第一話「出会いは新鮮」

「第一話「出会いは新鮮」」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

第一話「出会いは新鮮」」(2014/02/02 (日) 07:39:39) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

・第一話「出会いは新鮮」 ―――とある、大陸の森の中……一人の青年は独特の型をもった剣技で襲いかかる魔物を切り倒していく 「フッ……フッ……」 身の丈と同じほどの剣を片手で振り回し、一定のリズムで息を吐きながら華麗な技を繰り出し手馴れた動作で暗い森を進んでいく 「……依頼された魔物より小物だな……親がいるのか?」 青年はそう呟くと背中に剣を収め静かに足を進める、暗い森は負の瘴気に包まれ慣れてない者が入ればそれだけで意識が遠のくほどであるが慣れているのかそういう体質なのか青年は意にも介さずどんどん奥へと進んでいく 森の深部まで進んだところで洞窟よりも小規模……大きな穴蔵程度の入口を発見する 「ここがそうか……」 もっていた剣を構えなおすと周囲を警戒しながら入口を覗き込む、光は届かない程度に深い、青年は聞き耳を立てる、空気の流れる音がする 「まずいな……」 おそらく向こう側へと続いているかもしれないと一瞬脳裏に浮かべ、青年は少し急ぎで中へと進んでいく すると突然、静かな空気を裂くような少女の悲鳴が響き渡る 「事故か?」 この辺一体はこの声の主の様な少女が立ち入れないようになっているのだが、声が聞こえると言うことはなにか事故があったとしか思えない 「……クソッ」 慌てて青年は駆け出す、ほどなくして洞窟の奥で鎮座する大型の魔物が少女を威嚇し、攻撃に移ろうとしているところであった 青年は声も出さずに目の前の大きな魔物に斬りかかる……がまったく手応えがない…… 「幻影?まさかこんな依頼に!?」 驚きを隠せない表情のまま、幻影をかき分け少女のもとへと走る 「大丈夫か?」 青年は慌てて駆け寄り少女の体を起こすがどうやら先ほどの悲鳴をあげて気を失ってしまったようだ そのほうがこれ以上少女の心を傷つけずに済みそうか……そんな悠長なことを考えながらも腰に下げている鞄から文字が印刷された札を取り出し地面へと貼り付ける、すると札を中心に青い魔法陣が出現し暗がりの洞窟を明るく照らし出す それと同時に大きな雄叫びをあげて魔物が姿を現した、小柄な鬼の姿をしたゴブリンと呼ばれる種族だ 「なるほどな……」 姿を確認すると同時に青年はゴブリンに斬りかかった、斬撃はその体を切り裂きゴブリンはその場に倒れた 青年はあたりに魔物がいないことを確認すると鞄から少し大きめな羊皮紙を取り出すと、そこに魔物の血を少し塗りもう一度鞄にそれを戻した 「依頼完了か」 そう言って少女を抱えて立ち上がると青年は穴蔵を後にした ―――エーシル――クエスト管理所中央支部――― 「はい、こちらが今回の報酬になります。またのご利用おまちしております」 そう言うと受け付けの女性は麻の袋をカウンターの上に置くと作り物の笑顔を浮かべて青年に一礼した 青年も一礼すると報酬を受け取りありがとうと伝え管理所を後にした 外にでると待合室のようなところでつまらなそうに足をブラブラさせてる少女へと声をかける 「大丈夫か?」 少女はただ黙って頷き下を向いたまま足の動きをとめる あんなことがあった割には少女は至って普通の様子だった、青年は少し引っかかりを覚えたが今は気にしないことにした 「な、なにか食べるか?」 