勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編5 戦乱の章


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 807:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 22:24:38.90 ID:hpeqfj4Jo
ドラゴン「ずっと不思議に思っていたことがある」 

勇者「なんですか?ドーラゴちゃん」 

ドラゴン「どうしてお前は俺を見て驚かなかった?」 

勇者「へ?」 

ドラゴン「洞窟で初めて出会ったときだ。俺を見ても驚いていなかっただろう?」 

勇者「いや、めちゃくちゃ驚いてましたよ。なにせ、側室候補だっためんこい女の子がいきなり巨大なトカゲになったんですから」 

ドラゴン「お前、結構失礼だな」 

勇者「すいません」 

ドラゴン「普通な俺の姿を見れば畏怖し、身を震わせるものだと思うが?」 

勇者「まあ、でも、あれですよ。あれだけ可愛い女の子が元の姿だと考えれば、別にいいかなって思いまして」 

ドラゴン「話がかみ合わないな」 

勇者「貴女が女の子になればいいだけの話」 

ドラゴン「……そんなに気に入ったのか?」 

勇者「うんっ」 

ドラゴン「……」 




808:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 22:32:05.99 ID:hpeqfj4Jo
勇者「むしろ、あの女の子の姿のほうが威厳があったというか」 

ドラゴン「見え透いた嘘を吐くな」 

勇者「……正直言うと、貴方を見たときは怖かった」 

ドラゴン「ほう……?」 

エルフ「……」カチャカチャ 

勇者「でも、僕が怖がると彼女たちが絶望しますからね」 

ドラゴン「……」 

エルフ「え……」 

勇者「僕は勇者として二人を守ると宣言していたので。そんな勇者様がドラゴンをみて膝を笑わせていたら、どうです?」 

ドラゴン「上に立つものの責任か」 

勇者「最悪の事態が起こっても彼女たちが無事に離脱できる方法は用意していました」 

ドラゴン「ふん。どうやってだ?あの時、俺がお前らを追っていれば今頃、ここには居ないだろうに」 

勇者「簡単じゃないですか。―――僕が貴方と対峙すればいい」 

ドラゴン「な……」 

エルフ「そんなの瞬時に殺されるよ」 




809:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 22:42:29.53 ID:hpeqfj4Jo
勇者「場所が場所だったので、防戦ならこっちに分がありましたよ。なにせ、この巨体ですからね。小回りは利かないでしょう」 

ドラゴン「お前が囮になって時間を稼いだということか?」 

勇者「万が一外に出ても追いかけてくるようなら、森の中で数日間戦う覚悟でいました。無論、彼女たちとは別れてですけど」 

ドラゴン「お前……」 

勇者「それが上に立つ者の振舞い方だと思います」 

ドラゴン「だが、勇者のお前が死ねば魔王の討伐は終わっていたのだぞ?」 

勇者「僕の意志は誰かに受け継がれるので大丈夫です」 

ドラゴン「……」 

勇者「最終目標は側室10人と綺麗なお嫁さんとの豪遊生活ですが、まあついでに魔王の討伐も目標です」 

勇者「その目標なら僕の亡き後でも必ず達成される。そう信じています」 

ドラゴン「次代にその責務を渡すというのか?だから、お前は危険を省みず、行き急ぐように戦うのか?」 

勇者「違う。俺は死にたくないし、死んだらダメだって分かってる。でも、守りたい者に守られて死ぬのだけは御免だ」 

ドラゴン「……」 

エルフ「……」カチャカチャ 

勇者「見捨てるなんてもってのほか。死ぬなら誰かを守って死ぬ。それが俺の死に方だ」 




811:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 22:57:55.68 ID:hpeqfj4Jo
ドラゴン「ふん……俺との戦いのときは守れて居なかったくせに」 

勇者「いや、あそこでキラちゃんと交戦していなかったら、それこそ全員ミンチですよ」 

ドラゴン「ふっ……意志は受け継がれるか」 

勇者「これも立派な『負けない戦い方』ですね」 

ドラゴン「……!」 

勇者「じゃあ、そろそろ寝ます。あの二人はもう疲れて寝てますので、間に挟まれるようにして添い寝をしようかと思います。止めないでください」 

エルフ「おやすみ」 

ドラゴン「……」 

勇者「ああ、そうそう。ドラゴちゃん」 

ドラゴン「その呼び方はどうにかならないのか?」 

勇者「主が倒れても仲間は立ち上がりますよ」 

ドラゴン「どういう意味だ?」 

勇者「だからこそ、仲間を信じて主は壁に立ち向かえる。仲間を踏み台にして壁を越えても意味なんてないでしょう?」 

ドラゴン「それは魔王様のことを言っているのか?」 

勇者「おやすみなさい」 




813:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:03:13.66 ID:hpeqfj4Jo
エルフ「ふーん……色々、考えてるんだ」 

ドラゴン「魔王様とは違うな」 

エルフ「それはニンゲンだから」 

ドラゴン「……」 

エルフ「……」カチャカチャ 

ドラゴン「……なあ」 

エルフ「んー?」 

村娘「―――こっちのほうがいいか?」 

エルフ「おぉ!?え?!なにが?!」 

村娘「それとも……」 

少女「こっちがいいのか?」 

エルフ「だから何が?!」 

少女「俺はニンゲンには協力しない。勇者に手を貸すことにした」 

エルフ「一緒だと思うけど」 

少女「奴に興味が出た。ニンゲンに仕えるのは無理だが、勇者になら仕えてもいいかもしれんな」 




815:NIPPER(東京都):2012/06/23(土) 23:07:36.55 ID:WElc9Enuo
ドラちゃんがデレたあああああああああ!!!!! 




816:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:09:25.33 ID:hpeqfj4Jo
エルフ「ドラゴン様……」 

少女「お前も無理はするな。明日も早いのだろう?」 

エルフ「ありがとうございます」 

少女「これでドラゴン族も裏切り者か……」 

エルフ「でも、ドラゴンは元々神の使いでしたよね」 

少女「言い伝えではな。ドラゴン族は地上を監視する目的で天から降りてきたといわれている」 

エルフ「それロマンチックですね」 

少女「そう……魔王様に仕えるのが全てではない。俺は神の使いとしてこの世界を見守る使命があったはずだ。うん、だからドラゴン族に泥をかけるわけじゃない」 

エルフ「自分にそう言い訳しておくんですね」 

少女「こういうのはなぁ!!心構えが大事なんだよ!!」 

エルフ「わかりました。そこのやつとってください」 

少女「え?これ?」 

エルフ「違うよ!」 

少女「怒るなよ?!すこし間違えただけだろ?!」 

エルフ「もう!!もうちょっと勉強してください!!ガーちゃんのマスターなんですよね?!」 




817:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:14:43.93 ID:hpeqfj4Jo
―――翌朝 

僧侶「おはようございまーす」 

魔法使い「んー……結構寝たわね」 

勇者「二人とも寝相悪いですねー。首を絞めてくるとかありえませんよ、全く」 

魔法使い「アンタが添い寝してこようとするからでしょ?!」 

勇者「え?!あれわざと?!」 

僧侶「ドラゴンさんはどこに……?」キョロキョロ 

エルフ「だーかーら!!これはここの部品なんですってばぁ!!」 

少女「えー?だが、形状的に言えばここだろう?」 

勇者「おはようございます」 

エルフ「あ、おはよう」 

少女「よく眠れたか?」 

勇者「な……?!なんで、その姿に!?まさか……まさか……!!!」プルプル 

少女「か、勘違いするな!!お前のためではないからな!!!」 

魔法使い「別にその姿になっておく必要はないでしょうに……」 




819:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:21:27.54 ID:hpeqfj4Jo
少女「昨晩、勇者が言っていた。確かに巨体では小回りが利かないからな。この姿でのメリットもある」 

勇者「人間が嫌いなくせにー、このこの」プニプニ 

少女「う、うるさい!!頬を突くな!!!それにこれは一時的なものだ!!目的が達成されれば、元の姿に戻るわぁ!!」 

僧侶「かわいいのに」プニプニ 

少女「にゃめりょ!!しゃべりぇんだりょうがぁ!!!」 

魔法使い「マーちゃんは?」 

エルフ「とりあえずあとはエネルギーの補給をしたら動くようになると思う」 

勇者「やったー!!じゃあ、んー……魔王を生け捕りにしてキラちゃんの血肉にするっていうのはどうですか?」 

ドラゴン「魔王様を生け捕りとか無理に決まっているだろうが」 

エルフ「でも、動かしたところで……」 

魔法使い「どういうこと?」 

エルフ「ボクたちのことを覚えているかどうかわからないよ。ボクの矢は色んなところを傷つけたから」 

勇者「また僕に恋をするのは間違いないので大丈夫ですよ」キリッ 

魔法使い「いつ恋をしてたのよ?!」 

勇者「あーん?肉便器は黙ってろよ!!」 




820:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:26:00.43 ID:hpeqfj4Jo
魔法使い「なっ……!?」 

ドラゴン「人間とはやはり汚らわしいな」 

エルフ「不潔」 

勇者「ねー?」 

魔法使い「名誉毀損よぉ……」 

僧侶「あの!」 

ドラゴン「なんだ?」 

僧侶「どうしてドラゴンに変身するんですか?!」 

ドラゴン「頬を突くからだろうがぁ!!」 

僧侶「じゃあ、尻尾を突きます」 

ドラゴン「そこならいいけど」 

僧侶「……」ツンツン 

勇者「じゃあ、キラちゃんはキャプテンの船に置いておくとして、僕たちは魔王のところに行きましょう」 

魔法使い「いよいよね」 

エルフ「うん」 




821:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:30:12.00 ID:hpeqfj4Jo
―――船着場 

キャプテン「へー、仲間になったのかい」 

少女「一時的なものだ。誤解はするな」 

勇者「キャンディーいる?」 

少女「いらん!!!」 

勇者「あーん」 

少女「もがっ?!」 

キャプテン「じゃあ、この子は責任持って預かるよ」 

エルフ「ガーちゃんをお願い」 

キャプテン「傷一つつけやしないよ」 

魔法使い「それで、いつ仕掛けるの?」 

キャプテン「ああ、そうだ。他の船から気になる情報があったんだけどさ」 

僧侶「なんですか?」 

キャプテン「魔王の軍勢が南下していくのを見たらしい。しかもかなりの規模だったみたいだ。魔王の姿はなかったみたいだけどね」 

勇者「南下……?」 




822:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:36:45.13 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「戦争を仕掛けるタイミング的には好都合なんだけどさ」 

魔法使い「南というと……」 

少女「もぐもぐ……ああ、以前トロルが陣取っていた国を攻め落とすつもりらしいな……もぐもぐ」 

勇者「なに!?」 

魔法使い「どうしてそれを先に言わないのよ?!」 

少女「関係のないことだろう。俺たちは魔王様を倒しに行くのだから」 

エルフ「まあ……そうだけど」 

勇者「―――ふざけんなぁ!!!このトカゲ!!」 

少女「今は違う!!」 

僧侶「そうです!!あの国にも大勢の人がいるんです!!」 

勇者「俺の側室だっている!!」 

魔法使い「ああ、あのお姫様ね」 

少女「あの国を救いに戻るのか?それでは魔王様に時間を与えてしまい、万全の態勢を整える手助けをすることになるぞ?」 

勇者「しるか!!魔王と側室なんて比べるまでもねえだろうが!!!」 

少女「お前は何をいっているんだ?それより、キャンディーはもっとないのか?」 




823:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:41:48.43 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「どうすんだい?戻るのか進むのか」 

