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番長SS




【冥王ハデスちゃんプロローグSS】


【全教祖入場!!】

全教祖入場!!

耐久殺しは生きていた!! 更なる研鑚を積み瀕死+1ダメが甦った!!!
武神!! 教祖だァ――――!!!

召喚能力はすでに我々が完成している!!
日本拳法教祖だァ――――!!!

本戦開始しだい召喚しまくってやる!!
五輪アマレス代表 ロジャー・教祖だァッ!!!

素手の殴り合いなら攻撃0がものを言う!!
素手のムエタイ ムエカッチュアー ジャガッタ・教祖!!!

真のキャラ愛を知らしめたい!! 少林寺拳法 教祖だァ!**

ステータスはほぼ最下位だが能力なら全キャラクターオレのカモだ!!
パナマの鉄拳 ラベルト・教祖だ!!!

打撃対策は完璧だ!! 全日本柔道 畑中教祖!!!!

今キャンペーンのベスト・ディフェンスは私の能力にある!!
レスリングの神様が来たッ ローランド・教祖!!!

ナイフ以外なら絶対に敗けん!!
コスト5.5のケンカ見せたる 特攻隊長 教祖だ!!!

オープン・キャラクター(公開キャラ)ならこいつが怖い!!
ブラジルのピュア・ファイター 教祖だ!!!

版権アニメから召喚キャラクタが上陸だ!! テコンドー 教祖!!!

好きなキャラと添い遂げたいからサモナー(召喚師)になったのだ!!
プロの萌えキュンを見せてやる!!リチャード・教祖!!!

めい土の土産にメイド服とはよく言ったもの!!
萌えキャラの露骨なアピールが今 実戦でバクハツする!! 渋川流柔術 渋川教祖先生だ―――!!!

耐久即死能力者こそがダンゲ最強の代名詞だ!!
まさかこの男がきてくれるとはッッ アイアン・教祖!!!

スタメン入りたいからここまできたッ 性別一切不明!!!!
カナダのピット(ケンカ)ファイター 教祖・ハンマーだ!!!

オレたちは恋人ではない宗教なのだ!!
御存知ムエタイ デントラニー
  • 教祖パイカー!!!

キャラ萌の本場は今やダンゲロスにある!! オレを驚かせる奴はいないのか!!
セルジオ・教祖だ!!!

カタァァァァァいッ説明不要!! 防御15!!! 体力11!!!
教祖・リーガンだ!!!

召喚は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦非消費制約!!
本家日本から教祖以蔵の登場だ!!!

この子はオレのもの 邪魔するやつは思いきり即死させるだけ!!
キック・ボクシング統一王者 教祖・ロビンソン

愛を試しにダンゲロスへきたッ!!
サンボ全ロシアチャンプ セルゲイ・教祖!!!

召喚に更なる磨きをかけ ”ときめきシュガー”鎬教祖が帰ってきたァ!!!

今の自分に発動失敗はないッッ!! シュート・レスラー山本 教祖!!!

死亡非解除の召喚が今ベールを脱ぐ!! 香港から 教祖海王だ!!!

あの子の前でならオレはいつでもMVPだ!!
燃える闘魂 猪狩教祖 本名で登場だ!!!

たまこまーけっとはどーしたッ あのアニメの炎 未だ消えずッ!!
一期も二期も思いのまま!! 鎬教祖だ!!!

特に理由はないッ DP無しが強いのは当たりまえ!!
色んな人のキャラを参考にしたのはないしょだ!!! 日の下開山!
教祖山がきてくれた―――!!!

FS20で磨いた実戦発動率!!
番長グループのデンジャラス・ライオン 加藤教祖だ!!!

スタメンだったらこのキャラを外せない!! 超A級喧嘩師 花山教祖だ!!!

超一流召喚キャラの超一流の能力だ!! 本戦で拝んでオドロキやがれッ
ニューヨークの鋼鉄人!! マイク・クイン!!!

ダンゲロスはこの男が完成させた!!
番長グループの切り札!! 愚地教祖だ!!!

若き王者が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ チャンピオンッッ
俺達は君を待っていたッッッ範馬教祖の登場だ――――――――ッ

加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを4名御用意致しました!
カポエイラ 教祖!!
伝統派空手 教祖!!
東洋の巨人!教祖!

……ッッ  どーやらもう一名は到着が遅れている様ですが、到着次第ッ皆様にご紹介致しますッッ

【血霞のシバリSS】


「あちゃー、こりゃ参ったなー」
そうぼやきながらも、シバリの内心では「兵共が夢の跡!」という思いと「ゆとりのひじは死んだ!!」という思い、あるいは「自分シークレットキャラなんですが、どんどん露出していこうと思います」などが入り交じっていた。
任務で仮想空間に潜入しているのにこのまま何事も無いと思うほどシバリも間抜けではなかった。
戦闘破壊集団シャドウを名乗る謎の一味からの犯行声明ともいえるゲーム内アナウンスを、シバリは空間内で仲良くなった友人達と食堂でブリ大根を食べながら聞いていた。
「うーん。とは言っても結局私は何をすればいいんだ?」
どちらにせよこのままずっと閉じ込められるのは困る。
同僚のカメレオンの餌やりは自分の担当だし、ズヴィズダーを視なければいけないし、来週にはなんかやっつけるやつの予定だって有るのだ。
なので脱出方法の探索は自主的に行うとしても、かの戦闘破壊集団とやらの調査やら逮捕?みたいなことまでする必要があるのだろうか。
と、一秒ほど悩んですぐにやめとこうと結論した。
言われてもないことを現場の判断で勝手にやると後で怒られる。
依頼先は「頼んでないから」と報酬を踏み倒されでもしたら、いいように使われた『烏合』のメンツは丸潰れだからだ。
「じゃあまあ適当にやっか-」と一人頷いたシバリは、ざわめく友人を尻目に、隣のテーブルから稲荷寿司を無断で失敬した。


