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362 名前: ◆cAx53OjAIrfz[saga sage] 投稿日:2013/07/17(水) 02:25:15.16 ID:0o/+YsS+0 [2/9]未来は不確定である、という科学的論述が出てきたのは何年前の話だろうか。
基本的には世の中の出来事は、観測するまでは物事は確定しないという話だ。
不確定性原理、説明としては猫箱がよく引用される。
茄子「要するにですね、神様というのは暇じゃないんです、一日中世界を見て回ることは出来ません」
茄子「ここでいう世界というのは、地球全体ではなく、限定的な密封された観測地点と考えて下さい」
茄子「もっと分かりやすくいいましょう、所謂宗教が伝播した場所そこが神様における観測地点です」
П「へぇ」
茄子「そして、その伝播した世界を見て回る際、ある法則を共同で設けました、物事の事象の確定です」
П「うーん?」
茄子「所謂各世界に伝播する物事は、朝日の上りと共に確定します」
П「詰まり、Aという事象が起きたとして、干渉できるのは太陽が出てくるまでということか?」
冷えたそうめんをすすりながら、茄子の『講義』に耳を傾ける。
茄子「うーん、分かりやすく言うと『過去に起きたこと』も、実際には何一つ確定できない事象なので、ハッキリ言うと『その場における人の生き死にだけ』なのですよ、確定できるのは」
П「随分ズボラじゃないか、ってことは世界中の死神しか働いてないってことに、ズズッ、なるじゃないか」
茄子「まあ、ぶっちゃけるとですね、昔々、時の神様ってのは一応居たんですけどね、何分人間の味方につきすぎたせいで、神様方は偉いお怒りになって」
П「どうしちまったんだ?」
茄子「一度天界に行ったんですが、結局地獄勤務にされちゃったんですね、体の良い左遷です」
П「まるでハーデスみたいだな」
茄子「まあ、良い人なんですけどね、それ以降誰もまともにやらなくなっちゃいましてね」
П「ズズズッ……まあ、兎に角基督教本やらなんやらが、関係してるってことか?」
最後のそうめんをすすりながら、質問をする。
茄子「天界移住後はただ農耕に精を出す人だったんですけど、その中から勝手に役目を決められて、まあまだ人を見守れるからいいかと静観してたんですけど…」
ここで、精一杯おどろおどろしい声(実際には無理をした上ずった声)で、話し始める。
だが、幸福の女神というのは幸福に溢れすぎてて、恐ろしいものの表現が壊滅的に下手くそらしい、怖くなかった。
茄子「ここで、ある人々と人々に差異が生まれちゃったんですね、言うならば富める者、貧しい者そこでとある神様は考えました、宗教を作ろう、と」
П「まあ、世紀末とかにはよくある話だな」
茄子「まあそこから今まで続く話に続いちゃうんですが、兎に角その宗派は生まれたてで、どんな力でも欲しかった」
П「まあ、そりゃあそうだな、0からものを作るんだから、人手は必要だな」
茄子「それが、少し理想論に傾きすぎてたみたいで……結局宗派は分裂、人間同士のいざこざの種になってしまいましたとさ」
茄子「そこでその、勝手に役割を与えられてた神様は怒って、役職を辞任、そしたら地獄に落とされちゃいました」
П「で、結局何が言いたいんだ?」
そうめんの汁を流しに持ってゆき、コーナーポストに流しながら結論付ける。
割りとこいつは会話が流れていきがちなので、一々戻してやらないと話が終わらないのだ。
茄子「あれ?何の話でしたっけ?あ、そうそう分かりやすく噛み砕くとですね、神様は人が死んだら死人帳簿というのを書くんですが、それを書き始めるのが夜明け」
茄子「だから、人の死が魔術で不変(基本的には)になるのは、『その日の夜明け』と言うことになります。」
茄子「それを死神に手渡して、人の魂を回収させるんですよー」
П「割とさっぱりした内容だったな、ともあれ、人が死んだら出来るだけ早く蘇生させろってことか?」
茄子「ですねー、タイムマシーンがない限りはそーなりますねー」
П「そんな内容をクドクドと長話にしやがって……兎に角、過去に死んだ生き物が帰って来ない、ってだけでだいぶ安心だな」
茄子「割りと昔から多方面に喧嘩売ってますもんねぇ、Пさん」
П「あーそうだな、地上げ屋とか、ヤクザとか……兎に角、平穏であるならいいってのに、何だってあいつらは一々喧嘩を売ってくるのやら……」
目の前で正座で『治療中』の新田美波(大学生)を見つつ、何気なく麦茶を飲み込む。
茄子「あ、邪魔しないでくださいね、まだ終わってないので」
