勇者「美人な僧侶と魔法使いを」EP2 元勇者の章

 124:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:34:16.40 ID:hpeqfj4Jo
―――森 

女『あっ!!』ドタッ 

少年『姉さん!!』 

女『いっ……!』 

少年『怪我したんだね?!今すぐ回復を!!!』 

女『ダメ……魔物が傍まで来ているわ……行きなさい』 

少年『姉さんを置いていけるわけないだろう!?』 

女『言うことをきいて……いい子だから……』 

少年『いやだぁ!!!姉さんも一緒だ!!!』 

女『弱い貴方じゃ……無理よ……』 

少年『え……』 

女『女の子を守りたかったら……強くなりなさい……』 

友『おい!!何してる!!いくぞ!!』グイッ 

少年『姉さん!!!いやだぁぁ!!!うわぁぁぁぁ!!!!!』 

女『強くなって……どんな人でも守れるぐらいに……強く―――』 




127:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:39:11.30 ID:hpeqfj4Jo
―――海賊船 医務室 

勇者「んっ……?」 

キャプテン「あ……」 

勇者「こ、ここは……?」 

キャプテン「ダーリン!!!いきかえったぁ!!!」ギュゥゥゥ 

勇者「おぉ!?」 

キャプテン「久しぶりに再会できたのは嬉しいけどさぁ、いきなり空から落ちてくるのは……ロマンティックすぎやしないかい?」 

勇者「申し訳ありません。演出に懲りすぎましたね」 

キャプテン「いいさ、いいさ!!ダーリンが無事ならなんでもいいってね!!」 

勇者「あの……連れが居ませんでしたか?」 

キャプテン「いいや。いないよ?ダーリンが一人で落っこちてきたんだ」 

勇者「そうですか……」 

キャプテン「それよりさぁ……活きのいい魚が取れたんだ。食ってくだろ?な?な?!」 

勇者「そうですね。食欲はありますから」 

キャプテン「じゃあ、ちょっと待ってな!!腕によりをかけてやるからね!!」 




128:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:43:47.13 ID:hpeqfj4Jo
―――甲板 

「キャプテン!!それは商売用ですぜ!?」 

キャプテン「細かいことはいいっこなしだよぉ!!あたしの旦那が息を吹き返したんだからね!!」 

「ひえぇ……俺たちの稼ぎがぁ……」 

キャプテン「なら、ええと……この辺でテキトーな魚でもつかまえな!!」 

「それ密漁になっちまいます!!」 

キャプテン「しるかぁ!!!」 

勇者「……」 

船長「久しぶりだな」 

勇者「……あの、足を踏まないでください」 

船長「おっと……悪い。ついな」 

勇者「キャプテンはもう……俺の嫁だ」 

船長「軟派野郎にキャプテンを渡してたまるか……!!!」 

勇者「……拾っていただき、感謝します」 

船長「キャプテン命令だ。それに甲板に落ちてきた勇者様を海に投げ落とすわけにもいかねえだろ?」 




129:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:49:49.38 ID:hpeqfj4Jo
勇者「ふっ……」 

船長「何かあったのか?しばらく行方不明になってたみたいだけどよ」 

勇者「色々ありまして……。僕はまだまだ未熟なようです」 

船長「……」 

勇者「僕の力が及ばないばかりに……犠牲者を……」 

船長「そうか」 

勇者「もっと……思慮深く行動していれば……」 

船長「でも、我らの勇者様はそこで諦めたりしねえんだろ?」 

勇者「え……?」 

船長「お前は魔王を倒したんだぜ?敵なしじゃねえか」 

勇者「しかし……僕は弱い……」 

船長「そりゃあ、一人じゃな。でも俺たちと一緒だったら?」 

勇者「……魔王にも勝てる」キリッ 

船長「そういうことだ。何をしてえのかは知らないけどよ、いくらでも協力はしてやる。遠慮なく頼れ」 

勇者「ありがとうございます」 




130:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:54:28.92 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「ダーリーン!!!やけたよー!!!」 

勇者「分かりました」 

船長「でも……やっぱり、気にくわねえ……!!!」 

勇者「ふっ」 

船長「その鼻で笑うのやめろぉ!!!」 

勇者「キャプテーン!!!」ダダダッ 

キャプテン「ダーリーン!!!」テテテッ 

勇者「行ってほしい場所があるのですが」 

キャプテン「どこだい?」ギュッ 

勇者「キラちゃんとドラゴちゃんのところに」 

キャプテン「ああ!!うん!いいよぉ!まかせときなぁ!!―――おまえらぁ!!錨をあげなぁ!!帆をはれぇ!!!」 

「もうあげてるし、はってまーす!!」 

キャプテン「準備いいじゃねえか!!よーし!!目的を変更するよぉ!!!」 

「うそー?!」 

キャプテン「嘘なんていうかぁ!!!目指すは港町だぁぁ!!!」 




132:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 09:58:00.75 ID:hpeqfj4Jo
―――港町 