面接


私の名前は二一(サンシタ ハジメ)。私はこの世界からの脱出方法を探すため、生徒たちを集めてグループを結成した。ところがある日、私の仲間たちは新入りの男によって毒殺されたのだ。おかげで孤立した私は主人公にボコボコにされて危うく死にかける羽目になった。その後、仲間を殺した男の行方を追った私は、生徒会に加わっているヤツを発見した。生徒会に身柄の引き渡しを要求しようと考えたが、貧弱だった奴は私の仲間を殺したことで恐るべきレベルアップを遂げ、いまではコスト7.5。とても敵う相手ではなかった…

シバリ「それで番長Gに?うーん、事情はわかりました。では次の質問に移ります。魔人能力は『おやおや、威勢がいいね』とありますが」

二一「はい、正確には『おやおや、威勢がいいね○○君。だが、この数を見てもまだ同じことが言えるかな?』 です。」

シバリ「『おやおや、威勢がいいね○○君。だが、この数を見てもまだ同じことが言えるかな?』とはどういう能力ですか?」

二一「召喚能力です。コスト1~1.5のキャラを召喚できます」

シバリ「で、その『おやおや、威勢がいいね○○君。だが、この数を見てもまだ同じことが言えるかな?』 は番長Gにおいて何のメリットがあるとお考えですか?」

二一「はい。毒ナイフ使いの男に復讐することができます。」

シバリ「いえ、貴方の個人的な復讐に協力するつもりはありません。それに復讐は何も生み出しませんよね?」

二一「でも、モヒカン雑魚にも勝てますよ。」

シバリ「いや、勝つとかそういう問題じゃなくてですね…」

二一 「全員を永続で召喚できるんですよ。」

シバリ「聞いてません。帰って下さい。」

二一 「おやおや?威勢がいいねシバリくん。だが、この数を見てもまだ同じことが言えるかな?」

シバリ「ところでもひとつ質問いいかな。そのコスト1~1.5のキャラ、どこに行った?」

二一 「……君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

仮想現実あそび:猟犬沢ティンダロ子

 Oh ここは広い宇宙世界。暗黒だけ。
「ハァ……ハァ……」
 猟犬沢ティンダロ子は黒だけだらけの世界で舌を出して息。ゲームだから宇宙でも息はできる。彼女の心臓をバクバクいわせるのは空気の問題じゃなくって環境の問題だ。
「角がないよォ、角ォ、あは」
 現実には、角のない空間などない。けれど仮想空間ならできる。ティンダロ子は、意図的に歪ませたメガネを宇宙に放り投げ、裸眼でボォーッとしていた。しばらく。
「角ォ! 角オナァ! あは」
 出よう思ってもなぜか宇宙世界から出れない、外から設定するしかないようだ。ティンダロ子は気がくるいかけてる。もう時間の感覚がない。ゲーム内時間と体感時間をゆがめて設定したから、ティンダロ子は平気で100万年もここにいる。
「角ォ! 角オナァ! あは」
 角がないから気がくるってるんではなくって、ふつうに、宇宙空間に何千時間もいたら気が狂うでしょって、そんなことにも気が付かず、びょーんと宇宙の果てに飛んでった。
 ∞年が過ぎて、ようやくメガネを見つけた。
「人狼変身」
 メガネのテンプルとテンプルとを重ねて鋭角を作り、能力発動。
 持ち主を殺すこの能力、持ち主は自分である。鋭角をわたって自分を殺しにいくのだが、当然、殺す相手がいないのですごい変な動作を起こしてDNGがフリーズ、緊急サポートがすっとんでティンダロ子を強制離脱させ、よーやく角のある世界に戻ってきたってわけ。宇宙で∞年過ごしたティンダロ子だけれど、現実では1秒も経ってなかったって。
「そりゃないよー」
 ズコー

仮想現実あそび:義肢岸暗暗

「じゃあゲームだから、こんなこともできる?」
 義肢岸暗暗(以下ギシアン)はクィーンサイズ・ベッドで、湘南乃風のLPがかかった、中世ヨーロッパ風の寝室へダイヴ。
 なんと裸男が! is だれ?
「お兄ちゃん!」
 ギシアンは抱きついてギュウギュウに抱きついて、「はっはっはっ甘えん坊だなあアンアンは」とかたしなめられて、体温が同じく38度を超えるほどの激しいアレを、口と手と、肌と、あとナニと、道具なんかも使ったりして、ベッドで悦ばしいことをしていると、ベッドの下で動く影は――SHADOW――なにをしているかというと、なんでしょう、ラブホテルのベッドの下から怨霊のでる怪談がありますが、そんな感じでしょうか。
「あんあん」
「あんあん」
「あんあん」
「あんあん」
「あんあん」
「あんあん」
 どうやらギシアンの快感値を違法コピー×複製してめちゃくちゃ気持ちよがってるようだ。バグの特権、プログラムオナニーである。粒子状のお兄ちゃんのフラクタル愛撫は凄まじい。もし粒子お兄ちゃんとそのようなことをしたらギシアンは現実に戻れない廃人になってしまうだろうが、今の彼女は、愛しのお兄ちゃんといろいろな禁忌を踏み越えて満足した疲労を幸せいっぱいイエイの、健やかな寝息を立てるだけである。

【雨竜院死滅理プロローグ「生老病死」】

雨は降り、大地を潤し、海に至り、太陽の力を借りて再び天に還る。
人は生まれ、育ち、老いて、家族や仲間に見送られながら、或いは孤独に、世を去り再び土に還る。
人は生きるために、命を奪って糧とする。
人が食べたものは消化され、血となり肉となる。
人の身体から不要になったものは、排泄されて再び地に還る。
そこには善も悪もない。
そこには浄も穢れもない。すべて大切な命の営み。
巡り巡る命に包まれて、ボクたちは生きている。
難しく考えることなんてないんだ。
そこにあるものは、そこにあるだけで意味があるんだ。
だから、ボクの能力も。
こんな能力だけど、必ずちゃんと意味がある。
きっと、そうなんだ。

