※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

~~とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)~~6ターン目『休息(おこ と てんなみず と しょうねん)』


「ふむ。コンビニのおにぎりと言えど、侮れんものだな」
「ねー。それに、やっぱり、みんなで食べるご飯は美味しいよ」
「…………」

「ど、どうしたの? 緒子? 梅干、嫌いだった?」
「む、ならば私のたらこと交換するか? 遠慮はいらんぞ、紫ノ宮嬢」
「……ですの」

「……??」
「……??」
「……何なんですの、この状況」

===============================

~~とあるお嬢の中指直立(とあるおじょうのファックですわよ)~~

6ターン目『休息(おこ と てんなみず と しょうねん)』

===============================

「ふむ。状況把握は大事だ。流石は紫ノ宮嬢」
「緒子は流石だね」
「私と君。 ここの戦闘で勝ち残ったのは二人。だが、私は君とは戦いたくなかったのでね」
「緒子、格好よかったよ」
「すでに時刻は昼を回っていたのでね。こうしてご同席させていただいている訳だ」
「やっぱり、ご飯はみんなで食べた方が美味しいもんね」
「その通り。やはり食事は、誰かと取った方が美味しい。君は良く分かっているな」
「えへへ……」

もう、なんだか、考えるのがバカらしくなってきた。
というか、いつの間に仲良くなったんだお前ら。
思考を放棄し、おにぎりを剥く。
美味しい。

「…………何ですの? 人の顔をジロジロ見て。 マナーがなってませんわよ?」
「いや、失敬。つい、ね」
「うん。やっぱり緒子は、笑ってる方が可愛いなって」

===============================

コクリ、とお茶を一口。
暖かく香り高い液体が、乾いた喉を潤してくれる。
深い息と同時に、感情の波まで吐き出しているかのようだ。
一息付くとはこう言う事であろうか。
とても時間が安らかに感じられる。
だから。
だから、今まで見た事の無い天奈瑞の真剣な面持ちには、酷く驚かされた。

「つかぬことを聞くが……。君は追われているんだね?」

おにぎりを持つ少年の手が、一瞬、しかし確かに強張る。

「……何でそれを?」

「……私はサイコメトリー能力者でね。素手で触れたモノの記憶を読み取れることが出来る」
「普段はこの革の手袋で遮断しているのだが、おにぎりを食べるにはいささか邪魔だったものでね。……いや、言い訳にしかならないな。君の記憶を除き見たことには違いない」

「そっか……。うん、僕は、追われる身なんだ」
何故だろう。
胸がチクリと痛む。

「……不礼の侘び代わりでは無いが。私が君を守ろう」
「あはは。ありがとう。天奈会長」
何故なんだろう。
胸がチクリチクリと痛む。

「……でも、僕は――――」
「――――緒子に守ってもらいたい」

どうしてなんだろう。
胸が。
胸が、こんなにも湧き立っている。

「ダメ……かな?」
捨てられた子犬のような目で。
少年が覗きこんでくるものだから。

「……えーえー。分かりましたわ。貴方のことは、私が守ってさしあげますわ」

そんなぶっきらぼうな返事しか返せなくて。

「ありがとう! 緒子、大好きだよ♪」
「……はいはい。私も、大好きですわよー」
「うわっ、テキトーな返事」

そんな風にしか返せなくて。

「ふふふ。振られてしまったかな。それでは、私は紫ノ宮嬢を守るとしよう」
「期待してますわー。生徒会長さん」
「ああ! 任せていたまえ!」

そんな束の間の休息が楽しくて。

緒子は。
緒子は、自然と笑顔が零れた。

「ふふふ。うん。やっぱり緒子は、笑ってる方が可愛いな」
「ありがと……ですわ」

「ねえ、緒子」
「何ですの?」

「また、こうやって、みんなでおにぎりを食べようね」
「……そうですわね。それもいいですわ」
「うん!約束だよ!」
「ええ。約束……ですわ」


緒子と天奈瑞と少年。
束の間の休息は、ゆっくりと流れていった。

――――その小さな約束は、緒子の胸に確かな軌跡を残して