1スレ目>>436~>>451


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世界が変わってしまった『あの日』以来、地球は多くの悪意ある存在から狙われることとなった。
時を同じくして現れた特殊な能力を持った人間が、その侵略者と戦い撃退することが日常となっていた。
 
既存の人類には、強大な力を持つ侵略者を相手取る事は敵わず、
地球の平和の維持は、侵略者と同等の力を持った善意ある者達に任せるほかなかったのである。
しかし、力を持たない人々もただ手をこまねいているわけではなかった。
 
通称『GDF』
世界規模の厄災に人類が対抗すべく、国家という枠組みを取り払い結成された超越武装組織である。
地球の平和を守るため、今日も彼らに出撃命令が下される……
 
 
 
司令「三人共ご苦労、新たな任務だ」
 
会議室のような部屋で、スーツ姿の男が口を開く。
部屋には男の他に、三人の少女が居た。
 
椿「……」
 
詩織「……」
 
志保「……」
 
 
司令「先日、我々の"友人"から、ある情報が入った」
 
司令「某県の山中にある廃棄された工場跡に賊が潜伏しているらしい」
 
椿「(友人……?)」
 
詩織「(賊……?)」
 
司令「今回の任務は、この連中の確保だ」
 
司令「なるべく生きたまま確保されるのが望ましいが……」
 
司令「もし抵抗があった場合は、武器の使用も許可する」
 
司令「作戦の詳細は追って説明があるだろう」
 
司令「明朝0200時より作戦開始だ……以上、解散!」
 
 
指令官とみられる男はそれだけを一方的に告げると部屋から出ていった。
残された少女達は怪訝そうに顔を見合わせる、今回の任務はやけに事前の情報が少ないのだ。
しかし、任務を放棄するわけにもいかない、少し引っかかる物を感じつつも少女達も部屋を後にするのだった。
 
 
 
とある山中の茂みの中に、二つの人影があった。
一つは双眼鏡を手にし、もう一つは大型のライフルを構えている。
 
椿「距離450、風は……無し」
 
椿「詩織ちゃん、いけますか?」
 
双眼鏡を覗いていた少女、江上椿が尋ねる。
彼女はいわゆる観測手と呼ばれる役割らしい。
 
詩織「問題無いわ……」スゥッ
 
ライフルを構えた方、詩織と呼ばれた少女はそう言うと息を止め、引鉄に指をかける。
 
 
パスッ!
 
 
その凶悪な外見に反し、詩織が構えた得物から放たれた銃声と思しき音は、ひどく気の抜けたものだった。
 
椿「殺傷確認、流石ですね」
 
それでも、彼女らの視線の先──双眼鏡とスコープ越しに見ていた標的は、血飛沫を上げながら崩れ落ちた。
 
 
詩織「これで5匹目……大体、屋外の制圧は済んだかしら」
 
椿「そのようですね、本部に連絡しておきます」
 
詩織「お願い」
 
 
詩織は今撃った獲物について思案していた。
目標の建造物の周辺を警戒するかのようにうろついてた、犬や狼のような生物。
今まで、あのような生き物は見たことが無かった。
あの日から出現するようになった怪異の類だろうか。
 
 
椿「それでは、私は志保ちゃんと合流して、建物内部の制圧に向かいますね」
 
話しかけられ思考を中断する。
今は任務中なのだ、雑念はミスの元になる……気を引き締めなければ。
 
詩織「了解、私はここで引き続き監視を続ける……何かあれば連絡するから」
 
椿「お願いします……それでは、また後ほど」ガサガサ
 
 
 
