勇者「美人な僧侶と魔法使いを」EP1 監獄の章


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 84:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 05:35:24.09 ID:hpeqfj4Jo
―epilogue― 数ヶ月前 魔王の孤島 

キマイラ「こい」 

勇者「……」 

キマイラ「どうした?」 

勇者「ここで殺せばいいだろう」 

キマイラ「黙って付いて来い」 

勇者「何か目的でもあるのか?」 

キマイラ「……」 

勇者「集団で嬲り殺しにするのか」 

キマイラ「無駄口は叩くな」 

勇者「痛くしないでほしいな」 

キマイラ「お前次第だ」 

勇者「だよな」 

キマイラ「早くしろ」 

勇者「はいはい」 




85:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 05:40:13.74 ID:hpeqfj4Jo
―――魔王の城 謁見の間 

キマイラ「入れ」 

勇者「……」 

ハーピー「はぁい♪」 

ゴーレム「……キたか……」 

勇者「どうも。中々、美しい造形ですね」 

ハーピー「うふっ。噂通りね。わらわの憐憫さが分かるとは……」 

勇者「抱きたい」 

ハーピー「それは……アナタ、し、だ、いっ」 

勇者「腹筋から始めましょうか?!」 

ゴーレム「ウ……るさい……」 

勇者「これはすいません」 

キマイラ「中央に座れ」 

勇者「はっ!!」ギュッ 

ハーピー「わらわの腕から離れろ」 




86:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 05:44:17.32 ID:hpeqfj4Jo
勇者「で、この美しい方は?」 

キマイラ「お前を連れてきたのは二つの理由がある」 

勇者「お名前は?」 

ハーピー「ハーピーと申す」 

勇者「エロいっすね」 

ハーピー「良く言われる」 

キマイラ「きけぇ!!!」 

勇者「はっ!!」 

キマイラ「一つ目はお前を処刑するためだ。魔王様の仇として討つためにな」 

勇者「それで今後、人間に手を出さないというなら、それでも構わない」 

ゴーレム「ソう……か……デは……コロそう……」 

勇者「じわりじわりと殺さないでくださいね」 

キマイラ「まて」 

ゴーレム「マお、うさまの……カたき……うつ……」 

キマイラ「静まれ!!もうこれ以上、余計な混乱を生みたくはない!!」 




87:NIPPER(チベット自治区):2012/06/30(土) 05:50:46.92 ID:N7nNy7BTo
空白期間キター 




88:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 05:53:25.18 ID:hpeqfj4Jo
勇者「混乱……?」 

ハーピー「ふふ……わらわのことだ、勇者よ」スリスリ 

勇者「ぬほほぉ……ぼ、僕を篭絡……させよう……ななな、なんて……もっとして」 

ハーピー「よさぬか。お前がそうやっておどけているのは半分演技であろう?」 

勇者「その真意は寝室で生まれたままの姿になってですね」 

ハーピー「お前には感謝しているのだ」 

勇者「感謝?……なんかしましたっけ?側室になってほしいなんていいました?」 

ハーピー「違う。魔王を倒してであろう?あれによってわらわを含めた革新派がようやく日の目を見ることができたのだ」 

勇者「革新派……?よくわかりませんが、僕の股間がギンギンなのは間違いないです」 

ハーピー「おっ……意外と……でかぃ……」 

キマイラ「察しのいいお前ならばもう分かっただろう。なぜ生かされ、ここにいるのかが」 

勇者「もしや……革新派と呼ばれる魔族が僕の身を守ろうとしているというのですか?」 

キマイラ「魔王様が倒れた直後、革新派は行動を起こした。保守派……つまり魔王様を信仰していた者たちに攻撃を始めた」 

勇者「魔王に倒れて欲しかったと思う魔族がいたということですか」 

キマイラ「魔王様は良くも悪くも魔王の座に長年居続けた。それを良く思わぬ輩は少なからずいたのだ」 




89:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:00:22.35 ID:hpeqfj4Jo
ハーピー「革新派の筆頭は魔道士だったのだ」 

