偶像崩壊

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周辺の地形を確認する目的で、ギリメカラとホイミスライムは山を登っていた。 その道程は決して、迅速なものではなかった。 殺し合い打破の綻びを探すため、登山は入念な周囲の散策と共に行われた。 その結果、彼らはなんでもないこの山にあるべきではない不自然なものを見つける。 それが、 「金の子牛か……」 牛を模った黄金の像だった。 その大きさはホイミスライムにして3~4匹分、太陽から得た光でじりじりと熱を帯びていた。 無論、それが金の子牛であるということは見ればわかる。 しかし、一見からわかる以上の念が込められたギリメカラにホイミスライムは尋ねずにはいられなかった。 「知ってるの?ギリメカラさん」 「偶像だ」 「んん、よくわからないんだけど……?」 「昔、この像は四文字の神の代理として用いられた」 「神様の代わりだったんだね」 「それに激怒した指導者は、この牛を燃やし、破壊し、水に混ぜて民衆に飲ませ、 その後、崇拝に加担した人間全員を殺害したようだな」 「えぇ……」 流石のホイミスライムもそれには引いた。 「四文字の神の器量の狭さよ」 ふん、と呆れたような息を吐くと、ギリメカラは金の子牛をぐるりと回る。 そして何も無いことを確認すると金の子牛本体へと近づいた。 「おヌシは何のためにこの牛が置かれたと思う?」 金の子牛を探りながら、ギリメカラは問いを投げかけた。 「えっ、いきなりそんなこと言われても……えっと…………う~~ん……何か仕掛けがあるとか……?」 「仕掛けは……」 やれやれと頭を振って、調査を終えたギリメカラがホイミスライムの隣に立つ。 「無かった、魔力すらも感じぬ」 「えっ、じゃあ…………」 「この牛自体には何の意味も無いということじゃ、この牛自体には、な」 苛立ち紛れにギリメカラに蹴りつけられた金の子牛は、己の重量を忘れたかのように、軽やかに宙を舞った。 ムシャクシャしてやった、反省はしていない。 唖然とするホイミスライムを尻目に、ギリメカラは重々しく口を開く。 「この牛はメタファーだ」 「めたふぁー?」 聞きなれぬ言葉をオウム返しにするホイミスライムに、敢えて解説することはせず、 ギリメカラはそのまま、言葉を続ける。 「神の代わりに造られ、最後には破壊された像……これがワシらの未来を…………いや、」 何故、そのような物が山に置かれている?ギリメカラの脳裏を疑問が過ぎった。 金の子牛はシナイ"砂漠"に在るべきものであって、シナイ"山"に在るはずはない。 これは一体何を意味する?いや、何の意味もない、ただのブラフか? 「どうしたのオジさん!?」 突如として黙り込んだギリメカラに、ホイミスライムはクポクポと動揺した。 「…………わからん」 「えっ、うん……?」 戸惑いと沈黙。 「たっ、助けて!!」 それを斬り裂いたのは、人食いの女だった。 「人間!?」 マンイーターの姿を見たホイミスライムは、真っ先に敵の名を叫ぶ。 「ち、違……」 反論しようとしたマンイーターの言葉を遮ったのは、ギリメカラだった。 「幽鬼か」 「そっ……そうよ!」 動揺するスライムと、動揺しているように見えるマンイーター、二人を抑えて、ギリメカラが主導権を握る。 「おヌシの、その怪我……原因を言ってみるが良いぞ」 「に……人形みたいな奴が!!」 一つ一つ、ギリメカラは慎重に情報を引き出していった。 最初の敵。 同行していた仲魔。 襲撃してきた敵。 逃走の経緯。 そして、 「アタシは殺し合いに乗る気なんか無いわ!!」 この殺し合いでの方針。 「そうか、わかったぞ……」 納得したように頷くギリメカラに、マンイーターは心の中で舌を出す。 ちょろい。 ギリメカラとホイミスライムを相手に、マンイーターは思う。 襲撃を受けた無力なメスを演じ、庇護を求める。 本当ならば、襲撃を受けたこと──正確に言うのならば、ブイモンを見捨てたことは言いたくはなかったが、 背中に傷を受けつつも、一人で敵から逃げ切ったことは不自然であるため、 ブイモンが命がけで盾になり、その間に逃げた話をでっち上げる。 いや、でっち上げとは言っても結果としては事実だ。 