3スレ目・その1

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3スレ目・その1」(2014/04/18 (金) 04:54:03) の最新版変更点

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<dl><dt id="a3"><span class="resnum">3</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 17:42:16.36<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> <span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;1</span><br /> 乙乙ですー<br /><br /> 前スレの残りだと足りなそうなので少々フライングして<br /> 投下するよー!!</dd> <dt id="a4"><span class="resnum">4</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:43:57.90<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「あれ・・・何でしょう、これ?」<br /><br /> 事務所を閉め、アパートへ戻った都は、郵便受けにやたら分厚い封筒が突き刺さっているのを見つけた。<br /><br /> 「あぁ、やっと届いたみたいですね」<br /><br /> 「翠さん、何かご存じなんですか?」<br /><br /> ぽん、と手を叩いて顔を綻ばせる翠。都が聞くと、彼女は笑顔で、<br /><br /><br /> 「妖精界に頼んでおいた、『秘宝』に関する資料です」「・・・はい?」<br /><br /><br /> 事もなげに素っ頓狂な事を言い出した。<br /><br /> 「かなり細かく調べてもらうように言っておいたので、時間が掛かったみたいですね」<br /><br /> 「・・・・・・それが、何で郵便受けに突っ込まれてるんですか・・・?」<br /><br /> 「お仕事中に見せて邪魔になってはいけないと思って、こちらに届ける様にお願いしたんです」<br /><br /> 無地の茶封筒から中身を取り出してみると、確かに見たこともない文字で何やら長々と書かれている。同封されていた眼鏡を通して見ると、意味のある文章として読み取ることができた。<br /><br /> (・・・なんかもっとこう、魔法かなにかで部屋の中に届けておくとかできなかったんだろうか)<br /><br /> 少々げんなりした気分になりながら、これで少しは『秘宝』探しの依頼も進展するだろうか、と気合を入れなおす都であった。</dd> <dt id="a5"><span class="resnum">5</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:44:40.91<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「えっと・・・うん、これで全部かな」<br /><br /> そのころ、由愛は一人で商店街に居た。商店街の人たちともすっかり顔なじみになり、ここ最近の安斎家では買い物は彼女のお仕事になっている。<br /><br /> 王族、それも末娘であることから、生来身の回りのことは周りの妖精達がやってくれていた由愛にとって、自分がこうして誰かのために何かをすることは新鮮で面白かった。<br /><br /> しばらく前まで「お一人では何かあったら危険です」とついてこようとした翠も、今では納得してくれた。<br /><br /> (早く帰って、ご飯の準備しないと・・・あれ?)<br /><br /> アパートへ向かって歩き出そうとした由愛は、不意に自分を見つめる視線を感じた。<br /><br /> 振り向いて見ると、銀の髪を二つにくくり、先をロールさせた髪型の少女が、こちらをじっと見つめている。<br /><br /> (え、っと・・・誰、だろう。あっ)<br /><br /> と、こちらが見返したことに気づいたらしい少女が、ふい、と目を逸らして立ち去っていく。<br /><br /> 何だったのだろう、と一つ首をかしげ、由愛は改めて帰路についた。</dd> <dt id="a6">6 :<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:45:44.17<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「・・・・・・ふむ」<br /><br /> 資料には、『秘宝』とはこういったものである、こんな力を持っている、といった直接の記述は少ない。<br /><br /> その代わり、『秘宝』を手に妖精の国を興したという初代の妖精王について、並びに建国の経緯について詳しいの資料が見つかったのは幸いだった。<br /><br /> それによると、妖精族とは、かつて魔界を離れた魔族たちが、より魔法・魔術に長けた形で性質を変えた存在なのだという。<br /><br /> 別の種との戦争が起こった際、争うことをよしとしない魔族の集団が時空を越え、新たな世界で国を造り上げた。<br /><br /> (・・・その建国の英雄、初代の妖精王が手にし、国の礎を作り上げるために使用したマジックアイテムこそが『妖精の秘宝』、というわけですね)<br /><br /> 『秘宝』の力を引き出すことができたのは初代の王のみであり、現在では式典や祭典において儀礼用に扱われるのみであるらしいが、さぞや強大な力を持っていたのだろう。<br /><br /> それが持ち去られ、野放しになっている状況というのは、改めて考えると非常に危険だ。<br /><br /> (これだけの情報があれば、少しくらいは何かわかるかもしれません)<br /><br /> 都は、白紙の本を手に取り、『見通す者の目』を行使せんと意識を集中する。<br /><br /><br /> 「・・・あ、れ」<br /><br /> しかし、本を開くと同時に身体から力が抜け、ぐらり、と倒れ込んでしまった。<br /><br /><br /> 「み、都さん!?大丈夫―――」</dd> <dt id="a7">7 :<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:47:08.19 ID:uTDf1N9Ro</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ・・・・・・ぐぅ。<br /><br /> 「―――みたい、ですね」<br /><br /> 「あ、あはは・・・お恥ずかしい」<br /><br /> あらゆる情報を見通す『目』の力だが、使用するためには気力と体力を大きく削られる。対象が多くの情報を必要とする『秘宝』のようなものであれば尚更だ。<br /><br /> 「ただいまー・・・み、都さん!?どうしたんですか・・・?」<br /><br /> 「あ、由愛さんお帰りなさい。いや、その、これはですね・・・」<br /><br /> 「お帰りなさい、由愛様。ふふっ、心配いりませんよ。少し、お腹が減っただけですから」<br /><br /> 「み、翠さん!・・・うぅ、そういうことなので、心配はいりません・・・」<br /><br /> 「な、なんだ・・・良かった、何かあったわけじゃくって。すぐ、ご飯の用意しちゃいますね」<br /><br /> 「お手伝いします、由愛様。都さんは、机の上の資料を片づけておいてください」<br /><br /> 「は、はい・・・とりあえず、『検索』はご飯を食べてから、ですね」<br /><br /> よいしょ、と力を込めて起き上がり、都は資料を封筒にしまっていく。<br /><br /><br /> (・・・そういえば、『秘宝』が見つかったら、お二人はやっぱり、妖精の国へ帰ってしまうんですよね)<br /><br /> 資料を片付けながら、ふとそんな事が都の頭をよぎる。<br /><br /> (・・・それは、少し寂しいかもしれません)<br /><br /> 賑やかになった事務所が、また自分一人になってしまうのか。そう思うと、少しだけ、都の顔に暗い影がさした。</dd> <dt id="a8">8 :<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:47:40.35 ID:uTDf1N9Ro</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 「・・・・・・あの娘」<br /><br /> 「?どうしたの、昼子ちゃん」<br /><br /> 少し時間を遡り、夕暮れの商店街。神崎昼子こと悪姫ブリュンヒルデは、ある少女をじっと見つめていた。<br /><br /> 「・・・ッ」<br /><br /> しばらく黙って見ていたブリュンヒルデだが、相手が視線気づいたのか見返してくると、ふっ、と視線を逸らして歩き出す。<br /><br /> (あ奴、一体何者だ?魔族と近い魔力の波長を感じたが、しかし何かが決定的に違う・・・何なのだ、この奇妙な感覚は・・・)<br /><br /><br /> ―――ブリュンヒルデが知らないのも無理は無い。かつて、竜と魔族の争いから背を向けた一派のことは、魔界の殆どの資料に残されていない。<br /><br /> ―――妖精として種が分化した後も、彼らと魔族の交流は断絶されたままであり、妖精の存在を知る魔族は、全くといっていいほど存在しないのだ。<br /><br /><br /> (・・・父上なら、何かご存じだろうか。いや、しかし・・・)<br /><br /> 蘭子の召喚に応じ、人間界へとやってきて以来、父とは一度も連絡を取っていない。今父と会うのは、何と言うか、少し気まずいものがある。<br /><br /> 待って、昼子ちゃーん、と追いかけてくる蘭子の声を聞きながら、どうしたものか、と思考を巡らす悪姫であった。</dd> <dt id="a9"><span class="resnum">9</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:48:10.20<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">※妖精族<br /> かつての魔族と竜族の争いにおいて闘う事を良しとせず、魔界を離れた者たちの末裔。<br /> 魔族と比べると、身体能力に劣る代わりに魔法・魔術の扱いに長ける。<br /> 現在の魔界とは交流が断絶しており、妖精界の存在を知る魔族はほとんどいない。<br /><br /> ※妖精の秘宝<br /> 魔界から離れた者たちの中心人物で、後に妖精の国を建国し初代の王となった魔族が持っていたというマジックアイテム。<br /> 使用者が望む力を発揮するのに最も相応しい形を取るとされ、一定した形を持たない。(最後に確認されたのは『本の形』)<br /> 初代の王以外に力を扱いきれた者はおらず、現在では王位継承などの式典で儀礼的に使用されるのみとなっている。<br /> 非常に強力なマジックアイテムであるらしいが、具体的に何ができるのかなどの詳しい記録は残されていない。</dd> <dt id="a10"><span class="resnum">10</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:49:50.79<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ということで、妖精組の設定掘り下げてみましたー</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a19"><span class="resnum">19</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:53:21.48<span class="id">ID:J+jgk+P0o</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 今なら大丈夫かな?