勇者「キラちゃんの生みの親か」 

ハーピー「あの時は流石にお前を殺してしまったほうがいいのではないかという動きもあった」 

勇者「アナタに殺されるのなら本望です」キリッ 

ハーピー「ふふ……それは嬉しいな。まあ、あとでじっくりと料理してくれる」 

勇者「すきにしてっ!!」 

ゴーレム「マじ……めに、や……れ……」 

勇者「は、はい」 

キマイラ「魔王様が倒れ、保守派は勇者の討伐に乗り出した。だが、それを革新派が止めた」 

ハーピー「我らにとって勇者は恩人だからなぁ。それに……中々、かっこいいではないか……ニンゲンにしておくのがもったいない……」スリスリ 

勇者「あっ……そんなぁ……らめぇ……」 

ハーピー「食べてしまいたいな……ふふふふ……」 

勇者「どうぞ、遠慮なく食してください」 

ハーピー「では……足から頂こうかのう……」 

キマイラ「やめろ。どうしてお前はそう全てを餌として捉えるんだ」 




90:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:09:14.16 ID:hpeqfj4Jo
ゴーレム「ハナし……が……つづカない……」 

キマイラ「要するにだ。勇者よ、お前がここに呼ばれた二つの理由は、保護だ」 

勇者「保護?」 

キマイラ「保守派はお前を抹殺したがっている。だが、もしお前が抹殺されてしまえば、保守派と革新派の軋轢は修復不能になる」 

ハーピー「といっても、元から仲がよかったわけじゃないがな。わらわとて何度も命を狙われたことか」 

勇者「酷いな。許せん」 

ハーピー「わらわを守ってくれるのか?」スリスリ 

勇者「はいぃぃ……」ゾクゾク 

キマイラ「競合した結果……勇者よ。お前を軟禁させてもらう」 

勇者「軟禁?!」 

ゴーレム「コろせない……から、ナ……」 

キマイラ「だからといって魔族の憎悪は貴様に向けられいる」 

勇者「魔族内のゴタゴタが収束するまで管理し閉じ込めておくということか」 

ハーピー「まぁ、あれだ。革新派が負けてしまえば、お前は確実に殺されるだろうがなぁ」 

キマイラ「保守派と革新派が和解しても勇者の処刑は実行される可能性がある。それだけは肝に銘じておけ」 




92:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:14:29.46 ID:hpeqfj4Jo
―――牢獄 

勇者「なんだよー!!軟禁じゃなくて監禁じゃねーか!!」ガシャガシャ 

ハーピー「まぁまぁ。落ち着け。わらわもお前をいつまでもこのような場所に閉じ込めておく気はない」 

勇者「誓いのキッスを……」 

ハーピー「護衛を置いておこう」 

勇者「メス!?」 

ハーピー「勿論」 

勇者「わーい」 

ハーピー「それにしても不思議な男だな……。お前は今、いつ殺されても不思議ではないというのに」 

勇者「貴女という美しい人がいる……それだけで僕は満足なのです」 

ハーピー「ふふ……そういって何人の女を落としてきたのだ?」 

勇者「えーと……貴女を含めて8人です」 

ハーピー「ふふふ……そうか……意外と少ないな」 

勇者「それより早く僕の護衛ちゃんを呼んでください!!!」 

ハーピー「そう急かすな。―――こっちにこい」パンパン 




93:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:19:16.32 ID:hpeqfj4Jo
勇者「キラちゃん並の可愛い子を……!!」 

ゾンビ「あー……あー……」ヨロヨロ 

勇者「!?」 

ハーピー「わらわの直属の部下だ。リビングデット族だ。ほれ、挨拶をせえ」 

ゾンビ「うー……」ペコッ 

勇者「ど、どうも……」ペコッ 

ハーピー「これは重大な任務だ。決して抜かるでないぞ?」 

ゾンビ「うー……」ペコッ 

勇者「護衛って……大丈夫なのですか?なんか……とってもドジっこのような……」 

ハーピー「わらわが一番可愛がっている娘だ。なにも心配することはない」 

勇者「あの!!できれば貴女に守ってもらいたいなぁって!!!」 

ハーピー「それはできぬ。わらわは魔道士の代わりに革新派の長を務めておるからなぁ」 

勇者「そんなぁ!!!」 

ハーピー「ではな。また様子を見に来る」バサッバサッ 

ゾンビ「あー……あー……」バイバイ 




94:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:23:02.60 ID:hpeqfj4Jo
勇者「……」チラッ 