勇者「ここに?」 

キャプテン「そうさ。確か……」 

キラーマジンガ「あ」 

勇者「おお!!」 

キラーマジンガ「―――パパァァァァ!!!!!!」タタタッ 

勇者「娘よぉぉぉ!!!!」 

キラーマジンガ「パパ!!!パパだぁ!!パパの匂いだぁぁ!!!」ギュゥゥゥ 

勇者「心配かけたなぁ……ごめんなぁ……本当にごめんなぁ……」ナデナデ 

キラーマジンガ「パパ……私ね……ずっと……あえるって……し、んじて……たよ……?」 

勇者「そうか……こんなに大きくなって……母さんに似てきたな……」 

キラーマジンガ「うん……胸も……少しだけ……大きくなったよ?」チラッ 

勇者「おまえ……」 

キラーマジンガ「今日は……いっぱい……してね?」 

勇者「するっ!!」ギュゥゥ 




133:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 10:02:02.49 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「見せ付けてくれるじゃないのさぁ……」 

キラーマジンガ「―――今のは間違いなく90点台でしょう」 

勇者「ああ、98点だ」 

キラーマジンガ「おぉ……!!す、すごい……」ブルブル 

勇者「良くぞここまで成長できたな。もはや免許皆伝じゃ」 

キラーマジンガ「はっ。これも全ては老師の教えがあればこそです」 

勇者「これからも恋愛マジンガとして精進するように。今のお前ならば並の男はイチコロじゃ」 

キラーマジンガ「ありがたき幸せ」 

キャプテン「もういいかい?」 

キラーマジンガ「お久しぶりです」 

勇者「うん。ドラゴちゃんは?」 

キラーマジンガ「自宅に居ます」 

勇者「そうか。案内してくれますか?」 

キラーマジンガ「了解しました」 

キャプテン「あたしも家を見るのは初めてだねー」 




134:NIPPERがお送りします:2012/06/30(土) 10:09:50.55 ID:hpeqfj4Jo
―――民家 

キラーマジンガ「マスター。勇者が生還しました」 

勇者「やっ」 

キャプテン「ほー!いい家じゃないか」 

少女「おまっ―――」ガタッ 

勇者「時間がありません」 

少女「どうした?」 

勇者「どうしても助け出して欲しい……魔物がいるんです」 

少女「魔王の城で何があった?」 

勇者「保守派と革新派の小競り合いがあるのは知っていますね?」 

少女「ああ、それぐらいの情報なら」 

勇者「僕は革新派の魔物たちに助けられ、この二ヶ月弱、ずっと牢獄にいました」 

少女「そうだったのか」 

勇者「そして奴らは、最も大事な僕との約束を守ることはせず、僕を殺そうとしました」 

少女「勇者の死と引き換えに、ニンゲンには手を出さない。復讐の終焉は露に消えたか」 




150:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 01:31:50.15 ID:hpeqfj4Jo
勇者「まだです」 

少女「なに?」 

勇者「保守派が実権を握れば歴史が反復するだけですが、革新派が表に立てれば……」 

少女「同じだ。ニンゲンを襲わないという保障は―――」 

勇者「貴女はそんなことしないはずだ」 

少女「!?」 

キャプテン「おー、よくわかんないけどいいじゃないか。あんたが魔王になるならあたしら、大漁船艦隊も応援してあげるよ」 

キラーマジンガ「ご祝儀はお魚ですね」 

キャプテン「そーそー」 

少女「無茶なことをいうな!!俺は魔族を裏切ったのだぞ?!」 

勇者「それに魔王の側室も素敵だと思うんですよね」 

少女「はぁ!?」 

勇者「魔王すらもはべらせる人間なんていないでしょう?」 

少女「お前……それ、諦めていたんじゃ……」 

勇者「諦める?僕が?ご冗談を。こうして僕が生きている限りは、側室に囲まれて老衰死という夢は実現させてみせますよ」 




152:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 01:41:28.55 ID:hpeqfj4Jo
少女「いや……」 

勇者「もう勇者として名を馳せることはできなくなりましたが、僕は今回の旅で下地を作ることには成功しました」 

勇者「魔王の城でも既に二名、側室候補がいます」 

少女「それを助けろというのか」 

勇者「はい」 

少女「だが……俺が魔王になど……」 

勇者「お願いします。もうこの世界に勇者はいらない。勇者と魔王の戦いを時事の問題ではなく伝説にしたいんです」 

少女「……」 

勇者「貴女の力が……必要です……」 

少女「しかし……」 

キャプテン「やりなよ。魔王はもう死んだ。世界の人々はそう思ってるんだ」 

少女「簡単にいうがな、道ははるかに厳しいぞ。まず、話を聞いた限りでは保守派の勢力が増しているようだから、武力衝突は避けれない」 

少女「現時点での保守派トップは実質、キマイラだ。奴が魔王として立ちはだかるのは自明の理」 

キラーマジンガ「マスターよりもキマイラは強いのですか?」 

少女「生命エネルギーの抽出技術が残っているはずだ。恐らく、俺の能力は軽く上回っているだろうな」 




153:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 01:49:41.11 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「んなもん一発殴って言うこときかせりゃいいんだよ!」 

少女「魔族世界での政も孕んだ問題だ。安易に行動を起こすなどできない」 

勇者「……分かりました。では、とりあえず僕の可愛い側室を助け出す手助けはしてもらえますか?」 

少女「あのな。そういって、派閥闘争に俺を巻き込む気だろう?」 

勇者「うん!」 

少女「……」 

勇者「……」 

少女「……はぁ……わかった……」 

勇者「さすがぁ!!僕のドラゴちゃんだぜぇ!!」 

少女「ただし、お前にも協力はしてもらうからな」 

勇者「子作り?」 

少女「違う!!!共に付いてこいと言っている!!」 

勇者「了解。恐らく、ハーピー姉さんとリビングデッドの子は一緒にいるはずです」 

キャプテン「お前を逃がすために自分の身を犠牲にしたのか?」 

勇者「そういうことになります。僕は彼女たちに全身全霊を持って、お礼をしなければなりません」 




154:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 01:56:45.84 ID:hpeqfj4Jo
キラーマジンガ「マスターが魔王になるということですね。天晴れです」 

