<br />  以前はぼんやりと感情が伝わって「こうしたいんだな」っていうのがわかる程度だったんだけど、あれ以来はっきりとした言葉を向けてくるようになった。<br /><br /> わたし『ねぇお母様、何をそんなに悩んでいるの』<br /><br />  お母様はやめてよ。13歳の母とかその手のはドラマだけで充分だから。<br /><br /> わたし『連れないのね、わたしという自我は貴女の中で生まれたのよ?<br />     母娘の関係と言えるじゃない。たまには乗って甘やかしてくださらない?』<br /><br />  やだ。<br />  ところで、会話の相手を『わたし』って呼ぶの変な感じなんだけど名前無いの?<br /><br /> わたし『えぇ? そうね……安直だけど全てを喰らう者とかでいいんじゃない?<br />     All Eatar、AかつEなのよ』<br /><br />  AでEだからなんなのさ?</dd> <dt id="a322">322 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:38:20.13 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> AE『あら、分からない?<br /><br />   みちるお母様はBread<br />   かな子お母様はCake<br />   そして貴女がDoughnut<br /><br />   BCDと連なっているでしょ?<br />   わたし(A)から始まってわたし(E)で終わるの。<br /><br />   ねぇ、気づいていて?<br />   わたしを食べたあの日から、貴女たちへ少しずつわたしが染みいって侵していたことを。<br />   わたしという自我が生まれたあのときに、それがピタリと止まったことを』<br /><br />  え、なにそれこわい。</dd> <dt id="a323">323 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:38:56.06 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> AE『今さら怖がっても遅いわよ。<br />   もう終わってしまったことだもの。<br />   そんなことよりお母様、あの仔を捨てたりしないでね』<br /><br />  あの子? 子どもなんて居たっけ?<br /><br /> AE『お母様ったら薄情ね。あんなに苦しんで吐きだしたのに』<br /><br />  あー、あの核? あれが子ども?</dd> <dt id="a324">324 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:39:21.47 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> AE『苦しんだのは貴女でも、あの仔はわたしから生まれたんだもの、わたしの仔よ。<br /><br />   わたしはいずれ貴女たちから一度出るわ。<br />   その時あの仔がわたしに還れば、わたしは十全たる力を得るの。<br />   それはわたしの力を有する貴女たちにとっても利となるわ。<br /><br />   だから決して手放さないよう、かな子お母様に進言して』<br /><br />  えー、まあ、いいけど。<br /><br /> AE『ふふ、ありがとうお母様。<br />   さあ、今夜はもう寝ましょう?<br />   明日も明後日も、まだまだお話する時間はあるもの』<br /><br />  うん、そうだね。おやすみ……</dd> <dt id="a325">325 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/03(水) 21:41:24.43 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 全てを喰らう者<br />  暴食のカース<br />  All Eater<br />  法子の中で自我を得た『わたし』の自称<br />  『わたし』を食べることで始まった三人への侵食は、『わたし』に自我が芽生えることで終わりを迎えた<br /><br />  自らの自我と共に生まれた原罪の核を『わたしの仔』と呼び、いずれ一つとなるつもり<br />  今はまだ法子の中にいて、おしゃべりに夢中</dd> <dt id="a326">326 :<span class="name" style="color:#008000;">◆Nb6gZWlAdvRp</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/03(水) 21:43:20.48 ID:BU12KOnXo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">終了<br /><br /> 短いけど早めにお披露目したかった<br /><br /> 前回投下で出した原罪はAE誕生の副産物なので、これ以上G3から原罪が生産されることは無いよ</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a329"><span class="resnum">329</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:43:17.85 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙ー<br /><br /> コレはヤバイ<br /><br /> ドキッ☆ベルちゃんのお仕置きターイム♪はっじまるよー<br /><br /> ……すいません。投下します</dd> <dt id="a330"><span class="resnum">330</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:45:00.46 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">GDF極東総司令部<br /><br /> そこは重ぐるしい空気がながれていた。<br /><br /> 「……どういうことですか?」<br /><br /> 新・総司令「どうしたもこうしたもない。前の総司令は辞職した。そして、私が新しい総司令であり、我々GDFはあなたとは今後一切、取引もしない。そして、あの兵器を封印する」<br /><br /> 「我々は地球の繁栄の為に御協力してあげてるのですよ?」<br /><br /> 新・総司令「それが、そもそもの間違えだったんだ。我々は誤ちを起こしてしまったのだ。それで牽制になる?違う……我々は新たな火種の素を作ってしまった。それに気づいたのだよ」<br /><br /> 「使ったのは貴方達ではないですか?いいんですか?貴方がそんなこといってたら地球はm」<br /><br /> 新・総司令「我々をたぶらかすな!今後一切そちらに協力を得ない!!もうこちらにはかかわるなっ!!」<br /><br /> そう言って新・総司令は通信を切った。<br /><br /> 新・総司令「我々はもう二度と誤ちを犯しはしない……」</dd> <dt id="a331">331 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:46:12.41 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">------<br /><br /> 通信を終えた異星人---野々村そらは内心苛立ちを覚えながら、強く通信機をしまった。<br /><br /> そら「(どういうことだ!?