勇者「もどろー!!!」 

エルフ「本気?」 

勇者「魔王が万全の態勢を整えたところで意味ねーし!!そもそも魔王のほうが圧倒的に有利だし!!」 

少女「もっと有利になるかもしれないぞ?」 

勇者「えーい!!姉さん!!」 

キャプテン「なんだい、ダーリン?」 

勇者「貴女は戦争を仕掛けてください」 

キャプテン「魔王を追い詰めりゃあいいわけだね」 

勇者「はい」 

キャプテン「旦那の頼みとあっちゃあ!!やるしかないねえ!!!―――錨をあげろ!!帆をはりなぁ!!!」 

勇者「僕たちは南に行き、姫様を助ける!!!」 

魔法使い「ちょっと!!他の人は?!」 

勇者「二の次だこらぁ!!!」 

僧侶「いつもの勇者様です」 




825:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:49:31.99 ID:hpeqfj4Jo
ドラゴン「―――乗れ!!」 

勇者「俺の腰の上にはいつ乗ってくれますか?」 

ドラゴン「やめろ!!変態がぁ!!!」 

僧侶「落ちないように命綱とかは……?これ海に叩きつけられて内臓破裂のパターンでは……?」 

魔法使い「怖い妄想しないの。しっかりしがみ付いていれば大丈夫よ」 

エルフ「行くなら急ごうよ。犠牲者が増えちゃうよ」 

勇者「その通りだ!!側室姫を失うわけにはいかねえ!!!」 

魔法使い「側室姫って……まあ、いいわ」 

ドラゴン「本当にいいのか?俺が行動を共にしていることこそ、お前にとっては最大の隠し玉だったはず。魔王様の意表を突くことはできなくなるぞ?」 

勇者「言ったでしょう。死ぬなら誰かを守って死ぬと」 

ドラゴン「お前のいう誰かとは……」 

勇者「目に映る者、全てだ」 

ドラゴン「……お前は絶対に死なせん」 

勇者「簡単に死ぬつもりもないですけどね」 

ドラゴン「ふっ。―――しっかり掴まっていろ!!最大速度で飛ぶぞ!!!」バサッバサッ 




826:NIPPERがお送りします:2012/06/23(土) 23:58:09.60 ID:hpeqfj4Jo
―――上空 

僧侶「うわっ……うわっ……」 

魔法使い「高所恐怖症?」 

僧侶「いや……こんな乗り物初めてで……」 

ドラゴン「乗り物扱いするなぁ!!振り落とすぞ!!」 

勇者「やめい!!」ペチペチ 

ドラゴン「頭を叩くなぁ!!!」 

エルフ「それにしてもどうして南にある小さな国を狙ってるの?」 

勇者「あの国が占領されてしまえば、隣国は意図も簡単に魔王の手に落ちるでしょう。立地的に戦略拠点に向いているのですよ」 

エルフ「そうなんだ」 

ドラゴン「お前は何でもできるのか?」 

勇者「夜の四十八手は完璧です」 

ドラゴン「なんだそれは?戦術か?」 

勇者「今度じっくり教えてあげましょう……実演でなぁ!!」 

魔法使い「馬鹿なこといってないの!本当に落ちるわよ?!」 




842:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:13:41.68 ID:hpeqfj4Jo
―――城下町 

兵士長「ここだけは死守するんだ!!!王も姫様もいるのだからな!!」 

兵士「「はいっ!!」」 

魔物「ギギギ」 

キマイラ「小さき生き物でも束になれば、どうして中々厄介だな」 

兵士長「怯むな!!指揮官を落とせば―――」 

キマイラ「やれぇ!!!」 

魔物「「ガァァァァ!!!」」ダダダダッ 

兵士「「うおぉぉぉぉ!!!」」ダダダッ 

キマイラ「無駄なことはやめろ。貴様らに勝ち目はない」 

兵士長「王族が逃げるための時間を稼ぐぞ!!」 

キマイラ「抵抗するな。痛いだけだぞ?―――それにニンゲンは皆殺しにしろと言われている」 

兵士長「なんだと?!」 

キマイラ「誰一人、生きてこの国から亡命できはしなぁい!!!なーっはっはっはっは!!!!」 

兵士長「王……!!姫様……!!」 




843:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:17:20.50 ID:hpeqfj4Jo
姫「はぁ……はぁ……!!」 

王「大丈夫か?」 

姫「はい……」 

王「ここを抜ければ逃げられ―――」 

魔物「グルルル……」 

王「なに!?」 

姫「ひっ……お、お父様!!」 

王「向こうだ!!向こうに逃げろ!!」 

姫「しかし!!」 

王「生きろ!!生きて勇者様に会うんだ!!」 

姫「お父様ぁ!!」 

王「いけ!!」 

姫「で、できません!!」 

王「お前さえ生きていれば国はまた蘇る!!逃げろ!!」 

姫「うぅ……!!」ダダダッ 




844:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:22:43.14 ID:hpeqfj4Jo
―――上空 

ドラゴン「見ろ。街は既に戦火に包まれているぞ」 

勇者「急がないと。僕はこの辺りで降りる」 

魔法使い「じゃあ、手筈通りに」 

エルフ「行こう!」 

僧侶「勇者様、お気をつけて」 

勇者「心配は無用です。ドラゴちゃん!!君の使命は?」 

ドラゴン「勇者に代わり、三人の術者を守護することだ」 

勇者「君も無理だけはするな」 

ドラゴン「分かっている」 

勇者「では、僕は王族が使う逃走用の通路に向かいます」 

魔法使い「生きて帰ってきてよ」 

エルフ「死んだらダメだよ。ちゃんとボクたちを守ってくれないと、困るし」 

僧侶「勇者さまー!!!フレーフレー!!」 

勇者「声援ありがとう!!僕の可愛い側室レディたち!!」 




845:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:27:47.20 ID:hpeqfj4Jo
―――城下町 