少女「そうとは決まっていない。俺の立場上、革新派の手助けぐらいしか……」 

勇者「実質的なトップに君臨するんでしょう?」 

少女「任せられる者がいるならその者に任せる!!」 

勇者「僕の側室魔王になってくだいよぉ」 

少女「なるか!!」 

キラーマジンガ「マスター。私は秘書として働きます」 

少女「お前も何か勘違いしているようだな」 

勇者「なら、あれだ、タイトスカートを穿いて、眼鏡をかけないとな」 

キラーマジンガ「次は秘書修行をしなければなりませんか?」 

勇者「当然だ。服は僕が用意しておこう」 

キラーマジンガ「よくってよ!」 

勇者「それはお嬢様だな。0点」 

キラーマジンガ「おぉ……バカなぁ……」ガクガク 

キャプテン「やると決まったら早速行こうじゃないか!ダーリンの大事な人を死なせるわけにもいかないしねぇ!」 




155:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:01:06.59 ID:hpeqfj4Jo
―――フィールド 

ドラゴン「では、行くぞ」 

勇者「みなさん!!準備はいいですか!!」 

キラーマジンガ「良好です。各部異常ありません」 

キャプテン「……」 

勇者しゅっぱーつ!!!僕の可愛い側室救出作戦だぁ!!」 

ドラゴン「よし!!」バサッバサッ 

キャプテン「ひぃぃ……」ギュッ 

勇者「どうしました?」 

キャプテン「うぅぅ……」 

キラーマジンガ「高所恐怖症ですか?」 

キャプテン「……うん」 

勇者「なら、僕にしっかりしがみ付いていてください。胸を押し付けるかがごとく」 

キャプテン「うん……」ギュゥゥ 

勇者「ぬほほぉ」 




156:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:13:43.76 ID:hpeqfj4Jo
―――上空 

キャプテン「うぅぅ……」 

勇者「いい眺めですよ。チラッとだけ見てくださいよ」 

キャプテン「……ん」チラッ 

キラーマジンガ「上空500メートルを航行中です」 

キャプテン「ぁ―――」フラッ 

勇者「だ、大丈夫ですか?!」 

キャプテン「……」グッタリ 

勇者「この人、結構弱点がありますね」 

キラーマジンガ「海の上でなら戦闘力ははかりしれないのですが」 

ドラゴン「勇者よ」 

勇者「なんです?」 

ドラゴン「そこまでして『守る』ことに固執するのはどうしてだ?何か理由でもあるのか?」 

勇者「……」 

ドラゴン「知人友人ならいざ知らず、全くの赤の他人やましてや魔族まで守ろうとするのは些か度が過ぎているようにも思えるが」 




157:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:22:07.61 ID:hpeqfj4Jo
勇者「俺を守って死ぬ者を見たくないからな」 

ドラゴン「……」 

勇者「もう……あんな夢を見るのは嫌だから……」 

キラーマジンガ「私には貴方の感情が理解できませんが、それはとても立派なことだと思われます」 

勇者「いや、立派じゃない。こんなのただの自己満足でしかない」 

ドラゴン「過去に何かあったのか」 

勇者「あまり言いたくはないな」 

ドラゴン「悪かった」 

勇者「いや……こちらこそ、すいません」 

ドラゴン「急ごう」ゴォッ 

キラーマジンガ「―――レーダーに反応。魔物が接近してきています」 

勇者「え?」 

ドラゴン「何者だ……?!」 

キラーマジンガ「戦闘態勢に以降します」 

ハーピー「―――あぁ……はぁ……」フラフラ 




158:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:27:56.78 ID:hpeqfj4Jo
ドラゴン「ハーピーか!」 

ハーピー「ド……ラゴ……ン……さ―――」 

勇者「まずい!!」 

キラーマジンガ「ダイビングキャッチ」バッ 

勇者「それはダメです!!」グイッ 

キラーマジンガ「ぐぇ」 

ドラゴン「お前まで海に落ちようとしてどうする!!」 

ハーピー「あぁ……勇者もいたのか……」 

勇者「どうしたのですか?!」 

ハーピー「わらわのことを愛していると言ってくれた部下は……あの子が……初めてだった……」 

勇者「まさか……助けに?」 

ハーピー「早く……助けてあげ……て……酷い……拷問を……」 

勇者「分かりました」 

ハーピー「よろ……し―――」 

キラーマジンガ「外傷が酷く、生命反応が弱まっています。早急な治療を推奨します」 




159:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:35:04.14 ID:hpeqfj4Jo
勇者「そうですね。しかし、この位置だと先に魔王の城に向かってから、海賊船と合流したほうがいいですね」 

