4スレ目>>920~>>933


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名前: ◆lhyaSqoHV6[saga] 投稿日:2013/07/26(金) 01:48:56.25 ID:Okz3d9Pqo [2/16]

──どこかの街中──

美優、レナ、店長の三人は、かつて共に戦った魔法少女の一人と会うために都市部へと出てきていた。

レナ「それにしても、よく見つけられたわね……全く足取りも掴めなかったっていうのに」

美優「彼女の方から連絡があったんです、あの子もお店の事は知っていたはずですから」

店長「どうやら、今はスチュワーデスをやっているらしい……世界中を飛び回っていれば見つからない訳だ」

美優「店長、最近ではスチュワーデスじゃなくて、フライトアテンダントって呼ぶんですよ?」

店長「ん? そうなのか? まあ、呼び方なんてどうだっていいさ」

三人は他愛もない会話を続けながら、昼時のオフィス街を歩いていく。


レナ「それにしても、昼の街っていうのはなんだか忙しないわね」

額に汗を浮かべながら早足で歩き去るビジネスマンを眺めながらレナが呟く。
昨今の世間の不穏な情勢にもめげずに……いや、だからこそか人々は単調とも言える日々の生活を謳歌している。

店長「明日どうなるかも分からないというのに……人間てのは逞しいものだな」

美優「でも、普段通りの生活が送れるというのは、幸せなことだと思います」

レナ「まあ、それはそうよね……私達の力も、使わずに済むならそれが一番良いわ」

そんなことを喋りながら目的地に向かっていると、突然、周囲の人々がその場に倒れ込んだ。

美優「っ!? 大丈夫ですか!?」

美優が慌てて近くの男性に駆け寄り抱き起す、どうやら意識はあるらしい……のだが。

リーマン「うぅ……めんどくせえ……」

美優「!?」

この国のビジネスマンは馬車馬の如く働くことで有名である。
勤務時間中に「面倒臭い」などと言ってへたり込むことなどおよそ考えられない。


店長「あー、もう世界がどうなろうとどうでもいいや……ダルい」

レナ「店長!? どうしたって言うの?」

いつの間にか、店長までが地面に大の字になって空を仰いでいた。
それどころか、ヒーロー(?)あるまじき発言までしている。

レナ「ちょっと! しっかりしてよっ!」バチーン!

店長「へぶっ!」

レナが手に魔力を込めて気付けに店長の横っ面を叩く。

店長「す、すまん……俺は正気に戻った!」

美優「店長まで……一体、何だっていうの……?」

店長「よくわからない……突然無気力感に襲われて……」

店長「……ん!? アイツは!」

「オレハメンドウガキライナンダ……」

周囲を見渡すと、恐らくこの騒動の原因であろう一体のカースが見受けられた。

レナ「あれが元凶ね……私達がなんとかするから、店長はあの子との待ち合わせ場所に急いで!」

店長「わかった、気を付けてな!」

レナ「さて……美優、やるわよ!」

美優「ええ!」


店長が魔法少女仲間との待ち合わせ場所へと駆け出すのを見送ると、二人は戦闘態勢に入る。

白昼に大勢の一般人の前で『魔法少女』に変身するのは気が引けたが、少し前に世間を騒がせたカースの大量発生や『憤怒の街』の件もある。
カースが一体現れただけと言えど、他のヒーローをアテにして放置するわけにもいかない。
それになにより、周囲の人々はこのカースの影響か気力を削がれ、自力で逃げる事もままならないらしい。

つまり、自分達がなんとかするしかないのだ。


美優レナ「ハートアップ! リライザブル!」

美優「魔法少女、エンジェリックカインド! ……きゃはっ☆」

レナ「魔法少女、エンジェリックグレイス! ……うふっ☆」

お決まりのセリフとともに魔法少女へと変身、決めポーズを取り、標的のカースを見据える。

レナ「あんまり目立つのもアレだから、さっさと決めさせてもらうわ!」

グレイスがカースへ向かって駆け出す。
だが、その距離を詰める毎に身体に妙な違和感を感じ始める。

レナ「(何これ……身体が、重い!?)」

レナ「くっ! グレイスフル……ソードッ!」

原因不明の倦怠感に苛まれながらも、何とか手にした剣でカースを斬りつける。
しかし、力が込められないのが原因か、ほとんどダメージを与えられていないらしい。
同様にカインドの放った矢も大した効果を与えることは無かったようだ。

