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**怒るは正当なり ++++++++++ 【怒る《おこ・る》】 1 不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。「真っ赤になって―・る」 ++++++++++  どんな世界でも、対立は起こるものだ。  例え同じ同族でも、意見の違いや立場からモメることは珍しくない。  なら、種族そのものが違うなら尚更、そんな対立は増えるだろう。  世界は意外と知らないことが多い。  そこらの一般人は、人類だけが社会を営んでいると勘違いしている。  いや、多分そう信じたいのだろう。  未知を恐れるのが当たり前なのだから、人間は。  妖怪や吸血鬼、妖精や狼男に神の子……果は宇宙人なんかも、この世界には存在する。  とうきょうーー『東京』じゃなく、『東狂』と称される都市がある。  東の字に狂、人と人ではない者達が密集し、共存できている不思議な場所。  共存できていると言っても、そう上手くは行かない。  人では無いもの……妖怪と、人間との摩擦は無くならない。  それらの荒地を収めるために、複数の組織が存在する。  荒っぽい妖怪の喧嘩や騒ぎを収めるため、これまた荒っぽい面々が多く在籍する妖怪ヤクザ。  これはそんなヤクザな兄弟の一人、怒りん坊のちょっと変わった状況のお話。 ++++++++++  彼は怒っていた。  尋常じゃないくらい怒っていた。  凄まじく怒っていた。  全身が見るからに堅そうな岩石状に盛り上がり、さながら巨大なゴーレムの様。  その肉体は活力に溢れ、明らかに4メートルはあるその巨体。  その身に纏うは、白いふんどしだけ。  彼の足元には、身につけていた服の残骸が落ちている。  変身した際に破れたのだろう。  その妖怪ーー『怒りん坊』は、地獄の一角にて意識を取り戻した際に、擬態を解除し、妖怪本来の姿に戻っていた。  周りを見渡す限り、人影は無い。  あるのは、まるで大海のように広がる、赤く煮えたぎるマグマの海だけ。  不思議と熱くはないが、万が一落ちてしまったら助からないだろう。  それ以外は、草一本すら生えていない地面と石ころだけ。  遥か先の方に、街のようなものが見える。  彼は怒っていた。  ふんどし一丁の姿で、周りで煮えたぎっているマグマと同じように、下手したらそれ以上の怒りを感じていた。  その目は赤く血走り、歯を強く噛み締め、まるで般若のような形相。  何が彼をそこまで怒らせているのだろうか?  一体どんな出来事が、彼にそこまでの怒りを与えたのか? 「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」  内なる怒りの原因も語らず、その場に響くのは彼の唸り声だけーーー 「ギョルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」 ーー唸り声ではない。  まるで獰猛な、獣の鳴き声のようなその音は、食いしばる歯の奥からではなく、怒りん坊の見事に割れた腹部から鳴っていた。  そう、腹の虫が絶賛大暴れしている音だ。  怒りん坊の頭に現在浮かんでいる事は、ただ一点だけ。   「(腹が減った)」  只それだけ。  それだけが、怒りん坊の怒りの理由。  つい先ほどまで、愛すべき兄弟たちと囲んでいた鍋はなく、  何やら深刻そうな顔で俯いていた、愛する弟の顔もなく。  その弟に、複雑そうな視線を送っていた兄もなく。  先ほどまで食していた、炊きたてのご飯もない。  死神エレキシュガルとやらに、その上司らしい閻魔大王とやら。  地獄やら天国やら……死んだことはないので、よくはわからない。  ぶっちゃければ、怒りん坊は殺し合いなどどうでも良い。  それなりに修羅場をくぐり抜け、死線もそれなりに超えてきた。  それでも、己の肉体は負けたことはない。  自分に勝ちうる存在など、兄以外居ないだろうが……  兎に角、殺し合いを強制される事よりも、  食事の機会を奪われた事こそが、怒りん坊には大事な事。  今の世の中、食材の値段も馬鹿にならない。  経済的な事は三男の弟に任せっきりだが、税の値上がりだとかで、それなりに悩むことだとは怒りん坊も知っている。  