椿「志保ちゃん、お待たせしました」
 
志保と呼ばれた少女が片手を上げて応える。
 
志保「こっちは特に問題ないですよ、見張りっぽい生き物も全滅したみたいです」
 
椿「詩織ちゃんの狙撃のおかげですね」
 
志保「まったく、味方ながら恐ろしい限りです」
 
詩織『志保さん、聞こえてるわよ……』
 
志保「あ、あはは……冗談ですよぉ!」
 
 
建物に近づく間、手持無沙汰なのか志保が口を開いた。
 
志保「……今回の目標、コールサイン『ラビットイヤー』でしたっけ」
 
志保「噂では……異星人らしいですよ」
 
椿「異星人!?」
 
志保「はい、出撃前にいろいろ聞いて回ってみたんです」
 
志保「あくまで噂の範疇を出ない話ばかりでしたけど……」
 
椿「……」
 
 
あの日以来……いや、もっと以前から、人類は異星人の存在を認知していた。
しかし、実際に地球上に降りてきていて、活動しているなどという話は聞いたことが無かった。
 
志保「さっきの犬みたいな妙な生き物だって、地球上では見たことありませんからね」
 
志保「もしかしたら、そういうことなのかもしれませんね」
 
相手が異星人ともなれば、先の司令の妙な態度にも納得がいく。
かつて相対したことのない標的を前に、二人に緊張が走る。
 
 
志保「まあ、何が相手であろうと、GDFは敵に後ろを見せませんからっ!」
 
椿「そうですね……それに、目標の正体がなんであるのか、実際に見て見ないことには何とも」
 
 
話している間に、建物は目と鼻の先まで近づいていた。
周囲を警戒してみるが、特に敵性存在の反応は見られない。
 
椿「それでは、行きましょうか」
 
志保「椿ちゃん、ちょーっと待った!」グイッ
 
椿「ぐえっ! な、何するんですか!」ゲホゲホ
 
志保「バカ正直に扉から入るなんて、罠に掛かりに行くようなものです!」
 
椿「でも……他に入口なんて……」
 
志保「入口が無いのなら、作ればいいじゃないっ!」
 
そう言うと志保は、背中に担いでいたロケットランチャーを構えた。
 
椿「ちょっとちょっと! 何する気ですか!」
 
志保「ですから入口を……あ、後ろ立たないで下さいね、ヤケドしますよ!」
 
 
椿「(そうでした、志保ちゃんてばパッションチームなんでした!)」
 
椿「(今まで隠密行動でやってきたんだけどなぁ……まあ、しょうがないですね)」
 
諦めの境地から取り留めもない思考に耽っていると、大きな爆発音が聞こえてきた。
建物の外壁には先ほどまでは無かった大きな穴が開いていた。
 
志保「ね? 簡単でしょ!」ドヤァ
 
椿「……」
 
 
志保の空けた穴から建物内に侵入したものの、予想された抵抗は一切なく、敷地内の捜索を終えてしまった。
 
志保「どういう事ですかね……賊の形跡といったら、外に居たワンコくらいですけど」
 
椿「うーん……私達が来るのを察知して、既に逃げてしまったとか……」
 
考えあぐねていると、詩織から通信が入った。
 
詩織『地上部分に目当ての物が見つからない時は、地下を探すのがセオリーよ……』
 
志保「……地下施設ね、なるほど」
 
椿「(こういう時の詩織ちゃんはアテになるんですよね、さすがクールチーム)
 
志保「あ! こっちに落とし戸がありましたよ!」
 
椿「これが異星人の仕業だとすると、随分アナログですね……」
 
志保「とりあえず、降りていくしかないか……」
 
 
地下に降りた二人の前に、目を疑うような光景が飛び込んできた。
地上部分とは明らかに異なる構造物が広がっているのだ。
床や壁面、天井部が、暗い色の金属のような物質で出来ている。
 
椿「ここは……?」
 
志保「これ、あれですよ……昔見た、SF映画の宇宙船の中とかそういう感じです」
 
椿「……」
 
似たような光景の場所であれば、地球上を探せば他にもあるだろう。しかし場所が場所である。
人の立ち寄らない山奥の廃墟の地下に、このような施設が広がっているのだ。
誰の目から見ても明らかに怪しい。
 
