2スレ目>>267~>>272


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世の中に妖怪やら、宇宙人やら、神様やら、悪魔やらが解き放たれて暫くの時間が経過した。
その日は妙にじっとりとして暑かった、言うならば夏直前の梅雨明けに湿気が暑さに拍車をかけるような熱帯夜。
部屋で親の趣味のオールディーズのレコード盤をかけて、部屋にて何時もの通り新聞を読む。

П(宇宙人、地球侵攻作戦計画か?人間名:野々村そらを送り出す……他所でやってくれねぇかなぁ)

何となくカレーを食べた時から違和感は感じていた、あの性格がなぜかは知らんが妙に馴染んでいるようで、実際には何処か演じている気がしていた。
だが俺には関係のない話だ、もし火の粉を撒き散らすならともかく、顧客を撃ち殺すような趣味は俺にはない。

П「あぁ、それにしてもじっとりと湿っている……嫌な時期だな」

だがねっとりと渦を巻いた熱気はコンコン、という戸を叩く音によって注意をそらされた。

П「はーい!……誰だこんな時間に」

思わず声を上げたが、ふと時間を見ると8時を過ぎ、早い所ではもう明日に備えて寝始める時間だろう。
戸を開けると、女子高生(やけに汗ばんだ)が、熱気を含んだ目でコチラを見ていた。

П「……何か?」

美波「あの、ここの女子寮の新田美波というものですが、その時間がよろしければ少しお話いいですか?」

そう言って悩ましげに髪を後ろに流す、が正直な所心底どうでもいいように思えた。

П「朝じゃダメですか?」

何となく美波が引きつった顔になったきがする、そんなに大事な話なのだろうか。
だが、自分としては部屋にこもってオールディーズのレコードを聞きつつ、部屋でボーっとしてたかったのだが。

美波「今でお願いします、大事な話なんです」

美波はПの右手を取って、胸元に引き寄せた。

П(何だコイツ……イキナリ馴れ馴れしいな)

何となくイラッときつつ、至福の時間に別れを告げる。
レコードはあとで聞き直せるが、近隣住民の悩みはあとでは聞き直せない事が多いのだ。
これも、女子寮の健全な運営の為と自分に言い聞かせ、美波を居間に上げる。


П(新田美波……確か女子寮の一人で、近くの女子校の生徒、趣味は……なんだっけ、まあどうでもいいか)

自室でWii-Fitに興じる茄子を尻目に、麦茶を1杯、自分はペプシを1杯コップに入れる。

П「どうぞ」

美波「あ、ありがとうございます」

そう言うと、遠慮なく目の前で麦茶をゴクゴクと飲み始めた、余りにいい飲みっぷりだったので思わず呆気にとられたが。
そもそもコイツが何で家にいるのかを思い出し、話を切り出すことにする。

П「それで、話とは?」

美波「その、少し近寄って貰っていいですか?」

П「あ、汗かいてるみたいなんで、扇風機先につけますね」

何となく嫌な予感がして、目的を逸らすために必死に逃げようとする。
が、ガッシと素早い蛇のように腕を掴まれる、勿論普通の男性なら逃げれるが。

П(ヤッべ、最近の高校生力強いぞ俺、力負けしそうだぞ俺)

