僕たちは世界を変えることができない。

怪物と対峙するは陰陽装束に身を包み、狐面で顔を覆った金色の尾を持つ魔人。
レナモン系統の完全体――タオモン。

通常種よりも金色の色彩が強いのは、この世界での出会いがもたらした賜物だろう。

「幸せな夢の終わりは……何時だって哀しいな」
涙がタオモンの頬を伝って、地面に落ちた。

「もう、二度と現実では見られないのだから」
涙を踏み越えて、敵の下へと駆ける。
怪物が再動を始める。
攻撃を仕掛けなかったのは、自分が何を出来るか、どう止めを刺すか、
瀕死の敵の前で確認をしていたからに過ぎない。

「ジャアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
怪物の放ちしは、やはり四の腕から放たれる貫手の連撃。
四。刺。死。

完全体になることで、タオモンが最も性能の向上を感じたのは眼に対してである。

刺。刺。刺。刺。
「遅くなったか?」
敵の連撃を、タオモンは踊るように避けた。
進む。最早、後退の必要性を感じない。

刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。
怪物はより強さを増した敵に対応して、速さを増す。
だが、当たらない。

刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。
刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。
刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。
刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。刺。

降り注ぐ豪雨。
だが、問題はない。

「筆――」
袂より零れた、札が巨大な筆へと変身した。
敵は槍を持った、ならばこちらもそれに倣うだけのこと。

棒術は、日本武術において長い棒を武器とする術のことである。
古くから棒術は宗教とかかわりがあり、祭礼で棒術に相当するものが古くから行われている。
そして、未だ至らぬ究極体の巫女は、逆説的にタオモンが巫女であることを証明する。

つまり――

筆が貫手を流す。
敵の動きが速くなっても、狙う位置自体は然程変わりはしない。
ならば、ひたすらに流してしまえばいい。
衝突した貫手と筆、筆の角度は235度。
相手の力の流れが傾く。
あらぬところへと雨は落ちる。

豪雨は、タオモンを血で濡らさない。
進む。筆を用いながら、一歩ずつ確実に怪物へと接近する。
豪雨が止む。
筆を高く掲げる。
変身するかのように、筆が高く伸びる。

先程、実際に攻撃を受けたことが大きい。
光速の雷は、一直線に避雷針と化した筆へと落ちた。

距離は詰め切られた。

怪物は何を繰り出すか。
タオモンは何を繰り出すか。

零距離。
余計なことをする時間はない。

結局のところ、最後は単純なところに落ち着く。
熱線も雷も、未だ発揮されぬ陰陽術も無い。

それぞれが、凶器と化した四本の腕――
やはり何の問題もなく潜り抜け。
放つ、逆筆の一撃。

――突

この日、初めて――怪物の巨体が宙を舞った。


「梵・筆・閃!」
怪物が吹き飛ぶと同時に持ち替えた筆が宙に梵字を書く。

「疾ッ!」
掛け声と共に、梵字が飛ぶ。
目指すは怪物。放たれるはただの文字にあらず。

「グッ……オォォォォォォム!!!!!!!」
字が怪物に衝突すると同時に生じる大爆発。
通常種の完全体であれば、殆どこれで勝負は決する。

だが――

「狐封札!!」
タオモンは決して手を止めない。
袂から放たれた幾多もの霊符が、怪物を纏う。
再び、爆発が生じる。

タオモンの戦闘経験が告げている。
一度、攻撃の機を得たのならば、通常種の致死量を超えてなおも攻撃の手を止めてはならない。

「疾ッ!疾ッ!疾ッ!疾ッ!疾ッ!疾ッ!疾ッ!疾ッ!疾ッ!疾ッ!疾ィィィィィィィッ!!」

視界は爆炎で絶不良、聴力は爆音で著しく減少。
今、世界の全てが怪物の死のためにあった。

世界を覆う死の嵐の中、怪物は思い出す。

――バーカバーカ。ざまあみろ

「ガァウゥ!」
■ア■■■ンは叫ぶ。■ア■■■ンは否定する。
爆発で瀕死になったのは■ア■■■ンだ。
己が切り捨てた部分だ。
己は■ア■■■ンではない。
■ア■■■ンのように爆発で重症を受けてはいけない。

だが――爆炎の現実は、否定を許さない。
逃げられないのか?
所詮、自分は――■ア■■■ンの呪縛からは逃れられないのか?

