なんかァ~巻物読んだらァ~○ったんですよォ~


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「もうマジ無理、あり得ない、死んじゃうよ」
小柄も小柄、儚く華奢で、透き通る薄い二枚羽でも空高く飛んでいけそうな姿。
せっかくの白い肌にまぶされた白粉と傷んだ茶色い髪が、その幻想的容姿に泥を塗りたくっていた。

「なんてゆーのこれ、やばくない?マジやばくない?」
見かけと裏腹に貧困な語彙は知能指数の低さを顕にしていた。
まあ、実際やばい……と言える状況なのだが、もう少し言いようがあるだろう。

「アルディラ、どうすればいいの……」
それでも絶望し、草原でおいおいと泣き出す姿はやはり幻想的であった。
妖精と呼ばれる種族、彼女たちは重い武器は持てず、魔法を得意としていた。
しかしアルディラに魔法の心得はない。
本を読むのを好まず、適当に歌って遊んで暮らしてきた。
気が向いた時に畑を整備し、育った作物を売りさばく、そんな緩やかな生き方。
たまに強力なモンスターに襲われれば、ペットを盾にして全力で逃げてきた。
それでもダメな時はパンティーを投げた、相手は狂喜、いや狂気に飲まれて発狂する。

他の冒険者も発狂させられるならあるいは、なんて彼女の一縷の望みは先ほど支給品を確認した際打ち砕かれた。
お気に入りのパンティーなどなく、あるのは嫌いな読み物と杖と巻物だけ。
杖なんて回数制限覚えるのが面倒だし、巻物も解呪の巻物くらいしか使ったことがない。
「うううーーでも、でもでも、これ使わないとアルディラ死んじゃう……」
調べる前からげっそりするほど彼女の学習意欲は低いのだ。
好き嫌いをなくすかハーブをたくさん食べた方がいいだろう。

「う……ううん……サモンモンスターの杖……いらねええ」
じいと見つめた杖はサモンモンスターの杖。
モンスターを呼び出すだけの杖である。
別に呼んだモンスターは味方じゃない、それどころか自分にだって襲いかかる。

そして、もう一つの巻物。
「あれ、アルディラ、これは知ってる」
でもこんなとこで、本当にこれは役に立つのか?
なんのために……と彼女のすっからかんな頭を回す。
物理的に、くるくる回す。
からんからんと鈴の音が聞こえたのはきっと気のせいだ。

「やば……これ、使えたら、超スゴイ……か、も」
天啓、手の中の杖と、巻物と、本。

「アルディラわかんない、どうしたらいいかわかんない」
だから、と巻物を広げ、彼女は声高にそれを読み上げる。


それは、魔法めいた力で『建』った。

街一つと比べても見劣りしない、建物。
権利書、と呼ばれる巻物は、ティリスの大地で読み上げるだけで、その場所に建物を打ち建てる。
理屈についての解説は此処では避けておく、そういうものだと思っていればイイ。

この箱庭でも効力は変わらず、アルディラの前に小城は現れた。
小躍りするアルディラは早速箱庭の我が家に飛び込む。
ダンジョン運営マニュアル片手にハウスボードを弄り、壁を創りだし、迷路を作る。
その最深、最も安全な部屋にハウスボードとともに居座り、満足気に鼻息をふんすと出した。

「名付けて……風雲アルディラ城!!ここにいればアルディラは絶対安心安全!!!」

入口付近に放たれたモンスターたちが呼応するように雄叫びを上げる。
彼女お手製のダンジョン、城塞、誰にも知られずそびえ立った施設。






実は、アルディラ以外にその爆誕の瞬間を見ていたものが一人居た。


「ぱねえ!マジぱねえ!!なんてゆーか激ぱねえわ!」
アルディラに負けず劣らず語彙が貧困で頭が悪そうな青年。
褐色の肌に金髪…………のかたつむり。
冗談かよと言う色合いと乗っけたカツラ、見世物小屋の生き物だってもう少しマシなセンスを持っている。

「やべーこれ、やべー、俺もおじゃまさせてもらお」
するりと、アルディラが入ったすぐあとに滑り込んで、こっそり安全な場所を探す。
モンスターが放たれるより前にこの建物のなかに入れたのが彼の幸運であっただろう。





「……グロッグさんたら、まよっちんぐ」

どん詰まりで、かたつむりの青年、グロッグは文字通り行き詰まった。

「ま、いっかあ!!」

愚者が作り愚者が忍び込んだ悪質な城が何をもたらすのか、それは、どんな賢者でも予測はできなかった。




【I-2/南部/一日目・朝】



【アルディラ@妖精】
【職業:農家】
【技能・スキル:栽培】
【宗教:収穫のクミロミ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[所持]:基本支給品、形見の鞄)、《ダンジョン運営マニュアル》という題名の本。
※サモンモンスターの杖、小城の権利書は使用したため消滅しました。
[思考・状況] 基本:引きこもって安全になるのを待つ
【備考】頭の悪い妖精。でも意外と悪知恵は働く。

【グロッグ@かたつむり】
【職業:狩人】
【技能・スキル:】
【宗教:風のルルウィ】
[状態]:健康
[装備]:無し
[所持]:基本支給品、形見の鞄、遺産相続の権利書(不明支給品3アイテム) 
[思考・状況] 基本:こっそり城で安全のおこぼれにあずかる
【備考】頭の悪いかたつむり。でも意外と悪運が強い。



※I-2南部に小城が建ちました。