キミが死んで、僕が生まれた

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「流石に拙者には扱いきれないでござるな……」 「ん~、腕が使えるならイケると思ったんだけどなぁ」 ガブモンという種族が剣を扱うことが出来るのか、この質問に対して答えることは出来ないが、 ここにいるガブモンが剣を扱うことが出来るかどうかと言えば、その答えは否である。 剣を握ることは出来る、振ることも出来る、だが武器として扱うことは出来ない。 ガブモンの手に握られたのは、一振りの剣だった。 鋭く伸びる刀身は斬ることの能わぬ空すら斬り裂かん程に研ぎ澄まされており、 握りから伝わる仄かな暖かさは、それが人の業を遥かに超えた神の領域の剣であることを言葉も無しに掌に伝えてくる。 世に出れば全ての業物の等級を下げることとなるであろうその剣の名はヒノカグツチといった。 「もとより拙者の武器はこの身一つ、不慣れな剣に命を預けることは出来ぬ」 「もったいないなぁ~」 キラーパンサーの素人目に見ても、ヒノカグツチは明らかな業物だった。 それを扱ってもらえれば、この殺し合いからの脱出に於いてどれほど心強い武器となっただろうか。 しかし、ガブモンの言うことはもっともである。 自分がその剣を咥えて戦ったところで大して役に立たぬように、ガブモンにとってもその剣は役に立たぬものなのだろう。 「まぁ、しょうがないか」 「さて、拙者の支給品だが……む、これは虫か?」 ガブモンがふくろより支給品を見せようとしたその時である。 「ウオオオオオオオオン」 キラーパンサーが唸りと共に跳んだ。 「……!?」 今、ここにいるのは借りた子猫などではない。 ガブモンは見た、キラーパンサーが地獄の殺し屋と呼ばれるその所以を。 その野生の目で敵を見据え、風すらも追い抜いてキラーパンサーという名の弾丸が疾走する。 今この時、怒りも哀しみも戸惑いも恐怖もなく、キラーパンサーは野生そのものだった。 「ほう、我がほんの少し睨んだだけで掛かって来るか」 殺すべき敵の名はギルガメッシュ、だがキラーパンサーはそれを知ることはない。 自己紹介などする間もない、その身から迸る殺気ごと切り裂いてギルガメッシュを殺さなければならない。 「ウオオオオオオオン!!!」 「我を愉しませてみろ!!」 キラーパンサーによる全質量のぶちかましは空を切った、 ギルガメッシュは闘牛士の様に、その身を翻してキラーパンサーの突撃を避けた。 「撫でてやるぞ、子猫よ」 再度攻撃を仕掛けようと、キラーパンサーが振り向こうとした刹那、 ギルガメッシュの拳がキラーパンサーを文字通り、紙のように吹き飛ばす。 「ウオオオオオオオン!!!」 だが、地獄の殺し屋は転んでもただで起きてやることなどしない。 敵の拳が己の顔面に炸裂すると同時に、キラーパンサーの牙は敵の拳を抉り取る。 大地へと落ちた己の血と肉片を足で踏み潰しながら、ギルガメッシュは心の底から楽しそうに笑う。 「少しは愉しいが、それと同時に……哀しいな」 再度その四足で戦闘態勢を整えたキラーパンサーを見たギルガメッシュは、 「すぐに終わる」 背後から放たれたガブモンのプチファイアーを、見ることもせずに鎖鎌で掻き消した。 「この世界に無駄な事などは無い、我はそう思っている」 キラーパンサーが再度、ギルガメッシュに飛びかかる。 不如意にも先程の攻撃は一撃必殺のものとならず多大なダメージを受けることとなったが、 その代わりキラーパンサーは敵の実力をその身を以て知ることが出来た。 風の速さで疾走するキラーパンサーとガブモンの視線が一瞬だけ交差する。 