キラーマジンガ「私は遠慮します」 

ドラゴン「海に落ちようとしたやつが船は怖がるのか」 

キラーマジンガ「マスターが墜落することは100%ありませんが、船は沈没します」 

勇者「なるほど、今のエキセントリックな行動はドラゴちゃんに全幅の信頼を寄せているからこそか」 

キラーマジンガ「はい」 

ドラゴン「喜んでいいのか分からんな……」 

勇者「ハーピーのこともあります。尚のこと急ぎましょう」 

ドラゴン「分かっている!!」 

キラーマジンガ「レーダーに反応。前方から魔物の群れです」 

勇者「ハーピーを追いかけてきたか」 

魔物「ギー!!ギー!!!!」 

ドラゴン「雑魚めが……!!命だけは勘弁してやろう!!!」ゴォォォ 

魔物「ギャァァァ!!!」 

キラーマジンガ「マスター。やりすぎです。オーバーキルです」 




160:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:39:11.57 ID:hpeqfj4Jo
―――魔王の城 牢獄 

キマイラ「そろそろ吐け……勇者はどこに行った?」 

ゾンビ「……」フルフル 

キマイラ「やれ」 

ゴーレム「ハけ!!!」ドゴォ 

ゾンビ「うぁ!?ゴホッ……ウェ……」 

キマイラ「また明日も拷問はする。喋ったほうが楽になるぞ?」 

ゾンビ「うー……」 

ゴーレム「……」ズンズン 

ゾンビ「うー……うー……」ウルウル 

ゾンビ「にげ……られ……たかな……」 

ゾンビ「うぅぅ……」ポロポロ 

―――ドォォォォン!!! 

ゾンビ「うぁ?!」ビクッ 

ゾンビ「うー?」キョロキョロ 




161:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:44:16.00 ID:hpeqfj4Jo
―――城内 

キマイラ「何事だ?!」 

魔物「キー!!キー!!!」 

キマイラ「勇者とドラゴンだと?!」 

ゴーレム「キた……か……!!」 

キマイラ「戦力を揃えてきたか……面白い……」 

キマイラ「こちらもただ内部抗争だけに注視していたわけではない」 

キマイラ「この来るべき時のために、戦力の補強はしてきたんだ!!」 

ゴーレム「イく……ぞ……ユうしゃ……コろす!!!」 

キマイラ「勇者一行を迎撃しろ!!旧魔王軍ではないことを思い知らせてやれ!!」 

魔物「キー!!ギー!!!」 

ゴーレム「オォォォ!!!!!」ズンズン 

キマイラ「ドラゴン様……いや、ドラゴン……!!」 

キマイラ「お前たちを屠り……今日を記念すべきに日にしてみせる!!」 

キマイラ「魔王復活の日になぁ!!!」 




162:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:48:07.83 ID:hpeqfj4Jo
―――魔王の城 下層 

キャプテン「おらおらおら!!!!邪魔だよぉ!!!」ドォンドォン!!! 

キラーマジンガ「貴方達では私を倒すことはできません」ザンッ 

勇者「ハーピーさん。あの子はどこに?」 

ハーピー「地下の……牢獄……」 

勇者「分かりました」 

ドラゴン「一人で行く気か?」 

勇者「ボスはそこに居ないでしょう?」 

ドラゴン「俺たちは囮か?」 

勇者「信頼してます」 

キャプテン「ダーリン!!こっちはまかせなぁ!!」ドォンドォン 

キラーマジンガ「必ず戻ってきてください。貴方から秘書のなんたるかを学ばなければなりません」 

ドラゴン「救って来い。大事な側室なのだろう?」 

ハーピー「たのん……だ……」 

勇者「行ってきます」ダダダッ 




163:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:50:52.53 ID:hpeqfj4Jo
―――牢獄 

ドォォン!! 

ゾンビ「うぁ!?」ビクッ 

ゾンビ「うー……うー……」キョロキョロ 

ドォォン!! 

ゾンビ「うぁぁ?!」ビクッ 

ゾンビ「うー……」ブルブル 

勇者「―――いた!!」 

ゾンビ「うー……?」 

勇者「牢獄の鍵は?」 

ゾンビ「うぁぁ……」ウルウル 

勇者「鍵は?!」 

ゾンビ「あいし……てる……」ポロポロ 

勇者「はい。僕もですよ。で、牢獄の鍵は?」 

ゾンビ「うー……あー……あっち……かな?」 




164:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 02:53:11.60 ID:hpeqfj4Jo
ガチャン 

勇者「さ、行きましょう」 

ゾンビ「うー……」ギュッ 

勇者「また抱えていくか」ガバッ 

ゾンビ「うー♪」 

勇者「酷いことされたか?」 

ゾンビ「うん……」 

勇者「ありがとう……俺のために……」 

ゾンビ「……あ……ありがとう……」 

勇者「え?」 

ゾンビ「あぃしてるぅ」 

勇者「僕もだ」 

ゾンビ「うー」 

勇者「よし出るぞ!!」 

ゾンビ「うーっ」 




166:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 03:01:07.02 ID:hpeqfj4Jo
―――魔王の城 下層 

キャプテン「ファイヤー!!」ドォンドォン 

魔物「ギー!!」 

ドラゴン「ドラゴンテイル!!」パシンッ 

キラーマジンガ「抜刀術!!!」ザンッ 

ゴーレム「イた……」 

キャプテン「おーおー。デカ物のおでましかい」 

キラーマジンガ「非常に強固な体質をしています。通常の兵器では傷はつけれません」 

キャプテン「じゃあ、あれはドラゴにまかせるかな」 

ドラゴン「仕方ない……」 

ゴーレム「ウらぎり……もの……!!!」 

ドラゴン「もう闘争など飽きただろう?」 

ゴーレム「ユうしゃ……コろ、す!!!」 

ドラゴン「勇者を殺し、それで終わりにできないのか?!」 

ゴーレム「ニんげん……ハ、テきだ……!!ミなゴロしだ……!!!」 




167:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 03:22:14.05 ID:hpeqfj4Jo
ドラゴン「保守派はやはり前魔王の意志を継ぐ構えか……」 

