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「……潜入成功…」
こんばんわ、リンです。私は今……。
宇宙犯罪組織の隠れ家に居ます。
『畜生!何故、ココがバレた!?誰か密告したのか!?』
…頑張ってね、GDFの人たち。
『クッ…狙撃兵がいるぞ!あのウサミン達に売る予定のプラズマバスターはあるな!?それで応戦しろ!?』
「…プラズマバスター…ふふっ、やっぱりあるんだ……ふふふふっ♪」
私の目の前で飛び交う怒号。
絶え間なく聞こえる銃声。
「…やっぱり結構恐いな…」
…巻き込まれないようにしなきゃ…。
私は銃撃音が鳴る方向を避けながら移動を繰り返す。
「…ここかな?」
一際大きく頑丈そうな扉…。
これは……。
「少し勿体無いけど仕方ないね…」
私は懐から巾着の中から青のビー玉を取り出す。
『氷よ!』
巨大な氷塊が扉にめりこみ、無理やり扉をこじ開ける。
「よしっ」
ズカズカと部屋に踏み込んでいく私。
「…あった」
壁に立てかけられているのは以前改造したプラズマブラスターより一回り大きなサイズのプラズマバスター。
「バスターっていうだけあって中々のサイズだね」
これだけのサイズだと持って帰るのも大変そう。
私は手近にあったプラズマバスターを一つ持ち上げる。
『おい!貴様何をやっている!』
…マズい、見つかった…!
『何をやっていると聞いているんだ!』
「そんな不機嫌そうな顔してたら幸せになれないよ?」
もっともこのままだと貴方たちはGDFに殲滅されておしまいだけど…。
そのときだった。
『むーりぃーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!』
そんな叫び声と共に私と宇宙人たちを取り囲むように大量の水が迫ってくる。
「……は?」
「嘘でしょ…?GDFには能力者もヒーローも居ないんじゃ…?」
『ナ、ナチュルマリンだぁぁぁ!』
『逃げろぉ!逃げるんだよおぉぉぉぉ!!!』
宇宙人たちが蜘蛛の子を散らすようにして逃げる。
ナ、ナリュルマリン…?なんでこんなところに…?
「…わ、私も……」
慌てて宇宙人たちの後を追うようにして逃げる。
出遅れた宇宙人たちが次々に波に飲み込まれていく。
「このままじゃマズいかな…」
私は戦闘で破られた窓ガラスから隠れ家の外に出て、近くの茂みに飛び込み緑のビー玉を取り出し足元に叩きつける。
『草木よ!』
叩きつけたビー玉から生えた樹が急激に成長し、枝を広げながら私を地面から押し上げる。
「ナチュルスターが自然の力ならきっと…!」
思った通り大量の水流を叩きつけられたにも関わらず折れるどころかムクムクと成長を続ける魔法の樹。
「た、助かった…?」
冗談抜きで死ぬかと思ったよ……。
「あ、相変わらずアグレッシブやね…リン…」
私の話を聞いて目を見開いて驚くアコ。
「いや、だって貴重なプラズマバスターだよ?」
「あんなとこ興味で出張るようなところちゃいますわ…」
「こないだカースに呑まれかけただけでもほんまに焦ったわ…」
遠い目をしながら呟くアコ。
「むぅ、せっかく作ったのにすぐ壊すって酷いよね」
…アコ、やっぱり欲望まみれだったんだね…。
「水色のビー玉もなくすわで大損失ですわ!」
両手で頭を掻きむしる仕草をするアコ。
「まぁ、私はなんとかプラズマバスター持ち帰れたからいいけど…」
私は机の上に持ち帰ったプラズマバスターをゴトリと投げ出す。
「…結局これどうするん?自分で使うんか?」
「うーん、なんかこういう規格があるものとか自分で作ったもの使うのって好きじゃないんだ」
「その点他人の作品っていいよね、個性があるよ、このビー玉みたいに」
今回私の命を繋げるのに非常にお世話になったアイテムだ。
「アコ、アコ」
「…なんや?」
「バッテリーにカースの核の力を上乗せしてみたらこのプラズマバスターもっと強くなるかな?」
『カースの核弄るのもうやめぇや!!』
製作室にアコの魂の叫びが木霊した。
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