二対一ならば勝てる──それは音にならぬ会話だった。 「水滴が何百何千と時を重ねて、岩に穴を穿つように……」 間合いに入ったキラーパンサーをギルガメッシュの蹴りが上方へと跳ね上げる、 だが、地獄の殺し屋は敵の攻撃すらも利用した。 食肉目特有の回転力がギルガメッシュの蹴りを利用して、サマーソルトキックを放つ。 爪がギルガメッシュの体を斬り裂いていく。 「どのような行為でも積み重ねれば、それなりにはなるものだ」 ──シェル だが、殺すには至らない。 ギルガメッシュの正拳突きが再びキラーパンサーを地面へと叩きつける。 しかし、攻撃は止まらない。 キラーパンサーへと意識を向けた一瞬の隙を突き、ガブモンは再びプチファイア─を放つ。 だが、最早ギルガメッシュは受けることすらしていない。 ギルガメッシュの体が銀に光ったかと思うと、プチファイアーを掻き消した。 「それなりには……な」 ──ヘイスト しかしプチファイアーが効かないのは百も承知、ガブモンの目的はギルガメッシュへと接近することだった。 ガブモンとキラーパンサーの攻撃のラグを減らし、ギルガメッシュを防戦へと追い込むこと、数の優位を以て戦うことが彼らの勝機なのだ。 キラーパンサーの牙が、ガブモンの角がギルガメッシュを襲う。 その策は、5秒前ならば上手くいっていただろう、たった5秒前ならばギルガメッシュは心臓を抉り取られ、その身を血に沈めていただろう。 ガブモンの角がギルガメッシュの左手に握られた。 キラーパンサーの前足がギルガメッシュの右手に握られた。 彼らは今、ギルガメッシュよりも遅い。 決して彼らが遅いわけではない、だがギルガメッシュが速すぎる。 握ったガブモンとキラーパンサーを互いに衝突させる。 今や、ガブモンはキラーパンサーを襲う武器であり、キラーパンサーはガブモンを襲う武器だった。 超硬度のガルルモンの毛皮がガブモンを救い、キラーパンサーにとっては仇となった。 再び、ギルガメッシュが二匹を地面に投げ捨てた時、最早、キラーパンサーは死に体だった。 体が砕けている、意識は朦朧としている、そして先程見た勝機は既に消えている。 絶望──その二文字しか未来に存在しなくても、いや既に未来など無いだろう。 それでも、闘志は消えない。 吹き飛ばされたキラーパンサーの体が、吹き飛ばされたガブモンの体が、 己のふくろを開く。 ヒノカグツチ──最強の剣。 ギルガメッシュの目がそれに奪われるのを見過ごすキラーパンサーではなかった。 キラーパンサーは跳んだ、野生の牙がギルガメッシュの命を屠らんとする。 「喜べ、お前らならば1000年も挑めば、我を殺せるかもしれんぞ?」 ──プロテス 金に輝くその体に、キラーパンサーの牙は急所を穿つまでは至らなかった。 再び地面へと叩きつけられたキラーパンサーの姿を、最早ギルガメッシュは見てすらいなかった。 新たな玩具を見つけた子供の目をしていた。 ギルガメッシュは最早使い飽きた玩具である二匹を完全に無視して、ただヒノカグツチだけに興味を抱いている。 それでも二匹は彼を殺せない。 飽きられた玩具は、新しい玩具による処分を待つだけだった。 「…………」 キラーパンサーはガブモンを無言で見据えた。 こういう時こそ、甘えたかった。 子供の時の分まで、甘えたかった。 失った空白を今だからこそ、補いたかった。 決して勝てない強大な敵に対して、何かに縋って助かりたかった。 「………………っ」 よろよろとキラーパンサーは立ち上がった。 無駄なことを──と、己の野生が言う。 諦めろ──と、己の理性が言う。 己の中の少年時代が同情するような目で自分を見ていた。 それでもキラーパンサーは立ち向かった。 