<br /> 投下します<br /> 憤怒Pが別人になっちゃった…ごめん</dd> <dt id="a20">20 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:54:16.46 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> また負けた<br /><br /> また、勝てなかった<br /><br /> 『どうしてまた負けたの』<br /><br /> …うるさい<br /><br /> 『今度勝たなくちゃもう後が無いわよ』<br /><br /> うるさい、うるさい<br /><br /> 『この世界では負けたらもう終わりなの』<br /><br /> 黙れ、黙れ黙れ黙れ<br /><br /> 元々貴方のせいであんな世界に入れられた<br /><br /> 貴方のせいで貴方のせいで<br /><br /> 人の自己満足に勝手に付きあわせて何を言ってる<br /><br /> 私は 私は <br /><br /> 私は貴方の…</dd> <dt id="a21"><span class="resnum">21</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:55:17.55<span class="id">ID:J+jgk+P0o</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 憤怒P「その割には未だにそのお方の言葉に振り回されているじゃないですか、貴方は」<br /><br /> また現れた<br /><br /> 久々に出てきたと思ったら何だこいつは<br /><br /> いきなり下手に出てきやがって<br /><br /> 更に気味が悪くなりやがって<br /><br /> 「へっへっへ…お譲ちゃん最近調子悪いじゃねぇか…<br />   少し前まではこんな感じの貴方の『怒り』を煽る場合にはあの話し方のほうが有効だっただけです<br /> 相手が誰かとか今はきっとこんな話し方のほうが便利だからって話し方や態度を変える」<br /><br /><br />                「ほら、人形だった頃のあなたと同じじゃないですか」</dd> <dt id="a22"><span class="resnum">22</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:56:26.78 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">「黙れ」<br /><br /> 「やはり今の貴方にはこの話し方のほうが良い 暫く無視されることも無くなりそうですしね」<br /><br /> 「意外と私 寂しがり屋さんなんですよ?」<br /><br /> 「おっと前置きが長くなりすぎましたね」<br /><br /> 「貴方に大事なお話があります」<br /><br /> 「貴方には新たな『憤怒の王』となっていただきたくお話に上がりました」<br /><br /> 「いきなり何を言ってるんですかって顔をしていますね、よくわかる」<br /><br /> 「わかるわ なんてね」<br /><br /> 「貴方は魔界の王や龍の王の娘には会いましたけど大罪の悪魔については全く知らない身ですからね」<br /><br /> 「いいでしょう、教えてあげます」</dd> <dt id="a23"><span class="resnum">23</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:57:21.89 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">……<br /><br /> 「まぁ大まかにはこんな感じですね」<br /><br /> 「それでその事を私が知ったからって何が変わるんですか」<br /><br /> 「いつも通りただ私を怒らせに来ただけって訳ですか?」<br /><br /> 「いやいやそんなことはありませんよ 私としては少し感謝してほしいくらいですけどね」<br /><br /> 「でもここまでの話の中でおかしいと思ったことはありませんか?」<br /><br /> 「『カース』を生み出すのはカースドヒューマン 『カースドヒューマン』を生み出すのは大罪の悪魔」<br /><br /> 「どちらの場合にも無意識に生み出してる場合も多いですけどね、特に暴食の悪魔なんかは」<br /><br /> 「しかし憤怒だけは例外です 憤怒の悪魔の魔王サタンは未だ魔界に居る身」<br /><br /> 「無意識にカースを生み出す自我の弱さも彼には全く有りません」<br /><br /> 「しかし貴方は生まれた、それは何故か」<br /><br /> 「この私、邪龍ティアマットが奪った憤怒の王の魔翌力を元に生み出したからです」</dd> <dt id="a24"><span class="resnum">24</span>:<span class="name" style="color:#008000;"><b>saga忘れてた…</b>◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 20:58:33.26 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「私が生み出した呪いによって長い間奪い続けた彼の魔力によってやっと魂だけでも動くことができるようになったので何人か種を撒いた」<br /><br /> 「そして貴方だけが生き残り 憤怒の王の資格を得ることが出来ました」<br /><br /> 「貴方には私が持ってる魔王サタンの魔力を差し上げたいと思っております」<br /><br /> 「貴方の素質は素晴らしい 様々な状況によって生まれた憤怒だけでなく」<br />   ずっと持ち続けた他人への嫉妬、傲慢で強欲な復讐劇」<br /><br /> 「邪魔な怠惰や暴食、色欲以外の様々な罪をお持ちになってる」<br /><br /> 「貴方はただのカースドヒューマンにしておくのは相応しく無い」<br /><br /> 「貴方こそが新たな王にふさわしい存在でございます」<br /><br /> 「もしかしたら、もしかしたら憤怒だけでなくすべてのカースの王にだってなれるかもしれません」<br /><br /> 「所詮は他人の魔力ですので自由に使えるようになるまで何日か時間は必要ですが」<br /><br /> 「強欲の王が倒れ魔力管理人が潜伏、地下世界の侵攻と時間があるのは今です」<br /><br /> 「一応聞いておきますか、貴方の答えは?」<br /><br /> 「お人形さん?」</dd> <dt id="a25">25 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 20:59:39.54<span class="id">ID:J+jgk+P0o</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 正直信じられない<br /><br /> 私はただの少し力を持っただけの人間で<br /><br /> きっとカースの力なら色んな物に勝てるって思ってた<br /><br /> でも現実はそうじゃなくて<br /><br /> ヒーローだけじゃなくって魔族やら龍族やら色んな物を敵に回して<br /><br /> その上私が新たな王?<br /><br /> こいつの胡散臭い言葉に惑わされるのも嫌だ<br /><br /> でも<br /><br /> 勝ちたい<br /><br /> 勝って勝って勝って<br /><br /> 認められたい<br /><br /> あの人に、世界に、そして―私に</dd> <dt id="a26">26 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 21:00:35.02<span class="id">ID:J+jgk+P0o</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「まぁ聞くまでもありませんか」<br /><br /> 「…1つだけ貴方に言っておきます」<br /><br />                「私は、人形じゃない」</dd> <dt id="a27">27 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 21:01:17.47 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> おはようございます、今日もボクはカワイイです<br /><br /> 昨日は色々大変でした、泰葉さんは帰ってきてすぐ引きこもってしまいますし<br /><br /> まぁ昨日は昨日です<br /><br /> さぁて今日はどんな風にボクの可愛さを世界に…<br /><br /> 「さっちゃん!さっちゃん!大変だー! いやよくあることなんだけどね」<br /><br /> 「なんですか杏さん、貴方らしくもない」<br /><br /> 「うーんなんとなく…めんどくさいけど伝えなくちゃって思ったんだよ」<br /><br /> 「泰葉ちゃんが居なくなっちゃった」<br /><br /> うーん確かによくあることっちゃよくあることです<br /><br /> 逆に彼女はここにいることの方が珍しい気がするんですが…<br /><br /> 「…杏さん、お互いのカースを使って泰葉さんを探しますよ!」<br /><br /> 「めんどくさーい…でも今回は流石に手伝おうかなぁ なんか怖いし」<br /><br /> 珍しく杏さんも同じ物を感じてるんでしょうか<br /><br /> なんなんでしょう…この消えそうにない胸騒ぎは…すごい取り返しの付かない事になりそうな…</dd> <dt id="a28">28 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 21:02:00.89 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 邪龍ティアマット<br /> 憤怒Pの正体<br /> 元々自分の毒を用いた呪いの魔法が得意だった龍だが<br /> 規律の激しい龍社会に溶け込めず更に魔族の魔法に手を出した事で龍社会から追い出されることになる<br /> その後様々な魔法を組み合わせた魔王にさえ消すことのできない『他人の魔力を奪い続ける呪い』を生み出すことに成功<br /> 呪いをかけたのは本人かは定かではないが奪い続けた魔力は呪いの開発者の彼が持ち続けることになり一度滅ぼされたものの復活<br /> 魔力を渡し新たな憤怒の王を生み出すべくカースドヒューマンを作り続けた<br /> 最終的な目的は不明だが泰葉の事を異常に買っており憤怒だけでなくすべてのカースの王になれる可能性を示唆している<br /> ご覧の通り様々な喋り方やら態度やら声色を効果的に操りめちゃくちゃウザくて性格悪い<br /> 煽り性能は魔界龍世界共にきっとランク1であろう</dd> <dt id="a29"><span class="resnum">29</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 21:06:03.08 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> おっかしいなぁ…岡崎先輩でろでろに甘やかすss書きたかったのに…<br /> 龍と魔族の戦争とかその辺はぼかしてます 最悪こいつに押し付けても<br /> 色々な奴の共通の敵を作ってみました 魔族にとってもヒーローにとってもいい存在じゃない感じに<br /> あと最初はニーズホッグにしようと思ったら凄い所でアイディア被るものだなぁって</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a34"><span class="resnum">34</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum"><span class="namenum">2</span></span>ss/<span class="namenum"><span class="namenum">4</span></span>dt<span class="namenum"><span class="namenum">7</span></span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:13:30.06<span class="id">ID:vaDF+WPOO</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙ー<br /><br /> ベルちゃん「まさか私は無意識で産み出してたんですか~」<br /><br /> やべぇ……折角唯一かられないよう頑張ってたのに罪が増えてピンチ!<br /><br /> てな訳で、エスパーユッコ投下します</dd> <dt id="a35"><span class="resnum">35</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:14:46.28<span class="id">ID:vaDF+WPOO</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> とある研究施設。<br /><br /> 本来ならここは秘密裏に稼働し、世間には公表されておらず、静かな場所であった。<br /><br /> ……本来ならば……<br /><br /> 爆発が起こり、銃撃音が響きわたっていた。<br /><br /> そこには、吹き飛ばされて、グニャグニャに曲がった鉄柱に取り押さえられてる研究員達がいた。<br /><br /> そして、破壊されていく警備ロボと撃破されて気絶されていく警備兵達。<br /><br /> 残ったモノたちは、様々な装備で、その原因である≪少女≫を狙っていた。