キャプテン「そんなに世界が好きなら共存の道もありなんじゃないのかい?」 

ゴーレム「マおうさまを……コろして……おい、て……!!」 

キラーマジンガ「ゴーレム氏の言うことは正論です。彼らには人間に復讐するだけの動機があります」 

ドラゴン「もう同胞が死んでいくのは見たくないのだがな」 

ゴーレム「ダまれ……ウらぎりモの!!!!」 

ドラゴン「腹を決めた。―――ハーピー?」 

ハーピー「は……ぃ……?」 

ドラゴン「革新派は俺が引っ張っていこう」 

ハーピー「え……」 

ドラゴン「無論、出過ぎた行為であることは承知している。だが、魔族は今こそ変わるべきだと俺は思う」 

ハーピー「はぃ……おねが、い……します……」 

ドラゴン「すまんな」 

ゴーレム「ユるさない……!!ドらごん!!!」 

ドラゴン「お前には手加減ができない。全力でいかせてもらうぞ」 




168:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 03:27:30.21 ID:hpeqfj4Jo
勇者「ストーップ!!!」ダダダッ 

キャプテン「ダーリ―――え!?」 

キラーマジンガ「おかえりなさいませ」 

ドラゴン「戻ってきたか」 

ゴーレム「ユうしゃ!!」 

勇者「目的は果たしました。逃げましょう」 

ドラゴン「了解だ。乗れ!!」 

キャプテン「あぁ……ダダダダ……ダーリン……そ、そそそ、その子……は?」ガクガク 

勇者「可愛いでしょ?」 

ゾンビ「あー」 

キャプテン「ぎゃぁぁああああああああ!!!!!!」 

ゾンビ「うー?」 

キャプテン「……」バタッ 

キラーマジンガ「キャプテンは私が運びます」 

勇者「もしかしてこういうアンデッドもダメだったのか?……まあ、確かに海に出没はしませんが」 




170:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 03:32:06.90 ID:hpeqfj4Jo
ゴーレム「ユうしゃ!!!」ブゥン 

勇者「うわ!?」 

ドラゴン「ふん!!」ドガァ 

ゴーレム「グうぅ……?!」 

ドラゴン「キマイラに伝えておけ。―――魔王の座は譲らないとな」 

ゴーレム「ガがが……!!!ドらごん……!!!」 

ドラゴン「全員乗ったか?!」 

勇者「はい!!」 

キラーマジンガ「問題ありません」 

ハーピー「うぅ……」 

キャプテン「うーん……こ、わい……のやだ……こわいの……や、だ……」 

ゾンビ「うー」 

ゴーレム「マて……!!!」 

勇者「俺の側室を痛めつけた礼は必ずしてやる。覚悟しとけよぉ!!!!」 

ドラゴン「行くぞ!!」バサッバサッ 




171:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 03:37:34.53 ID:hpeqfj4Jo
―――謁見の間 

キマイラ「早く来い……血祭りにあげてくれるわぁ」 

キマイラ「奴が右から来たら……すかさず左前足をこう……」シュッシュッ 

側近「キマイラ様!!」 

キマイラ「どうした?」 

側近「勇者一行は逃げました」 

キマイラ「なに?!」 

側近「追おうにもドラゴン様の飛行速度が速く……すぐに見失って……」 

キマイラ「……」 

側近「申し訳ありません」 

キマイラ「やつらめ……!!何をしに来たというのだ……!!おちょくりに来ただけか……!!」 

側近「あ、あと……牢獄に閉じ込めていたリビングデッドと、逃げ出した革新派のハーピーも連れ去られたようで……」 

キマイラ「それが目的か……!?」 

側近「あ、あと……ドラゴン様が……魔王の座は譲らないと……発言したようで……」 

キマイラ「やはりか……!!ドラゴン……!!最後に立ちはだかるのは……貴方か……!!」ギリッ 




172:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 03:42:40.04 ID:hpeqfj4Jo
―――上空 

ドラゴン「宣戦布告になってしまったな」 

勇者「もう戦争なんてごめんです。僕は是が非でも、貴女を魔王にしてみせます」 

勇者「そして側室へ」 

ドラゴン「魔王になれたらな」 

勇者「やくそくですよぉ?」 

ドラゴン「俺を側室にしてどうするつもだ……。半竜半人でも作るのか?」 

勇者「え?できんの?!」 

ドラゴン「……うるさい」 

勇者「えー?!初耳だぁ!!マジっすかぁ!?―――では、早速実験しましょう」カチャカチャ 

ドラゴン「やめろぉ!!!」 

ゾンビ「うー?」 

キャプテン「ん?―――ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」 

ゾンビ「うぁ?!」ビクッ 

キラーマジンガ「あまりその人には近づかないほうがいいでしょう」 




174:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 03:47:41.81 ID:hpeqfj4Jo
―――海賊船 

