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『Treasure Shooter Ⅲ』


 「──────────勝負あり!」
 美闘士たちの華々しい闘いに決着がつく。
 麗しき花々に優劣を付けるなど愚行ここに極まれり、との声もあるだろう。
 しかし人々は決して抑える事が出来ない。
 誰が最も強く、そして美しいのかを知りたいと願う気持ちを。欲望を。
 「ほい、OK、と」
 選手同士の闘いをハンディカメラで捉え、臨場感溢れる動画を配信する。目前で闘いを目にする観衆に負けず劣らぬ熱い興奮が、ネットを介して全世界へ届く。モニターの向こう側の視聴者に届けられるのは、ひとえに彼女──────────映明裏(あきら・めいり)の働きによるものだった。その証拠に彼女が撮影した試合は同種のものと比べても群を抜いて再生数が多い。
 大会も三日目を終え、いよいよ佳境に差し掛かる。その日の仕事を終えた明裏へ連絡が入ったのはそんなときだった。
 「賞品の捜索?」
 運営本部からの知らせ。それは確保していた賞品の少年が逃亡したというものだった。当然、表には出せない情報である。一般に知られてしまえば大混乱間違いなしだろう。
 「いいけど、撮影が本業なもんで、探偵ほど人探しは上手くないよ?」
 それでも、隠された事実を暴き出し真実を見つけ出すのが報道で糊口する者の務めでも有る。
 「一つ聞いておきたいんだけど、その仕事…………現場判断はこっち任せ、って事で良いんだよね?」
 いちいち運営の判断を仰いでいると、急を要する事態に対応できない。それを理由に明裏は運営から独自裁量権を引き出す事に成功する。本当の理由は、腕は確かなのに特定の会社に所属せずにフリーで通している事からも分かる通り、他人にあれこれ指図されるのが嫌いでその場その場のノリでやっていきたい彼女の性格ゆえであったが。
 「オッケー、任せといて。撮影もきっちりやるし、捜索もね。それと、追加報酬も忘れないでよ?」
 兎にも角にも、お墨付きさえもらってしまえばこっちのもの。明裏はかねてから抱いていた野望と情熱を静かに燃やし始める。
 激しくぶつかり合う美女と美女の闘い。
 望遠レンズでは遠すぎる。
 リングサイドからでもまだ遠い。
 取り囲んだ人垣からでも、まだ足りない。
 最もエキサイティングな動画、最高の特等席とは。
 その答えは明確にして、たった一つだった。

                                                   <了>