</dd> <dt id="a37"><span class="resnum">37</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:16:40.72 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 裕子「あまーい!!このエスパーユッコのサイキックフィールドで弾き返します!」<br /><br /> その少女は、空中に浮かび、目がまるでルビーのように真っ赤に輝いていていた。<br /><br /> そして、彼女に向かって来た攻撃は空間が捻じ曲げられ、反射されるように相手に跳ね返り、襲いかかる。<br /><br /> 警備兵A「超能力じゃねえだr…グガァァア!!!」<br /><br /> 警備兵B「おい!大丈夫か!?……畜生!!なんで、コイツらが脱走するんだ!?他の三人には逃げられたし、コイツだけでも確保s……ゴベバァッ!!!」<br /><br /> 警備兵C「む…無理だぁぁ!!第一段階の姿でこのいりょk…ギャァァァァァ!!!」</dd> <dt id="a38"><span class="resnum">38</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:18:14.85 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> それは≪脱走≫だった。<br /><br /> 脱走したのは、能力者の少女ではない。<br /><br /> とある機関が秘密裏に進めていたあるプロジェクトの実験体達だ。<br /><br /> ≪OZ計画≫<br /><br /> それは異星の技術を取り入れ、人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画だった。<br /><br /> ある星で見つかった金属生命体≪OZ≫。それは生物に寄生し、独自に進化していくモノだ。<br /><br /> それを軍事利用できないかと、ある機関は宇宙犯罪組織の協力を得て、身体が欠損した人間にそれを移植させた。<br /><br /> その金属はみるみるとその人間のパーツに擬態し、独自に進化をしていった。<br /> そして、その人間の身体を金属生命体にあう身体に徐々に侵食させていくのだ。<br /><br /> もちろん。それは人間の身体に拒否反応を起こしてしまう例は少なくない。最初に移植した段階で死んだ人間もいれば、侵食してる最中に死んだ者もいる。<br /> その為に成功した者は僅か4人だ。<br /><br /> その生き残った完成品の金属生命体をOZになぞらえて<br /><br /> ≪ドロシー≫≪スケアクロウ≫≪ティン≫≪レオ≫<br /><br /> という名前をつけたのだ。</dd> <dt id="a39">39 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:19:46.73 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 裕子「コレで粗方片付けたかな?」<br /><br /> そして、この少女---堀裕子もその一人。<br /><br /> OZ≪スケアクロウ≫を両目に移植されたモノである。<br /><br /> 事故で頭部を損傷し、両目も見えない状態の重傷人だったが、多額の礼金と共に病院からこの機関に移されたのだ。<br /><br /> つまり………両親に売られた形だ。<br /><br /> 裕子「これもこのエスパーユッコの超能力の力ね!」ドヤッ<br /><br /> ………決して、脳に障害を得てアホの子になったわけじゃないよ。うん。多分……<br /><br /> 裕子「三人も無事逃げられたみたいね」<br /><br /> その赤い金属のような目で≪確認≫すると、地面に降り立った。<br /><br /> 目は人間の目に戻っていた。<br /><br /> 裕子「私も速く逃げないと!そして自由だ!!」<br /><br /> 久しぶりの街に思いをはせながら、彼女は他の仲間と合流する為に立ち去った。</dd> <dt id="a40">40 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:20:15.40 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そして、この研究所の人達はSDFにしょっぴかれたが、宇宙犯罪組織の影は掴めなかった……<br /><br /> 何よりデータが破損されてる為に、何の研究をしてたかもわからなかった。<br /><br /><br /> 終わり</dd> <dt id="a41">41 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:23:44.42 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 堀裕子(16)<br /><br /> 職業・元実験体<br /> 属性・OZ≪スケアクロウ≫適合者<br /> 能力・千里眼、透視能力、空間の歪みが見え空間を曲げる、傷の自己修復。<br /><br /> ちょっと頭の弱いOZ適合者。<br /> 自称・エスパーユッコ。<br /><br /> 性格は明るく元気で、仲間思い。<br /><br /> 普段は普通の人間だが、≪スケアクロウ≫を発動すると、目が宝石のルビーのように真っ赤に輝く。それは金属でできている。<br /><br /> この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、両目に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。<br /> そして、この姿の時に、千里眼と透視能力が使える。<br /> 更に僅かな空間の歪みを作り出し、そこの空間にあるモノごと曲げたり、向かってくる銃弾や光線とかの起動を曲げ、逸らしたり、跳ね返したりできる。<br /><br /> 第二段階になると、まるで全身が金属でできたカカシのような異形の姿になるが、この姿にはならないようにしている。<br /><br /> 彼女は事故で、頭部を負傷し、両目を失明してしまったが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、売られた犠牲者だった。<br /> だけど、自力で脱出した。<br /><br /> 彼女の他にもあと3人仲間がいて、現在合流しようとしている。<br /><br /><br /> ≪OZ≫<br /> ある星で見つかった金属生命体。それは生物に寄生し、独自に進化していくモノだ。<br /><br /> その金属は、みるみるとその生物のパーツに擬態し、独自に進化をしていった。<br /> そして、その生物の身体を金属生命体にあう身体に徐々に侵食させていくのだ。<br /><br /> だが、ほとんどの生物に拒否反応を起こし、死んでしまい、今まで完全に成功した生物はいなかった。<br /> それに初めて完全に成功したのは僅か4人。<br /><br /> その完成品の金属生命体をOZになぞらえて、≪ドロシー≫≪スケアクロウ≫≪ティン≫≪レオ≫という名前をつけたのだ。<br /><br /><br /> 普段は普通のパーツだが、発動すると、移植した部分とその周辺だけが金属化し、異形化する。<br /><br /> 第二段階になると、全身が金属化し、異形化する。<br /><br /> なお、傷を受けてもしばらくしたら自己修復する。</dd> <dt id="a42">42 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:28:02.27 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 以上です。<br /><br /> どうしてこうなった?<br /> なんか、人工能力者つくりたいなと思ったらこうなっちゃいました……<br /><br /> なお、ユッコの能力は、わかりやすくいうと空の境○のふじ○んです。<br /><br /> そして、ユッコがスケアクロウなのはアホな子だからじゃないよ(眼を逸らし</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a46"><span class="resnum">46</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:06:56.13<span class="id">ID:CN8cD/wgo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 先輩頑張れ、超頑張れ!<br /> ユッコも頑張れ、色んな意味で頑張れ!<br /><br /> ちゃま投下します。</dd> <dt id="a48"><span class="resnum">48</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:08:32.94<span class="id">ID:CN8cD/wgo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> <br /> 桃華「わたくし、こう言う事ははじめてですのよ・・・・・・。」<br /><br /><br /> 桃華「これを・・・・・・どうすればいいんですの?」<br /><br /><br /> 桃華「ここを握って・・・・・・・もっと優しく?」<br /><br /><br /> 桃華「適当に弄ってるだけではダメですのね、難しいですわ。」<br /><br /><br /> 桃華「ですがやり方はわかりましたわ!次はわたくしが・・・・・・。」<br /><br /><br /> 桃華「そっ、そこはダメですわっ!」<br /><br /><br /> 桃華「あっ!ああんっ!」<br /><br /><br /> PLAYER 1 WIN !!<br /><br /><br /> 紗南「またあたしの勝ちだね!」<br /><br /> 桃華「今の反則ではありませんのっ!?同じところばかり攻撃して!」<br /><br /> 紗南「甘い甘い、これがこのゲームのルールだよ。」<br /><br /> 桃華「くっ、悔しいですわっ!次は、次こそはわたくしが勝ちますわよっ!!」<br /><br /><br /><br /> 本日、櫻井桃華は何故かテレビゲームに興じていた。<br />  </dd> <dt id="a49">49 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:10:12.80 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 三好紗南。<br /><br /> 七つの大罪の悪魔ベルフェゴールに憑かれた少女。<br /><br /><br /> あの日、死神ユズはベルフェゴールの魂を刈取った後、<br /><br /> 疲労で眠る紗南の身体を安全な場所まで運び、一旦放置。<br /><br /> 付近の住民が発見するのを待って、それを見届けると<br /><br /> ベルフェゴールの魂を持って魔界に帰還した。<br /><br /> 故に彼女は三好紗南のその後を知らない。<br /><br /><br /> あの後、<br /><br /> ここ数ヶ月の記憶が曖昧で、『悪魔に憑かれていた』と証言する少女を<br /><br /> 「然るべき機関で療養すべき。」と言う意見のもと、財閥の病院が保護したことなど。<br /><br /> そして、今は『強欲』の悪魔の手元に居ることなど知るはずも無いだろう。<br /><br /><br /><br /> 桃華「三好さんは、悪魔に憑かれていた頃の事覚えてますの?」<br /><br /> 紗南「・・・・・・ほんのちょっとだけね。」<br /><br /><br /> ベルフェゴールは彼女の肉体と精神を完全に支配していたはずだ。<br /><br /> 故に、その期間の事を彼女がほんの少しでも覚えてると言う事に『強欲』の悪魔は興味を示したのだ。<br /><br /> それが今、三好紗南がこの屋敷に居る理由である。</dd> <dt id="a50">50 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:12:31.49 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「その時の事、わたくしに教えてくださるかしら?」<br /><br /> 紗南「本当にちょっとだけだよ。覚えてない事の方が多いから。」<br /><br /><br /> 三好紗南は素直に答える。<br /><br /> なんとなく、櫻井桃華の質問には必ず答えねばならない気がしたからだ。<br /><br /><br /> 紗南「えっと、なんて言えばいいのかな。」<br /><br /><br /> 紗南「・・・・・・近くなのにずっと遠くから、あたしじゃない”あたし”を見てる感覚があってね。」