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「おーい!そこのちんちくりん。ちょっとこっち来ーい!」

スコールのような夕立が通りすぎたとある8月の午後。
髪を降ろし伏し目がちに商店街を歩いていたBerryz工業嗣永桃子は誰かに呼び止められた。
周囲を見回すとパチンコ屋の駐車場からニヤついた感じで桃子を手招きしている二人組がいた。明らかにヤンキーな感じの二人組である。

「いやぁ実はさぁ、俺ら財布落としちゃってさぁ。地元帰りたいんだけど電車賃ないのよぉ。」
「良かったらお姉さんお金貸してくれない?ま、嫌だっつっても貸して貰うんだけど。」

絵にかいたようなカツアゲである。
ちなみに嗣永桃子がももち結びをしていない場合のカツアゲ遭遇率はおよそ150%。目的地までの間に必ず一回カツアゲにあい、二回に一回は帰りにもう一回カツアゲにあう計算だ。
毎度毎度の事なのでもう慣れっこである。桃子は当たり障りのない方法でこの場をやり過ごそうと考えていた。

「あの、あたし貧乏なんでお金ないんですぅ。悪いんですけど他の方に…。」
「まぁまぁ、とりあえず良いからお財布見せてぇ。」
「ホントにホントにお金ないんです。ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「いいから財布だせよ。糞ババァ。」

カッと桃子の目が見開かれ空間が歪んだ。

「分かりました。お金あげます。幾らですか。」そう桃子が呟きスカートのポケットから取りだしたのはピンク色の太く短い鉄パイプであった。

それは鉄パイプというにはあまりにも太く、あまりにも短く、それはまさにピンクの鉄塊であった。

「テメェ!」
鉄塊を武器と認識した一人が桃子に掴みかかるがもう遅い。
フワリと浮かんだ桃子がヤンキーの脳天に鉄塊を振り下ろす。
ゴンッッッ

着地した桃子が一瞬身体を沈める。次の瞬間鉄塊がヤンキーの股関目掛けて振り上げられる。
ドグチャッ


「私にカツアゲなんて桃29年分早いんだよ。」
脳天と股関を抑えながらうずくまるヤンキーに向かって桃子がよく分からない単位の啖呵を呟く。

「きっ、汚ねぇぞテメェ。武器なんか使いやがって。」
相棒をボコられたもう一人のヤンキーが後ずさりながら桃子を非難する。
しかし桃子は顔色ひとつ変えず、そして伏し目がちに呟いた。

「汚ねぇよ。で?」

嗣永桃子のカツアゲ遭遇率は150%。しかし、彼女に対してのカツアゲ成功率は2013年8月現在、未だ0%である。


桃子伝 完