「逃げろ……」 「…………冗談を抜かすな」 立ち上がったキラーパンサーを見上げながら、ガブモンは言う。 本当に短い付き合いだったが、時間の長さは関係ない。 自分の身を犠牲にして助けられようとしている。 そのことが許せない。 「……………………頼む、ガブモン」 「その呼び方は…………やめろっ!」 呼び方を改めさせるのは、今じゃない。 何時、改めさせるのかなんかわからない。 それでも──今じゃない、今じゃないのだ! 「終わらせてなるものか……」 ガブモンも再び立ち上がる。 「ガブ……たん」 「……美しい友情だな」 ギルガメッシュの手に握られたヒノカグツチの刀身が、激しい闘志と共に燃え上がった。 「仲良く同じ場所に送ってやろう」 ──ブレイブ 「冥府にな!!!!!!!」 圧倒的な絶望の中、悪魔が静かに産声を上げた。 悪魔は感情を──そこから発生するエネルギーを喰らう、 ならば、ガブモンの怒りに立ち上がらないはずはない。 「ガブモン……進化ッ!」 意識もせずに叫んでいた。 望んでいたあの言葉を、ガブモンは叫んでいた。 今がその時だった。 ガブモンの支給品であるマガタマは、寄生した人間を悪魔へと変貌させる。 ならば、人間で無いものにマガタマが取り憑けばどうなる? マガタマの膨大なエネルギーは──進化をもたらす。 「ガルルモンッ!!」 「……逃がしたか」 既に目の前から消えたガブモン達の方向を見て、ギルガメッシュは呟く。 ガルルモンに進化したガブモンはキラーパンサーを背負って、速攻で戦線から離脱した。 ガルルモンの巨体に見合わぬ速さ、殺すことは出来るがヘイストを掛けた上でも追うことはギルガメッシュでも難しいだろう。 「ふ……ふはははははは!!!!! ふははははははははは!!!!!!!」 抑えきれなかった笑いが、津波のように押し寄せた。 獲物に逃げられたことに対する怒りは無い、いやむしろ愉快だった。 「愉しいな…………」 先の王気取りの雑種とは違い、ここには戦うに値する強者が存在する。 そして、手に握られたヒノカグツチの様に己の審美眼に適う武器が存在する。 抱いていた主催への畏怖は、感謝の感情へと変わる。 もちろん、最終的に処刑することには変わりない。 だが── 「殺す前に、礼ぐらいは言ってやりたいものだな……」 【E-8/草原/一日目/日中】 【ギルガメッシュ@ファイナルファンタジー】 [状態]:魔力消費(小)、ダメージ(小) [装備]:くさりがま@DQ、気合のハチマキ@ポケモン、ヒノカグツチ@真・女神転生Ⅰ [所持]:ふくろ(中身なし) [思考・状況] 基本:勝ち残り狙い  1:他者に戦いを挑みつつ、支給品を集める  2:現状じゃ主催者に勝てないと判断 [備考] オス。強さこそが格だと信条している。高飛車な性格。一人称は「我」。 《支給品紹介》 【ヒノカグツチ@真・女神転生Ⅰ】 鬼神ヒノカグツチとの合体によって誕生した剣。 最強クラスの性能を誇り、装備者を強化する効果がある。 「ガブたんの背中ふっかふか~」 「ええい!うっとうしい!」 ガルルモンに進化したガブモンは脇目もふらず、キラーパンサーを連れて逃げた。 戦う力はある、だがこの進化の力は。 「弱き者を守るために……」 「ん?なんか言った?」 「……なんでもない、それよりもお主を治療しなければな」 「いや~心配してもらえるって嬉しいねぇ!」 「茶化すな!」 「でもさ、本当に嬉しいよ」 「キラーパンサー……」 「誰かに心配してもらえるっていうのは、ガブたんの背中に甘えられるっていうのは…………」 「ふん、傷が治ったら脱出のために働いてもらうからな」 「うん、大丈夫だよ…………でも、ちょっと眠いかも」 オレが抱きついているこの背中は……誰のものだっただろうか、キラーパンサーの意識が混濁していく。 