†††††

雨竜院しめり。
本名は「明らかなコトワリを識る」識明理と書く。
生まれつき持っていた呪わしきに因み、自嘲的に「死して滅するコトワリ」死滅理と名乗るようにしたのは中学二年の時だ。

雨竜院家は、長い歴史を持つ降雨術師の魔人一族だ。
一族の者のうち魔人が占める割合はかなり高い。
その全てが降雨能力者であるわけではないが、水に関連する能力を持つ者がほとんどだ。
そして、広範囲に厄災をもたらす能力者も、多い。

雨が降らなければ人は乾いて死ぬが、雨が降りすぎても人は溺れて死ぬ。
本質的に降雨術は、制御の難しい危険な能力なのだ。
「矢達」という名の、雨竜院とは別系統の降雨術士一族がもたらした集中豪雨が、村ひとつに壊滅的な被害を与えた事件を御存知の方もいるだろう。

死をもたらす血の雨を降らせる能力者、雨竜院千雨。
失禁を引き金に尿の雨を降らせる能力者、雨竜院金雨。
いずれも死滅理の従姉妹だ。
彼女たちに比べれば、効果範囲も狭く、的確な対処を施せば無効化することができる死滅理の能力はまだ安全な方だろう。
雨竜院家には危険な魔人能力に備えたノウハウが蓄積されているため、幸いなことに死滅理の能力によって死に至った者はまだいない。

自分は幸運だ、と死滅理は思った。
そして、より悲惨な能力を授かった千雨や金雨を悲しませないように、努めて明るく振る舞っているうちに――自分の能力がわりと平気になった。
人はいずれ老いて死ぬ。
それはそれで「明らかなコトワリ」には違いない。
だから、悲しむ必要なんかない。

生老病死をあわせて四苦と言う。
人が老いて苦しみ、病に苦しみ、苦しみの末に死ぬのは、そもそも生きているからであり、この世に生まれたことがそもそもの苦しみの根源である。
――本当に、そうだろうか。
だって、今ここで生きているボクは、辛いこともあるけれど、おしなべてとても楽しい人生だ。
ならば、老いも、病も、死も。
真摯に向き合ったら決して苦しいだけじゃなく、その中に楽しみを見いだせないだろうか。

死滅理は希望崎学園で氷使いの男性と出会い、大学を卒業後すぐに結婚して降凍識明理となった。
「氷使いの心は熱い」とよく言われるが、そのテンプレ通りに情熱的で優しい男性だ。
現時点では最高の夫であると言って良い。愛している。
DNGにもよく二人でログオンして、懐かしい学園を一緒に楽しんでいる。
結婚してまだ一年、控え目に言ってラブラブである。

『山乃端一人さんが殺害されました』

その日、夫は趣味の集まりに参加するため出掛けていて、死滅理は独りでログオンしていた。

脱出する方法はただ一つ。
生徒会と番長グループに分かれて戦い、ダンゲロス・ハルマゲドンに勝利することのみ……!!

信条、交友関係を顧みぬ機械的で無作為な陣営分け。
死滅理はすぐに考えた。DNG内にいる知り合いと敵陣営となり殺し合わなければならない可能性を。

(従姉妹の畢ちゃん、朝立ちゃん、夕立くん……道場門下生の落栗花三傘ちゃん……)

DNGで出会いそうな親類や知人の顔を次々に思い浮かべ、脳内で戦闘をシミュレートする。
死滅理に迷いはない。殺すと決めたら親でも殺す。それが避けられぬ運命ならば。

「……うーん、ちょっとボクの傘術じゃ厳しいかな?」

死滅理の武術の腕前は、一流とは言い難い。
例えば本家の長子、最強の呼び名も高い雨竜院雨弓と対峙すればひとたまりもないだろう。
そうなると、やはり頼みの綱は能力『浄者必垂』だ。

(本家の雨弓くんや畢ちゃんはボクの能力を知っている。分家の朝立ちゃんや夕立くんならどうだろう……?)

知られていたとしてもどうということはない。
対処不能な状況に追い込み、滅ぼすのみ。
愛する夫のもとに帰るため、確固たる決意を秘めて死滅理は水分補給を摂取した。

(プロローグ、おわり)

【全裸女子高生vsダンプトラック】


「ダンゲロス・ニュージェネレーションですって!? だったら私は対抗して……出してます・美乳でしょう!!」ややロリ体型ながら程よく膨らんだ美乳を惜しげもなく極限大露出する全裸女子高生! ダンプトラックの運転手が裸に見とれてハンドル操作を誤り歩道に突っ込む! 通りすがりの中年男性歩行者数名轢死!

【雪深く、されど春遠からじ(雨竜院死滅理vs雨竜院氷雨)】


学園の最果て。一般生徒は怖れて近づかぬ、風紀の網が及ばぬ領域に建つ一軒の小屋。
“番長小屋”と人は呼ぶ。
生徒会との歴史的和解に伴い解体されたと聞いていたが、仮想空間内では往時そのままの姿で再現されていた。
懐かしい。
死滅理は、熱いレモンティーをすすりながら、輝かしき青春時代を思い起こしていた。
(この小屋で、ボクはあの人と出会って――)

番長小屋の扉が開き、入り込んできた冷気が死滅理の思考を遮った。
自然のものとは違う、微かな違和感を含んだ冷気。
この冷気は魔人能力によるものだと、すぐに死滅理にはわかった。
(まさか、あの人もこのDNGの中に? 出掛けていたはずじゃ……?)
夫も一緒にこのトラブルに巻き込まれたのでは、と思った死滅理は素早く振り向いた。
だが、そこにいたのは、愛する夫とは似ても似つかぬ少年だった。

