1スレ目>>129~>>140


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ピィ(俺の名前はピィ)
 
ピィ(ピィだ)
 
ピィ(そう名乗れと言われているので、こう名乗るしか無い)
 
ピィ(一応本名を聞かれても答えられない、ということになっている)
 
ピィ(現在所属している組織『プロダクション』での決まりなのだそうだ)
 
ピィ(組織のリーダーである社長がそう言うのだからそうなのだろう)
 
ピィ(しかし同期の千川ちひろさんは本名を名乗っている)
 
ピィ(社長に聞くと『そりゃあ君、役職の違いだよ』らしい)
 
ピィ(この辺、なんだかいい加減だ)
 
ピィ(俺が『プロダクション』に所属したのは、ほんの1週間ほど前だ)
 
ピィ(前の職を失った俺が就職活動をしていたところを社長直々にスカウトされた)
 
ピィ(曰く『ティンときた』らしい)
 
ピィ(というか、そもそもこの『プロダクション』が設立されたのも1週間前で)
 
ピィ(ここには現在俺とちひろさんと社長の3人しかいない)
 
ピィ(そんな『プロダクション』で、俺がどんな仕事をするのかというと―――)
 
 
ピィ「ふぅ~……っ、やっと終わったぁ……」
 
ピィ「くっそぉ……、なんだよこのリストの量は」
 
ピィ(ピィCに、山のようなリストの内容を打ち込む作業)
 
ピィ(まさに苦行だった……)
 
ピィ(だが俺の仕事はまだ始まってすらいない)
 
―――ある日、世界は変わった。それも劇的に。
 
―――この世には不思議な事というのがあったのだ。
 
―――偶然なのか、必然なのか、誰も知らない。
 
―――ただ、その日
 
―――世界中で、一斉に、その不思議な事が起こった。
 
―――日常は非日常に変わった。
 
―――謎の生物が跋扈するようになった。
 
―――摩訶不思議な現象が発生するようになった。
 
―――とりたてて
 
―――能力者。
 
―――彼らの誕生は、大きく世界を動かした。
 
―――千差万別、多種多様。
 
―――年端もいかぬ子供が、明日をも知れぬ老人が
 
―――宗教の敬虔な信徒が、邪悪な野望を抱くテロリストが
 
―――人を幸せにする能力に、人に害を成す能力に
 
―――どこか遠い所で、自分のすぐ隣で。
 
―――突然目覚めた。
 
―――更に混乱を招いたのが、それに乗じた存在。
 
―――『その日』より以前、はるか昔から代々特別な力を持っていた者。
 
―――そもそも、人ならざる者。
 
―――今までずっと隠れ住んでいた者。
 
―――彼らが一斉に正体を現したことで、事態は更にややこしくなった。
 
―――もう、世界はてんやわんやだった。
 
 
社長『君にはプロデューサーをやってもらいたい』
 
ピィ『プロデューサー……?』
 
社長『世の中には今、能力者と呼ばれている子たちがいるね』
 
ピィ『はい』
 
社長『色んな能力がある』
 
ピィ『空を飛んでいる人とか、もう珍しく無いですよね』
 
社長『その能力者たちの中には、上手く能力を扱いきれていない者もいるかもしれない』
 
ピィ『……』
 
社長『使い方を間違っている者もいるかもしれないし、使い方がわからない者もいるかもしれない』
 
社長『能力があるが故に疎まれているかもしれない、不便を被っているかもしれない』
 
社長『私はね、そんな子たちに手を差し伸べられるような、そんな組織を立ち上げたつもりだ』
 
社長『そして、君には彼らのプロデュースをしてもらいたいんだ』
 
ピィ『そんな大役……』
 
社長『なぁに、気負わなくたっていいさ。私だって何度も転んでは立ち上がってきたんだ』
 
社長『この組織も姿を変え、形を変え、倒産と設立を繰り返してきたものだ』
 
ピィ『社長……』
 
社長『さしあたって、1週間以内に能力者をスカウトできないと倒産する』
 
ピィ『早っ!! ヘタすると1周間でまた無職じゃないですか!!』
 
社長『そこは君ィ、頑張ってくれたまえよ』
 
ピィ『わ、わかりました……』
 
 
ピィ「……で、これがこの辺で確認されている能力者たち、か」
 
―――たった今、ピィCに打ち込み終えたリストを無造作に手に取る。
 
―――ただの目撃情報だけではなく、割りと仔細なデータがそこには載っていた。
 
ピィ(こんなもん、どうやって調べたんだ……)
 