こういった事態には慣れていないのか青年は少し戸惑った様子で言葉をかけた……とくに会話が不慣れというわけではないが、幼い……とくに女性との会話には人一倍気を使わなければならないことを青年はよく知っていたので、無難な言葉を選び抜いたつもりであった しばらく、沈黙が流れ、少女は一瞬青年の顔を見てまた下を向き直す、そして意を決したが様子で囁くように「た、食べたい……」と呟く なんとか答えてくれた答えに青年は少し安堵すると同時に頭の中の思考を放棄し、今は目の前の少女と食事をすることだけを考えることにした 食事と言っても、まともにできるところは限られている。その中でも比較的まともなところを選び出すのは一苦労だったが、最終的に行きつけの酒場の隅のところで食事を取ることにした 少女は終始落ち着かない様子であたりを見回していたが隅の席に座った頃には、だいぶ落ち着いていた 「街の風景は珍しいか?」 声をかけられるとも予想していなかったのか驚いた様子で青年の顔を見つめる……少女の顔はとても整っており綺麗な金色の髪と美しいブルーの瞳をしていた、額には転んだのか少し切ったあとがある程度でとてもあの場所で生活していたとは思えない様子だ、どこからか逃亡したかあるいは迷子か……青年の考察してる時少女は黙って、見つめ返している。と思いきや突然下を向いたかと思うとまた青年の顔を見直し、口をもぞもぞさせている 「い、いや別に無理に答えなくてもいいぞ、なにを食べる?口に合うか分からないが一通りのメニューは揃っているはずだ」 緊張させないように、青年はなるべく接しやすいように話したつもりだが少女がどう捉えてるかは表情からは読めない、ただ少女が目を覚ましてから明る様に緊張しているのはわかった、とりあえず話やすいような空気を作ろうと話題を作っていく 「好きなものとかあるか?メニューは置いてないからわからないと思うが……とりあえず頼んで見るまでのお楽しみがここの店の売りみたいなもんだからさ」 少しの沈黙のあと少女はやっとの思いで出したような声でスープとペルドヴェージュと言う料理を頼んだ 「聞いたことない料理だな、まあ頼んでみるさ」 青年は店主と思わしき男に声をかけると男は軽い笑顔で席へと近づいてきた 「久々だなー!なんだ、今日はいつもの嫁さんはいないのか」 男はへらへらと笑いながら気さくに話しかけていた、青年は苦笑いを浮かべながら応対する 「嫁じゃないっていつも言ってるだろ?今日はオフだからフリーさ」 「ほうほう、ところでこっちの可愛いお嬢さんは彼女か?いくらなんでも幼すぎやしないかい旦那」 「おいおい、どうしてここの連中はなんでも色恋沙汰にもってこうとするんだ、依頼中に保護しただけだよ。それよりさっさと注文を聞いてくれ」 「おっと、こいつは失敬」 青年は呆れ眼で男を見ながら、自分の分と少女の分を注文する。注文を聞いている時に男が急に驚きの声を上げた 「おおっと、ペルドヴェージュなんて今時洒落たもん頼むね旦那ぁ、今のご時世この料理がでる食事何処なんて内含め四、五軒くらいしかねーぞ」 男はそんなことを言いながら厨房の方へと歩いて行った、先ほどの話に興味を持ったのか青年は少女へと話かける 「へーずいぶんと珍しい料理なんだな。好物か?」 当たり障りの内容に話題を作りなんとか少女に緊張をほぐしてもらおうとする 「私の住んでいた地域の名物料理だったので……す、好きと言えば好きな料理です……」 まだ若干堅いもののなんとか普通に会話は出来ているようだ、青年は安堵しながらも次の話題を探しつつ少女の顔いろを覗う。するとこんどは少女のほうが先に口を開いた 「先程は危ないところを助けて頂きありがとうございました。この御恩は一生忘れませんそれと先程は大変ん失礼なところをお見せしていまい、すみませんでした。」 ものすごく丁寧な口調で頭を下げながら言う少女を見て青年は育ちの良さを感じながらなるべく気を使わせないように返す 「いや、そんなに畏まらなくても大丈夫だ。それにそんなに気にするほどのことでもないさ。