チキン・ラン

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――ザザン、と波音が聞こえてくる。 目の前に広がるは海。塩っぱい潮の臭いが漂う。 砂漠では見たことも感じたことも無い、新鮮な光景と感覚だ。 澄み渡るような美しい蒼さ、世界を覆い尽くすかのような広大さ。 そこにはある種の神秘さえも感じる。普段だったら、彼は呑気に見惚れていただろう。 この場が「殺し合い」の場でなければ―――― 「………………」 森の近辺の浜辺で海を見ているのは、小型のサボテンのような外見をした一匹のモンスター。 彼はサボテンダー。この闘技場に無理矢理呼び込まれた、『参加者』の一人。 ―そう、彼は広大な海に見惚れているのではない。 この場における方針を考えていたのだ。 異常な状況における、自分自身の方針を。 ◆◆◆◆◆ 何でこんな所に呼び出されてしまったんだ? 剣を持った旅人からも常に逃げ延び、此処まで生き続けて来た僕が。 何でこんな理不尽な場所に呼び出されてしまったんだ? 祭典?ふざけないでくれ。 殺し合いの娯楽の為に僕達は呼び出されたって言うのか?冗談じゃない。 祭典なんてクソ喰らえだ。 だけど――――――― 『あいつ』はヤバい。今まで見てきたどんな奴よりもヤバい。 現に、逆らおうとしたあの獣は一瞬で塵の如く殺されてしまった。 そう、あの『主催者』はヤバい。 逆らえるわけがない。 逆らった瞬間、虫を捻り潰すのと同じように簡単に殺されるだろう。 …………なら、僕はどうする? ◆◆◆◆◆ 殺し合いはしたくない。だが、それは命の奪い合いへの嫌悪感からではない。 ただ単に『死にたくない』からだ。 しかし彼自身、決して『弱い』わけではない。 その動きは獣のように素早く、体表は鎧のように固い。装甲を貫通する無数の針を放てる。 今まで何人もの旅人を撒いてきたという実績すらある。 だが、彼を真に恐怖させるのはこの未知の環境! あいつらはどうやって自分をこの場に放り込んだんだ? いや、そもそもそれ以前の問題。 何で自分は『あいつら』に『捕まって』いるんだ? そう、『奴らに捕まった』という記憶が全くない! 得体が知れない。例え眠っている時であろうと、普段ならすぐに気配に気付いて逃げられるというのに! そして、この場において周りは全て敵。モンスター同士を競わせる殺し合いなんだ。 主催へ反抗すれば待つのは死のみ。自分達の生殺与奪が完全に握られている。 ――――逆らうことなんて無理に決まってる。 それこそ自殺行為と言うんだ。 そう。 彼を恐怖させているのは、この状況そのもの。 ◆◆◆◆◆ 死にたくない。なら生き残る為に動くしかない。 だが、もし自分よりも強い相手がいたら? …そうなったら、とにかく逃げよう。いや、そもそも正面から戦うこと自体がダメだ。 基本は「逃げ回って隠れつつ」、遭遇してしまった時は「撤退」を前提とした体勢を取る。 それがベストだ。正面対決で自分の体力を無駄に消耗するよりはよっぽどいい。 潰し合いなんて他の奴らに勝手にして貰おう。 自分は気付かれないように、戦いで傷付いた連中を仕留めればいい。 あわよくば、弱そうな奴らも始末したい。戦闘は避けつつも、一応数は減らしておきたい…。 とにかく、僕がわざわざ強い奴と正面から戦う必要なんてないんだ! そうすればきっと生き残れる!僕だって弱くはないんだ。 あらゆる旅人から逃げ延びてきた僕ならば、生き残れるんだ。 ………とりあえず、まずはどこか…隠れる場所が欲しいかな。 こんな開けた砂浜にいて、遠くから狙われたらたまったもんじゃない。 ◆◆◆◆◆ 彼は臆病だった。しかし同時に、狡賢かった。 直接戦闘は避けつつ、他の参加者同士で潰し合いをしてもらうことにした。 弱い参加者、傷付いた参加者がいたら仕留めつつ。 強敵と当たったとしても、この逃げ足さえあればそう簡単に死ぬことはない。…はずだ。 彼には一応、自信があった。異常な状況と主催者のことを除けば、だが。 この戦法なら「生き残ること」は出来るかもしれない、という自信があったのだ。 『異常な状況』と『主催者』、そして『死』への恐怖は確かにある。 だが「生き残れるかもしれない」という自信が、少しだけそれを抑え込んでいた。 強敵への不安もあるが、潰し合って傷付いていればきっと仕留められる…と。 彼は狡猾に立ち回るという生き残るプランを考えたことで、恐怖を少しだけ抑え込めたのだ。 とはいえ…ほんの少しだけ、だが。死への恐怖感はあくまで消えない。 特に、あの主催者への恐怖は抑え込めても一向に消えることは無い。 彼には、絶対に抗うことは出来ないだろう。 ――――一先ず、隠れられる場所を探すこと決めた彼は、素早く森へと駆け抜けていく。 もはや呑気に海を眺めている場合ではない。 まずは適当に逃げ隠れしつつ、強い奴らに潰し合ってもらおう…。 雑魚の始末もある程度はそいつらが頑張ってくれる。 そして、僕はそいつらが弱っている所を『狙い撃つ』。雑魚共も適当に始末する。 …案外何とかなるかもしれないな。 砂浜に、か細く笑うような鳴き声がほんの少しだけ響いた。 【G-4/森/一日目/昼】 【サボテンダー@ファイナルファンタジー】 [状態]:健康、この状況への恐怖(生き残れそうな自信で少しだけ抑え込めている) [装備]:なし [所持]:ふくろ(不明支給品1) [思考・状況] 基本:逃げ隠れしつつ、生き残る。死にたくはない。  1:直接対決は避ける。他のモンスター同士で潰し合ってほしい。  2:その中で弱そうな奴、傷を負ってる奴は仕留める。  3:危ない橋は極力渡りたくない。基本は逃げ腰。  4:あいつ(主催)には絶対に逆らえない…… 【備考】 オス。割と狡賢いが根は臆病。 |No.02:[[本当に逃がしますか? →はい]]|[[投下順]]|No.04:[[海物語]]| ||サボテンダー|No.44:[[サボってんじゃねえよ]]|
――ザザン、と波音が聞こえてくる。 目の前に広がるは海。塩っぱい潮の臭いが漂う。 砂漠では見たことも感じたことも無い、新鮮な光景と感覚だ。 澄み渡るような美しい蒼さ、世界を覆い尽くすかのような広大さ。 そこにはある種の神秘さえも感じる。普段だったら、彼は呑気に見惚れていただろう。 この場が「殺し合い」の場でなければ―――― 「………………」 森の近辺の浜辺で海を見ているのは、小型のサボテンのような外見をした一匹のモンスター。 彼はサボテンダー。この闘技場に無理矢理呼び込まれた、『参加者』の一人。 ―そう、彼は広大な海に見惚れているのではない。 この場における方針を考えていたのだ。 異常な状況における、自分自身の方針を。 ◆◆◆◆◆ 何でこんな所に呼び出されてしまったんだ? 剣を持った旅人からも常に逃げ延び、此処まで生き続けて来た僕が。 何でこんな理不尽な場所に呼び出されてしまったんだ? 祭典?ふざけないでくれ。 殺し合いの娯楽の為に僕達は呼び出されたって言うのか?冗談じゃない。 祭典なんてクソ喰らえだ。 だけど――――――― 『あいつ』はヤバい。今まで見てきたどんな奴よりもヤバい。 現に、逆らおうとしたあの獣は一瞬で塵の如く殺されてしまった。 そう、あの『主催者』はヤバい。 逆らえるわけがない。 逆らった瞬間、虫を捻り潰すのと同じように簡単に殺されるだろう。 …………なら、僕はどうする? ◆◆◆◆◆ 殺し合いはしたくない。だが、それは命の奪い合いへの嫌悪感からではない。 ただ単に『死にたくない』からだ。 しかし彼自身、決して『弱い』わけではない。 その動きは獣のように素早く、体表は鎧のように固い。装甲を貫通する無数の針を放てる。 今まで何人もの旅人を撒いてきたという実績すらある。 だが、彼を真に恐怖させるのはこの未知の環境! あいつらはどうやって自分をこの場に放り込んだんだ? いや、そもそもそれ以前の問題。 何で自分は『あいつら』に『捕まって』いるんだ? そう、『奴らに捕まった』という記憶が全くない! 