どういうことだ!?どういうことだ!?)」<br /><br /> そら「(あと少しで、あと少しで、内紛を起こし、そこからGDFを弱体化させ、それに乗じて野蛮人共で勝手に殺戮を起こし滅亡させる手筈だったのに!)」<br /><br /> そら「(何故急に!?まさか、我々の計画がバレた?いや、そんな筈はない!盗聴器や逆探知機も仕掛けられてない!ましてや、私自身に心が読まれないようにプロテクトもしてある)」<br /><br /> そら「(……何を慌てている。まだ色々と内輪もめをさせる手はある。GDFがダメならアンダーグラウンドの連中に≪おもちゃ≫を渡せば……)」<br /><br /> そう思考していると、部屋に鐘の音がなり始めた。</dd> <dt id="a332">332 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:47:25.90 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そら「はーい。今出ますよー!」<br /><br /> どうせ、またあの神だろう。<br /><br /> なんとか心を読まれないように注意しないと。<br /><br /> そう思いながら、扉を開けた。</dd> <dt id="a333">333 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:48:22.80 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 菜帆「こんにちは~~」<br /> ベル『こんにちは~~』<br /><br /> どこかふくよかで優しそうな知らない女性だった。何故か女性からは二つの声が聞こえた、<br /><br /> だが、そらの勘が警報を鳴らす。<br /><br /> そら「ど、どちら様かなー?」<br /><br /> 菜帆「始めまして~。海老原菜帆っていいます」<br /><br /> ベル『暴食を司る悪魔ベルゼブブです~』<br /><br /> そら「なっ!?」<br /><br /> 悪魔!?何故、そんな奴が!?いや、神がいるんだ。悪魔ぐらいで驚きは……<br /><br /> そう思考してると、菜帆は部屋に入って来てしまった。</dd> <dt id="a334">334 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:50:14.37 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 菜帆「シュークリームもってきました~。食べますか~?」<br /><br /> ベル『それより、あなたには色々と教えてあげないと~。≪友好的な異星人≫さん?裏でコソコソ直接手を下さないで、争わせて、自分は安全だと錯覚してました~?そんなことないじゃないですか~~』ニコッ<br /><br /> そら「!?」ゾクッ<br /><br /> そらは思わず、後退りをしてしまった。目の前の女はのんびりと微笑んでるだけなのに、自分のあらゆるものが警報をならす。<br /><br /> そもそも何故、こいつは私の正体を知ってる?<br /> そして、このタイミング……<br /> まさか!こいつが仕組んだのか?<br /><br /> だとしたら…逃げないと…<br /><br /> そう、ポケットに手をやろうとした。<br /><br /> だが、気づいた時には自分は組み伏せられ天井を見上げていたのだ。</dd> <dt id="a335">335 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:52:47.45 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> それは本当に一瞬だった。<br /><br /> 何かしようと身体が一瞬だけビクッとした瞬間に、そらの身体を何かが押さえつけ、床に組み伏せたのだ。。<br /> 横目で見ると、押さえてるソレは人の腕より大きい虫のような腕が4本だ。<br /><br /> 暴食を司る悪魔ベルゼブブ。蠅の姿の悪魔と言われている。<br /><br /> そして歴代のベルゼブブは----皆、蝿のように素早かった。<br /><br /> 恐らくスピードなら7つの大罪の悪魔1だろう。<br /><br /> そして、いくら鍛えられた工作員とはいえ、力の差は歴然だった……</dd> <dt id="a336">336 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:55:01.75 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ベル『虫ってどこにもいますよね~?虫って五分の魂が宿ってるって言われてますよね~?虫達が見た聞いた情報が私に入ってきたら凄いですよね~?』<br /><br /> 菜帆「けど、ここまで辿り着くのに色々情報をあわせたんですよね~。苦労したんです~」<br /><br /> そら「な、なんで悪魔が邪魔をするのかな!?あなた達悪魔だって色々と悪さをして、滅亡させようとしてるんじゃないのかな!?悪魔ってそういうものだよね?」<br /><br /> 動けない身体に、震えた声で、それでも抵抗しようと、悪魔を睨みながら彼女は吠える。<br /><br /> そして、悪魔の異形の腕がズブズブと、そらの身体にはいっていく。<br /><br /> ----評議会の為に!<br /> ----評議会の為に!<br /> ----評議会の為に!<br /><br /> ----評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!----<br /><br /> ベル『違いますよ~。今のそんな世の中じゃ、考えが古いですよ~?それに悪魔だって人間がいないと生きていけないのですから~~』<br /><br /> 菜帆「それに、争いなんか起こったら美味しいモノが食べられないじゃないですか~?あなたも美味しいモノ食べれば考えが変わりますよ?」<br /><br /> ベル『無駄ですよ?菜帆ちゃん。触ってわかったけど、この子色々弄られてますよ~?自分の意思なんて抑えられちゃってます~』<br /><br /><br /><br /> ---ー評議会の……た…め………に……?</dd> <dt id="a337">337 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:57:04.74 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そら「な、何を言ってるのかなー?わ、私は………」<br /><br /> ---…………私は?<br /><br /> ダマレ!!!ソンナノヒツヨウナイ!!!<br /><br /><br /> ---そういえば私はいつから?<br /><br /> ニンムノジャマダ!!!!カンジョウハイラナイ!!!<br /><br /><br /> ---そもそも、なんで私はこんな事を?<br /><br /> ヒョウギカイノタメニ!ウチュウノタメニ!!</dd> <dt id="a338">338 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:57:52.22 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 私は今ハッピーなのかな?