―――気になったので以前社長に尋ねたことがあるが。
 
社長『そりゃまあ、私は顔が広いからね。『お友達』もたくさんいるのさ』
 
―――と、意味深なことを言ってはぐらかされてしまった。
 
ピィ「えーっと、とりあえず……」
 
ピィ「ブライトヒカル、ミッシェルフ・レイナサマ……」
 
ピィ「……基本こういうのって自称だよな」
 
―――この二人はどうやらお互いを意識しあっている能力者らしい。
 
―――ミッシェルフ・レイナサマが能力でいたずら……、本人は世界征服だと公称しているらしいが。
 
―――そんないたずらを、ブライトヒカルが止めに入ることが多いそうだ。
 
 
ピィ「なお? このいたずらはあまり悪質なものではなく、洗濯物が黒くなったりする程度……」
 
ピィ「悪質じゃねーか!」
 
ピィ「はぁ……」
 
ピィ「……正体までわかってんのか」
 
―――二人が出現した際に必ず近くにいる少女。
 
―――恐らく高い確率でこの南条光と小関麗奈であろう。
 
ピィ「恐らく、なんて書いてあるけど、名前がまんま入ってるじゃんか……」
 
ピィ「13歳と14歳……」
 
ピィ「……」
 
―――やってることは子供でも、能力は能力だ。
 
―――使い方を謝れば、きっと恐ろしいことになる。
 
―――そしてそれを悪用しようとする者も、世の中にはいるのだろう。
 
   ―――俺のすべき仕事はその逆だ。
 
 
ピィ「えー、次々……」
 
ピィ「イヴ・サンタクロース」
 
ピィ「この子は……、あぁ『元から』か」
 
―――以前から能力を持っていて、それを隠していた者達は、力の使い方を弁えていることが多い。
 
―――だから、そういう人の元には他の能力者が集ってくることもある。
 
ピィ「で、それがこの関裕美か」
 
―――イヴ・サンタクロースが所長を務める『非日常相談事務所』に所属しており
 
―――能力の系統は魔法。
 
ピィ「魔法、ってだけ言われても……、随分ざっくりした分け方だな」
 
ピィ「というかこの二人は既に組織に所属しているんだな」
 
ピィ「……そんな人のことまで調べなくてもいいんじゃないか?」
 
 
ピィ「まぁいいや、次は」
 
ピィ「ニンジャヒーローアヤカゲ……」
 
ピィ「ニンジャヒーローて……」
 
―――『成敗』と書かれた布で顔を隠し、悪事に対処している能力者。
 
―――身体能力が高く、姿を追い切れないため正体は不明だが
 
―――顔の隠し方が甘いので、数人の顔見知りからこの少女なのではないか、と予想されている子はいる。
 
ピィ「それがこの浜口あやめ、ね」
 
ピィ「忍者の末裔? この子も『元から』なのか」
 
ピィ「で、そのアヤカゲと度々対峙しているロボット」
 
ピィ「……の発明者、池袋晶葉」
 
ピィ「能力、ロボット製作」
 
ピィ「のう……、りょく……?」
 
―――能力の定義は曖昧だ。
 
―――別段誰かが決めてるわけじゃない。
 
―――わかってても、このプロフィールにはびっくりした。
 
 
ピィ「あ、でも一人で二足歩行ロボとか作れるんだ、すげぇ……」
 
ピィ「ロボ作れんのかー……」
 
ピィ「……この子欲しいな」
 
ピィ「メモっとこ」
 
―――池袋晶葉。
 
―――ロボットが作れる事以外にも、天才的な頭脳の持ち主であるとも書いてあった。
 
ピィ「いや、ロボットが作れるならそりゃ天才だろう」
 
ピィ「むしろ能力:天才の方がいいんじゃないか?」
 
ピィ「あ、ひょっとしてロボ作る以外のことがてんでダメだったりするのかな」
 
ピィ「……なんか、可愛いなそれ」
 
ピィ「……」
 
―――会ったこともない14歳の少女に勝手な妄想をして、一方的に萌えを抱き始めた。
 
―――俺はもう、ダメかもしれない。
 
 
ピィ「気を取り直して……」
 
ピィ「ラビッツムーン、ナチュラルラヴァース」
 
ピィ「『アイドルヒーロー同盟』に所属している……」
 
ピィ「だから既に組織に所属してるじゃねーか!」
 
ピィ「しかも超大手だし! 引き抜けってか!?」
 
―――『アイドルヒーロー同盟』
 
