1スレ目>>739~>>762


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その昔……魔界において、覇権を巡る大きな争いがあった。
魔王率いる魔の血族と、竜王率いる竜の眷属との全面戦争である。
血で血を洗う終わりの見えない戦いは、最終的に魔族の勝利に終わるのだが……
 
これは、その戦争の末期のお話。
 
 
小山のように巨大な生物の亡骸の前に、見るからに威厳を纏った男が立っている。
男は殺気を込めて口を開いた。
 
魔王「貴様達の拠り所である竜王も、もはやいなくなった」
 
魔王「竜の妃よ、其の種族……竜族は死に絶える運命なのだ」
 
竜の妃と呼ばれたこれまた巨大な生物は、自らの運命を悟りながらも毅然として言い放つ。
 
竜妃「我らは何物にも屈することはない、魔王が相手であっても」
 
魔王「……ならば、なぜ抗おうとしない?」
 
竜妃「竜王をも滅ぼすその力の前には、我は無力であろう……」
 
魔王「ほう……なかなか、潔いではないか」
 
竜妃「しかし、例え我らが滅びようとも、希望は残されている……」
 
魔王「何だと?」
 
魔王が竜妃の周囲を見渡すと、その足元に小さな竜を見つける。
 
竜妃「魔王といえど、我が子に手出しはさせない……この身にかえても!」
 
魔王「(我が子……だと?)」
 
 
『父上!』
 
 
魔王の脳裏に、一人娘の姿が去来する。
いかな魔王といえど、宿敵とはいえ幼子を手にかけるのは忍びないのだ。
 
 
魔王「……チッ」
 
 
魔王「いいだろう……せめて苦しまぬよう、我が最大の魔術をもって一撃で仕留めてやろう!!」
 
魔王「母子共々な!!」ゴゴゴゴ
 
魔王が呪文の詠唱を始める。
魔術の発動まで、そう長くはかからないだろう。
 
 
竜妃「(どうやら……ここまでのようね)」
 
竜妃「(我が子よ、貴方には何もしてあげられなかった……ごめんなさい)」
 
竜妃「(せめてこの子には、平穏で健やかな未来を過ごして欲しい)」
 
竜妃「竜の神よ……我が祈り、聞き届けたまえ!!」
 
魔王「これで終わりだ! 闇に飲まれよ!!」
 
 
 
魔王の魔術と、竜妃の魔法の発動はほぼ同時だった。
 
 
───────────────────────────────
 
 
時は流れて、現代・人間界
 
 
「えーっと……『プロダクション』の電話番号は……名刺……あったあった」
 
歳の頃は5~60くらいの白衣姿の男性が、どこかに電話をかけている。
 
ちひろ『お電話ありがとうございます、プロダクション事務員、千川でございます』
 
「あ、私、龍崎と申しますが、社長さんはおいででしょうか?」
 
ちひろ『龍崎って……あの龍崎博士ですか?』
 
白衣の男性は、龍崎と名乗った。
通話相手の反応からすると、割と名のある人間らしい。
 
博士「そんな風に呼ばれることもありますね」ハハハ
 
ちひろ『社長からお話は伺っております、ただいまお繋ぎしますね』
 
博士「お願いします」
 
 
社長『やあ、久しいね、私に連絡してくるということは、例の子の話かな?』
 
博士「うむ、今日にでも連れていこうと思うのだが、大丈夫かね?」
 
社長『構わないよ、プロデューサーにも伝えておこう』
 
博士「(プロデューサー……?)」
 
博士「それでは、昼過ぎにでも訪ねるよ」
 
社長『わかった、また後ほど』ピッ
 
 
博士「薫! 薫ー!? お出かけするぞー!」
 
薫「お出かけ? お出かけするの?」ヒョコッ
 
博士が呼びかけると、10歳くらいの女の子がどこからともなく現れた。
 
博士「うむ、私の古い友人の所にな、薫も出かける準備をしなさい」
 
薫「わかった! えへへ! せんせぇとお出かけ楽しみだな!」
 
薫と呼ばれた少女は、博士との外出に期待を膨らませていらしい。
傍目から見れば仲の良い祖父と孫の様にも見える。
 
博士「それでは、そろそろ出ようか」
 
 
 
