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黒虫愛好な不気味さん



◆ ◆ ◆

人には、それぞれ才能がある。
スポーツ、学問、芸術とかのね。
確かにそのとおりだ。誰でもひとつはある筈だ。
僕もある才能を持つ。
超能力って知っているかい?
瞬間移動や念力、千里眼とか……テレパシーなど。
僕は、超能力を持って生まれてきた。
でもそんな凄いものじゃない。テレパシーの亜種みたいな能力さ。
能力は"ある生物"と会話を行える事。
なんの生物かって?少なくとも哺乳類じゃないよ。
この能力は、僕が望んでいた存在を与えてくれた。何かって?
『友達』だよ。
僕には友達がいなかったんだ。

虐められていた。

気持ち悪いって、暗いって、ホラーだって、そんな理由で、虐められていたんだ。
不気味だから、怖いから?……皆からの言葉を聞きながら、僕はよく泣いていたよ。昔はね。
ある時、僕は路地裏に隠れて、しくしく泣いていた時がある。
いつ頃だった時だっけか?
兎に角、僕は小さい頃、路地裏で泣いていた時があったんだ。
路地裏は、なんとなくだけど不衛生なイメージがないかな?
僕にとっては、記念すべき『初友達』が出来た場所でもある。

『なんで泣いてるの?悲しいの?』
この声が、僕が聞いた最初の彼らの声。
「だっ誰?」
最初は驚いた。周りを急いで見回したけど、誰もいなかったことが地味に怖かったと覚えてる。
周りを見回しても、わかるわけないのにね。彼らはちっちゃいんだ。凄く。
『あたしの言葉がわかるの?もしかして?すごーい!!』

こんな感じの始まりで、僕は自身の能力に気づいた。
後で色々試したんだけどね。
僕の名は 蟲之黒玄(むしいこくげん)。
南米の大学で、"彼ら"の生態を研究していた学者だ。
そんな僕、つい先程まで研究所に居たはずなのに、気づいたら拉致されて、バトルロワイアルという殺し合いを強要されているんだ。
僕の服に隠れてた"彼ら"も此処に来ているし、これからどうすればいいんだろう?

青の国は、現代社会のような近代的な建物が多い作りになっている。
住宅街などの建物も、住む人間が居ないのにしっかりとある。
馴染み深いコンビニなども、ちょっと探せばあるだろう。
現在、黒玄は青の国にあるデパートの中に居る。
より詳しく言えば、4階建てのデパートの最上階の男子トイレの中に居る。
腰まで伸ばしたストレートの黒髪。男なのに女のような髪質に見えるし、ストレートに言えばロン毛だ。
学者らしく白衣を着ているが、意外と似合っている。
顔の作りは結構イケメンなのだが、目の下のクマと、少々痩せ過ぎの体格が、少々残念。
どことなく陰気な暗い印象を受ける。
例えるなら、真夜中の日本人形のような不気味さ……それが近いだろうか?
今現在、 男子トイレの床には、彼の親愛なる『友達』が見なれぬトイレを徘徊している。

カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ

『ボス~、ボス~、ここどこ~』
『おなかへった~、ごはん~』
『見慣れぬ便所だと物申す』
『パパーパパー、ここどこなの~』

テカテカと黒光りする体。
動くたびにガサガサなる足。
常に動く触覚。




ゴキブリである。黒い害虫の王である。



ただのゴキブリではない。
黒玄が南米の大学で趣味兼実験により品種改良した、並みのゴキブリよりも巨大なスーパーゴキブリ。
そのスペックはなんと通常の20倍ほど。
因みに数はざっと500匹。多過ぎである。

「(皆、お腹減ってるだろうけど、我慢してね)」

ここまで来れば分かるだろうが、黒玄の超能力は『ゴキブリとテレパシーで会話を行える』能力。
なぜかゴキブリ限定のこの能力……直接戦闘などには向いていないが、精神的な攻撃力は絶大だろう。
補足だが、ゴキブリ達の声は黒玄しか聞こえない。
黒玄は、かるく心で念じるだけで、ゴキブリ達に意思を伝えることができる。
地味にすごい。

初めて能力を認識した時、一匹のゴキブリが幼い彼に話しかけた。
虐められ、隠れて泣いていた時の接触。
タイミングは見事に合い、黒玄は初友達がゴキブリという悲しい過去ができた……本人は気に入っていたようだが。
本人のこの能力もあり、彼は昆虫学者になった。
研究対象はゴキブリ。理由は友達のことをもっと詳しく知りたいから。
見事に変人道を突っ走っている。
同じ学者参加者であるMr.田中博士とどっこいどっこいだろう。

「(とりあえず皆、いつものポジションに戻って)」

『『『『『ラジャー』』』』』

黒玄の指示により、スーパーゴキブリ達が"元の位置"に戻る。
このゴキブリ達は、黒玄と接触していたため、この殺し合いに呼ばれた。
考えてみてほしい、こんな大量のゴキブリが、一体どんな風に黒玄と接触していたかを。
大量のゴキブリが、黒玄の体、着ている白衣の内側にカサカサと潜り込む。
凄まじく気持ち悪い。黒玄には悪いが、生理的に無理だ。

話は簡単。黒玄は服の下にゴキブリを詰め込んでいたのだ。
とんでもない変人である。見ていてとてもショッキングな光景だ。
大量のゴキブリが全て白衣の下に隠れたが、四次元ポケットのように不思議と、外見に変化はない。

「(この子達は頼りになるけど……危ない目に合わせたくないな)」
現在、白衣の下に蠢く全てのゴキブリは、黒玄が卵から丹精込めて孵化させた者。
親としては、危険な目に合わせたくないようだ。
だったら服の下なんかに詰め込むなよ!……と、ツッコミを入れたくなる。

「(僕は強くないけど……この子達を守ろう、こんな殺し合いなんて、あってはいけないんだ)」
黒玄は、根は優しい男だ。
過去に虐められた経験により、いわゆる『相手の気持ち』がわかる人間。
それが黒玄。

彼は、かなり癖のあるお供を連れ、このロワをどう往くのか?
それはまだわからない。


【F-3青の国デパート/未明】

【蟲之黒玄】
【状態】健康。黒縁メガネ。ロン毛。
【装備】品種改良したスーパーゴキブリ×500匹ほど
【所持品】基本的支給品×Ⅰ ランダム支給品×2
【思考・行動】
1:殺し合いには乗らない
2:この子達(ゴキブリ)は危ない目には合わせたくない。
3:着ている白衣の下にゴキブリを仕込んでいます。
【備考】
※テレパシー能力によりゴキブリと会話を行えます。
※雰囲気が危なく見えるので、能力ともに他者に誤解を受けるかもしれません。



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