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──ある日のGDF本部──
司令「さて、今日君達に集まってもらったのは、ある重要な任務のためだ」
椿「(重要な)」
詩織「(任務?)」
司令「極秘のプロジェクト故に、詳細は伏せねばならないが」
司令「現在我々は、とある"協力者"らと共に、対カース用装備の開発を進めている」
椿「(またぼかすような言い方……)」
司令「今回は、君達にその試作品の評価試験を行ってもらいたい」
司令「博士、どうぞ」
司令の合図で、白衣姿の男性が部屋に入ってくる。恐らく、その対カース用装備とやらの開発に携わっている人間だろう。
博士「どうも、ご紹介に預かりました、龍崎です」
博士「私の方から、今回皆さんに試していただく装備の説明をさせて頂きます」
博士「これらの装備が実戦配備されれば、カース対するGDF陸戦部隊の戦闘力は、120%程向上するとの見込みです」
そう言うと博士は双眼鏡と、望遠鏡の様な物を取り出し、目の前の机の上に置いた。
博士「今回試作品として用意された装備は二点、一つ目はこの『CSG』カーススキャンゴーグルです」
博士「従来の戦法では、カースの弱点である核を直接狙う為に、"面"での攻撃を必要としました」
博士はホワイトボードに図を書きながら説明を続ける。
博士「面での攻撃を続け、カースの全身のドロドロを吹き飛ばした後、露出した核を狙うというものです」
博士「カースは不定形の泥で構成されており、弱点である核の位置も個体によってバラバラで──」
博士「核の位置を探る為には、カースに全身にくまなく攻撃を加える必要があり、結果、時間と弾薬を浪費してしまう」
博士「……というのが、この戦法の問題点でした」
博士の説明を聞きながら、三人は本題に入ってくれという顔をしているが、気にしてはいけない。
博士「そこで、このCSGの出番です」
博士「このCSGは、カースの体表のドロドロを透過して、核を直接視認出来るようになるという装置です」
博士「この装置により、攻撃前に核の位置を確認しておけば、"点"での攻撃でカースを撃破することが可能になるということです」
博士が一呼吸置いたのを見て、椿が疑問を投げかける。
椿「しかし博士、点での攻撃が可能になるとはいっても、核を露出させるためにはやはりある程度の時間と弾薬が必要になります」
椿「戦闘力が120%向上というのは……あまりにも……」
椿の発言を受け、博士は頷きながら答える。
博士「もっともな疑問ですね……そこで、二つ目の装備の出番です」
続いて、博士は金属の細長い物体──一発の銃弾を取り出した。
博士「CSGにて位置が判明した核に、露出させるというプロセスを経ずに攻撃を可能にするための装備」
博士「それがこの『12.7mmウサミン弾』です」
椿「12.7mm……」
詩織「ウサミン弾……?」
博士「今回開発されたこの銃弾は、弾頭が特殊な金属──我々は『ウサミニウム』と呼称していますが、それで出来ています」
博士「以前あなた方が制圧した異星人の施設から採取されものです」
以前制圧した施設と言えば、あのうさ耳が隠れていた研究所らしき場所の事だろう。
博士「この金属を使用することにより、弾頭は重量の割に非常に優れた低伸性を発揮し、また飛翔距離も───」
椿詩織志保「(話が長いよ……)」
博士「あーだこーだ」
椿「……」
博士「うんぬんかんぬん」
詩織「……」
博士「どうたらこうたら」
志保「……zzz」
博士の説明を聞いてもよく分からない三人は、適当に聞き流すほか無かった。10分ほど話していただろうか、長ったらしい説明が済み、いよいよ、一番知りたかった部分を聞けることになった。
博士「つまり、この弾頭はカース表面のドロドロに運動を阻害されることなく核まで達する事が可能で」
博士「一定以上の硬度を持つ物体──この場合はカースの核ですが、これに当たるとマッシュルーミングを起こし」
博士「それまでの運動エネルギーを余すことなく目標に伝え、その結果」
博士「カースの核を、粉微塵に粉砕することが出来る……という訳です」
つまり、CSGとやらで核を見つけて、この銃弾で狙えばいいというだけの話である。
博士「ただ、このウサミニウムですが、物質の組成を調べたところ、地球上では精製できない金属であることが分かっています」
博士「従って生産性の観点から……口径の問題もありますが、選抜射手か狙撃手の方にのみ配備という形になってしまいます」
博士「あしからずご了承ください」
椿「その点については、私達にとっては特に問題ありません」
椿「ね? 詩織ちゃん?」
詩織「ええ……一発の銃弾でカースが吹き飛ぶ様が見られるのが、今から待ち遠しいわ」
博士「それでは、皆さんのご健闘を、お祈り申し上げます」
椿「我々にお任せください!」
椿詩織「……」チラッ
詩織「締まらないわね……」
博士「……」
──数日後──
三人は対カース用装備の実地試験のために、とある市街地へと来ていた。既に街中では大型のカースが暴れており、三人は攻撃配置に付く。
志保「はてさて、CSGとやらはどんなもんかなーっと」
志保が双眼鏡型のCSGでカースを覗くと、モノクロの視界の中でカースの左わき腹の辺りに白い塊を見つけた。
志保「おぉーこりゃすごいですねー、核の位置がまるわかりじゃないですか!」
椿「これは……確かにすごい装備かもしれません」
詩織『こちらでも確認したわ、左わき腹ね』
詩織の方は望遠鏡型──ライフルのスコープとして利用できるタイプである。
三人が、新兵器の能力にはしゃいでいると、通信が入った。
椿「──了解しました……二人とも、民間人の避難が完了したそうです」
志保「それじゃ、始めますか!」
詩織『二人に合わせるわ』
椿「よしっ、行きますよ!」
椿と志保が、ロケットランチャーを担いで路地から飛び出す。数百メートル先に居るカースが、二人に気づいて近寄ってきた。
志保「私の合図で!」
椿「了解!」
志保「3,2,1…てっ!」
二人がカースの両足目がけロケットランチャーを放つ。
志保「命中確認!」
カースの両足は吹き飛び、体制を崩して倒れ込む。しばらくは動きを封じられるだろう。
椿「再生まで十数秒ってところですね……詩織ちゃん!」
詩織『任せて……』
詩織の通信の声が途切れた直後、二人の目の前で20メートルはあろうかというカースが、岩場に打ち付ける波しぶきのように弾け飛んだ。数秒遅れて射撃時の銃声と思われる残響音が響いてくる。
椿「」
志保「」
想定はしていたものの、実際目の前でそれが起こると、二人は思わず硬直してしまった。
詩織『どうだったかしら?』
椿「え、えっと……」
志保「言葉に……出来ない……」
どうやら、核自体も粉々になってしまったようだ。呪いの塊をも物理的に粉砕する銃弾に、身震いする。
椿「こ、これは確かに……私達の攻大アップですね……」
志保「特大アップくらい、いってそうです……」
詩織『よく分からないけど……評価試験は無事終了ってところかしら』
椿「……そうですね、帰還しましょう」
志保「この成果なら、あの博士も喜ぶでしょうね!」
三人は新しくカースに対抗する手段を得て、ご満悦で基地に帰るのだった。この調子でいけば、地上からカースを駆逐できる日も遠くはないかもしれない……なんてことを考えながら。
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