キマイラ「お前で最後だな」 

兵士長「くっ……」 

キマイラ「では―――」 

ドラゴン「そこまでだ」 

キマイラ「!?」 

兵士長「な……ド、ドラゴン……」 

キマイラ「ドラゴン様。どうしてこちらに?!」 

ドラゴン「何、魔王様からの新たな指令を届けにきただけだ」 

キマイラ「そんな。ドラゴン様がわざわざ足を運ぶことでは」 

ドラゴン「いや。俺が出向かないとダメなんだ」 

キマイラ「ど、どういうことですか?」 

ドラゴン「それはな―――俺はお前たちの敵だからだぁ!!!!」 

キマイラ「ドラゴン様!?気は確かですか?!」 

ドラゴン「殺しはしない。だが、反抗されると勢い余って致命傷を与えかねない。だから、何もするな」 




846:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:33:22.94 ID:hpeqfj4Jo
魔法使い「怪我人の手当てを!!」 

エルフ「分かってる!!」 

僧侶「が、がんばります!!」 

キマイラ「ニンゲン……ドラゴン様……裏切ったのですね……!!!」 

ドラゴン「俺は元々神の使いだ。魔族だけに肩入れしているわけではない」 

キマイラ「屁理屈を……!!!」 

ドラゴン「ふん」 

キマイラ「お前ら!!やつらを殺せ!!」 

魔物「「オォォォォ!!!!」」 

僧侶「ひっ?!」 

魔法使い「来るなら来なさい!!」 

ドラゴン「下がっていろ。―――こいつらに手を出すものは決して許さん!!焼かれる覚悟のある奴だけが前にでろぉ!!!」 

魔物「「グルル……!!」」 

魔法使い「容赦ないわね。元同僚でしょ?」 

ドラゴン「俺には譲れないモノがある。それを奪うというなら同胞だろうと敵に回す。それが俺の戦い方だ」 




847:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:37:49.44 ID:hpeqfj4Jo
姫「はぁ……はぁ……!!!」ダダダッ 

姫「きゃっ―――」ドタッ 

姫「い、た……」 

魔物「ギギギギ!!!!」 

姫「もう……ダメ……」 

姫「生きて……もう一度……勇者……さま……に……あいたかった……」 

魔物「ガァァァァァ!!!!」 

勇者「―――俺の寵姫になにしてくれんとんじゃぁ!!!!」 

姫「え……」 

魔物「がぁ?!」 

勇者「天誅!!!」ザンッ 

魔物「ギギィ……!!!」 

勇者「姫様。ご無沙汰しております。貴女が大好きな俺です」 

姫「ゆ……しゃ……さまぁ……」ウルウル 

勇者「怖かったでしょう。もう大丈夫です」ギュッ 




848:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:42:16.47 ID:hpeqfj4Jo
姫「勇者様!!お父様が!!お父様が!!」 

勇者「なんですって?」 

姫「助けてください!!お父様を助けてください!!」 

勇者「わかりました。姫様はここにいてください」 

姫「は、はい……」 

勇者「心配しないでください。貴女を悲しませるようなことはしません」 

姫「おねがいします!!」 

勇者「無事に王を助け出したら、きちんと告白します」 

姫「な、なにをですか?」 

勇者「姫様を側室にくださいと」 

姫「はい……!嬉しいです!!」 

勇者「え……。あ、はい」 

姫「勇者さま!!お父様を!!」 

勇者「分かりました!!」ダダダッ 

姫「勇者さま……」 




851:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:47:14.13 ID:hpeqfj4Jo
王「うぅ……ここで……終わるか……」 

勇者「王!!」 

王「な……なんと……いかんな……走馬灯か……」 

勇者「いや。幻ではありません」 

王「おぉぉ!!奇跡か……!!」 

勇者「到着が遅くなり申し訳ありません。人民に多大なる被害が……」 

王「いや……それよりも娘はどうした……?」 

勇者「無事です。王もこの薬草を使ってください。応急処置ぐらいにはなるはずです」 

王「ああ……すまない……。また助けてもらったな……」 

勇者「それが自分の務めです」 

王「勇者よ……娘を……たの……む……」 

勇者「ちょっと!!しっかりしてください!!目を閉じるな!!!」 

王「たの……む―――」 

勇者「王!?王!!!」 

勇者「くそっ!!」 




852:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 20:56:18.15 ID:hpeqfj4Jo
―――城下町 

ドラゴン「―――ぬんっ!!!」ドゴォ 

魔物「ぐえ!?」 

キマイラ「くっ……!?」 

ドラゴン「次はどいつだ?」ポキポキ 

キマイラ「くそ……」 

魔物「ギギギギ!!!!」 

キマイラ「―――なに?勇者だと?ふふ……分かった」 

ドラゴン「ん?」 

キマイラ「ここは潔く撤退しましょう。全滅するぐらいならば、退けと魔王様には常々言われている」 

ドラゴン「相手にもそれなりの傷を与えてから、だろう?よく知っている。その命令の所為で部下を多く失ったかなら」 

キマイラ「その通り。部下は捨て駒に過ぎない。―――そしてニンゲンは餌に食いつく」 

ドラゴン「どういう意味だ?」 

キマイラ「ドラゴン様。ニンゲンの弱さを間もなく目にするでしょう。楽しみにしていてくださいね」ダダッ 

ドラゴン「ま、まて!!」 




853:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 21:02:22.11 ID:hpeqfj4Jo
勇者「姫様」 

姫「……お……父様は……」 

勇者「申し訳ありません。出来る限りのことはしたのですが……出血が酷く……」 

姫「あぁぁ……」ガクッ 

勇者「姫様!!」 

姫「お父様……お父様……」 

勇者(俺が治癒の魔法を使えれば……こんなことには……!!) 