既に限界を迎えていた、それでも…… 「でも、もう少しだけ、甘えていいよね……」 キラーパンサーの体が熱を失っていく。 「ああ、今だけは甘えていい…………特別だぞ、だから……逝くな」 「うん、ありがと……おかあさ………………」 「逝くな!畜生!!!!」 広い背中で赤子のように眠るキラーパンサーを起こす者は、もう二度と現れなかった。 &color(red){【キラーパンサー@ドラゴンクエストシリーズ 死亡】} 「畜生……何のための進化だ」 「何のために拙者は進化したんだ!!!!!」 【F-8/草原/一日目/日中】 【ガブモン@デジタルモンスターシリーズ】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(中) [装備]:マガタマ(ワダツミ) [所持]:ふくろ(空) [思考・状況] 基本:殺し合いからの脱出  1:キラーパンサーを葬りたい  2:仲間を探す [備考] できるだけ早く進化したいと思っている。なぜか侍口調で話す。一人称は「拙者」。 ワダツミを装備することで、ガルルモンへの進化が可能となりました。 《支給品紹介》 【ワダツミ@真・女神転生Ⅲ】 マガタマの一種、氷の力を持つ。 氷結無効/電撃弱点 |No.37:[[高く翔べ]]|[[投下順]]|No.39:[[LORD OF THE SPEED]]| |No.19:[[きらがぶじゃれじゃれん!!]]|ガブモン|No.63:[[心蝕]]| |No.19:[[きらがぶじゃれじゃれん!!]]|キラーパンサー|&color(red){死亡}| |No.01:[[邪知暴虐の王]]|ギルガメッシュ|No.49:[[show me your brave heart]]|
「流石に拙者には扱いきれないでござるな……」 「ん~、腕が使えるならイケると思ったんだけどなぁ」 ガブモンという種族が剣を扱うことが出来るのか、この質問に対して答えることは出来ないが、 ここにいるガブモンが剣を扱うことが出来るかどうかと言えば、その答えは否である。 剣を握ることは出来る、振ることも出来る、だが武器として扱うことは出来ない。 ガブモンの手に握られたのは、一振りの剣だった。 鋭く伸びる刀身は斬ることの能わぬ空すら斬り裂かん程に研ぎ澄まされており、 握りから伝わる仄かな暖かさは、それが人の業を遥かに超えた神の領域の剣であることを言葉も無しに掌に伝えてくる。 世に出れば全ての業物の等級を下げることとなるであろうその剣の名はヒノカグツチといった。 「もとより拙者の武器はこの身一つ、不慣れな剣に命を預けることは出来ぬ」 「もったいないなぁ~」 キラーパンサーの素人目に見ても、ヒノカグツチは明らかな業物だった。 それを扱ってもらえれば、この殺し合いからの脱出に於いてどれほど心強い武器となっただろうか。 しかし、ガブモンの言うことはもっともである。 自分がその剣を咥えて戦ったところで大して役に立たぬように、ガブモンにとってもその剣は役に立たぬものなのだろう。 「まぁ、しょうがないか」 「さて、拙者の支給品だが……む、これは虫か?」 ガブモンがふくろより支給品を見せようとしたその時である。 「ウオオオオオオオオン」 キラーパンサーが唸りと共に跳んだ。 「……!?」 今、ここにいるのは借りた子猫などではない。 ガブモンは見た、キラーパンサーが地獄の殺し屋と呼ばれるその所以を。 その野生の目で敵を見据え、風すらも追い抜いてキラーパンサーという名の弾丸が疾走する。 今この時、怒りも哀しみも戸惑いも恐怖もなく、キラーパンサーは野生そのものだった。 