──『プロダクション』に向かう道中──
 
博士「(薫を拾い、育て始めてしばらく経ったが……)」チラッ
 
薫「……」
 
博士「(私にも大分懐いてくれているようだ)」
 
薫「……?」キョトン
 
博士「(娘か孫がいるということは、このような感じなのだろうか)」ナデナデ
 
薫「!」エヘヘ
 
博士「(どうか、薫にはこのまま平穏に過ごしてもらいたいものだ……)」
 
そんなことを考えながら道を歩いていると、突然前方の地面から黒い塊が湧き上がった。
二人が咄嗟の出来事に驚いている間に黒い塊はますます高く盛り上がっていく。
 
 
博士「な……アイツは……!?」
 
薫「せんせぇ……あれ、なに?」
 
博士「(あれは……間違いない、あの日以来現れるようになったという、カースと呼ばれている化け物だ)」
 
 
山高く盛り上がったカースは、獲物が居ないかと周囲を探る。
すると、数十メートル先に二人の人間を見つけた。
まだ小さい子供と既に若くはないであろう男……反撃の心配も無さそうだ。
 
博士「薫! 逃げなさい!! ……ぐああっ!!」
 
カースが枝分かれさせた自身の体を腕のように伸ばし、博士の体を捕らえた。
 
薫「せんせえ!!」
 
博士「ぐっ……薫、逃げるんだ……早く!」
 
薫「やだ! やだよ!! せんせえも一緒ににげるの!!」
 
博士「薫……言うことを……聞きなさい!」
 
薫「いやだあ!!」
 
薫が叫び声を上げると、辺りが暗くなり始めた。
上空にはいつの間にか、暗雲が立ち込めている。
 
 
博士「(空が……荒れてきた!?)」
 
博士「(まずい……薫の力が暴走しかけている……このままでは……ッ!)」
 
博士「薫……いかん、その力を使っては……ダメだ!」
 
カースの腕により一層締め上げられながらも、博士は薫に呼びかける。
 
薫「いきなりでてきてなんなの! このバケモノ!!」
 
薫は、突如現れた目の前の不条理に対して怒りをぶつける。
その声に呼応するかのように暗雲から火の玉が降り注ぐ。
 
博士「ダメだ、薫……それ以上は……!!」
 
博士は力を振り絞って薫に呼びかけるが、その声は届いていないようだ。
 
薫「かえしてよ……!」
 
薫「せんせえをかえして!!」
 
薫の叫びとともに天上から降ってきた一際大きな火球が、カースを直撃する。
直後、辺りは爆炎に包まれた。
 
 
──その頃・とある中学校──
 
蘭子「最近は平和だねー」
 
昼子「まったく、つまらん限りだ」
 
蘭子「(世界征服するなら昼子ちゃんの方から平和を乱すくらいしないとダメなんじゃないのかな?)」
 
 
 ザワ.......ザワ.......
 
 
「何アレー?」
 
「なんか、向こうの方暗くない? 雨雲?」
 
 
昼子「なんだ? 人間どもが騒々しいぞ」
 
蘭子「昼子ちゃん、あっちの方の空、すごく暗くなってる……なんだか不気味だね」
 
 
昼子「!? なっ……これは!!」
 
突然、ブリュンヒルデが大声を上げる。
蘭子は彼女がこのように取り乱す姿を今まで見たことが無かったため驚いた。
 
蘭子「ど、どうしたの?」
 
昼子「この魔力の波形……まさかそんな……あり得ぬ!」
 
そういうとブリュンヒルデは窓から身を乗り出し、暗雲の立ち込める方へ飛び去ってしまった。
 
蘭子「あっ! 昼子ちゃん、待ってよー!」
 
「昼子も蘭子どこいくの? もうお昼休み終わるよー?」
 
蘭子「私達今日は早退しまーす!」トテトテ
 
「ええーっ!?」
 
 
 
カースが出現した周辺に立ち込めていた爆炎が晴れると、そこにはカースの姿は無かった。
本体のドロドロや核を含め、まるごと消滅してしまったらしい。
カースの腕から解放された博士は、よろめきながらも立ち上がると、薫のもとへ近づく。
 
