眠ったままで

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一匹のデジモンがその日生を受けた。 卵から孵って広がった空は果てしなく、世界は寒かった。 頼りなく震える体を抱いてくれたのは、幼い少女。彼女の細い腕のなかは温かく、デジモンは寒さを忘れた。 少女は、やがて大人になって、デジモンのことを忘れてしまった。 デジモンは悲しみ、再び襲った寒さのために体も心も、卵に閉じ込める。沢山の思い出や進化の記憶をデータの奥底に溶かして、溶かして。 また、また幼い少女に会える日まで、眠ったままで。 「くぅーッ……マンイーターの姐さんにそんな悲しい過去があるとは……! マンイーターの即興でっちあげ凄惨過去話、略して過去バナに涙するブイモン。 ちょろいもんだぜ、と内心ガッツポーズをしつつも「あー気にしないでいーわよ、ホント」なんて気丈に振る舞う。 なんて完璧な演技力、話の構成力! 自身のパーペキさに身震いしちゃうわ! うっかり高笑いをあげそうになる口元を抑えて、ブイモンをちらりと見やる。 「ぐすん、俺、姐さんが幸せになれるようお手伝いするッスよ!」 できる範囲だけッスが! と、堂々と宣言するブイモン。 予定とはイマイチ違うがお人好し……いやお悪魔好しでよかった。 「はいはいあんがとね!きったないから鼻水拭きなよもう……あ、頂上かしらん」 二体は、高台を目指して歩いていた。 優勝狙いのマンイーターが意気揚々とふくろを漁り、地図が支給されていないことに気付いたための進路であった。 本人達が知り及ぶことでは無かったが奇しくも目指した高台は島の中央に聳える山。徒労にならず彼女らは島の全貌を知り得るだろう。 「はあー地味に疲れたわ……あ、この杖あんたに返さなきゃね」 一応女性だからと手渡されたブイモンの支給品である杖。山道を開いたり歩く支えに役立つ便利なものだったが、如何せん殺しあいに使える気はしない。 何よりマンイーターには近代武器と悪魔としての力がある。 「うーん、でもそれ俺もいらないんスよねえ」 勿論ブイモンも杖の扱いは長けていなかった。 「あっそ、じゃあアタシのものにするわ。しかし本当に島!って感じね……よく見渡せちゃ、うわ、なにあの爆発!」 貰える者は貰って置こうとふくろごとひったくり、彼方で起きた爆発に驚愕するマンイーター。 まがまがしい爆発、あれはおそらく悪魔……それも上級のものが起こした技に違いないだろう。 予想以上の修羅場に……自分が巻き起こしてきた男女間の修羅場を軽く上回る事態にマンイーターは息を呑んだ。 「ひええ……で、でもここはいい眺めッスね!島全体がよく見えますよ!」 ブイモンは怯えながら前向きに話しだす。 ひゅうひゅうと、潮混じりの生臭い風が後を押す。 「そーね……あ!いいこと考え付いた!アタシったらマジ天才!」 目を細めて景色を観察していたマンイーターは、四方をキョロキョロと見回しグッと拳を握る。 「っし、ここでくるやつを待ち伏せて、誘惑してコ……仲魔にするか殺すかすれば、アタシ、げふん、達は優勝街道まっしぐらよ!!」 本音を洩らしつつ、どーんと指で天を貫きマンイーターは高笑いする 確かにこの山を目指すものは少なくないだろうし、その作戦も勿論有用だ。 「流石ッス姐さん!あ……でも」 頼りになるマンイーターに賞賛の目を向けたブイモンがふと、冗談のように。 「俺達より先にここにいるやつがいたりするかもー……なんちゃって」 冗談のように。 冗談のように、笑った。 誰が? かたかた、かたり。 先客が。 かた、かたり。 瞬き一つ、惨劇が始まった。 得意気にふんぞり返っていたマンイーターの背後から何かが飛び出す。遅れて、マンイーターが倒れる。 