用語

退魔師闇奇譚における各用語の説明

あ行

アビス・ゲート(Abyss Gate)
 ドーバー海峡に出現したストーンサークル群の名称。
 ブリテンとフランスの間ではあるが、主にブリテンの「レイヴンズ・ネスト」が監視・対応にあたっている。そのため、名称は英語。
 ここは妙神岩や、ドラゴンの庭と違い活発ではないために、淫魔や妖魔、魔獣などが稀に出現する程度であり、現在の脅威度は低いと判断されている。

異能
 霊力などを用いて物理現象を捻じ曲げたり、具現化させることが可能な能力を、この世界では「異能」と呼ぶ。
 媒介を要さないもの、叢瀬 翔らの影の能力、火爪 朱恭らのパイロキネシスなどがこれに該当する。
 ただし、魔術に関しては異能発現のような発動の仕方もある。
 なお「異能」を持つもの=優れた退魔師、というわけではない。
 日本の退魔庁上層部の面々、特に朝霧 神奈などは、世界的に見てもかなりの突出した異能の持ち主である。
 異能は後天的に進化・退化することもある。特に本人の心身に影響されることが多く、マイナス面の問題が発生して進化する、などということもあるのですべてがプラスで変化するわけではない。

移動手段
 この時代における移動手段は21世紀頃に比べると、かなり進化はしている。
 しかしながら、新技術の応用はコストが高いのは当然であり、一般市民の多くは割とタイヤ車両を使っているのは相変わらずで、動力のエネルギーがかなり改良されているということが大きな違いと言えよう。
 その上で、退魔庁やC.A.A.C.E.の個人やチームなどでは、新技術を利用したホバーバイクやホバートラックなどといった、荒れ地や沼地、水源などの地形に左右されにくい移動手段を用いている。
 ただ、ホバーバイクに関してはある程度の個人行動やペアが行えるような面々しか配給されておらず、使用している面々は少ない。
 組織外での使用者もいるが、組織が維持費を負担するわけではないため、相当な財力かパトロンがいない限りは所持していないのが現状である。
 それ以外にも「転移術式」や「転移魔術」も移動手段としては存在しているが、才能などに大きく左右されるためこれを行使できる人間は非常に少なく、緊急用としての手段以外ではほぼ用いられることがない。
 その限られた行使が可能な退魔師や魔術師などは,他の能力が劣っていようがそれ専門の重要戦力として所属している。

淫魔・妖魔
 ストーンサークル群(日本においては妙神岩)が原因で、虚空より出現する魔物たちのこと。
 昔話や伝承に縁る魔物や、全く関係ないグロテスクな魔物などその種類は様々。この場合の虚空は恐らく別次元ないし、平行世界と考えられているが、その詳細は解っていない。これらは主に「日本」における話。
 形態もそれぞれで、細胞ないし細胞のような物を持つ動植物系、またはその生物に寄生することでボディを得るモノや、スライムなどの形に囚われないモノまで存在する(違法研究実験の産物など)。
「淫魔」は基本的に人間、その中でも生命力の強い女性を主に狙い、殺害の前に姦淫行為を行うため「淫魔」と呼称される。「妖魔」は淫魔よりも、より現世的な妖怪や魔物一般のことを指す。妖魔は淫魔に比べると生命力などを狙うよりも、暴虐な行動を繰り返す猛獣に近い。こちらを専門にする退魔師(巫女系)も多い。こちらの方は姦淫行為よりも暴虐行為の方が性格が強いので、その辺りで呼び分けられたりもする。
 日本では、特に東京湾に浮かぶ湾岸区近辺に出現するが、地方の主要都市圏においても、その存在と出現は多数確認されており、地方メインで退魔師をしている者も数多く居る。
 大まかに分類すると、非常に強力な個体群の特定淫魔、各種妖怪・妖怪もどき、肉塊・不定形系淫魔といった感じである。

淫魔核
「淫魔」の中心をなす細胞核、いわば淫魔における心臓や脳髄を司るような部位。
 それほど大きくない淫魔では、核と呼べるほどのサイズとして内包されておらず、退魔師に体躯共々あっさり消滅させられていることが多い。しかしながら、小型タイプの淫魔であっても、それなりの大きさの淫魔核を持つモノも当然ながらいる。
 淫魔核が大型・強固であると、概ねそれに比して淫魔の強さに繋がる(もちろん例外はある)。
 また、淫魔核には再生能力があるため、放置しておくと淫魔の体が復活する。そのため、霊的処理を施すか、破壊するかをしなければ、その淫魔を倒したことにはならない。
 その再生能力等は退魔庁にて研究対象となっており、淫魔核は捕獲重要対象でもある。人間と融合させることで、失われた肉体の一部を補うという外法もあると言われるが、真偽は定かではない。
「妖魔」においては淫魔核にあたる部分が、生物的な部位(心臓等)として存在している場合がある。
 形状は、淫魔や妖魔の体内にある際は筋肉のように柔らかさを持つが、本体と分離すると、拳大のクルミのような堅い実のような状態になることが多い。
 なお、これらは「C.A.A.C.E.」においても研究対象だが、非合法な内部組織などによる過度の研究や実験が多発したため、表向きにはすぐ破壊処分の意向に変わっている。

ウィアード・アーツ
 英語表記は「Weird Arts」。
 C.A.A.C.E.や欧州圏、アメリカなどで呼称される、日本の退魔師における「異能」と同義の言葉。
 魔術の行使はこれには含まれない。
 ただし、C.A.A.C.E.所属者には退魔庁所属者など日本国内に比べるとハイレベルのウィアード・アーツを所持しているものが多い。
 稀にアーツを二つ持つ人間が存在するが、稀有の存在であるため世界中にも数えるほどしかいない。
 C.A.A.C.E.のファセリナの養女であるユーリ・オルブライトが二つを持つ該当者ではあるが、彼女の場合は身体的に特殊なためとも言える。

エクソシスト
 C.A.A.C.E.など日本国外の欧米などで呼称される退魔師と同義の職業、エージェントという扱いが一番解りやすい。
 レイヴンズ・ネストのように国の組織に所属する者もいるが、基本的には個々人がライセンスと戦力を持ったエージェントといった形である。
 ライセンス自体はC.A.A.C.E.が発行・管理をしているが、所持するエクソシストは個人単位で動くために各地方のギルドや国外で稼ぐ者、それどころか、反抗組織に身を置く者もいる。
 もっとも、反抗組織などに所属していることが発覚した場合、S.W.E.E.P.所属者の手によって始末されることがほとんど。

