価値観

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「そんなこんな突然……」 茂みに身を寄せながら震えるモンスター。 彼はスライム、この世で最もメジャーなモンスターと言っても過言ではない。 だが知名と強さが比例するとは限らずその強さはよく序盤で狩られまくる。 彼の一族は代々伝説の勇者の幕開けとしてその体を伝説の礎に捧げる。 このスライムが生息していた森近辺の村は比較的静かな村だった。 特に争いが起きることもなく港はあれど異国の襲来も無く日々平和の世界。 そんな近くに住んでいたスライムは他所と比べると比較的、特に子供とは仲が良かった。 森で村人達と、ドラキーなどの仲間を誘って毎日を楽しく過ごしていた。 そんな彼の平穏が突然崩される。 殺し合い等と言う野蛮な行為を強要しそれを見世物にするなどモンスターのスライムでも腐っていると理解できる。 こんな事があってはならない。必ず戻ってまたみんなと遊んで楽しく過ごす。 そんなことを胸に秘めスライムは決意する こんな野蛮な殺し合い何てあってはならない。 屍を築くぐらいなら――主催にだって牙を剥く。 「でも僕じゃ力になれることなんて……」 無力とは残酷であり簡単には飛び越えれない奈落である。 いくら硬い決心が魂の内に存在していたとしても力がなくては無意味。 ましてや殺し合いを止めるというならば嫌でも戦いに参加し無くてはならない。 スライムが連戦連勝するだろうか?マダンテ?ねえよ。 袋の中身はコンバットナイフであり口で銜えれば武器になるがリーチが短すぎる。 そもそも戦いを止めるために戦いを起こすのは矛盾している。 僕達には言葉がある。たとえ話すことができなくても通じ合う心が在れば互いに惹かれ合い哀しみは無くなる。 笑顔の似合わない生物なんてこの世に存在しない。 あの村の人達のように、あの森の仲間達のように―― 「なんてね!かっこいい事思っても僕は所詮スライム……勇者の登竜門なんだよ……」 スライムの目には自然と涙が零れそうになっており上を向いて必死に食い止めていた。 何も出来ない己の無力、殺し合いが恐ろしく臆病になる、あの場所へ帰りたい。 様々な思いが交差し彼の精神を不安定にさせていた。 しかしこの恐怖に狼狽える光景もまた見世物としては最高のショーとなりえる。 どう転ぼうが全ては主催の、人間の手のひらの上で踊らされているに過ぎない現実。 「……ん?だ、誰かいるの?」 風では無く不思議に揺れる茂みにスライムは思考もせずに言葉を出す。 この時点で積極的な、危険なモンスターなら即アウトだが『誰かに会いたい』と言う小独心が思考を凌駕する。 声に乗せられて出てきたのは茶色い魔物。 二本の足で立ち耳があってとてももふもふしたくなるような姿――通称ハムが現れた。 初めて出会う他人、初めて見るモンスター、初めて会話する相手。 何もかもが初めて尽くしで不安に満ちあふれていて黙っていると泣きそうになってくる。 相手の魔物が口を開いてくれた。 「俺はハム!よろしくな――えっと」 「ス、スライムって言うの!よろしく!」 やった初めて会ったのは仲良くなれそうだ! 先ほどまでの不安は嘘のように晴れ今のスライムの顔は満面の笑みで輝いている。 涙も乾きその瞳はハムの瞳を吸い込むようにずっと見つめていた。 対するハムは少し戸惑いながらもよろしくの意味を込めて握手をしようとするがスライムには腕がない。 どうしようもないのでこちらも笑顔でスライムに返す。 するとスライムは嬉しかったらしく飛び跳ね始めハムは再度困惑する。 (元気良すぎだろ……おい) やがてスライムは疲れたのか息を切らし徐々に飛び跳ねる回数が減っていきやがて木に凭れ掛かる。 