それゆえに、一日汗水垂らして働き、その金で遣り繰りして得ることのできた鍋。    それを、食べれなかった。  鍋を!大事な我が家の鍋を!食べれなかった!白米しか口にしてなかった!  食べ物の恨みは何よりも恐ろしい……正に目の前のことを指すのではないか?  鳴り止まぬ腹の音を聞きながら、尊敬する兄と弟の顔を思い浮かべる。  二人も、この場に呼ばれているのか……?  兄はともかく、少々弟が心配だ。  考えたくはないが、もし呼ばれているとすればーー 「エレキシュガル、閻魔、絶対に許さない」  地獄の一角の中、巨大な岩鬼は思う。  空腹の間と、兄弟たちへの懸念と共に。    俺は怒るぞ。怒らせたのはお前らだ。  食の恨み八割と、状況に対しての怒り二割の思いは、一体何を起こすのか?      それは、まだわからない。    彼の弟である『隠れん坊』。  その兄の『怒りん坊』。  現時点詳細不明な長男『暴れん坊』。  今、奇しくも離れた距離にいながら、少なくとも三男と次男は、同じ事を考えている。   「(腹減った)」  やはり、兄弟は似るものなのだろうか?  少々食い意地が張りすぎだと思う。  怒りん坊は強い。  全身を覆う、強固な岩石に、その効果を最大限発揮できる筋力。    彼がこのロワでどんな影響を与えるかは、神のみぞ知る事だろう。 【H-9荒野/未明】 【怒りん坊】 【状態】健康、擬態解除による妖怪形態。怒り状態。 【装備】無し 【所持品】基本的支給品×1 ランダム支給品×3 【思考・行動】 1:とりあえず食い物が欲しい。 2:兄弟達が同じく拉致されているのなら、合流したい。 【備考】 ※種族柄ふとした事で怒ります。 ※最終的に殺し合いに乗るかは不明。 ※空腹を満たした場合、怒りは静まるでしょう。 ※兄弟達の危機を感じ取れます。 ※基本的に弱い人間には興味を持ちません。 ---- **SSリンク |[[隠れます!!ビビってるわけではない!!]]|前話|次話|[[金の恨みは恐ろしい]]| ---- **このSSの登場人物 -[[怒りん坊]] ---- [[本編SS目次へもどる>本編SS目次]] [[トップページへ>トップページ]]
**怒るは正当なり ++++++++++ 【怒る《おこ・る》】 1 不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。「真っ赤になって―・る」 ++++++++++  どんな世界でも、対立は起こるものだ。  例え同じ同族でも、意見の違いや立場からモメることは珍しくない。  なら、種族そのものが違うなら尚更、そんな対立は増えるだろう。  世界は意外と知らないことが多い。  そこらの一般人は、人類だけが社会を営んでいると勘違いしている。  いや、多分そう信じたいのだろう。  未知を恐れるのが当たり前なのだから、人間は。  妖怪や吸血鬼、妖精や狼男に神の子……果は宇宙人なんかも、この世界には存在する。  とうきょうーー『東京』じゃなく、『東狂』と称される都市がある。  東の字に狂、人と人ではない者達が密集し、共存できている不思議な場所。  共存できていると言っても、そう上手くは行かない。  人では無いもの……妖怪と、人間との摩擦は無くならない。  それらの荒地を収めるために、複数の組織が存在する。  荒っぽい妖怪の喧嘩や騒ぎを収めるため、これまた荒っぽい面々が多く在籍する妖怪ヤクザ。  これはそんなヤクザな兄弟の一人、怒りん坊のちょっと変わった状況のお話。 ++++++++++  彼は怒っていた。  尋常じゃないくらい怒っていた。  凄まじく怒っていた。  全身が見るからに堅そうな岩石状に盛り上がり、さながら巨大なゴーレムの様。  その肉体は活力に溢れ、明らかに4メートルはあるその巨体。  その身に纏うは、白いふんどしだけ。  彼の足元には、身につけていた服の残骸が落ちている。  変身した際に破れたのだろう。  その妖怪ーー『怒りん坊』は、地獄の一角にて意識を取り戻した際に、擬態を解除し、妖怪本来の姿に戻っていた。  周りを見渡す限り、人影は無い。  あるのは、まるで大海のように広がる、赤く煮えたぎるマグマの海だけ。  不思議と熱くはないが、万が一落ちてしまったら助からないだろう。  それ以外は、草一本すら生えていない地面と石ころだけ。  