美波「ずっと前から好きでした、抱いて下さい」

そのまま、早苗に以前掛けられた柔術めいた動きで、地面に押し倒される。
火照った体を全身に押し付けられ、悪寒が全身を駆け巡る。

П「茄子ォォォオオオ!助けろォオオオ!犯されるゥゥゥウウウ!」

茄子「もーなんですか……あらやだ」

美波「ふぅ…ふぅ…」

次の瞬間、普通に美波を片手で持ち上げる茄子、神様は力持ちだなぁ俺はつくづくそう思う。

П「もう!何なの!なの!」

半ギレで美波を遠巻きに問い詰めるが、火照った体を空中で悩ましげにくねらせるだけで、特に何も答える様子はない。


茄子「うーん……近頃人々がすなるといふ『かぁす』でしょうかね」

П「カース?ここじゃああんまり聞かなかったアレか」

茄子「一応結界で弾いてたつもりなんですけど、コレは本格的に対策を立てなきゃいけないみたいですよ?」

П「どういうことだ?」

茄子「多分カースの特性として、人に移ると結界に認識されないんじゃないんでしょうか?」

П「へぇ、偽装みてーなもんか、こりゃあ面倒だ」

П「所で、カースって何だ?」

茄子「うーん……聞く所によると、人間の持つ感情の負の側面が、例の世界同時多発的超常現象群によって現象化されたもの、じゃないでしょーか」

П「感情?」

茄子「最近キリシタンの習いに習って、7つの大罪という名前をつけているそうです、元々の悪魔って言われてた神様は迷惑しているみたいですが」

П「つまり、死体には寄り付かないってことか?」

茄子「一応大体は人間に寄生する、もしくは直接人間を襲うのどっちかだそうです」

П「所謂、人の『心』の力に惹かれたって所か?」

茄子「うーん……可能性としてはありますね」

心の力、元来人間には幾つもの種類の心の力が眠っているらしいが、うまく引き出せるかどうかは人次第ということらしい。

П「逆に考えれば、『心』への走性があるってことか……いい対処法考えた、そいつ離していいぞ」

茄子「ぽいっちょ」

色っぽく話の最中体をくねらせる、涙ぐましい努力をしていた美波は畳の上に投げられた瞬間。
陽気な猫の如く四つん這いで、Пの元にはってきた。


美波「Пさん、以前よりお慕いしていました…」

П「おーよしよし……いい子だ」

Пが両手を開き、受け入れる体制を作りそれに呼応し美波が立ち上り。
抱きかかろうという瞬間と、ボクシングの打ち込む前の溜めのポーズが変わったのは同時だった。

П『胸部への打撃により心停止30秒、一過性脳停止30秒』

美波「ふえ?」

次の瞬間デタラメな掌打が美波の胸に激突し、美波がそのまま体にのしかかるのを手早く畳の上に倒す。

П「仮死状態なら一応カースは嫌がって寄生どころか、出て行こうとすると思うが、どうだかね」

茄子「あら♪ビンゴみたいですよ」

ボクシングでいうテン・カウント数えた当たりで、ぐったりと倒れた美波の胸元から、何やらピンク色のふよふよとした球体が現れた。

П「コレがカースか」

力なく寄ってきたピンクの球体…カースを銃床ではたき落とすと、茄子が拾い上げて脆い飴細工の如く握りつぶしてしまった。
コレが神様と人間の差か、と思いつつ目の前で昏倒から気絶を経て、風呂場での睡眠のような形に移行した女学生を見下げる。

П「……布団敷いとけ、どうせこれじゃあ帰れんだろ」

茄子「はーい、でもそれだと布団が足りませんよぉ?」

П「……無い?」

茄子「無いです」

П「……お前時々俺を見る目がさっきのコイツみたいな目ェすんだもんなぁ……」

茄子「えー?しないですよぅ」

そう言いつつにじり寄ってくる、ああもうコイツ面倒クセェなぁ。


П「……朝か」

結局俺はソファーで眠り、茄子が布団で眠ることになった。
朝起きると、件の女学生が茄子と朝食を作っていた。

П「……おはよう」

美波「あ、昨日はなんというか本当に申し訳ありません、本当に何というかその熱くて、その自分を抑えきれなくって」

寝ぼけた脳みそに矢継早に女学生が言葉をまくし立てて、脳の中が洪水を起こしかけ。
眠気覚ましに冷蔵庫から水を取り出し、一杯飲み込むと昨日のことを思い出し始めた。

П「……ああ、やばいと思ったが、性欲を抑えきれなかった女学生さん」

美波「忘れて下さい!」

昨日散々振り回されたんだ、顔を真赤にした女学生をからかうつもりで言ったが、思っていた以上に効果があったようで。
何となくほっこりしながら、茄子と女学生-美波の作った朝飯を腹に流しこむ。
向かいで馴染んでる女学生を見つつ、思っていた以上に割烹着が似合っている二人を見つつ、今日が休日であるのを思い出す。
この朝食は昨日助けてもらったことのお礼らしい、思っていた以上に殊勝で少し関心。

П「……よし」

茄子「何ですか?Пさん」

П「『何でも屋』でも副業にやるか」

美波「『何でも屋?』」


П「カースや、神様、悪魔、等超常現象群に個人の依頼の範疇で手助けしてやろうって事よ」

П「うまくいきゃあ治安は良くなり、地価は上昇、女子寮も繁盛、副業でお金もガッポリって寸法よ」

茄子「本当に上手くいくんでしょうかね?」

П「その為には先ず色んなモノを買い漁らんとな、銃、防具、農土…」

美波「農土?」

П「まあ、色々あるのさ、後お前今日からここの宣伝しろ」

美波「え?」

П「今回の治療費だ、安いもんだろ?」

美波は思った以上にヤバイ人物に関わってしまったのではないか、と内心不安になるのだった。