クロスオーバー・モンスター闘技場wiki リレー小説企画
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クロスオーバー・モンスター闘技場wiki リレー小説企画
ja
2017-11-19T00:17:51+09:00
1511018271
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手をつなごう
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/210.html
あれから、数年の月日が流れました。
人間たちの手で開かれたモンスターたちによる殺し合い。
悲鳴や、怒号や、魂の咆哮に彩られていた喧騒の日々も今は昔。
私は――グレイシアは。
あの日願ったように、争いのない人里から遠く離れた場所で静かに生きています。
クロスオーバー・モンスター闘技場
~epilogue~
ここ数年ですっかりと慣れ親しんだ潮風が頬を撫でる中、荷造りを終えた私は最後にお世話になった場所を目に焼き付けていました。
人ひとりいない最果ての孤島。
長い永い放浪の旅の末に私がここへ辿り着いたのはきっと偶然ではなかったのでしょう。
だってこの島には“彼女”がいますから。
私は島を後にする前に彼女へと挨拶をしに行きました。
「お世話になりました、ミュウ」
ふわふわと浮きながら大自然と戯れていた彼女は、私に気付くとくるりと宙を舞うように移動してこちらへと向かってきます。
彼女……幻のポケモンであるミュウには本来性別がありません。
それでも私がミュウのことを彼女と呼ぶのは、他ならぬミュウ自身がこう言ったからです。
『ボクはね、お母さんなんだよ』と。
その真意は今でもグレイシアには分からない。
彼女が人間たちに噂されているように、私たちのご先祖だからか、或いはそれ以外の意味があるのか。
ただ、誰よりも自由なはずのポケモンは、私という来訪者を全てを知っているかのように優しく迎え入れてくれました。
『そっか、もう帰っちゃうんだね。寂しくなるね』
こつん、と、私の額に自らの額を当てたミュウが念話で喋りかけてきます。
彼女ほどの存在なら特に肉体的な接触もなく念を飛ばせるのでしょうが。
どうも、本人の言う通り、ずっと一匹で過ごしてきた寂しさからか、触れ合うことを好んでいるようです。
「はい。多分、そろそろだと思いますので」
そんな寂しがりな彼女を一人置いていくことに気が引けないわけではありません。
私の一生において、二番目に長い時を共に過ごした彼女。
勝手気ままにふらふらと旅に出て、でも、帰ってくる度にお土産を持ってきてくれて私に抱きついてくる彼女。
このままこの地で静かに余生を送り、彼女とともに骨を埋めるのもきっと悪くはな
2017-11-19T00:17:51+09:00
1511018271
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24時~終了までの脱落者
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/209.html
|時間|名前|殺害者|死亡作品|死因|場所|
| |ベヒーモス|黒き竜|[[決勝(3)]]|わざマシン29|不明|
| |チャッキー|ルカリオ|[[決勝(3)]]|波導剣で顔面を切断される|不明|
| |ソーナンス|モリー|[[決勝(4)]]|せいけんづきが貫通|不明|
| |ピクシー|モリー|[[決勝(4)]]|せいけんづきが貫通|不明|
| |モルボル|ハムライガー|[[決勝(4)]]|ハムライガーの攻撃|不明|
| |プチヒーロー|ハムライガー|[[決勝(5)]]|ハムライガーの攻撃|不明|
| |モリー|ルカリオ|[[決勝(6)]]|ギガスラッシュ|不明|
**殺害数ランキング
|順位|該当者|殺害数|被害者|生存状況|スタンス|