状況が理解できないブイモンが、一呼吸、二呼吸、マンイーターの背中が、真っ直ぐに切り裂かれて、三呼吸、血塗れの正体不明が。 「うわぁああああ!?」 漸く悲鳴が上がる頃には目の前に凶器が迫っていた。鮮やかに、潜んでいた殺しのプロは命を刈り取っていく。 ぱしん、殺戮を旨とする人形、チャッキーはブーメランのように掌に帰還したグラディウスを握った。 二人、二匹?なんでもいい、高揚した気持ちが落ち着いていく。 今度は仕留めたものがすぐそばに落ちている。 止めを、というより、確認のために死体を殺す作業。 それは本当にただの作業で、仕上げだ。 ブイモンは瞳を閉じていた。痛みと死の恐怖で、抗うことのできぬ眠りに落ちて。 体がどうなっているかも、生きているのかも、死んでいるのかも分からない。 落ちる落ちる、溶ける溶ける。 血は流れているのか? データはもう崩れてしまったのか? 奔流は止められないのか? 誰かが執拗に尋ねてくる。 ブイモンには、分からない。 ひゅう、と風が止んだ。 &color(red){【ブイモン@デジタルモンスターシリーズ 死} ―――にたくないッスよぉ……!!」 光の塊がブイモンを叱咤する。 彼の閉じた瞳には幼い少女が映っていた。 少女は笑顔で、ブイモンの手を取り、体を引き起こして囁いた。 『また、一緒に戦いましょう?』 消えかけて、溶けたデータが身体中を満たして駆け巡る。 組み変わり、強くなり、瞳が開く。 目の前には凶器を構えたばかりの人形。 青い幻竜を思わせる体、腹部のXの字、背中から生えた翼。ブイモンは己の名前を思い出した。 「エクスブイモン……!」 チャッキーは、無表情に笑った。 「うう……」 うめき声がする方向を見やると、幼い少女がいた。 どこかで見たことがあるような……そうだマンイーターだ。 彼女は生きていた!しかしダメージのために幼年体に戻ってしまったのだろう。 未だおぼろげな、守るべき少女と重なり、エクスブイモンは勇気を燃やす。 剛速で唸る拳は、一瞬に賭ける想いは、殺戮人形などに負けたりはしない。 凶器を跳ね返し、頭を弾き、逃げ場を無くす。 背後は崖、落ちれば山岳地帯に打ち砕かれて死ぬ。 そしてこれから放つ必殺技でも死ぬ。 力を手に入れたエクスブイモンは素晴らしく勇敢な心地で勝者の絶景を見た。 「エクス……レイザー!!」 勝利は約束されていた。 エクスブイモンは光の前に無に帰した人形を見て満足そうに笑う。 そして後ろから駆けてくる少女のために振り返った。 ああ、あの娘が笑っている。 笑って、ゆっくり、そうだ少女は怪我をしているから、ゆっくり、こちらに。 「―――あれ?なんであの娘がいるんだ?」 ひゅうと風が、生臭い風が吹き抜けた。 少女の幻を突き抜けて、人形の凶器がエクスブイモンを貫き、切り上げた。 辻褄が、合わないんだ。 エクスブイモンが自覚したとき、その翼を持つ勇壮な体は崖下の地面に吸い込まれていた。 幼年体に―――彼女は悪魔だと言った。 あの娘がこちらに―――あの娘は大人になったし、ここにいるはずがない。 どこからおかしくなっていた? ブイモンがエクスブイモンに進化したのは真実だ。 人形、チャッキーを追い詰めたのもまた現実だ。 しかし、勝利は約束されていなかった。 チャッキーは跳躍しエクスレイザーを躱し、エクスブイモンの背後に降りた。 そして真っ直ぐに襲い掛かってきた、それだけ。 どうして夢なんか見ていたのだろう。 どうして起こされてしまったのだろう。 どうして死んでしまうんだろう。 どうして、眠ったままで死なせてくれなかったんだろう。 「あの娘に、また会えるッスかね」 叩きつけられた衝撃に小さな声はころされる。 薄ら寒い世界、最期にブイモンが見たのは狭い空と、嗤うチャッキーの顔。 &color(red){【ブイモン@デジタルモンスターシリーズ 死亡】} チャッキーは再び、感情を持たず崖下を見る羽目になった。 まあ、今回は確実に死んだであろう実感がある。この手で切り裂いたのだから。 さて、残った死体を殺すか、そう振り向くが、辺りには何も落ちていない。 ああ、これだから、死体は完全に殺さなくちゃあいけないんだ。 【D-5/山頂/一日目/日中】 【チャッキー@モンスターファームシリーズ】 [状態]:頭部左端欠損 [装備]:グラディウス@ファイナルファンタジーシリーズ [所持]:ふくろ(中身無し) [思考・状況] 基本:いつもどおりに殺戮する  1:獲物を探す 「――いででで……あーもー一張羅がズッパリと……さいっあく……」 ぱっくり裂けた背中に手をあてがいながらマンイーターは大慌てで下山していた。 剣撃も破魔も無効にできないため、それなりに痛手は食らったが運良く彼女は致命傷を避けていた。 そして一旦死んだフリをしていた彼女はチャッキーの背中に向けてがむしゃらに持っていた杖を振った。 ダメージのため距離感が合わず、その上杖からほとばしった光(マンイーターは杖でチャッキーを殴殺するつもりであった)はブイモンに当たり万事休すか、と歯噛みした直後にあの騒ぎだ。 「この杖、パワーアップさせる光みたいなのが出るのね……ま、精々時間稼ぎ頑張ってよブイモンちゃん」 あのお人形さんは似ても焼いても食えそうにないわ。 ニヤリ、と妖艶な笑みを浮かべ撫でる杖。 彼女もブイモンもその効果は知らない、メダパニの杖。 放たれた光を受けたものを混乱させる、ブイモンに夢を見せて殺した杖。 今は未だ、マンイーターもブイモンも、チャッキーすらも、真実を知ることはない。 【D-5/山中/一日目/日中】 【幽鬼マンイーター@真・女神転生シリーズ】 [状態]:背中に裂傷(ダメージ中) [装備]:MPSマシンガン&ショットシェル(85/100)@真・女神転生  メダパニの杖@ドラゴンクエストシリーズ(4/5) [所持]:ふくろ、外道バックベアードのふくろ(中身は不明)ブイモンのふくろ(中身は空っぽ) [思考・状況] 基本:優勝狙い  1:男悪魔を誘惑し味方に付け、利用しつつ優勝を狙う  2:ブイモンを囮にしてさっさと下山して逃げる    ※メダパニの杖を強化系の杖と勘違いしています、回数制限も知りません   山頂の景色から少しだけ地形を把握しました 《支給品紹介》 【メダパニの杖@ドラゴンクエストシリーズ】 ブイモンに支給されていた杖。振るとメダパニ(相手を混乱させる呪文)の光を出す。 回数制限があり、直接ぶつけても効果を発揮する。 |No.22:[[No.22:[[何も無条件で海に突き落としたわけではない モリーも「このサーフボードに乗っては如何でしょうか」と事前に対策を立てている どういった行動を取るかという決定権はピカチュウさんサイドにある その上でご自分の意志で波乗りしていらっしゃるのだからすなわち責任はピカチュウさんサイドにある なぜモリーが責められなければならないのか なぜモリーがピカチュウさんに謝罪せねばならないのか むしろ殺し合いの中、安全地帯にいるピカチュウさんこそが我々に謝罪すべきではないだろうか>何も無条件で海に突き落としたわけではない]]|[[時系列順]]|No.30:[[バトロワ中にエクササイズやったら死ぬ]]| |No.28:[[歪みの国のアリス]]|[[投下順]]|No.30:[[迷い生きる獣達]]| |No.21:[[絆のカタチ]]|チャッキー|No.64:[[不定形の王道]]| |No.18:[[悪の華]]|幽鬼マンイーター|No.35:[[偶像崩壊]]| |No.18:[[悪の華]]|ブイモン|&color(red){死亡}|
