第十一章 タイトルなし、言語系統論など


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

世界語文典和訳
第十一章

世界語文法は名詞を以て根語と為し
其の根語に后置字を付加して働詞 副詞 形容詞等に変化せしめ且
其の根語に前置字或は后置字を付加すると名詞を二個連綴することに因て
意味の異なる名詞に変化せしむるを得
故に其根語たる名詞は出来可だけ短綴音を以て名詞と為せり
此の如く名詞は付加字を要するの法あるが故に
総て名詞の綴字は子字を以て始終と為す
然して其の前置字は母字を以て終りと為し
其の后置字は母字を以て始と為す

(七十九頁)

是れ音響を清妙になさんが為なり
名詞より働詞副詞形容詞に変化するの例を下に掲ぐ

名詞   働詞   副詞   形容詞
klän   klän    kläniko    klänik
密   密にす   密に    密なる

名詞の綴字は子字を以て其の始終と為すの例
sol    klif    ston     nat
日    岩    石     性質

前置字は母字を以て終と為し 后置字は母字を以て始と為すの例を下に掲ぐ
前置字例          后置字例
pälogom           glumik
見られる          鈍き
pelogom           glumön
見られけり         鈍くする
pologom           glumün
見られるならん        より鈍し

前置字或は后置字を付加して意味の異なる名詞を組立るの例を下に掲ぐ

后置字例          前置字例
(八十頁)

(后置字例)
tidel  教師  tilは読なり elは人と意味する后置字也
dünan 給仕人 dünは為也 anは人と意味する后置字也
    el anの区別は字林后置字付加法の部にて詳説すべし
labam 所有物 labは持也 amは物と意味する后置字也
godav 神学 god は神也 av は学術と意味する后置字也

(前置字例)
lagivön 遣る
belifön 活かす be の前置字は其の根語の意を強む
        是れ漢文熟語熟字の然乎等の如し
        且又自動の語に be を付加すれば他動の語に変化す
sesed 輸出  sed は送る也 se は出すと意味する前置字也
tapük 駁論  pük は言也 ta は向ふ或は匹敵と意味する前置字也

名詞二個を連綴して意味の異なる名詞を組立るの例を
下に掲ぐ而て二個を連綴するには其の中間常に a
(八十一頁)
の字を挿綴するものとす

flonatim 春  flol は花也 tim は時也
kilagul  三角 kil は三也 gulは角也
völabuk 字書  völ は語也 buk は書物也
potakad 郵便端書 pot は郵便也 kad は厚紙也

世界語法は上に掲ぐる如く便利なる組立法有るが故に
其の根語を学ぶこと少くして説話文書上数倍の活用を為すを得るものなり
是より世界語は如何なる語を基礎と為し之を組立しやを説かん
抑もシュライエル氏のヴォラピュヰクを創作するや
アーリアン語を取調べ其の簡綴穏当なる語は其儘之を探り其の煩綴なる語は
削綴して之を用ひ
且大に自己の新作語を加へて遂に世界語を創作せり
而るに世界語の発音は一字一音且無音なきを以て法と為すが
故にアーリヤン語を其儘採用せし語にても其の発音は其儘之を用ひざるなり
(八十二頁)

アーリヤン語は欧米各国語の起源にして其語より漸次欧米各国語に分岐せしものなり
玆に其の表を掲ぐ


          | pük latinänik    | flentän  仏蘭西國
          | (ラタイン語)      | talän  伊太利亜國
          | pük glikänik     | spanän 西班牙國
          | (グリキ語)    
          |
          |
          | pük germanänik   | deutän 独逸國
          | (ヘルマニア語)  | nedän  和蘭國
pük Ariänik |             | nelijän  英吉利西國
(アーリアン語) |
          |
          | pük skandinavänik | denän 丁抹國
          | (スカンヂナービヤ語) | svedän 瑞典國
          |
          |
          | pük slavonänik   | losän 魯西亜國
          | (スラーヴォニア語) | bolän ブルガリヤ國
          |

アーリヤン語より採用せし語と自己の新作語とを一語宛下に掲ぐ

仏語 denu  独語  nebü

(八十三頁)