<br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a339">339 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 22:59:16.96 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そら「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!」<br /><br /> 突然、発狂したようにジタバタ暴れ始めた。<br /><br /> ベルゼブブの腕は、そらの体内に入り、精神プロテクトを直接触れていたのだ。<br /><br /> それにくわえ、色々と言われ、自問自答をしてしまった事により、精神不安定になり、このよつな行動を起こしたのだ。<br /><br /> それは一種の防衛本能だ。</dd> <dt id="a340">340 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:00:49.07 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 菜帆「べ、ベルちゃん。ど、どうするんですか~?」<br /><br /> ベル『ねえ、菜帆ちゃん。菜帆ちゃんはこの子助けたい?』<br /><br /> 急にベルゼブブの声が菜帆の声真似ではなく真面目なものにかわる。<br /><br /> それは、真剣そのもので……<br /><br /> 彼女をこのまま殺すのも生かすのも契約者の菜帆しだいなのだ……<br /><br /><br /><br /> 果たして、彼女は………<br /><br /><br /><br /> 菜帆「もちろん。助けてあげてください」<br /><br /> 即答だった。</dd> <dt id="a341">341 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:01:49.57 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 『その願い。聞き届けた』<br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a342">342 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:03:10.78 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> すると菜帆の背後から、巨大な蟲のような不気味な悪魔が現れる。<br /><br /> 『≪喰い改めよ≫………いただきまぁぁぁぁぁぁぁあす!!!!!!』<br /><br /> そのまま、そらの身体を飲み込んだ。</dd> <dt id="a343">343 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:05:54.65 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">------<br /><br /> 菜帆「ベルちゃん。この子まだ起きないですよ~?」<br /><br /> ベル『精神プロテクトとか、洗脳プログラムとか、悪いモノ色々食べられちゃったんですよ~?なかなか起きませんよ~』<br /><br /> 菜帆は膝枕をされて、眠っているそらの頭を撫でながら、シュークリームを食べていた。<br /><br /> 菜帆「それにしても、ベルちゃん。この部屋にあった変な機械とか食べちゃってたけどよかったんですか~?」モグモグ<br /><br /> ベル『どうせ、向こうにはバレてますよ~。この子が失敗してるって~』モグモグ<br /><br /> ベル『菜帆ちゃんこそ、良かったんですか~。あの総司令の野心や悪心を私に食べさせて、反省した良い人に≪喰い改め≫させるだけで~。それで、マトモな人に席をゆずらせるだけでよかったんですか~~?』<br /><br /> 菜帆「そしたら、美味しいものも美味しく食べられないじゃないですか~。私は今みたいに普通に食べて、ベルちゃんと食べ歩くだけで充分幸せなんです~。そんな事できないです~」<br /><br /> ベル『そうですね~~』<br /><br /> やっぱり、この子を選んで良かった。<br /><br /> そう思いながら、そらが起きるまでシュークリームを食べていた。</dd> <dt id="a344">344 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:07:16.08 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 余談だが、茄子ちゃんにお邪魔した料金として、高級和菓子をプレゼントして菜帆のお財布にちょっとダメージを与えたのは別の話である。<br /><br /> 終わり</dd> <dt id="a345"><span class="resnum">345</span>:<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:08:20.05 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">≪胃界の門≫<br /><br /> 暴食の証。ベルゼブブの口。<br /><br /> 食べたモノを特殊な≪胃≫空間に送り込まれ、食べられたモノを消化し、作り変えて、吐き出し、≪喰い改める≫。<br /><br /> 本来なら魂や存在、なんでもそれをベルゼブブの思い通りに作り変える事が可能だが……<br /><br /> ベルゼブブも菜帆もそれをしようとはせず、ただ悪い感情などを良い感情にしたり、洗脳プログラムを解除し、元の人格に戻してあげるなど必要以上の事はしない。<br /><br /> だから滅多に使われる事はない。</dd> <dt id="a346"><span class="resnum">346</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/03(水) 23:11:55.98 ID:Yk0RFmAyO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です。<br /><br /><br /> なんか、すいません!!!<br /><br /> そして、そらちゃんの口調難しい……<br /><br /> ついでに前の総司令はベルちゃんに喰い改められて、辞職し罪を償おうと頑張っています。<br /><br /> ベルちゃんが暴食の証を発動する時のイメージはネ○ロが謎を食べる時みたいな感じです</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a365">365 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:52:25.78 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> やっと完成したんで投下します<br /><br /> 今回は…いよいよもってSAN値チェック必要かなあ?<br /><br /> では投下。</dd> <dt id="a366">366 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi<span class="namenum">7</span>reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:54:34.05 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ―――とある日、日菜子のマンション前。