4スレ目>>4~>>10

橘ありすは自身の名前にコンプレックスを持っている。その要因としては同級生にからかわれるという側面もあるだろうが「橘」という名字に対して合わないと言う事が彼女の中で占める大部分だ。

しかしありすはその名前を嫌悪しているわけでもない、なぜならありすという名前が彼女と親を繋ぐ唯一の記憶だからだ。

ありすは物心がつく前からとある田舎町の橘という老夫婦の養子として育ってきた。養父母が言うには「段ボールに『拾ってください、名前はありすです。』と書いてあったから拾ってきた。」というが当時のありすにも(嘘だな)と感じられた。

しかし、ありすという名前を両親が付けたのは本当らしくその名前で呼ばれるたびにありすは両親とのつながりと「なぜ両親は自分を手放したのか」という感情が混ざりあい、苦手意識を持ってしまうのである。

「あの日」後も(彼女自身は)特に変わりもなく暮らしていた。

学校がそれなりの長期休暇に入り寮から橘家に帰省して何日か経ったある日、養父母が結婚記念日なのでありすは「家事は寮生活で大体学びましたので大丈夫です、ごゆっくりどうぞ!」半ば無理やり2人っきりで出かけさせた。

家に一人となったありすは養父母が何時もいる部屋に行き辺りを物色し始めた、両親の情報が少しでも無いか探しているのである。

小1時間ほど経ってありすは押入れの奥に大事そうに保管されているものを見つける。それは今世間で出回っているタブレット…少なくとも外見はそれに近いものであった。

そんな最近のものがこんな田舎に、そして何年も放置されていたかの様に埃をかぶっている事に強烈な違和感を覚えながらもよく確認するため埃を掃おうとディスプレイに手を触れた瞬間それは起動した。

自分には理解できない、否、おそらく地球上のどの地域でもにも使われていない言語が続いた。そしてディスプレイにVorpalと表示され音声が聞こえてきた。

???「おはようございます、マスター」

ありすはその言葉が自分が持っているタブレットから出ていることを認識すると思わず手を放しかけてしまった。もしありすが「あの日」以降こういう事項に多少でも慣れていなければそのまま壁に叩きつけていたかもしれない。

ありす「貴方は…何ですか…?」

???「何?と言われましても…それは貴方がよく知っているはずでは?」

ありす「何が起こってるのかすらわかりません…」

???「橘さんから知らされて無い…?いや、それにしては冷静すぎる…」

ありす「養父さんと養母さんは…えと、貴方の事を知っているんですか!?」

???「!ああ、申し訳ありません。マスターの方が聞きたいことが多いでしょうね」

???「とりあえず私の事はヴォーパルとでも呼んでください、マスター」

さて、そのヴォーパルとやらに貴方は誰?何故こんなとこにいたの?と質問を投げかけるありすだったが「それについては私が話してもいいのか判断できない、橘さん達が帰ってくるのを待ちましょう」の言葉で止められてしまい、
逆にヴォーパルからなぜそこまで冷静なのかと尋ねられ今の世界について教える羽目になってしまった。

やけに今の世界の話に興味深々なヴォーパルに付き合っているうちに養父母が最寄りの駅に帰ってくる時刻となった。

一刻も早く養父母にヴォーパルについて聞きたかったありすは駅まで迎えに行くことにした。

ほぼ同時刻 駅付近の路地裏

???「指定された地点は…ここか」

???「ジェノサイド爆弾やGDFとは全くと言っていいほど関係ないとこだが…あいつらにとっては些細な問題か」

???「道具は宇宙人から横流ししてもらった中古のこいつ1体だけ…能力者も珍しく無い世の中だってのにこれでやれると思ってんのかね?」

???「と言っても仕事だからやるしかないか、辺りの人たちご愁傷さん」

そうぼやきながらその人物は手にある端末を操作する。

???「精々暴れまわって依頼者に胸張って言える成果を残してくれよ?」

 