<br /><br /> 紗南「あたしはそこに居るのにそこに居ない。そんな感じだったよ。」<br /><br /> 紗南「丁度、画面に映るゲームの主人公を見てる感じに似てる・・・のかな?」<br /><br /> 紗南「でもコントローラはあたしの手元には無くって、本当にただ見てるだけ。」<br /><br /> 紗南「その頃の”あたし”は、悪魔で。悪魔の仲間が居て。死神と戦ったりして。」<br /><br /> 紗南「まあ、ほとんど覚えてないんだけどね。」<br /><br /> 紗南「でも、一個だけ強烈に覚えてることがあるんだ。」<br /><br /><br /> 紗南「すごく・・・・・・すごく『退屈』だったよ。」<br /><br /><br /> 紗南「あたしもだけど・・・・・・たぶん”あたし”も、ね」</dd> <dt id="a51">51 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:14:25.71<span class="id">ID:CN8cD/wgo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華(なるほど、紗南ちゃま。)<br /><br /> 桃華(やはりあなた、本当は全部覚えていますのね。)<br /><br /><br /> この少女は全て覚えている。<br /><br /> そこに意思はなくとも、自分がベルフェゴールだったことを記憶している。<br /><br /> そして、その時にした事も、その時に感じたことも、やはり覚えている。<br /><br /><br /> ただ少女の脳が、理性が、全てを思い出すことを拒否しているのだろう。<br /><br /> ベルフェゴールの持つ情報の負荷と毒気は、14歳の少女には重すぎる。<br /><br /> 思い出せないのは、少女の精神の防御反応によるものだ。<br /><br /><br /> 桃華(思い出せないだけで、彼女の中にも記憶は確かに存在する。)<br /><br /> 桃華(それが分かれば十分ですわ。)<br /><br /> 桃華「ねえ、三好さん。」<br /><br /> 紗南「ん、何?」<br /><br /><br /> 桃華「その記憶、わたくしが貰ってもよろしくて?」<br /><br /> 『強欲』の悪魔は怪しく微笑む。<br /><br /><br /> 紗南「うん・・・・・・いいよ。あげる。」<br /><br /><br /> 『櫻井桃華の言う事には逆らえない』<br /><br /> 答える少女の目には、光はなかった。</dd> <dt id="a52">52 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:16:02.69 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">――<br /><br /><br /> 桃華「使い魔ですわね。」<br /><br /><br /> サクライPから送られてきた映像を見て、<br /><br /> 『強欲』なる彼女は、そこに映る物の在り方を看破した。<br /><br /><br /> サクライP『随分と変わった使い魔ですね。』<br /><br /> 通信先からサクライPが答えた。<br /><br /><br /> 桃華「魔翌力管理人の・・・・・・あ、いえ違いましたわ。」<br /><br /> 桃華「魔力管理人のユズちゃまにしか作れない使い魔ですから。」<br /><br /> サクライP『魔翌力?』<br /><br /> 桃華「・・・・・・異界の理のせいで言い間違えただけですわ。気にしたら負けですわよ。」</dd> <dt id="a53">53 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:17:42.19 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「魔法塔のクリスタルから製造された使い魔。」<br /><br /> 桃華「ベルフェちゃまの記憶にある姿とは少々違うようですけれど、」<br /><br /> 桃華「その存在を構成する要素は同じですわね。」<br /><br /><br /> サクライP『ニ体発見された時点でもしやとは思っていましたが・・・・・・どちらも本体ではないのですね。』<br /><br /> 桃華「本体は自分のフィールドに逃げ込んだのでしょう。」<br /><br /> 桃華「世界の狭間。穴熊を決め込むならあそこほど適した場所もありませんわ。」<br /><br /> 桃華「けれど、ユズちゃま。魔王の命も残り僅かですのにあまり悠長な事もできませんわよ?」<br /><br /><br /> 三好紗南から『搾取』したベルフェゴールの記憶は、彼女にとって非常に有益であった。<br /><br /> 死神ユズの詳細な来歴、天使「望月聖」の姿と居場所、<br /><br /> 魔王の娘ブリュンヒルデの地上での活動、魔王を侵す竜帝の呪い、<br /><br /> 悪用しようと思えば、幾らでもできそうな情報ばかり。<br /><br /><br /> 桃華「ベルフェちゃまにもう少し野心があれば、本当に怖い存在でしたわね・・・・・・。」<br /><br /><br /> 『怠惰』の悪魔の能力、つくづく恐ろしい力であったと思う。</dd> <dt id="a54">54 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:21:48.13 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> サクライP『本体の代わりを使い魔が勤めていると言う事は、』<br /><br /> サクライP『彼女には魔界からの増援は無い、と考えてよろしいのですか?』<br /><br /> 桃華「無いとは言い切れませんけれど、可能性は低いですわね。」<br /><br /><br /> 桃華「彼女ほど有能な者など魔界広しと言ってもなかなかいませんし、」<br /><br /> 桃華「それに先の戦争で魔界に有能な人材はほとんど残ってませんのよ。」<br /><br /> 桃華「今の日和った魔王に忠義を尽くすほどの人材となれば余計にですわ。」<br /><br /> 地上に来訪者達が現れても、行動を起こさない魔王に不信感を持つ悪魔も少なくはない。<br /><br /> そして、<br /><br /> 桃華「残る忠義に厚い者達も、魔界で虎視眈々と魔王の命を狙う不届き物相手に目を配らせねばなりませんから。」<br /><br /> あわよくば伸上ろうと画策する悪魔や、未だ復讐心に燃える竜族の生き残りを抑える者が魔王の傍に必要なのだ。<br /><br /><br /> 戦争による人材の減少と、魔王の威光の翳り。<br /><br /> それを良いことに、七大罪をはじめとする悪魔達がこぞって地上に出たので<br /><br /> さらに人材不足の傾向は悪化しているようである。<br /><br /><br /> 桃華「ユズちゃまだって魔力の管理と、兼任してわたくし達の捕縛を任されてますのよ。」<br /><br /> 魔力管理人とは決して暇なお飾り官職ではない。なにしろ世界の魔力のバランサーだ。<br /><br /> その魔力管理人に別の仕事を頼まねばならないほどに、魔界は手が足りていないのだ。<br /><br /><br /><br /> サクライP『なるほど・・・・・・魔界は随分と弱っているのですね。』<br /><br /> 桃華「・・・・・・あら。」<br /><br /> 桃華「ウフ、Pちゃま。きっと今すごく悪い顔してますわね♪」<br /><br /> 桃華「でも止めて置いたほうがいいですわよ。幾ら全盛期より弱ってるとは言っても、」<br /><br /> 桃華「それでもなお魔界は深淵ですわ。”人類が侵攻できるほど”には落ちぶれてはいませんわよ。」<br /><br /> サクライP『残念です。獲得できれば、人類はさらに進化できると思ったのですが。』<br /><br /> 桃華「ウフ、ウフフフ!Pちゃまは本当に面白い方ですわね!」</dd> <dt id="a55">55 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:24:51.85 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> しかし、悪魔である彼女にとって考えさせられる話ではある。<br /><br /><br /> ”あの日”から、人類は『異能』を獲得し、貪欲に外の『技術』を手にしてきた。<br /><br /> 『魔術』や『魔法』を扱う人間も居る。悪魔に対抗できる程度の力は十分にあるのだ。<br /><br /> いずれ、人間と悪魔の力関係が反転する事もあり得る事だろう。<br /><br /> 人類の魔界への侵攻も夢物語ではないはずだ。<br /><br /><br /> 桃華(いえ・・・・・・そもそも抑止力であるわたくし達、悪魔が戦争で弱ったからこそ、)<br /><br /> 桃華(人間の渇望に歯止めが掛からなくなったのですわ。)<br /><br /><br /> 人の『欲望』を愛し、『欲望』を力にする彼女にとっては、<br /><br /> それは特に不都合なことではなく、むしろ人類の欲望は積極的に煽っていきたい事なのだが。<br /><br /> 桃華(それはそれとして、気になりますわね。)<br /><br /><br /> 桃華(あの戦争は悪魔と竜の覇権争い。)<br /><br /> 桃華(結果は悪魔の勝利で終わりましたが、悪魔達もまた安くない代償を払いましたわ。)<br /><br /> 桃華(竜帝の崩御、死の呪いに侵される魔王、役職を持つ多くの悪魔達の死・・・・・・)<br /><br /> 桃華(・・・・・・出来すぎてますわね。)<br /><br /> 桃華(どう転んでも・・・・・・パワーバランスは崩壊し、魔界そのものが弱る。)<br /><br /> 桃華(もし、あの戦争を仕組んだ者がいるとするなら、魔界全土の衰退を望むもの?)<br /><br /> 桃華(それはいったい・・・・・・。)<br /><br /><br /> 何者なのか</dd> <dt id="a56">56 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:26:47.94 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「いずれにしても、今はユズちゃまですわね。」<br /><br /> 桃華「翼をもいだのはいいですけれど、引きこもられるのも面白くありませんわ。」<br /><br /> 桃華「あの使い魔を打ち倒せば、出てきてくださるのかしら。」<br /><br /><br /> サクライP『その使い魔ですが、我々としては材料となったクリスタルを手に入れたいのです。』<br /><br /><br /> 桃華「Pちゃまは貪欲ですわね♪」<br /><br /> 桃華「ですがアレには自己破壊機能がありますし、首尾よく無力化できたとしても」<br /><br /> 桃華「クリスタルは魔力管理人以外が触れれば消滅しますのよ。」<br /><br /> 桃華「それをどうやって回収しようと・・・・・・。」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・ああ、そう言う事ですの。」<br /><br /> 桃華「Pちゃまはわたくしに『動け』と言いたいわけですわね♪」<br /><br /><br /> サクライP『・・・・・・いえ』<br /><br /> サクライP『動くのは私どもです。貴女様は”その場所”に居てくだされば問題ありません。』<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・わかりましたわ。Pちゃまの手腕、期待してますわよ。」<br /><br /> サクライP『ご協力、感謝いたします。』<br /><br /><br /> かくして財閥は死神の使い魔を追い始める。</dd> <dt id="a57">57 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:28:52.30 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「そうそう、Pちゃま。紗南ちゃまの処遇ですけれど。」<br /><br /> 桃華「財閥の末端組織で能力者として使ってあげなさいな。」<br /><br /> サクライP『能力者としてでございますか?』<br /><br /> 桃華「記憶を貰うついでに、彼女の中身を覗かせて頂きましたけど。」<br /><br /> 桃華「『怠惰』の因子がわずかに残ってましたのよ。」<br /><br /> 桃華「ベルフェちゃまの依り代に選ばれるだけの事はありましたわね。」<br /><br /> サクライP『その力は奪わなかったのですか?』<br /><br /> 桃華「今はまだ小さい力でしたもの。わたくしには必要ない力ですわ。」