<br /><br /> 「はわぁ……どうしましょう」<br /><br /> 「……………にゃ」<br /><br /> 「どこか忘れてしまいましたぁ……ほえぇ…」<br /><br /> 「……そうかにゃ」<br /><br /> 「ふえぇ……確かこの近くのはずなんですぅ…」<br /><br /> 「……なるほどにゃ」<br /><br /> 「困りましたぁ……くとさんは何わかりますかぁ?」<br /><br /> 『×』<br /><br /> ペシペシペシペシ。<br /><br /> 「………………にゃあ」<br /><br /> 「ほえぇ………本当どうしましょう…」<br /><br /> 『…』<br /><br /> ペシペシペシペシ。<br /><br /> 「……………ほえぇ~」<br /><br /> 「………にゃあもうなんなんだにゃこれっていうかコイツなんとかするにゃさっきからペシペシペシペシみくになんの恨みがあるんだにゃ果てしなく鬱陶しいにゃあああ!!?」<br /><br /> 『?』<br /><br /> 「ふえ?」<br /><br /> 「………むふふ♪」<br /><br /> 「そこ!見てないで助けるにゃあ!ゼッタイ日菜子ちゃんの関係者にゃこの感覚は!」<br /><br /><br /><br /> ―――その日、みくは、超弩級天然少女と、手のひらサイズで緑色のタコに遭遇した。</dd> <dt id="a367">367 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:56:25.36 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ―――所変わって、日菜子家。<br /><br /> 「あ、おかえりー」<br /><br /> 「……愛梨ちゃんなんで居るにゃ?」<br /><br /> 「……暑かったから?」<br /><br /> 「あ~!愛梨さんこんにちわです~」<br /><br /> 「久しぶりだねー里美ちゃん!」<br /><br /> 『!』<br /><br /> 「ん、くとさんも久しぶりー!」<br /><br /> みくと日菜子、そして榊原里美と名乗った少女とその頭の上に乗っている謎のタコ『くとさん』が日菜子の家に入ると当たり前のように十時愛梨が居て、勝手に麦茶を飲んでいた。<br /><br /> とりあえず4人で机を囲んで座る。<br /><br /> 「………………にゃあ」<br /><br /> 「あれ、どうしたのみくちゃん?」<br /><br /> と、みくがなぜか落ち着き無く尻尾を振っている事に気づいた愛梨が声をかける。<br /><br /> 「どうしたもこうしたもないにゃ。慣れはしたけどやっぱり3人+オマケまで居たら落ち着かないにゃ」<br /><br /> 「みくさんはなかなか感受性が強いですからねぇ…感じ取ってしまうのもむりないですよぉ」<br /><br /> 「はい、くとさんお茶ですよ~」<br /><br /> 『♪』<br /><br /> 「………いや、なんかもうどうでもいいにゃ…」<br /><br /> 脱力したように座り込み机に突っ伏すみく。<br /><br /> その右側では里美がくとさんにお茶を与えていた。<br /><br /> ―――このくとさん、見た目はほぼタコなのだがジェスチャーで意思疎通ができていた。<br /><br /> …………ただし、その姿は可愛いというか、むしろガリガリと何かゲージ的な物を削られて脱力してしまうようなものなのだが。</dd> <dt id="a368">368 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:57:51.71 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 「それにしても今日も暑いですねー……あ、脱いでいいですか?」<br /><br /> 「やめるにゃ、女の子しか居ないけどその凶器を出すのはやめるにゃ」<br /><br /> 「むふふ……確かに暑いですねぇ…あ、日菜子もちょっと汗がでてきましたぁ」<br /><br /> 「日菜子ちゃん便乗しないでほしいにゃ、十中八九面白がってるってのはお見通しにゃあ」<br /><br /> 「ほえぇ……皆さ脱ぐんですかぁ……なら私も脱ぎます~」<br /><br /> 「だぁこのド級天然娘があああ!?なんでホントにぬぐにゃあああああ!!」<br /><br /> 『///』<br /><br /> 「そこ!赤くなるにゃ茹でダコと変わんないにゃああ!!………はぁ、なんでこんな目に合わなきゃなんないにゃ…」<br /><br /> 「はわぁ……お疲れ様です~」<br /><br /> ひとしきりツッコミをした後、ガクンっと心底疲れたように脱力するみく。<br /><br /> 「だいたい、もうちょっと色々教えてくれても良いと思うにゃあ」<br /><br /> 「何をですかぁ?」<br /><br /> 「……のあちゃんから聞いたにゃ。ベルちゃんが日菜子ちゃん達は、なんというか………この世界の条理というか、法則というか、そう言ったものから外れかかってる感じがするって言ってたって」<br /><br /> それは紛れもなく、力を持つ七大罪の悪魔の一人、ベルゼブブの言葉であった。<br /><br /> 更にいえば、ある意味妹分である城ヶ崎莉嘉や最近来るようになった北条加蓮もベル程ではないが何か感じ取っていたようだった。<br /><br /> 「……確かに、最初はちょっと怖かったにゃ。けど、日菜子ちゃんも愛梨ちゃんも、それにまだよくわかんないけど里美ちゃんもきっと悪い子じゃ無いっていうのは感じるにゃ」<br /><br /> だからこそ、みくは聞いてみようと思った。<br /><br /> ―――一緒に過ごしてきた中で、感じた違和感を。<br /><br /> 「だから、教えてほしいにゃ。日菜子ちゃん達が何を抱えてるかを、にゃ」<br /><br /> 「…………参りましたねぇ……むふふ」<br /><br /> 「えーと、隠してるつもりは無かったんだけどなぁ」<br /><br /> 「ほえぇ…」<br /><br /> 『…』<br /><br /> 「………そうですねぇ、」<br /><br /> そして彼女は、</dd> <dt id="a369">369 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 16:59:14.30 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 「―――日菜子達は、寂しくて寂しくてしかたがなかった神様たちに魅いられちゃったんですよ……むふふ♪」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ―――謳うように、笑うように、憐れむように、懐かしむように、そう言った。<br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a370">370 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:02:27.95 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 「むかしむかし、本当に気が遠くなるくらいとてつもなく昔、この世界に存在していた、旧くて忘れられて世界に否定された神様たち―――『旧支配者』………それが、日菜子とみなさんが内に秘めてるものですよ」<br /><br /> 「本当にとてつもなく強い力を持ってたらしいんだけどね……それでも、ある時突然ほとんどが姿を消したって教えられたよ」<br /><br /> 「えっとぉ……強すぎたから世界に嫌われたんでしたっけ~?」