「……マッタク……メンドウナヤツダ」

カースが反撃だと言わんばかりに、グレイス目掛けて腕状の部位を叩きつける。
歩道のタイルが砕け、砂埃が巻き上がる……まともに当たればただでは済まないだろう。

レナ「っ!」

美優「グレイスッ!」

レナ「大丈夫! これくらい避けられるわ」

幸い、敵の動作は一般的なカースに比べて緩慢なため、身体の動きが鈍ってはいるものの攻撃を回避するのは容易だった。

レナ「私がなんとか核を露出させるから、カインドはそこを狙い撃って!」

美優「わかりました!」

そう言うとグレイスは再度カースに斬りかかる。
振り回される腕を掻い潜り、幾度となく斬りつけ、そして遂に──

レナ「見えたわ! 胴体の中心!」

美優「いきますっ! カインディング……アロー!」

カインドの腕から放たれた光の矢は、狙い通りカースの核に突き刺さる……が、しかしその核を砕くことは無かった。

美優「ええっ!?」

刺さった矢はそのまま光と消え、核に僅かなヒビを残しただけだった。
そのヒビも瞬時に埋まり、再び核を泥が覆ってしまう。

レナ「核を直接攻撃しても倒せないなんて……っ!」

想定外の事態に、二人は困惑の声を上げる。
どうやら相手は、周囲の人間の力を弱める能力を持ち、その上本体の耐久力・再生力も並のカース以上にあるらしい。
倒すには、全力を出せない状況において相手の再生力を上回る一撃を与える必要があるのだ。


レナ「中々に厄介ね」

美優「どうしましょう……」

レナ「仕方ないわ、『アレ』やりましょう」

美優「それしかないですね」

二人は合流すると、必殺の技を繰り出すべく構えを取る。

美優「聖なる絆よ!」

レナ「悪を清める力と────っ!」

危険な気配を察知したカースが、触手を伸ばして攻撃してきたため、二人は飛びのいてかわす。
当たりはしないが、必殺技の発動を邪魔をするには十分だった。

美優「これじゃ力を練っている暇が……」

レナ「何か他に手は無いの!?」

「ハートアップ! リライザブル!」

二人が攻めあぐねていると、背後から馴染み深い掛け声が聞こえてきた。

美優「っ!? この声は!」

レナ「もしかして!?」

振り返るとそこには、かつて共に戦った仲間の一人である魔法少女──相馬夏美の姿があった。

 


夏美「魔法少女、エンジェリックオネスト!」ペカーッ

 


美優「あなたは!」

レナ「オネスト!」

夏美「……てへっ☆」

頬に人差し指をやり、首を傾けながらのウィンク──決めポーズもバッチリである。
姿は大人になって大分変わってしまったが、かつての仲間に間違いない。


レナ「(うわぁ……夏美も当時は小学生だったから許されてたけど、今見るとキツイわね……)」

美優「(私も傍から見たらあんな感じなのかしら……やだ……)」

「イツマデメンドウヲカケルキダ……」

夏美「(え……せっかくの登場なのになんなのこの空気……)」

店長「すまない二人とも、待たせたな!」

いつの間にやら戻ってきており、シビルマスクへと着替え……もとい変身していた店長の声で、カースと戦っていた二人は気を取り直す。

美優「オネスト! 来てくれたのね!」

レナ「久しぶりじゃないの!」

夏美「再会を喜ぶのは後! 今はコイツをなんとかしないとね!」

レナ「気を付けて、私達の攻撃は効かなかったわ」

グレイスは、カースと対峙するオネストに助言する。
それを受けたオネストは、むしろ楽しそうに応えた。

夏美「二人の攻撃が効かなかったっていうなら、尚更私の出番よね!」

夏美「一撃で決めるわ……二人は足止めをお願い!」

美優「なんとかやってみます」

レナ「久々にあなたの技を見せてもらおうかしらね!」

カインドとグレイスの二人は、カースの気を引くべく駆け出す。

夏美「さて、と……久しぶりだけど、上手く出来るかしらね……」

オネストは右手を天に掲げると、気を高める。
するとその手に、細長い円錐状に光が集まってきた。

夏美「いくわよ!」

光で出来た槍とも言うべきそれを掴むと、オネストはカース目掛けて投げつける。

夏美「オネストリィジャベリン!!」

オネストから放たれた光は、まっすぐにカースに向かって飛んでいく。

「ア……コレ(クラッタラ)アカンヤツヤ」

それを見たカースは慌てて逃げようとするが……

レナ「そうはさせないわよ!」

美優「足止めさせてもらいます!」

近くに居た魔法少女二人に釘づけにされてしまう。
光の槍はカースの核ごと胴体を貫くと、しばらく飛翔した後弾けて消えた。

「オレガ、キエル……? コレハ、メンドウナコトニナッタ……」

胴体に大きな風穴が開いたカースは、そのまま崩れていき塵と消えた。

夏美「二人ともお疲れ様! サポートありがとね」

カースの崩壊を見届け、変身を解いた夏美が二人に駆け寄る。

レナ「相変わらず、とんでもない威力ね」

店長「見事だったな、ブランクがあるとは思えん」

美優「あの……再会できたのは嬉しいんですけど……場所を変えませんか?」

辺りを見渡すと、カースの影響で無気力に囚われていた人々が意識を取り戻し始めていた。
魔法少女の事についてあれこれ突っ込まれるのは(色々な意味で)望ましくない。

夏美「そうね、落ち着ける場所に移動しましょうか」


───────────────

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───


 