むしろ怪我とかがなくて良かった」 青年は少女との距離が若干近づいたことに少し安心しつつ、自己紹介を始めた 「俺の名前はアベル、色々ややこしいが簡単に言ってしまえば冒険者だ。よろしくな」 「わ、私はアリス……アリス・フィーレス・アルベルンです……」 アリスは自分の名前を言うとき少しだけ声のトーンが下がったがアベルはそこに触れないようにしつつ、話を続けた 「アリスか、よろしくな。色々聞きたいことはあるがとりあえずそこは置いておいて、まずは食事だ。遠慮しなくていいからな」 アベルが言い終わるとほぼ同時にさっきの男が注文された料理をもって現れた 「わかってるじゃないですか旦那ぁ、さーてうちの料理は天下一品味わって食べてくれ!」 滞りなく食事は進み、二人がもう食べ終わる頃にアベルが会話は持ち出した 「まあ、聞きたいことは察しがついてると思うがなぜあんなところにいたんだ?」 その問いに少女は少し考え込むが、あっさりと答えてくれた 「目が覚めるとあそこに居たんです、最初は霧が濃くてわからなくて……だんだんさまよってるうちに森の中へと……」 嘘をついてるようにも見えないし、アリスは至って普通の精神状態のようだ、アベルはそう思うとこれ以上少女から聞けることはないなと結論付いた 「このままだと親御さんも心配するだろうし、なんとか家に帰れるようにしてやるからな。安心しろ」 」 青年もといアベルの問いに食事をしていた手をとめて畏まって 「私の名前はアリス・フィーレス・アルベルンです。年齢は8歳です。趣味はピアノで得意なことは肩たたきです。」 と物凄い丁寧に自己紹介を始め頭を深々と下げた 「アリスか……いい名だな。アリスはどうしてあんなとこにいたんだ?」 「分からないんです。気がついたら森の中にいて怖くなって走り回ってたらあそこで……」 少し涙目になりながら思い出した恐怖で食事の手が止まる 「む、無理に思い出さなくていいぞ。もう二度とあんな目に会わないように俺がしてやるからな」 アベルはしまったと思いながらも慌ててなにかほかの話題にと頭を回す。もともと人とあまり話すのが得意ではないアベルはこんなときどうすればいいのか、まったく対処法が思いつかない。 「あーアリスはどこに住んでるんだ?親とかが心配するだろ。それ食べたら家まで送ってやるからな」 その言葉に少女はさらに暗い影を落としながら 「お家はありません……ずっとどこかのしせつ?みたいなところにいたからお父様もお母様もいないしお家もないの……」 アベルはアリスの言葉に少し違和感を感じながらもそれじゃ、施設に戻るか?と遠慮なしに聞いていく 「……」 アリスの顔からはあそこへは戻りたくないという感情が汲み取れたアベルは自分の限界の笑顔を作りながら 「それじゃ、俺とくるか?あんまり楽しい旅じゃないが仲間は多いからな……それなりにつまらなくはならないと思うぞ」 分かりやすいぐらいに笑顔を作りながらアリスはいく!いく!と大はしゃぎでアベルにありがとうとお礼を告げる アベルは詳しいことは分からないが、なにか問題を抱えているアリスを放っては置けなかったし、自分と似たような境遇を感じてどうにも同情してしまった。もちろん顔にも言葉にも出しはしないが、不思議な出会いをした少女と一緒にいたいと思ってしまったようだ 食事も終わり店を出るまでアリスはずっと笑顔があふれていたが…… アベルが仲間たちと合流したあたりからずっと後ろでおびえた様子でチラチラとほかの人を見始めた 「緊張しなくていいぞ?」 アベルの言葉にも首をぶんぶんと振ってき、きんちょうしてないです……と小さく呟く まず最初に話しかけてきたのは我等が盾役のレイナである 「アベルくん。この子どうしたの、迷子?」 「いや、いろいろと訳ありでこれから旅に同行することになった。