体には光で輝く程の汗、そしてその顔はとても嬉しそうに笑っていた。 スライムは肩(?)で呼吸し息を整え終わったらハムに話しかける。 「ねぇ君はどんな所から来たの?僕はね――」 質問したにもかかわらず答えを聞かずに自分の事を語り始めるスライム。 ハムも答えようとしたため声が一瞬出てしまうがそれを殺し仕方がないのでスライムの話を聴きこむ。 聞いてもいないの必要以上に語るスライムに若干嫌気が差し始めてきた。 そしてその話しは終わること無く続きどれくらいの時が経っただろうか。 (なんだこいつ……) 「僕の住んでる森はね!みんな仲良しなの! それに近くにある村の人達とも仲が良くてたくさん遊ぶんだ!もう毎日がハッピーなの!」 マシンガントークはまだ終らない。 「それでね!それでね!あの時ドラキーがうるさいからさ、僕は言ってやったんだ!」 「「お前は少し大人しくしてろ」ってね!……え?」 自分のトークタイムに重なる不穏な声の正体は一人しかいない。 こんな状況で出会えたんだ、仲良くなりたい、お話したい、一緒に居たい、協力してこの状況をなんとかしたい。 そんなことを頭の隅に置いて話していたがいつの間にかその思考は消え去り地元の話や自分の自慢になっていた。 これは申し訳ないと思いハムに謝罪しようと口を開こうとするが先に口を開かれる。 「お前うざいわー、何そんな見てくれでどうしたの?足は?腕は?」 ――――――――――え? 突然どうしたの?さっきまで話しを聞いてくれていたのに…… どうして?何でそんな酷い言葉を僕に浴びさせるの?僕何か悪いことしちゃったの……? ただ、話しを聞いて貰いたいだけだったのにどうしてこんな…… 「ねぇよなそんなゲルの下位互換みたいな奴にはよぉ! ちょっとお前のせいで鬱憤MAXだわ。こりゃ殴らなきゃ気が済まねー」 ハム。 比較的人間に対して憎悪を抱いていないが逆も然り。 自分に危害を加えなきゃ何でもいい、捕まえられるのは勘弁だが。 その性格は普段は好青年で特に問題も起こさない様な社会の見本になる程の礼儀さを持つ。 その裏に潜むのは自分以外はどうでもよく常に自分を魅せる方法を考えていた。 こうすれば屑に見られ、こうしたら屑に見えずに体裁を良い状態で維持できる…… こうしたスタイルで彼は上の者達からは大変気に入られそれなりの地位を持っていた。 逆に自分より低い立場の者には容赦なんて存在しなく罵倒や暴力など日常茶飯事。 そうした生き方は常に敵を作り常に安定の地位を得て社会の流れに沿ってきた。 しかしそれもこの状況に巻き込まれては意味が無いのだ。死ねばそこで終わり、地位も自由も何もかもが無に帰す。 此処に来てからハムはずっと苛ついており良さそうな別のモンスターを探していた。 そうして出会ったのがこのスライムである。 見た目からハムはスライムを劣化版ゲルと判断したが見た目だけでは危険が生じるためわざと動いた。 自分から声を掛けないようなるべくリスクを減らしたかった。 案の定スライムは話しかけてきくれた。だから定石通りに受け答えする。 ポンポン話題を出してくるスライムにハムは真面目に聞いている風にしていた。 実際には軽く聞き流す程度で全てが頭に入っているわけではないがこれは話しすぎたスライムにも非があるかもしれない。 それを踏まえても終わることのない話に痺れを切らしハムは本性を曝け出した。 スライムが自分よりも圧倒的格下が確定したので強気に出たのであった。 「そんな急に――い、痛い!や、やめて!!」 スライムの叫びも虚しくハムは鬱憤を晴らすべくスライムを殴り始めた。 一発。 「だいたいよーどうしてこんな変な事によぉッ!巻き込まれなきゃいけねえんだ!」 更に殴りつける。 スライムのマウンドポジションを取りながら一発、そしてまた一発と重ねていく。 