一匹のデジモンがその日生を受けた。 卵から孵って広がった空は果てしなく、世界は寒かった。 頼りなく震える体を抱いてくれたのは、幼い少女。彼女の細い腕のなかは温かく、デジモンは寒さを忘れた。 少女は、やがて大人になって、デジモンのことを忘れてしまった。 デジモンは悲しみ、再び襲った寒さのために体も心も、卵に閉じ込める。沢山の思い出や進化の記憶をデータの奥底に溶かして、溶かして。 また、また幼い少女に会える日まで、眠ったままで。 「くぅーッ……マンイーターの姐さんにそんな悲しい過去があるとは……! マンイーターの即興でっちあげ凄惨過去話、略して過去バナに涙するブイモン。 ちょろいもんだぜ、と内心ガッツポーズをしつつも「あー気にしないでいーわよ、ホント」なんて気丈に振る舞う。 なんて完璧な演技力、話の構成力! 自身のパーペキさに身震いしちゃうわ! うっかり高笑いをあげそうになる口元を抑えて、ブイモンをちらりと見やる。 「ぐすん、俺、姐さんが幸せになれるようお手伝いするッスよ!」 できる範囲だけッスが! と、堂々と宣言するブイモン。 予定とはイマイチ違うがお人好し……いやお悪魔好しでよかった。 「はいはいあんがとね!きったないから鼻水拭きなよもう……あ、頂上かしらん」 二体は、高台を目指して歩いていた。 優勝狙いのマンイーターが意気揚々とふくろを漁り、地図が支給されていないことに気付いたための進路であった。 本人達が知り及ぶことでは無かったが奇しくも目指した高台は島の中央に聳える山。徒労にならず彼女らは島の全貌を知り得るだろう。 「はあー地味に疲れたわ……あ、この杖あんたに返さなきゃね」 一応女性だからと手渡されたブイモンの支給品である杖。山道を開いたり歩く支えに役立つ便利なものだったが、如何せん殺しあいに使える気はしない。 何よりマンイーターには近代武器と悪魔としての力がある。 「うーん、でもそれ俺もいらないんスよねえ」 勿論ブイモンも杖の扱いは長けていなかった。 「あっそ、じゃあアタシのものにするわ。しかし本当に島!って感じね……よく見渡せちゃ、うわ、なにあの爆発!」 貰える者は貰って置こうとふくろごとひったくり、彼方で起きた爆発に驚愕するマンイーター。 まがまがしい爆発、あれはおそらく悪魔……それも上級のものが起こした技に違いないだろう。 予想以上の修羅場に……自分が巻き起こしてきた男女間の修羅場を軽く上回る事態にマンイーターは息を呑んだ。 「ひええ……で、でもここはいい眺めッスね!島全体がよく見えますよ!」 ブイモンは怯えながら前向きに話しだす。 ひゅうひゅうと、潮混じりの生臭い風が後を押す。 「そーね……あ!いいこと考え付いた!アタシったらマジ天才!」 目を細めて景色を観察していたマンイーターは、四方をキョロキョロと見回しグッと拳を握る。 「っし、ここでくるやつを待ち伏せて、誘惑してコ……仲魔にするか殺すかすれば、アタシ、げふん、達は優勝街道まっしぐらよ!!」 本音を洩らしつつ、どーんと指で天を貫きマンイーターは高笑いする 確かにこの山を目指すものは少なくないだろうし、その作戦も勿論有用だ。 「流石ッス姐さん!あ……でも」 頼りになるマンイーターに賞賛の目を向けたブイモンがふと、冗談のように。 「俺達より先にここにいるやつがいたりするかもー……なんちゃって」 冗談のように。 冗談のように、笑った。 誰が? かたかた、かたり。 先客が。 かた、かたり。 瞬き一つ、惨劇が始まった。 得意気にふんぞり返っていたマンイーターの背後から何かが飛び出す。遅れて、マンイーターが倒れる。 状況が理解できないブイモンが、一呼吸、二呼吸、マンイーターの背中が、真っ直ぐに切り裂かれて、三呼吸、血塗れの正体不明が。 