姫「うぅぅ……!!うぅぅ……お父様ぁ……!!!」 

勇者「姫様、逃げましょう。ここに居てはいずれ魔物に―――」 

キマイラ「―――手遅れだな」 

勇者「……?!」 

姫「ひぃ?!」 

キマイラ「ドラゴン様を誑かせたな……ニンゲンの分際で……」 

勇者「大人しく尻尾を巻いて帰ればいいものを……!!」 

キマイラ「手土産の一つもなく魔王様のところへは戻れないのでな」 




854:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 21:07:57.22 ID:hpeqfj4Jo
キマイラ「こい!!」グイッ 

姫「いやぁぁ!!!」 

勇者「貴様!!!姫様に触れるな!!」 

キマイラ「取引だ」 

勇者「なに?」 

キマイラ「ドラゴン様と貴様の命を差し出せ。そうすればこのニンゲンの命だけは助けてやろう」 

勇者「……」 

姫「ゆ、勇者さま……わ、わたしのことは……!!」 

勇者「なら、さっさと俺を殺せ」 

キマイラ「お前、このニンゲンのために死ぬのか?」 

勇者「勿論だ。その人は俺にとって大事な人だからな」 

姫「勇者さま!!!」 

キマイラ「なーっはっはっはっはっは!!!いいだろう!!ならば、死ね!!」 

勇者「……」 

姫「やめてください!!勇者さまぁ!!!」 




855:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 21:14:52.06 ID:hpeqfj4Jo
キマイラ「はぁー!!!」 

姫「ゆうしゃさまぁぁぁぁ!!!!」 

勇者「……っ」 

ドラゴン「―――ドラゴンキック!!!」ドゴォ 

キマイラ「ごほぉ!?」 

勇者「ナイスタイミングだ!!」 

ドラゴン「だろ?少し物陰から様子を伺っていたからな」 

勇者「なんて勝手なやつだ。側室度を6ポイント下げておくか」 

姫「ド、ドラゴンまで……もう……だめ―――」ガクッ 

ドラゴン「どうした?おい」 

勇者「気絶したようだ。……姫様は少し寝ていたほうがいいかもしれないな」 

ドラゴン「怪我人の手当ては順調だ。侵攻してきた魔物たちは撤退を始めている」 

勇者「じゃあ、あとは……そこの珍獣だけか」 

キマイラ「くっ……ドラゴンさま……!!」 

ドラゴン「敬称はよせ。俺はお前の敵だ」 




856:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 21:23:20.59 ID:hpeqfj4Jo
キマイラ「魔王様の側近でもあるあなたが……」 

ドラゴン「魔王様にとっては側近も足軽も同じ駒だ。捨てるときは捨てる。俺はそんな指揮官の下では戦えない」 

キマイラ「世迷いごとを……魔王様の決断で一体どれだけの戦果があったか……わかっていないのか?!」 

ドラゴン「なんとでも言うがいい。俺はもうお前たちと勝利の美酒に酔うことはない」 

キマイラ「……」 

勇者「魔王に伝えろ。お前の恐れる最悪の事態が起こったとな」 

キマイラ「ニンゲンに味方する者は敵だ……!!」 

ドラゴン「だから、そういっているだろう」 

キマイラ「必ず……葬ってやる……!!」 

勇者「帰る時は海上からの砲撃に気をつけろよ」 

キマイラ「殺す!!殺してやる……!!ニンゲンがぁ!!!」 

ドラゴン「早く行け」 

キマイラ「ちっ―――」ダダダッ 

ドラゴン「まさか、魔物も王族専用の避難路を知っていたとはな」 

勇者「もっと早く到着できていれば……こんなことには……」 




858:NIPPERがお送りします:2012/06/24(日) 21:51:26.20 ID:hpeqfj4Jo
―――城内 医務室 

兵士長「そうですか……王は……姫様を守る為に……」 

勇者「はい。立派なお姿でした」 

兵士長「勇者殿に看取られて、王も嬉しかったと思います」 

勇者「……」 

魔法使い「姫様は?」 

僧侶「外傷は殆どありませんでした。ですが、姫様の心労のほうが不安です……」 

勇者「弁明の余地などないですね。僕が……迅速にここへ着けていれば問題はなかったのに」 

少女「あ、あれが全速力だったんだ。俺はがんばって空を飛んだぞ」 

エルフ「誰の所為でもないよ……。いや……もしかしたら……」 

勇者「人間にも問題はありますよ」 

エルフ「そう……」 

少女「ここでの用は済んだな。すぐに戻るか?」 

勇者「いえ、休憩してから戻りましょう。皆さんも多くの怪我人を看て疲れているでしょう?」 

僧侶「そ、そうですね……時間はあまりないですけど、できるだけ体調は整えたほうがいいですから」 




876:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 00:29:37.07 ID:hpeqfj4Jo
―――夜 

「生き残りは?」 

「こちらの部隊は10名ほどしか」 

「分かった。できるだけ守衛に回してくれ」 

「了解」 

僧侶「兵士さんたち忙しそうですね」 

魔法使い「これだけ派手にやられたらね」 

エルフ「でも国民の殆どは隣国に逃げられたって聞いたよ?」 

僧侶「そうなのですか?」 

エルフ「王様が巧くしたって。でも、王まで逃げると感付かれるかもしれないから残ったみたいだね」 

僧侶「そうだったのですか」 

魔法使い「もしかして姫様もなの?」 

エルフ「だと思うよ」 

僧侶「姫様……お辛いでしょうね……」 

魔法使い「アイツも。変に自分を追い込んでなきゃいいけど……。前にも似た様なことあったし……」 




877:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 00:32:51.80 ID:hpeqfj4Jo
―――姫の自室 