エルフ病・エルフ症候群
 ある日、突然肉体などがエルフになってしまう症状。
 創話・伝承存在のエルフの力が宿り力を得ることになるのだが、発症すると人間には戻れずエルフとして過ごさなくてはならない。
 こうなってしまうと人間と違うため疎外されたり迫害を受けたりする可能性も高くなる。
 挙句、寿命まで伝承のエルフと同一化するため、200~300歳は生きるはめになってしまう。
 元凶はブリテンに存在すると言われるティターニアの顕現化がヘヴンズ・フォールの時点で発生していたため。
 エルフ同様にドワーフの王と呼ばれるアルトアイゼンの出現によって発生したドワーフ症候群も存在し、こちらは体格に関してはどう影響しているのはか不明だが、やはり寿命が通常の人間よりも長くなる。
 ただし、エルフ症候群に比べると圧倒的に発症確認例が少なく、数十年に一人レベルの単位である。
 また、面倒なことに精神が穢れた人間が、ゴブリンロードの存在によってゴブリン症候群などといった魔獣系の症状に陥ることもあり、街中で発生すると惨事になることが多い。

円卓
C.A.A.C.E.上層機構「円卓」」が正式名称。
 本来はC.A.A.C.E上層機構であり、組織の全体運営会議を行うための機関である。
 もちろん、細かい運営内容は各部署組織から挙げられてきたものであり、それらの議論・決裁をする機関である。
 席は22名分あるが、歴史を通じて全席埋まったことは一度もなく、タロットの大アルカナの暗示に近い役割や通称、戦力として認められた者が任命される。
 現在の欧州教会の代表は女性のため、「2:女教皇」の暗示の席を有している(その代わり「5:教皇」が空席)
 その大アルカナの暗示2つが代表にあたるせいで、ヴァチカンとはかなり関係が悪い(と言っても非協力的までではない)。
 「11:正義」と「20:審判」は必ず誰かが座することになっている。
 C.A.A.C.E.の正式名称は日本語で「西欧魔物対策討伐機関」であり「宗教としての組織」ではなく、あくまでも「エクソシストの統括組織」。
 メンバーは他者からは「円卓の~」ないし「アルカナの~」などと呼ばれる。
 ただし、現メンバーは「ドラゴン庭園騒乱」の影響によって、C.A.A.C.E内でもハイレベルの人員が揃っている特殊戦闘部隊の様を呈している。

欧州教会
 →C.A.A.C.E.参照

陰陽(術)
 巫術同様、霊力を素に行使する術式の一つ。
 この世界における陰陽スキルは、五行(相生・相剋)等を駆使し戦うだけでなく、オーソドックスに符術を行使するスキルの一つでもある。
 式神などで蛇を呼び出したりすることや、他の物を呼び出して戦うなども可能。
 符術との大きな違いは、符術は「あらかじめ設定された力」を行使するのに対して、陰陽は「臨機応変に符を介して力を選択」することができるという差異がある。
 八剣 篝は陰陽スキルを持っているため、その場、状況に応じて符の力を使うことができるが、水鏡 雷奈は符術スキルのみなので、あらかじめ符に刻まれた力を行使することしかできない。
 ある一定以上のファンタジー陰陽術なので、細かいツッコミは不要。

か行

鎧装
 C.A.A.C.E.上層機構「円卓」のメンバーや、欧州教会に所属するハイクラスのエクソシストが装備をすることを許されたカスタム型のアーマータイプの装備。
 基本設計はアンジェラ・ディアヴォレッサペーネロペー・トリテミウスによって行われ、C.A.A.C.E.内部ではパーツ装備の大型の機械的な生産施設がないため、外部連携企業であるCCCNO社によってワンオフの特別生産が行わていれる。
「円卓」勢の特殊武器の基本設計と製造は内部によって行われているが、マリアの中距離用ライフルのように量産品を改修して装備しているものもあるが、スーツやアーマー類は完全な委託製造。
 納品後、もちろん様々なチェックは行っているが、今のところ不具合などは確認されていない。
 設計・改修案通りに製造をしてくれるため、魔力を連動させた機構を用いており、多くの場合は本人の魔力を用いて各種の強化が一時的に行われる。
 さらに、アンジェラやペーネロペーによって設計された「円卓」用の鎧装は、納品後に若干の魔術改修され通常時は小型のペンダントとマジックワードによる展開式にするという二人ならではの改造を施し、いつどこにいても展開できるという非常に高い利便性を持つ。
 また、アンジェラ自身はCCCNO社製ではない専用のものを持っているらしいのではあるが、「あんな大仰なものは絶対に着たくない」とのこと。
 前述した「円卓」所属ではないハイクラスエクソシストは、設計者は違えど似たように展開式の鎧装を所持していることもある。

風原クリニック
 開業時かつ移転前の事業所名は「風原診療所」。
 風原 みなみが開業医として運営しているクリニック。
 内科、外科、なんでも診療しているという地味に凄い医者なのだが、いまいち知名度がない。
 それどころか、みなみは退魔師の重傷にも対応できるスキルを持っている医師なので、真山総合病院のコンパクト版が一人で行われている……のだが、近所のお医者さんぐらいの扱いしかされていない。
 以前は人通りの少ない場所にあったため、上階を住居にしていた月読 亨の誘拐事件に繋がったことで、みなみがマンションごと翔と亨の居住地を変更した形で今の場所へと移転した。
 また、その際にオフィスMYBが入居。水鏡 雷奈八剣 篝も住人となっている。
 地下は駐車場ガレージになっており、雷奈のIKAZUCHIや篝の車などがある。
 1Fが風原クリニック、2FがオフィスMYB、3Fが雷奈と篝のフロア、4Fがみなみのフロア、5Fが翔と亨のフロアとなっている。

ガジェットツール
 C.A.A.C.E.勢力圏内のV.A.M.P.S.や&ハイエンドな鎧装などに搭載されている機械補助などによる各種機能を主に指す。
 特に「円卓」の所属者の鎧装は、何かしらの機能を備えていることが多い(ファセリナのオービットやカーレーンの二重ブレードやバッテリー接続による機能など)。
 もちろん、今ではC.A.A.C.E.圏内だけではなく、日本でも草薙重工をはじめとした国内企業によりリリースが進んでいる。