みんなには迷惑をかけるかもしれないが俺がすべて責任を取るからなにも聞かずにいてくれ。ディオのほうには俺からしっかり許可を貰ってくるから。頼む」 アベルのめずらしい熱意のこもった願いにみんなは快く許可を出してくれた 「なんか、アベルくん最近まただんまりが多かったけどまた感情が出てくるようになったね。やっぱり新しい出会いは新鮮だったかな」 レイナは悪戯な笑みを浮かべながらからかい口調でアベルをつつくアベルはそ、そうだろうか……といいながらアリスの手をとり 「これからよろしく」と言いアリスもそれに答えるように「は、はいよろしくです」と返した。
・第一話「出会いは新鮮」 ―――とある、大陸の森の中……一人の青年は独特の型をもった剣技で襲いかかる魔物を切り倒していく 「フッ……フッ……」 身の丈と同じほどの剣を片手で振り回し、一定のリズムで息を吐きながら華麗な技を繰り出し手馴れた動作で暗い森を進んでいく 「……依頼された魔物より小物だな……親がいるのか?」 青年はそう呟くと背中に剣を収め静かに足を進める、暗い森は負の瘴気に包まれ慣れてない者が入ればそれだけで意識が遠のくほどであるが慣れているのかそういう体質なのか青年は意にも介さずどんどん奥へと進んでいく 森の深部まで進んだところで洞窟よりも小規模……大きな穴蔵程度の入口を発見する 「ここがそうか……」 もっていた剣を構えなおすと周囲を警戒しながら入口を覗き込む、光は届かない程度に深い、青年は聞き耳を立てる、空気の流れる音がする 「まずいな……」 おそらく向こう側へと続いているかもしれないと一瞬脳裏に浮かべ、青年は少し急ぎで中へと進んでいく すると突然、静かな空気を裂くような少女の悲鳴が響き渡る 「事故か?」 この辺一体はこの声の主の様な少女が立ち入れないようになっているのだが、声が聞こえると言うことはなにか事故があったとしか思えない 「……クソッ」 慌てて青年は駆け出す、ほどなくして洞窟の奥で鎮座する大型の魔物が少女を威嚇し、攻撃に移ろうとしているところであった 青年は声も出さずに目の前の大きな魔物に斬りかかる……がまったく手応えがない…… 「幻影?まさかこんな依頼に!?」 驚きを隠せない表情のまま、幻影をかき分け少女のもとへと走る 「大丈夫か?」 青年は慌てて駆け寄り少女の体を起こすがどうやら先ほどの悲鳴をあげて気を失ってしまったようだ そのほうがこれ以上少女の心を傷つけずに済みそうか……そんな悠長なことを考えながらも腰に下げている鞄から文字が印刷された札を取り出し地面へと貼り付ける、すると札を中心に青い魔法陣が出現し暗がりの洞窟を明るく照らし出す それと同時に大きな雄叫びをあげて魔物が姿を現した、小柄な鬼の姿をしたゴブリンと呼ばれる種族だ 「なるほどな……」 姿を確認すると同時に青年はゴブリンに斬りかかった、斬撃はその体を切り裂きゴブリンはその場に倒れた 青年はあたりに魔物がいないことを確認すると鞄から少し大きめな羊皮紙を取り出すと、そこに魔物の血を少し塗りもう一度鞄にそれを戻した 「依頼完了か」 そう言って少女を抱えて立ち上がると青年は穴蔵を後にした ―――エーシル――クエスト管理所中央支部――― 「はい、こちらが今回の報酬になります。またのご利用おまちしております」 そう言うと受け付けの女性は麻の袋をカウンターの上に置くと作り物の笑顔を浮かべて青年に一礼した 青年も一礼すると報酬を受け取りありがとうと伝え管理所を後にした 外にでると待合室のようなところでつまらなそうに足をブラブラさせてる少女へと声をかける 「大丈夫か?」 少女はただ黙って頷き下を向いたまま足の動きをとめる あんなことがあった割には少女は至って普通の様子だった、青年は少し引っかかりを覚えたが今は気にしないことにした 「な、なにか食べるか?」 