勇者「失礼します」 

姫「勇者さま……」 

勇者「目が覚めたと聞きまして」 

姫「ありがとうございます」 

勇者「……」 

姫「申し訳ありません」 

勇者「え?」 

姫「お父様を救おうとしていただいたのに、満足にお礼もできないで」 

勇者「何を言いますか。貴女が無事なことが自分にとってなによりも―――」 

姫「勇者さま……」 

勇者「はい」 

姫「お父様は民を守る為に最後まで城に残っていました」 

勇者「はい。聞き及んでいます」 

姫「……それは失策だと思いますか?」 




878:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 00:37:56.49 ID:hpeqfj4Jo
勇者「いいえ。思いません。王の判断は的確でした」 

姫「私は違うと思います」 

勇者「姫様……」 

姫「確かに民を守ることが王族としての責務だと思います。けれど、それは果たして命をかけるまでのことでしょうか?」 

勇者「姫様、なんてことを……」 

姫「私は最後まで城に残りたくはありませんでした。でも、お父様に残れと……言われて……」 

勇者「……」 

姫「私は……民のために……赤の他人のために命を差し出すことができませんでした……」 

勇者「姫様、それは……当然のことです」 

姫「違います!!」 

勇者「……」 

姫「私は王族……保身を第一に考えてしまうなんて……私は自分が恐ろしいです……」 

勇者「……自分も同じです」 

姫「え……?」 

勇者「自分も勇者の身でありながら他人のために命を投げ出すことには躊躇しますよ?」 




879:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 00:43:57.19 ID:hpeqfj4Jo
姫「そんなの嘘です!!だって、勇者さまは私のために命を―――」 

勇者「それはそれだけ貴女のことが大切だからです」 

姫「勇者さま……」 

勇者「自分の命よりも大事なものが目の前で崩れそうになっているなら、なんとしても守ろうとします」 

姫「あ……の……」 

勇者「私の命で貴女が生き長らえることができるなら、安いものですよ」 

姫「あ、ありがとうございます……」 

勇者「無論、貴女だけが命よりも大事というわけではありませんが」 

姫「……」 

勇者「姫様?」 

姫「勇者さま……」 

勇者「なんですか?」 

姫「こんな私でよければ……娶ってもらえませんか?」 

勇者「え……いや……」 

姫「今、分かりました……きっと勇者さまこそ、国を統べるお方なのだと……」 




880:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 00:48:26.68 ID:hpeqfj4Jo
勇者「姫様……あの……」 

姫「ダメですか?」 

勇者「待ってください。結婚の約束は既に済ませているはず。何も今更……」 

姫「本当に私と婚姻を?」 

勇者「側室としてですけど」 

姫「側室……」 

勇者「はい」 

姫「……」 

勇者「私は残念ながら貴女を正妻に迎えるつもりは―――」 

姫「わかりました」 

勇者「え?」 

姫「でも、政治的なことになりますが、私が側室であることは公表できません。よろしいですか?」 

勇者「あの……え?」 

姫「勇者さまと添い遂げることができるなら私は側室であろうと構いません。王族も抜けましょう」 

勇者「まさか……姫様……僕に……」 




881:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 00:54:41.38 ID:hpeqfj4Jo
姫「玉座に誰も座らないのは、国として終わりですから」 

勇者「僕に王になれと!?」 

姫「私ではお父様を継ぐ事はできません。だから、勇者さまに……」 

勇者「ま、待ってください!!それは……!!」 

姫「大役なのは分かっています。ですが、私を側室として迎えいれるのでしたら……」 

勇者「まあ、あの……王族の方がいなくなりますものね」 

姫「はい。側室の王になど、民はついてきませんから」 

勇者「……」 

姫「勇者さま……」 

勇者「か、考えさせてください」 

姫「分かりました」 

勇者「確かに王からは貴女のことを頼むとも言われましたが……」 

姫「不束者ですが、よろしくお願いします」 

勇者「いや……」 

姫「ところで側室とはどのようなことをすればよろしいのですか?何分、勉強不足でして……窓拭き?」 




882:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 01:00:52.44 ID:hpeqfj4Jo
―――廊下 

勇者「はぁ……」 

少女「どうした?随分と陰鬱な顔で出てきたな」 

勇者「姫様に王にならないかといわれのです」 

少女「すごいな。お前が一国の主か。見てみたい気もする」 

勇者「いや、側室をいっぱい作るなら王族になったほうが好都合といえば好都合ではあるけど」 

少女「……」 

勇者「んー」 

少女「おい」 

勇者「なんです?」 

少女「ただ責任を感じて、あの姫に同情しているだけなら断ったほうがいい」 

勇者「同情では……」 

少女「お前に民を導く才能があるかどうかは俺にはわからない。だが、それだけの理由で王の座に着くと後悔するぞ?」 

勇者「分かっています」 

少女「気負うな。まだ、これからが本番なのだからな」 




883:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 01:04:29.72 ID:hpeqfj4Jo
勇者「……」 

少女「じゃあな」 

勇者「待ってください」 

少女「なんだ?」 

勇者「ありがとうございます」 

少女「か、勘違いするな。俺はお前がしゃきっとしないと……色々困るだけだ」 

勇者「ちょっと付き合ってもらえませんか?」 

少女「どこに連れ出す気だ?」 

勇者「貴女とは二人きりで談話をしてみたいと思っていたところです」 

少女「……」 

勇者「ふふ……」ジリジリ 

少女「よ、よるな……ケダモノが」ジリジリ 

勇者「ドラゴンの貴女に言われたくないですね」 

少女「それもそうか」 

勇者「さあ、夜のデートと行きましょうか」 




884:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 01:05:33.57 ID:hpeqfj4Jo
>>883 
少女「どこに連れ出そう気だ?」 
↓ 
少女「どこに連れ出す気だ?」 




885:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 01:09:43.79 ID:hpeqfj4Jo
―――中庭 

少女「ここは……」 

勇者「ここが無事でよかった」 

少女「なんでこの場所に来た?」 

勇者「ここ、いいところでしょう?」 

少女「ま、まあな」 

勇者「今ならドラゴンに戻っても騒ぎにはなりませんよ?この場所は大丈夫です」 

少女「馬鹿言うな。この姿でなければパニックになるだろうが」 

勇者「嫌なんでしょう?」 

少女「お前……」 

勇者「もう割り切ったみたいな態度でいますけど、本当は人間の姿になんかなりたくないんですよね?」 

少女「余計なお世話だ」 

勇者「僕らでいうなら足を骨折して不自由になったみたいな感じでしょう?」 

少女「よくわからんが」 

勇者「ほらほら、ここなら大丈夫ですって」 




886:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 01:16:05.54 ID:hpeqfj4Jo
ドラゴン「―――ふぅ」 

勇者「星が綺麗ですね。―――君が変身する女の子の姿が一番綺麗だけどね」 

少女「……そうか」 

勇者「ああ、嘘です。ドラゴンの姿も十二分に魅力的です」 

ドラゴン「……」 

勇者「この尻尾が特にかっこいいですよねー」モミモミ 

ドラゴン「で、なんの話だ?」 

勇者「魔王は今、どこに?」 

ドラゴン「恐らく、孤島にある城にいるだろう。そこで魔法銃の対策、そして俺への対抗策を練っている」 

勇者「ずっと疑問だったことがある」 

ドラゴン「なんだ?」 

勇者「魔王はどうしてそこまで用心深いのか……」 

ドラゴン「……」 

勇者「たかが人間に対して、前線にも出てこず、全ては部下任せ。何かあるのか?」 

ドラゴン「……魔法銃が全ての原因だ」 




887:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 01:29:34.83 ID:hpeqfj4Jo
勇者「魔法銃が?」 

ドラゴン「魔法銃により魔王様は重症を負った」 

勇者「みたいだな」 

ドラゴン「魔法様はそれまでニンゲンという下等生物など害虫同然だと思っていた。なのに、その害虫に深手を負わされた」 

勇者「もしかして……その一敗で魔王は慎重派に?」 

ドラゴン「絶対の勝利に拘り始めたのは間違いなく、その敗戦が原因だろう」 

勇者「数百年前の敗戦は魔王にとってよほどショックだったのか」 

ドラゴン「そうでなくても魔王様の力は衰え始めていたからな。自身の老いを目の当たりにしてしまったのかもしれない」 

勇者「なに……?」 

ドラゴン「古代においては神と魔族の戦いもあり、常に次代の魔王様が用意されていたみたいだが……」 

勇者「ここ何千年は住み分けがきちんとでき、不文律があった」 

ドラゴン「ああ。故に魔王様の交代もなかった。急に起こった戦争のために次の魔王様はいなかった」 

ドラゴン「平和ボケしていたと言われればそれまでだがな」 

勇者「この数百年の間に次代を担う魔王は現れなかったのか?」 

ドラゴン「候補はいた。だが、魔王になるまでには至らない者たちばかりだ。何千年も戦ってこなければ当然だな」 




888:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 01:45:15.02 ID:hpeqfj4Jo
勇者「もしかして、貴女も候補?」 

ドラゴン「どうだったかな。とにかく魔族は過去の力を取り戻しつつある」 

勇者「それはキラちゃんのあれ?」 

ドラゴン「その通りだ。あの魔道士が開発した生命エネルギーの抽出が役に立っている」 

勇者「国民を皆殺しにするのは、そのエネルギーを手っ取り早く回収するためか」 

ドラゴン「いや、あの人形は相手を殺すことでエネルギーを吸収していたが、俺たちにはそういうことはできない」 

勇者「じゃあ、拉致か?」 

ドラゴン「植民地化していた土地でニンゲンを生かしていた。今はもう崩壊してしまったが」 

勇者「まさか!!あの魔道士!!」 

ドラゴン「そう。あの魔道士の役目はニンゲンを集めることにある。集めたニンゲンの8割は魔王様の下に送られていた」 

勇者「なら、どうして装置を持って攻めてこない?」 

ドラゴン「エネルギーを吸い上げる装置は持ち運べず、また破壊されては事だ。それができるなら魔道士もやっていただろう」 

勇者「一気に大人数を捕らえることはしなかったのか?」 

ドラゴン「それは魔道士の仕事だった。魔王様はニンゲンと小競り合いを続けて、魔道士のことをニンゲンに気づかせないようにしていただけだからな」 

勇者「戦争をやっていれば人身売買や拉致はあまり注目されないからな。戦争を魔族復古のためのカモフラージュにしていたのか」 




889:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 01:58:39.91 ID:hpeqfj4Jo
ドラゴン「そういうことになる」 