「ほう、我がほんの少し睨んだだけで掛かって来るか」 殺すべき敵の名はギルガメッシュ、だがキラーパンサーはそれを知ることはない。 自己紹介などする間もない、その身から迸る殺気ごと切り裂いてギルガメッシュを殺さなければならない。 「ウオオオオオオオン!!!」 「我を愉しませてみろ!!」 キラーパンサーによる全質量のぶちかましは空を切った、 ギルガメッシュは闘牛士の様に、その身を翻してキラーパンサーの突撃を避けた。 「撫でてやるぞ、子猫よ」 再度攻撃を仕掛けようと、キラーパンサーが振り向こうとした刹那、 ギルガメッシュの拳がキラーパンサーを文字通り、紙のように吹き飛ばす。 「ウオオオオオオオン!!!」 だが、地獄の殺し屋は転んでもただで起きてやることなどしない。 敵の拳が己の顔面に炸裂すると同時に、キラーパンサーの牙は敵の拳を抉り取る。 大地へと落ちた己の血と肉片を足で踏み潰しながら、ギルガメッシュは心の底から楽しそうに笑う。 「少しは愉しいが、それと同時に……哀しいな」 再度その四足で戦闘態勢を整えたキラーパンサーを見たギルガメッシュは、 「すぐに終わる」 背後から放たれたガブモンのプチファイアーを、見ることもせずに鎖鎌で掻き消した。 「この世界に無駄な事などは無い、我はそう思っている」 キラーパンサーが再度、ギルガメッシュに飛びかかる。 不如意にも先程の攻撃は一撃必殺のものとならず多大なダメージを受けることとなったが、 その代わりキラーパンサーは敵の実力をその身を以て知ることが出来た。 風の速さで疾走するキラーパンサーとガブモンの視線が一瞬だけ交差する。 二対一ならば勝てる──それは音にならぬ会話だった。 「水滴が何百何千と時を重ねて、岩に穴を穿つように……」 間合いに入ったキラーパンサーをギルガメッシュの蹴りが上方へと跳ね上げる、 だが、地獄の殺し屋は敵の攻撃すらも利用した。 食肉目特有の回転力がギルガメッシュの蹴りを利用して、サマーソルトキックを放つ。 爪がギルガメッシュの体を斬り裂いていく。 「どのような行為でも積み重ねれば、それなりにはなるものだ」 ──シェル だが、殺すには至らない。 ギルガメッシュの正拳突きが再びキラーパンサーを地面へと叩きつける。 しかし、攻撃は止まらない。 キラーパンサーへと意識を向けた一瞬の隙を突き、ガブモンは再びプチファイア─を放つ。 だが、最早ギルガメッシュは受けることすらしていない。 ギルガメッシュの体が銀に光ったかと思うと、プチファイアーを掻き消した。 「それなりには……な」 ──ヘイスト しかしプチファイアーが効かないのは百も承知、ガブモンの目的はギルガメッシュへと接近することだった。 ガブモンとキラーパンサーの攻撃のラグを減らし、ギルガメッシュを防戦へと追い込むこと、数の優位を以て戦うことが彼らの勝機なのだ。 キラーパンサーの牙が、ガブモンの角がギルガメッシュを襲う。 その策は、5秒前ならば上手くいっていただろう、たった5秒前ならばギルガメッシュは心臓を抉り取られ、その身を血に沈めていただろう。 ガブモンの角がギルガメッシュの左手に握られた。 キラーパンサーの前足がギルガメッシュの右手に握られた。 彼らは今、ギルガメッシュよりも遅い。 決して彼らが遅いわけではない、だがギルガメッシュが速すぎる。 握ったガブモンとキラーパンサーを互いに衝突させる。 今や、ガブモンはキラーパンサーを襲う武器であり、キラーパンサーはガブモンを襲う武器だった。 超硬度のガルルモンの毛皮がガブモンを救い、キラーパンサーにとっては仇となった。 再び、ギルガメッシュが二匹を地面に投げ捨てた時、最早、キラーパンサーは死に体だった。 