ゾンビ「……」 

勇者「あの……」 

ゾンビ「うー?」 

勇者「よろしく」 

ゾンビ「うー」 

勇者「……」 

ゾンビ「……」 

勇者「僕は殺されると思う?」 

ゾンビ「うー……」フルフル 

勇者「え?殺されないと?」 

ゾンビ「……」コクッ 

勇者「どうして?」 

ゾンビ「あー……あぁ……うー……うー……」フリフリ 

勇者「む?!ジェスチャーゲームの時間か!!よーし!!!がんばろう!!!」 




95:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:30:47.32 ID:hpeqfj4Jo
―――謁見の間 

キマイラ「……」 

ゴーレム「ユうしゃ……つぶセ……ばいいノに……」 

キマイラ「魔王様が倒れ、革新派の勢力が増してきている。下手なことをすれば、潰されるのはこちらだ」 

ゴーレム「カんけい……ない……ユうしゃは……オレが……ころす……」 

キマイラ「よせ。―――ドラゴン様まで加入してくる可能性もあるのだぞ」 

ゴーレム「ドら……ごん……さま……?」 

キマイラ「そうだ。ドラゴン様は何かを仕掛けてくるやもしれない……一番警戒すべき相手だ」 

ゴーレム「うらギりもの……な、んて……キョういじゃ……ない……」 

キマイラ「魔王様はニンゲンを侮り、負けたのだぞ」 

ゴーレム「ソれは……」 

キマイラ「我々が同じ轍を踏むわけにはいかない。分かるだろう?」 

ゴーレム「……」 

キマイラ「勇者の始末などいつでもできる。今は革新派を鎮圧させることが最優先だ」 

ゴーレム「ワか……った……」 




96:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:34:07.91 ID:hpeqfj4Jo
―――牢獄 

ゾンビ「うー?うぅ?」 

勇者「はい。それを……置きました。それで?」 

ゾンビ「あー……」ヨチヨチ 

勇者「うん……それをもって行きます……次は?」 

ゾンビ「あー」バンザーイ 

勇者「いい朝だなぁ」 

ゾンビ「うーうー」フルフル 

勇者「違うのか?」 

ゾンビ「あー」コクッ 

勇者「……」 

ゾンビ「うー?」 

勇者「―――あぁぁぁぁ!!!!!もう全然わっかんねええ!!!!」 

ゾンビ「!」ビクッ 

勇者「人語話せよ!!おらおらぁ!!」ガシャガシャ 




97:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:38:16.74 ID:hpeqfj4Jo
ゾンビ「うぅぅ……」ウルウル 

勇者「もう!!だめだ!!必死になって好きになろうと思ったけど、ダメだな!!君はなんかこう……ダメだ!!」 

ゾンビ「うぅー……」ペコペコ 

勇者「いいか?うー、とか、あー、とかじゃ気持ちを伝えるとき困るだろ!?」 

ゾンビ「うー?」 

勇者「例えば、好きな人に自分の気持ちを伝える場合はどうするんだよ?ああぁ?」 

ゾンビ「あー♪」ヨロヨロ 

勇者「抱きつこうとしないとダメな時点で、失格だよ!!ちょっと可愛かったけどよぉ!!」 

ゾンビ「うー……」 

勇者「あ!!」 

ゾンビ「あ……?」 

勇者「い!!」 

ゾンビ「ぁ……」 

勇者「違う!!い!!!」 

ゾンビ「ぁ……!」 




98:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:40:53.90 ID:hpeqfj4Jo
勇者「い!!」 

ゾンビ「ぁ……ぁ……」オロオロ 

勇者「いー!!」 

ゾンビ「ぁ……ぃー……」 

勇者「し!!」 

ゾンビ「ぃ……?」オロオロ 

勇者「しっ!」 

ゾンビ「ぃ……し……」 

勇者「て!!」 

ゾンビ「ぃ……ぅ……ぁ……て……」 

勇者「る!!」 

ゾンビ「ぅ!」 

勇者「あいしてるっ!!」 

ゾンビ「あぃうてぅ!」 

勇者「ダメ!!もう一回!!!」 




100:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:46:17.49 ID:hpeqfj4Jo
―――翌日 牢獄 