<br /><br /> 桃華「それをどう扱い、どう成長させるかは紗南ちゃま次第ですのよ♪」<br /><br /><br /> 桃華「それに、たしか・・・・・・紗南ちゃまのご両親はベルフェちゃまに操られた後遺症があるのでしょう?」<br /><br /> 三好紗南の両親は、ベルフェゴールの洗脳によってすっかり怠惰な人間にされてしまっていた。<br /><br /> 彼らも財閥が保護し、治療を受けているところである。<br /><br /><br /> 桃華「財閥としてもタダで治療することもありませんし、ご両親が働けないなら」<br /><br /> 桃華「その分紗南ちゃまに働いて貰うのがよろしいですわよね?」<br /><br /> サクライP「わかりました、ではその様に手配いたしましょう。」<br /><br /> 桃華「頼みましたわよ、Pちゃま♪」<br /><br /><br /> こうして三好紗南の社会復帰が決まったのであった。</dd> <dt id="a58">58 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:30:25.11 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">おわり<br /><br /><br /> 『搾取』<br /> 『強欲』の悪魔マンモンの能力の一部。<br /> 対象1体から資産、生命力、魔力、能力、意思、記憶、経験などいずれかを奪い、自分の物とする。<br /> ただしマンモンより弱い相手にしか通用しない。<br /><br /> 『ベルフェゴールの記憶』<br /> 三好紗南がベルフェゴールとして見聞きした情報の記憶。<br /> 内容は主にゲームの攻略情報全般。<br /> 「もし次に紗南ちゃまとゲームで戦うことがあっても、今度は勝てますわ。」<br /><br /><br /> 三好紗南(14歳)<br /><br /> 職業:中学生、兼、財閥の能力者<br /> 属性:怠惰<br /> 能力:?<br /><br /> 「怠惰」を司る悪魔ベルフェゴールに憑かれていた少女。<br /> 悪魔に精神を乗っ取られていたが死神ユズによって開放される。<br /> 一度は財閥の病院に運ばれ、治療を受けていた。<br /> その後、マンモンによって記憶の一部を奪われて社会復帰。<br /><br /> 元の中学校に通いながら、今も入院している両親のために<br /> 能力者として財閥に扱き使われてるとか使われてないとか。<br /> 記憶を奪われたために桃華との面識は無い。</dd> <dt id="a59"><span class="resnum">59</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:31:27.44 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 紗南ちゃんが倒れたまま放置されてたので、使わせていただいた。<br /> 魔界関係の話はおかしいところあるかもしれない。都合が悪かったらスルーで<br /><br /> 屋敷の外に出ようとしない桃華ちゃまはユズポンのこと引きこもりとか言えないって思うな!</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a63"><span class="resnum">63</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:27:55.56<span class="id">ID:BXdQXBXW0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 三好家の明日はどっちだ!<br /><br /> もし空いてたら、少ししてから投下するよー</dd> <dt id="a64"><span class="resnum">64</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx<span class="namenum">53</span>OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:32:00.81<span class="id">ID:BXdQXBXW0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 相変わらずチグハグな街だ、名前ではネオトーキョーと名乗ってはいるが河川は淀み、街は荒廃しているようにすら見える。<br /> とてもまともな見立てで立てた街じゃない、どの法則も無視して取り敢えず立てたような町並み。<br /> どちらかと言うと、この街は昔あったような九龍城砦に似ている。<br /> 一言で言うと滅茶苦茶、この意匠は明らかに何も寄せ付けない形になっている。<br /><br /> 早苗「まあ、こういう時は元の職に頼るに限るわ」<br /><br /> そう言って服の袖を捲る、今日は面倒なことになりそうだった。<br /> ネオトウキョウは全部で何層にも別れた、ウェハースのように広がっている。<br /> 下層に行くほどドブや、『歪み』そして様々な情報が増えてくる。<br /><br /> П「……で?今何と」<br /><br /> 早苗「勿論、ネオトーキョーに行くわよ、準備しなさい」<br /><br /> 露骨に嫌そうな顔をしてくれる、そりゃそうか。<br /><br /> П「どうせ、また露骨に嫌なものを見せてくれるんだろ」<br /><br /> 早苗「そりゃあそうよ、じゃなきゃ君を一人でここに呼び出したりはしないもの」<br /><br /> 思いっきり嫌な顔をされた、まあ仕方がない、何しろ今は量より質、優れた人材がほしいもの。<br /><br /> П「自分でどうにか出来ないことを、人にやらせようとするんじゃない」<br /><br /> 早苗「そうなるかはまだ決まってないわよ、ただそうなるかもしれないってだけ」<br /><br /> 今日向かう場所はネオトーキョー、埋立地と名目して作られた迷宮都市、地下部である。<br /> 車を走らせ、隣で奇妙な新聞…何でもゴースト付きが出た、企業の闇…という紙面に目を走らせる青年を見る。<br /> 何とも緊張感にかけた顔で、車の中にあったスルメイカを貪っており、目は眠たげな顔をしている。<br /> これから、命がけの仕事に行くとは思えない顔だ。</dd> <dt id="a65"><span class="resnum">65</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:35:45.13 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> П「で、今日は何を探しに行くんだ」<br /><br /> 早苗「言うなれば悪いやつ探し、詳しく言うと昨日このネオトーキョーにアンダーワールドってとこから来てる奴が、停泊しているみたいね」<br /><br /> П「へぇ、どんな目的だ」<br /><br /> 早苗「アイドル攫いが目的ですってよ」<br /><br /> П「今時熱心な追っかけも居たもんだ」<br /><br /> 何とも緊張感にかける、だがコイツは生まれてこの方、ずっとこの調子で生きてきたのだ。<br /> 天邪鬼で、人を困らせるのが大好き、だが根が腐っているわけではない。<br /><br /> 早苗「アンダーワールドの人間は元来目が悪い、そして高度な技術力を持っているそうよ」<br /><br /> П「へぇ、何でわかるんだ?」<br /><br /> 早苗「何時ものアレよ」<br /><br /> П「ああ、アレか」<br /><br /> そう言うと二人共黙りこみ、早苗は運転、Пはイカの咀嚼に勤しむ。<br /><br /> П「あぁ…くっせぇ……」<br /><br /> 隣席でイカを咀嚼してゲップをしたПがボッソリつぶやいた、確かに臭い勿論2つの意味でだ。<br /> 一つ目は隣でスルメとコーヒーを食って、ゲップしたバカの吐く息。<br /> もう一つは、第2の九龍城塞とも言えるネオトーキョー地下部、そしてある意味人類の坩堝である。</dd> <dt id="a66">66 :<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:37:28.14 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 早苗「あぁ!もうその臭い息どーにかしなさい!」<br /><br /> そう言って口内へペパーミントの清涼剤を放り込む、Пが口をムグムグと動かすと、ふぁぁと間延びしたあくびが出てきた。<br /> コイツここに捨てて行こうかしら……<br /><br /> 早苗「ここからは歩きよ、と言っても隣の部屋だけど」<br /><br /> П「こんなトコまで物好きなこったなぁ、ええ?『風水師』さんよ」<br /><br /> 早苗「……まあね、此処でしか集まらないものも、あるからかしら」<br /><br /> 片桐早苗、通常時はただの婦警だが、その情報網は自分の足と過去に得た能力によるものである。<br /><br /> 早苗「まさか今更になって、この能力が役に立つなんてね」<br /><br /> 五行…世の中を5つの要素とした時、土、金、水、木、火の5つに分けられる、風水師はそれを操る者の事である。<br /><br /> 早苗「まあ、簡単に言うと土地を整理して、大地の能力を自分の味方につけるものってことね」<br /><br /> П「しかし嫌な警官だなお前も、悪徳企業が生んだ『歪み』を利用して、逆に弱点にするとはね」<br /><br /> 早苗「褒められたもんじゃないけどね、ま、直せないなら利用するだけよ」<br /><br /> 風水師は本来はこういう街に立ち入って、土地を整えるのが仕事だが。<br /> 金は誰も寄越さないし、こういう街は寧ろ訝しんで拒否されるのがオチだ。<br /> だったら、逆に歪みを集めて『誰も立ち寄れない空間』を作ればいい。<br /><br /> 早苗「そこだけに歪みが集まる、そしてそれを利用すれば、悪魔も神様も気味悪がって近づかない地域の完成、ってわけよ」<br /><br /> 今回は早苗の指示通り通って此処にたどり着いたが、自分一人、もし能力無しで帰ることは不可能だろう。<br /><br /> П(だって、此処らへん全部空間が歪んでるんだもんなぁ)<br /><br /> コンパスは磁気を狂わされるし、地形は流体的に動き、常に変動し続ける。<br /><br /> П「なる程、そりゃあ誰も近づかないわ」</dd> <dt id="a67">67 :<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:40:23.46 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> この部屋と隣の部屋は固定されているが、今もこの中心点以外は流体的に動作し続けている。<br /><br /> П「他に此処に辿り着ける奴は居るのか?」<br /><br /> 早苗「たどり着いたからさっき入り口に、ドロドロに溶けた人間が落ちてたのよ?」<br /><br /> П「……」<br /><br /> 人外魔境、所謂『歪み』によって生じた波に運悪く深くまで呑まれた人間は、生きた死体として延々彷徨い続ける。<br /> 恐らく、この歪みによって死ぬことすら出来ず、このままあの人間はあそこにあり続けるのだろう。<br /> 先程の臭いの原因…恐らく、チンピラであろう蠢く肉塊をもう一度見返した。<br /><br /> 早苗「まあ、半死体がただのチンピラで良かったわ」<br /><br /> そう言って、道中で拾った車内の『女の子』に目を配る。<br /><br /> П「……」<br /><br /> 早苗「あんたも、本当に昔のトラウマが消えないのね」<br /><br /> 部屋に札を貼り直し、部屋の維持を強固にしつつ、早苗が呟く。<br /><br /> П「どうでもいいだろ、んな事」<br /><br /> 早苗「…まあ、いいけどね」<br /><br /> 半分呆れたように部屋の整備をし終え、酒を地面に振りまきマッチで火を付ける。<br /> すると地面が歪み、今のネオトーキョーの地図を作り出し、目的の男の顔と場所の地図を映し出す。<br /><br /> 早苗「歪みは様々なもの……言うならば情報も集めて動き続ける、それでこの男を見つけて終了ってわけよ」<br /><br /> П「…で、どうすんだコイツ」<br /><br /> 早苗「……アンダーワールドの人間は『日本国内には居ない』……法的に居ない人間を法律で死刑には出来ないわ」<br /><br /> П「……嫌だなぁ」</dd> <dt id="a68">68 :<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:43:13.42 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> パシュン……カランカラン、という音が聞こえたような気がした、だがそれ以上にお腹が空いていた。<br /><br /> どうやら自分は、誰かの車の中に居るようだ。<br /><br /> 小梅「………?」