―――所属する能力者を『アイドルヒーロー』と称し、公式的に悪と戦う事を目的としている。
 
―――専用の携帯端末が全員に配られるなど、体系だった組織で、設備も整っている。
 
―――ようはうちとは大違いの大組織なのだ。
 
ピィ「プロフィールも公式で発表されてること以外書かれてないし……」
 
ピィ「本名は安部菜々、相葉夕美……」
 
ピィ「以上」
 
ピィ「……」
 
ピィ「えっと、この辺じゃない能力者のもあるのか」
 
ピィ「ナチュルマリン、ナチュルスカイ」
 
ピィ「合わせてナチュルスター……」
 
ピィ「これは、二人組なのか」
 
―――本名、森久保乃々、白菊ほたる。
 
―――海を操る能力と、天候を操る能力を持つ。
 
―――その他癒しの能力などもある。
 
―――特筆すべきは、その攻撃方法にあり。敵の規模に関わらず……。
 
ピィ「津波を起こしたり、嵐を起こしたりする為、彼女らが戦うと建物などに被害が出る……」
 
ピィ「これは……、何というか……」
 
ピィ「恐ろしいな……」
 
ピィ「規模がでかいのが恐ろしいな……」
 
 
ピィ「はぁ、さて、と……」
 
ピィ「とりあえず大体見終わったし、スカウトに行くか」
 
ピィ「とりあえず池袋晶葉とー……」
 
ピィ「……」
 
ピィ「後はノープラン」
 
ピィ「どうしたものかなー」
 
ピィ「うーん……」
 
―――俺が一人でうんうん唸っていると、女性から声をかけられた
 
ちひろ「ピィさんが見つけちゃえばいいんですよ」
 
ピィ「居たんですか」
 
ちひろ「ずっと」
 
―――彼女は千川ちひろ
 
―――俺と同期でこの『プロダクション』に入った事務員である。
 
―――彼女も能力者の一人であり、その能力は元気の出る謎ドリンクを生成すること。
 
―――ちひろさんの作るドリンクは、びっくりするほど疲れが取れるのでありがたいのだが
 
―――ちゃっかりお金を取られるので、飲み過ぎには注意しなければならない。
 
 
ピィ「見つけるって、何をですか?」
 
ちひろ「もちろんっ、能力者ですよ」
 
ピィ「まさか、まだ見つかってない能力者を……?」
 
ちひろ「はいっ! きっとピィさんならできます!」
 
ピィ「いやいや、買いかぶりすぎですよ」
 
ちひろ「わたし、ピィさんには、そういうことができる才能があると思います」
 
ピィ「俺は能力者じゃ無いですよ?」
 
ちひろ「知ってます。能力じゃなくて才能です!」
 
ちひろ「巷じゃ能力能力言ってますけど、その人が元々持っている才能というものが最近蔑ろにされてる気がします」
 
ピィ「才能ありきの能力とかもあるけど……」
 
ちひろ「それは一旦置いといて」
 
ピィ「まぁ、わかりましたよ。俺にはまだ見つかってない能力者を見つけられる才能があるってことですね?」
 
ちひろ「はいっ!」
 
ピィ「あー、もー……、しょうがない! じゃあ見つけて来ますよ!」
 
ちひろ「今日中に見つけられなかったら倒産ですからね!」
 
ピィ「そうだった……」
 
ちひろ「いってらっしゃーい!」
 
ピィ「行ってきます」
 
 
ピィ(と、言ったはいいものの)
 
ピィ(そんな才能なんてものが俺に備わっているとは思えないんだけどなぁ……)
 
ピィ(地道にやるしかないか……、ん?)
 
??「♪~」
 
―――半ば投げやりになりながら、道を歩いていると、一人の少女を見つけた。
 
―――可愛い。
 
―――俺の中の才能があの子はきっと能力者だと囁いている。
 
―――ような気がするので、ちょっとお茶にでも誘ってみよう。
 
―――これはナンパでは無い、スカウトだ。
 
ピィ「君! ちょっといいかな?」
 
??「はい?」
 
ピィ「僕はこういうものなんだけど……、あれ、名刺……」
 
??「えっと……」
 
ピィ「あったあった、はい!」
 
??「『プロダクション』のピィさん……?」
 
ピィ「ちょっと話だけでも聞いてくれないかな? ちょうどそこに喫茶店もあるし」
 
??「とりあえず、話だけなら……」
 
ピィ「ありがとう! そういえばまだ名前を聞いてなかったね?」
 
??「あっ、私……」
 
藍子「高森藍子といいます」