体が砕けている、意識は朦朧としている、そして先程見た勝機は既に消えている。 絶望──その二文字しか未来に存在しなくても、いや既に未来など無いだろう。 それでも、闘志は消えない。 吹き飛ばされたキラーパンサーの体が、吹き飛ばされたガブモンの体が、 己のふくろを開く。 ヒノカグツチ──最強の剣。 ギルガメッシュの目がそれに奪われるのを見過ごすキラーパンサーではなかった。 キラーパンサーは跳んだ、野生の牙がギルガメッシュの命を屠らんとする。 「喜べ、お前らならば1000年も挑めば、我を殺せるかもしれんぞ?」 ──プロテス 金に輝くその体に、キラーパンサーの牙は急所を穿つまでは至らなかった。 再び地面へと叩きつけられたキラーパンサーの姿を、最早ギルガメッシュは見てすらいなかった。 新たな玩具を見つけた子供の目をしていた。 ギルガメッシュは最早使い飽きた玩具である二匹を完全に無視して、ただヒノカグツチだけに興味を抱いている。 それでも二匹は彼を殺せない。 飽きられた玩具は、新しい玩具による処分を待つだけだった。 「…………」 キラーパンサーはガブモンを無言で見据えた。 こういう時こそ、甘えたかった。 子供の時の分まで、甘えたかった。 失った空白を今だからこそ、補いたかった。 決して勝てない強大な敵に対して、何かに縋って助かりたかった。 「………………っ」 よろよろとキラーパンサーは立ち上がった。 無駄なことを──と、己の野生が言う。 諦めろ──と、己の理性が言う。 己の中の少年時代が同情するような目で自分を見ていた。 それでもキラーパンサーは立ち向かった。 「逃げろ……」 「…………冗談を抜かすな」 立ち上がったキラーパンサーを見上げながら、ガブモンは言う。 本当に短い付き合いだったが、時間の長さは関係ない。 自分の身を犠牲にして助けられようとしている。 そのことが許せない。 「……………………頼む、ガブモン」 「その呼び方は…………やめろっ!」 呼び方を改めさせるのは、今じゃない。 何時、改めさせるのかなんかわからない。 それでも──今じゃない、今じゃないのだ! 「終わらせてなるものか……」 ガブモンも再び立ち上がる。 「ガブ……たん」 「……美しい友情だな」 ギルガメッシュの手に握られたヒノカグツチの刀身が、激しい闘志と共に燃え上がった。 「仲良く同じ場所に送ってやろう」 ──ブレイブ 「冥府にな!!!!!!!」 圧倒的な絶望の中、悪魔が静かに産声を上げた。 悪魔は感情を──そこから発生するエネルギーを喰らう、 ならば、ガブモンの怒りに立ち上がらないはずはない。 「ガブモン……進化ッ!」 意識もせずに叫んでいた。 望んでいたあの言葉を、ガブモンは叫んでいた。 今がその時だった。 ガブモンの支給品であるマガタマは、寄生した人間を悪魔へと変貌させる。 ならば、人間で無いものにマガタマが取り憑けばどうなる? マガタマの膨大なエネルギーは──進化をもたらす。 「ガルルモンッ!!」 「……逃がしたか」 既に目の前から消えたガブモン達の方向を見て、ギルガメッシュは呟く。 ガルルモンに進化したガブモンはキラーパンサーを背負って、速攻で戦線から離脱した。 ガルルモンの巨体に見合わぬ速さ、殺すことは出来るがヘイストを掛けた上でも追うことはギルガメッシュでも難しいだろう。 「ふ……ふはははははは!!!!! ふははははははははは!!!!!!!」 抑えきれなかった笑いが、津波のように押し寄せた。 獲物に逃げられたことに対する怒りは無い、いやむしろ愉快だった。 「愉しいな…………」 先の王気取りの雑種とは違い、ここには戦うに値する強者が存在する。 