ハーピー「はぁい、様子を見に来たぞ」 

勇者「はぁ……はぁ……よし……可愛い……」 

ゾンビ「うー……ぁ……」ゼエゼエ 

ハーピー「なにやら昨晩はお楽しみだったようだな」 

勇者「ああ……どうも……おかげで貫徹です」 

ハーピー「なんと……お前さん、このリビング族とやりおうたのか?」 

勇者「まぁ……これぐらいは余裕です。暇でしたし」 

ハーピー「なんとまぁ……器の大きな男よ……益々ニンゲンにしておくのは惜しいなぁ」 

勇者「よし、君の上司に練習の成果を見せておあげ」 

ゾンビ「うー」コクッ 

ハーピー「な、なに!?こ、こら……わらわはお前とそういうことは……あまり……」 

ゾンビ「あぃしてるぅ!!」 

ハーピー「……え?」 

ゾンビ「あ……ぁ……あ、ぃしてるぅ!」 




102:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:50:48.79 ID:hpeqfj4Jo
―――謁見の間 

キマイラ「勇者の様子は?」 

魔物「ギー」 

キマイラ「ハーピーめ……リビング族を守衛に置いたのか……面白い……」 

キマイラ「下がっていいぞ」 

魔物「ギー」タタタッ 

キマイラ「そうだ……ふふふ……いい手がある……」 

キマイラ「奴らの知能は低い……それを利用すれば……ふふふ……」 

ハーピー「……」バサッバサッ 

キマイラ「どうした?」 

ハーピー「ん?……ああ、なんでもないよ……はぁ……」 

キマイラ「……どうした?」 

ハーピー「……部下に……それも同姓に……告白されたこと……ある?」 

キマイラ「何を言っている?」 

ハーピー「種族も違うのに……わらわはどうしたらいいのか……はぁ……」 




103:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 06:55:06.94 ID:hpeqfj4Jo
―――数日後 牢獄 

勇者「もう一度言って」 

ゾンビ「おにぃちゃぁん……あぃしてるぅ!」 

勇者「いいねー。次だ」パチンッ 

ゾンビ「おにぃちゃぁん……だぃしゅき!!」 

勇者「うん……君は中々優秀だな」ナデナデ 

ゾンビ「うぅー……」モジモジ 

勇者「あれから数日か……」 

ゾンビ「あー?」 

勇者「みなさん心配しているだろうな……」 

ゾンビ「し……ぱぃ?」 

勇者「魔物って頑張ったら色々話せるようになるんだな……。キラちゃんといい、この子といい……変な扉を開けてしまいそうだな」 

ゾンビ「あー?」 

勇者「よしよし。次の人語に移ろう。―――私は勇者様の側室です。はい」 

ゾンビ「わぁしは……ゆう……しぃ……のそ、く……しつでしゅ!」 




104:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:03:06.02 ID:hpeqfj4Jo
―――数日後 城内 

キマイラ「革新派の動きは?」 

側近「動きはありません」 

キマイラ「そうか……では、そろそろ始めるとするか」 

側近「分かりました」 

キマイラ「ふふ……くれぐれも内密にな」 

側近「はい」 

キマイラ「ふふ……これで魔王の座に近づいたな……」 

ゴーレム「ナにを……はじめる……ツもりだ……?」 

キマイラ「気にすることはない。全ては万事、うまくいく」 

ゴーレム「オシ……えろ……」 

キマイラ「悪いがそれはできない。情報の漏洩を防ぐためだ」 

ゴーレム「……」 

キマイラ「そう怖い顔をするな。勇者も死に革新派をも駆逐するために動いているだけだ」 

ゴーレム「ワかっ……た」 




105:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:08:43.72 ID:hpeqfj4Jo
―――数週間後 

ゾンビ「―――おにいちゃーん」ヨロヨロ 

勇者「おはよう」 

ゾンビ「ごはんだよ」 

勇者「いつもありがとう」 

ゾンビ「うー……」モジモジ 

勇者「ゾンビ語でた!!減点!!!」 

ゾンビ「あー!!!」 

勇者「まだまだだな」 

ゾンビ「はんせい」 

ハーピー「勇者よ……」 

勇者「おはようございます」 

ゾンビ「おはよ、うー」 

ハーピー「随分、言語が巧みになってきたな……」 

勇者「まぁ……機械兵士に愛を説いたことのある僕なら、これぐらいは余裕です」 




106:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:16:13.36 ID:hpeqfj4Jo
ハーピー「そ、そうか……」 