もちろん殺す気などないので十分を手を抜いているがスライムの耐性では大変危険である。 口が切れそこから血が流れ始め青い体には紫色の痣も出来始めている。 「自由にさーせろっ!あの人間マジ気に喰わないわー死なないかな―」 その暴力は止むこと無くスライムに一方的に降り注ぎハムの気分転換に繋がる。 スライムの瞳からは涙が溢れ血と涙で軽い水たまりが出来ようとしている。 ハムも一応は気遣っているのか、スライムのあの体でも瞳を狙わないように配慮しているらしい。 「お前が何かするまで殴るのマジやめねーから!いつすんの!?いま!?いまなのか!?」 拳の往復は振り子の様に機械的に何度もスライムを殴りつける。 どれくらい殴っただろうか――そろそろ手が痛くなってきた。 スライムは抵抗をやめたらしく素直に暴力を受け入れていた。 何の反応も示さないのでハムは罪悪感に襲われるがヤッてしまったことには変わりはないのでスルー。 最後に唾を吐きその行動に終止符を討つ。 「今から10秒数えるからそれまでに消えてくっださーい」 その言葉を聞いたスライムの頭に電流が走る。 ここで逃げなきゃまた何をされるか、自分の安全を保証できるかなんてわからない。 傷も増えダメージも疲労も残っているがここは逃げなきゃ―― 「10、9、8、ぜろ~」 「うわあああああああああああああああああ!!!」 音を上げる体に鞭を派手に打ちスライムはその場を飛び跳ねながら逃げる。 後ろなんて振り向かないし振り向けない。 もう嫌だ、帰る、帰りたい、あの村に、みんなの所に、帰りたい帰りたい帰りたい。 「あーつまんねぇーわ!殺すとかありえねーし!誰か良い奴はいねーのかよ!」 そしてハムは新たな宿り木を探しにその足を進める―――――――――― 【G-5/森/一日目/日中】 【ハム@モンスターファーム】 [状態]:イライラ [装備]:なし [所持]:ふくろ(中身未確認) [思考・状況] 基本:帰りたい  1:リーダーシップ取れる奴の近くにいたい  2:殺すとかありえねー [備考] オス。野生で人間に対しては特に何も思っていません。 表は良い人振るが内心は黒い。自分より格下は力でねじ伏せ下僕にする。 格上には媚を売り自分の安全を確保する。基本自分からは行動せずリーダー格に付いて行く。 「ハム……覚えたよその名前……!」 スライムは決して逃げたわけではない、退却したのだ。 自分がどんな悪いことをしたのか、ただ話しただけなのにたくさん殴りつけやがって。 目は充血しその瞳は茂みの奥からハムの背中をただ一点見つめている。 そして口にはコンバットナイフが加えられている。 「隙を見せてみな……それが君の最後だよ……」 口から涎を垂らしながらスライムは静かに告げる。 もう許さない、ハムも、主催も、モンスターも、人間も。 たかがスライムと侮るな、いくらでも殺してやる殺してやる殺してやる。 モンスター、怪物、魔物…… それが凶暴じゃない理由何て必要無い―――――――――― 【G-5/河/一日目/日中】 【スライム@ドラゴンクエスト】 [状態]:ダメージ(中)、流血、痣 [装備]:コンバットナイフ [所持]:ふくろ(空) [思考・状況] 基本:もう何もかも許さない  1:ハムを殺す  2:仕方がないんだよ、だから殺す [備考] オス。人間とは共存していて毎日村の子供達と遊んでいた。基本は大人しい。 話し始めると中々止まらないので一部の仲間にはあまり評判は良くない。 キレたら面倒臭いタイプで泣くと力が強くなる気質。 |No.15:[[天の邪鬼]]|[[投下順]]|No.17:[[力の証]]| ||ハム|No.21:[[上手くズルく生きて楽しいのさ]]| ||スライム|No.21:[[上手くズルく生きて楽しいのさ]]|