「誰かと思えば氷雨くんじゃないか。お久しぶり」
黒い耐寒レインコートを羽織り、刺すような冷気を纏って現れた少年に、死滅理は気安くあいさつした。
同じ雨竜院家ではあるが、死滅理と氷雨はかなり遠縁だ。
だが、氷雨のことはよく知っている。
大量の死者を出した危険な凍結能力者。雨竜院家存亡の危機をもたらした者を知らぬはずもない。

「……」
氷雨は応えるべき言葉を探したが、思考がまとまらなかった。
監禁。離島への放逐。島の繁栄のために死んでいった少女、村雨。
雨竜院家を怨んでいるわけではない。やむを得ぬ措置だったと理屈ではわかっている。だが。
周囲の冷気が一層強まった。
氷雨の感情が昂ぶるのに呼応し、非定常な状態変化を繰り返した大気中の水分が熱を奪ってゆくのだ。
死滅理の手に持つティーカップが、凍った紅茶の膨張によって砕けた。

「……そんな目をしないでくれよ。君には悪いことをしたと思ってる。ひとまずは協力して脱出しようじゃないか」
死滅理はささやかな謝罪と共に、現実的な提案をした。
氷雨が雨竜院家に抱いてる複雑な感情は、おおよそ理解できる。
しかし、目下取り組むべきハルマゲドンのためには、その思いは邪魔になるだろう。
そして、席を立つと氷雨に背を向けて歩き出した。

「……逃げるのか?」
氷雨の口からやっと出たのは、そんな言葉だった。
不器用な子だな、と死滅理は思った。
不器用で、真っ直ぐで、物静かに見える表面の内側には、熱い想いを秘めている。
――やっぱりあの人に、ちょっと似てるかもしれない。

「トイレに行くの。誰かさんのせいでお腹が冷えちゃったから」
死滅理は振り向くと、赤いワンピースの裾をちょいとつまみ、おどけて言った。
「もしボクが漏らすところを見たければ、いつでもどうぞ。――もっとも、命の保障はできないけど」
その言葉には、脅しも誇張も一切ない。
必要ならばいつでも人前で漏らしてみせるし、その姿を見ることは命に関わるのだ。

†††††

ザザーッ。
水音に包まれながら、死滅理は無事に用を足すことができた。
水音、と言っても実際に水が流れているわけではない。
排尿音を隠すため機械的に発させた合成音だ。
リアルに小汚く再現されている番長小屋だが、トイレだけは清潔で快適に作られていた。
それは、死滅理にとってありがたくもあり、さびしくもある微妙な気分だった。

雨の女神ミヅハノメに由来する緩い尿道を死滅理もまた受け継いではいたが、流石に成人以降は人前での失禁はめったにしていない。
とは言っても、下半身を解放して便器に腰掛けている瞬間は心が安らぐ。

氷雨の能力について考える。
感情の動きと呼応して、周囲の冷気が変化していた。
だとすれば、ある程度の制御は可能だろう。
彼の内面に渦巻く、怒り、憤りが収まれば、その能力を役に立てることができるはずだ。

(ボクがあの人に出会って変わることができたように、氷雨くんも変わることができるだろうか……)
死滅理は知らない。
既に彼が雨竜院村雨と出会い、いままさに変わってゆく最中であることを。

そしてもうひとつ、死滅理が見落としていたことがあった。

「あっ……紙が切れてる!?」

(おわり)

【愛の傘術指南】

華やかなピンク色の可愛らしい傘を水平に構える。
「えい!」
掛け声と共に、傘をふにゃっと突き出す。
雨竜一傘流の基本技『雨月(あめつき)』……っぽい何か。

「オッケー。だいぶ良い感じになってきたよ」
雨竜院死滅理が笑顔で親指を立てて激励する。

「本当ですか!」
相合傘愛が表情をぱあっと明るくして喜ぶ。

「んーん。ウ・ソ♪」
死滅理は笑顔のまま、親指をくるりと下に向けた。

「ひどーい!」
愛は眉を八の字にして、口を尖らせて激おこ。
表情がくるくる変わって面白い。
とってもからかい甲斐がある。

「傘の軌道がブレちゃ駄目。相手の視線に沿って、真っ直ぐに突き出せば距離感が掴めず避けにくい。そのまま目を突いてやってもいい」
いや、本当は良くない。
雨竜院の傘術は、もともと降雨祈願の奉納試合から始まったもので、殺人術ではないのだ。
急所攻撃はもちろん禁止。眼球への攻撃『蛇の目突き』は反則である。
だが、死滅理はもっぱら護身のために傘術を修めており、急所攻撃は得意なのだ。
そして、ハルマゲドンに備えて愛が身を守るために最低限の傘術を習う相手としては最適だったと言えよう。

「希望崎の傘部を作ったのはシメリさんの親戚って話、本当ですか?」
練習に疲れたのだろう。愛は一休みしておしゃべりしたそうだった。

「ああ。ボクの従姉妹の畢ちゃん。きみとは気が合いそうだし、面倒見のいい子だから傘部に入ったら色々教えてもらうといい」
死滅理はクルリと傘を回し、上下あべこべに持った。
「さあ、次の技を教えるよ。その名も……ボールブ!(Ball-Braker)」

「ボールブ!?」

†††††

練習終わってドリンクタイム。
運動後の水分補給はとても大切だ――特に死滅理の能力のためには。
ただし、飲み過ぎても悲惨な事故が起きるので加減が難しい。

スポーツドリンクをぐいっと飲み干した愛は、まん丸い目を輝かせながら死滅理に聞いた。
「シメリさんは、どうして昔、番長グループだったんですか? 昔はワルだったとか?」
その頭ではアホ毛が今にも跳ね上がりそうにウズウズしている。
恋バナを期待しているのだ。

「ワルだったってわけじゃないけど。でもボクの能力ってアレでしょ? 周りから避けられてた」
「なるほど! 漫画版のDeath子さんやあげはちゃんみたいなパターンですね!」
「まあ、そんな感じ」

「そして! 番長小屋で運命の出会い! 旦那さんはどんな人だったんですか?」
ぴこーん! アホ毛スタンダップ! 恋バナモードだ!