そして、手に握られたヒノカグツチの様に己の審美眼に適う武器が存在する。 抱いていた主催への畏怖は、感謝の感情へと変わる。 もちろん、最終的に処刑することには変わりない。 だが── 「殺す前に、礼ぐらいは言ってやりたいものだな……」 【E-8/草原/一日目/日中】 【ギルガメッシュ@ファイナルファンタジー】 [状態]:魔力消費(小)、ダメージ(小) [装備]:くさりがま@DQ、気合のハチマキ@ポケモン、ヒノカグツチ@真・女神転生Ⅰ [所持]:ふくろ(中身なし) [思考・状況] 基本:勝ち残り狙い  1:他者に戦いを挑みつつ、支給品を集める  2:現状じゃ主催者に勝てないと判断 [備考] オス。強さこそが格だと信条している。高飛車な性格。一人称は「我」。 《支給品紹介》 【ヒノカグツチ@真・女神転生Ⅰ】 鬼神ヒノカグツチとの合体によって誕生した剣。 最強クラスの性能を誇り、装備者を強化する効果がある。 「ガブたんの背中ふっかふか~」 「ええい!うっとうしい!」 ガルルモンに進化したガブモンは脇目もふらず、キラーパンサーを連れて逃げた。 戦う力はある、だがこの進化の力は。 「弱き者を守るために……」 「ん?なんか言った?」 「……なんでもない、それよりもお主を治療しなければな」 「いや~心配してもらえるって嬉しいねぇ!」 「茶化すな!」 「でもさ、本当に嬉しいよ」 「キラーパンサー……」 「誰かに心配してもらえるっていうのは、ガブたんの背中に甘えられるっていうのは…………」 「ふん、傷が治ったら脱出のために働いてもらうからな」 「うん、大丈夫だよ…………でも、ちょっと眠いかも」 オレが抱きついているこの背中は……誰のものだっただろうか、キラーパンサーの意識が混濁していく。 既に限界を迎えていた、それでも…… 「でも、もう少しだけ、甘えていいよね……」 キラーパンサーの体が熱を失っていく。 「ああ、今だけは甘えていい…………特別だぞ、だから……逝くな」 「うん、ありがと……おかあさ………………」 「逝くな!畜生!!!!」 広い背中で赤子のように眠るキラーパンサーを起こす者は、もう二度と現れなかった。 &color(red){【キラーパンサー@ドラゴンクエストシリーズ 死亡】} 「畜生……何のための進化だ」 「何のために拙者は進化したんだ!!!!!」 【F-8/草原/一日目/日中】 【ガブモン@デジタルモンスターシリーズ】 [状態]:ダメージ(中)、疲労(中) [装備]:マガタマ(ワダツミ) [所持]:ふくろ(空) [思考・状況] 基本:殺し合いからの脱出  1:キラーパンサーを葬りたい  2:仲間を探す [備考] できるだけ早く進化したいと思っている。なぜか侍口調で話す。一人称は「拙者」。 ワダツミを装備することで、ガルルモンへの進化が可能となりました。 《支給品紹介》 【ワダツミ@真・女神転生Ⅲ】 マガタマの一種、氷の力を持つ。 氷結無効/電撃弱点 |No.37:[[高く翔べ]]|[[時系列順]]|No.39:[[LORD OF THE SPEED]]| |No.37:[[高く翔べ]]|[[投下順]]|No.39:[[LORD OF THE SPEED]]| |No.19:[[きらがぶじゃれじゃれん!!]]|ガブモン|No.63:[[心蝕]]| |No.19:[[きらがぶじゃれじゃれん!!]]|キラーパンサー|&color(red){死亡}| |No.01:[[邪知暴虐の王]]|ギルガメッシュ|No.49:[[show me your brave heart]]|

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