 
椿「これ……上に居た動物ですよね……?」
 
志保「うわ……なにこれ……」
 
辺りを見回すと、部屋の中には巨大な水槽のような容器が多く置かれていた。
中には地上で見かけた犬のような生物が浮いている。
地上で見たものとの相違は、足が6本だったり、頭が3つあったり、体の一部が金属で覆われている個体が見られたことだ。
 
志保「ここは、異星人の研究施設……なんですかね」
 
椿「ここまで来ると、もう異星人の存在を信じるしか無さそうです」
 
 
志保「うっ……これって……ひょっとして」
 
志保の視線の先の容器には、ヒトの形をした物体と、歪な球状の物体が一緒に収められていた。
 
椿「……」
 
志保「さっき聞いた噂の中には、人類に敵対的な宇宙人の中には、人を攫っていくようなヤツもいるって話もあったんです」
 
椿「人を攫って、生体実験をしているとでも……?」
 
志保「これは、その証拠じゃないですか?」
 
椿「……」
 
二人は事の大きさに衝撃を受けた。
異星人が地球を狙っているなどという話は、今までは眉唾物だと笑い捨てていたが、
それらの悪意ある異星人は実際に身近に存在していて、人類に害を及ぼしていたというのだ。
 
椿「宇宙人だろうと何だろうと、地球に仇なす存在は対処しないといけませんね」
 
地球の平和を守るという使命を負っている彼女達が、このような蛮行を許しておけるはずがなかった。
この施設に隠れているであろう異星人共を、なんとしても捕らえねばと決意を固める。
 
 
────────────────────────────────────
 
その頃、同施設内のある部屋で、件の異星人達が檄を飛ばし合っていた。
 
 
うさ耳A「どうだ?B、他の支部との連絡はついたのか?」
 
うさ耳B「まったく音沙汰なしだ……」
 
うさ耳C「連絡途絶からもう(彼らの時間で)三日だぞ!? 明らかに異常が起きている!」
 
うさ耳B「マザーシップに応援を要請をしよう! このままじゃ孤立するだけだ!」
 
うさ耳A「ダメだ、マザーシップへの相互通信は控えろと厳命されている」
 
うさ耳A「当局の連中が嗅ぎ回っているからな、奴らに目を付けられたらそれこそおしまいだ」
 
うさ耳C「じゃあどうするっていうんだ! ここに長居をすれば、原住民どもに見つかる可能性も高まるんだぞ!」
 
うさ耳A「事態が好転するのをただひたすら待つしかあるまい、下手を打つわけにはいかん」
 
うさ耳C「クソッ! どうしようもないのかよ!」
 
うさ耳A「落ち着け! 取り乱すんじゃない」
 
うさ耳B「……俺達このまま、ここで一生取り残されたままになるんだ……」
 
うさ耳B「思えば最初から貧乏くじ引いてばかりだった……こんな未開惑星に送られるなんて、左遷同然じゃないか」
 
うさ耳A「B! バカな事を言うのはよせ! 希望を捨てるんじゃない!」
 
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施設内の全てを捜索し終え、椿達は異星人が居る部屋の前まで来ていた。
 