ありす「あれは、巨大ロボット!?侵略者!?何でこんな時に!!」

ヴォーパル「…いや、違います。あんな型落ちの旧式を、しかも単騎で運用という事は少なくとも侵略目的ではないでしょう。GDFとやらで対処できる代物です」

ありす「そんなことはどうでもいいです!!このままじゃあお養父さんとお養母さんが…!」

ヴォーパル「…マスターは助けたいですか?」

ありす「え?」

ヴォーパル「私、いえマスターにはこの状況を打開するだけの力があります。それを欲しいと、そのためには安くは無い代償を払う事が出来ると、胸を張って私に言えますか?」

ありす「…抽象的すぎます、よく解りません」

ヴォーパル「私から言えるのはこれだけです。私はマスターの、貴方の意思に従います」

ありす「…」

この状況をヴォーパルが作り出したと言われても納得してしまうほどトントン拍子に進んでいた事を考えると、あの時の私は柄にもなく軽率だったと思う。

ありす「私は…私はお養父さんとお養母さん、そして街の皆を守りたいです。」

でも、私は既にヴォーパルに親しみを感じていた。

ありす「だから、協力して!!ヴォーパル!!」

この世界の事を知ろうとして必死に検索し、新しい知識が増えるたびにやけに嬉しそうな声を出す彼の事をもっと知りたいと、願っていた。

ヴォーパル「了解です、『Jabberwock 我が呼び声に応えよ』」

ヴォーパルがそうつぶやいた途端突風を感じありすは思わず手で目を覆う。目を開けるとそこには純白の荒々しい獣の様な雰囲気を持ち、装甲には植物の意匠がくまなく施された巨人らしき物体が鎮座していた。

ありす「ロボット!?これが…力?」

ヴォーパル「そう、ジャバウォックは貴方の為の…ロボット、という解釈でいいでしょう。さあ、こちらへ」

ジャバウォックに乗り込んだありすはある事に気づく、こういうロボットにあるはずの操縦桿が無い、それどころかスイッチなども見当たらないのだ。

ヴォーパル「大丈夫です、私を目の前の穴に押し込んでください。」

言われるがままにヴォーパルを穴の中に差し込むと丁度の大きさで、すっぽりと入っていった。

ヴォーパル「接続完了、Jabberwock 起動せよ!!」

ロボットの中で声が響いたと思ったらジャバウォックが光に包まれる、獣のような外見は見る間に鎧を着た闘士の姿になり、白1色だったボディも様々な色に変化していく。

その光景を例えるなら「理性無きものが理性を得ていく様」を早回しで見せられているようだった。

ヴォーパル「起動完了です、マスター。操縦は基本私がやりますから…マスター?」

ヴォーパルは不機嫌そうなありすを見て疑問形でありすを呼んだ。

ありす「私って本当にここにいる必要があるんですか…?」

ヴォーパル「はい、マスターがいないと起動できませんから」

「それって単なる鍵役じゃないですか!!」そう叫びかけたありすの口は、駅に向かって急発進したジャバウォックのスピートに閉めざるを得なかった。

命令通り破壊活動を実行しようとした旧式はセンサーに反応したある物体に対して一瞬だけ動きを止めた。

「それ」は文字通り突然現れた。旧式とはいえ以前の地球からは考え付かないほどのテクノロジーで生まれたものであり、実用的にする以上既存の兵器、技術に対して反応し、最適な行動(スペック上、取れる行動は限られるが)を取ることをコンセプトに作られていた。