勇者「それで、何かありましたか?」 

ハーピー「保守派が遂に動き出した……。いや、動き出していた……」 

勇者「どういうことですか?」 

ハーピー「あやつらはずっと、水面下で革新派に嫌がらせをしていた……」 

勇者「嫌がらせ?引き抜きとか流言による情報操作とか?」 

ハーピー「まさにその通りだ……」 

勇者「なるほど」 

ハーピー「おい」 

ゾンビ「なに?」 

ハーピー「お前も……何か言われたか……?」 

ゾンビ「ほんとうはおにいちゃんがはしゅはときょうりょくして、わたしたちをぎゃくさつしようとしているってきいたよ?」 

勇者「虐殺?僕が?」 

ハーピー「全く同じ内容だ」 

勇者「折角、手塩にかけて育てたこの子を僕が殺す?この世界が僕以外みんな女の子になるぐらい可能性が低いことですよ」 




107:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:22:39.17 ID:hpeqfj4Jo
ハーピー「しかし、徐々にその噂は広まりつつある。真綿で首を絞められるようにゆっくりと革新派はダメージを負っている」 

勇者「そうですか」 

ハーピー「お前……どうしてそう冷静なのだ?」 

勇者「え?」 

ハーピー「このままでは確実にお前は殺されるのだぞ?」 

勇者「初めからそのつもりでしたから。僕はもう死んでいます」 

ハーピー「お前……!!」 

勇者「僕が死ぬことで人類への暴虐が収まるというなら、安いものですし」 

ハーピー「腰抜けが……見込み違いだったな……」 

勇者「誰かを殺せば、誰かに狙われる。僕はそれがもう嫌なだけです」 

ハーピー「ふん……がっかりだ……」バサッバサッ 

勇者「……」 

ゾンビ「おにいちゃん……」オロオロ 

勇者「大丈夫さ……。それより、またお願いできるか?」 

ゾンビ「うー、ん!」 




108:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:31:34.71 ID:hpeqfj4Jo
―――城内 

キマイラ「首尾は?」 

側近「多くの者が保守派に流れてきています」 

キマイラ「そうか……ふふふ……」 

側近「数で言えば、圧倒しているかと」 

キマイラ「だろうな……1ヵ月もかけたのだ、そうでなくては困るが」 

ゾンビ「うー……うー……」ヨロヨロ 

キマイラ「……ふん。ハーピーの部下か」 

側近「では、今回の事が終われば……キマイラ様が魔王に……」 

キマイラ「まぁ、そういうことになるな」 

側近「永久にキマイラ様のお傍で戦います……」 

キマイラ「頼むぞ。邪魔なニンゲンもこの世界から消してやる……」 

キマイラ「魔王様の意志を継ぎ……必ず……」 

側近「まずは勇者ですね」 

キマイラ「ああ。そのために革新派の排除を急ぐぞ。ニンゲンを城に置いておくだけで虫唾が走るのでな」 




109:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:37:18.25 ID:hpeqfj4Jo
―――数日後 牢獄 

勇者「おはよう」 

ゾンビ「おはよ、うー」 

勇者「で、どうだった?」 

ゾンビ「キマイラさまは……インゲンを……じゃなくて、ニンゲンを殺すって言ってる……」 

勇者「他も?」 

ゾンビ「うんっ」 

勇者「やっぱりか……」 

ゾンビ「うー?」 

勇者「奴らは俺との約束を守るつもりはなかったわけだ……」 

ゾンビ「うー」コクッ 

勇者「……逃げるか」 

ゾンビ「え?」 

勇者「鍵もってきて。牢屋の鍵」 

ゾンビ「うんうん」ヨロヨロ 




110:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:42:10.60 ID:hpeqfj4Jo
―――廊下 