上遠野七海(かどの ななみ)
 元・退魔庁対魔部部長。懲戒免職時の年齢は35歳。
 第一次、第二次妙神岩侵攻作戦における書類上の責任者。
 朱堂 沙織と同じく一般人キャリアの人物だが、過去に淫魔による事件によって親類を亡くしており、対外的に退魔庁の活動の規模や人材確保、民間との連携など、数々の功績を挙げている。
 しかしながら、作戦の失敗を契機に退魔1課を事実上の閑職へと追いやり、退魔2課以下の稼働率を上げるなどをして無茶な方針を敢行し続けた。
 また、本来なら退魔庁関係者しか知りえない情報が、よりによって高度特定淫魔や敵対組織などに漏洩しているのが発覚。
 情報の権限レベルから、上遠野の犯行と判断され公安警察や公安調査庁によって内偵調査が進められた結果、裏付けが取れ摘発。
 即刻懲戒免職、逮捕され、その後は裁判を待たずに行方不明となっている。

ガンスキル
 文字通り重火器を扱う技術のこと。一般人でも扱えそうで意外に難しいのが銃である。だからこそ事故が起こるのだが。
 技能の指標としての評価は「精密射撃」「長距離精密狙撃」「早撃ち」辺りが尺度となる。
 ガンスキルをメインとする退魔師は、基本的に他の退魔師に比べてライセンスが低いことが多い。これは銃火器による火力の増幅が容易なことが主な理由である。そのため、ライセンスがB~Cクラスであっても、実力的には一段上、というのも良くある話。

キサナドゥ王国
 過去に某国が戦争を起こした際に失った領土を、各国の合議により他国の王室に連なるキサナドゥ家を王室とするキサナドゥ王国が建国された。
 政治体系は立憲君主制。
 元々は淫魔や妖魔と言った魔物の出現が低い地域ではあるが、優秀なエクソシストを輩出している。
 直近では旧王が崩御した矢先ではあるが後継者である長兄が国家元首を務めており、次兄は外交などの社交活動を行っている。
 また、末妹のソフィアがC.A.A.C.E.へエクソシストの修行として出向していたが、求心力の高さから新派閥の代表へと押し上げられた。
 これにより、キサナドゥ王国は西欧圏でも大きな役割を持つこととなった上、さらに「円卓」崩壊事件の後、ソフィア・エルドレッド・キサナドゥが正式にC.A.A.C.E.代表となり、世界的な発言力をさらに大きくすることとなった。

旧開発地区
「第6次東京湾開発計画」を発端として埋立、開発が行われた末に設立された、東京都第24区・湾岸区の初期開発地区。
 当初の計画の最中に天震災が発生。そのために計画を変更し、出現した妙神岩を取り囲むように結界などを張り巡らせる施設などを建設する形となった。
 開発が進んだ現在は旧退魔庁舎を除いて、公式には人は住んでいない。旧開発地区と新都市部を結ぶのは、第一検問所直下の境界駅からの、無人ライナーだけである。

草薙重工
 日本におけるガジェットツール搭載型装備開発・販売の最大手。
 最大手ではあるが、同業他社との技術交流や派遣研修などは積極的で業界全体を牽引する企業。
 日本国内においては退魔庁が認可に難色を示しているため、CCCNO社製自体の装備はほとんど存在していないが、多くの技術提供・交流をしているのは事実で、それを基に「草薙重工製」として試験開発された装備が多い。
 刃鳥 澪の持つ機械刀、久我 紫苑の身体補助機能装置や武装、高御堂 弥生のZETSUEIなどがCCCNO社、退魔庁科研部などの協力によって製作されたガジェット内蔵装備として試験運用されている。
 名古屋支部の草薙 颯は創業者一族の遠縁らしいが、疎遠の関係。

さ行

シューティングスター・ファイア・アームス
 厄災発生の後、アメリカとブリテンの合弁会社として設立された銃器メーカー。略称はS.S.F.A.社
 それまでは、「C.A.A.C.E.」ではいくつかの銃器メーカーの物が用いられていたが、実包やサイズの規格、利便性、携帯性などで最も要求を満たす物がコンペによって選ばれ、C.A.A.C.E.制式銃器として採用された。
 アメリカとブリテンの合弁会社ではあるが、現在では欧州各地に大きな支部がある。
「C.A.A.C.E.」では、銀類を用いた弾丸・実包を用いることが多かったため、コスト問題が常に問題となっていたがアップデートにつぐアップデートによって効率化や改修が行われたことで、コスト面の問題はかなり抑えることができるようになった模様。
 基本的にV.A.M.P.S.所持者の一部もそうだが、それ以外の騎士や兵士などは主に遠距離用の兵装として標準装備している(当然近距離用の武器も装備)。
 これにより、昔はほぼ「円卓」所属の戦闘メンバーによる討伐しか難しかった中型サイズのドラゴンタイプでも、騎士や兵士、魔術師などで構成されるC.A.A.C.E.「聖騎士団」によって討伐が可能な状態まで戦力を引き上げられている。
 しかし、やはり大型レベルになると戦力をかなりつぎ込まないといけないため「円卓」による討伐に切り替えられることが多い。
 単独で対決・討伐できるのは現状三名だけだが、大体はペア以上で戦うためよほどのことがない限り討伐失敗には至らない。
 また、その三名のうちマリア・ナイトレーヴェンが「円卓」に参画する際に新規に供与された大型ライフルは特注のものであり、V.A.M.P.S.搭載機能も相まって絶大な火力を有している。
 日本の退魔庁に所属しているセシリア・アーマライトの所持する大型ライフルはS.S.F.A.社製のものである。

ステラアルジェント
 漢字表記では「星銀」とも書かれる魔法金属。
 主に純銀などを基に、錬金術の応用によって魔力を内包する金属として生成された物体。
 加工はしやすいが生成することが非常に難易度が高いため、理論的に本人が確立させたとはいえペーネロペー・トリテミウス以外では生成が不可能とされている。
 悪用されるのを恐れてあえて大量生産させずにいるが、CCCNO社に最低限を提供することで「円卓」メンバーの鎧装などの装備に多く使用されている。
 文字通り一人が知識を持つ秘匿技術の一つなため、他者・他所ではどこも用いられていない。
 マリア・ナイトレーヴェンの実弾実包の弾丸は全てこれで生産された特別製(さすがにこれはC.A.A.C.E.内部製である)。

ストーンサークル
 ヘヴンズ・フォールによって、ドーバー海峡:アビス・ゲートドイツ・イタリア・スイス・オーストリア・リヒテンシュタインの中間位置付近(C.A.A.C.E.の直近):ドラゴンの庭、エーゲ海(クレタ島沖)、フロリダ湾、東京湾(退魔庁・民間退魔師):妙神岩に出現したストーンサークル群。 
 ドイツ南部とイタリア北部に接する場所に1つあるため、C.A.A.C.E.の本部がジェノヴァに設立されている。