キャプテン「おまえらぁ!!この美人鳥を医務室に運びなぁ!!」 

「へい!!」 

ハーピー「勇者よ……」 

勇者「なんですか?」 

ハーピー「わらわは……お前のようなニンゲンに出会えて……うれしいぞ……」 

勇者「早く元気になってくださいね」 

ハーピー「あぁ……」 

勇者「ああ、ちなみに」 

ハーピー「ん?」 

勇者「あの子の「あぃしてるぅ」は食べ物の好物とかと同義ですから。変な勘違いはしないほうがいいですよ?」 

ハーピー「え……」 

ゾンビ「お魚……あぃしてるぅ!!」 

キラーマジンガ「いい子いい子」ナデナデ 

ハーピー「……むねん」ガクッ 




175:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 03:52:28.24 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「……」 

ゾンビ「うー?」 

キャプテン「こ、こっちに来るんじゃないよぉ……」 

キラーマジンガ「世界にはこのような魔物も存在します。慣れておいたほうが身のためです」 

キャプテン「ゆうれい……もいるのかい……?」 

キラーマジンガ「います」 

キャプテン「ダーリン!!あたし、海から出ないことにするよぉ!!」 

勇者「そんな我侭が通るわけないだろうが」 

キャプテン「でもぉ……」 

ゾンビ「うー?」 

キラーマジンガ「なんですか?」 

ゾンビ「あし、ガクガクしてる」 

キラーマジンガ「……仕様です」 

ゾンビ「し、よう?」 

ドラゴン「結構逼迫している状況でも余裕だな……この面子は……」 




177:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:02:17.87 ID:hpeqfj4Jo
勇者「貴女が魔王になればいいだけのお話ですし」 

ドラゴン「言葉に出せるほど容易ではない。説明しただろ」 

勇者「まあ、衝突は避けられそうにありませんね」 

ドラゴン「魔王となったキマイラとはいつか戦うことになるな」 

勇者「余裕っしょ」 

ドラゴン「バカをいうな」 

キラーマジンガ「現戦力では敗戦濃厚です」 

キャプテン「こっちも。漁業を始めてから武力強化なんて一切行ってないしねえ」 

ドラゴン「魔王との決戦時のようなことには……」 

勇者「確かに。このメンバーでは敗北確実でしょう」 

勇者「側室がいっぱいいるだけの一兵士。能力はキマイラに劣るであろうドラゴン。弱点の多い元海賊」 

キャプテン「わるかったねぇ……」 

勇者「そこが可愛いのですがね」キリッ 

キャプテン「や、やだよぉ、ダーリンったらぁ」 

勇者「あとは満足に走れないリビングデッド、傷だらけのハーピー。最強の機械兵士であるキラちゃんは別格ですが、まあ多勢に無勢でしょう」 




178:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:09:59.98 ID:hpeqfj4Jo
キラーマジンガ「褒めていただき感謝します」 

勇者「そこで。戦力アップを図ります」 

キャプテン「どうするんだい?」 

勇者「なんと都合のいいことに僕の側室にはすごい美人で有能な僧侶と魔法使いとエルフ族がいるんですよね」 

ドラゴン「へえ」 

キラーマジンガ「初耳です」 

ゾンビ「うー?」 

キャプテン「そんな奴いたかい?」 

勇者「いるんですよ。まあ、今どこにいるかはさっぱりですが」 

キラーマジンガ「あの。貴方の言う人物に該当するかわかりませんが、文通相手に似たような経歴の人がいます」 

勇者「おお。そうですか」 

キラーマジンガ「資金繰りが厳しいようで、今は傭兵登録所にいると聞きました」 

勇者「傭兵ですか。なるほどなるほど」 

キラーマジンガ「また一連の出来事を連絡するために、手紙を書きます」 

勇者「ああ、僕のことは伏せておいてください。きっとその人たちは僕の大ファンでしょうから、こっちまで駆けつけてくるかもしれませんし」 




179:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:19:49.11 ID:hpeqfj4Jo
ドラゴン「それがいい。今後、キマイラの指示で各地の魔物が活発的に活動するだろうからな」 

勇者「また、魔物に怯える日々が来るのですね」 

ドラゴン「キマイラの一派を制圧するまではな」 

勇者「そうだ。この装備は全て捨てておきましょう」 

キャプテン「どうしてだい?似合ってるのに」 

勇者「勇者はもうこの世界に不要ですから」 

ゾンビ「うー?」 

キラーマジンガ「勇者という存在は魔王討伐を目的とした肩書きです。その勇者が動いているとなれば、民衆の不安を煽ることになります」 

ゾンビ「ううー??」 

ドラゴン「つまりだ。勇者が旅をしていると、他の者はまだ魔王が居るんじゃないかと思い、怖がってしまうんだ」 

ゾンビ「うーわかったー」 

キャプテン「あ、ああ……うん……あたしも……わかったよ!!すごいね!!」 

勇者「勇者はもう死んだ。ここにいるのは元・勇者です」 

ドラゴン「勇者でないものが、世界を救おうというのか……」 

勇者「世界はもう救われています。今からすることは内輪揉めの仲裁ですから」 




180:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:29:03.83 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「まあ、何はともあれ、また冒険できるってわけだ!!」 