|1位|ハムライガー|6匹|ハム、ホイミスライム、ゲルキゾク、ガブモン、モルボル、プチヒーロー|生還|対主催→優勝狙い→贖罪|
|2位T|魔人アリス|5匹|チョコボ、ドラゴン、ケルベロス、ガブリアス、エアドラモン|死亡|遊ぶ|
|2位T|エアドラモン|5匹|天使エンジェル、ピカチュウ、はぐれメタル、凶鳥モー・ショボー、メタモン|死亡|不遇脱却|
|4位|ルカリオ|4匹|キノガッサ、オルトロス、チャッキー、モリー|生還|対主催→抹殺→対主催|
|5位T|ギルガメッシュ|3匹|キラーパンサー、ジュペッタ、ギルガメッシュ|死亡|優勝狙い|
|5位T|妖精クーフーリン|3匹|すえきすえぞー、バトルレックス、妖精クーフーリン|死亡|対主催|
|5位T|ワームモン|3匹|アグモン、魔人アリス、ワームモン|死亡|地獄へと向かう|
|5位T|モリー|3匹|レオモン、ソーナンス、ピクシー|死亡|主催|
|9位T|幽鬼マンイーター|2匹|外道バックベアード、トンベリ|死亡|優勝狙い|
|9位T|チャッキー|2匹|ブイモン、キングスライム|死亡|マーダー|
|9位T|ゲルキゾク|2匹|カロリーナ、邪鬼ギリメカラ|死亡|優勝狙い|
|12位T|キングスライム|1匹|タブンネ|死亡|畜生対主催|
|12位T|ゴーレム|1匹|堕天使デカラビア|死亡|酔った勢い|
|12位T|トンベリ|1匹|スライム|死亡|危険対主催|
|12位T|ベヒーモス|1匹|ゴーレム|死亡|対主催|
|12位T|レナモン|
2017-08-31T18:18:27+09:00
1504171107
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描き出す未来図
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/208.html
いつからだろうか、その伝説が人に、ポケモンたちに、囁かれだしたのは。
曰く、それは黄金に輝く鎧を纏い、漆黒のマントを靡かせて、炎の剣を掲げし者。
人であるとも、ポケモンであるとも、人でもポケモンでもないとさえ囁かれし者。
彼の者は悪しきを挫き、弱きを助けし者。
人、その者を――勇者と呼ぶ。
▽
「……っ、戻れえええっ、ガー太郎!」
青年が付き出したモンスターボールから放たれた光が傷だらけのガーディーを包み込む。
ガーディーはまだいける、やらせて欲しいとばかりに抵抗するも、そのままボールに吸い込まれていく。
(わりいな、ガー太郎。お前がよくても、俺っちが駄目なんだ。もうこれ以上、お前たちが傷つくのを見たくないんだ)
分かってる。これがその場しのぎにしかならないどころか、状況を悪化させるだけの選択なのは誰よりも青年自身が分かっている。
分かっていて尚、彼には立つことも叶わなくなった自分のポケモンを前に、こうするしかなかったのだ。
ここでポケモンたちに無理をさせられるような人間なら、こんな所に一人で乗り込んだりはしなかっただろう。
こんな、こんな――悪の秘密基地になど。
「おや、どうしました? 新しいポケモンを出さないのですか?
我々が瀕死にしたあなたのポケモンは5匹。ポケモントレーナーなら後一匹持ってきているものですよねえ?」
白衣のスナッチャーの言う通りだ。
ポケモントレーナーが連れ歩けるポケモンは最大6匹まで。
本来、6匹以上捕まえているトレーナーなら、万一に備えてとりあえず6匹満員で連れ歩くだろう。
捕まえたばかりのポケモンでも主力のポケモンを回復するまでの壁にはなるし、何なら一撃で倒されること前提で盾にすることだってある。
そんなのは賢いポケモントレーナーにとっては常識だ。
別に非道でもなんでもない。勝つためにはあたりまえのことなのだ。
だが。
青年が手持ちに用意してきたポケモンは5匹。
5匹で戦うことの不利を承知で、敢えてその定石に背いていた。
「ああ、それとも。わたくし共にポケモンを盗られたせいで6匹目を用意できなかったとか?
それはそれはご愁傷様! 果てさて君のポケモンはどの子かな~?