違う!

「チガウンダアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

まだ力がいる!
あのような攻撃は受けてはいけない。
己が■ア■■■ンではないのならば。

怪物が叫び声を上げた時、肉体の変質は既に開始していた。
ディアによる治療を行いつつ、取り込んだプラチナを全身に行き渡らせる。


出来るのか――出来ねばならない。
出来なければ死ぬのみ!


「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
終わらせることのない攻撃の中、タオモンは怪物の叫び声を聞いた。
断末魔か?いや違う!そんなはずはない!

言うならば、この叫びは歓喜の――
タオモンの思考は強制的に中断された。
油断していたわけではない、だが予想できるというのか。
あの爆炎の中から平然と伸びてきたモー・ショボーの手が、白銀の輝きを以てタオモンの胴を貫いた。

「ガッ……」
吐血、腹部の燃えるような痛み。
そして――

【ヒートバイパー】

迫り来る死を目の当たりにして、タオモンはたった一言呟く。
「狐封札」
己の体を、タオモンは吹き飛ばした。
死ぬための行動――もちろん、そんなことはあり得ない。

「グッ……オオオオオオオオオ!!」


爆風での強制的な脱出。
貫かれた腹部の出血は、爆炎で無理にでも焼いてしまう。
ヒートバイパーでの即死は避けた。
傷口から、もう血は流れない。

「これぐらいの痛みで……引くと思っているのか!」
啖呵を言い終わると同時に、タオモンは見た。
白銀に輝く怪物の姿を。

はぐれメタル――その肉体は、物理ダメージを極限まで減少させると同時に、あらゆる呪文攻撃を防ぐ。

【かみなり】

激しい閃光、少々遅れての轟音。

かみなり最大のメリットは、放ってしまえば一瞬で敵に辿り着くことであり、
そして今回のかみなりは、攻撃の前兆を相手が掴めない最善のタイミングで放たれた。


世界最速の攻撃に、死を覚悟する間すらない。
タオモンは死ぬ。
今のタオモンでは耐え切れない。





だから――私に任せてください。





「へんしん」

はぐれメタル――その肉体は、物理ダメージを極限まで減少させると同時に、あらゆる呪文攻撃を防ぐ。



雷が貫いた瞬間、タオモンの体がプラチナに覆われた。
雷はプラチナに弾かれ、地面へと逃げていった。
取り込んだメタモンが起こした奇跡――そういえば簡単なことなのだろう。
だが、これは決して奇跡などではない。
完全に吸収され切る前のメタモンが、
限りなく薄れた意思を以て、タオモンの肉体の主導権と性質を一瞬握り、変身を成功させた。
その結果、ただのエネルギーとしてメタモンは燃え尽きた。

彼女は代償を支払い、見合ったものを贈った。
ただそれだけの話なのだ。

タオモンはレナモンへと退化する。
ダメージは治らず、
目の前に立つのはダメージを負ったといえど、メタルの特性を手にした怪物。

先程と変わらぬどころか、より悪化した状況。

「パートナー……コレデ…………」
歓喜に打ち震えた怪物の声。
少しずつ、知性が増しているのだろうか。
あるいは、思い出してしまっているのだろうか、切り捨てたものを。

「パートナアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

カシャ

カシャ

カシャ


「目障りだ」
止めを仕掛けようとした怪物の体に、投擲された槍が突き刺さった。
致命傷ではない、だがメタルの体に突き刺さっているということの異常さよ!

