4スレ目>>525~>>530


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名前: ◆yIMyWm13ls[saga] 投稿日:2013/07/20(土) 13:55:59.37 ID:gCY/ehtJ0 [3/10]
ハンテーンは後悔していた。
ハンテーンはマムにより仮初の命を与えられ、役目を得て地上に降り立った。

ハンテーン「は、はんてん!?」

だというのにこの有様は何だ?

ジグザグに走りながら二人の追手に毛バリを飛ばす。

リン『炎よ!』

虚しくも、自慢の毛バリは突如せり立つように現れた炎に焼かれ役目を果たせず燃え尽きる。

リン「一応このハリって燃えるんだ、モチーフが動物だからかな?」

沙織「あ、あんまり寄り道するとわだすたちウサミンさんに怒られてしまいません?」

ハンテーンの後を追うように二人の少女たちが駆ける。

リン「…沙織、これは他人に迷惑を掛けるロボットを捕まえるボランティアだよ」

…絶対嘘だ。
ハンテーンは確信していた。

思えば単純にこの場所で暴れすぎたのかもしれない。
なにせこの容姿だ。自分で言うのもなんだがらぶりーでぷりちーなカピバラさんだ。
ハンテーン自身が人間に近づいていかなくても向こうから女子供が寄ってくる。
そして撫でようとして手を伸ばしてきたところで少し食い込む程度に毛を逆立ててやればいい。
そうすれば人間は『反転』した。
それでいい、あくまでマムはハンテーンに人を過度に傷つけるように命令されなかった。
ハンテーンは何人もの人間を『反転』させて調子に乗っていた。

沙織「ウサミンさんは放っておぐと変なものしか食べませんがら」

リン「それで食材買いに来たの?」

沙織「わだずあんまり器用でねぇからこういう形でねぇと感謝してるって言えねぇし…」

沙織「ウ、ウサミンさんのこと話せる知り合いってリンさんぐらいしか知らねぇし…」

リン「…沙織は女の子だね」

などと会話に華を咲かせてる少女たちを次のターゲットに絞ろうなどと思ってしまったことも運が悪かった。
しかしまさか近寄った瞬間に少女たちの片割れに『機械油の臭い』などと言う理由で自分の正体がバレるとは思わなかった。
そしてこの辺りでアルパカを撫でた直後に性格が変わるなどという噂が丁度流れ始めてしまったのも悪かった。
やることをやったならさっさとトンズラしておけば良かったのだ。
そして何よりも運が悪かったのは…

リン『これって中身どうなってるんだろうね?』

少女の片割れが人畜無害な羊なんかではなく飢えた狼だったことだ。

リン「出来るだけ傷つけないで捕獲したいんだけどな」

などと言って少女がショルダーバックから何かの砲身のようなものを取り出しこちらに向けてくる。

リン「足の駆動ユニットぐらいなら私でも直せるから…」

砲身から何かが飛び出しハンテーンの足元のアスファルトが砕ける。

ハンテーン『は、ははは、はーん!?』

冗談じゃない、とんだ外れくじだ。

沙織「リ、リンちゃん!?やりすぎでねぇか!?」

リン「大丈夫、当てても峰打ちに……」

四肢が粉砕されるのはこの少女にとっては峰打ちなのだろうか?
どちらにしても捕まってもロクなことにはならないことは分かりきっていた。
慌てて近くでハンテーンと同じく人々の隠し事を暴いているであろうアバクーゾに救難信号を送る。
買い物袋を引っさげた二人の少女に追い込まれているだなんて情けないことは伝えられない。
『ベェ、コイツマジヤベェわ』程度に伝わればいい。

アバクーゾ『あばくぞー!』

おお、我が友よ、来てくれたか。

リン「一体増えた…」

少女は砲身を今度はアバクーゾに向ける。
今度はメキョリとアバクーゾの二本の前足の間のアスファルトが砕ける。

リン「むぅ、当たらない…」

渋顔を浮かべてアバクーゾに再び砲身を向ける。

アバクーゾ『あば、あばくぞー!?』

アバクーゾは慌てて体を揺すり毛を撒き散らす。
アバクーゾの毛には本音を暴かせる『本音薬』が…。
すると少女は何かを懐から取り出してアバクーゾに投げ込みながら叫ぶ。

リン『風よっ!』

突然暴風が吹き荒れて撒き散らした『本音薬』が二体の後方に居た人たちに降り注ぐ。

『ガチャチケでSR引いたとか自慢したけど実はあずささんです』

『あべなな、さんじゅうななさい』<ナ、ナンダコノショクブツ!?

『あべ、ななじゅうななさい』<ハナセー!

『実世ちゃんに優しくメンテされたい』


リン「わざわざ毛を散らしたんだから何かあると思うんだけどなんなんだろうねこれ?」

沙織「わだずに聞かれても…」

沙織「それよりさっきの人二人ほどなんかでっけぇ植物に攫われてったけんど…」

リン「…気のせいじゃない?」

ハンテーンは確信した。
この少女、鬼であると。
どうやったのかは分からないが風を起こしてわざわざ他人に『本音薬』を被らせて実験したのだ。

アバクーゾ『あ、あばくぞー!』

恐らくアバクーゾも『ベェ、コイツマジヤベェわ』の意味を真に理解したのだろう。
アバクーゾも二人の少女に背中を向けて走り出そうとする。

「田舎に行って機械から離れた生活がしたい…」

ポツリと唐突に危ないほうの少女が呟く。

「い、いきなりどした!?リンちゃんそんなキャラじゃねぇんじゃ…」

危ないほうの少女の肩をもう片方の少女が揺する。

「…なんかもう…毎日土弄って過ごしたい」

 

ハンテーン『てーん…!てーん…!!』

その頃ハンテーンは達成感に酔いしれていた。
アバクーゾの毛に紛れさせて飛ばしておいた毛バリが暴風に負けずに無事に当たったようだ。
後は危ない方の少女が正気を取り戻さないうちに逃げるだけだ。

リン「まっくろく○すけが住んでそうな家に引っ越したい…」

リン「あと沙織…これあげる…」

そう言ってショルダーバックから砲身の正体、ブラズマバスターをズルリと取り出す。

沙織「こ、こんなん貰っても持てねって!?」

リン「私はもう…川のせせらぎを聞きながら山の恵みだけで生きて行きたい…」

沙織「リンちゃんが壊れた…」

そんな二人を尻目にハンテーンとアバクーゾは去って行った。