「うわぁああああ!?」 漸く悲鳴が上がる頃には目の前に凶器が迫っていた。鮮やかに、潜んでいた殺しのプロは命を刈り取っていく。 ぱしん、殺戮を旨とする人形、チャッキーはブーメランのように掌に帰還したグラディウスを握った。 二人、二匹?なんでもいい、高揚した気持ちが落ち着いていく。 今度は仕留めたものがすぐそばに落ちている。 止めを、というより、確認のために死体を殺す作業。 それは本当にただの作業で、仕上げだ。 ブイモンは瞳を閉じていた。痛みと死の恐怖で、抗うことのできぬ眠りに落ちて。 体がどうなっているかも、生きているのかも、死んでいるのかも分からない。 落ちる落ちる、溶ける溶ける。 血は流れているのか? データはもう崩れてしまったのか? 奔流は止められないのか? 誰かが執拗に尋ねてくる。 ブイモンには、分からない。 ひゅう、と風が止んだ。 &color(red){【ブイモン@デジタルモンスターシリーズ 死} ―――にたくないッスよぉ……!!」 光の塊がブイモンを叱咤する。 彼の閉じた瞳には幼い少女が映っていた。 少女は笑顔で、ブイモンの手を取り、体を引き起こして囁いた。 『また、一緒に戦いましょう?』 消えかけて、溶けたデータが身体中を満たして駆け巡る。 組み変わり、強くなり、瞳が開く。 目の前には凶器を構えたばかりの人形。 青い幻竜を思わせる体、腹部のXの字、背中から生えた翼。ブイモンは己の名前を思い出した。 「エクスブイモン……!」 チャッキーは、無表情に笑った。 「うう……」 うめき声がする方向を見やると、幼い少女がいた。 どこかで見たことがあるような……そうだマンイーターだ。 彼女は生きていた!しかしダメージのために幼年体に戻ってしまったのだろう。 未だおぼろげな、守るべき少女と重なり、エクスブイモンは勇気を燃やす。 剛速で唸る拳は、一瞬に賭ける想いは、殺戮人形などに負けたりはしない。 凶器を跳ね返し、頭を弾き、逃げ場を無くす。 背後は崖、落ちれば山岳地帯に打ち砕かれて死ぬ。 そしてこれから放つ必殺技でも死ぬ。 力を手に入れたエクスブイモンは素晴らしく勇敢な心地で勝者の絶景を見た。 「エクス……レイザー!!」 勝利は約束されていた。 エクスブイモンは光の前に無に帰した人形を見て満足そうに笑う。 そして後ろから駆けてくる少女のために振り返った。 ああ、あの娘が笑っている。 笑って、ゆっくり、そうだ少女は怪我をしているから、ゆっくり、こちらに。 「―――あれ?なんであの娘がいるんだ?」 ひゅうと風が、生臭い風が吹き抜けた。 少女の幻を突き抜けて、人形の凶器がエクスブイモンを貫き、切り上げた。 辻褄が、合わないんだ。 エクスブイモンが自覚したとき、その翼を持つ勇壮な体は崖下の地面に吸い込まれていた。 幼年体に―――彼女は悪魔だと言った。 あの娘がこちらに―――あの娘は大人になったし、ここにいるはずがない。 どこからおかしくなっていた? ブイモンがエクスブイモンに進化したのは真実だ。 人形、チャッキーを追い詰めたのもまた現実だ。 しかし、勝利は約束されていなかった。 チャッキーは跳躍しエクスレイザーを躱し、エクスブイモンの背後に降りた。 そして真っ直ぐに襲い掛かってきた、それだけ。 どうして夢なんか見ていたのだろう。 どうして起こされてしまったのだろう。 どうして死んでしまうんだろう。 どうして、眠ったままで死なせてくれなかったんだろう。 「あの娘に、また会えるッスかね」 叩きつけられた衝撃に小さな声はころされる。 薄ら寒い世界、最期にブイモンが見たのは狭い空と、嗤うチャッキーの顔。 &color(red){【ブイモン@デジタルモンスターシリーズ 死亡】} チャッキーは再び、感情を持たず崖下を見る羽目になった。 