そのセンサーが感知できなかったものが突然現れた。自分の知っている兵器の延長上のものなどではない根本から全く違うもの。

それは旧式に取ってアンノウンと呼称するべきものだった。故に旧式は動きを止めてしまった。

それを見た???が顔をしかめる。

???「おいおいまじかよ、出てきた早々故障とかない…ん?」

???「急接近してくる物体?能力者か?いや、それにしちゃあ…」

???「早すぎるし、速すぎるし、何よりでかすぎる」

そうつぶやくのと旧式に何かが突っ込んで行くのを目視するのはほぼ同時だった。

ジャバウォックの拳が旧式のボディにクリーンヒットし、バランスが崩れる。ジャバウォックはそのまま相手をつかみ、今いる駅付近から山の方に投げ飛ばした。

旧式は備え付けのバーニアを全力で噴射して何とか姿勢を制御しようとする。ジャバウォックはその隙に追い付いて旧式の足をつかみ、山の中腹に引きずり降ろしダウンさせる。

ダウンしたまま動きを止める旧式、近づくジャバウォック、後1歩で拳が届く距離という所で突然旧式の頭部が光を発した。

ヴォーパル「想定内、むしろ予想通りです!!」

そう言いながら不意打ちの頭部レーザーを華麗に回避し、そのまま拳を旧式の頭部に打ち込んだ。

旧式はAIを破壊され、完全に沈黙した。

???「何だよあれ、こっちの情報にはあんなのは…まあいい、それよりも依頼主に報告が先だ。誰であろうと向こう側がぶっ壊したんだ、俺に責任は無い。」


ヴォーパル「戦闘終了。マスター、いい指示でした。」

ありす「全部貴方が勝手に動かしてたんじゃないですか…そもそも戦い始めてから何も言ってないです。」

少々すねた風に口を開くありす。

ヴォーパル「何言ってるんです?さっき言ったじゃないですか。『私は…私はお養父さんとお養母さん、そして街の皆を守りたいです。』」

ありす「ッ!!!!? な、なな何でそんな音声が残ってるんですか!!!」

ヴォーパル「…? ジャバウォックは私の接続とマスターの乗りたいという意思が無いと起動しませんから、データとして残しとかないといけないんですよ。」

ありす「消して下さい!今ここで!」

ヴォーパル「お断りします、マスターの事をもっと理解したいので。」

ありす「!!…いいです、解りました。じゃあついでにもうひとつ教えてあげます」

ヴォーパル「何ですか?」

ありす「マスターって呼ぶのは…やめてください。変な気分になります。」

ヴォーパル「わかりました。これからはありすと…」

その発言がまたありすの機嫌を損ねることになるとは予想して無かったヴォーパルであった。

第1話 終わり

 

橘 ありす
職業 ○○学校中等部 ←自由に設定化
属性 ロボット所有?者
能力 Vorpalに搭乗が出来る?(本人固有の能力があるかもしれないが現在ありす自身に自覚なし)
詳細説明
田舎の老夫妻橘家の養子、物心付く前から養子となっていたので養子になる前の事はほとんど覚えていない(母のぬくもりとかそんなレベル)
あの日以前も以後もそこまで波乱に富んだ人生は送ってこなかったが、橘家に保管されていたタブレット(みたいなもの)に搭載されているAI「ヴォーパル」とそれに呼び出されたロボット「ジャバウォック」に出会い、彼女の運命は大きく動く…かもしれない。

ヴォーパル
職業 無し
属性 AI(ボイスは♂のつもりで書いた)
能力 通常のタブレットしての機能(ヴォーパル自身で操作できる)、ジャバウォックの呼び出し、操縦等々
詳細説明
ありすが起動したタブレットに搭載されているAI、ありすの事をマスターと呼んでいた。(過去形)
少なくとも今現在の地上で作られたものではないのは確かであり、いろんなとこが欲しがるレベルの代物。
すでに膨大な知識を持っているが人間で言う探究心みたいなものがかなりあり、知らないもの(たとえばあの日以降のもの)に出くわすとテンションが上がっているのが声で丸わかりになる。
Pポジにするつもりがどうしてこうなっゲフンゲフン

ジャバウォック
職業 無し
属性 (設定的には)∀やらエヴァやらから少しずつお借りして出来たロボット的な何か
能力 周囲の魔翌力を吸収してエネルギーにしたりする。
詳細説明
ヴォーパルが呼びだしたロボット、ジャバウォック自体はロボットなのかよく解らないがヴォーパルが接続されることによって装甲が変化し色も変わり、完成された姿となる。
動力源は魔翌力であり、基本は空気中にある魔翌力を吸収して活動するが、当然エネルギーが足りないので武装はほぼ封印され素手で戦う事になる(でも強い)。
武装を使うにはあらかじめ別の場所で魔翌力を溜めておくか、空気中以外からの供給源を確保するか、という風になる。

???(旧式を町にけしかけた人)
不明
「例の爆弾で被害受けたアンダーワールド人から依頼された」らしい
物語書く上で相手にもロボが欲しくてひねり出した人、出来るだけ特徴をつけないように頑張ろうとした結果がこれ
このままモブにしてもいいですし誰かが拾ってくれるならお願いします。

 

 

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最終更新:2016年10月28日 01:23