勇者「なるほど……。過去の勇者たちもそのことに気づいていれば……」 

ドラゴン「もしかしたら、魔王様は倒されていたかもしれないな」 

勇者「部下を簡単に切り捨て、自分だけが生き残る戦いをするのはそういう理由もあったわけだ」 

ドラゴン「魔王様が前線に出てきたとき、それは全てが完了したということだろう」 

勇者「だが、今は人間を集める術は……」 

ドラゴン「魔道士がいなくなったことは報告済みだ。そろそろ代替案を実行してくる可能性もある」 

勇者「代替案?」 

ドラゴン「海には大勢のニンゲンが浮いている」 

勇者「海賊艦隊を狙うのか」 

ドラゴン「一人残らず生け捕りにすることはできなくても、あれだけの規模だ。2割も捕らえる事が出来れば相当な栄養素になる」 

勇者「魔王が今まで海賊に手出ししなかったのは……」 

ドラゴン「海賊が帰還せずとも海で散ったとしか思わないだろう。拉致して戦力に変えるなど想像すらしないはずだ」 

勇者「なら、早く戻らないといけないか」 

ドラゴン「焦る必要はない。あれだけの数を捌くのは、それなりの日数がかかる」 




890:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 02:03:12.18 ID:hpeqfj4Jo
勇者「そうだな……。キャプテンたちも弱くないわけだし」 

ドラゴン「お前が勝てなくても誰も責めはしない。心配するな」 

勇者「負ければ誰も側室にできないだろう?それはちょっとなぁ」 

ドラゴン「言っていろ」 

勇者「……」 

少女「―――そろそろ戻る。寝坊するなよ?」 

勇者「分かりました。ありがとうございます。愛してますよー」 

少女「黙れ。軟派者めが」 

勇者「えへへ」 

少女「褒めてないっ!!」 

勇者「おやすみなさい」 

少女「ふんっ」スタスタ 

勇者「……ふぅ……」 

勇者「力を取り戻しているとすれば……」 

勇者「よし……」 




891:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 02:07:56.86 ID:hpeqfj4Jo
―――姫の自室 

勇者「よろしいですか?」 

姫「どうぞ」 

勇者「姫様。夜分遅くに申し訳ありません」 

姫「いえ」 

勇者「姫様。先ほどの問いに対する答えを出しにきました」 

姫「なんでしょうか?」 

勇者「約束はできません」 

姫「……」 

勇者「僕は貴女を側室にしたい。心からしたい。もう今すぐにでもしたいぐらいです」 

姫「勇者さま……」 

勇者「でも、王になる約束だけはできません」 

姫「どうしてですか?」 

勇者「僕はただの平民です。王の器ではありません。勇者というのも称号に過ぎません。だから、王にはなれないと思うのです」 

姫「でも、私を側室にするというのなら……」 




892:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 02:13:26.38 ID:hpeqfj4Jo
勇者「姫様を側室にしたい。でも、王にはなりたくない。―――それって身勝手ですか?」 

姫「はい」 

勇者「ふふ……ですよね」 

姫「しかし、私に勇者さまを批判するだけの資格はありません。私もまた身勝手な姫だったのですから」 

勇者「……」 

姫「国民のために……国のために……そういう心構えができません」 

姫「可愛い服を着たい。友人とお茶を飲みながら話したい。殿方と恋がしたい」 

勇者「姫様……」 

姫「そういう想いのほうが強いのです」 

勇者「そうですか」 

姫「最低な王族ですね……私は……」 

勇者「嫌ならやめてしまいしょう」 

姫「……へ?」 

勇者「王族を捨てると言ったではないですか」 

姫「そ、それは……勇者さまが王としてこの国を支えてくれるならという意味で……」オロオロ 




893:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 02:19:11.09 ID:hpeqfj4Jo
勇者「僕は魔王を倒し、世界の英雄となります。そのときまでに決めておいてもらえますか?」 

姫「な、なにをですか?」 

勇者「僕の側室になるか。それとも王族として生きるか」 

姫「……!」 

勇者「でも、答えは分かりきっていますが」 

姫「勇者さま……」 

勇者「姫様。次に会うときは大英雄ですからね」 

姫「あ……」 

勇者「では、おやすみなさい」 

姫「勇者さま!!」タタタッ 

勇者「え―――」 

姫「もう行ってしまうのですね……」ギュッ 

勇者「姫様……」 

姫「戻ってきてとはいいません。ですが……私は貴方のことを愛しています……それだけは覚えていてください……」 

勇者「ありがとうございます……姫様……」 




895:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 02:26:22.53 ID:hpeqfj4Jo
姫「勇者さま……今夜は……ここで……」 

勇者「姫様」バッ 

姫「そう……ですか……」 

勇者「次に会うときまで生きていてください。姫様を必ず側室にしてみせます」 

姫「……では、勇者さまが戻ってくるまで私はこの国と生きていきます」 

勇者「ええ。それがいいでしょう。―――それでは」 

姫「勇者さま!!」 

勇者「……」 

姫「……」 

勇者「行ってまいります」 

姫「旅の無事を祈っています」 

勇者「この上ない誉れです」 

姫「行って……らっしゃいませ……」 

勇者「貴女は素晴らしい女性だ。誰が手放すものですか」ニヤッ 

姫「……うそつき……」 




896:NIPPERがお送りします:2012/06/28(木) 02:30:52.61 ID:hpeqfj4Jo
―――廊下 

勇者「……」 

少女「あ、いたいた」 

勇者「くそっ!!!」ガンッ 

少女「ど、どうした?」 

勇者「え?いや……ちょっとかっこつけすぎたと思いまして」 

少女「ほう?断ったのか」 

勇者「僕はあの王様のようにはなれないと思います」 

少女「どうしてだ?」 

勇者「王が国にいる全ての美女を側室にしちゃまずいでしょ?」 

少女「ああ、そうだな」 

勇者「というわけで、魅力的なお誘いでしたがやめておきます。―――で、貴女はこんなところでなにを?」 

少女「寝室が分からない。案内してくれ」 

勇者「……じゃあ、こっちです。楽しみましょう」グイッ 

少女「やめろ!!貴様!!違う場所に連れ込む気だろうが?!」 

 

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