怪物が敵を確認しようとした時である。

右上段回し蹴り――
本来ならば頭部を狙うこの技は、過剰なまでの体格差故に怪物の脇腹にぶち当たった。

「ガッ……」
吹き飛んだ巨躯を追撃するは、正拳突き。
致命傷には至らない、イニシアチブを握られていた怪物は冷静さを取り戻す。

繰り出された四本の腕、対するは――
「貴様如きがパートナーなどと……」

両肘打ち。
裏拳。
正拳。


「図に乗るな」

迎撃しつつ接近した怪物の体に、
シャドームーンは突き刺したメタルキングの槍に蹴りを入れ、より深く突き刺した。

「アアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

「中身まで金属とはいかないようだな」

月を背に、シャドームーンは嗤った。



「スティングモン……なのか?」
異形といえば、通常種を逸脱した目の前の怪物もそうであるが、
突如現れた乱入者――スティングモンらしき者も、やはりそうといえる。
スティングモンを何度か見た故に、ある種共通する部分を以てスティングモンと呼びかけたが、
やはり、何かが違うようにレナモンには思える。

「シャドームーン……世界で唯一つの私の名前だ」
シャドームーンはレナモンに視線をやらない。
戦闘中というのもあるが、そもそも将来的に殺す相手だ。あまり興味など抱かないほうがいいだろう。

「すまない戦列に加わりたいが……」
申し訳なさそうにするレナモンに、シャドームーンは「いらん、邪魔だ」とだけ返した。

「おい怪物……貴様、自分の名前が言えるか?」
突然、放たれた質問。

「オマエナンカニ……」
「名乗る名前が無いのではない、名乗れる名前が無いのだろう?」
そう言って、シャドームーンは再び嗤いだした。

「キメラモンの頭部……中心はグレイモンであるはずだ……
だが、何だ貴様は……見たことがないな、デジモンではないだろう?雰囲気が明らかに違うな」
「ソレガドウシタ……」

「貴様の声は、何かを求めて求めて堪らない……そんな声だ、
そんな奴が、自我を限りなく薄めるキメラモンに……ましてや、デジモンですら無いものに自分の中心を委ねてしまうか?
違うだろう?自分の手で掴み取りたがるはずだ。本当に求めているのならば、な」
「ナニガ……」

「つまり……貴様は逃げたんだ、自分を認めてもらうことを諦め、名前も呼べぬパートナーを探してな……ククッ、
フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!!!」
「ワラウナァ!!!」
憤怒の炎を燃やした怪物を相手に、一歩も引かぬ様子を見せるのは――それはシャドームーンの自負というものだろう。

「貴様なんぞにパートナーが出来るか!!」
空気の変異を感じ取った、シャドームーンはそれでも動じない。

【かみなり】

降り注いだ光を、シャドームーンはただ受け止めた。
全身が焼け、光に目が潰れ、と同時に再生が開始されていく。
より強靭な肉体へと――

「貴様では、千年やっても私を地獄に送ることなど出来んな」
足運びは静かに、捉えられず、それでいて確実に、シャドームーンを怪物の前へと運んでいた。

「世界最高のパートナーのいる"僕"に」
深呼吸。
左足を前に。
拳を握りしめ。

「自分の名前もわからん独りの阿呆が勝てると思ったか!!」
正拳突き。
正拳突き。
正拳突き。

正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。
正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。
正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。
正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。正拳突き。

シャドームーンの技術は――

『カラテ……って言うんだって、ニホンから来てくれた人が教えてくれたの』
『一日、百本……君もやる?無理かぁ?』

彼のパートナーによってもたらされたものである。

この殺し合いで今まで使っていなかった技術を解禁したのは、
敵の硬さのせいもあるだろうが――それよりも、

『シャドームーン…………』

大事な理由があるのだろう。


「邪ッ!!!!」
かいしんのいちげき!



「グッ……ウゥ……」
タオモンに痛めつけられ、シャドームーンに会心の一撃をもらっても、
まだまだ戦える、自分の肉体を怪物はそう判断している。

だが、どうしようもなく圧されてしまっている。
何故だ――何故、こんなにも絶望を感じているというのだ!!