「曲がったことが許せない人で、ケンカばっかりしてた。そして、ボクが困ってた時に助けてくれたんだ」
「ほほう! 困ってた時とは具体的には?」
「あ……、それは別に、大したことじゃないから」
「ぜひ聞きたいです! 減るもんじゃないし!」
「……ボクが漏らした時に助けてくれたんだ」
「あ……聞いちゃってゴメンナサイ。詳細は結構です」

愛のアホ毛がしょぼんと縮んだ。
死滅理は、せっかく話そうと思ったのに断られて少し残念だった。

それは、死滅理にとって本当に救いだった。
あの人は、死滅理が作った水溜まりが床に染み込む前に凍結させ、いやな顔ひとつせずに手早く掃除してくれた。
「だって、誰かが掃除しなきゃいけないだろ?」
「人が恥ずかしがってる所を馬鹿にする奴が一番恥ずかしい奴だ」
「『おもらし笑うな来た道だもの、おもらし笑うな行く道だもの』ってな」
来た道、行く道、二人旅。これから通る今日の道。通り直しのできぬ道。
死滅理は、この人と共に人生を歩めたらいいな、とその時思ったのだ。

「ところで、私思うんですけど、義肢岸さんと奏江さん、なんかイイ雰囲気じゃないですか?」
死滅理が回想に浸ってるうちに、愛のアホ毛は再び勢いを取り戻していた。

「人造妹の義肢岸さんはお兄ちゃんに尽くすタイプっぽいから、ちょい尊大な奏江くんと相性いいかもしれない」
死滅理も楽しげに話に乗った。

「レトナイトさんは、犬(馬)が好きそうだからティンダロ子さんかな?」
「どうぶつ繋がりで神社さんともお似合いかも?」

「ハデスちゃんは生徒会に気になる人がいるっぽいです」
「おお、なんたる悲恋! それは応援してあげたいな」

「膣内村さんは唾液をくれる女性を探してますね。誰がいいと思いますか?」
「性格的には八一八さんが一番唾吐いてくれそうだけど、それってカップルじゃないよね。ま、唾だけならボクがあげても構わない。ところで……」

死滅理は愛に真っ直ぐ向き直って聞いた。

「愛ちゃんは、好きな子いるのかな?」
「えっ……それは……」
相合傘愛は顔を真っ赤にしながら、小声で死滅理に耳打ちした。
誰の名前が挙がったのかって? それは二人だけのヒミツです。

(おわり)

毒ナイフ使いの異常な行動 または彼は如何にして仲間を裏切って殺戮を愛するようになったか


「ケヒャーッヒャッヒャッヒャ」「キッーヒッヒッヒッー」
教室内に和気あいあいとした屈託のない笑い声が響く。
ここは仮想空間内にある希望崎学園の一室、
謎の組織によるゲーム改ざん事件から一週間が経過していた。
シャドウを名乗る謎の人物により、プレイヤーたちはゲームからログアウトできなくなったこと、ゲーム内での死が現実の死に直結することがアナウンスされ、そしてその直後、学園はモヒカン雑魚の大集団による襲撃を受けた。
多くのプレイヤーが死に、仮想空間内は恐怖と混乱で満たされた。
一時はパニックに陥ったプレイヤーたちの間で食料や拠点を奪い合う小競り合いが頻発していたが
今では生徒会主導の元、体育館にキャンプが築かれ、落ち着きを取り戻しつつ有る。
しかし収容人数の多さのため、一人あたりに割り当てられる生活スペースは狭く、プライバシーは無きに等しく、食料の配給も十分とはいえず、シャワーの時間は1人3分、隣人のいびきはうるさいetc...
そんな状態ゆえ、自力で生きていけるだけの力がある者や協調性のない者など、全体の半分以上はキャンプに属さずに小さなグループや、ソロで活動することを選んだ。
そしてその中には他プレイヤーからの略奪によって手っ取り早く資源を獲得したり、下卑た欲望を発散しようとする非道な連中も居た。PlayerKillerと呼ばれ、忌み嫌われる存在である。

「キシシシシ、今日の女も最高でヤンしたね~っ」
「ちげえねえ、アバターってやつはどいつもこいつもお綺麗に出来てやがる、ガハハハハ」
「現実よりよほどこっちでの生活のほうが楽しいッスねえ、ゲヒッゲヒッ」
「ああ、あの頃は女にもモテず、意を決してナンパすれば横からやってきたカッコつけの魔人にぶっ飛ばされ、ロクなことがなかった」
「そうでやんした、そうでやんした」
「こっちでこうしていい思いができるようになったのも、あの先公のおかげだな」
「あの人があんなに頼りになるお人だったとは、知らなかったッスねえ」
彼らが噂しているのは希望崎学園教師、二一。
野生動物並みの知能しかなかったチンピラどもを手なづけ、知恵を与え、そして確実に勝てる状況をお膳立てしてくれる、PKプレイヤーの指導者的存在である。
二一の指揮のもと、PKプレイヤーたちの数は急激に増加し、今やそれなりの勢力になりつつあった。

「みなさ~ん、カレーが出来たザマスよ~」
厨房から声が聞こえる。それを合図にチンピラたちは歓談や酒盛りを中断し、テーブルを片付けて食事の準備に入った。
「おい、新入り。あんたこっちきて鍋運ぶの手伝いなさい」
そう声をかけて食事当番はご飯の釜を運んでいった。
「キッーヒッヒッヒッーこいつはうまそうだぜぇ~」
呼ばれた新入りは舌なめずりをしながらカレーを味見する。なんとなく一味足りないような気がする。
「あぁ~。もっと刺激が、最高の辛味が味わいてぇんだよぉ~」
カレー粉や唐辛子を探すも、新入りの彼にはどこに収納されているのかわからない。
「んん~?この茶色の小瓶は?」
がさごそと辺りを引っ掻き回した彼は、英語で書かれたラベルの貼られている小瓶を発見した。当然読めない。
「こいつはアーモンドの刺激的な香りじゃねえかぁ。キーッヒッヒ」
大雑把に鍋にふりかける。勢い余って一瓶まるごと入れてしまったが、かき混ぜればごまかせるだろうか。
気まずくなった彼は、鍋を運んだ後さりげない風を装ってトイレに立った。
「へっへっへ、カレーを見たら催してきちまってね。先に出すもん出してからいただきますわ」