こういった事態には慣れていないのか青年は少し戸惑った様子で言葉をかけた……とくに会話が不慣れというわけではないが、幼い……とくに女性との会話には人一倍気を使わなければならないことを青年はよく知っていたので、無難な言葉を選び抜いたつもりであった しばらく、沈黙が流れ、少女は一瞬青年の顔を見てまた下を向き直す、そして意を決したが様子で囁くように「た、食べたい……」と呟く なんとか答えてくれた答えに青年は少し安堵すると同時に頭の中の思考を放棄し、今は目の前の少女と食事をすることだけを考えることにした 食事と言っても、まともにできるところは限られている。その中でも比較的まともなところを選び出すのは一苦労だったが、最終的に行きつけの酒場の隅のところで食事を取ることにした 少女は終始落ち着かない様子であたりを見回していたが隅の席に座った頃には、だいぶ落ち着いていた 「街の風景は珍しいか?」 声をかけられるとも予想していなかったのか驚いた様子で青年の顔を見つめる……少女の顔はとても整っており綺麗な金色の髪と美しいブルーの瞳をしていた、額には転んだのか少し切ったあとがある程度でとてもあの場所で生活していたとは思えない様子だ、どこからか逃亡したかあるいは迷子か……青年の考察してる時少女は黙って、見つめ返している。と思いきや突然下を向いたかと思うとまた青年の顔を見直し、口をもぞもぞさせている 「い、いや別に無理に答えなくてもいいぞ、なにを食べる?口に合うか分からないが一通りのメニューは揃っているはずだ」 緊張させないように、青年はなるべく接しやすいように話したつもりだが少女がどう捉えてるかは表情からは読めない、ただ少女が目を覚ましてから明る様に緊張しているのはわかった、とりあえず話やすいような空気を作ろうと話題を作っていく 「好きなものとかあるか?メニューは置いてないからわからないと思うが……とりあえず頼んで見るまでのお楽しみがここの店の売りみたいなもんだからさ」 少しの沈黙のあと少女はやっとの思いで出したような声でスープとペルドヴェージュと言う料理を頼んだ 「聞いたことない料理だな、まあ頼んでみるさ」 青年は店主と思わしき男に声をかけると男は軽い笑顔で席へと近づいてきた 「久々だなー!なんだ、今日はいつもの嫁さんはいないのか」 男はへらへらと笑いながら気さくに話しかけていた、青年は苦笑いを浮かべながら応対する 「嫁じゃないっていつも言ってるだろ?今日はオフだからフリーさ」 「ほうほう、ところでこっちの可愛いお嬢さんは彼女か?いくらなんでも幼すぎやしないかい旦那」 「おいおい、どうしてここの連中はなんでも色恋沙汰にもってこうとするんだ、依頼中に保護しただけだよ。それよりさっさと注文を聞いてくれ」 「おっと、こいつは失敬」 青年は呆れ眼で男を見ながら、自分の分と少女の分を注文する。注文を聞いている時に男が急に驚きの声を上げた 「おおっと、ペルドヴェージュなんて今時洒落たもん頼むね旦那ぁ、今のご時世この料理がでる食事何処なんて内含め四、五軒くらいしかねーぞ」 男はそんなことを言いながら厨房の方へと歩いて行った、先ほどの話に興味を持ったのか青年は少女へと話かける 「へーずいぶんと珍しい料理なんだな。好物か?」 当たり障りの内容に話題を作りなんとか少女に緊張をほぐしてもらおうとする 「私の住んでいた地域の名物料理だったので……す、好きと言えば好きな料理です……」 まだ若干堅いもののなんとか普通に会話は出来ているようだ、青年は安堵しながらも次の話題を探しつつ少女の顔いろを覗う。するとこんどは少女のほうが先に口を開いた 「先程は危ないところを助けて頂きありがとうございました。この御恩は一生忘れませんそれと先程は大変ん失礼なところをお見せしていまい、すみませんでした。」 