勇者「こっちが出口だな?」 

ゾンビ「でも……これ、ダメなことだよ……」ヨロヨロ 

勇者「俺が死んで全てが解決すると思っていたのは間違いだったみたいだな」 

ゾンビ「うー……」 

勇者「信じてたけど……やはり、王のために民は再び立ち上がるのか……」 

ゾンビ「うー……うー……」 

勇者「なら……ここでなんとかしておかないと……」 

ゴーレム「―――ユうしゃ……!!」 

勇者「!?」 

ゾンビ「うー!!うー!!!」 

勇者「ゴーレム!!武器もない状態じゃ……!!」 

ゴーレム「ダっそうは……シケい……だ!!!」ブゥン 

勇者「危ない!!」バッ 

ゾンビ「あー!?」 




111:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:47:38.74 ID:hpeqfj4Jo
勇者「怪我は?!」 

ゾンビ「あー……うで……とれたー……」 

勇者「これか!!―――はいっ!」ポイッ 

ゾンビ「ありがと、うー」 

勇者「お礼はいい!!逃げるぞ!!」 

ゾンビ「うー?なんで?わたしはにげるひつようなんて……」 

勇者「ここに居れば君のような革新派は絶対に殺される!!それがわからないのか?!」 

ゾンビ「うー?」 

勇者「君に言葉を教えたのは密偵のためでもあったけど、それ以上に君は愛らしかった!!」 

ゾンビ「あい……?」 

勇者「そうだ!!だから君を死なせない!!俺の命ある限り、守る!!」 

ゾンビ「うー……あぃ……して……」 

ゴーレム「ユうしゃ……つぶす……!!!」ブゥン 

勇者「こっちだ!!」グイッ 

ゾンビ「あー!」 




112:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 07:54:01.43 ID:hpeqfj4Jo
―――謁見の間 

キマイラ「何事だ。騒がしいぞ」 

側近「た、たいへんです!!勇者が脱走しました!!!」 

ハーピー「なんだって……?」 

キマイラ「所在は?」 

側近「幸い、ゴーレム様が追跡中のようで……今は西館の三階付近に居る模様です」 

キマイラ「そうか……ゴーレムが……ならば、奴に任せておこうか」 

ハーピー「まちんせ」 

キマイラ「なんだ?」 

ハーピー「勇者は殺さない約束のはず」 

キマイラ「今までは保護対象だったが、それが脱走者という肩書きに変わってしまった。これはもう排除対象だと思うが?」 

ハーピー「だが!!」 

キマイラ「勇者は我々の約束に背いたことになる。そうだな?」 

ハーピー「……」ギリッ 

キマイラ「勇者を捉え次第、殺せ!!奴はやはり敵だったのだ!!」 




113:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 08:30:47.79 ID:hpeqfj4Jo
勇者「はぁ……はぁ……!!」 

ゾンビ「うー……あー……」ヨロヨロ 

勇者「ああ!!もう抱える!!」ガバッ 

ゾンビ「うー!!」 

勇者「しっかりしがみ付いてろ!!」 

ゾンビ「うー」ギュッ 

勇者「はぁ……はぁ……」ダダッ 

ゴーレム「マて……!!」ズンズン 

勇者「ここは右だな!!」ササッ 

ゴーレム「……」 

勇者「どうだ。ここはお前が通れるほど通路の幅が広くな―――」 

ゴーレム「ニが、さない……!!!」メリメリメリ 

勇者「嘘だろ……?!無理やりくるのか!?」 

ゾンビ「こわい」ギュッ 

ゴーレム「ユうしゃ……ショけいする!!!」メリメリメリ 




114:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 08:37:31.72 ID:hpeqfj4Jo
キマイラ「―――勇者は?!」 

側近「それがまだ……!!」 

キマイラ「使えぬ奴だ……!!よし、兵を投入する!!なんとしても捕らえろ!!」 

側近「キマイラ様!!勇者はリビング族を人質にしているようですが……」 

キマイラ「ふん。使えぬものは捨て置けばいい!!今は勇者の抹殺が最優先だ!!」 

ハーピー「……」 

キマイラ「動くな」 

ハーピー「くっ……」 

キマイラ「何をしようとしているのか……分からないとでも?」 

ハーピー「さあ、なんのことだろうな。わらわはお前の言う通り、勇者を捕まえにいこうとしただけだが?」 

キマイラ「ふん……下手な嘘は寿命を縮めるぞ?」 

ハーピー「部下を動かしてまで、勇者を殺したいの?」 

キマイラ「奴は先代の魔王を討ち取ったニンゲンだ。殺せるうちに殺しておくべきだろうが」 

ハーピー「……」 

キマイラ「何か言いたげだな……?」 




116:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 08:54:04.24 ID:hpeqfj4Jo
ハーピー「いやね……もう魔王気取りかと思うと……ふふ……笑えてくる」 