「そんなこんな突然……」 茂みに身を寄せながら震えるモンスター。 彼はスライム、この世で最もメジャーなモンスターと言っても過言ではない。 だが知名と強さが比例するとは限らずその強さはよく序盤で狩られまくる。 彼の一族は代々伝説の勇者の幕開けとしてその体を伝説の礎に捧げる。 このスライムが生息していた森近辺の村は比較的静かな村だった。 特に争いが起きることもなく港はあれど異国の襲来も無く日々平和の世界。 そんな近くに住んでいたスライムは他所と比べると比較的、特に子供とは仲が良かった。 森で村人達と、ドラキーなどの仲間を誘って毎日を楽しく過ごしていた。 そんな彼の平穏が突然崩される。 殺し合い等と言う野蛮な行為を強要しそれを見世物にするなどモンスターのスライムでも腐っていると理解できる。 こんな事があってはならない。必ず戻ってまたみんなと遊んで楽しく過ごす。 そんなことを胸に秘めスライムは決意する こんな野蛮な殺し合い何てあってはならない。 屍を築くぐらいなら――主催にだって牙を剥く。 「でも僕じゃ力になれることなんて……」 無力とは残酷であり簡単には飛び越えれない奈落である。 いくら硬い決心が魂の内に存在していたとしても力がなくては無意味。 ましてや殺し合いを止めるというならば嫌でも戦いに参加し無くてはならない。 スライムが連戦連勝するだろうか?マダンテ?ねえよ。 袋の中身はコンバットナイフであり口で銜えれば武器になるがリーチが短すぎる。 そもそも戦いを止めるために戦いを起こすのは矛盾している。 僕達には言葉がある。たとえ話すことができなくても通じ合う心が在れば互いに惹かれ合い哀しみは無くなる。 笑顔の似合わない生物なんてこの世に存在しない。 あの村の人達のように、あの森の仲間達のように―― 「なんてね!かっこいい事思っても僕は所詮スライム……勇者の登竜門なんだよ……」 スライムの目には自然と涙が零れそうになっており上を向いて必死に食い止めていた。 何も出来ない己の無力、殺し合いが恐ろしく臆病になる、あの場所へ帰りたい。 様々な思いが交差し彼の精神を不安定にさせていた。 しかしこの恐怖に狼狽える光景もまた見世物としては最高のショーとなりえる。 どう転ぼうが全ては主催の、人間の手のひらの上で踊らされているに過ぎない現実。 「……ん?だ、誰かいるの?」 風では無く不思議に揺れる茂みにスライムは思考もせずに言葉を出す。 この時点で積極的な、危険なモンスターなら即アウトだが『誰かに会いたい』と言う小独心が思考を凌駕する。 声に乗せられて出てきたのは茶色い魔物。 二本の足で立ち耳があってとてももふもふしたくなるような姿――通称ハムが現れた。 初めて出会う他人、初めて見るモンスター、初めて会話する相手。 何もかもが初めて尽くしで不安に満ちあふれていて黙っていると泣きそうになってくる。 相手の魔物が口を開いてくれた。 「俺はハム!よろしくな――えっと」 「ス、スライムって言うの!よろしく!」 やった初めて会ったのは仲良くなれそうだ! 先ほどまでの不安は嘘のように晴れ今のスライムの顔は満面の笑みで輝いている。 涙も乾きその瞳はハムの瞳を吸い込むようにずっと見つめていた。 対するハムは少し戸惑いながらもよろしくの意味を込めて握手をしようとするがスライムには腕がない。 どうしようもないのでこちらも笑顔でスライムに返す。 するとスライムは嬉しかったらしく飛び跳ね始めハムは再度困惑する。 (元気良すぎだろ……おい) やがてスライムは疲れたのか息を切らし徐々に飛び跳ねる回数が減っていきやがて木に凭れ掛かる。 体には光で輝く程の汗、そしてその顔はとても嬉しそうに笑っていた。 スライムは肩(?)で呼吸し息を整え終わったらハムに話しかける。 「ねぇ君はどんな所から来たの?