こちらのチコリータですか? それともあちらのブラッキー?」
「ちげ
2017-11-19T00:00:55+09:00
1511017255
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だけど、生きていく
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/207.html
目が覚めるとそこは深い森の中だった。
風と共に吹き抜ける湿った草の香りで、ここが故郷の世界だとすぐにわかった。
あぁ、帰ってこれたんだな。
安心してしまって、4本の足が同時にくたっと力が抜けてしまった。
そうしてそのまま、ゴロゴロと寝そべった。
こここそが僕の居るべき世界なんだ、と実感した。
「おいィ? 俺の縄張りに勝手に入るとはいい度胸だなァ」
ぼーっと余韻に浸る僕に、荒々しい声が掛けられた。
ノラモンだ。ロードランナーの一種だった。
そうだ、ゆっくりしてはいられないな、と思った僕はワンパンでノラモンを蹴散らし、あてもなく歩き始めた。
拐われる前とくらべて、気温はほとんど変わってなかった。
時間はそんなに経ってないのかもしれない。
だけどこれ以上ブリーダーさんに心配をかけさせちゃいけない、一秒でも早く帰らなくちゃ。
日が沈むまで走ってるうちに、見覚えのある場所にたどりついた。
ジャングルでのトレーニングで通った事がある道だ。
ファームまではまだまだ遠いけれど、なんだかもう泣きそうになってしまった。
少しだけ休もう。
僕はうずくまって身体を休めた。
「アタシは赦してあげないもんね」
白いボディコン服を来た悪魔が耳元で囁いた。
真っ暗な視界の中に、ニタニタと笑う彼女だけが鮮明に浮かび上がっている。
これが夢だと言う事にすぐに気が付いた。
「いや~見事生き残れてオメデトウ。すごいねェ~ハムライガー君。
どう? どんな気分? 何人もぶち殺して生を勝ち取った気分は??」
甲高く、不快な声で悪魔は煽り立てる。
「ホーント、生者たちってば勝手だよね。勝手だと思わない?
自分たちの解釈で罪を正当化して、その意識から楽になろうとしてさ~。
死人に口無しって言うじゃん? 残念だったね、今ここでアタシが死人代表で言ってあげる。
ぜっっっったいに、赦してあげなァ~~~~いwwwwwwwwwwwww
アタシらを踏み台にして幸せを勝ち取ったキミを恨みますゥ~!
ホイミスライムとハムも超痛かったって言ってたしィ、死んだみんなはホントもう苦しくて苦しくて……」
「ハムライガー、これは死者の言葉でも何でもない!」
2017-11-18T23:59:38+09:00
1511017178
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更新用ページ
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/206.html
テスト
2015-11-03T23:08:14+09:00
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クロス・ソングス
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/205.html
「ねぇねぇレナモン、どこいったの―?」
「またおかのうえなんじゃないかな―?」
「おかー?」
「おかー」
「そっか、おかかー」
「うんー」
「おかって、なにもないよね。レナモン、なにしてるんだろね」
「むずかしいかおしてたから、きっと、むずかしいことだよ」
「むずかしいこと? おとなだね」
「おとなだよ」
「ぼくたちもおとなになったら、むずかしいこと、できるかな」
「できるできる」
「だったらはやく、おとなになりたいね」
「ねー」「ねー」
「おとなになって、レナモンと、いっしょ。むずかしいこと、いっしょにがんばる!」
「いっしょに、かんがえる!」
「「るー!」」
▽
そよぐ風に乗って届く子どもたちの声に、仰向けに寝転んだまま頬を緩める。
ピンと立った大きな耳が伊達ではないことに感謝する。
街を見下ろせるこの丘にいようとも、子どもたちの声を受け取れることが堪らなく嬉しい。
ここははじまりの街。デジモンたちが生まれ育つ場所――。
あれから、ルカリオとグレイシアとハムライガーと別れを済ませてターミナルを起動させた私は奇しくもこの場所へと送還された。