キマイラ「駄鳥が」 

ハーピー「お前は魔王の器じゃない。それはよくわかった」 

キマイラ「ほう……?」 

ハーピー「魔族はこのままひっそりと隠れ住むほうが良いな」 

キマイラ「はっ……何を言うか。魔族は全ての生物の頂点に君臨する種族だ!!!」 

ハーピー「ニンゲン一匹すら満足に殺せないのに?ふふふ……あまりわらわを笑わせないでくれるか?」 

キマイラ「……っ」ギリッ 

ハーピー「はっきり言おう。革新派が今まで目立った動きを見せなかったのは、偏に先代を超える器量の持ち主がいなかっただけのこと」 

キマイラ「……」 

ハーピー「殺そうと思えばいつでも殺せた。魔道士が作ったキラーマジンガもほぼ完成していたしなぁ」 

キマイラ「なにが言いたい?」 

ハーピー「わらわたちに相応しい王はまだおらぬということだ」 

キマイラ「貴様ぁ……」 

ハーピー「今回、こうやって行動を起こしたのも、貴様のような勘違いした王の誕生を阻止するため。もう魔族を穢すでない」 




117:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:01:16.24 ID:hpeqfj4Jo
キマイラ「では、このまま王の座を空席にしておくのか!!それこそ魔族の……我々の崩壊だぁ!!」 

ハーピー「……条件付きではあるが、あの方なら任せられるかもしれん」 

キマイラ「誰だ?」 

ハーピー「ドラゴン様しかおらんであろう」 

キマイラ「裏切り者を王にするだと?はーっはっはっはっは!!それこそ愚策だぁ!!」 

ハーピー「耳の悪いやつだ。条件付きだというただろうに」 

キマイラ「条件?」 

ハーピー「ドラゴン様を皆が受け入れたら……だ」 

キマイラ「ふふふ……ふはははははは!!!!!あーっはっはっはっはっは!!!!!」 

キマイラ「受け入れる?!出来るわけないだろうがぁ!!!!」 

ハーピー「……」 

キマイラ「あのエルフ族を何年も蔑ろにしてきた身でよくいう!!」 

ハーピー「エルフ族もわらわたちも歩み寄ろうとはせなんだ。関係が修繕されないのは当然だ」 

キマイラ「歩みよればいいというのか?理想論も大概にしろ!!」 

ハーピー「さあ……理想論なのかはわらわは疑問だ。なにせ―――」 




118:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:06:41.62 ID:hpeqfj4Jo
ドォォォォン!!!! 

ゴーレム「ユうしゃぁ!!!」 

キマイラ「な、なんだ?!」 

勇者「いたー!!こっちです!!」 

ハーピー「うむ」バサッバサッ 

ゴーレム「ユうしゃ……!!!」ブゥン 

ハーピー「無駄」バシッ 

ゴーレム「グぐ……!?」 

キマイラ「お前まで……裏切るのか……!!!魔王様の側近だったお前までニンゲンに擦り寄るのかぁ!!!」 

ハーピー「擦り寄るのではなく、歩み寄るというてくれ。あと勘違いせぬように。わらわたちは常に魔族の繁栄を願っている」 

キマイラ「減らず口を……!!」 

勇者「キマイラ。お前は先代魔王よりも色々劣っているみたいだな」 

キマイラ「勇者ぁ……!!」 

勇者「俺がゾンビの子を使って情報収集をしていたことも気づいてないだろ?」 

キマイラ「なに……?!そんなことリビング族にできるわけが……!!」 




119:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:11:22.83 ID:hpeqfj4Jo
勇者「さあ、いっておあげなさい」 