勇者「今度は両手に花どころか、両手に花畑を実現させてみせましょう」 

ドラゴン「富はおろか名声ももらえないというのにか?」 

勇者「ふっ。魔物が活発化する、女の子に危険が迫る、俺登場、ベッドイン、イェー」 

ドラゴン「わかった。基本的な方針はあまり変わらないわけだな」 

勇者「そういうことです」 

ドラゴン「では、その有能な者たちを迎えにいくのなら俺が―――」 

勇者「いえ。ドラゴちゃんとキラちゃんは海賊船に残って、この海域で動向を見守っていてほしいのです」 

キラーマジンガ「何故でしょうか?」 

勇者「今度の相手は良くも悪くも積極的ですから。前の魔王とは違い、直接前線に立つかもしれません」 

ドラゴン「そうだな。この艦隊をむざむざ狙わせるわけにもいかないか」 

ゾンビ「うんうん」コクコク 

キャプテン「じゃあ、ダーリンは一人で向かえにいくのかい?」 

勇者「他の船で近くまで連れて行ってもらえれば十分ですから」 

キャプテン「そうかい……残念だねぇ……まぁ、旦那がそういうなら従うしかないけどさ」 




181:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:34:08.17 ID:hpeqfj4Jo
勇者「そう寂しがらなくても、僕の可愛い妹を置いておきますで」スッ 

キャプテン「え―――」 

ゾンビ「あー♪」 

キャプテン「ぎゃぁぁぁぁああああああああああああ!!!!!!!」 

ドラゴン「そろそろ慣れろ」 

キラーマジンガ「もう少し時間が必要でしょう」 

勇者「では、行ってまいります」 

ドラゴン「気をつけろよ」 

キラーマジンガ「ご武運を」 

ゾンビ「おにいちゃーん、あぃしてるぅー!!」 

キャプテン「ダーリン!!早く帰ってきておくれよぉぉぉ!!!」 

勇者「はい!また、旅をしましょう!!」 

ドラゴン「ふっ。待っているぞ」 

キラーマジンガ「秘書スキルを上げてお待ちしていますわっ!」 

勇者「それはお嬢様だっていってんだろ!!いい加減にしろ!!!」 




182:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:38:14.39 ID:hpeqfj4Jo
―――数日後 海賊船 甲板 

勇者「あ、すいません」 

船員「なんだ?」 

勇者「上陸したいのでここで少し待っていてもらえますか?二時間で戻ります」 

船員「別にいいけど」 

勇者「ありがとうございます」 

船員「魔物には気をつけろよー。最近、人間が襲われることが多いって聞くぜー」 

勇者「はぁーい」 

勇者「……」スタスタ 

勇者「さーてと……」 

勇者「一目だけでも……」 

勇者「俺の身勝手な行いの所為で苦しんでなければいいが……」 

勇者「……」 

勇者「姫様……」 

勇者「一応、顔は隠しておこう」ゴソゴソ 




183:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:44:04.45 ID:hpeqfj4Jo
―――城下町 広場 

ザワザワ…… 

勇者「ん……?あれは……?」 

姫「ここ最近、魔物の活動が活発になり、不安を覚えている方々もいることでしょう」 

姫「ですが、もう過去の悲劇を繰り返さない為に兵の強化と万が一のための逃走経路は用意しております」 

姫「どうか、みなさまは冷静に日々を過ごすようにお願いいたします!!」 

「姫様がそういうなら」 

「姫さまー!!がんばってください!!兵士たちじゃなくて、今度は俺たちも戦いますからぁ!!!」 

姫「お気持ちは嬉しいですが、我々の使命は貴方たちをお守りすることです。無茶はしないでください」 

勇者「……」 

姫「……あ」 

勇者「……」 

姫「……っ」 

姫「では、これで私の話は終わります!!ご清聴、感謝いたします!!」 

パチパチパチ…… 




184:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:53:24.66 ID:hpeqfj4Jo
勇者「……」スタスタ 

姫「……忘れていました!!」 

「な、なんだ?」 

勇者「……?」 

姫「今日はもう一つ、お伝えすることがあります!!」 

兵士「姫様?」 

姫「私には愛している人がいます」 

「結婚か?!」 

「めでてー!!」 

兵士「姫様!?なにを仰るのですか?!」 

姫「ですが、私の想いは届きません」 

勇者「……」 

姫「それでも私はその人を愛しています!!」 

姫「自身のことなど省みず、他人のために生きる。損得など考えずに誰かのために身を投げ出す。私はその人のことが大好きですっ!!!」 

勇者「……」 




185:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 04:57:25.30 ID:hpeqfj4Jo
「だれだー!!その羨ましい野郎はぁ!!!」 

「ファッキュー」 

姫「はぁ……はぁ……」 

勇者「……」 

姫「お、お騒がせして……もうしわけありませんでした」 

勇者「……」スタスタ 

姫「まっ……!」 

兵士「姫様。戻りましょう」 

姫「はい……」 

勇者「……すいません」 

町民「なんだい?」 

勇者「紙とペンを」 

町民「なんで?」 

勇者「ラブレターを今すぐ書きたくなったので」 

町民「なるほどぉ。いいぜ。かしてやるよ。あんたも姫様のファンクラブにはいるかい?」 




186:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 05:03:31.57 ID:hpeqfj4Jo
―――姫の自室 