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!!」
その時、怪物は――無意識的に封印していた力を開放した。
それは■ア■■■ンの残滓、切り捨てようとしてやはり切り捨てることの出来なかったアイデンティティ。

「クルナア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!」

【ゴッドトルネード】

「チッ」
全てを拒む風の壁は、シャドームーンすらも吹き飛ばし――
それでも、その重量故に――友であるが故に、飛ばされぬ者もいる。

「お前…………」
「ヤメロ、ヤメロ、ヤメロ、ヤメロ、ヤメロ、ヤメロ」



「…………エアドラモンなのか」
「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

メタルティラノモンは、とうとう再会を果たした。
そして、怪物はとうとう取り戻してしまった。


エアドラモンの名を。
捨てたかったはずの自分を。


悲しさより先にメタルティラノモンに去来した感情は悔しさだった。
エアドラモンはどこまでもどこまでも行って、キメラモンとも呼べない何かに、怪物になってしまった。
複雑な感情を瞳に宿したメタルティラノモンに、たった一言、シャドームーンは聞いた。

「……知り合いか?」
「大事な……友達です」
「そうか」

その言葉を聞いて、シャドームーンは構えを解いた。
「ならば、これは貴様の戦いだ……」
既にシャドームーンは戦意を失っていた。
決着がどうであれ、生き残った方を殺すのだろう。

「案外優しいんだな」
「ふん……」
レナモンの言葉にシャドームーンは鼻を鳴らすと、仁王立ちをして黙りこんでしまった。

「貴様はどうなんだ?」
「死なないのならば、メタモンはそれを望むだろう……私もそうしよう」


「エアドラモン……」
「もう、俺はエアドラモンなんかじゃねぇ……俺は、俺は……何だ?
エンジェモンじゃない、レディーデビモンじゃない、ライチュウじゃない、バブモンじゃない、
思い出してしまった俺はキメラモンにもなれない……」
「もういい……もういいんだ」

「お前はいいよなぁ……ティラノモン、いや、今はメタルティラノモンか……お前はいいよなぁ、いいよなぁ、ハハ、ハ、ハ、ハ。
お前だ……お前が羨ましかったんだ俺は、お前が、俺を、置き去りに、して、行くのが、俺を、置いて、行くなよ……ああ、そうだ、俺は」





「お前になりたかったんだ」

無意識的に封印していた怪物の翼が、とうとう躍動を開始した。
もう、ヒートバイパーもかみなりもディアも何も使えない。
エアドラモンに――なってしまった。
だが、何も要らない。
怪物は空に、友だった者は地にいる。

届くものはいない。

「だから、お前をくれ」

四つの手の全てが、メタルティラノモンへと救いを求めた。

「なぁ、俺達って喧嘩したこと……なかったよな」

――力試しはしたことはある、だけれど喧嘩をしたことはなかった。
――二人しかいなかったから、一度でも関係にヒビを入れてしまうのが怖かったのかもしれない

――逃げてきたのかもしれない
――逃げ続けてきたのかもしれない

――初めての戦闘も、ピカチュウさんの時も、ライチュウさんの時も、紫の獣の時も

――もう、逃げない

はぐれてしまった者のメタルの腕が、友であろうとする者のメタルの腕に弾かれた。

――ミサイルも、プラズマ弾も、いらない。

「ぶん殴って止めてやる!!恨まれても止めてやる!!お前を止めてやる!!お前がどうなってでも止めてやる!!
そうだろエアドラモン!!友達ってそういうことだろ!?」

ミサイルをプラズマ弾を、ありったけ持っていけ。
それを推進力に、メタルティラノモンは飛んだ。

「ティラノモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!」
「エアドラモオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!」

その裏技は、ティラノモンだけに友人だけに許された最高の攻撃。
プラチナで覆われていても、メタルティラノモンには長い時間を歩んできた友には殴るべき場所がわかる。

かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!
かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!
かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!
かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!
かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!
かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!かいしんのいちげき!