トイレから戻った彼が目にしたのは、青酸中毒でもだえ苦しむ仲間たちの姿だった。
呆然とする彼のシステムウィンドウにはファンファーレとともに大量のメッセージが流れ続けていた。

無名の毒ナイフ使いは180のEXPを入手した
無名の毒ナイフ使いは120のEXPを入手した
レベルアップ!
攻撃力が1上昇した
防御力が1上昇した
体力が1上昇した
コストが1上昇した

激論、う○こVSお漏らし

「う○こだ!」「いやお漏らしだ!」
今日も番長Gの会議は喧々諤々の議論が繰り広げられていた。
うんこの化身であり圧倒的な恐怖で観るものを支配する「う○こ」
そしてお漏らしによって生きとし生けるものの無常を表しすべてを滅ぼす「雨竜院死滅理」
両便並び立たず。二人の強大な魔人のどちらを主戦力に据えるかで、生徒会との全面衝突を間近に控えた会議は連日ヒートアップの度を増していた。

小便と大便との言葉もある通り、本来ならうんこの勝利は揺るがない。
しかし、う○こ派を率いているのが奏江慶澄であったことが揉め始めたそもそものきっかけだった。
率いているというのは正確ではない、単に彼が最初の会議で声高に主張し始めたというだけだ。
だが、その言い方が出席者全員の癇に障った。
こいつの言うとおりに事を進めるのは癪だ。
ただそれだけの理由で、反論のための反論が重ねられ、議論は紛糾し、今や番長Gは内部分裂の際まで来ていた。

う○こ派の奏江に従うのは、人間ちゃん、義肢岸暗暗、S・H・A・D・O・W、お賽銭BOX!など
他人からとにかく嫌われる奏江は、逆に人間らしい感情の乏しい相手には妙に強い。
恐らく態度が異様にでかく、押しが強いからだろう。
最近では教祖を札束でひっぱたいて従わせ、どうやったのか日下部くんも引き入れた。
肝心のう○こ本人は一体何を考えているのか、普段から人を寄せ付けないその表情からは何の感情も読み取れない。
というより番長G内にう○この能力を知っているものが何人いるのかすらよくわからない。
お漏らし派の多くは相手の能力すらよくわからないまま反論している状態である。
対して、奏江の主張する意見自体は筋が通っておりその舌鋒は鋭い。
このままでは押し切られてしまう。お漏らし派は焦った。

「こうなった以上…」
「うむ…」
「死滅理様にも」
「ウンコを漏らしていただく他ありますまい!」

雨竜院氷雨の到達した結論はそこであった。
もはや何の議論だったのか誰にもわからない。
だが、この結論はあながち的外れではない。
実際の所、雨竜院死滅理がウンコを漏らせば大規模殺戮も可能なのである。

「ごケツ断を!」
怖い顔をしてずずいと迫る。

「ひぃぃ…」
雨竜院死滅理は完全に涙目だった。尿も少し漏れていた。
(勘弁してよぉ…)

果たして決断は如何に…(結果は番長Gのスタメン提出でね!)

番長G入場!!

番長G入場!!

落ち武者は生きていた!! 更なる研鑚(パソコンの)を積み人間凶器が甦った!!!
幽霊!! インターネットお化けだァ――――!!!

お嬢様の支度はすでに私が完成している!!
時使い 寺門 昌だァ――――!!!

テンパリしだい連れ去りまくってやる!!
冥界代表 冥王ハデスちゃんだァッ!!!

ネットゲームなら中華の歴史がものを言う!!
華僑の一族 奏江 慶澄 !!!

真の裸身を知らしめたい!! 全裸女子高生 ぜんらちゃんだァ!!

能力効果は3種類だが余ったコストは全部オレのお賽銭だ!!
神社の木箱  お賽銭BOX!だ!!!

全アニメのベスト・萌えは私の中にある!!
新興宗教の神様が来たッ 神様 !!!

信仰心なら絶対に敗けん!!
布教用の単行本見せたる 新興宗教 教祖だ!!!

コイバナ(恋の話)ならこいつが怖い!!
恋に恋するピュア・ガール 相合傘 愛 だ!!!

困っている者を助けたいから人間の姿になったのだ!!
妖狐の霊力を見せてやる!! 神社 千代狐 !!!

GK注:追加コストは支払っていないとはよく言ったもの!!
缶娘の冷凍マグロが今 仮想空間でバクハツする!! 潜水型ネーム缶 伊4KAN-Jだ―――!!!

宮内庁こそが日本最強の代名詞だ!!
まさかアンドロイドがきてくれるとはッッ 人間ちゃん!!!

バグを感染しにここまできたッ 正体一切不明!!!!
ニュージェネレーションのパンデミック(伝染性の)現象 感染源(暫定名)だ!!!

お前らは能力者ではない ただの妄想なのだ!!
御存知筆ペン習字5段 鈴木 五郎 !!!

馬術の本場は今やゴールデンレトリバーにある!! オレを驚かせる奴はいないのか!!
ゴールデン・レトナイトだ!!!

クサァァァァァいッ説明不要!! FS20!!! コスト13!!!
う○こだ!!!

緊急停止プログラムは緊急時に使えてナンボのモン!!! 超実戦ドジっ子!!
メインシステムから金口ぼたんの登場だ!!!