姫「はぁ……」 

兵士「姫様!!」 

姫「無礼ですよ?」 

兵士「も、申し訳ありません!!あ、あの!!これを……受け取ったのですが……」 

姫「なんですか?」 

兵士「ど、どうぞ」 

姫「……?」ペラッ 

『もし子どもが欲しいならいつでも言ってください。万全の態勢でお待ちしております。元ゆーしゃより』 

姫「……」 

兵士「い、悪戯でしょうか……?勇者殿は行方不明との話も……」 

姫「ふふっ……」 

兵士「ひ、姫様?」 

姫「私、絶対に勇者さまと結婚します。もうあの人以外に考えられませんから」 

兵士「わ、わかりました!!私たちも姫様のために勇者殿の行方を調べてます!!」 




187:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 05:08:55.16 ID:hpeqfj4Jo
―――翌日 海賊船 甲板 

船員「ついたぜ」 

勇者「ありがとうございます」 

船員「ここから向こうは浅瀬になってるから、歩いてでも岸につける」 

勇者「はい。では、すぐにキャプテンに合流してください」 

船員「いいのか?」 

勇者「はい。魔物が活性化したというなら、それを鎮圧しながら海賊の村まで行こうと考えていますので」 

船員「そうかい」 

勇者「では、また」 

船員「死ぬんじゃねえぞ。キャプテンを泣かしたら、あの世に殴りこみをかける」 

勇者「それはありえません。僕は勇者ですし、それに……」 

船員「それに?」 

勇者「すごく美人な傭兵を雇いますから」 

船員「言ってろ!というか、地獄におちろ!!」 

勇者「ええ。僕は地獄に落ちるでしょう。で、そこでエロい悪魔とかと永久に体を重ねます」 




188:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 05:15:51.66 ID:hpeqfj4Jo
―――城下町 

勇者「久しぶりだな……」 

戦士「いやー!!あの女、結構いい働きしてくれたなぁ」 

術士「ええ。俺も魔法には自信があったけど、あの子には完敗だ」 

戦士「ずっと雇っていたいぐらいだぜ。でも、なぜかああいう有能なやつに限って、短期のみなんだよなぁ」 

術士「不公平だよなぁ」 

勇者「すいません」 

戦士「なんだ?」 

勇者「その有能なかたとは?」 

戦士「ああ。傭兵登録所に最近来た女の子だ。えらい美人だし、魔法も堪能なんだぜ」 

勇者「美人な人はもう二人ぐらいいませんでしたか?」 

術士「ああ、いるけど。あの子たちはまるでダメだな。魔法が使えないに等しい」 

戦士「そうだなぁ。ゼロ距離でしか攻撃できないなんてポンコツもいいとこだ」 

勇者「それはお前らが無能だからでしょう?彼女たちは世界を救えるほど有能ですよ。―――それでは失礼します」 

戦士「な……なんだよ……あの野郎……!!」 




189:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 05:23:38.27 ID:hpeqfj4Jo
―――傭兵登録所 

勇者「変わっていない……。まあ、当然か」 

勇者「さてと……」スタスタ 

受付「ああ、いらっしゃいませ」 

勇者「傭兵が欲しいのですが」 

受付「はい。どのような目的で?」 

勇者「僕の側室に無条件でなってくれる傭兵が欲しいので」 

受付「は?」 

勇者「それと、もう一度、魔物狩りを行うためです」 

受付「わ、わかりました。では、ご希望の人物は?」 

勇者「やだなぁ。分かっているくせに」 

受付「はい?」 

勇者「僕が求めるのは最初から決まっています」 

勇者「―――すごく美人で有能な僧侶と魔法使いとエルフをお願いします」 


FIN 




191:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 05:53:37.40 ID:MTWIKpTwo
素晴らしかった 
お疲れ様でした 




195:NIPPER(東京都):2012/07/01(日) 06:54:12.61 ID:eemsKgdV0
面白かった! 
>>1に最大限の乙を! 




197:NIPPER(茨城県):2012/07/01(日) 07:28:34.73 ID:TnJK0CTNo
勇者の側室になりたい! 

男だけど 




200:NIPPER(北海道):2012/07/01(日) 08:02:33.19 ID:1/veM97AO
ホント面白かった 
GJでした(`・ω・)b 




210:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 10:45:36.69 ID:wDXqJzv+o
このまま終わるのがいいのだろうけど 
まだ見ていたい 

とにかく乙 




211:NIPPERがお送りします:2012/07/01(日) 10:51:43.76 ID:sB7BN38A0
ここで終わるのがとても綺麗だが 
続きが気になってる俺もいる。 
とにかく>>1乙!すごく楽しめたよ! 




212:NIPPER(チベット自治区):2012/07/01(日) 10:57:39.11 ID:xcqJX23vo
どんな話読んでも、この続きを読みたいっ! 
と思う作品て本当に少ないしそういうのって本当良い作品なんだと思う 

そんな良い作品に出会えた事と>>1に感謝と賛辞を 

ありがとう 




233:NIPPERがお送りします:2012/07/02(月) 18:05:25.98 ID:22viuH5IO
面白かったです。 




238:NIPPERがお送りします:2012/07/03(火) 07:59:35.57 ID:zbhHb/N7o
追加編もよかったです。 
続きではなく別の作品でぜひまた楽しませて欲しいです。 
お疲れ様でした。 




242:NIPPERがお送りします:2012/07/08(日) 15:59:38.49 ID:T8V4V1rIO
俺が半年に一度だけ放つという伝説の「乙」を>>1に使おう 






最終更新:2013年06月01日 23:33