「お前は怪物じゃねぇ!だけどお前を俺にさせたりもしねぇ!お前はエアドラモンだ!
不遇だ!進化ルートは揃ってないし、アニメでは扱いは悪い……でも、ゲームには七大魔王よりも出てる!
お前を使う奴はきっと何人もいる……お前はそんな…………俺の最高の友達だ!!」


ダメージがエアドラモンを地に落とした。
それでも、戦いは終わらない。
これで終わるぐらいならば、エアドラモンは怪物にはならなかった。

「ウオオオオオオオオオオオ!!!!」
「ウオオオオオオオオオオオ!!!!」

互いに互いの拳が、腹部に命中した。
何かがおかしくて笑う。

殴り合い、そして会話する。

「結局俺は……どこまでも自分からは逃げられなかった!!」
「ああ……俺達は進化できる、どんな可能性だってある!!でも……自分をやめることだけは出来ない!!」

「だったらどこまでも絶望しかねぇんだ……俺には!!」
「そんなことはない!!」

「なんでそんなことが言える!!」
「お前の友達だからだ!!」

虚を突かれたエアドラモンは、
一瞬呆けて人間で言う股間部分を蹴り上げられた。

「ふざけたことを言うな!!」
「ふざけてなんかいねぇ!!」

「俺はお前の友達だから!!良い所も悪い所も何でも知ってる!!
俺にパートナーができたら、お前を皆に教えて、そしてお前は誰かのパートナーだ!!
なんなら俺ごとお前を連れて行く!!」
「馬鹿なことを……」
「ああ、馬鹿なことだよ!お前のやったことと同じ馬鹿なことだよ!!
お前馬鹿だよ!!大馬鹿野郎だよ!!でも、そんなお前の友達なんだからやっぱり俺も馬鹿なんだよ!!
お前が何匹殺したかわからない!!俺も襲われた!!お前は罪を償わないといけない!!
でも俺は……そのことで世界中の皆が敵に回っても!!お前に幸せになって欲しい!!
お前が捕まったら俺はお前の牢獄に穴を開けに行く!!お前が殺されそうになったら、お前を殺そうとするやつをぶっ倒す!!
馬鹿なんだ!!俺達は馬鹿なんだ!!だから…………もう、やめろよ。
馬鹿なのはお前だけじゃない、俺達が馬鹿なんだ。
だから馬鹿な真似やめろよ、俺達で馬鹿なことやろう。なぁ……」


「ああ、そうだな……」
クロスカウンターで喧嘩の決着は終了した。
初めての喧嘩の決着は、メタルティラノモンの負けだった。
運動をした後であるかのように、清々しい疲労感と共に、メタルティラノモンは地に伏した。

「じゃあ!」
「でも……でもな、やっぱり俺は馬鹿なんだ…………もう、お前と一緒にはいられない」

エアドラモンは見た、人間の姿を。

「本当は、究極体にまで進化するお前に追いつきたかっただけなのに……どうしてこうなっちまったかな」


メタルティラノモンは、レナモンは、シャドームーンは見た、人の形をとった死を。
「ハハッ……馬鹿だな、俺」

一歩ずつ一歩ずつ、エアドラモンは人間の下へと歩いていく。

「いまだに……幻想を捨てられない、わかってるのにな」

「やめろ!!行くな!!!」

「行かないでくれ……行くなよ!なぁ!!」

「ごめんな」
エアドラモンは振り返らない。


「あら、ジャバウォックさんは私のお友達になりたいの?」
「ああ、俺は君のパートナー……いや、友達になりに来たんだ」


「そう、じゃあ――」



【エアドラモン@デジタルモンスターシリーズ 死亡】




「エアドラモオオオオオオオオオオオオオ…………ッ?」
友の死を悼んで、慟哭を上げたメタルティラノモンを、
完全に消耗しきった彼の肉体を、メタルキングの槍が、貫いた。