子どもたちが沢山いる賑やかな場所を求めた私の意志が反映されたからか。
或いは連絡点となるターミナルがこの近くにも設置されていたからか。
はたまたここが全てのデジモンにとって始まりの場所でいつか還る場所だからか。
理由は分からない。
けれどもこの地へ
2017-11-18T23:59:14+09:00
1511017154
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エピローグ
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/204.html
**【エピローグ】
|No.|題名|作者|場所|主要人物|
|93|[[クロス・ソングス]]|[[◆TAEv0TJMEI]]|はじまりの街|レナモン|
|94|[[だけど、生きていく]]|[[◆5omSWLaE/2]]|ファーム|ハムライガー|
|95|[[描き出す未来図]]|[[◆TAEv0TJMEI]]|悪の秘密基地|ルカリオ|
|96|[[手をつなごう]]|[[◆TAEv0TJMEI]]|星空|グレイシア|
2017-11-18T23:57:29+09:00
1511017049
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延長戦
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/203.html
「君は……誰?」
「私はアリス」
「そっか、僕はハムライガー」
邪教の館.exe――つまりは、悪魔合体プログラムを起動し、ハムライガーは自分の肉体を失った。
自分の肉体と二つの魂、そして一つの魔晶によって――新しい者が誕生するのだろう。
そして、それは――ハムライガーの望みであり、少女の望みだった。
きっと、誰かが止めなければ――何時の日か、何処かの世界で、それこそブリーダーさんが住まう世界に、少女は現れるかもしれない。
だから、ハムライガーは彼女を呼ぶことにした。
「ねぇ、何で僕を呼んだの?」
暴走COMPは呼んでいた、その中にある邪教の館アプリを利用するものを――すなわち、アリスを召喚する者を。
シャドームーンによって、アリスは討ち倒された。
だが、肉体を失い、魂の欠片を失い――それでも、眠っているだけだった。
だから、逃げ場所を探していたハムライガーはCOMPに引きつけられていた。
悪魔合体を行えば、ハムライガーはハムライガーをやめることが出来る――アリスになることが出来る。
「アナタが……みんなが私を望んでいるから」
「みんなって?」
「人間を望む者……人間を愛し、人間を憎み、人間に救済を求めるモンスター達」
「君は……何?」
「私は悪魔【アリス】 私は悪魔【えいえんのしょうじょ】 私は悪魔【にんげん】 私は悪魔【デモノイド】
私は悪魔【しき】 私は悪魔【まじん】 私は悪魔【まおう】 私は悪魔【てんし】 私は悪魔【きゅうさいしゃ】
私は悪魔【スケープゴート】 私は……あなたの悪魔【おともだち】」
少女はやわらかな微笑みを浮かべていた、モンスターである彼にも理解できる美しさだった。
見ているだけで、凍りついてしまいそうな美しさだった。
「……言っている意味がわからないよ」
「そう……じゃあ、すこしお話しましょ」
何時、現れたのだろうか。
彼女は背もたれのないチェアに腰掛け、ティーテーブルの上の紅茶を飲んでいる。
向かいのチェアにハムライガーも飛び乗った。
ティーテーブルの上のシフォンケーキをアリスはカットすると、ハムライガーに差し出した。
ケーキを見て、哀切の表情を浮かべるも、ハムライガーは勧められたケーキを一口に食べる。
マッド・ティーパーティーの始まりだ。
2017-11-18T23:58:37+09:00
1511017117
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決勝(6)
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/202.html
◇
「……何が起こった?」
先ほどまで、レナモンが持つスマートフォンには自分達の契約下においたスライムのステータスが表示されていた。
今はもう消えている、何らかの強力な攻撃を受けたのか、急激にHPが減少し、死亡したらしい。
現在、スラリンガルのサーバー内にいるレナモン達にはその詳細はわからない。
「誰かが、彼を解放した……というだけならば良いのですが、実際は」