た行

退魔師
 この世界の日本において、淫魔や妖魔に対して制圧行動を行う者はほぼ「退魔師」で通じる。通常の退魔師の他、陰陽師や巫女などもこの業種に分類される。
 この業種において女性が多いのは、女性の方が霊的な生命エネルギーが高くポテンシャルが大きいために必然的に適性が高いためである。男性の退魔師もいるにはいるが、よほどの素質がない限り淫魔相手には後れを取ることが多い。
 年齢的にも18~20代がピークで、30代半ばを境に能力的な減衰が始まると言われているが、一部の退魔師はその例から漏れることもある。
 この世界観における退魔師の淫魔・妖魔事件での生還率・生存率はおおよそ95%程度で、それほど低いわけではない。逆に言えば、残りの5%を引いてしまった、あるいは引かざるを得なくなった退魔師が、淫魔に色々されてしまうわけである。その場合の致死率は、およそ70%程度。
 どうしてそれだけの人員を確保できるかというと、公職退魔師における給与が「退魔師資格を持ち実働した場合」の手当てが恐ろしく高い。1回の依頼の報酬で、平均一般世帯の年収の6ヶ月分くらいの額は当たり前。当然命を張ってるわけなので、そのリターンという形ではある。もちろん、退魔師本人の技量によって、値段はガンガン上がっていく(確実性が変わるため)。
 公職退魔師民間退魔師の差異についてはそれぞれの項目を参照。

退魔師事務所
 退魔庁所属の公職退魔師以外が興した事務所の総称。
 基本的に規模は小さい事務所が多く、2、3人の寄り合い所帯で構成されており、大体の責任者の退魔師ライセンスは、Bクラスであることがほとんどである。そのため、退魔庁は小規模、中規模の案件はなるべく民間への委託を多めに回しているのが現状の社会情勢である。
 当然ながら、そういった退魔師事務所は全国各地に存在しており、地方の主要都市以外での対魔作戦では、他の事務所と連携して行動しているのが基本的な活動となる。
 水鏡 雷奈八剣 篝のように、Aクラス以上の退魔師が責任者を務める事務所は、数は少ない方である(民間の退魔師でAクラス以上を持つのはそれなりにはいるが、事務所に所属していないなどの理由が多い)。その上、二人は都内での事務所であることもあって要求される報酬も高いが、事件に対する解決の信頼度が高いので、仕事にあぶれるということはまずない。

退魔庁
 国際登録名は「Apparition Sweepers Agency」。
 これは退魔庁の専用防御ジャケットなどに「退魔庁」の「退」の文字と共にあしらわれたロゴマークがデザインされている。
 天震災が起こり、妙神岩の出現、霊的能力の発現等が確認されてから、内閣の要請によって急遽設立された省庁の一つ。
 天震災から十数年経ち、対策も発生当初に比べれば遥かに良くなったが、物理的な根絶には至っていない。
 本庁麾下には対魔部総務部科学研究部等の部署がある。
 各都道府県の県庁所在地に、他省庁のように地方支分部局を持ち、その地域の中心機関となっている。
 当然ではあるが、退魔師の素質の特性上、全職員の7割近くが女性で占められる職場環境である。
 そのせいか、男性職員や男性退魔師は庁内で取り合いになることもあるとか。
 退魔庁の支庁は、大都市圏(東京を除いた大阪、名古屋、仙台、福岡、札幌)に本庁並の大きな支庁があり、その他は県庁所在地に点在するのみである。人口密集地における対処を行うため、必然的に大きな拠点になるところは限られている。
 そのため、その隙間を民間の退魔師が埋める、という形態をとっている。

対魔部
 退魔庁の部署のうちの1つ。
 公職の退魔師が所属する部署で、退魔師のレベルは同じランクの退魔師でも全体的に民間退魔師より高い。
 民間退魔師に発布された依頼以外の事件・事故を取り扱う部署で、当然ながら繁忙部署である。
 前部長である上遠野七海が目的は不明であるが「特定淫魔」と呼ばれる存在などに退魔庁の実働部隊の情報を漏洩したとして公安警察・公安調査庁によって摘発、懲戒免職され、現在所在不明となっている(即収監されたという噂はあるが、噂の域を出ていない)。
 結果、人事異動が発生することになり、退魔1課課長であった朱堂 沙織が部長へ昇進となった。

退魔用銃火器
「取り扱いが容易」「最低限の破壊力が保証されている」「射程が長いため射手の安全を保ちやすい」などの理由で、多くの退魔師が所持している武器。
 ハンドガンの他、携帯性と経済性、威力からサブマシンガンが日本国内では人気が高い。ライフルの方を所持・使用しているのは、予算的に潤沢な組織や退魔師に限られる。
 弾丸は国際統一規格に準拠しているため、それ以外の相違点を挙げるならば銃火器そのものに霊基的な処置を施すか否かである。
 退魔庁では一般職員を含め全員に退魔用拳銃の所持・職務中の携帯が義務付けられている。これらは公費で賄われた公用拳銃であるが、私的な費用支出にて、カスタマイズなどを施した拳銃を所持するケースもある。
 これらの銃火器は退魔用の弾丸を用いる・用いないに関わらず、人間相手にも非常に有効的な武器であるため取り扱い注意。
 なお、日本在住の退魔師で最大の重火器を所持しているのは、退魔2課所属のセシリア・アーマライト
 C.A.A.C.E.における銃火器についてはシューティングスター・ファイア・アームスを参照。

退魔用刀剣
 日本における退魔師の多くが用いるのが日本刀、西洋剣、中国刀といった刃物系の武器である。
 ナイフや小刀サイズの物から、大太刀、ツーハンドソードサイズの物まで、用途や使い手の好みによって様々な種類の刃物が存在する。
 当然ながら地金に霊的・魔術的な処理を施した金属を用いて鋳造、鍛造された武器であり、その上で刃や柄、鍔などと言った部位に印を刻むのも珍しくはない。
 当然、淫魔や妖魔以外にも有効的な攻撃力を持つ武器である。
 それゆえに、湾岸区以外における退魔師の活動に際しての携帯について関係部署で大きく紛糾したが、退魔師であることが証明できれば概ねフリーパスとして認められているのが慣例である。
 最近ではスプリング鋼に特殊な処理を施したマスプロダクト系で安価な刀剣を用いる退魔師も増えている。