<br /><br /> 『○』<br /><br /> 「むふ……そして、嫌われ者の神様たちはその全てがあらゆる場所に分けられて封じられたんです……終わることのない牢獄に」<br /><br /> 「それが解けたのが『あの日』なんだよね」<br /><br /> 「けど、それでもたくさんダメダメって感じなんですよね~、くとさ~ん」<br /><br /> 『○』<br /><br /> 「………え?なにまさかとは思ってたけどコイツがそのきゅーしはいしゃって奴なのかにゃ?」<br /><br /> 「むふふ…そうですよぉ、くとさんは本当は怖くて忌まわしい神様の一柱なんです」<br /><br /> 「ほえぇ……くとさん怖いんですかぁ?」<br /><br /> 『×』<br /><br /> 「うわっ…色々と台無しになった気がするにゃ」<br /><br /> 机の上でふんぞり返っていたのに、里美が天然発動して日菜子の言葉を信じかけると慌てて否定しているタコもどきを見ていると本当に色々と台無しだった。<br /><br /> 「むふふ♪……けど、本当にこんなになってしまうくらい運良く封印から開放された神様たちは弱ってたんですよぉ」<br /><br /> 「後は……みんなそれぞれ事情が違うし、人に話すような事じゃないから今は言えないけど……こうして、神様たちが存在するために一緒になったんだ」<br /><br /> 「……あ、神様と一緒にいることは日菜子後悔してませんよぉ?むしろ日菜子は自分からしましたからぁ♪」<br /><br /> 「私も………うん、私も後悔してないかな。きっと、こうするのが一番だったから」<br /><br /> 「ほわぁ………私もです~。かわいそうでしたし……大変、でしたから~」<br /><br /> 『…』</dd> <dt id="a371">371 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:03:14.21 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 「………とりあえず、今はこのくらいですねぇ……あまり話せる事は少ないですし、一気に説明すると分かりづらいですからぁ…むふふ」<br /><br /> 「……なんだかよくわかんなかったけど、やっぱりみくの目に間違いはなかったにゃ」<br /><br /> 「ほぇ?」<br /><br /> 一通り話を聞いて、けどまだよくわからなかったみくだが、一つだけわかったことがあった。<br /><br /> 「3人ともやっぱり悪い子じゃないって事にゃ。それだけ分かってちゃんと話してくれたんだからみくはそれで十分にゃ」<br /><br /> 「…流石だなぁ、みくちゃんは」<br /><br /> 『○』<br /><br /> 空気が和む。<br /><br /> 少なくとも、嘘をついている目では無かったし、なら今はこれでいいとみくは思う。<br /><br /> 「にゃはは!……にゃ、そろそろ準備しないと莉嘉ちゃんとの約束に間に合わなくなるから、続きはまた今度聞くにゃ」<br /><br /> 「はい♪日菜子はいつでも構わないですからねぇ……王子様の事でもありますし………むふ、むふふ♪」<br /><br /> 「…そういえば、ずっと気になってたけけど日菜子ちゃんの王子様って名前とかないのかにゃ?いやきっとさっき話した、きゅーしはいしゃってのだとは思うけどにゃあ」<br /><br /> 「……知りたいですかぁ?」<br /><br /> 「にゃ」<br /><br /> 「……………むふ、むふふふふ♪」<br /><br /> ふと起きた一つの疑問。<br /><br /> その答えを持つ少女が、立ち上がると同時にふわっとみくの隣に来る。<br /><br /> 「…特別ですからねぇ、ちゃんと聞いてくださいねぇ♪」</dd> <dt id="a372">372 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:04:48.48 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 「―――『這い寄る混沌』―――『ニャルラトホテプ』と呼ばれていた素敵な素敵な日菜子の王子様ですよぉ……むふふ♪」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a373">373 :<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:05:38.90 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ――――――。<br /><br /> 「……強いね、みくちゃん」<br /><br /> 「みくさんだけじゃないですよぉ……ここに来る人はみんな、心の中に何か強いものを持っていますからぁ」<br /><br /> 『…』<br /><br /> 「日菜子ちゃんがそう言うなら、きっとそうですよ~」<br /><br /> 「……なら、私たちも頑張らないとね!」<br /><br /> 「むふふ♪…そうしましょうかぁ♪」<br /><br /> 「はわぁ…お二人ともやる気が出てます~、私たちも頑張りましょうね~くとさん」<br /><br /> 『!』<br /><br /> みくを見送った後、神に魅入られた者たちは何気ないように話していた。<br /><br /><br /> 「とりあえずですけど『原罪』は『悲劇』が起きた場所に埋めておきました……『種』みたいだったので生まれるのはきっと『木』だと思いますよぉ」<br /><br /> 「『旧き魔道書』の一冊がありそうな場所を見つけたけど…あそこは『歪み』が酷くて私だけじゃちょっと時間がかかるかも……そんなに強い本じゃなさそうだけど…」<br /><br /> 「桃華ちゃんの所は、なんかおかしい動きがあるっておにいちゃんが言ってました~……でも残りの『悪魔』さんも『死神』さんもどこにいるかさっぱりです~…」<br /><br /> 『×』<br /><br /><br /> 「そうですかぁ……とりあえず、今までどおり一つずつこなしていきましょうかぁ………むふふ♪」<br /><br /><br /><br /><br /> 続く?</dd> <dt id="a374">374 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定 </b>◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:06:43.84 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 『旧支配者』<br /> →太古の昔、世界を支配していたとされる神々の総称。<br /> 強大な力を持つが、ある時世界そのものに存在を否定され、様々な種族の手によってことごとくが封印された。<br /> 現在では、一部が封印から脱しているがその力は極端なまでに低下しており、存在を維持するには人間の魂と同化・共存しなければならない。<br /> しかし、それでも古と比べてのパワーダウンであり一般的な目から見れば充分強大な存在である。<br /><br /> 『くとさん』<br /> →榊原里美がいつも連れ歩いているタコみたいな緑色のナマモノ。<br /> 手のひらサイズであり、ジェスチャーで意思疎通をするがその様子は何かがガリガリと削られていく感覚が起きる少々冒涜的なものだったりする。<br /> その正体は旧支配者の一体であり水の神性。<br /> 里美と共生している。<br /><br /> 『原罪の種』<br /> →日菜子が回収した原罪の核が変化した、植物の種のような物質。<br /> 日菜子曰く、成長するとやがて『木』となるらしい。<br /> 現在はとある場所に埋まっているらしい。<br /><br /> 『旧き魔道書』<br /> →太古の昔に存在していた力もつ書物。