博士「(今回は、薫に助けられたな……)」
 
博士「薫……大丈夫か? 立てるか?」
 
薫「うん……せんせぇも……大丈夫?」
 
博士「(カースに襲われたからか、あるいは力を解放したのが原因か)」
 
博士「(かなりショックを受けているようだな)」
 
博士「私はなんともないよ、さあ、行こう」
 
実際には体中の骨が軋んで鈍い痛みがあるが、顔には出さない。
薫をこれ以上不安にさせるようなことは控えたかった。
 
博士「(そろそろ野次馬が集まってくるだろう)」
 
博士「(能力を持たない爺と子供がカースを倒したと知れれば、厄介なことになりかねん)」
 
その筋の連中に見つかれば、根掘り葉掘り聞かれることになるだろう。
いかに珍妙不可思議な出来事が多発する世の中とはいえ、薫の正体はできれば隠しておきたかった。
 
 
昼子「そこの人間ども、待て」
 
博士「!?」
 
突然背後から話しかけられ、肝を冷やす。
振り返るとそこには、10代半ばくらいの少女が立っていた。
 
博士「何か御用ですかな? お嬢さん」
 
少女のただならぬ雰囲気にのまれながらも、平静を装い対応する。
 
昼子「先ほどこのあたりで竜言語魔法の発動を感知した……行使したのはどちらだ?」
 
博士「(なんだ……? この娘は何を言っているのだ)」
 
少女は二人をねめつけると、おもむろに薫の方に近寄る。
 
昼子「なるほど……貴様か」
 
薫「……なあに? おねえちゃん」
 
昼子「人間に擬態するなどと……小癪な真似を!」ギリッ
 
薫「!?」ゾクッ
 
 
博士「ま、待て! 薫に何をするつもりだ!」
 
昼子「薫……だと……? フン」
 
博士が薫を庇い身を乗り出すと、ブリュンヒルデは鼻で笑った。
 
昼子「人間よ、これは我が魔族とこの小娘、竜族の間の問題である、貴様らには関わり合いの無い事」
 
博士「魔族と竜族……? 君は!? この子のことを知っているのか!?」
 
昼子「何……? 貴様はこの娘の正体を知らないのか?」チラッ
 
薫「……」ビクビク
 
 
ブリュンヒルデが薫に目をやると、博士の後ろで縮こまっている姿が目に入った。
自分の知っている竜族の姿とは似ても似つかない。
 
昼子「娘よ……貴様は竜族ではないのか?」
 
昼子「人間の後ろに隠れて怯えているなどと、恥ずかしくはないのか!」
 
薫「知らない! かおるは、おねえちゃんがなに言ってるのか全然わかんないよっ!」
 
昼子「白を切る気か、ならば先ほどの魔法は何だというのだ?」
 
薫「知らないよっ! かおるにも……わかんないよぅ」グスッ
 
昼子「……」
 
 
蘭子「昼子ちゃん! 何してるの!?」
 
ブリュンヒルデを追いかけてきた蘭子が飛び出してくる。
 
昼子「(蘭子か……手出しは無用!)」
 
ブリュンヒルデは念話で蘭子を制する。
 
蘭子「手出し無用って、こんな小さい子相手に、何言ってるの!」
 
昼子「(こやつは普通の人間ではない、我が魔族の宿敵である竜族の娘だ)」
 
蘭子「普通の人間じゃないって……そんな……」
 
 
薫「うぅ……グスッ……ヒック」
 
蘭子「な、泣いちゃってるよ、この子!」
 
蘭子「宿敵とかよく分からないけど、小さい子を泣かせたらダメだよ!」
 
昼子「(この様子だとこの娘、本当に己の出自を知らないらしいな……)」
 
昼子「フン……興が醒めたわ」
 
蘭子「……」
 
 
昼子「竜族の娘よ、貴様には我が真名を教えておいてやる」
 
昼子「貴様ら竜族を滅ぼせし偉大なる魔王の一人娘! 悪姫ブリュンヒルデである!」
 
昼子「貴様が一族の仇を討とうというのであれば、いつでも相手になろう」
 
ブリュンヒルデは一方的にそう告げると、蘭子を連れて飛び去った。
博士は彼女の破天荒ぶりに呆気にとられていたが、思考が回復すると
薫の正体についてもう少し聞き出しておくべきだったと悔やむのだった。
 