鋭角はオレのもの 先の尖っているやつは思いきり追いかけ思いきり殺すだけ!!
由緒正しい魔人家系 猟犬沢ティンダロ子

仮想空間を楽しみにきたッ!!
機密連合『烏合』からの派遣暗躍者 血霞のシバリ!!!

中二力に更なる磨きをかけ 【クレイリー・ブラッド】 蓮柄円が帰ってきたァ!!!

今の自分に唾液はないッッ!! 膣内(なか)村一族 膣内村ワタル!!!

ネットゲーム中毒の汚ギャルも今服を脱ぐ!! 家のパソコンから 石ノ森 砂奈だ!!!

仮想世界でなら私はいつでも高校生だ!!
濡れる下着 雨竜院死滅理 旧姓で登場だ!!!

教師の仕事はどーしたッ 仲間たち 未だ現れずッ!!
騙すも始末も思惑違い!! 二一だ!!!

特に理由はないッ 転校生より強いのは当たりまえ!!
一くんにはないしょだ!!! ご飯おかわり!
一 八一八 がきてくれた―――!!!

電脳世界で活動が確認されたコピープログラム!!
ニュージェネレーションのデンジャラス・プログラム S・H・A・D・O・Wだ!!!

失禁だったらこの一族を外せない!! 超A級魔人 雨竜院氷雨 だ!!!

超一流紳士の超一流のビームだ!! 生で拝んでオドロキやがれッ
希望崎のヒゲ部!! 日下部くん!!!

理想の妹が帰ってきたッ
どこへ行っていたンだッ 番長ッッ
俺達は君を待っていたッッッ 義肢岸 暗暗の登場だ――――――――ッ

【『蓮柄円』について】

都市伝説的に囁かれている『蓮柄円』について、私の知る情報をここに記したい。
『蓮柄円』とは、夢見がちな少女たちが生み出した空想上の存在ではない。
噂話の通り、「蓮柄まどか」は実在し、妃芽薗学園で命を落とした女生徒である。
だが、それは彼女の真の姿ではない。
彼女は“転校生”であり、ハルマゲドンを招く者なのだ。

(以下数行、興奮のためかやや字が乱れている)

やったぞ! 消えていない!
ついに私は蓮柄の改竄に抗しうる魔法インクを作り出したのだ!
これで伝えられる!
蓮柄の真実を! あの子たちの死の真実を!

(字体が落ち着きを取り戻す)

まずは『蓮柄円』が昭和43年に引き起こした最初のハルマゲドンで命を落とした少女たちの名を、書いておきたい。
番長グループ陣営:はいりオブ片桐、ステファニー・シャリフ、猫岸舞、吊井美晴
生徒会陣営:毒雪姫、南海螢
私達は蓮柄によって閉鎖空間に閉じこめられ、ハルマゲドンを余儀なくされた。
そして、6名の少女の命を代償に、私はおめおめと生き長らえた。
特に南海螢は、蓮柄円に直接殺害された最初の犠牲者であると思われる。

南海螢が殺害された時、私は少し離れた場所にいたため死の瞬間は目撃していないのは当然だ。
だが、南海螢のすぐ隣にいたはずの「トライアングル」と呼ばれる少女すら、その瞬間を目撃していないのだ。
「気付いた時には死んでいた」と、彼女は言った。

恐るべきは、蓮柄円の徹底的な自己隠蔽能力である。
単に姿が見えない、という生易しいものではない。
我々は『蓮柄円が存在していること自体を認識できない』のだ。
だから、南海螢が蓮柄円に殺されたというのも、我々の推測に過ぎない。
蓮柄円について書かれた文章すらも、いつの間にか消滅してしまう。

妃芽薗学園に入学して来た『まどか』も、過去30年間に何度か現れた『蓮柄円』と全く同じ姿をしていた。
『まどか』は死に、その噂話が広く拡散している。
鏡の中で。コンピューターの中で。蓮柄円を見たという話がまことしやかに囁かれている。

またもや、ハルマゲドンの惨劇が繰り返されるのだろうか。
しかし、私は何もすることができない。
コンピューターに挑戦してみたのだが、年寄りにはちょっと無理だった。
新たな犠牲者が生まれないことを、私はただ祈るのみである。

