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ドーン!

蒸し暑いJ農の実習室に大きな音が響いた

「なんで・・・なんでやっ!」

それは、植村あかりが壁を全力で殴った音
しかし誰も何も言わず、実習室には沈黙が流れるのみだ

数十分前・・・

「つかぽん!マジなの!?」
「ちょっと!よく考え直して」

大塚愛菜の口から出た言葉に狼狽する5人
しかし、その狼狽を意に介さず大塚本人は満面の笑みで言葉を続けた

「実はね、前から迷ってたんだ。ヤンキーで天下取るか、コレで天下取るか」

大塚は吊っていない方の腕で『コレ』・・・ゴルフクラブを掲げた

「でもね、わかっちゃったんだよ・・・この前のでさ」

大塚の表情に、一瞬だけ寂しげな色が浮かぶ

「矢島にやられてさ、ヤンキーで天下取るのなんか無理だってわかっちゃったんだよ」

ガッ!突然前に出てきた植村が大塚の襟首を掴んだ

「なんやそれ!ちょっとやられたからって逃げるんか!キュー学の奴らとケジメ付けないんか!」

しかし大塚は植村と目を合わせずにフフン、と鼻で笑う

「現実見なよ、うえむー。人には天分ってもんがあるんだ、矢島みたいな怪物と喧嘩して勝てるわけがねーよ」

怪物・・・確かにそうだ。軽く「ねじねじしちゃうぞ!」で人を骨折させるような怪物
でも・・・でも・・・

「ええんか!アンタは負けたままでええんか!?」

涙声になりながら植村が続ける
苦笑いを浮かべながら、大塚が頭を掻いた

「逆にあの人には感謝してるんだよ。人は自分の天分を大事にすべきだって教わった気がするんだ。
 で、ウチの天分は多分こっちってことなんだよ」

再び、大塚がゴルフクラブを掲げる

「ウチはこれで天下を取る。だからみんな・・・」

襟首を掴む植村の手を振り払って大塚が皆に背を向けた

「ばいちゃーこ^^」

大塚愛菜、2013年7月5日付で私立ジャパンアグリカルチャーハイスクールに退学届を提出
校長の石井吉彦はこれを受理

後に愛菜は全英オープンに出場するプロゴルファーとなるのだがそれはまた別の物語

閑話休題

残されたJ農の5人・・・その心には愛菜の残した言葉が重く響いていた
人の天分・・・怪物には勝てない・・・各々の心に怪物達の顔が浮かぶ

(鞘師・・・必ずぶっ殺すりん・・・)
宮本佳林の心に浮かんだのは鞘師里保の顔。
かつてモー商の入学試験で佳林の攻撃を全て見切り、一敗地に塗れさせた相手

(私は・・・いつか田中さんを越えられるんだろうか?)
高木紗友希の心に浮かんだのは田中れいな
雲の上のような存在、伝説の喧嘩師・・・紗友希の目標とする人物

(鞘師・・・鞘師ぃ~!)
植村あかりの心に浮かんだのはやはり鞘師里保の顔
モー商の入学試験で、鮮やかに舞うようにライバル達を倒していったその姿
・・・見とれている内にあかりもいつの間にかあっさりやられていた
あんな可愛い顔しとるのに、なんて強いんや!

がんばりんっ!
ウッキー!

鞘師の顔を思い浮かべはにゃ~ん、としていたあかりを現実世界へと戻す二つの音が突然響いた
携帯メールの着信音・・・着信したのは佳林と紗友希の携帯である

「!?」

メール画面を見て激しく動揺する紗友希・・・一方、

「・・・ニヤリ」

メール画面を見て悪魔のような笑みを浮かべる佳林

「なんやそれ?ウチにも見して?」

メール画面を覗き込もうとするあかりを無視して、サッ!と2人が立ちあがる

「あれぇ?紗友希も行くんだ?」
「・・・まだ迷ってる。けど・・・」
「けど?」
「行けば・・・何か答えが出るかも」
「ふふっ、そうこなくっちゃ!」

「な、なんや!2人だけでずるいわ!ウチにも・・・」
「佳林ちゃん、紗友希、一体何なの?」

あかり、宮崎の問いに佳林達は爽やかに答えた

「「部活動、してきま~す!」」

猛ダッシュで逃げるように実習室を出ていく佳林達2人

「なんや!部活って!」
「あの子達、部活なんて入ってたっけ?ねぇ朋?」

宮崎の問いに沈黙を守っていた金澤朋子が薄笑いで答える

「まぁ、ガス抜きとしてはいいイベントなんじゃないかな」