ゾンビ「うー」 

キマイラ「ほら見ろ……その種族は喋る知能すら―――」 

ゾンビ「キマイラ、キライー!!!!」 

キマイラ「!?」 

ゾンビ「ベーッ」 

勇者「ふっ……」 

キマイラ「馬鹿な……」 

勇者「同胞のことを学ばず、魔王にずっと媚を売ってたのか?この子でも喋るし、考えて生きてるぜ?」 

ゾンビ「うーうっうー」コクコク 

キマイラ「ぐぐぐ……!!!」 

勇者「俺との約束も簡単に破りやがって……必ずお前は俺が倒してやる……」 

キマイラ「うるさい!!!貴様はここで死ぬのだぁ!!!やれ!!ゴーレム!!!」 

ゴーレム「マおう、さまの……カたき……!!!」 

勇者「逃げましょう!!」 




120:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:14:56.66 ID:hpeqfj4Jo
ハーピー「ふふふ……やはりお前はわらわの見込んだ男だったか」 

勇者「惚れてもいいんですよ?僕の股間、予約に空きがありますから」 

ハーピー「そうか……ふふふ……」 

ゾンビ「うー!」ギュッ 

魔物「「ギー!!!ギー!!!」」 

ハーピー「ここはわらわに任せよ」 

勇者「お願いします!!」 

ゾンビ「うー!」 

ハーピー「はぁぁぁぁぁ!!!!!」バサッバサッ 

勇者「よし、今のうちだ」 

ゾンビ「うー」ギュッ 

ゴーレム「ニが、さない!!」ズンズン 

キマイラ「必ず殺せ!!後の脅威となるニンゲンだぁ!!!」 

勇者「過大評価に感謝します」 

ハーピー「こっちだ!!」 




121:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:19:11.64 ID:hpeqfj4Jo
ハーピー「よし、わらわに捕まれ」 

勇者「ここから飛ぶわけですか?!」 

ハーピー「怖い?」 

勇者「えっと……信じます」 

ハーピー「嬉しいよ」 

ゾンビ「うー」 

勇者「さ、一緒に行こう」 

ゾンビ「うー……」フルフル 

勇者「え……?」 

ゾンビ「わたし、じかんかせぐね」 

勇者「何を言ってるんだ!?そんなことする必要はない!!」 

ゾンビ「ううん……みんなをとめないと……キマイラ、そらとべるから」 

勇者「でも!!」 

ハーピー「勇者よ。この子の言う通りだろうに。キマイラと空中戦などできはせん」 

ゾンビ「だから……ね?」 




122:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:23:45.82 ID:hpeqfj4Jo
勇者「ダメだ。君も一緒だ」 

ゾンビ「うー……うー……」フルフル 

勇者「君のことは守る!!」 

ハーピー「勇者……」 

勇者「君が心配するようなことはない!!僕は……俺は……!!ずっとそうやって戦ってきた!!」 

ゾンビ「う……」 

勇者「君を守る……だから―――」 

ハーピー「よせ。今のわらわたちでは対抗できない。ここまで来て、脱出のチャンスをふいにするか?」 

勇者「でも……!!!」 

魔物「ギー!!!ギー!!!」 

ゾンビ「うー!!!」 

ハーピー「時間がない!!行くぞ!!」 

勇者「この子の時間稼ぎなんて数秒もない!!そんなの意味がない!!!無駄死にじゃないか!!!」 

ゾンビ「がんばるっ」グッ 

勇者「無理だ!!一緒にこい!!」 




123:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:29:51.89 ID:hpeqfj4Jo
ハーピー「その数秒はわらわたちを見失わせるには十分な時間であろう!!」 

勇者「嫌だ!!守れるのに……!!俺はもう誰も失わないように強くなったのにぃ!!!」 

ハーピー「こい!!」グイッ 

勇者「やめろぉ!!!一緒だ!!一緒に行くんだ!!!」 

ゾンビ「うー……」フルフル 

勇者「どうして……!!!」 

ゾンビ「あ……」 

勇者「え……?」 

ゾンビ「……あい……してる……」ニコッ 

勇者「あ―――」 

ゾンビ「うー……うー……」ヨロヨロ 

ハーピー「行くぞ!!」 

勇者「どうして……どうして……!!」 

勇者「こうなるのが……嫌だから……俺は……」 

勇者「―――くそぉぉぉ!!!!」 

 

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