志保「ここが最後の部屋になるけど……」
 
 
「────!! ───!」
 
「───!!」
 
 
椿「室内から怒声が聞こえてきますね、目標はこの中なんでしょうか」
 
志保「これ何語? やっぱり宇宙人の言語なのかな?」
 
椿「詩織ちゃんはわかりますか?」
 
詩織『私も聞いたことが無いわ……地球の主要な言語のいずれも該当しない』
 
椿「ということは、やっぱり地球外の言語ですか……」
 
志保「それはそれとして、奴さん……なんだか焦っているみたいですね」
 
椿「おかげで、私達の侵入にも気づかないままなんでしょう、好都合です」
 
志保「……それじゃ、突入準備しますよ」
 
戦闘に備え、今一度火器や装備品の点検をする。
 
椿「今までの施設の設備から推測すると、この扉も恐らく自動ドアでしょう」
 
志保「近寄って、扉が開いたら中にフラッシュバンを投げ込んで下がる……と」
 
椿「ええ、それでいきましょう」
 
志保「……よし、行きます!」
 
 
打ち合わせを終え、いよいよ室内に突入する。
想定通り、扉は自動で開いた。
 
うさ耳ABC「!!?」
 
自分らの進退について熱くなっていた異星人達は、闖入者の出現に思考が追い付いていない様子だった。
 
志保「地球へようこそ! これ、つまらないものですが!」ポイッ
 
その隙を見逃さず、志保が閃光手榴弾を室内に投げ込む。
直後、部屋の外にいる二人ですら耳を覆いたくなる程の炸裂音が連続して響いた。
音が止むと同時に、二人は部屋に再突入を果たす。
 
椿「クリア!」
 
志保「こちらも……クリア!」
 
二人は室内の制圧に成功した。
不意を衝けたのが大きかったのだろう、戦闘になることもなく、目標も無傷で捕らえることができた。
 
椿「なるほど……これがラビットイヤーですか」
 
志保「確かに、これはウサギ耳ですね……」
 
三体の異星人は、先の閃光と爆音で気を失ってしまったらしい。
目を覚まさないうちに手錠と目隠しをし、猿ぐつわを噛ませる。
 
 
 
椿「本部、応答願います、こちらキュート2-8」
 
椿「目標の確保に成功しました」
 
本部『了解、迎えを寄こす、その場で待機されたし』
 
 
椿「ふぅ……とりあえず、何事もなく済んでよかったですね」
 
志保「しっかし、こうして改めて見ると、本当に宇宙人ていたんだなあって」
 
志保「感慨深いというか、なんだか空恐ろしいというか……」
 
椿「どうです? 記念写真でも撮りましょうか」
 
志保「あはは……じゃあ、後で一枚お願いします」
 
詩織『(私も見てみたいわ……ウサギ耳)』
 
 
椿「しかし気になるのは、上層部の考えですね」
 
椿「今回の任務で、私達のような末端にまで異星人の存在が知れ渡ったわけですけど」
 
詩織『確かに、上は今まで存在を知っていながら、ひた隠しにしてきたのよね……』
 
詩織『それが、今更こんな任務をあてがってくるのは、どういうことかしら……』
 
椿「私達の知らないところで、事が大きく動いているような気がして……」
 
椿「なんだか不気味です……」
 
そう言うと、三人は黙り込んでしまった。
 
GDFの活動は、地球に対して害をなす全ての存在に対処することである。
その対象にはもちろん、地球外生命体も含まれているわけだが、
こうして実際に相対してみて、自らの使命の重大さに不安を抱いてしまう。
恐らく今後は、今回のように異星人も相手にしなければならなくなるのだろう。
 
 
志保「ま、まあ、深く考えたところで、私達は任務に従うしかないわけですから!」
 
志保「相手が何であろうと、地球の平和を守るために戦うのみですよっ!」
 
椿「……確かに、そうですね」
 
志保「それに、このウサギ耳なんかより、カースの相手をする方がよっぽど大変ですから」
 
志保「異星人がなんぼのもんじゃいってことです!」
 
こういう時、志保のパッションぶりには助けられる。
本人も決して思慮が浅いわけではないが、小難しく考えることを好まないのだ。
 
 
志保「とにかく! 今回与えられた任務は完遂したわけですから」
 
志保「帰ったら、甘ーいパフェでも食べて、ゆっくり休みましょう!」
 
椿「ふふっ……そうですね! 私も、お餅をつつきたくなってきました」
 
志保「詩織ちゃんも! 帰ったらお茶しましょうね!」
 
詩織『そうね……楽しみにしておくわ』
 
 
 
 
 
一つの任務を終えれば、またすぐに次の指令が下るだろう。
彼女達に真の休息が訪れるのは、まだまだ先の話になりそうだ。
明日の地球の平和を守るために、頑張れGDF!