4スレ目>>605~>>612

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<p>名前: ◆OJ5hxfM1Hu2U[sage] 投稿日:2013/07/22(月) 21:23:07.62 ID:tCFDNKcDO [3/12]<br /> ‐これまでのあらすじ‐</p> <p>連続強姦魔にして色欲のカースドヒューマン、バイフォースは、ランニング中の斉藤洋子を新たな標的に選んだ。<br /> 追跡の末に行き着いた公園で、ついに足を止めた洋子。バイフォースはチャンスを見逃さない。<br /> 健康的な美肌に今、不健全な漆黒の魔手が迫る!</p> <p> </p> <p>‐1‐</p> <p>バイフォースの体から、握り拳大の黒い泥が2つ、3つと落ちた。泥は黒いサソリに形を変え、洋子の足元へと這っていく。<br /> 色欲サソリは極小型のカースだが、その精神毒は強力である。</p> <p>(モウスグダ コムスメ、オマエハ カイラクヲ ムサボル テゴメニンギョウニ ナルノダ!)</p> <p>今やサソリ達は洋子の足に辿り着き、目的を果たそうとしていた。…だが!</p> <p>(バカナッ!?)</p> <p>バイフォースは出かかった言葉を辛うじて飲み込んだ。<br /> 色欲サソリ達は、洋子の足に触れぬまま炎に包まれ、白い灰になったのだ!</p> <p>(どうも怪しいと思ったら…カースなら手加減しないよっ)</p> <p>洋子は追跡に気づいていた。<br /> ヒノタマにより強化された身体能力でも撒けない追跡者が、少なくとも普通の人間ではないことも。<br /> そして今や確信している。追跡者はカースだ。<br /> 洋子は軽やかに振り向き、言う。</p> <p>「走っただけじゃ物足りないって感じですねっ、もっと熱くなりませんか?」</p> <p>無邪気な誘い。その裏にあるのは、洋子自身も意識していないヒノタマの意思だ。</p> <p>『お前を、焼き尽くしてやる』</p> <p>強烈な熱気が放たれると同時に、洋子の輪郭が揺らめき、ぼやける。<br /> 熱気は瞬く間に広がり、静かな早朝の公園は真夏の昼下がりめいて形を失っていく。</p> <p> </p> <p>‐2‐</p> <p>今やバイフォースは公園ではなく、石畳めいた神秘的円形空間にいる。<br /> 巨大な空間の中心には、やはり石から彫られたらしい祭壇と、燃え盛る朱色の炎。<br /> そして、つい先程まで目の前にいた洋子の姿は…どこにも見えない。</p> <p>しかし彼に動揺はなかった。<br /> バイフォースの体から、黒い泥が流れ出る。どこに収まっていたのか、その体積は元の体の数十倍!<br /> 黒い泥は悍ましく蠢いてバイフォースをも飲み込み、飴細工めいて形を変え、巨大な人面サソリとなった!</p> <p>「デテコイ コムスメ! イマナラ ヤサシク ファックシテヤル!」</p> <p>人面サソリが叫んだ次の瞬間、その周囲を朱色の炎が取り囲み、徐々に勢いを増していく。<br /> さらに炎は無数の手となり、人面サソリの爪を、脚を、卑猥な形の尾を掴む!</p> <p>「グオオー! オアー!」</p> <p>炎の手が、人面サソリの爪を、脚を、卑猥な形の尾を、乱暴に引きちぎる!<br /> 人面サソリのパーツは見る間に燃え尽き、白い灰と化して熱風に散る!</p> <p>「ウワー! アアー!」</p> <p>支えを失い、無様に地べたを転がり苦しむ人面サソリを、炎が容赦なく焼く!<br /> 脚を再生して脱出するか、尾を再生して反撃するか…無理だ! 再生したそばから灰になっていく!<br /> あまりに一方的! 戦いの行方は、もはや決したかに思われた! …だが!</p> <p>「よーっし! このまま一気に…っ!?」</p> <p>それはヒノタマの声なき警告か。洋子は下腹部に嫌な感覚を覚え、意識を現実世界に引き戻した。<br /> 眼前に迫る黒い巨人…バイフォースだ! 炎に焼かれ、力尽きたのではなかったか!?</p> <p><br />  </p> <p>‐3‐</p> <p>洋子が使用したカエン・イリュージョンは、炎のイメージで精神を焼く、一種の攻撃性テレパスである。<br /> カースの場合、根源たる感情を焼くことで、体そのものにダメージが及ぶ。有効な攻撃だ。<br /> だが、バイフォースはただのカースではない。人間的な思考能力を残すカースドヒューマンなのだ。</p> <p>(ミヌイタゾ、オマエノ ワザヲ!)</p> <p>この恐るべき精神攻撃の原理は、剥き出しの精神を直接ぶつけるという極めて原始的なものだ。<br /> 彼を焼く炎は洋子の精神そのものであり、看破できれば反撃さえ容易。致命的な弱点!</p> <p>現実世界に戻るのが一瞬でも遅ければ、彼女はテゴメ人形になっていただろう。<br /> そして、カエン・イリュージョンは目の前の敵にもう通用しない。非常にピンチだ!<br /> この状況にあってなお、洋子は動じない。怯えも嘆きもせず、楽しげに微笑んでさえいる!</p> <p>(キガ フレタカ。ナンダッテイイ、ファックスル カラダサエ ノコッテ イレバ!)</p> <p>バイフォースが丸太のごとき両腕で、洋子を掴みにかかる! その名の通り「力ずく」だ!</p> <p>「…はァッ!!」</p> <p>鋭いシャウト、一拍遅れて彼の両腕が燃え落ちた。<br /> 思わず一歩後ずさるバイフォース。その目の前で洋子は朱色の炎に包まれる。<br /> 炎が、ファンタジー踊り子めいた装束を形作る。煽情的ながらも神秘的、肌色の部分が多い!</p> <p>「《プリミティヴ》、バーニングダンサーです。情熱のダンス、心にしっかり焼き付けてくださいねっ」</p> <p> </p> <p>‐エピローグ‐</p> <p>洋子は時計を見上げた。午前5時30分。戦闘開始から5分と経っていない。<br /> 足元には白い灰の山。もはや原形を留めていない、バイフォースだったものだ。<br /> 洋子は無傷、しかし油断ならない相手だった。まさかアシュラ馬形態なる奥の手を隠していたとは。</p> <p>「ともかく、これでしばらくは落ち着くかな…ふぅっ、早く帰ってお風呂お風呂っ」</p> <p>装束を形作る朱色の炎が弱まり、徐々に肌色の部分が広がっていく。<br /> ランニングウェアは炎に燃え、既に失われている。<br /> のんびりしてはいられない。洋子は老朽安アパートに帰るべく走り出した。</p> <p>斉藤洋子、またの名をバーニングダンサー。<br /> かつて人類が火を神と崇めた時代、神に身を捧げた聖火纏う踊り子。<br /> 彼女はその魂“ヒノタマ”を宿す古の戦士《プリミティヴ》である。</p>

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