ものすごく丁寧な口調で頭を下げながら言う少女を見て青年は育ちの良さを感じながらなるべく気を使わせないように返す 「いや、そんなに畏まらなくても大丈夫だ。それにそんなに気にするほどのことでもないさ。むしろ怪我とかがなくて良かった」 青年は少女との距離が若干近づいたことに少し安心しつつ、自己紹介を始めた 「俺の名前はアベル、色々ややこしいが簡単に言ってしまえば冒険者だ。よろしくな」 「わ、私はアリス……アリス・フィーレス・アルベルンです……」 アリスは自分の名前を言うとき少しだけ声のトーンが下がったがアベルはそこに触れないようにしつつ、話を続けた 「アリスか、よろしくな。色々聞きたいことはあるがとりあえずそこは置いておいて、まずは食事だ。遠慮しなくていいからな」 アベルが言い終わるとほぼ同時にさっきの男が注文された料理をもって現れた 「わかってるじゃないですか旦那ぁ、さーてうちの料理は天下一品味わって食べてくれ!」 滞りなく食事は進み、二人がもう食べ終わる頃にアベルが会話は持ち出した 「まあ、聞きたいことは察しがついてると思うがなぜあんなところにいたんだ?」 その問いに少女は少し考え込むが、あっさりと答えてくれた 「目が覚めるとあそこに居たんです、最初は霧が濃くてわからなくて……だんだんさまよってるうちに森の中へと……」 嘘をついてるようにも見えないし、アリスは至って普通の精神状態のようだ、アベルはそう思うとこれ以上少女から聞けることはないなと結論付いた 「このままだと親御さんも心配するだろうし、なんとか家に帰れるようにしてやるからな。安心しろ」 彼の気をきかせたつもりの一言にアリスの周りの空気が変わったことをアベルはすぐさま感じ取った、その真意は分からないが家や親という単語が彼女の中の何かに触れたのだと気づき、すぐにでも話題を切り出さねばと思考を回し始めたところで意外にも彼女のほうから話を切り出してきた アリスの顔からはあそこへは戻りたくないという感情が汲み取れたアベルは自分の限界の笑顔を作りながら 「それじゃ、俺とくるか?あんまり楽しい旅じゃないが仲間は多いからな……それなりにつまらなくはならないと思うぞ」 分かりやすいぐらいに笑顔を作りながらアリスはいく!いく!と大はしゃぎでアベルにありがとうとお礼を告げる アベルは詳しいことは分からないが、なにか問題を抱えているアリスを放っては置けなかったし、自分と似たような境遇を感じてどうにも同情してしまった。もちろん顔にも言葉にも出しはしないが、不思議な出会いをした少女と一緒にいたいと思ってしまったようだ 食事も終わり店を出るまでアリスはずっと笑顔があふれていたが…… アベルが仲間たちと合流したあたりからずっと後ろでおびえた様子でチラチラとほかの人を見始めた 「緊張しなくていいぞ?」 アベルの言葉にも首をぶんぶんと振ってき、きんちょうしてないです……と小さく呟く まず最初に話しかけてきたのは我等が盾役のレイナである 「アベルくん。この子どうしたの、迷子?」 「いや、いろいろと訳ありでこれから旅に同行することになった。みんなには迷惑をかけるかもしれないが俺がすべて責任を取るからなにも聞かずにいてくれ。ディオのほうには俺からしっかり許可を貰ってくるから。頼む」 アベルのめずらしい熱意のこもった願いにみんなは快く許可を出してくれた 「なんか、アベルくん最近まただんまりが多かったけどまた感情が出てくるようになったね。やっぱり新しい出会いは新鮮だったかな」 レイナは悪戯な笑みを浮かべながらからかい口調でアベルをつつくアベルはそ、そうだろうか……といいながらアリスの手をとり 「これからよろしく」と言いアリスもそれに答えるように「は、はいよろしくです」と返した。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: