救いの手

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「……エアドラモン……なんでだよ……」 どこまでも歪みきってしまったエアドラモンの飛び去っていく姿。 彼が殺していった人気キャラクターの成れの果て、無残に切り刻まれたライチュウの亡骸。 ティラノモンはそれらの様子を見て、むせび泣いた。 「ライチュウさんも……どうして俺なんかのために……」 どうしてこんな結果にならざるを得なかったのか。 どうして俺はこの悲劇を止めることが出来なかったのか。 『誰にも相手にされないぐらいなら、世界中の人間に嫌われてでも、  誰か一人の目に焼きつくような強烈なインパクトを植えつけてやる』 『いいわけないだろ!!だけど、それしかねぇんだ!!もう俺には……それしかねぇんだよ…………』 クソッ、アイツ卑屈すぎるんだよ……! どうしてそんな最悪の選択肢ばかり選ぶんだ。何がアイツをこんなにまで動かしているんだ。 多くの人に嫌われてもいいだなんて、ダークヒーローでも気取ってるつもりかよ、畜生……。 ……自己中なお前じゃあ、ダークヒーローになんて絶対に成れないというのによ……。 アイツに待っているのは、おそらく無様な破滅。 みっともなくとち狂い続けて、倒されたならば嘲笑を浴びて、勝ち残ればブーイングが起こる。 そんな、救いようのない未来。 「どうすんだよ……俺はどうすればいいんだよ……もう遅いってのかよ……」 はたはたとこぼれ落ちた涙が、大地を湿らせた。 「どうかしたのか?」 後ろから低い声がした。 ティラノモンが振り向いた先には巨大な牛のような魔物がいた。 その魔物ベヒーモスはすぐそばで息絶えているライチュウを見て、その恐竜の様子を察する。 「……そうか、お前の仲間が殺されたのだな……」 しかし、ティラノモンは首を横に振った。 「違う……ライチュウさんを殺したのは俺の友達なんだ……」 「ふむ、ライチュウと言うんだな、ネズミの魔物」 「え、知らないんですか!?」 「……知らないな」 「超有名キャラクターの進化系ですよ」 「知らん」 唖然とするティラノモン、唖然とされたことに唖然とするベヒーモス。 まぁ、ピカチュウよりは知名度低いから知らない人もいるのかもしれない、と思い、話を続けた。 「俺の友達は……いや、アイツはもう俺のことを友達だと思ってないかもしれない……。  その、ソイツは、人気者を倒せば人間に認められて自分にも光が巡ってくるって、そんな馬鹿げたことを言って……」 「……人気者? ふむ、確かに馬鹿げたことを言う。殺し合いを強いられている最中に、己の人気などを気にするとはどうかしている」 「いや、むしろこういう状況だからこそ、人気を手に入れるチャンスだと思うけどさ……」 「ん?」 「でも、アイツは……アイツは自分から人気者の道を捨ててしまったんだ。むしろ、嫌われようともなりふり構うものか、って感じで……。  世界中の人々に嫌われようとも、誰か一人の目に焼き付くようなインパクトさえ残せればいいって……」 「世界中の人々?」 「まったくよぉ、進んで嫌われようとしてどうするんだよぉ……たった一人の変わり者に魅せたところでどうするんだよ……!  本心ではそんなのを望んでないくせによぉ! 望んでない流れで出来たパートナーとなんか、上手くやっていけるわけが無いだろ!  そんなんじゃ絶対に幸せにはなれねぇだろぉがぁ! あのバカ野郎め!!」 ティラノモンは感極まって叫んだ。 あぁ、ホントにどこまでも馬鹿なやつだと思うよ、エアドラモンは。 あれだけ拒絶しておいて、引き返せなくなってから後悔をしているなんて……。馬鹿の鑑だ! ……でも、そうなったのも不遇仲間だった俺が進化系を手に入れたことにショックを受けたのが原因なんだろう。 目の前で友人が優遇され、一人取り残されたことに悔しさを抱いているんだ。 だからって、誰も彼もが取り残されたお前を馬鹿にしてるわけじゃねぇのに……! 「誰もアイツを……少なくとも俺は、エアドラモンのことを見下してなんかいないのにさ……」 「エアド……?」 「どうしてエアドラモンはわからないんだろう。どんなに不遇でも、きっとどこかに応援してくれる人がいるはずだってことに……。  だからその期待に応えないとダメなんだよ……。なぁ、あなたもそう思うだろう?」 「は?」 「人気者のピカチュウに襲い掛かるだけで既に悪者なのに、まさか倒してしまうなんて……。  あぁ、それは確かに偉大なことかもしれないさ、でもそんなのを期待している人間なんていないだろうが……!」 ピカチュウが倒される展開を誰が望む? エアドラモンが悪役になって誰が喜ぶ? そうだ、彼らは最初から戦うべきじゃなかったんだ。 俺はピカチュウさんに土下座した時からそれをわかっていたのに。 それでも俺は、止められなかった。情けなかった。 「……フン、お前の話には説明が不足し過ぎだが、大方想像はついたぞ」 「わかっていただきましたか! すみません言いたい思いが先行しちゃってて……。  あの、良ければなんですが……俺に力を貸してくれませんか!?」 「力を貸す、というと?」 「エアドラモンを救いたいんです。人気キャラを妬み、暴走を始めた彼を止めたいんです。  アイツはもはやとりかえしのつかないことをした……でも、まだ挽回出来るチャンスはあるはずなんだ!  俺は、アイツが人間たちに嫌われたまま終わるような末路は見たくない! だって……。  ……アイツが俺のことをどう思おうとも……少なくとも俺は、アイツの友達だから……!」 不遇脱却を果たした今、アイツと同じ立場に立って慰める事はもう出来ないのかもしれない。 でも、少なくとも俺はエアドラモンの味方だとわかってもらいたい。共に主役を目指したいんだ! 「フン、いい台詞だ。感動的だな……」 困惑していたベヒーモスの表情は変化する。 小さな笑みを浮かべ、そして、一切の感情を消し飛ばす。 「だが、無意味だ」 グラリと視界が一変し、続いて強い痛みが腹部に走る―――! 「がっ……!?」 ティラノモンの巨体は地上20mを舞っていた。 一体何が起きたのか? 頭を回転させようとしても、流石にこのような一瞬では理解が追いつかない。 ふわりと一瞬だけ空中に留まり、すぐにその巨体は重力の方向へと向かう。 そうして、爆発でも起きたような轟音を響かせて、大地に叩きつけられた。 「ぐっ……グギャアアアオオオオォォォォォォッ!!!」 『しゃくりあげ』 強靭な力を用いて、角で相手を上空へとかち上げるベヒーモスが得意とする技である。 呻くティラノモンを見る顔には表情が無い。 "敵"に対してむやみに己の感情という情報を与える必要も無いからだ。 「しばしそこで横たわっているがいい、人間どもに媚を売る魔物の恥さらしめが」 その瞳だけが威圧感と冷淡さを物語っており、人へ魂を売った愚かな恐竜を突き刺す。 ベヒーモスはこの恐竜を危険だと判断したのだ。 人間に"殺し合い"を強要されている身でありながら、人間に対して肯定的な考え方を持っているなど、尋常ではない。 そこのネズミの魔物(ピカチュウなのかライチュウなのか曖昧)は、人間の人気があるという理由でエアドラモンに殺されたらしい。 そんなエアドラモンと友人である恐竜、彼もその行為を『偉大かもしれない』とのたまった。 もはや、己と理解し合えるような思考の持ち主ではないことは明白。 ヘタをすれば私もこの恐竜に『お前も人気だから』と難癖を付けられて襲われる可能性がある。 ……いいや、間違いなく襲われるのではないだろうか。何故ならば……。 ―――この見た目にも漂う強そうな肉体と、流星の呪文を使用出来る浪漫を持ち合わせる、我のような魔物が人間に不人気であるとは考えづらいからだ! だからこそ、己の障害となる前に不意打ちを行うことにした。 流石に相手から攻撃したわけではないので、しばらく気絶させる程度に抑えた。それが彼の慈悲である。 「さて、先を急ぐとしよう。危険な魔物の情報も聞けた……」 「待……て……」 「ほう、意識があるのか?」 激痛をこらえながら、ティラノモンはベヒーモスを呼び止める。 「今……危険な、魔物って……エア、ド、ラモンの、事か……?」 「無論だ」 「殺すつもり……か?」 「襲って来るようであれば容赦するつもりは無い」 「させる……ものかよ……!」 ティラノモンは力を振り絞り、立ち上がろうと試みる。 だが、呼吸すら阻害するような痛みの前には、それだけの体の自由は許されない。 体をよじらせ、その度に発する背中の痛みが、さらに肺を締め付ける。 「ここで寝てられるか……友達を……みすみす危険な目に合わせるものか……」 まるで死にかけの虫のようにピクピクと足掻くティラノモンの姿を、憐れむような目で眺めた。 力を持たない者が強い志を持とうとも、そんなものはただの理想妄想に過ぎない。 意志を叶えるのは常に相手よりも強い者。言葉だけの意志など、まさに『無意味』だ。 幻獣王の元へ戻る手がかりを探しに、ベヒーモスは古城へと向かう。 エアドラモン、と呼ばれた魔物との邂逅を果たすことが無いことを願いながら……。 ―――しかしその時、ティラノモンの瞳に炎が灯った。 あのままあの牛がエアドラモンと出会えば、間違いなく戦いが始まる。 友人を殺すと言った相手を、このままみすみす行かせていいのか? こんなところで寝ている場合なのか!? いいや、そんな薄情でいいはずがない!! 彼の脳内によぎる光景は、過去のエアドラモンとの思い出。 河川敷に二人で並び、夕日が沈むまで不遇な自分たちの現状を慰めあった日のこと。 河川敷に二人で座り、夕日を見つめながらビッグになりたいと語り合った日のこと。 河川敷に二人で対峙し、夕日に見守られながら拳と、意志をぶつけあった日のこと。 そしてお互いにボロボロになりながらも、お互いの強さを再確認し合った時のことを……! どんなにアイツがおかしくなっても、その思い出は消えちゃいない。 だから俺は何度でもアイツに手を差し伸べるし、アイツもきっとあの日の事を思い出す。 ……だから……。 ―――だからッ!!   TYRANNOMON        ティラノモン     TYRANNOMON     ティラノモン  TYRANNOMON       ティラノモン       『ティラノモン、超進化―――――ッ!!!』    TYRANNOMON    ティラノモン        TYRANNOMON  ティラノモン    TYRANNOMON ティラノモン            空を仰ぎ、吠える!   ティラノモンの肉体は炎のように燃え上がり、新たに構築される。     生身では決して到達し得ないパワーを、エナジーを……!          機械の力によって手に入れる!       ―――黒鉄の要塞がここに降臨する―――     METALTYRANNOMON  METALTYRANNOMON    メタルティラノモン メタルティラノモン        METALTYRANNOMON         『メタルティラノモン―――ッ!!』    METALTYRANNOMON        メタルティラノモン   METALTYRANNOMON  メタルティラノモン  METALTYRANNOMON   メタルティラノモン ♪~ 掴め! 描いた夢を  守れ! 大事な友を   たくましい自分に成れるさ 「そうだ、ここで意識を手放して、友を見捨てるわけには行かないんだ!  あなたこそ、ここで眠っててもらおう!! 完全体の俺の力を見……」 勇ましく相手を見据えるメタルティラノモン! ベヒーモスとの距離、約500m!! 「え、あっ、そんなに離されてたのか!?」 ここまで復帰するのに少々時間がかかり過ぎた。ティラノモンの痛恨のミス。 すぐさま追いかけようとするも、鋼鉄で構築された肉体はあまりにも重い。 ドスンドスンと地響き立てて走ったところで、疾風の速さで駆けるベヒーモスに追いつくのは無理だった。 「ちくしょーちくしょー! 完全体に……、完全体になったのにー!」 【C-3/砂漠/一日目/夕方】 【メタルティラノモン(元アグモン)@デジタルモンスターシリーズ】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(中)、全身に微細な切り傷 [装備]:なし [所持]: [思考・状況] 基本:主役に相応しくなるため、対主催として真っ当に戦う。  1:エアドラモン……  2:ベヒーモス(名前は知らない)を止める  3:仲間を集めてモリーに立ち向かう。 【B-3/廃城近く/一日目/夕方】 【ベヒーモス@ファイナルファンタジーシリーズ】 [状態]:ダメージ(中)、魔力消費(中) [装備]:なし [所持]:ふくろ(不明支給品×2) [思考・状況] 基本:幻獣王の元へ帰還  1:古城へ向かう  2:倒すと後味が悪いのでエアドラモンには会いたくない |No.64:[[不定形の王道]]|[[投下順]]|No.66:[[~チカラ~]]| |No.58:[[さよなら]]|アグモン|No.70:[[僕たちは世界を変えることができない。]]| |No.51:[[駆け抜けてBlue]]|ベヒーモス|No.72:[[CALLING YOU]]|
「……エアドラモン……なんでだよ……」 どこまでも歪みきってしまったエアドラモンの飛び去っていく姿。 彼が殺していった人気キャラクターの成れの果て、無残に切り刻まれたライチュウの亡骸。 ティラノモンはそれらの様子を見て、むせび泣いた。 「ライチュウさんも……どうして俺なんかのために……」 どうしてこんな結果にならざるを得なかったのか。 どうして俺はこの悲劇を止めることが出来なかったのか。 『誰にも相手にされないぐらいなら、世界中の人間に嫌われてでも、  誰か一人の目に焼きつくような強烈なインパクトを植えつけてやる』 『いいわけないだろ!!だけど、それしかねぇんだ!!もう俺には……それしかねぇんだよ…………』 クソッ、アイツ卑屈すぎるんだよ……! どうしてそんな最悪の選択肢ばかり選ぶんだ。何がアイツをこんなにまで動かしているんだ。 多くの人に嫌われてもいいだなんて、ダークヒーローでも気取ってるつもりかよ、畜生……。 ……自己中なお前じゃあ、ダークヒーローになんて絶対に成れないというのによ……。 アイツに待っているのは、おそらく無様な破滅。 みっともなくとち狂い続けて、倒されたならば嘲笑を浴びて、勝ち残ればブーイングが起こる。 そんな、救いようのない未来。 「どうすんだよ……俺はどうすればいいんだよ……もう遅いってのかよ……」 はたはたとこぼれ落ちた涙が、大地を湿らせた。 「どうかしたのか?」 後ろから低い声がした。 ティラノモンが振り向いた先には巨大な牛のような魔物がいた。 その魔物ベヒーモスはすぐそばで息絶えているライチュウを見て、その恐竜の様子を察する。 「……そうか、お前の仲間が殺されたのだな……」 しかし、ティラノモンは首を横に振った。 「違う……ライチュウさんを殺したのは俺の友達なんだ……」 「ふむ、ライチュウと言うんだな、ネズミの魔物」 「え、知らないんですか!?」 「……知らないな」 「超有名キャラクターの進化系ですよ」 「知らん」 唖然とするティラノモン、唖然とされたことに唖然とするベヒーモス。 まぁ、ピカチュウよりは知名度低いから知らない人もいるのかもしれない、と思い、話を続けた。 「俺の友達は……いや、アイツはもう俺のことを友達だと思ってないかもしれない……。  その、ソイツは、人気者を倒せば人間に認められて自分にも光が巡ってくるって、そんな馬鹿げたことを言って……」 「……人気者? ふむ、確かに馬鹿げたことを言う。殺し合いを強いられている最中に、己の人気などを気にするとはどうかしている」 「いや、むしろこういう状況だからこそ、人気を手に入れるチャンスだと思うけどさ……」 「ん?」 「でも、アイツは……アイツは自分から人気者の道を捨ててしまったんだ。むしろ、嫌われようともなりふり構うものか、って感じで……。  世界中の人々に嫌われようとも、誰か一人の目に焼き付くようなインパクトさえ残せればいいって……」 「世界中の人々?」 「まったくよぉ、進んで嫌われようとしてどうするんだよぉ……たった一人の変わり者に魅せたところでどうするんだよ……!  本心ではそんなのを望んでないくせによぉ! 望んでない流れで出来たパートナーとなんか、上手くやっていけるわけが無いだろ!  そんなんじゃ絶対に幸せにはなれねぇだろぉがぁ! あのバカ野郎め!!」 ティラノモンは感極まって叫んだ。 あぁ、ホントにどこまでも馬鹿なやつだと思うよ、エアドラモンは。 あれだけ拒絶しておいて、引き返せなくなってから後悔をしているなんて……。馬鹿の鑑だ! ……でも、そうなったのも不遇仲間だった俺が進化系を手に入れたことにショックを受けたのが原因なんだろう。 目の前で友人が優遇され、一人取り残されたことに悔しさを抱いているんだ。 だからって、誰も彼もが取り残されたお前を馬鹿にしてるわけじゃねぇのに……! 「誰もアイツを……少なくとも俺は、エアドラモンのことを見下してなんかいないのにさ……」 「エアド……?」 「どうしてエアドラモンはわからないんだろう。どんなに不遇でも、きっとどこかに応援してくれる人がいるはずだってことに……。  だからその期待に応えないとダメなんだよ……。なぁ、あなたもそう思うだろう?」 「は?」 「人気者のピカチュウに襲い掛かるだけで既に悪者なのに、まさか倒してしまうなんて……。  あぁ、それは確かに偉大なことかもしれないさ、でもそんなのを期待している人間なんていないだろうが……!」 ピカチュウが倒される展開を誰が望む? エアドラモンが悪役になって誰が喜ぶ? そうだ、彼らは最初から戦うべきじゃなかったんだ。 俺はピカチュウさんに土下座した時からそれをわかっていたのに。 それでも俺は、止められなかった。情けなかった。 「……フン、お前の話には説明が不足し過ぎだが、大方想像はついたぞ」 「わかっていただきましたか! すみません言いたい思いが先行しちゃってて……。  あの、良ければなんですが……俺に力を貸してくれませんか!?」 「力を貸す、というと?」 「エアドラモンを救いたいんです。人気キャラを妬み、暴走を始めた彼を止めたいんです。  アイツはもはやとりかえしのつかないことをした……でも、まだ挽回出来るチャンスはあるはずなんだ!  俺は、アイツが人間たちに嫌われたまま終わるような末路は見たくない! だって……。  ……アイツが俺のことをどう思おうとも……少なくとも俺は、アイツの友達だから……!」 不遇脱却を果たした今、アイツと同じ立場に立って慰める事はもう出来ないのかもしれない。 でも、少なくとも俺はエアドラモンの味方だとわかってもらいたい。共に主役を目指したいんだ! 「フン、いい台詞だ。感動的だな……」 困惑していたベヒーモスの表情は変化する。 小さな笑みを浮かべ、そして、一切の感情を消し飛ばす。 「だが、無意味だ」 グラリと視界が一変し、続いて強い痛みが腹部に走る―――! 「がっ……!?」 ティラノモンの巨体は地上20mを舞っていた。 一体何が起きたのか? 頭を回転させようとしても、流石にこのような一瞬では理解が追いつかない。 ふわりと一瞬だけ空中に留まり、すぐにその巨体は重力の方向へと向かう。 そうして、爆発でも起きたような轟音を響かせて、大地に叩きつけられた。 「ぐっ……グギャアアアオオオオォォォォォォッ!!!」 『しゃくりあげ』 強靭な力を用いて、角で相手を上空へとかち上げるベヒーモスが得意とする技である。 呻くティラノモンを見る顔には表情が無い。 "敵"に対してむやみに己の感情という情報を与える必要も無いからだ。 「しばしそこで横たわっているがいい、人間どもに媚を売る魔物の恥さらしめが」 その瞳だけが威圧感と冷淡さを物語っており、人へ魂を売った愚かな恐竜を突き刺す。 ベヒーモスはこの恐竜を危険だと判断したのだ。 人間に"殺し合い"を強要されている身でありながら、人間に対して肯定的な考え方を持っているなど、尋常ではない。 そこのネズミの魔物(ピカチュウなのかライチュウなのか曖昧)は、人間の人気があるという理由でエアドラモンに殺されたらしい。 そんなエアドラモンと友人である恐竜、彼もその行為を『偉大かもしれない』とのたまった。 もはや、己と理解し合えるような思考の持ち主ではないことは明白。 ヘタをすれば私もこの恐竜に『お前も人気だから』と難癖を付けられて襲われる可能性がある。 ……いいや、間違いなく襲われるのではないだろうか。何故ならば……。 ―――この見た目にも漂う強そうな肉体と、流星の呪文を使用出来る浪漫を持ち合わせる、我のような魔物が人間に不人気であるとは考えづらいからだ! だからこそ、己の障害となる前に不意打ちを行うことにした。 流石に相手から攻撃したわけではないので、しばらく気絶させる程度に抑えた。それが彼の慈悲である。 「さて、先を急ぐとしよう。危険な魔物の情報も聞けた……」 「待……て……」 「ほう、意識があるのか?」 激痛をこらえながら、ティラノモンはベヒーモスを呼び止める。 「今……危険な、魔物って……エア、ド、ラモンの、事か……?」 「無論だ」 「殺すつもり……か?」 「襲って来るようであれば容赦するつもりは無い」 「させる……ものかよ……!」 ティラノモンは力を振り絞り、立ち上がろうと試みる。 だが、呼吸すら阻害するような痛みの前には、それだけの体の自由は許されない。 体をよじらせ、その度に発する背中の痛みが、さらに肺を締め付ける。 「ここで寝てられるか……友達を……みすみす危険な目に合わせるものか……」 まるで死にかけの虫のようにピクピクと足掻くティラノモンの姿を、憐れむような目で眺めた。 力を持たない者が強い志を持とうとも、そんなものはただの理想妄想に過ぎない。 意志を叶えるのは常に相手よりも強い者。言葉だけの意志など、まさに『無意味』だ。 幻獣王の元へ戻る手がかりを探しに、ベヒーモスは古城へと向かう。 エアドラモン、と呼ばれた魔物との邂逅を果たすことが無いことを願いながら……。 ―――しかしその時、ティラノモンの瞳に炎が灯った。 あのままあの牛がエアドラモンと出会えば、間違いなく戦いが始まる。 友人を殺すと言った相手を、このままみすみす行かせていいのか? こんなところで寝ている場合なのか!? いいや、そんな薄情でいいはずがない!! 彼の脳内によぎる光景は、過去のエアドラモンとの思い出。 河川敷に二人で並び、夕日が沈むまで不遇な自分たちの現状を慰めあった日のこと。 河川敷に二人で座り、夕日を見つめながらビッグになりたいと語り合った日のこと。 河川敷に二人で対峙し、夕日に見守られながら拳と、意志をぶつけあった日のこと。 そしてお互いにボロボロになりながらも、お互いの強さを再確認し合った時のことを……! どんなにアイツがおかしくなっても、その思い出は消えちゃいない。 だから俺は何度でもアイツに手を差し伸べるし、アイツもきっとあの日の事を思い出す。 ……だから……。 ―――だからッ!!   TYRANNOMON        ティラノモン     TYRANNOMON     ティラノモン  TYRANNOMON       ティラノモン       『ティラノモン、超進化―――――ッ!!!』    TYRANNOMON    ティラノモン        TYRANNOMON  ティラノモン    TYRANNOMON ティラノモン            空を仰ぎ、吠える!   ティラノモンの肉体は炎のように燃え上がり、新たに構築される。     生身では決して到達し得ないパワーを、エナジーを……!          機械の力によって手に入れる!       ―――黒鉄の要塞がここに降臨する―――     METALTYRANNOMON  METALTYRANNOMON    メタルティラノモン メタルティラノモン        METALTYRANNOMON         『メタルティラノモン―――ッ!!』    METALTYRANNOMON        メタルティラノモン   METALTYRANNOMON  メタルティラノモン  METALTYRANNOMON   メタルティラノモン ♪~ 掴め! 描いた夢を  守れ! 大事な友を   たくましい自分に成れるさ 「そうだ、ここで意識を手放して、友を見捨てるわけには行かないんだ!  あなたこそ、ここで眠っててもらおう!! 完全体の俺の力を見……」 勇ましく相手を見据えるメタルティラノモン! ベヒーモスとの距離、約500m!! 「え、あっ、そんなに離されてたのか!?」 ここまで復帰するのに少々時間がかかり過ぎた。ティラノモンの痛恨のミス。 すぐさま追いかけようとするも、鋼鉄で構築された肉体はあまりにも重い。 ドスンドスンと地響き立てて走ったところで、疾風の速さで駆けるベヒーモスに追いつくのは無理だった。 「ちくしょーちくしょー! 完全体に……、完全体になったのにー!」 【C-3/砂漠/一日目/夕方】 【メタルティラノモン(元アグモン)@デジタルモンスターシリーズ】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(中)、全身に微細な切り傷 [装備]:なし [所持]: [思考・状況] 基本:主役に相応しくなるため、対主催として真っ当に戦う。  1:エアドラモン……  2:ベヒーモス(名前は知らない)を止める  3:仲間を集めてモリーに立ち向かう。 【B-3/廃城近く/一日目/夕方】 【ベヒーモス@ファイナルファンタジーシリーズ】 [状態]:ダメージ(中)、魔力消費(中) [装備]:なし [所持]:ふくろ(不明支給品×2) [思考・状況] 基本:幻獣王の元へ帰還  1:古城へ向かう  2:倒すと後味が悪いのでエアドラモンには会いたくない |No.64:[[不定形の王道]]|[[時系列順]]|No.67:[[第一回生存者報告]]| |No.64:[[不定形の王道]]|[[投下順]]|No.66:[[~チカラ~]]| |No.58:[[さよなら]]|アグモン|No.70:[[僕たちは世界を変えることができない。]]| |No.51:[[駆け抜けてBlue]]|ベヒーモス|No.72:[[CALLING YOU]]|

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