退魔用弾丸
 退魔用途向けに、術式的あるいは素材的な加工を施した弾丸を指す。
 物理エネルギーは対淫魔の破壊力に大きく寄与しないことが多く、遠距離で発砲した弾丸であっても術式や霊力によって淫魔に対する威力の減衰が少ない。
 しかし、着弾するまでに完全に速度を失えば効果は発揮されず、最低でもめり込むレベルの速度と貫通力の維持は必要である。
 拳銃の場合はホローポイント、ライフル弾の場合はより長い射程と貫通力を期待してのAP弾が一般的。
 着弾時に数10cmから1m前後を破砕する威力があり、淫魔や妖魔の形状や再生能力により、威力が発揮されないこともある。
 規格については国際的な枠組みで決定した関係上、国を問わず共通性があり、それを民間メーカーから供給されている。よほど特殊な口径の銃でないかぎり、取り回しに困ることはない。

耐えろ! 中間管理職
 世の中間管理職層でのベストセラーな本。
 耐えろ、とは言いつつも、ストレスの効率的な発散法やパワハラ回避のための立ち回りなど、様々な解説が載っていたりする。
 それ以外にも、中間管理職の苦労話やコラムなど多彩な内容。シリーズ化されており、どの書籍もやはり人気が高い。
 東雲 明日香御神楽 琴歌和月 莉子らの愛読書でもある。

天震災
 突如出現したストーンサークル群と共に、地震・津波等の天災が起こった天変地異。この名称は和名である。
 これによって、世界中の各地に「オカルト」的なものとして分類されていた超常現象、存在が現実のモノとして確立される。
 同時に、人間側においてエクソシストや陰陽師、巫女、シャーマンなどの人間が、対淫魔・妖魔の“力”を持つようになった。

特定淫魔・妖魔
 日本において退魔庁によって淫魔や妖魔の中でも、自我などの存在が確固たるモノで「個別識号」をつけられ、呼称されている存在のことを指す。
 中でも、エッテンノイラムは、現在カテゴリーされている特定淫魔の中では最も危険な存在であるにもかかわらず、今いる個体が「本体であるかどうかが判明していない」ために、退魔1課などでも苦慮している問題。
 もっとも、エッテンノイラムに関してはクリスティナ・アイゼンクロイツが追っていることもあり、公的には除籍されているメンバーではあるが共同で作戦を行うことが多い。
 また、(えびす)のように「妖怪」に変化して活動するものもいる。特に牛鬼など手強い程度から(と言っても変身前に強さはある程度依存する)、鵺といった個体識別名を持つような存在にも変化できる。
 鵺自体は、このような形以外でも「伝承具現」などで発生したりするので、一概に「変化したもの」だけではない。
 しかしながら、これらの特殊な呼び名の「個別識別名」を持つものや、伝承系においても「個体識別名」を持つ強力な存在は強大な力を持っており、対処に苦慮しているのが現状である。
 これについては「C.A.A.C.E.」圏内にも発生している問題であり、あちらの場合も「伝承存在のコピー」という劣悪な具現化がほとんどではあるのだが、極稀に「本体」が顕現してしまうことがある。

ドラゴンの庭(Drachengarten)
 イタリア、スイス、リヒテンシュタイン、ドイツ、オーストリアに囲まれる位置に存在するストーンサークルの固有名称。
 オーストリアにあるインスブルックの西部に出現したサークルで、現状唯一の陸地にあるストーンサークルである。
 通称「ドラゴン庭園」とも呼ばれる。
 それによりリヒテンシュタインが大きな被害を受けたが、周辺国の協力により再建。
 それ以降、他の隣接国より多くのエクソシストが滞在し、設立後の欧州教会の本拠地がイタリアのジェノヴァに置かれる要因の一つとなった。
 強力な結界のようなものを保持しており、ミサイルなどの攻撃が他のストーンサークル同様効果がない。そのため、多くの魔物が周辺地域に現れることとなる。
 現在ではリヒテンシュタインが「ドラゴンの庭」への防衛の主要拠点となり、イタリア側からの際はC.A.A.C.E.上層機構「円卓」勢や「聖騎士団」だけでなく、ギルドや個人のエクソシストも任務の際は準備する場所として訪れることが多い。
 ちなみに、ドラゴンの庭という名称は、この地域においては多くの魔獣・魔物が出現するがその中でもドラゴンタイプ(ちゃんとした形やもどきも含め)が非常に多く、それ故に「ドラゴンの庭」と名付けられている。
 そして、頂点捕食者、つまりここの主的な存在として「ファフナー」が顕現しているのが現状である。

な行


は行

派遣エクソシスト
 日本では面積が広くないこともあって、全域に淫魔や妖魔が出現するが、欧州では海岸沿いに比べれば、内陸部での発生・確認が非常に少ない。とはいえ、内陸部の国や組織、人々がなにもしないわけではなく
 この世界におけるスイスなどの国々は傭兵もさることながら、多くのエクソシストを育成・輩出しており、それぞれ欧州教会の傘下に入るか、契約を受けて国内の組織から外へと派遣される者も多い。

符術
 基本的に符術は、符術スキル、陰陽スキルがある者が扱える術式。
 陰陽の才能がなければ「符にあらかじめ設定された力」を行使するだけの技術である。
 ただし、これも才能や修練によって扱えるようにならなければ、上手く発動させることはできない。
 また、符がない状態では当然ながら、才能があっても術を発動させることはできない。

巫術
 基本的に霊力を用いて行う術式や、武力的行為のこと。
 巫術系の退魔師は、祝詞といったものや、御神刀(奉納刀)、清め塩やお札、破魔矢や破魔弓、お守りや結界など神道に関係するものを主に用いて戦うスタイルになる。
 いわゆる神道系退魔師の分類が用いることが多い。
 この世界における巫術の使い手として、代表的な退魔師は御神楽 琴歌

ヘヴンズ・フォール
 突如出現したストーンサークル群と共に、地震・津波等の天災が起こった天変地異。この名称は世界共通の正式名である。
 これによって、世界中の各地に「オカルト」的なものとして分類されていた超常現象、存在が現実のモノとして確立、人間側においてエクソシストや陰陽師、巫女、シャーマンなどの人間が、対淫魔・妖魔の“力”を持つようになった。
 これが発端で欧州では「C.A.A.C.E.」が、日本では「退魔庁」が発足した。

法術
 金剛杵や錫杖と言った物やマントラ(真言)などといったものを用いて、法力を行使する術式。
 退魔師として行使する人間は少ないため、退魔師界隈で行使する人間が居れば、かなり稀有な存在である。
 また行使する人間ないし退魔師は仏閣系関係者が多く、法術に限ってはほぼ男性しか扱っている者はいない。