 
──プロダクション・応接室──
 
博士は『プロダクション』に着くなり社長を呼び出し、今まであった出来事を話した。
 
ピィ「その黒雲はここからも見えましたよ、かなりの規模の魔法だったみたいですね」
 
『プロダクション』所属の『プロデューサー』、ピィが相槌を打つ。
彼も社長から薫の話を聞いていたため、すんなりと会話に入ってくる。
 
社長「しかし、魔族と竜族とは……あの日以来不思議な出来事には事欠かないが、まるでおとぎ話ではないかね」
 
博士「薫は拾った当初は確かに、おとぎ話に出てくるドラゴンの姿そのものだった」
 
博士「詳しいことは分からないが、この我々が生活している世界とは別の世界……」
 
博士「魔族というくらいだから、そうだな……魔界と呼ばれるような場所から来たのではないかと、私は考えている」
 
人間界には古くから黒魔術と呼ばれる類の、悪魔召喚だの降霊術だのと言った怪しい行為は存在していた。
それらがインチキではなく、本当に異世界から異形の物を呼び出す方法であったとすれば
薫や、先ほどのブリュンヒルデの正体も納得できるというものだ。
 
 
ピィ「その、薫ちゃんですけど、我が『プロダクション』に所属してもらうということで」
 
ピィ「よろしいですか?」
 
博士「ここには、『能力者』や、人とは似て非なる存在が多く集まっていると聞いている」
 
博士「薫もまた、人ではない存在だ……彼女が人間界で暮らしていけるかと言われると、難しいだろう」
 
博士「人間界で孤立するよりは、近しい境遇の者が集まるここで保護してもらった方が彼女のためになると思うのだ」
 
ピィ「なるほど……わかりました、ただ、最終的には彼女の意思を尊重する形になると思います」
 
博士「うむ……」
 
社長「ところで、その薫ちゃんは今どこにいるのかね?」
 
ピィ「えっと……周子と美玲に見てもらってますが……」
 
ピィがそう説明すると建物内が衝撃音とともに大きく揺れた。
 
ピィ社長博士「な、何事だ!?」
 
 
──その少し前──
 
薫は『プロダクション』所属の妖怪二人、塩見周子・早坂美玲と喋っていた。
 
周子「あたしは周子、それで、こっちの小っちゃいのが」
 
美玲「ウチは小っちゃくないぞ! あー、ウチは美玲だ」
 
薫「しゅーこさんにみれいさんだね!」
 
薫「かおるは、かおるだよーっ!」
 
周子「あはは、元気がいいね、子供はそうでないとねー」
 
美玲「ピィから聞いたんだけど、かおるも変身できるんだって?」
 
薫「うーんと……かおるにはよくわからないんだけど、今のかおるのほうが、ほんとうの姿とは違うんだって」
 
薫「かおるのほんとうの姿は『りゅう』っていうらしいよ」
 
周子「龍?」
 
美玲「ふーん、なんだかよくわからないな」
 
周子「……」
 
 
周子「ねーえ? 薫ちゃん?」
 
薫の『りゅう』という単語に興味を持った周子が問いかける。
 
薫「なあに?」
 
周子「ちょっと、変身してみせてよ」
 
薫「あ、えっと……せんせぇから、変身しちゃダメだーって言われてるの……」
 
周子「先生って、薫ちゃんを連れてきたおじさんのこと?」
 
薫「うん、せんせぇはね、すっごく優しいんだよ! だけど、怒ると怖いの」
 
薫「それに、『こーそくぐ』を使って、かおるが変身できないようにしてあるんだって」
 
周子「拘束具……?」
 
薫「この髪留めがそうなんだって、これを外さないと変身できないようにしてあるってせんせぇが言ってた」
 
周子「なるほどねえ……」
 
 
周子「ねえ、あたしがそれ外してあげるからさ、ちょっとだけ変身してみない?」
 
薫「え……? でもこれ、全然外れないよ? かおるもすこーしだけ、ためしたことあるんだ」
 
周子「大丈夫大丈夫! あたしこう見えても力持ちだから!」
 
周子「(それに、魔力的な物で封印されてたとしても、簡単に破れるだろうし)」
 
薫「うーん……少しだけなら、大丈夫かなあ……怒られないかな」
 
周子「もし怒られそうになったら、あたしも一緒に謝るからさ!」
 
美玲「ウチは知らないぞー……」
 
 
薫「じゃあ……はい、おねがいします」
 
そう言うと薫は周子に頭を差し出す。
周子は恐る恐る薫の髪留めに手をかける。
 
周子「ん……外れたよ?」
 
薫「ほんとだ! じゃあ、いくよー?」
 
薫は気合いを入れると、全身を力ませる。
本能的に、竜の力の呼び出し方を知っているようだ。
 
薫「んんんんんんん! えいっ!!」カッ!
 