「あぁ……モリーだろう」
出来ることならば、何事も無く平穏無事にモリーには倒れていたままでいて欲しかった。
だが、あのスライムを倒した者がいるというのならば、未だ知らぬ強力な参加者よりも、モリーが生きていたと考える方が腑に落ちる。
サーバーを抜けだして、再びスラリンガルの心臓部へと戻る。
スライムの死体はそこにはない、戦いは他の場所で起こったのだろうか。
「……む?」
ふらふらと誰かが、こちらへと向けて歩いてい来る。
見たことのない小狼のモンスターだ、参加者なのだろうか。
今更になって、モリー側が送り込んだ刺客とは考えたくはない。
「誰だ」
「……ハムライガー」
「参加者か?」
「うん」
その様は見るからに焦燥しきっていて、哀れなように思えた。
この殺し合いでどれほどの目に合ったのだろう。
「……待っていて下さい、今モリーを倒して、アナタを帰しますから」
モリーの強さはあまりにも絶望的である、しかしハムライガーの姿を見て闘志がむくむくと湧き上がるのを彼女達は感じた。
ほとんどのものが死んでしまった、しかし――まだ生きている誰かはいた。
知らない誰かでも、生きていてくれるなら――今までの戦いは無駄になどならない。
「帰っていいのかな、みんな……みんな……僕が殺したのに……」
帰るという言葉に、ハムライガーは怯えたような反応を浮かべた。
あれほど帰ることだけを望み、そしてその末に――皆が死んだ。己が手を下した。
今、モリーを倒せば帰れる――あぁ、そうだろう。
だが、今更になって掌を返せというのか――自分の行いの全てが、ただの無意味な邪悪な行為だと知って、
それで、ブリーダーさんに会いにいけるというのか。
「ハムライガー、私にはお前が何をしたのかは知らない」
目の前の獣の反応を見るに、ハムライガーはレナモンと同じ
2017-08-31T21:21:38+09:00
1504182098
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決勝(5)
https://w.atwiki.jp/monsterbr/pages/201.html
◇
全身が凍り付いていた。
昔、聞いたことがある。
モンスターが吹雪を受けた際の完全凍結率――つまりは指の先すら動かせなくなる確率は三割。
その吹雪をありったけ――回避行動も取れぬままに五度受けた。
そして、己の復活を拒むように全身をコロシアムの瓦礫が押し潰している。
成程、氷で全身が脆くなっている。死ぬのだろう。
今まで、自分の死ということを終ぞ思ったことはなかった。
死ぬ寸前まで闘い、戦い終わった後にやっと自分が死んだことを気づくものだと思っていた。
成程、この全身から力が抜けていくような感覚。
全身を泥沼に投げ出したかのような沈みゆく感覚。
これが死か。
成程。
わかった、つまらん。
まだ、自分は闘いを求めているらしい。
全身が凍結し、瓦礫によって押し潰された肉体はあらぬ方向に折れ曲がり、砕けかけているというのに。
それでも、自分は闘いをやめられないらしい。
右腕に力を込める。筋肉が肥大化し、右腕を覆う氷が砕け散る。
左腕、左脚、右脚で同じことを繰り返す。
これで四肢は自由だ。
胸に力を込める。
大胸筋をパンプアップして、纏わりつく氷を追いやる。
心臓を強く意識する。
全身に熱が通うように、強く強く意識する。
自身の熱を感じる。
これ以上にないほどに氷を溶かす熱を感じる。
心臓が普段の何十倍もの速さで動き出す。
生物の鼓動数は決められていると聞いたことがある、つまり自分の行いは急激に寿命を縮めているのだろう。
だが、構わん。
おとなしく待っていれば、その内救助が来るのだろう。
戦う必要は無いのだろう。
構わん。
戦おうというのだ。
あらゆるものを闘いのためにくれてやった、ついでだ寿命の百年や、二百年もくれてやろう。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
ふふ……
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
ふふふ……
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。ドクン、ドクン、ドクン、ドクン。
ドクン、ドク
2015-07-30T07:54:43+09:00
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