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天文学会の混乱


「どういうことだ……! ついに天王星まで消えただと!?」

天文学会は騒然としていた。
天王星が忽然と公転軌道上から姿を消したのだ。
他にもここ最近で火星、木星、冥王星が宇宙から姿を消すという謎の事態が発生していた。
海王星、金星も一時消えたが、やがて元の位置に戻っていたので大事には至らなかった。
しかし火星と木星、冥王星の消失による影響は計り知れない。単純に3つの惑星に対する研究が全て無に帰したというだけでなく、他の惑星の公転軌道に影響する恐れもある。
それらの天体が消失した時期とほぼ同時期に、魔人の巣窟といわれる希望崎学園の魔人闘争「ハルマゲドン」の参加者名簿にそれぞれの天体らしき名前が刻まれていた。果たして何か関係があるのだろうか……? その真偽の程は現在鋭意調査中である。
 天文学会が混乱している最中、ある一つの情報が舞い込んできた。

「世界格闘大会に、天王星と名乗る者が参加する模様です!」
「なんだと!?」
「こちらがその人物を撮影した映像になります」
スクリーンに数々の研究者の視線が集まる。
一体どんな人物、または生物なのか。
皆が固唾を飲んで見守る中映ったのは――――

『うーん……新やさすい……うーん……』

道端で寝ているパジャマの少女だった。
なにやらうなされているようである。

一同は唖然とした。
それもそうだろう。天体を名乗る者がこうもだらしない姿を見せているのだ。

「この者は単に天王星の名を名乗っているだけだろう! 関係ないはずだ!」
「そもそも天体が人間になるなんて前代未聞だ!」
「道端で寝るなんて、なんて汚らしい少女だ」
「かわいい!」
「『新やさすい』……? 『shinyasasui』……? 何かのキーワードなのだろうか。調べる必要があるな!」
「これは盗撮じゃないのか!? バレたらどうなると思ってるんだ!そうだ、私が大事にほかn……適切に処分しよう!買い取らせてくれ!」

思い思いの言葉が激しく飛び交う。
その場で喧々諤々議論を交わし始める者も居て、収集がつかない事態になり始めていた。尚、この中に後に旧やさすいの魅力に取り憑かれ、新やさすいに絶望することになる者がいたのだがそれはまた別の話である。

意見としては、主に天王星と映像の少女の関連性に否定的な者が多い。
天文学会での認識どころか、一般常識として天体が人間の姿になることなど有り得ないのだ。
しかし、映像を掲示した男はそれに異を唱え、他の証拠を掲示した。

「彼女が必殺技を使っている様子を見て欲しい。ウラヌスタックルという非常に安易な名前の技だが威力、速さ共に申し分ない。」

スクリーンに次の映像が映される。
第一日目の試合の様子だ。天王星と名乗る選手は相手選手をタックルで一発KOにしていた。
その重量感あるタックルに感嘆の声がいくつかあがった。

「確かにこの技は凄いと思うが、これがどうして天王星とこの娘が関係あるという証拠になるのだ?」
「お手元の資料をご覧下さい。世界格闘大会の選手紹介パンフレットの一部をコピーしたものがあります。『ウラヌスタックル』の説明にこう書いてあります。“天体としての質量の一部を解放し体当たりする”と。彼女は小柄で、先程見せた重いタックルは実現不可能と思われます。つまり、本当に天体と関係ある――いや、天体そのものではないでしょうか。」

否定意見を述べていた者も黙り、場が静まった。
皆、果たしてそのようなことがあり得るだろうかと黙考しているようだ。

「これで信じてもらえるとは思いません。もしかしたらその手の魔人ということもあります。ですが、私は彼女が天王星だと信じています。気になった方、信じてくれるという方、協力してください。彼女を調査してその正体を突き止めましょう!」

こうして、天文学会の緊急会合は締めくくられた。

◇◇◇

「うーん? なんだか最近人の視線を感じるー。世界格闘大会の選手として注目され始めたのかな? ふふーん♪」

【END】