 
 
  どんがらがっしゃーん!!
 
 
 
周子「」
 
美玲「」
 
 
竜の姿に戻った薫は、部屋に入りきらないほどに大きく、予想以上の出来事に周子と美玲の2人は呆然とする他無かった。
 
薫(竜)「どう? かおる、変身した?」
 
周子「」
 
美玲「」
 
薫(竜)「あれ? おねえちゃんたち、どうしたの?」
 
 
周子「ふっ、あは、あはははは」
 
周子「こりゃー驚いた! 長年生きてきたけど、あなたみたいな妖怪見たことないわ!」ケラケラ
 
美玲「」ガクガクブルブル
 
薫(竜)「かおるはようかいじゃないよ? りゅうだって!」
 
周子「あたしの想像してた龍は、もっとこう細っこくてにょろにょろしてるヤツだったんだけど」アハハ
 
周子は今まで見たことの無い存在を前に、知らず大笑いをしていた。
美玲はというと、突然目の前に巨大な生き物が現れ、本能的に恐怖してるらしい。
 
 
博士「か、薫!! なんで竜の姿に戻っているんだ!!」
 
薫たちの居る部屋に血相を変えて博士と他二名が飛び込んできた。
 
薫(竜)「あ……せんせぇ……」
 
博士「その姿にはなっちゃいかんと、あれほど言って聞かせただろうに!」
 
薫(竜)「うぅ……ごめんなさい」シュン
 
博士に叱られている薫を庇うように周子が口を開く。
 
周子「あー、すみません、博士……あたしが焚き付けたんです」
 
社長「やっぱり周子くんの仕業かね! 勘弁しておくれよ君ィ……」
 
ピィ「(これは……修繕費が……ちひろさん爆発するぞ……)」
 
博士「あぁ、二人とも申し訳ない……弁償はさせてもらう」
 
ピィ「いえいえそんな! 周子に働いて返して貰うので結構ですよ!」
 
周子「oh.......」
 
 
博士「ところで薫、その姿からどうやって戻るつもりだ?」
 
薫(竜)「あ……」サーッ
 
ピィ社長周子「えっ?」
 
博士の発言を聞いて他の人間も思わず耳を疑う。
 
博士「お前にかかっていた変身魔法は、イヴさんに手伝ってもらったということを忘れたわけではあるまい」
 
薫(竜)「(やっちゃった……)」
 
ピィ「えっと……薫ちゃんて、もしかして」
 
社長「自分で自由に姿を変えられるわけじゃない……?」
 
博士「恥ずかしながら……」
 
ピィ社長「(マジかよ……)」
 
博士「仕方ない……薫は部屋に嵌って動けないし、彼女の方に来てもらうしかあるまいな」ポパピプペー
 
 
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───
 
 
──薫は無事に人型に戻れました──
 
博士「いやはや、二人とも申し訳なかった……」
 
ピィ「過ぎたことです、薫ちゃんも元に戻れましたし、万事OKですよ」
 
社長「うむ、その通りだ」
 
社長「しかし、当の本人が寝付いてしまったが……例の話はどうするかね?」
 
薫は竜化で疲弊したのか、ぐっすりと寝息を立てている。
それでなくても今日は色々あったのだ、起こすのは忍びない。
 
博士「そうだな……今日のところは、一旦お暇させて頂こうかね」
 
ピィ「それがいいでしょう、薫ちゃんも、今から話しても急なことで驚いてしまうでしょうし」
 
社長「我々はいつでも歓迎するよ、また来たまえ」
 
博士「うむ、ありがとう……いずれまた頼りに来るよ」
 
 
 
博士「(薫と、魔族とやらの関係も、調べねばならなくなったしな)」
 
博士「(もう少し、薫と共に生活するのも、悪くはないだろう……)」