П「……効果あるのかこれ?」
和室に正座し、目の前の小さな十字型に波羅蜜多を唱える、という何とも不思議な光景を見れば、どんな人間も効果を疑いたくもなるものだ。
茄子「あります、鰯の頭も信心からという言葉があるように、恐らくカースは魔界産なので、こうやって心からのお祈りが心の防御力をあげて、カースを追い出す…筈!です!」
何となく強い語気に押され、何も言えなくなってしまう。
とはいえ、この十字からここまで話が伸びるとは思わなかった。
兎にも角にももうそろそろ30分経過で、今日のお祈りは終わりのはずだ。
美波「……ふぅ」
П「終わったらとっとと帰れー」
麦茶を飲み干しながら、手を振りとっとと帰宅を促す。
夏のうだるような暑さの中、よくもまあ平気な……わけでもないらしく、汗を流しコチラをチラチラ見てくる。
П「何だ気持ち悪い……」
美波「ふふふ……聞きましたよ!Пさんが女性が苦手だという話!」
П「あ?」
美波「だから、反撃されないって……」
立ち上がりケツを蹴り飛ばした、話の元は茄子だろうが、そりゃあ残念俺よりか弱ければの話だ。
美波「な、なんでぇー」
П「ケッ、健康優良大学生がふざけやがって……」
美波「だからあの3人を見逃してると思ったのに……」
П「…は?」
美波「え?知らないんですか?女子寮の私の部屋の隣の、変なきのこ栽培してる3人組」
П「…はっ?、いやまて、アソコは一人だけのはずじゃあ」
変な汗が出てきた、ヤバイ何この感覚、部屋できのこ?え?カビ?部屋ヤバくない?
П「あば、ばばばばああばばっば」
美波「あ……行っちゃった……」
全力で家を飛び出し、目的の部屋に走り駆け込む。
マスターキーでドアを開けると、そこは床に広げられたブルーシートの上に、黄色いドロドロした泥にキノコが無作為に繁殖している。
暗室の中、ホラー映画を見る3人の少女の姿が見て取れるが、今はどうでもいい、急ぎ壁周辺を探索するがどこもカビては居ないようだ。
П「部屋にはなんとも無い……良かった」
心の底から安堵する、と言うか何か小便臭かった。
П「…ん?」
寝癖のような、跳ねっけの頭の少女が小便を漏らしていた……え、ナニコレ。
幸子「あーっ!あーっ!あー!」
小便まみれのスカートが、顔目掛けて飛んできた、ションベン臭い汁が口に入る。
しょっぱかった、ただただしょっぱかった、というかションベンだった。
Пは激怒した。
П「……」
幸子「何でボクがこんな……」
ぶつくさ言いながら目の前の少女が、自分のスカートをよくわからない袴を履いて手洗いしている。
別に友達を作るのは良い、俺もあーだこーだは言わん、だがな部屋で、しかも大体的にキノコを栽培するのはやめろ。
と言った内容の説教を3人にして、服を小便汁まみれにした少女に自分で服を洗わせる。
洗濯機もあるが、正直ションベン臭いまま入れられると俺が困る。
というか、ホラー映画を見ていて、突然現れた俺が死体みたいだったとか、小梅に言われて余計腹が立つ。
幸子「大体おかしいんですよ、ここら辺だとボクの能力が使えないし……」
П「偶にはお前らの服の洗濯してる、機械類の気持ちになるですよ……」
幸子「何でこんなに!カワイイボクが!手洗いで洗濯をしなくちゃあいけないんですか!」
П「カワイイは関係ないだろ!とっとと洗え!」
幸子「あれれ?今カワイイって否定しませんでしたね?いいんですよ?カワイイって言っても」
П「あんまりうるさいとスカイダイビングやらせんぞ、女子寮の屋上から」
そう言うと、またぶつくさ言いながら服を洗いにかかる。
その間、隣の部屋で吸血鬼ごっこをやり出した小学生(?)二人を見つつ、口の中を液体ハミガキですすぐ。
まだ取れない、本当にイライラする。
茄子「あ、Пさん、食事出来ましたよー」
そう、こいつらは食費を稼ぐ宛がないのだ、マジかよ家帰れよと言いたいが。
小梅に言う直前に頭を横に振られた、何でアイツ俺の言うこと分かんの?
というか、茄子は何処から服を用意してんの?何なのあの和服。
輝子「ふ、フヒヒ……あ、新しい、トモダチ……」
小梅「Пさん、今度肝試し……ゾンビ役やろう……」
П「うるせぇ」
幸子「カワイイボクに食べて貰えるなんて、光栄な食事ですね!」
П「とっととスカートを、洗濯機に放り込んでこい」
幸子「あれれ?管理人さんはまだ食べないんですかぁ?」
コイツ……今度絶対スカイダイビングさせる、絶対だ。
段々口の中の不快な味が消えてくる中、そう考えるПだった。
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