「俺は……」
「お前の戦いは終わった」

「お前の負けだ……だから」
ロードされていくメタルティラノモンの肉体は、友情など最初から無かったかのように、跡形もなく消えていく。

「友と、あの世で語らうが良い」

【アグモン(ティラノモン)@デジタルモンスターシリーズ 死亡】

「レナモンの姿は……やはり無いか」

行きて巡りあえば、再び地獄への糧として殺すだろう。
この場で殺せないことに対しては何も思わない。
今、気をやらなければならないのはおそらく――この場で最強の存在。

「お前が私を地獄に導くか……?」
「んー?アリスはn0101010010101000101」

あれほどにパートナーを求めたエアドラモンが、彼女と共に歩まないわけがない。
果たして、シャドームーンと対峙するのは魔人アリスなのか。
あの巨大な力を殺した彼女が、魔人のままでいられるというのか。


「010101000000000101010010101001010101001010100100011
0010101000010101001010101010110100101001010101010000
1111111111110010010101001010101001010100101001010101」

莫大な力は、主を求め――そして、死者のマグネタイトを操りし少女へと降る。


一方、レナモンは瞬時に逃走を決意した。
コイキング達の事を誰かに伝えるまで、死んでやる気はない。
ましてや、強大な敵同士が潰し合うのならば、それに越したことはない。

いや、義務感だけか?
恐怖という感情が混ざっていないと言い切れるか?


「あれは……あれは何なのだ?あれは…………」
レナモンは振り返ってしまった。
そして見てしまった。

エアドラモンの羽。
モーショボーの羽。
エンジェルの羽。
ムーの羽。

各々の羽を3枚ずつ、合計12枚の羽を魔人は背に宿らせた。
それ以外は未だ、外見だけは変わってはいない。
だが――


「天使【ルーチェ】……いや、もっと禍々しい…………言うならば、死導【シドー】」

なにかが変質した。





「ねぇ、アリスは……お友達が欲しいの、虫さんは人間っぽいねー……だから…………」

「 死 ん で く れ る ?」

「やってみろ、出来るものならば」

【C-5/草原/一日目/夜中】

【レナモン@デジタルモンスターシリーズ】
[状態]:ダメージ(大)
[装備]:なし
[所持]:ふくろ(空)
[思考・状況]
基本:君を忘れない
1:逃走
[備考]
メス。
多くの勢力が戦いを続ける激戦区の森で、幼年期クラスのデジモン達を守って生活していたが、
大規模な戦闘に巻き込まれた際、彼らを守りきれなかったことをきっかけに力を求めるようになった。
自力での進化が可能であり、キュウビモンに進化可能であることまで判明している。
ロードしたメタモンのデータは消失しました
現在は完全体に進化することは出来ません

【ワームモン(スティングモン)@デジタルモンスターシリーズ】
[状態]:疲労(小)
[装備]:なし
[所持]:ふくろ(空)、メタルキングの槍
[思考・状況]
基本:地獄へ征くその日まで、殺し続ける

[備考]
オス。一人称は私。
クーフーリン、デカラビア、メタルティラノモンをロードしました。
すえきすえぞーを食しました。
それにより強化され進化しかけましたが、イレギュラーな力を得ていたためデータが異常を起こしました。
全身の緑色の部分が銀色に変色しています。
瞳が緑色に変色しました。

【アリス@女神転生シリーズ】
[状態]:健康
[装備]:チェーンソー
[所持]:ふくろ(空)
[思考・状況]
基本:遊ぶ
1:目の前のシャドームーンをお友達にする

[備考]
エアドラモンの羽、モーショボーの羽、エンジェルの羽、ムーの羽を各々3枚ずつ背中に生やしました。
それがどのような影響を与えているかは不明です。

No.73:わるだくみ 時系列順 No.78:君のとなり
No.69:黒く蝕み心を染めん 投下順 No.71:その心まで何マイル?
No.68:君の思い出に レナモン No.85:レナモンの唄 ~Memories Off~
No.59:ごちそうさまでした ワームモン No.78:君のとなり
No.42:おままごと 魔人アリス No.78:君のとなり
No.68:君の思い出に エアドラモン 死亡
No.65:救いの手 アグモン 死亡