ま行

魔術
 よく言われる分類に「白魔術」と「黒魔術」があるが、この世界観における魔術はどちらも統合した形の名称である。
 古くから欧州近辺に根付く概念の系譜のため、それ以外の地域では非常に使い手が少ない。
 そのため、日本で行使できる氷神 真奈美のような存在は非常に稀有な存在と言える。
 また、ほとんどの魔術は十全な効果を発揮するには詠唱が必要なことが多いが、詠唱放棄で効果を減衰させつつも発動させることは可能である。
 代表的な魔術師は、C.A.A.C.E.上層機構「円卓」の「0:愚者」のアンジェラ・ディアヴォレッサや「1:魔術師」のアルフォンソ・メイザースなど、欧州圏内の人物が多い。
 また、魔術を使える文化が深い欧州においては、魔術の才の根源である魔力を持つのは男女共に多く、その関係でC.A.A.C.E.のC.A.A.C.E.「聖騎士団」や個人エクソシストでも魔術タイプのエクソシストは多く活動している。

魔道具
 C.A.A.C.E.に存在する、いくつかの魔術的な力を用いられて作られた道具や武器。
 ただし、これらに実用性があるかどうかわからないものが多く、ラボメンの研究の題材の一つとなっている。
 また、「円卓」の二つの席次が代々受け継ぐ「断罪の剣」と「審判の天秤」も謎が多いが、
「断罪の剣」については鞘に納められた状態でロックがかかっており、中をレントゲン撮影することや魔術的な透視なども受け付けず、謎が多い。
「審判の天秤」は元より見た目が天秤のため、何らかの「判断」をするためのものだとは考えられる。
 ただ、どちらも「正義・大義」に対して反応することが過去の資料にある。
 それがどのようなものかは記録されていないのが、また困った話ではあるが。

魔物・魔獣
 欧州地方における怪異存在。もちろん、日本のように淫獣、淫魔の類も多いが、それ以上に「伝承、創作、民話」などに基づいた魔物や魔獣の出現がかなりある。
 日本よりガジェット技術の進歩が早いのも、これに起因している。
 大型の魔物であれば、下手をすればドラゴンなどのサイズも出現すれば、ゴブリンなどといった人を襲うタイプの亜人の系の集団などによって、街が襲撃されていたりなどしているため。
 やはり大型レベルになると戦力をかなりつぎ込む必要があるため、被害や消耗度を踏まえて「円卓」メンバーによる討伐に切り替えられることが多い。
 魔物・魔獣を大まかに分類すると、ドラゴン系、デーモン系、オーガ、オーク、ゴブリン、魚人などといった亜人系、ワーウルフのような街に潜める変化形、肉塊タイプやスライム、ローパー、植物系など様々な種類がおり、すべての種が確認できているわけではない。
 さらには植物系や、日本における淫魔系も普通に存在しているため、性的な被害も日本に比べるとかなりのものである。
C.A.A.C.E.」所属のエクソシストが非常に多く、各地に滞在しているのはこのような理由からである。
 さすがに、ドラゴンなどのレベルに対して戦えるエクソシストや戦力は「C.A.A.C.E.」所属の面々でも数えるほどしか居ないのが現状であるため、V.A.M.P.S.を含めたガジェットの強化と普及が急務。
 また、現状ではS.S.F.A.による銃器提供・アップデートにより、中型辺りのドラゴンまでとは騎士や兵士、魔術師などで構成される部隊によって討伐が可能な状態まで戦力を引き上げられている。

妙神岩
 日本においては東京湾に出現したストーンサークル群を、和名として「妙神岩」と呼称している。よって、他の地域では別の名称で呼ばれていることになる。
 淫魔や妖魔の発生源として存在していることは判明しているが、詳しい研究結果はまだ発表されていない。
 妙神岩侵攻作戦の際に、妙神岩のそばや内部においては、傑出した能力である異能でさえも、その能力が正常に発揮させられないことが判明した。その結果、朝霧 神奈のアクセルドライブは、その効力を妙神岩本体への破壊には効力を失い(戦闘で淫魔に対しては効果があったが、外郭である妙神岩への攻撃が無効化された)、月読 亨の未来予知の到達点も歪めてしまい、作戦失敗の引き金となった。
 この現象については未だ解明されてはいないが、異世界とのゲートとも言われるストーンサークル群であるため「そういうことが起こりうる」という、非論理的な結論をつけざるを得ないのが現状である。
 日本の妙神岩のみが空中に浮かぶストーンサークルであり、その他の物はすべて地上や海中から海上に存在する状態である。

妙神岩侵攻作戦
 退魔庁対魔部退魔1課主導の下、妙神岩に対しての制圧作戦を指す。
 第一次、第二次の計二回行われているが、いずれも失敗している。
 第一次は妙神岩そのものに対して、有効的な打撃を与えることすら叶わなかったので完全な空振りの作戦。
 半年後に行われた第二次妙神岩侵攻作戦は、事前に退魔3課の課長である御神楽 琴歌による、外部からの超巨大霊力射撃を行う。それによって中心部を破壊することはできなかったが、その上部に大きな破壊痕を残すに至った(この破壊痕は修復されていないため、出入り口とも言える状態で現存している)。
 そこからの突入により、制圧ないし破壊を図ったが、構成メンバーのうち二人(葛城 悠(右腕喪失)、月読 亨(左腹部損失・致命傷レベル)が重傷を負うことになり、撤退。完遂には至らなかった。

民間退魔師
 民間退魔師の場合は文字通りであるが、退魔庁への入庁審査に落ちた者、または自分から所属せず(家やパートナーなどとの関係上)に公職ではない形で退魔師稼業を行っている者たちの総称。
 当然依頼の有無で、公職退魔師に比べて不安定な収入となる。そのため、退魔庁は民間への依頼も定期・緊急両方で案件を出している。
 実力の高い者はフリーで単独活動したり、ある程度の実力の面々は事務所に所属もしくは自ら立ち上げて徒党を組む形で、依頼をこなして報酬を得て活動している。
 人助けのためや、もちろん(公職退魔師に比べると)私怨などの理由による者も少なくないが、割と現実的に「自分にある才能を切り売りして金銭的なリターンが大きい」というのが選択の理由になっているようである。