ならば、少々美談としての味付けを加えたそれを話しても構わない。 そして、不本意ではあるが、己の方針は偽る。 二人組ということは、協力して優勝を目指しているのか、あるいはこの殺し合いに反抗しようとする者達なのか、判断がつけづらい。 誘惑は一対一になった時だ。 「マンイーター」 「…………」 「おヌシは前衛だ」 「は?」 思わず威圧した。 「……ホイミスライムが、お主の傷を癒す。その後、インペリアルラインという陣形を取る ワシが殿、ホイミスライムが中心、おヌシが前衛だ。お前のポジションが一番危険だ。覚悟して戦え。」 「いや、アタシに戦う力なんて……」 「マンイーターは素手で戦えるはずだが?」 「そ、そんな事…………」 「以前所属していたパーティーのマンイーターは、貪り食っておったぞ」 「な、何を…………?」 「悪魔」 「ふざけんなあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 と、叫ぶことが出来ればどんなに良かっただろうか。 悲しいかな、明らかに格上であるギリメカラ相手に本性を見せれば、それはすなわちマンイーターの死を意味する。 よって、彼女は心の中だけで叫ぶ。 「ホイミスライムは回復役、最も重要なポジションだ、故に前後からの攻撃を防ぐために真ん中にいなければならぬ。 ワシはこの反射能力で背後からの不意打ちをほぼ完璧に防ぐことが出来る。余ったおヌシは、必然的に前衛ということになる」 「え…………っと」 反論の言葉を考えなければならない、 しかし、彼女の世界の悪魔は人間と違って、成長も……あるいは衰えることもしない。 つまり、マンイーターという悪魔の強さが知られている以上は、それに対してどうやっても抗うことは出来ない。 悪魔なんて貪ってんじゃねぇ!男を貪れよ!! 目の前のギリメカラがいたであろう世界のマンイーターに叫んでやりたかった。 しかし、哀しいかな、その思いが届くことはない。 「この殺し合いに反逆するという意思を持つ同士として、共に戦おうではないか……なぁ」 「あの……」 「どうした?」 悲しい過去を聞かせても、多分駄目なんだろうなぁ、でも、もしかしたら…… 一縷の望みを掛けて、マンイーターは語り始める。 「アタシ過去に…………」 「大変だったな」 「いや、まだ」 「大変だったな」 「だから」 「大変だったな」 「お姉ちゃん……」 「ん?」 「無駄だと思う」 「…………うん」 ホイミスライムから救いの触手が伸びることはなく、 マンイーターは強制的に対主催の道を先導して歩かされることとなった。 【E-5/山/一日目/午後】 【ギリメカラ@女神転生シリーズ】 [状態]:健康 [装備]:なし [所持]:ふくろ(中身なし) [思考・状況] 基本:この殺し合いに反抗する  1:みてろよあのハゲ  2:金の子牛が気にかかる [備考] オス。真・女神転生2の仕様。 【ホイミスライム@ドラゴンクエストシリーズ】 [状態]:健康 [装備]:モーグリスーツ@FFシリーズ [所持]:どくばり@ドラゴンクエストシリーズ [思考・状況] 基本:とりあえずギリメカラに付いて行く  1:今はこのオジさんに付いて行くしか無いよなあ [備考] オス。若い。 【幽鬼マンイーター@真・女神転生シリーズ】 [状態]:背中に裂傷(ダメージ中) [装備]:MPSマシンガン&ショットシェル(85/100)@真・女神転生  メダパニの杖@ドラゴンクエストシリーズ(4/5) [所持]:ふくろ、外道バックベアードのふくろ(中身は不明)ブイモンのふくろ(中身は空っぽ) [思考・状況] 基本:優勝狙い  1:このチームから離れたい    ※メダパニの杖を強化系の杖と勘違いしています、回数制限も知りません   山頂の景色から少しだけ地形を把握しました |No.34:[[進撃の巨竜]]|[[投下順]]|No.36:[[可能性の魔物]]| |No.29:[[眠ったままで]]|幽鬼マンイーター|No.48:[[無色透明の]]| |No.15:[[天の邪鬼]]|邪鬼ギリメカラ|No.48:[[無色透明の]]| |No.15:[[天の邪鬼]]|ホイミスライム|No.48:[[無色透明の]]|