<br /><br /> 外を見ると、渋い顔の男とやけに疲れた婦警のような風貌の二人が銃をカバンに閉まって、コチラにあるってくる様が見えた。<br /><br /> 小梅(も…もしかし……て、き…企業のお、追手…?)<br /><br /> 小梅が昨日見た記憶を思い出し、そして……心臓が高鳴るのを感じた。<br /><br /> 二人は銃を車のトランクに仕舞うと、ドアを開けた瞬間鼻腔になぜだか、爽やかな安らぎを感じる匂いを感じた。<br /><br /> 小梅「……?」<br /><br /> П「……起きたのか」<br /><br /> 小梅「……だ、誰…?」<br /><br /> 早苗「片桐早苗……『普通の東京の警官』よ」<br /><br /> П「ただの…『女子寮のオッサン』だよ」<br /><br /> 小梅は何となく、Пの方からする匂いが気になり、鼻をヒクヒクさせていると、Пが何を思ったのかスルメを手渡し。<br /> 早苗に思いっきりケツを蹴られたのだった。<br /><br /> П「おい!いてぇじゃねぇか!」<br /><br /> 早苗「バカやってないで早く出すわよ!何時追手が来るかもわからないんだから」<br /><br /> そう言うと、小梅がスルメを取り敢えずしゃぶっている中、二人が騒がしく車を出すのを見て、一先ずもう一度眠りに付くことにしたのだった。</dd> <dt id="a69">69 :<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:45:19.81 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 今日はここまで<br /><br /> 今日の出来事。<br /><br /> 謎の出資者『奥山沙織の確保の直接の依頼者』がおっ死にやがりました、凶器はライフルと見られていますが、『弾に比べて、射程を遥かにオーバーした距離からの脳幹への一撃』です。<br /><br /> 地下に逃げ込んだ白坂小梅が『女子寮』に一時的にドナドナされました。<br /><br /> ネオトーキョー地下空間にゴールのない、『不思議なダンジョン』が形成されました、運があるなら抜けれるかも。<br /><br /> 追加設定<br /><br /> 片桐早苗(28歳)<br /><a href="http://jump.vip2ch.com/http://i.imgur.com/PkVYNog.jpg" style="text-decoration:none;" target="_blank">ttp://i.imgur.com/PkVYNog.jpg</a><br /><br /> 能力:風水師(New)<br /><br /> 能力は風水師、直接的戦闘は苦手だが、その分『土地を変質』させて戦うことが出来る。(New)<br /> また、各地の『土地』から情報を集め、行動することが出来る。<br /><br /> П(読み:ペー)(23歳)<br /><br /> 過去のトラウマにより親しい人間や、子供が傷つくと精神軸が揺らぎ、吐き、ヘタすると気絶する。<br /><br /> 『歪み』<br /><br /> 空気の淀みや、汚れ、穢れが溜まって重積したもの、最終的に土地を異界へ変質させる。<br /> そこへはまともな人間なら、誰も本能的に立ち寄らない。<br /> 本来は、自然の力によって浄化されるべき存在だが……?</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a71"><span class="resnum">71</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY<span class="namenum">2</span>y<span class="namenum">1</span>UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:55:09.36 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙です<br /> 奥山ちゃん安全になったよ!<br /> 小梅ちゃんするめカワイイ<br /> 投下します</dd> <dt id="a72"><span class="resnum">72</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY<span class="namenum">2</span>y<span class="namenum">1</span>UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:55:35.39 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「姫様に見つかったぁ!?そんでもって呼び出し食らった!?…どういうことなの…」<br /><br /> 「ごめんなさーい!」<br /><br /> ユズが引きこm…籠城を初めて一日目。使い魔から送られた連絡は全くもって予想以上に酷い物だった。</dd> <dt id="a73">73 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:56:06.97 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 朝の神崎家。今日も学校へ行く姉妹が朝食をとっていた。<br /><br /> しかし、その平穏もニュースの音で破られる。<br /><br /> 『死神の格好をした謎の少女!強力な能力でカースを生み出し、我々を恐怖の渦へ…!彼女の目的はなんなのか!GDF、アイドルヒーロー同盟は彼女の目撃情報を…』<br /><br /> バギャ!ドン!という音でニュースが途絶えた。<br /><br /> 「…あ、あれ!?テレビが壊れた!?お、おかーさーん!」<br /><br /> 蘭子が二階で掃除中の母親を呼びに行ったが、昼子ことブリュンヒルデは激怒していた。<br /><br /> 「…ユズの紛い物だと…!」<br /><br /> ニュースの一部の映像が偽物であることはすぐに見抜けた。…それよりもだ。<br /><br /> 自らの…悪姫の魔術教師が犯罪者扱いとはどういうことだ。<br /><br /> その怒りが魔力を暴走させ、テレビを破壊したのだった。<br /><br /> 「…ユズ、どうして人間界に…?」</dd> <dt id="a74"><span class="resnum">74</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:57:10.42 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 学校帰り。昼子はいつもよりイライラしていたが、学校生活に支障が出るほどではない。<br /><br /> 父からの教えだ。怒りは抑えなくては。…朝あんなことをして言うことではないと思うが。<br /><br /> 他の友人と別れ、家へあと少しというところだろうか。ふと、気配を感じた。<br /><br /> 「「げげぇ!」」<br /><br /> さっと隠れたが、見逃す程甘くもない。<br /><br /> 「…ユズの使い魔か。こっちへ来い。」<br /><br /> 「へ?何あれ?」<br /><br /> 「どうする?」「どーしよ?」<br /><br /> 「「逃げるんだよぉー♪」」<br /><br /> 空中へ楽しそうに高速で飛び出したそれに向かって連続で呪文を唱える。攻撃魔法ではないから蘭子の補助はいらない。<br /><br /> 『大いなる精霊よ、我が力を代償に汝の潜む魔の霧の力を分け与たまえ!ミスティマジック!』<br /><br /> 『この広大なる地球よ、大いなる我が力に従い、その万能なる拘束を強めたまえ!グラビティ!』<br /><br /> 「「ぐえー!」」<br /><br /> 昼子が指定した空間の重力が強くなり、二体の使い魔が落下する。<br /><br /> そして、辺りはいつの間にか尋常ではない量の霧に覆われていた。<br /><br /> 「なにこれ…昼子ちゃん、一体何をしたの…?」<br /><br /> 「ありとあらゆる物を遮断し、敵意を持ってこちらへ向かう愚か者を永久に迷わせる魔の霧だ。さぁ安心して話せ。ユズはどこだ!」<br /><br /> 「「ご主人様はショックで引きこもりましたー!」」<br /><br /> 「今すぐ連れて来い!一人は人質だ!いいな!」<br /><br /> 「「は、はいー!」」<br /><br /> 蘭子は久々に昼子の魔族らしさを見た気がした。</dd> <dt id="a75">75 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:57:52.22 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…姫様。お久しぶりですね。いろいろ考えて魔の霧を使えるとは…。成長なさいましたね…痛っ!」<br /><br /> しみじみと言うユズに昼子はでこピンを食らわせる。<br /><br /> 「フン、狙われているお前と話せば割れまで狙われるのが不都合なだけだ…蘭子、コイツは我の魔術教師のユズだ。」<br /><br /> 「ああ、姫様の契約者様。アタシは魔力管理人のユズです。」<br /><br /> 「あ、はい神崎蘭子です!」<br /><br /> 霧の中、3人の会話が始まる。使い魔は一度クリスタルに戻してある。<br /><br /> 「…父上に監視とカースの調査を命令されたとは…なんとも忙しいな。」<br /><br /> 「あはは、この位死神時代よりはマシですよー。」<br /><br /> ユズはあえて大罪の悪魔の事は話さなかった。姫様を戦いに巻き込むわけにはいかない。<br /><br /> 「それで、あんな映像、なぜ作られた?」<br /><br /> 「…」<br /><br /> …巻き込むわけには…<br /><br /> 「我に話してみよ…。で き ぬ の か ?」<br /><br /> …</dd> <dt id="a76">76 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:58:41.85 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…大罪の悪魔に目を付けられまして…」<br /><br /> ユズは今の身の安全を優先した。<br /><br /> そもそも魔術教師一日目で思い切り大怪我してから姫様には少しばかり苦手意識がないこともない。…結構ある。<br /><br /> (姫様とアタシの○○一日目って相性が悪いんじゃ…?)<br /><br /> もはや隠している事はサタンの呪いの事だけだった。<br /><br /> 「…そんなことがあったなんて…!」<br /><br /> 「大罪の悪魔め、父上が忙しい身でなければ一瞬で灰になっているほどレベル差があるというのに…ユズにまで手を出すとは…。そうだ!」<br /><br /> 昼子がユズの手を取る。正直爪が食い込んで痛い。<br /><br /> 「ユズ!蘭子にも魔術を教えてやれ!そうすれば我らの防衛策にもなるし、匿ってやれるぞ!」<br /><br /> 「「ええ!?」」<br /><br /> 蘭子とユズが驚きの声を上げる。<br /><br /> 「姫様!ただでさえ洗脳範囲がギリギリセーフラインだっていうのにまた何かする気ですか!」<br /><br /> 「知ったことか!大罪の悪魔の方がよっぽど悪いのだ!それに匿う程度なら、家の二人の洗脳を変更するだけで何とかなる!」<br /><br /> 「塔がありますから!アタシには塔がありますから!」<br /><br /> 「…駄目か?」<br /><br /> 急にしょんぼりとする。これにはユズも慌てる。<br /><br /> 「あー!大丈夫っぽいなー!塔じゃなくても大丈夫っぽいなー!」<br /><br /> 「そうか!じゃあうちに来い!」<br /><br /> (…わかりやすい騙し方の昼子ちゃんもそれに騙されるユズさんも何なのこれ…?)</dd> <dt id="a77">77 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:59:56.50 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ユズこと喜多見柚が神崎家に居候することになりました。<br /><br /> それと同時に周辺(家のある住宅街~学校辺りまで)に魔の霧が頻繁に発生するようになりました。<br /><br /> 祝・脱引きこもり!(一日目で終了)<br /><br /> 前回を含めたサブタイトル<br /> ユズ引きこもるよ!→ユズお外に出たよ!<br /><br /> 魔の霧(ミスティマジック)<br /> 本来は精霊などが自らの潜む地域に起こす異常に濃い霧。<br /> 高度な技術の魔術なので、使用できる魔族はかなり少ない。その分性能も高いが。<br /> 発動対象に僅かでも敵意、悪意等を抱いた場合、この霧に精神を犯され、長時間霧の中にいると二度と発動者に出会えなくなる。