565 名前: ◆UCaKi7reYU[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 07:56:36.12 ID:fXIhX00R0 [2/7]
「ここもはずれですかぁ…」
暗い地下、そこをさまよい続けていた日菜子は若干辟易としていた。
嫉妬の蛇龍、その本体を求めて地下に再び潜ったのはいいがなかなかその姿を捉えられないのである。
そのうえ、先ほどから大きな気配がある場所に限って大量のカースに埋め尽くされており明らかに罠が仕掛けられていた。
―――すでに三箇所、いわばモンスターハウスとも言うべき地点を日菜子は突破していた。
「うーん……だんだんとモンスターハウスに当たる間隔が短くなってますし、そんなに離れてはないと思うんですけどねぇ、王子様」
目の前には通常のカースの他に複数の獣型カース、そして二体の蛇龍。
幸い、まだ気づかれていないからかカース達の動きは緩慢である。
そして、その奥には先へと続く道が見えていた。
「……むふふ、ここは突破しましょうかぁ♪」
スッと、一本の紅い剣を作り出す。
「あまりこういうことは好きじゃないんですけど、流石に飽きてきますからねぇ…」
それを手に持ち、綺麗な動きで振り上げ、振り下ろす。
566 名前: ◆UCaKi7reYU[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 07:57:48.87 ID:fXIhX00R0
[3/7]
「グギャアアアアア!!?」
「アチイヨオオオオ!?」
「モットアツクナレヨオオ!??」
直後、爆炎と共にカース達の断末魔が響く。
―――生まれた結果は、蛇龍一体と通路を埋め尽くしていたカースの大半を一瞬で灰にするほどであった。
「まだまだいきますよぉ……むふ♪」
紅い剣を消し、今度は赤青黄緑の四色を作り出していきなりの攻撃に混乱するカースの中に入り込む。
「ンダテメ……グギャッ」
「ガキガキテンジャ……ギアア!?」
手近に居たカースを二体、青の剣で凍らせて砕く。
さらに黄の剣に持ち替えて一閃、眩い閃光と共に雷撃が複数のカースを貫いた。
「むふふ……見えてますよ?」
片手で赤の剣を持ち、地面に突き刺して炎の壁を生み出す。
567 名前: ◆UCaKi7reYU[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 07:58:28.90 ID:fXIhX00R0
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その直後に、生き残ったもう一体の蛇龍が地面から飛び出てくるが炎に飛び込む形となりその身を焼き焦がした。
続けて緑の剣に持ち替えてなぎ払い、押し寄せようとしたカース達を風で押し返す。
だが、ここで強引に炎の壁を抜けてきた蛇龍が食らいつこうと迫るが紙一重で回避し、浮かんでいた黄の剣を突き刺して柄を握る。
「チェックメイト♪」
バチバチと、強烈な電流が蛇龍を焦がす。
身を振るい、暴れようとするも今度は青の剣が突き刺さり、分裂する暇もなく凍りつく。
そうして、完全に封殺された蛇龍は繭まで焼き切られ崩れ落ちたのだった。
「ジョ、ジョウダンジャ…!」
残りのカース達が態勢を立て直し、包囲しようとしているがそれよりも早く属性剣を消して大量の剣を召喚、次々と切り裂いては核を砕く。
―――カース達が全滅するまで、ものの十分もかからなかった。
568 名前: ◆UCaKi7reYU[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 08:00:13.93 ID:fXIhX00R0 [5/7]
「……ちょっとお腹がすきましたねぇ、王子様」
唐突に、なんの脈絡もなく日菜子が呟く。
「……むふふ、これが終わったら、皆さんでなにか食べに行きましょうかぁ」
まるで何もなかったかのように、そんな軽い調子で日菜子は先へ進む。
すでにかなりの数のカースを倒しているはずなのに、その姿はいつもと変わらない。
―――ォォォォォォォォン……
その時、地下道に低い、まるで何かが崩壊したような音が響く。
「…どうやら、他にも誰か来ているみたいですねぇ、王子様」
それもかなりの力を持つ存在だと、一瞬感じた力の気配から推測する。
「むふ……むふふ♪…日菜子達も負けてられませんねぇ」
地上では切迫した状況が続き、地下には濃密な呪いが蔓延しているにも関わらず日菜子は普段と同じように笑っていた。
569 名前: ◆UCaKi7reYU[saga] 投稿日:2013/08/08(木) 08:01:04.80 ID:fXIhX00R0
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「………それにしても、ちょっと変ですねぇ…最初の頃はかなりの数が居たのに、今はそれほど居ませんし…」
先へ進みながら、日菜子はふとした疑問を口に出す。
それは、日菜子が地下道に入り始めた最初の頃。
これでもかというくらいに蛇龍に遭遇することが多く、時には二体、三体同時に通路を動き回っているときもあった。
それなのに、今は待ち構えている固体を除けばほとんど遭遇しない。
「単純に倒しきっていると考えればそれだけなんですけどねぇ…」
それ以外の可能性―――例えば、疲弊しているであろうヒーロー達を襲いに行ったりしている可能性も否めない。
「……むふふ、そうですねぇ、とにかく今は親を探しましょうかぁ♪」
しかし、それは考えても仕方ないこと。
それにこの街で生き残れるヒーロー達ならば、そうそう簡単にはやられないだろう。
そう結論付け、未だ尻尾を見せない蛇を求めて日菜子とその王子様は更なる暗闇へと歩を進めるのだった。
続く?
570 名前:@設定 ◆UCaKi7reYU[sage] 投稿日:2013/08/08(木) 08:02:47.72 ID:fXIhX00R0
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イベント情報
1.地下に多数のモンスターハウスが確認されました。
2.日菜子はモンスターハウスを潰しつつも蛇龍の本体を探しています。
3.地下の蛇龍が不自然に減少しているようです、もう一波乱ある可能性が…?
投下終了、ここに来て色々と筆が進む進む(白目)
せっかく出てきてるのに影が薄くなっている蛇龍さんをもっと出そうとしたらこうなった…
それではお目汚し失礼しました。