周辺の地形を確認する目的で、ギリメカラとホイミスライムは山を登っていた。 その道程は決して、迅速なものではなかった。 殺し合い打破の綻びを探すため、登山は入念な周囲の散策と共に行われた。 その結果、彼らはなんでもないこの山にあるべきではない不自然なものを見つける。 それが、 「金の子牛か……」 牛を模った黄金の像だった。 その大きさはホイミスライムにして3~4匹分、太陽から得た光でじりじりと熱を帯びていた。 無論、それが金の子牛であるということは見ればわかる。 しかし、一見からわかる以上の念が込められたギリメカラにホイミスライムは尋ねずにはいられなかった。 「知ってるの?ギリメカラさん」 「偶像だ」 「んん、よくわからないんだけど……?」 「昔、この像は四文字の神の代理として用いられた」 「神様の代わりだったんだね」 「それに激怒した指導者は、この牛を燃やし、破壊し、水に混ぜて民衆に飲ませ、 その後、崇拝に加担した人間全員を殺害したようだな」 「えぇ……」 流石のホイミスライムもそれには引いた。 「四文字の神の器量の狭さよ」 ふん、と呆れたような息を吐くと、ギリメカラは金の子牛をぐるりと回る。 そして何も無いことを確認すると金の子牛本体へと近づいた。 「おヌシは何のためにこの牛が置かれたと思う?」 金の子牛を探りながら、ギリメカラは問いを投げかけた。 「えっ、いきなりそんなこと言われても……えっと…………う~~ん……何か仕掛けがあるとか……?」 「仕掛けは……」 やれやれと頭を振って、調査を終えたギリメカラがホイミスライムの隣に立つ。 「無かった、魔力すらも感じぬ」 「えっ、じゃあ…………」 「この牛自体には何の意味も無いということじゃ、この牛自体には、な」 苛立ち紛れにギリメカラに蹴りつけられた金の子牛は、己の重量を忘れたかのように、軽やかに宙を舞った。 ムシャクシャしてやった、反省はしていない。 唖然とするホイミスライムを尻目に、ギリメカラは重々しく口を開く。 「この牛はメタファーだ」 「めたふぁー?」 聞きなれぬ言葉をオウム返しにするホイミスライムに、敢えて解説することはせず、 ギリメカラはそのまま、言葉を続ける。 「神の代わりに造られ、最後には破壊された像……これがワシらの未来を…………いや、」 何故、そのような物が山に置かれている?ギリメカラの脳裏を疑問が過ぎった。 金の子牛はシナイ"砂漠"に在るべきものであって、シナイ"山"に在るはずはない。 これは一体何を意味する?いや、何の意味もない、ただのブラフか? 「どうしたのオジさん!?」 突如として黙り込んだギリメカラに、ホイミスライムはクポクポと動揺した。 「…………わからん」 「えっ、うん……?」 戸惑いと沈黙。 「たっ、助けて!!」 それを斬り裂いたのは、人食いの女だった。 「人間!?」 マンイーターの姿を見たホイミスライムは、真っ先に敵の名を叫ぶ。 「ち、違……」 反論しようとしたマンイーターの言葉を遮ったのは、ギリメカラだった。 「幽鬼か」 「そっ……そうよ!」 動揺するスライムと、動揺しているように見えるマンイーター、二人を抑えて、ギリメカラが主導権を握る。 「おヌシの、その怪我……原因を言ってみるが良いぞ」 「に……人形みたいな奴が!!」 一つ一つ、ギリメカラは慎重に情報を引き出していった。 最初の敵。 同行していた仲魔。 襲撃してきた敵。 逃走の経緯。 そして、 「アタシは殺し合いに乗る気なんか無いわ!!」 この殺し合いでの方針。 「そうか、わかったぞ……」 納得したように頷くギリメカラに、マンイーターは心の中で舌を出す。 ちょろい。 ギリメカラとホイミスライムを相手に、マンイーターは思う。 襲撃を受けた無力なメスを演じ、庇護を求める。 本当ならば、襲撃を受けたこと──正確に言うのならば、ブイモンを見捨てたことは言いたくはなかったが、 背中に傷を受けつつも、一人で敵から逃げ切ったことは不自然であるため、 ブイモンが命がけで盾になり、その間に逃げた話をでっち上げる。 いや、でっち上げとは言っても結果としては事実だ。 ならば、少々美談としての味付けを加えたそれを話しても構わない。 そして、不本意ではあるが、己の方針は偽る。 二人組ということは、協力して優勝を目指しているのか、あるいはこの殺し合いに反抗しようとする者達なのか、判断がつけづらい。 誘惑は一対一になった時だ。 「マンイーター」 「…………」 「おヌシは前衛だ」 「は?」 思わず威圧した。 「……ホイミスライムが、お主の傷を癒す。その後、インペリアルラインという陣形を取る ワシが殿、ホイミスライムが中心、おヌシが前衛だ。お前のポジションが一番危険だ。覚悟して戦え。」 「いや、アタシに戦う力なんて……」 「マンイーターは素手で戦えるはずだが?」 「そ、そんな事…………」 「以前所属していたパーティーのマンイーターは、貪り食っておったぞ」 「な、何を…………?」 「悪魔」 「ふざけんなあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 と、叫ぶことが出来ればどんなに良かっただろうか。 悲しいかな、明らかに格上であるギリメカラ相手に本性を見せれば、それはすなわちマンイーターの死を意味する。 よって、彼女は心の中だけで叫ぶ。 「ホイミスライムは回復役、最も重要なポジションだ、故に前後からの攻撃を防ぐために真ん中にいなければならぬ。 ワシはこの反射能力で背後からの不意打ちをほぼ完璧に防ぐことが出来る。余ったおヌシは、必然的に前衛ということになる」 「え…………っと」 反論の言葉を考えなければならない、 しかし、彼女の世界の悪魔は人間と違って、成長も……あるいは衰えることもしない。 つまり、マンイーターという悪魔の強さが知られている以上は、それに対してどうやっても抗うことは出来ない。 悪魔なんて貪ってんじゃねぇ!男を貪れよ!! 目の前のギリメカラがいたであろう世界のマンイーターに叫んでやりたかった。 しかし、哀しいかな、その思いが届くことはない。 「この殺し合いに反逆するという意思を持つ同士として、共に戦おうではないか……なぁ」 「あの……」 「どうした?」 悲しい過去を聞かせても、多分駄目なんだろうなぁ、でも、もしかしたら…… 一縷の望みを掛けて、マンイーターは語り始める。 「アタシ過去に…………」 「大変だったな」 「いや、まだ」 「大変だったな」 「だから」 「大変だったな」 「お姉ちゃん……」 「ん?」 「無駄だと思う」 「…………うん」 ホイミスライムから救いの触手が伸びることはなく、 マンイーターは強制的に対主催の道を先導して歩かされることとなった。 【E-5/山/一日目/午後】 【ギリメカラ@女神転生シリーズ】 [状態]:健康 [装備]:なし [所持]:ふくろ(中身なし) [思考・状況] 基本:この殺し合いに反抗する  1:みてろよあのハゲ  2:金の子牛が気にかかる [備考] オス。真・女神転生2の仕様。 【ホイミスライム@ドラゴンクエストシリーズ】 [状態]:健康 [装備]:モーグリスーツ@FFシリーズ [所持]:どくばり@ドラゴンクエストシリーズ [思考・状況] 基本:とりあえずギリメカラに付いて行く  1:今はこのオジさんに付いて行くしか無いよなあ [備考] オス。若い。 【幽鬼マンイーター@真・女神転生シリーズ】 [状態]:背中に裂傷(ダメージ中) [装備]:MPSマシンガン&ショットシェル(85/100)@真・女神転生  メダパニの杖@ドラゴンクエストシリーズ(4/5) [所持]:ふくろ、外道バックベアードのふくろ(中身は不明)ブイモンのふくろ(中身は空っぽ) [思考・状況] 基本:優勝狙い  1:このチームから離れたい    ※メダパニの杖を強化系の杖と勘違いしています、回数制限も知りません   山頂の景色から少しだけ地形を把握しました |No.34:[[タチムカウ-狂い咲く己の証明-]]|[[時系列順]]|No.36:[[可能性の魔物]]| |No.34:[[進撃の巨竜]]|[[投下順]]|No.36:[[可能性の魔物]]| |No.29:[[眠ったままで]]|幽鬼マンイーター|No.48:[[無色透明の]]| |No.15:[[天の邪鬼]]|邪鬼ギリメカラ|No.48:[[無色透明の]]| |No.15:[[天の邪鬼]]|ホイミスライム|No.48:[[無色透明の]]|

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