<br /> 人払いの魔法よりも上位の魔術と思って貰えれば大丈夫です</dd> <dt id="a78"><span class="resnum">78</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 01:01:15.02 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です<br /> ユズちゃんと昼子ちゃんの話を書こうとしたらこうなった。どうしてこうなった!<br /> 昼子ちゃん、久々に魔界の知り合いに会えてうれしいようです</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a86"><span class="resnum">86</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS<span class="namenum">0</span>ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/02(火) 03:14:50.18<span class="id">ID:pe0K5Xico</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> レイナサマお借りして雪菜と聖を掘り下げていきます</dd> <dt id="a88"><span class="resnum">88</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/02(火) 03:16:21.05 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 小関麗奈は苛立っていた。<br /> それもそのはず。<br /> ここ最近、自分の悪役としての存在意義があまりにも薄い。<br /><br /> 自称ではあるが『悪のカリスマ』であり、この世界を征服するほどの能力を持っていながら『南条光』こと『ブライト・ヒカル』には毎回の様にあっさりと敗れ、あまつさえ先日転校してきた『望月聖』には手も足も出なかった。<br /><br /> 麗奈「(これじゃあ、アタシがまるでやられ役のザコじゃないのっ!!)」<br /><br /> 今、世界ではほぼカースの存在で話題を持ちきり。<br /> 『ミッシェルフ・レイナサマ』の名など誰も気に留めていないのではないか。<br /><br /> 麗奈「(いや、光だけはそれでもアタシを悪人扱いしてくれるだろうけど…)」<br /><br /> 麗奈「……はぁ」<br /><br /> ため息。<br /> 虚しい。<br /><br /> 小関麗奈は幼き頃から自分自身を誰よりも尊い存在だと信じていた。<br /> だからこそ、その名を。<br /> その存在をこの世界に知らしめさせ、それを周りに認めさせたかった。<br /><br /> けれども、その術がわからなかった。<br /> とりあえずイタズラをして周りを困らせてみたが、時には生暖かい目で見られたり、冷たい視線で見られたりと『悪のカリスマ』と呼ばれる存在には程遠かった。</dd> <dt id="a89">89 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS<span class="namenum">0</span>ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/02(火) 03:17:48.59 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ただのイタズラっ娘としか見られない毎日。<br /> しかし、そんなある日のことだった。<br /> 麗奈は突如空から降ってきた闇に飲まれ変身能力を手に入れることになる。<br /><br /> その変身した姿が暗黒の鎧を身に纏う『自称・悪のカリスマ ミッシェルフ・レイナサマ』だ。<br /><br /> その力は麗奈のイタズラ心を膨らませ、様々なはた迷惑な行為を実現し可能とする。<br /> 麗奈は喜んだ。<br /> あの日、自分を包んだ闇の正体が一体何だったのかはわからないが、この力さえあれば、自分の名を知らしめることが出来る。<br /> 世界が自分に跪き、そして敬うのだ。<br /><br /> 笑いが止まらなかった。<br /> ついに自分の存在を認めさせる日が来たのだから。<br /><br /> しかし現実は甘く無かった。<br /> 自分が変身能力を手に入れたと同時にクラスメイトの『南条光』も変身能力を手に入れ、毎回のように邪魔をする。<br /> 最初は『悪のカリスマ』にライバルは付き物だとは思ったが、どうも『南条光』は自分以外にもカースや他の邪悪な存在とも戦っているらしい。<br /><br /> 現に先日、『南条光』が風邪で学校を欠席という話があったが、実際は自分以外の悪と戦っていたとの話だ。<br /> それはその日に同じく体調不良を理由に欠席をしていた転校生の『望月聖』しかり。<br /><br /> やはりあの二人は仲間だったんだ。<br /> だから『望月聖』も自分に立てついたわけだ。<br /><br /> 麗奈「(だったら、まずはアタシっていう脅威をどうにかしなさいよねッ…!!)」<br /><br /> まるでオマケ扱いされているみたいで気分が悪い。<br /> 苛立ちは募るばかり。</dd> <dt id="a90">90 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/02(火) 03:18:58.32 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そもそも何故、麗奈が『南条光』と『望月聖』が欠席して本当の理由を知っているのか?<br /> それは決して本人から聞いたわけでは無い。<br /> つまり人づてに聞いた話だ。<br /> では、誰がそのことをわざわざ麗奈に伝えるのか?<br /><br /> 学校の授業が終わり、放課後。<br /> 携帯にある人物からのメールを受信し、麗奈は自分の教室を出て、人の立ち入らない空き教室へと足を運んだ。<br /><br /><br /> ―――そこに待ち受けていたのは悪戯っぽく微笑む小悪魔的な笑顔を持つ少女<br /><br /> ―――否、邪悪な微笑みを浮かべる悪魔そのもの<br /><br /><br /> 雪菜「お疲れさまぁ♪」<br /><br /><br /> ―――「井村雪菜」こと「ルシファー」だった<br /><br /><br /> 麗奈「毎回思うんだけど、よく普通に中学校に忍びこめるわよね」<br /><br /> 麗奈「アンタ、どう見ても高校生ぐらいなのに」<br /><br /> 雪菜「そんなの簡単よぉ」<br /><br /> 雪菜「私のメイクなら、女子中学生になることぐらいわけないことだもの♪」<br /><br /> 麗奈「…あっそ」</dd> <dt id="a91">91 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:20:12.94 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 雪菜「結局今日は『南条光』ちゃんも『望月聖』ちゃんも学校には来なかったみたいねぇ♪」<br /><br /> 雪菜「貴女と違って大忙しってところかしらぁ?」<br /><br /> ルシファーがケラケラと笑う。<br /><br /> 麗奈「…っ!ケンカ売りに来たっての!?」<br /><br /> ルシファーの人を小ばかにしたような態度に麗奈が思わず吠える。<br /><br /> 雪菜「ちょっとぉ、そんなに怒っちゃイヤよ?」<br /><br /> 雪菜「むしろ、怒りたいのはぁ…」<br /><br /> 雪菜「―――その力を与えてあげたのに、まるで有効活用しない貴女に対してってところなんだけど?」<br /><br /> 麗奈「ぐっ…!」<br /><br /><br /> ―――あの日、空から降ってきて麗奈に力を与えた闇の正体<br /><br /> ―――それはルシファーの持つ魔の力だった</dd> <dt id="a92">92 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:21:28.80 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ルシファーは麗奈に自分の力を与えたその日から『南条光』に対する『望月聖』の接し方とは真逆、積極的に麗奈への接触を図っている。<br /><br /> 雪菜「私としても困るのよねぇ、レイナちゃん」<br /><br /> 雪菜「悪魔としての面目丸つぶれっていうのかしら?」<br /><br /> ルシファーの言葉が強く刺さる。<br /> しかし、麗奈が闇の力を手に入れて結果を出させていないのは事実。<br /> 例え、プライドの高い麗奈とはいえ何も言い返せない。<br /><br /> 麗奈「…アンタには悪いと思ってる」<br /><br /> 麗奈「この力を与えてくれたことに…それなりに感謝してるし…」<br /><br /> ルシファーはいけ好かない性格だが自分の野望を叶えるために手を貸してくれた存在。<br /> 彼女の期待に応えられない悔しい気持ちは微かにあった。<br /><br /> そんな麗奈をよそにルシファーはさらに不満を浴びせ、そして…<br /><br /> 雪菜「大体貴女のやってる悪事って、しょっぼいのよぉ」<br /><br /> 雪菜「どうせならぁ…」<br /><br /> 雪菜「―――クラスメイトを殺すぐらいしてみたらぁ?」<br /><br /> 麗奈「なっ…!?」<br /><br /> ―――13歳の少女には、あまりにも残酷な提案を持ちかけた</dd> <dt id="a93">93 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:22:25.31 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 麗奈「こ、殺すってあんた…」<br /><br /> ルシファーの提案に麗奈は思わず狼狽えてしまう。<br /> 麗奈はルシファーが悪魔だということは承知の上だったが、それほどその存在について深くは考えてはいなかった。<br /><br /> 野望は世界征服といえど、誰かを傷つけてまでそんなことをしたいわけじゃない。<br /> 凄い力を手に入れて、自分が凄い人物だと周りに認めさせる。<br /> 麗奈にとってはただそれだけで良かったのだから。<br /><br /> しかし今は目の前にいる悪魔『ルシファー』の冷たい視線が、たまらなく恐ろしいものに感じた。<br /><br /> ルシファーはそんな麗奈の様子を見て肩をすくめる。<br /><br /> 雪菜「呆れたわぁ。これぐらいの言葉で動揺しちゃうだなんてぇ」<br /><br /> 雪菜「貴女の誰よりも人の上に立ちたいっていう「傲慢」の感情……」<br /><br /> 雪菜「―――どうやら見込み違いだったみたいねぇ?」<br /><br /> 麗奈「…っ!!」<br /><br /> 怖い。<br /> 逃げ出したい。<br /> けれど、足が動かない。<br /><br /> 自分はこれからどうされてしまうんだろう?<br /> そんな感情が麗奈を支配した。</dd> <dt id="a94">94 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:23:12.99 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> しかし麗奈の感情とは裏腹にルシファーはケラケラと笑う。<br /><br /> 雪菜「あはっ♪そんな怯えなくても大丈夫よぉ♪」<br /><br /> 雪菜「別に今ここで、貴女に何かをしようだなんて思ってないからぁ♪」<br /><br /> 麗奈「……」<br /><br /> 麗奈は微かに安堵する。<br /> しかしそれもつかの間だった。<br /><br /> 雪菜「でもぉ…」<br /><br /> ルシファーは言葉を続ける。<br /><br /> 雪菜「流石に何かしらの結果は残してもらいたいものね」<br /><br /> 麗奈「け、結果って…?」<br /><br /> 麗奈は恐る恐る尋ねる。<br /><br /> 雪菜「さっきも言ったでしょう?」<br /><br /> 雪菜「―――殺すのよ。貴女のクラスメイト」<br /><br /> 麗奈「…!?」</dd> <dt id="a95">95 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:24:10.82 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 雪菜「何も全員を殺せだなんて言わないわぁ」<br /><br /> 雪菜「いるでしょう?