叢瀬八幡宮
 東京都某市にある、都内でも大きな八幡宮の一つ。叢瀬 菜織が宮司を務め、運営を行っている。
 近所の人のウケもよく、近所トラブルなどもなく、大きめな八幡宮だけあって祭事の時期の参拝客はかなり多い。
 最近では「パワースポット」として雑誌などに紹介されたこともあってか、態度のよろしくない輩も多いようであるが、全て菜織が対処して「お帰り」いただいている。
 ちょっと名の知れた程度のいたって普通の八幡宮のようであるが、その実、都内で数少ない長い時代にわたって存在する龍穴の一つであり、その上に建立された社である。そのため、今現在でも霊的な力の強い場所であり、対淫魔・妖魔対策として重要な地点なのであるが、他の龍穴に建つ寺社などと違い、菜織は退魔庁の要請(退魔師を在籍、駐在させること)を拒否。
 結果、かなり大事になりかけたのであるが、当時退魔1課に在籍していた菜織の兄である叢瀬 翔が庁内で根回ししたことにより、大事を免れた経緯がある。この翔が終息させた件については、菜織は一切仔細を知らないが、なんとなく「兄がなにかしてくれた」という認識はしているようだ。
 ともあれ「パワースポット」と呼ばれる由縁は文字通り「龍穴」なので、ご利益があるのは当然なのである。
 翔に連れられてが来た際も、「ここだと身体が落ち着く」と述べている。
 その翔も八幡宮で手伝いをたまにしているが、普段は居ないので「誰?」と八幡宮関係者にすら訝しまれているようである。実兄なんですけどね、宮司の。
 また、従妹である影崎 和葉は、遠慮している節はあるが、時折訪れて相談事をしているようである。

や行

八剣八幡宮
 東京都某市にある、八幡宮の一つ。
 叢瀬八幡宮に比べるとだいぶ小さい八幡宮である。
 なので龍穴の上などにある社、というわけではない。
 八剣 篝八剣 藍の実家で、彼女らは神社系の血筋として退魔師の力を有している。
 姉の篝は退魔師として強い素質を持つが、妹の藍はお世辞にも高い能力を有しない娘であった。
 本来ならば、篝ないし、彼女の配偶者になる人物が跡を継ぐはずであったが、娘二人が揃って退魔師となったために、跡継ぎ問題が密かに起こっている。

ら行

レイヴンズ7
 ブリテンが欧州教会から離脱をすると同時に設立された、国独自の対魔機関。
 ドーバー海峡にストーンサークル群があるものの、不活発であったことから、設立当初は黒鳥 美影マリア・ナイトレーヴェンら7人で構成されるだけの機関であった。
 とはいえ、いつまでも小規模で運用できる状態ではなくなり、5年後にレイヴンズ・ネストとして組織再編される。
 その際に美影は帰国、マリアを除く他の5人も異動となった。
 ブリテンにおける妖魔・淫魔はそれほど大量出現するとは言えないが、やたらとインキュバスやサキュバスなど夢魔に偏っている部分が多い謎がある。
 それ以外ではジャバウォックなど、国家に関連あるのが具現・顕現化して人を襲撃したり、淫行に及ぶ。

霊基タバコ
 退魔師の一部で流行っている、霊力を一時的に高められるとされているタバコ。
 ある意味オクスリ的ドーピングであるが、退魔庁や、退魔師関係の団体の公的な見解は出ておらず、実効性があるのかどうかは不明。
 タバコ以外にも形状はあるが、一番ポピュラーな形がタバコである。
 タバコの形状の場合、未成年が咥えるだけで色々アウトなので、未成年者の退魔師に対する変な抑止力はあるようである。
 風原 みなみが普段吸っているのも、これの一種。

霊力・法力・魔力
 退魔師、エクソシストらの淫魔などに対抗する力の根源。
 大きく分けて巫力(神社系)、霊力、法力(仏閣系)は東洋系、魔力(教会、魔術系)は西洋系に分類される。
 これらは生命力に依存する力であり、全ての退魔師やエクソシストたちの基本的な力の根源でもある。
 ヘヴンズ・フォールの発生により、古代から伝承されてきたオカルティズムの概念が世間一般に対する認識が強くなり、その力を具現化することとなった。
 それだけ、淫魔や妖魔の存在がこの世の害悪であるという、人類共通の認識・認知となった証拠でもある。
 魔力、法力を除いては、生命力が強い=生命を産む力を持つ女性に多く宿り、退魔師の大半を女性が占めている。
 ただし、生命力が強いからといって必ずしも霊力が高いとは限らない。
 男性で退魔師になれるほどの霊力などを持つ人間も少なからず存在し、活躍している例もある。
 日本においては、特に法力・法術系は男性の比率が高い。
 また、西欧近辺における「魔力」は男性にも同等の能力が備わっており、日本に比べると男性の魔術師・騎士系エクソシストも多い。
 逆に霊力などが高いから生命力が強いという図式は成り立つが、肉体的な強さとはまた別の話である。


わ行

ワンオフV.A.M.P.S.
 アンジェラ・ディアヴォレッサが開発したV.A.M.P.S.のうち、初期に製作された複雑な機構を用いて通常の物よりもかなり高性能な装備として仕上げたV.A.M.P.S.のこと。
 当時、全部で12種類製作したが、現状使用者が居ないものもある。
 所有者のカスタマイズによるアレンジはともかく、ワンオフのV.A.M.P.S.搭載武器は「円卓」管轄であり、さすがにワンオフタイプはそうそう改造や改修が行われていないが、アンジェラ帰還後には彼女の監修の下、ペーネロペー主導で改修されているものもある。
 また、アンジェラが日本滞在時に自分用の物も製作し、「ワンオフ」と呼べる存在は、現状13個存在することになった。
 現在の使用者は
「神の左手/悪魔の右手」:アンジェラ・ディアヴォレッサ
「双龍牙戟」:リー・ファンシェン
「アストライア」:カーレーン・リーブラ
「ソウルテイカー」:ファセリナ・オルブライト
「アンサラー」:ディートリンデ・フォン・ヴァイス
「インディグネイション」:アリーシャ・オルブライト

湾岸区
 妙神岩を取り囲むように東京湾を埋め立て、退魔庁本部を設立させた東京都第24区のこと。
 ストーンサークル群から円状に外側に向かうにつれて開発されていったため、地理的な中心地は現在は再開発地区となっており、人がほとんど介在しない土地となっている。
 東京都における淫魔・妖魔事件の多くが妙神岩を有する同区で発生しており、退魔師の多くが居住する街である。
 また、行政・民間ともに隠語として「旧市街区」を「24区」、「新市街区」を「25区」と呼ぶことも多い。