僕はね――」 質問したにもかかわらず答えを聞かずに自分の事を語り始めるスライム。 ハムも答えようとしたため声が一瞬出てしまうがそれを殺し仕方がないのでスライムの話を聴きこむ。 聞いてもいないの必要以上に語るスライムに若干嫌気が差し始めてきた。 そしてその話しは終わること無く続きどれくらいの時が経っただろうか。 (なんだこいつ……) 「僕の住んでる森はね!みんな仲良しなの! それに近くにある村の人達とも仲が良くてたくさん遊ぶんだ!もう毎日がハッピーなの!」 マシンガントークはまだ終らない。 「それでね!それでね!あの時ドラキーがうるさいからさ、僕は言ってやったんだ!」 「「お前は少し大人しくしてろ」ってね!……え?」 自分のトークタイムに重なる不穏な声の正体は一人しかいない。 こんな状況で出会えたんだ、仲良くなりたい、お話したい、一緒に居たい、協力してこの状況をなんとかしたい。 そんなことを頭の隅に置いて話していたがいつの間にかその思考は消え去り地元の話や自分の自慢になっていた。 これは申し訳ないと思いハムに謝罪しようと口を開こうとするが先に口を開かれる。 「お前うざいわー、何そんな見てくれでどうしたの?足は?腕は?」 ――――――――――え? 突然どうしたの?さっきまで話しを聞いてくれていたのに…… どうして?何でそんな酷い言葉を僕に浴びさせるの?僕何か悪いことしちゃったの……? ただ、話しを聞いて貰いたいだけだったのにどうしてこんな…… 「ねぇよなそんなゲルの下位互換みたいな奴にはよぉ! ちょっとお前のせいで鬱憤MAXだわ。こりゃ殴らなきゃ気が済まねー」 ハム。 比較的人間に対して憎悪を抱いていないが逆も然り。 自分に危害を加えなきゃ何でもいい、捕まえられるのは勘弁だが。 その性格は普段は好青年で特に問題も起こさない様な社会の見本になる程の礼儀さを持つ。 その裏に潜むのは自分以外はどうでもよく常に自分を魅せる方法を考えていた。 こうすれば屑に見られ、こうしたら屑に見えずに体裁を良い状態で維持できる…… こうしたスタイルで彼は上の者達からは大変気に入られそれなりの地位を持っていた。 逆に自分より低い立場の者には容赦なんて存在しなく罵倒や暴力など日常茶飯事。 そうした生き方は常に敵を作り常に安定の地位を得て社会の流れに沿ってきた。 しかしそれもこの状況に巻き込まれては意味が無いのだ。死ねばそこで終わり、地位も自由も何もかもが無に帰す。 此処に来てからハムはずっと苛ついており良さそうな別のモンスターを探していた。 そうして出会ったのがこのスライムである。 見た目からハムはスライムを劣化版ゲルと判断したが見た目だけでは危険が生じるためわざと動いた。 自分から声を掛けないようなるべくリスクを減らしたかった。 案の定スライムは話しかけてきくれた。だから定石通りに受け答えする。 ポンポン話題を出してくるスライムにハムは真面目に聞いている風にしていた。 実際には軽く聞き流す程度で全てが頭に入っているわけではないがこれは話しすぎたスライムにも非があるかもしれない。 それを踏まえても終わることのない話に痺れを切らしハムは本性を曝け出した。 スライムが自分よりも圧倒的格下が確定したので強気に出たのであった。 「そんな急に――い、痛い!や、やめて!!」 スライムの叫びも虚しくハムは鬱憤を晴らすべくスライムを殴り始めた。 一発。 「だいたいよーどうしてこんな変な事によぉッ!巻き込まれなきゃいけねえんだ!」 更に殴りつける。 スライムのマウンドポジションを取りながら一発、そしてまた一発と重ねていく。 もちろん殺す気などないので十分を手を抜いているがスライムの耐性では大変危険である。 口が切れそこから血が流れ始め青い体には紫色の痣も出来始めている。 「自由にさーせろっ!