遥か先の方に、街のようなものが見える。  彼は怒っていた。  ふんどし一丁の姿で、周りで煮えたぎっているマグマと同じように、下手したらそれ以上の怒りを感じていた。  その目は赤く血走り、歯を強く噛み締め、まるで般若のような形相。  何が彼をそこまで怒らせているのだろうか?  一体どんな出来事が、彼にそこまでの怒りを与えたのか? 「グルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」  内なる怒りの原因も語らず、その場に響くのは彼の唸り声だけーーー 「ギョルルルルルルルルルルルルルルルルルルル」 ーー唸り声ではない。  まるで獰猛な、獣の鳴き声のようなその音は、食いしばる歯の奥からではなく、怒りん坊の見事に割れた腹部から鳴っていた。  そう、腹の虫が絶賛大暴れしている音だ。  怒りん坊の頭に現在浮かんでいる事は、ただ一点だけ。   「(腹が減った)」  只それだけ。  それだけが、怒りん坊の怒りの理由。  つい先ほどまで、愛すべき兄弟たちと囲んでいた鍋はなく、  何やら深刻そうな顔で俯いていた、愛する弟の顔もなく。  その弟に、複雑そうな視線を送っていた兄もなく。  先ほどまで食していた、炊きたてのご飯もない。  死神エレキシュガルとやらに、その上司らしい閻魔大王とやら。  地獄やら天国やら……死んだことはないので、よくはわからない。  ぶっちゃければ、怒りん坊は殺し合いなどどうでも良い。  それなりに修羅場をくぐり抜け、死線もそれなりに超えてきた。  それでも、己の肉体は負けたことはない。  自分に勝ちうる存在など、兄以外居ないだろうが……  兎に角、殺し合いを強制される事よりも、  食事の機会を奪われた事こそが、怒りん坊には大事な事。  今の世の中、食材の値段も馬鹿にならない。  経済的な事は三男の弟に任せっきりだが、税の値上がりだとかで、それなりに悩むことだとは怒りん坊も知っている。  それゆえに、一日汗水垂らして働き、その金で遣り繰りして得ることのできた鍋。    それを、食べれなかった。  鍋を!大事な我が家の鍋を!食べれなかった!白米しか口にしてなかった!  食べ物の恨みは何よりも恐ろしい……正に目の前のことを指すのではないか?  鳴り止まぬ腹の音を聞きながら、尊敬する兄と弟の顔を思い浮かべる。  二人も、この場に呼ばれているのか……?  兄はともかく、少々弟が心配だ。  考えたくはないが、もし呼ばれているとすればーー 「エレキシュガル、閻魔、絶対に許さない」  地獄の一角の中、巨大な岩鬼は思う。  空腹の間と、兄弟たちへの懸念と共に。    俺は怒るぞ。怒らせたのはお前らだ。  食の恨み八割と、状況に対しての怒り二割の思いは、一体何を起こすのか?      それは、まだわからない。    彼の弟である『隠れん坊』。  その兄の『怒りん坊』。  現時点詳細不明な長男『暴れん坊』。  今、奇しくも離れた距離にいながら、少なくとも三男と次男は、同じ事を考えている。   「(腹減った)」  やはり、兄弟は似るものなのだろうか?  少々食い意地が張りすぎだと思う。  怒りん坊は強い。  全身を覆う、強固な岩石に、その効果を最大限発揮できる筋力。    彼がこのロワでどんな影響を与えるかは、神のみぞ知る事だろう。 【H-9荒野/未明】 【怒りん坊】 【状態】健康、擬態解除による妖怪形態。怒り状態。 【装備】無し 【所持品】基本的支給品×1 ランダム支給品×3 【思考・行動】 1:とりあえず食い物が欲しい。 2:兄弟達が同じく拉致されているのなら、合流したい。 【備考】 ※種族柄ふとした事で怒ります。 ※最終的に殺し合いに乗るかは不明。 ※空腹を満たした場合、怒りは静まるでしょう。 ※兄弟達の危機を感じ取れます。 ※基本的に弱い人間には興味を持ちません。 ---- **SSリンク |[[隠れます!!ビビってるわけではない!!]]|前話|次話|[[金の恨みは恐ろしい]]| ---- **このSSの登場人物 -[[怒りん坊]] ---- [[本編SS目次へもどる>本編SS目次]] [[トップページへ>トップページ]]

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