英数字

C.A.A.C.E.
 Counter-Agency assault to Creatures in Europe.の略称。
 ヘヴンズ・フォール後、ある程度の後に発足したエクソシスト組織。
 日本語による定義は「欧州魔物対策討伐機関」であり「宗教としての組織」ではなく、あくまでも「エクソシストの統括組織」。
 略称が「C.A.A.C.E.」を「チャーチ」と皮肉を込めて誰かが揶揄したのが始まりで、通称が「欧州教会」で定着してしまった。
 その結果、通称の変更など公式に行えるはずもなく、その点の辺りでヴァチカンとは非常に険悪(連携自体はしている)。
 しかし、教会こそ名乗っているものの、純粋な宗教団体ではない。
 一部の宗教団体本拠とはかなり仲が悪いとの噂が立っているが、表面上は協力体制にある。
 役所的な色が濃いため、本来の宗教の教会という当たり前の施設に所属するエクソシストも多い。
「欧州」とはついているがアメリカへの派遣なども行っている。また、西アジア、北部アフリカなども稀ではあるが案件が発生するので対応することもある。
 それらも踏まえて、広大なネットワークを持っているため、退魔庁に比べると非常に大きな組織である。
 各宗教団体にはよほどのことがない限りは干渉しないスタンスのため、内紛がしばしば起きているが、組織が崩壊するには至っていない。
 ヨーロッパ全域のエクソシストの身分は、欧州教会によって保証されており、能力によって適材適所の配置を行っている。
 そのため、カトリックや正教系などのしっかりしたところや、新興宗教系もすべて「エクソシスト」が存在していれば所属を認められる。
 広大な範囲かつ大規模な組織であるために人材不足には陥らず、大規模な魔物は淫魔発生事件に対する討伐も度々行われている。
 本部はイタリアのジェノヴァであったが、欧州教会分裂事件を機に、ファウスト派の本拠がジェノヴァのままに、ソフィア・エルドレッド・キサナドゥ派の本拠はヴェネツィアに新設されたが、ファウストの死後、C.A.A.C.E.の代表となったソフィアによって再度ジェノヴァが本拠地として復帰した。
 上層部は「円卓」と呼ばれるトップ数人の会議によって組織の指針が決められていたが、ソフィアの代になって所属する面々の情報が一部ではあるが公開されることとなっている。
 また、「C.A.A.C.E.」は「退魔庁」とは違い、実は公の登記では私的機関であり、人間関係もフレンドリーな者が多いのはそのためである。
 逆言えば、退魔庁の方が組織としてはかっちりしているとも言える。
 人間関係が与える影響は大きいので、どちらが良いかなどの優劣はつけることはできない。

CCCNO
 榊原百合奈が率いる、日本に本部のある世界的な巨大複合企業体。
 世界最大級の企業体の一つであり、特に軍事技術関連では突出したものを持っている。
 企業体としての正式名称は「Comprehensiv Conglomerate Coordination Nexus Organization」(包括的コングロマットの調整ネクサス機構:複数の異なる事業分野および企業を統合、調整、統括する組織)。
 通信ネットワークや軍需産業部門だけでなく、医療や一般向けまで幅広く組織が存在する。
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 本部は日本にあるが、主に北米などで軍事用研究・産業が盛んであり、国軍以外で相当な武力行使が可能だが、紛争が発生でもなければその軍事力を動かすことはまずない。
 現状の怪奇現象(淫魔・妖魔・魔獣)案件に対しては「装備生産」は行っているが「兵力的リソース」は所持しておらず、専門機関と連携を取っている。取引先最大手は「欧州魔物対策討伐機関」。つまりC.A.A.C.E.である。
 CCCNO社(便宜上全ての組織を含めて~社とする)は「C.A.A.C.E.」と緊密な関係であり、量産銃火器(S.S.F.A.社が担当)を基本的に除いた試作装備などの受注、アンジェラらの設計を基に「円卓」のワンオフ鎧装の製造などを行っている。専用武器に関しては魔術・錬金術的な秘匿技術が多い関係もあり、こちらに関してはCCCNO社が関与できない物が多い。これに関してはCCCNO社も承諾済みの案件。
 C.A.A.C.Eや個人エクソシスト、ギルド所属エクソシストらが所持するV.A.M.P.S.のマスプロダクトモデル生産はほぼCCCNO社製。
 日本を除いた他国の退魔機関との結びつきも強いが「C.A.A.C.E.」に比べると小規模のために取引先としては大きくない(特にレイヴンズ・ネストは好意的ではなく、マリア・ナイトレーヴェンは本国では「円卓」時の専用装備を使用しなかった)。
 ある日本においては、退魔庁科学研究部との技術情報提携がが主。国防上の理由で私兵保有もかなり制限されている。
 ただ、CCCNO社が日本の退魔師業界から排斥されているというわけではなく、国によって大きな制限をつけてられ不便を強いているものの、技術提供という面では大きな役割を果たしている。
 退魔庁科学研究部では、加藤 治章が独自開発したもの以外にも、CCCNO社から得た情報によって発展した分析技術の取得、新素材の製造を可能にした(相応の独自技術も取引としてCCCNO社へ提供している)。
 これだけの存在であるが、国内の他企業に対して排他的な対応は取っておらず、むしろ国内の評判は非常に高い。
 ただし、これらの表の顔だけが全てではなく……政治的な圧力など裏の面でも強固な力を持っている。

V.A.M.P.S.
 正式名称を「Variable-Additional-Magic-Powers-System」(可変式魔力付与機構)といい、V.A.M.P.S.はその略称である。カタカナ表記では「ヴァンプス」となる。
 特殊な銀製の実包タイプのカートリッジに魔力を貯蓄し、リロード機能を有する武器に装填、魔力を武器に付与する際にチャージ、排莢させる機構。
 これによって魔力の低い者でも、他人の力によって高い攻撃力を有することが可能となった。
 しかし、この技術は欧州教会の秘匿技術とされ、欧州地域以外では普及していないシステムである。
 複雑な機構であることもその理由の一つであるが、整備等が定期的に必要であり、そのノウハウが他の地域ではないために、流出しても模したものを作るのが難しかった。
 現在はCCCNO社の協力のもと、C.A.A.C.E.には多岐にわたるV.A.M.P.S.が試作から制式まで提供されている。
 このシステム開発者は、アンジェラ・ディアヴォレッサであるために彼女が失踪した際に一時危険視されたが、調査・研究を経て安全が確認されて現在も使用に至っている。また、改修にペーネロペー・トリテミウスらがかかわっており、アンジェラが開発した当初より、マスプロダクトモデルは性能が各段に上がっているものが多い。

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最終更新:2024年05月03日 03:21