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I’m loser


私、天王星は三日目の試合で負けた。

初撃は発勁でガードを物ともせずぶち当てた。
2度目の攻防ではまず、強めの打撃を食らった。
そこで血が登ってしまったのか、「短気決着」という言葉が脳裏に浮かんだ。
ちまちま削っているようではキリがない。余計な痛みも負いたくない。早く。速く。疾く。相手をぶちのめしてしまおう。

故に一撃必殺のタックルをかまそうと思い――――それが勝敗の分け目となった。

少しでも疲れていたらウラヌスタックルは使えない。
そんなことは分かっていたはずなのに。
それからは必殺技を食らい、カウンターを食らい、攻撃を受ける度に服は千切れ――――。
些細な抵抗など意味を為さなかった。

そして。

「――かはっ……げほっごほっ……!」

全裸に剥かれ、体中の怪我という怪我から血が滴り、ついには吐血した。
アスファルトに四つん這いになり、喉に絡まる血の塊を吐き出す。

「っ……はぁ……はぁ……」

呼吸が荒い。血を大量に失ったせいか寒気を感じる。
相手の姿は既に見当たらない。勝ちを確信して去ったのだろう。
まずは身体を休めようと、その場で横たわる。

「あーあ……負けちゃったかぁ」

ここはTV局前。
つまり、人通りの多い中で一糸纏わぬ状態なのだが、そんなことを気にしている余裕はない。

「全試合TV中継されてるんだっけ? 今日は確か……冥王星ちゃんバイト休みだったかな。あはは……やだなぁ。こんなみっともない所見られちゃった。」

敗北という二文字が重くのしかかってきて。
初めての敗北は予想以上に胸を締め付けてきて。
負けて地面に横たわっている惨めな自分が辛くて。
羞恥心よりも悔しさの方が勝ったから。

「まぁ……私の油断ってのも大きいんだろうなぁ」

初撃でウラヌスタックルを出さなかったこと。
勝ちを取りに焦ったこと。
敗因はいくらでも挙げられるだろう。相手が強かったから、なんて言い訳はしない。
自分は惑星。だからいくら人間の姿になったとしても所詮惑星に住み着くことでしか生きられない人間に負けることはない――決して表には出さないが心の奥底にあった傲慢さや人間に対する軽視。それが裏目に出たのが今回の試合結果だろう。
重く、強く受け止め無くてはならない。

「あぁ……痛いなぁ。まったく、やってくれたなぁ。もー。ちくしょー。」

口調こそ軽いが、心の奥底では煮えたぎっていた。
負けず嫌いな性格に火がつく。
まだやれる。まだ戦える。この位の傷、大したことない。
自分を鼓舞することでなんとか活気が湧いてきた。

「明日こそは……絶対に勝つんだからね。」

ぎり、と強く。歯が欠けそうな程に強く。奥歯を噛み締めた。

【END】