――後藤うさによる手記

人間ちゃんのプロローグSS的な

 …………キュイン ショ ズァーーーー……
 DNGに侵入した人間ちゃん。登場場所は暴力オデッセイ県の港町。漁師が水族館/ヤクザが動物園を経営し、プレイヤーはどちらかの陣営に入って指詰め連打ゲームができる地域だ。非常に人気がない。
 通りがかるヤクザ(あるいは漁師、彼らは常に裸なので区別がつきにくい。サメの歯型がついてるのはボス漁師で、ボスヤクザは心臓が2つある)、彼らに「空気振動によるごぐポピュラー的な一般意思疎通:Type-Normal」を行う。
「もしもし。もしもし。しつもんその1→いつ:いま、どこで:ここで、誰が:あなたがは、どうした:どうかした?」
「くそたれ、自分、どこ見とんじゃ」
「なんじゃ、われ、目ぇついとるか」
「もしもし。もしもし。しつもんその2→いつ:いつ、どこで:どこかで、誰が:誰かが、どうした:なにかしましたか↑?」
「おいコラ、われ、どこ見とんじゃ」
「んだタコ、こら、どこ見とんじゃ」
 ガスッ、ヤクザ(or漁師)が人間ちゃんをキック。ヤクザキック。人間ちゃんはハッキングでDNGに侵入したので、ゲーム内パラメータ(友好度等)が異常値になっているのだ。ヤクザキックといっても人間なので、そして人間ちゃんは機械なので普通に硬い。
「もしもし。注意!ウナガシマス! もしも、きみら、You、私存在に攻撃行為違法行為犯罪行為を行うなら、行おうとするなら、私迎撃態勢に入り、入るのでご注意ください。非常に危険領域に戦闘する、殺すこともあるので、ある。である。殺すこともある」
「おいワレ、どこ、目ぇつけとんか」
「あっ、ダメですよ。殺しますよ、殺しますよ、最終通告です、殺しますよ――CAN DO」
 通告無視してNPCが殴ってくるので、人間ちゃんは殺すと定めた。
 形を変形。マガジンを手の甲へ。両手指の数が10から20、20から40、ぽっかりと空いた空洞から高濃度の紫が飛ぶ。そして爆発。
どかどっどかーんどどがどギャーがどがどんどんガー
どか どかーん ギャーどかどかどんどかど
ウバばごードガん どかどかギャリどかんんんんどかん
 CANDO>open小型ミサイルで漁師(orヤクザ)をふっ飛ばしていくがいかんせん数が多い。人間ちゃんは実体そのままで侵入しているため、弾薬が無限というワケにはいかない。目立つし。
 こぉなったら。
「Undoをどうぞ」
 きゅりゅりんと全身をねじり、くわわり、浮遊する。柔らかな角、人間ちゃん飛行形態である。
 その飛行は絶対安全モードであり、周囲の時間を巻き戻すことで己の脅威を排除する。
「なんやね、たこ、ころす」
「ばーぶー、あー、あばば」
「ばばばばばばばばばばば」
「冬きたりなば春遠からじ」
 漁師orヤクザはすっかり子供、あかちゃん、前世にまでさかのぼる。しかし彼らのことはどうでもいい、人間ちゃんは飛行。飛ぶ。海を越える。着陸→一歩で街。
 雨。
「はい」
 傘。
「なにもの」
 相合傘愛は笑顔でこたえる。
「私はたんなるおせっかいさんっ! なんか、寂しそうだったから」
「質問があるのだけど、質問します。よろしいですか」
 このあたりで人間ちゃんが人間じゃないと気付きびっくりする。しかし表情には出すまいと気遣う。
「えっ、あ、うん。どうぞ」
「いつ:いつ、どこで:このあたりで、誰か:誰かが、どうした:なにかした?」
 …………。
 ……………………。
 ………………………………。
「えーっと、わたしは分からないけど、ちょっとウチに来てみない? 恋人ができるかも?」
「うんっ? ……きゅう。 うんっ? ……きゅう うんっ?」
 人間ちゃんは首をかしげている。
「キミの質問は正直よくわからないけど、暇ならウチに来たらどう? たくさん人がいるよ、みんなでDNGから脱出しようとしてるんだ」
「……きゅう。うんっ? よし」
 うなずく人間ちゃん。
 愛は満面の笑みを浮かべた。
「じゃっ、立ち話もなんだし、行こう!」
 だんだん強くなる雨の中、二人はひとつ傘の下。
「あっ、そうだ。大事なことなんだけどね、えっと、きみ、名前はなんっていうの?」
「そうです。人間ちゃん、と、ご主人様には呼ばれています」

【フロスト姉貴】


『おしっこ漏れそう』……そんな言葉は使う必要がないんだ。
なぜなら、ボクや、ボクたちの仲間は、
その言葉を頭の中に思い浮かべた時には!
実際にパンツと床を濡らしちゃって、もうすでに終わってるからッ!
だから使った事がないッ。
金雨ちゃん、キミもそうなるんだッ! ボクたちの仲間なら……
わかる? ボクの言ってる事……ね?
『おしっこ漏らした』なら、使ってもいいッ!

【雨竜院氷雨エピローグ】


【雨竜院氷雨エピローグ2】


【雨竜院死滅理・エピローグ】

ハルマゲドンの中で、氷雨君は恐るべき能力『事故多発帯』の引き金となり、正気を失った結果として切絵†瑛蓮の餌食となった。
生徒会に所属していた夕立君はシステム内に取り残され、無数のモヒカン雑魚と戦って死んだ。
多くの若者を犠牲にして、ボクは還ってきた。
仕方ないことだった。
もし直接、夕立君と戦うことになっていたとしても、ボクは迷わず『浄者必垂』に巻き込んでいただろう。

人は毎日、何らかの命を糧にして生きている。
ボクが生きているということは、ボクのせいで死んでいった者たちも、ボクの中で生きているということだ。
だから悲しむ必要は、ない。
でも、今は。
もう少しだけ、貴男の胸で泣かせてくれても、いいよね。

†††††

華やかなピンク色の可愛らしい傘を水平に構える。
「えい!」
掛け声と共に、傘をしゅっと突き出す。
雨竜一傘流の基本技『雨月(あめつき)』。

「すごい! とっても上手だよ!」
黄色いショートカットの小さな女の子が、パチパチと手を叩く。
一見して小学生のように見えるが、じつは彼女は高校生。
傘部の初代部長、雨竜院畢(うりゅういん・あめふり)である。

「雨粒でも貫けるぐらい、もっと速く真っ直ぐに、相手の視線に沿うように突いてみて。でも、そのまま目を突かないよう注意だよ」
畢は将来有望な新入部員、相合傘愛に、熱のこもった指導をしている。
いつも元気な畢は、いつも以上に張り切り全開だった。

「畢ちゃん、やる気満点だね」
様子を見にきた死滅理は、水色の髪に水中眼鏡を乗せた少女、栗花落三傘(つゆり・みかさ)に声を掛ける。
死滅理が傘部を見に来るのは珍しいことだが、三傘は雨竜一傘流の道場門下生なので顔見知りだ。

「はい。僕も負けてはいられません」
三傘は新入生たちを対抗心も露わに見つめていた。
彼女は畢のことを熱心に尊敬する信奉者なのだ。

(おや? あの水色の髪の先輩……)
その視線に愛が気付く。
(ふむふむ、つまりあの先輩は畢部長のことを……! 私としては、女の子同士もアリ!)
ぴこーん! 勘違い溢れるコイバナの予感にアホ毛が跳ね上がる!

新しい仲間を迎え、ますます賑やかなことになりそうな希望崎学園の傘部。
願わくば、この平和な日々がとこしえに続きますように。