<br /> そのほとんどは歴史の闇に葬られ、人々の記憶からは消え去っている。<br /> しかし、それでも現存はしているらしく空間を超えて様々な場所・世界に散らばっている。<br /><br /> 『ニャルラトホテプ』<br /> →『這い寄る混沌』『無貌の神』とも呼ばれる。<br /> 旧支配者の中でも特に強大な力をもつ神の一体であり、日菜子と共生している。<br /> 今のところ名前以外は謎の存在。</dd> <dt id="a375">375 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定 </b>◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:07:24.62 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ・榊原里美<br /> 属性:人間?<br /> 能力:「水」の操作、???<br /> 詳細:<br /> 名家中の名家『榊原家』の出身であるドがつくレベルの天然少女。<br /> 榊原家は古くから財界や政界と根深い関係にある家系であり、主に監査や査察を受け持ってきた。<br /> のだが、そういった事は『おにいちゃん』にまわることが殆どで里美自身はのびのびと育ったためそういう『暗部』についてはあまり知らない。<br /> いつも『くとさん』と呼ばれるタコみたいな生物を連れて歩いており、ある意味里美のボディガードである。<br /> あまり戦うのは得意ではないと言うが、くとさんがサポートしているためやはり侮れなかったりする。<br /><br /><br /> ・イベント情報<br /> 1.原罪の核が種になって埋められました。最近起きた大きな悲劇の舞台といえば…<br /> 2.どこかのダンジョンに精神をやられそうな魔道書が出現しました。</dd> <dt id="a376"><span class="resnum">376</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/05(金) 17:09:28.86 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">投下終了です<br /><br /> …なんだか一気に設定掘り下げたから少し不安ですが、何か無理がありましたらスルーで;<br /><br /> それではお目汚し失礼しました。</dd> <dt id="a387"><span class="resnum">387</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆UCaKi7reYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/05(金) 17:59:13.89 ID:Ciyrvjyq0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 度々すみません、説明不足の補足を。<br /><br /> 自分の中では<br /> 大量発生(原因不明)→更地→夕美ちゃんが森に→『悲劇』の地として原罪の種を埋める<br /><br /> という感じです。<br /><br /> 原罪と大量発生は関係ないはず<br /><br /> では本当に失礼しました</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a390"><span class="resnum">390</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:32:58.17<span class="id">ID:uftpE7LTo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 大槻唯ちゃん投下します。<br /><br /> 設定は投げ捨てるもの</dd> <dt id="a391">391 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:34:03.42 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 夕刻、海老原菜帆はネオトーキョーのとある高級ホテルのエレベーターに乗っていた。<br /><br /> 菜帆「ベルちゃん私こんなところに来るの初めてですよ~」<br /><br /> ベル『私の用事につき合ってもらってごめんなさいね~』<br /><br /> ベルゼブブはつい先日、とある事情で虫を利用して情報を集めている際にコンタクトをとってきたものがいた。<br /> 相手はネオトーキョーの高級ホテルの最上階にある展望レストランを待ち合わせ場所に指定してきたのだ。<br /><br /> 菜帆「ベルちゃん夜景がきれいですよ~」<br /><br /> エレベーターから眼下に広がる人工光が星空のように地上を照らしている。<br /> ここ近年技術は目まぐるしく発展している。<br /> さらに『あの日』より様々な技術が流入してきたことにより人類の生活レベルは格段に跳ね上がった。<br /> そしてこの経済特区ネオトーキョーはその象徴ともいえよう。<br /><br /> ベル『それが幸か不幸かはわかりませんけどね~』<br /><br /> 菜帆「どうかしましたか~?ベルちゃん?」<br /><br /> ベル『いえ、私たちは美味しいものが食べられて、幸せならそれでいいな~って、それだけですよ~』<br /><br /> 菜帆「そういえば私ここのレストランの料理前々から食べてみたかったんですよ!」<br /><br /> ベル『お代は向こう持ちだそうですから、気にせず食べられますよ~』<br /><br /> そうこうしている間にエレベーターは最上階に到着したのを知らせるように高い音を鳴らす。</dd> <dt id="a392">392 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:35:27.45 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 最上階にある展望レストランは星を持っているので、客層はかなり富裕層の人間が多い。<br /> そこに人間の立ち振る舞いはきらびやかな場にそぐう様に気品にあふれていた。<br /><br /> しかし菜帆はそういった家の生まれではないので服装だけは整えてきたものの、やはり周囲から少し浮いていた。<br /> そんな奇異の対象として見られていたので、菜帆は落ち着かない様子で店内を進んでいく。<br /> そんな菜帆にこのレストランのウェイターであろう男が近づいて行った。<br /><br /> 「海老原菜帆様でいらっしゃいますね」<br /><br /> 菜帆は後ろから急に話しかけられたため少し驚いて体を震わせたが、ウェイターの方へと体を向ける。<br /><br /> 「奥の個室まで案内します。大槻様がお待ちです」<br /><br /> そういってウェイターに先導されながら、レストランの関係者以外立ち入り禁止の場所へと入っていく。<br /> そして案内された個室は、ネオトーキョーを一望できるような大きなガラス張りの窓の部屋になっていた。<br /> 電気がつけられていないが、いくつか置いてある燭台の火とネオトーキョーの光で十分な明るさを保っていた。<br /><br /> そんな部屋の中にあまりに場違いな少女が窓を背に座っていた。<br /> この高級レストランにはあまりにもそぐわない流行りの服装で、ウェーブのかかった金髪には室内だというのに帽子をかぶっていた。<br /> さらに目を引くのが口にくわえた大きなくるくるキャンディだろう。<br /> 当然このレストランのメニューではないので外から持ち込んだものなのだろうと予想ができた。