まあ、今回は確実に死んだであろう実感がある。この手で切り裂いたのだから。 さて、残った死体を殺すか、そう振り向くが、辺りには何も落ちていない。 ああ、これだから、死体は完全に殺さなくちゃあいけないんだ。 【D-5/山頂/一日目/日中】 【チャッキー@モンスターファームシリーズ】 [状態]:頭部左端欠損 [装備]:グラディウス@ファイナルファンタジーシリーズ [所持]:ふくろ(中身無し) [思考・状況] 基本:いつもどおりに殺戮する  1:獲物を探す 「――いででで……あーもー一張羅がズッパリと……さいっあく……」 ぱっくり裂けた背中に手をあてがいながらマンイーターは大慌てで下山していた。 剣撃も破魔も無効にできないため、それなりに痛手は食らったが運良く彼女は致命傷を避けていた。 そして一旦死んだフリをしていた彼女はチャッキーの背中に向けてがむしゃらに持っていた杖を振った。 ダメージのため距離感が合わず、その上杖からほとばしった光(マンイーターは杖でチャッキーを殴殺するつもりであった)はブイモンに当たり万事休すか、と歯噛みした直後にあの騒ぎだ。 「この杖、パワーアップさせる光みたいなのが出るのね……ま、精々時間稼ぎ頑張ってよブイモンちゃん」 あのお人形さんは似ても焼いても食えそうにないわ。 ニヤリ、と妖艶な笑みを浮かべ撫でる杖。 彼女もブイモンもその効果は知らない、メダパニの杖。 放たれた光を受けたものを混乱させる、ブイモンに夢を見せて殺した杖。 今は未だ、マンイーターもブイモンも、チャッキーすらも、真実を知ることはない。 【D-5/山中/一日目/日中】 【幽鬼マンイーター@真・女神転生シリーズ】 [状態]:背中に裂傷(ダメージ中) [装備]:MPSマシンガン&ショットシェル(85/100)@真・女神転生  メダパニの杖@ドラゴンクエストシリーズ(4/5) [所持]:ふくろ、外道バックベアードのふくろ(中身は不明)ブイモンのふくろ(中身は空っぽ) [思考・状況] 基本:優勝狙い  1:男悪魔を誘惑し味方に付け、利用しつつ優勝を狙う  2:ブイモンを囮にしてさっさと下山して逃げる    ※メダパニの杖を強化系の杖と勘違いしています、回数制限も知りません   山頂の景色から少しだけ地形を把握しました 《支給品紹介》 【メダパニの杖@ドラゴンクエストシリーズ】 ブイモンに支給されていた杖。振るとメダパニ(相手を混乱させる呪文)の光を出す。 回数制限があり、直接ぶつけても効果を発揮する。 |No.22:[[何も無条件で海に突き落としたわけではない モリーも「このサーフボードに乗っては如何でしょうか」と事前に対策を立てている どういった行動を取るかという決定権はピカチュウさんサイドにある その上でご自分の意志で波乗りしていらっしゃるのだからすなわち責任はピカチュウさんサイドにある なぜモリーが責められなければならないのか なぜモリーがピカチュウさんに謝罪せねばならないのか むしろ殺し合いの中、安全地帯にいるピカチュウさんこそが我々に謝罪すべきではないだろうか>何も無条件で海に突き落としたわけではない]]|[[時系列順]]|No.30:[[バトロワ中にエクササイズやったら死ぬ]]| |No.28:[[歪みの国のアリス]]|[[投下順]]|No.30:[[迷い生きる獣達]]| |No.21:[[絆のカタチ]]|チャッキー|No.64:[[不定形の王道]]| |No.18:[[悪の華]]|幽鬼マンイーター|No.35:[[偶像崩壊]]| |No.18:[[悪の華]]|ブイモン|&color(red){死亡}|

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