──どこかの喫茶店──

人目につくことを嫌った四人は、当初の待ち合わせ場所であった喫茶店に来ていた。

美優「夏美ちゃんも力が消えてなかったんですね」

夏美「消えなかったというか……復活したというか」

夏美「美優姉は魔法少女の力が無くならなかったんだっけ?」

美優「えっと……その辺の事情は私にもよく分からなくて……」

夏美「レナ姉は?」

レナ「私も、この力が戻ったのはつい最近よ」

夏美「そうだったの……」

店長「あの小動物が出てくれば、何かしら判明するんだろうが……そっちもさっぱりだな」

美優「店長……小動物って、酷いですよ?」

店長の発言に、美優が抗議の声を上げる。
店長の言う小動物というのは、彼女らに魔法少女としての力を与えた謎の生き物の事だ。
その小動物ならば何かしら知っているのだろうとは全員が考えていることだが、残念ながら今のところ彼が現れる気配は無かった。

夏美「うーん……結局は、あの子が出てきてくれないとこの力については分からずじまいって事ね」

レナ「夏美はこれからどうするの? 魔法少女の力が戻ったわけだけど」

夏美「それはもちろん、みんなと一緒に戦うわ!」

店長「なっ……お前、仕事はどうする気だ」

店長「今はスチュワー……フライトアテンダントをしているんだろう?」

夏美「今の仕事は辞めるわ」

美優レナ店長「はあっ!?」

夏美「(まあ、当然の反応よね……)」

社会人としての身を顧みない発言に、三人は素っ頓狂な声を上げる。
それを見た夏美は、悪戯っぽく続けた。

夏美「だって、背広マスク様に手を取られて『君が必要なんだ!』なんて」

夏美「熱っぽく語られちゃあね」

美優店長「!?」

夏美「応えない訳にはいかないでしょう?」ニコッ

美優「……店長?」ジトー

店長「あっ、あれは! お前も魔法少女に変身できるってわかったから、美優達の応援に行ってくれという意味でだな!」

夏美「ふふっ、冗談よ」

夏美「安心して? 美優姉の店長さんを取る気なんて無いから♪」

美優「なっ!?」カアアッ

レナ夏美「(真っ赤になった……分かりやすい)」

夏美の発言に慌てていた店長だったが、からかわれている事に気付くと深刻な声色で切り返した。

店長「はぁ……これはレナにも言ったことだけどな」

店長「俺は、お前が真っ当な生活を捨ててまで、戦いに身を投じる必要なんて無いと思っているんだ」

夏美「……」


夏美「どういうことかは自分でもわかってる……私だって、いつまでも子供じゃないわ」

夏美「でもね……今、色々と不穏な話が多くなってきたこの時期に、魔法少女の力が戻ったっていうことは」

夏美「何か、私に与えられた……使命っていうのかしらね? そういうものがあるんじゃないかって」

夏美「そう……考えたのよ」

夏美の真剣な眼差しに、店長も追及する気は起きなくなったらしい。
他の二人も思うところがあるのか、口を挟むことなく夏美の話を聞いている。


夏美「それに、言うでしょ? 『一人はみんなのために』って」

夏美「かつての仲間が誰か一人でも欠けてたら、『魔法少女』として本当に復活したとは言えないわ」

したり顔で言い放つ夏美を見て、レナが店長に耳打ちする。

レナ「ね? 私の言った通りだったでしょう?」

店長「うーむ……しかし、現実的な問題があるだろう……」

夏美「お金の事なら大丈夫よ」

夏美「悲しいかな、独り身の性っていうのかしらね、それなりに蓄えはあるから」

夏美「とにかく! これからは私も一緒だからね!」

どうしても折れない夏美の態度を見て、レナはやれやれといった風に……しかしどこか楽しそうに言う。

レナ「夏美は昔から、思いつめたら一直線だったわね……中身は案外変わってないものね」

夏美「む、なんかバカにされてる?」

美優「でも、夏美ちゃんも一緒に戦ってくれるっていうなら、(色々な意味で)心強いです」

店長「はぁ……こうなったらしょうがないな」

店長「俺も、日常生活面で出来る限りのサポートはするよ……何かあったら言ってくれ」

夏美「ふふっ、ありがとう」

 

夏美「みんな……改めて、これからよろしくねっ!」

 

 

相馬夏美/エンジェリックオネスト(25)

職業:客室乗務員、兼『魔法少女』
属性:魔法少女(25)
能力:魔法少女への変身および魔法の行使

かつて三船美優/エンジェリックカインドと共に戦った魔法少女たちの一人。
レナと同じく一度は力が完全に消えたものの、最近になって何故か復活した。
当時はマスコット的な存在だったため、可愛らしかった変身ポーズ等も今見るとあざとい。
人前に立つ仕事をしていたので、変身時の名乗りも本人は気にしていないが、傍から見ると……
なお、魔法少女としての役目を果たすため、現在の仕事は辞めるつもりらしい。

必殺技は絶大な威力を誇るが、大仰な予備動作と無能力者にも十分視認出来るほどの弾速(それでも十分速いが)のため、
まともに運用したい場合は仲間のフォローが不可欠。
超大きい・超鈍い・「そんな物避けるまでも(ry」みたいな相手には有効。