<br /><br /> 「ちぃーっす!待ってたよ♪」<br /><br /> 菜帆はこの少女とは初対面だがまるで少女は知り合いにでも合うかのように挨拶をしてくる。<br /> その挨拶にはベルゼブブが答えた。</dd> <dt id="a393">393 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:36:34.79 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ベル『お久しぶりで~す。バ』<br /><br /> しかし途中で少女に遮られる。<br /><br /> 「おっと、アタシは今は大槻唯って名乗ってるの♪こっちで呼んでくれるとうれしいなっ」<br /><br /> ベル『わかりました~。唯さん」<br /><br /> 唯「んー、違う違う。アタシとベルちゃんの仲なんだから『さん』なんてつけなくていいってばー」<br /><br /> 菜帆を置き去りにしたままベルゼブブと唯の会話が進んでいく。<br /><br /> 唯「ところでその子がベルちゃんの契約者?」<br /><br /> ここで急に話題が菜帆へと向けられる。<br /><br /> 菜帆「あ、えーと、海老原菜帆です。ベルちゃんとは仲良くさせてもらってます~」<br /><br /> 唯「よろしくねっ、菜帆ちゃん。ところでそれ、食べる?」<br /><br /> 個室の会話での配慮なのだろう。すでにコースメニューがすべて机に並べられており、食欲を誘う香りを放っていた。<br /> なので菜帆の口からはよだれが漏れ出していた。<br /><br /> 菜帆「あっ、ごめんなさ~い」<br /><br /> 菜帆は慌てて垂れたよだれをぬぐった。<br /><br /> 唯「やっぱりベルちゃんの契約者だけはあるね。さぁジャンジャン食べて☆ご飯食べながらのほうが話も盛り上がるだろうし。ベルちゃんももう我慢できないでしょ!」<br /><br /> 菜帆「ごめんなさ~い、じゃあ遠慮なく」</dd> <dt id="a394">394 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:37:13.32 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /> 菜帆「いただきます」<br /> ベル『いただきます』<br /><br /><br />  </dd> <dt id="a395">395 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:38:29.62 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 手を合わせた後、まずは前菜から手を伸ばした。<br /><br /> 前菜である魚介のサラダに手を付ける。<br /> みずみずしい触感が口の中で音を立てソースドレッシングが野菜の味を殺さず、引き立てている。<br /> 魚介である海老とカツオはソースに加えて、食材そのままの塩味が胃を満足させるどころかさらなる食欲を湧かせる。<br /><br /> 唯「じゃあ本題に入るけどね。今回呼んだのは実はおいしいご飯をご馳走してあげるためじゃないんだ☆」<br /><br /> ベル『私が一番楽しみにしてたのはここのお料理なんですけどね~』<br /><br /> 会話中も手は止まらない。<br /> スープはやはり少し冷めてはいたが、それでもなお口に運べばぬくもりを伝播していく。<br /> よくあるブイヤベースだが、複数の魚介と香味野菜から出たうまみは混ざり合いながらも互いに引き立てあっていた。<br /> それは口内を満たすことによって、舌からだけではなく口全体でそれの味を貪欲に吸収しているように錯覚するほどであった。<br /><br /> 唯「たしか今の怠惰と傲慢が魔界に連れ戻されたんだよねー」<br /><br /> ベル『ええ、ちょっとやりたい放題し過ぎたようですね~』<br /><br /> 唯「キャハハハハ!ダッサ~い。もっとうまくやれなかったのかな?」<br /><br /> ベル『私みたいに正規の手順を踏めばよかったんですけどね~。それにあまり悪さもしなければ連れ戻されることもなかったのに』<br /><br /> 唯「悪魔に『正規』とか『悪さをしない』とかを求める方が酷ってもんでしょー。逆にベルちゃんがいい子すぎるんだって」<br /><br /> そういって唯は目の前にあったオレンジジュースの入ったグラスに手を付けた。<br /> その小さな口は刺さっていたストローに口をつけて、ジュースを吸い上げる。</dd> <dt id="a396">396 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:39:37.41 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 唯「ぷはぁー。悪さをしなくても欲を満たせるベルちゃんとは違うからねー。でも本来悪魔なんだから欲に忠実に生きないとね☆」<br /><br /> ベル『みんななかなか思うようにすごせないんですね~』<br /><br /> 唯「悪魔なのに欲望を抑えられてる今がおかしいんだよ。まぁ捕まった二人を同情するわけでもないんだけど」<br /><br /> 菜帆はこの間にも手は止めない。<br /> メインディッシュである肉厚のステーキへとついに手を伸ばした。<br /> 国内産の最高級ビーフのステーキは付け合わせとのいろどりの中、宝石のように輝く。<br /> ナイフとフォークを丁寧に用いて、一口大にカットした。<br /> その際に湯気を未だに立てながら肉汁がミディアムレアに焼き上げられた軽いピンク色の断面からこぼれだした。<br /><br /> これを目の前にして我慢できるものがいようか。<br /> 菜帆は丁寧に、待ちきれないように、上品に口へと運ぶ。<br /> 口へと運んだ途端にステーキソースの洗礼を受ける。<br /> 肉をコーティングしたソースは肉汁と合わさることによって、味覚を刺激する。<br /> そして肉を噛むことによってさらなるうまみを内包した肉汁の奔流を発生させる。<br /> その肉は柔らかく簡単にかみ切れてしまう。それでも奥歯で噛みしめると踊るような弾力があった。<br /> その触感は神経を伝わって脳を震わせる。<br /> その頃湧き出した肉汁は口内を覆いつくし、するりと肉を胃へと落としていった。<br /><br /> それなのにも関わらず口内にはいまだに肉の触感の余韻を残している。<br /> 胃は歓喜に満ち、さらなる獲物を求める。<br /><br /> 菜帆「……ああ」<br /><br /> 菜帆(……しあわせ)<br /><br /> 菜帆の幸福度は上昇を続ける。<br /> もはや手は止まらない。<br /> 下品にならないように、丁寧に、さらに口へと運んでいく。<br /> 菜帆は恍惚の表情を浮かべていた。</dd> <dt id="a397">397 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:40:36.33 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 唯「結局のところ、詰めが甘かったってことだね☆自身の欲のためならそれをただ求めるだけじゃダメってこと」<br /><br /> ベル『う~ん?私にはよくわからないです』<br /><br /> 唯「とにかくアタシも欲のためにいろいろ苦労してるってワケ!だからこそできることはやっておこうと思ってるんだよねー」<br /><br /> 唯はテーブルにオレンジジュースを置いて、菜帆、ベルゼブブの瞳を見つめながら言う。