あの人間マジ気に喰わないわー死なないかな―」 その暴力は止むこと無くスライムに一方的に降り注ぎハムの気分転換に繋がる。 スライムの瞳からは涙が溢れ血と涙で軽い水たまりが出来ようとしている。 ハムも一応は気遣っているのか、スライムのあの体でも瞳を狙わないように配慮しているらしい。 「お前が何かするまで殴るのマジやめねーから!いつすんの!?いま!?いまなのか!?」 拳の往復は振り子の様に機械的に何度もスライムを殴りつける。 どれくらい殴っただろうか――そろそろ手が痛くなってきた。 スライムは抵抗をやめたらしく素直に暴力を受け入れていた。 何の反応も示さないのでハムは罪悪感に襲われるがヤッてしまったことには変わりはないのでスルー。 最後に唾を吐きその行動に終止符を討つ。 「今から10秒数えるからそれまでに消えてくっださーい」 その言葉を聞いたスライムの頭に電流が走る。 ここで逃げなきゃまた何をされるか、自分の安全を保証できるかなんてわからない。 傷も増えダメージも疲労も残っているがここは逃げなきゃ―― 「10、9、8、ぜろ~」 「うわあああああああああああああああああ!!!」 音を上げる体に鞭を派手に打ちスライムはその場を飛び跳ねながら逃げる。 後ろなんて振り向かないし振り向けない。 もう嫌だ、帰る、帰りたい、あの村に、みんなの所に、帰りたい帰りたい帰りたい。 「あーつまんねぇーわ!殺すとかありえねーし!誰か良い奴はいねーのかよ!」 そしてハムは新たな宿り木を探しにその足を進める―――――――――― 【G-5/森/一日目/日中】 【ハム@モンスターファーム】 [状態]:イライラ [装備]:なし [所持]:ふくろ(中身未確認) [思考・状況] 基本:帰りたい  1:リーダーシップ取れる奴の近くにいたい  2:殺すとかありえねー [備考] オス。野生で人間に対しては特に何も思っていません。 表は良い人振るが内心は黒い。自分より格下は力でねじ伏せ下僕にする。 格上には媚を売り自分の安全を確保する。基本自分からは行動せずリーダー格に付いて行く。 「ハム……覚えたよその名前……!」 スライムは決して逃げたわけではない、退却したのだ。 自分がどんな悪いことをしたのか、ただ話しただけなのにたくさん殴りつけやがって。 目は充血しその瞳は茂みの奥からハムの背中をただ一点見つめている。 そして口にはコンバットナイフが加えられている。 「隙を見せてみな……それが君の最後だよ……」 口から涎を垂らしながらスライムは静かに告げる。 もう許さない、ハムも、主催も、モンスターも、人間も。 たかがスライムと侮るな、いくらでも殺してやる殺してやる殺してやる。 モンスター、怪物、魔物…… それが凶暴じゃない理由何て必要無い―――――――――― 【G-5/河/一日目/日中】 【スライム@ドラゴンクエスト】 [状態]:ダメージ(中)、流血、痣 [装備]:コンバットナイフ [所持]:ふくろ(空) [思考・状況] 基本:もう何もかも許さない  1:ハムを殺す  2:仕方がないんだよ、だから殺す [備考] オス。人間とは共存していて毎日村の子供達と遊んでいた。基本は大人しい。 話し始めると中々止まらないので一部の仲間にはあまり評判は良くない。 キレたら面倒臭いタイプで泣くと力が強くなる気質。 |No.28:[[歪みの国のアリス]]|[[時系列順]]|No.17:[[力の証]]| |No.15:[[天の邪鬼]]|[[投下順]]|No.17:[[力の証]]| ||ハム|No.21:[[上手くズルく生きて楽しいのさ]]| ||スライム|No.21:[[上手くズルく生きて楽しいのさ]]|

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