得体が知れない。例え眠っている時であろうと、普段ならすぐに気配に気付いて逃げられるというのに! そして、この場において周りは全て敵。モンスター同士を競わせる殺し合いなんだ。 主催へ反抗すれば待つのは死のみ。自分達の生殺与奪が完全に握られている。 ――――逆らうことなんて無理に決まってる。 それこそ自殺行為と言うんだ。 そう。 彼を恐怖させているのは、この状況そのもの。 ◆◆◆◆◆ 死にたくない。なら生き残る為に動くしかない。 だが、もし自分よりも強い相手がいたら? …そうなったら、とにかく逃げよう。いや、そもそも正面から戦うこと自体がダメだ。 基本は「逃げ回って隠れつつ」、遭遇してしまった時は「撤退」を前提とした体勢を取る。 それがベストだ。正面対決で自分の体力を無駄に消耗するよりはよっぽどいい。 潰し合いなんて他の奴らに勝手にして貰おう。 自分は気付かれないように、戦いで傷付いた連中を仕留めればいい。 あわよくば、弱そうな奴らも始末したい。戦闘は避けつつも、一応数は減らしておきたい…。 とにかく、僕がわざわざ強い奴と正面から戦う必要なんてないんだ! そうすればきっと生き残れる!僕だって弱くはないんだ。 あらゆる旅人から逃げ延びてきた僕ならば、生き残れるんだ。 ………とりあえず、まずはどこか…隠れる場所が欲しいかな。 こんな開けた砂浜にいて、遠くから狙われたらたまったもんじゃない。 ◆◆◆◆◆ 彼は臆病だった。しかし同時に、狡賢かった。 直接戦闘は避けつつ、他の参加者同士で潰し合いをしてもらうことにした。 弱い参加者、傷付いた参加者がいたら仕留めつつ。 強敵と当たったとしても、この逃げ足さえあればそう簡単に死ぬことはない。…はずだ。 彼には一応、自信があった。異常な状況と主催者のことを除けば、だが。 この戦法なら「生き残ること」は出来るかもしれない、という自信があったのだ。 『異常な状況』と『主催者』、そして『死』への恐怖は確かにある。 だが「生き残れるかもしれない」という自信が、少しだけそれを抑え込んでいた。 強敵への不安もあるが、潰し合って傷付いていればきっと仕留められる…と。 彼は狡猾に立ち回るという生き残るプランを考えたことで、恐怖を少しだけ抑え込めたのだ。 とはいえ…ほんの少しだけ、だが。死への恐怖感はあくまで消えない。 特に、あの主催者への恐怖は抑え込めても一向に消えることは無い。 彼には、絶対に抗うことは出来ないだろう。 ――――一先ず、隠れられる場所を探すこと決めた彼は、素早く森へと駆け抜けていく。 もはや呑気に海を眺めている場合ではない。 まずは適当に逃げ隠れしつつ、強い奴らに潰し合ってもらおう…。 雑魚の始末もある程度はそいつらが頑張ってくれる。 そして、僕はそいつらが弱っている所を『狙い撃つ』。雑魚共も適当に始末する。 …案外何とかなるかもしれないな。 砂浜に、か細く笑うような鳴き声がほんの少しだけ響いた。 【G-4/森/一日目/昼】 【サボテンダー@ファイナルファンタジー】 [状態]:健康、この状況への恐怖(生き残れそうな自信で少しだけ抑え込めている) [装備]:なし [所持]:ふくろ(不明支給品1) [思考・状況] 基本:逃げ隠れしつつ、生き残る。死にたくはない。  1:直接対決は避ける。他のモンスター同士で潰し合ってほしい。  2:その中で弱そうな奴、傷を負ってる奴は仕留める。  3:危ない橋は極力渡りたくない。基本は逃げ腰。  4:あいつ(主催)には絶対に逆らえない…… 【備考】 オス。割と狡賢いが根は臆病。 |No.02:[[本当に逃がしますか? →はい]]|[[時系列順]]|No.04:[[海物語]]| |No.02:[[本当に逃がしますか? →はい]]|[[投下順]]|No.04:[[海物語]]| ||サボテンダー|No.44:[[サボってんじゃねえよ]]|

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