<br /><br /><br /><br /><br /><br /> 唯「同じ『暴食』の悪魔として、ゆいたちに協力してくれないかなっ?」<br /><br /><br />  </dd> <dt id="a398">398 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:42:09.49 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 菜帆「どうして断っちゃったんですか~?」<br /><br /> 菜帆は今、来たときにも乗っていたエレベーターで階を下っていた。<br /><br /> ベル『だって菜帆ちゃんに迷惑かけちゃうと思いますからね~。唯さんは嫌いではないですけど、今は菜帆ちゃん優先です~』<br /><br /> 菜帆「でもおいしいものをいっぱい食べさしてくれるっていうので、すこしもったいなかったかな~って」<br /><br /> ベル『でも協力するといろいろ面倒なことになるでしょうし、菜帆ちゃんのことを考えると承諾はしかねますね~。<br /> やっぱり私はおいしいものを食べてるときが一番幸せなんです。<br /> そして新しいおいしいものを探すのも楽しみなんですよ~。<br /> ごちそうしてもらうのもいいけど、やっぱり菜帆ちゃんと見つけたおいしいものを食べたいんですよ~』<br /><br /> 菜帆「そう言ってもらうと、なんだか照れちゃいます~』<br /><br /> エレベーターはかなり下の方まで来たので先ほどまで見下ろしていた町の光は眼前にあった。<br /> 夜であってもこの町は眠ることはない。<br /> ホテル最上階の落ち着いた雰囲気と違い、人々の雑踏が窓からうかがえる。<br /><br /> 菜帆「ところで結局よくわからなかったんですけど、唯さんはどんな人なんですか?」<br /><br /> 終始食事に夢中になっていた菜帆は本来一番初めに疑問に思うことを思いつく。<br /><br /><br /><br /><br /> ベル『え~と、私の大先輩、初代ベルゼブブさんですね~』<br /><br />  </dd> <dt id="a399">399 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:43:27.16 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 大槻唯はホテルの屋上の端からネオトーキョーを見下ろしていた。<br /><br /> 唯「やっぱりあの菜帆ちゃん、いい顔してたねー。アタシの契約者になってほしくなっちゃったな♪」<br /><br /> そのとき唯の背後から轟音が響く。<br /><br /> 唯「でもベルちゃんに怒られちゃうからやっぱり駄目だよね。ベルちゃんの勧誘には失敗したけど、ゆいたちの邪魔はしないみたいだしそれでいいかなっ」<br /><br /> 轟音は上空から響く。<br /> 空からはヘリコプターが下りてきていてそのローターが音を響かせていた。<br /><br /> 唯「そう、欲のため、目的のためならできることは全部しないといけないし、仲間は多いに越したことなしっ!」<br /><br /> ヘリはすでにヘリポートに着陸しており、メインローターは勢いを少し落としつつも大きな音と強風を生み出していた。<br /> 唯はヘリの方を振り返る。<br /><br /> ヘリから男が下りてきて唯に近づいていき、頭を下げた。</dd> <dt id="a400">400 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:44:19.08 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /> 「お迎えに上がりました。バアル・ゼブル(崇高なるバアル)」<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 唯「この街はいい街だね。混沌として秩序のない感じ、アタシ大好き☆」<br /><br /> 唯はそのまま男に連れられヘリへと乗り込む。<br /><br /> 唯「ゆいたちはこの混沌の時代を待ち続けた。うひひ、計画を実行に移す日はもうすぐだねっ」<br /><br /> 唯は楽しそうに、凶悪な笑顔を浮かべる。<br /> ヘリはそのままローターの回転を上げてヘリポートから浮かび上がった。<br /><br /> 男は口を開き賛同する。<br /><br /> 「ええ、我ら『イルミナティ』の理想は目前です」<br /><br /> 唯「そう、アタシを堕としたときと同じ屈辱を与えてアゲル♪<br /><br /> 全能神、神をこの混沌の世界の元に引き摺り降ろしてやるんだから」<br /><br /> ヘリはそのまま星の見えない暗闇の空へと消えていく。<br /> そしてそのまま地上からは見えなくなっていった。<br /><br />  </dd> <dt id="a401">401 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:45:55.66 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">大槻唯(??)<br /> 職業 『イルミナティ』創設メンバー<br /> 属性 邪神<br /> 能力 不明<br /><br /> かつて天界を追放され、魔界へと堕ちた神バアルであり暴食の悪魔、初代『ベルゼブブ』。<br /> すでに死んだと思われているが、魔界から姿を消した後、人間界で暗躍してきた。<br /> それはごく一部の悪魔のみが知っている。<br /> 天界と自身を追放した全能神に復讐を誓っている。<br /> 普通の悪魔と違って元神(邪神)なので普通では殺すことができず、寿命で死ぬこともない。<br /> 見た目は天界にいたころから変わっておらず、悪魔らしからぬ容姿。結構ミーハー。<br /> 暴食の悪魔だったが、あまり『暴食』ではない。<br /> 大槻唯という名前は現在人間社会で名乗っている名前である。<br /><br /> イルミナティ<br /> 悪神信仰のある秘密結社。その実態は悪魔によって作られた組織で名称は時代とともに変わり、また特定の名称でもない。<br /> 組織としての目的は世界の掌握だが、バアルにとっては『神堕とし』が目的。<br /> 古くから世界中に影響を及ぼし、アンダーワールドや外宇宙とのつながりもある。<br /> 魔法や能力なども『あの日』以前から手中に収めている。<br /><br /> 高級和牛のステーキ~地中海の香りとともに~<br /> ホテルのコースメニューのメインディッシュで厳選された食材を用いた至高の一品。<br /> 頬がとろけるうまさ。腹減ってきた。<br />  </dd> <dt id="a402">402 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/05(金) 19:46:52.70 ID:uftpE7LTo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 以上です<br /> ヒーローといったら悪の秘密結社です。<br /> いろんな勢力と繋がってる設定にしたので悪同士のパイプ役に使ってもらうのもあり。<br /> またいろんな能力とか設定の敵も出しやすいようにしてみました。<br /><br /> 唯ちゃんの口調難しいですね。</dd> </dl><h4><a href="http://www57.atwiki.jp/mobamasshare/pages/370.html">その3へ</a></h4>

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