貴女のクラスメイトの『南条光』こと『ブライト・ヒカル』」<br /><br /> 雪菜「あの子を殺してもらおうかなぁ」<br /><br /> 麗奈「な、南条を…?」<br /><br /> 『南条光』<br /><br /> それは決して自ら友人とは呼べる存在ではないが『南条光』個人として麗奈のことを友人と見なしているため、決して関係性は薄くない。<br /> その彼女を自らの手で殺める…?<br /><br /> 雪菜「言っておくけど拒否権は無いわよぉ」<br /><br /> 雪菜「私が与えた魔の力…本来なら人間を殺すことぐらい容易いことなんだから♪」<br /><br /> 雪菜「そうねぇ…期限は今から1週間ってところ?」<br /><br /> 雪菜「それまでに貴女が「南条光」を自らの手で殺めることが出来なかったその時はぁ…」<br /><br /> 雪菜「―――私が貴女のこと、殺してあげる♪」<br /><br /> 麗奈「―――!!」<br /><br /> 雪菜「それじゃ、貴女の活躍を期待してるから♪」<br /><br /> そう最後に言い残しルシファーはその場から姿を消す。<br /> 空き教室には麗奈一人だけとなる。<br /><br /> 麗奈「(アタシが南条を…)」<br /><br /> 麗奈「(そうしないと…アタシ、殺されて…)」<br /><br /><br /> ―――ルシファーに課せられた『南条光』抹殺の命<br /><br /> ―――そしてこの命が後に『小関麗奈』こと『ミッシェルフ・レイナサマ』の運命を大きく変えることとなる</dd> <dt id="a96">96 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:24:49.77 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ルシファーは麗奈の元を去り、自らの思惑を巡らせていた。<br /><br /> 雪菜「(別にレイナちゃんには期待していないけどぉ…)」<br /><br /> 雪菜「(これで、もしも『南条光』ちゃんをホントに自分で殺したりなんかしてくれたら私の手間が省けて儲けものよねぇ♪)」<br /><br /> 雪菜「(そしたら『天使様』はどう動くのかしら)」<br /><br /> 雪菜「(それに自らの希望を魔の力によって、掻き消された時の反応…)」<br /><br /> 雪菜「(うふ…考えただけでゾクゾクしちゃうっ♪)」<br /><br /> 雪菜「(天使様…)」<br /><br /> 雪菜「(…ううん)」<br /><br /> 雪菜「(―――『聖ミカエル』)」<br /><br /> 雪菜「(この世界が迎える結末が楽しみね…)」<br /><br /> 雪菜「(さてと…私はそろそろ死神の姿に変身してお仕事しよっかな♪)」<br /><br /><br /> ―――『傲慢』の大罪を司る悪魔であり<br /><br /> ―――そして『傲慢』の大罪を背負いし堕ちた天使<br /><br /> ―――ルシファーは今日も『死神ユズ』の姿で一人ほくそ笑んでいた</dd> <dt id="a97">97 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:29:55.30 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> おわりです<br /> 軽くまとめると<br /><br /> 雪菜さんは悪魔であり堕天使。<br /> ひじりんは四大天使の一人。<br /> レイナサマの力は雪菜さんが与えました。<br /><br /> 四大天使はミカエル以外にもガブリエル、ラファエル、ウリエルがいるので使えそうだったら使ってください。</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a98"><span class="resnum">98</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV<span class="namenum">6</span></span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/02(火) 03:41:05.05<span class="id">ID:ycr+R0dAo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> <span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;97</span><br /> おつです<br /> ひじりんの神々しさからすると、大天使と言われても納得<br /> でも、そうなると一般的に天国とか天界と呼ばれるような世界もあるってことになるのかな<br /><br /><br /> GDFと野々村さん投下します<br /> 相変わらず要らん展開が多いので状況に応じてスルーしてください…</dd> <dt id="a99">99 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV<span class="namenum">6</span></span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:42:11.96 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ──ある日のGDF本部──<br /><br /> いつもの三人は、基地内の休憩施設にあるカフェテリアに居た。<br /><br /> 志保「今日は何のパフェにしようかな~!」<br /><br /> 椿「たまにはぜんざいとかどうですか? ちゃんと杵つき餅使ってるから美味しいんですよね!」<br /><br /> 詩織「とりあえず、アンドロメダ焼きは外せないわ……」<br /><br /> 三人が三時のおやつの品定めをしていると、基地内に警報がけたたましく鳴り響いた。<br /> なにやら緊急事態が発生したらしい。<br /><br /><br /> 『陸戦部隊所属の各員は、至急作戦指揮所まで来られたし! 繰り返す──』<br /><br /><br /> 志保「ありゃ、問題発生ですか」<br /><br /> 椿「なにがあったんでしょうか」<br /><br /> 詩織「とりあえず、行きましょう」<br /><br /><br /> 指揮所に着くと、ほとんど満員に近い状態だった。<br /> 基地所属の陸戦兵のほとんどが集まっているようだ。<br /> 隊員が集まったのを見て、司令が説明を始める。<br /><br /> 司令「諸君、日々の任務ご苦労」<br /><br /> 司令「先ほど、第五地区から緊急入電が入った」<br /><br /> 司令「詳細は不明だが、突如"想像を絶する数のカース"が出現したとの内容だった」<br /><br /> 司令「既に近隣の第四、第三地区からは応援が出動している、我々第一地区もそれに続くことになる」<br /><br /> 椿「(想像を絶する数のカースって……)」<br /><br /> 詩織「(ただ事じゃないわね……)」<br /><br /><br /> 司令「なお、本作戦は、極東方面軍総司令が直々に指揮を執る」<br /><br /><br /> 「「「総司令が!?」」」<br /><br /><br /> 指揮所内の隊員達がどよめき立つ。<br /><br /> 椿「(極東方面軍総司令といったら、いつもは北米のGDF総司令部に引き籠ってるハズですよね)」<br /><br /> 志保「(そんなのがしゃしゃり出てくるなんて……)」<br /><br /> 詩織「(やっぱりただ事じゃないわね……)」<br /><br /><br /> 司令「作戦の詳細は道中で説明があるだろう」<br /><br /> 司令「陸戦隊各員は準備が整い次第、順次出撃となる……以上だ!」<br /><br /><br /><br /> 志保「あーあ、パフェお預けかぁ」<br /><br /> 出撃の準備をしながら、おやつを逃した件について志保がぼやく。<br /><br /> 椿「まあ、緊急事態じゃしょうがないですねー」<br /><br /> 詩織「こういう時の、食べ物に関する話題は死亡フラグよ……」<br /><br /> 志保「ま、まあ、ちゃっちゃと終わらして、帰って来たからまた食べればいいんですもんね!」<br /><br /> 椿「それじゃ、行きましょうか!」</dd> <dt id="a100">100 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:43:35.36 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> カースの大量発生現場へと向かった三人は、輸送ヘリの中から地上の様子を眺めていた。<br /><br /> 椿「これは……なんというか、すごい光景ですね」<br /><br /> 志保「かつてないカースの量ですよ……」<br /><br /> 詩織「現地の能力者とも協力して鎮圧に動いてるらしいけど……我々が劣勢みたいね」<br /><br /> あちこちから爆音や銃声、カースの咆哮が聞こえてくる。<br /> 普段は人間の生活圏である都市部が、さながら戦場の様相を呈していた。<br /><br /><br /> ヘリP「着いたぞ! あんたらの担当エリアはここだ!」<br /><br /> 椿「送っていただいてどうも!」<br /><br /> 三人は輸送ヘリから目標地点へと降りる。<br /> 到着した場所は空き地になっていて、簡易なバリケードと銃架、山積みになった弾薬箱等が配置されていた。<br /> 先遣隊が陣地を用意してくれていたらしい。<br /><br /> 志保「ここで撤退命令が出るまで立て籠もれば良いわけですね!」<br /><br /> 椿「民間人の避難誘導が完了すれば、装甲部隊を投入できるはずですから」<br /><br /> 詩織「つまりは、それまでの時間稼ぎって事ね……」<br /><br /> 志保「っ!! 一名様ご来店でーす!」<br /><br /> 椿「早速来ましたね!」<br /><br /> 詩織「ウサミン弾で粉々にしてやりましょう……」<br /><br /><br /><br /> その頃本部の指揮所では、展開している陸戦隊からの情報を受け、内勤の隊員らが忙しなく働いていた。<br /><br /> 「全部隊、展開完了しました!」<br /><br /> 司令「うむ……皆、なんとか持ちこたえてくれ」<br /><br /> 「司令! 通信が入っています」<br /><br /> 司令「繋いでくれ」<br /><br /> 通信士が端末を操作すると、指揮所内のモニターに年配の男性の姿が映った。<br /> 着ている軍服の胸には勲章が煌めき、いかにも偉そうな風貌である。<br /><br /> 『司令、首尾はどうか』<br /><br /> 司令「はっ! 作戦区域には既に我が陸戦部隊が展開しております」<br /><br /> 司令の態度から察するに、おそらくこの人物が極東方面軍総司令とやらなのだろう。<br /><br /> 総司『何においてもまずは民間人の避難を完了させるのだ』<br /><br /> 総司『その後、作戦を第二段階へと移行する』<br /><br /> 司令「(第二段階……?)了解しました」</dd> <dt id="a101">101 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:45:59.46 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> 志保「11時の方向! 大きいのが接近中ですよ!」<br /><br /> 椿「キリが無いですね……っ!」<br /><br /> 詩織「そろそろ虎の子のウサミン弾も切れるわ」<br /><br /> 戦闘が始まってからかれこれ数十分は休む間もなく戦い続けている。<br /> 陣地の弾薬は減るが、三人の疲労は溜まる一方だ。<br /><br /> 椿「早いとこ避難が済んでくれないと、持ちこたえられそうにないですね!」<br /><br /> 志保「今日の分のパフェを食べるまでは、やられるわけにはいかないですよ!」<br /><br /> 詩織「それだけ元気ならまだ大丈夫そうね……!」<br /><br /> 例え勝機の見えない戦いであろうと、上の指示とあれば挑まなければならない。<br /> 一兵卒の辛い現実である。<br /><br /><br /><br /> 作戦開始から一時間程経った頃には、<br /> GDF本部の指揮所には、戦地からの悲痛な通信が絶え間なく入ってくるようになっていた。<br /><br /> 『こちらパッション4! 負傷者多数! 救援を!!』<br /><br /> 『本部! 応答願います! 弾薬が尽きました! 撤退の許可を!』<br /><br /> 司令「(クソ……このままでは陸戦部隊は全滅だ!)」<br /><br /> 司令「(総司令は何を考えているんだ……!)」<br /><br /> 司令「総司令! 機甲部隊の投入を進言します! 既に大半の民間人の避難が完了しています!」<br /><br /> 総司『まだ慌てるような時間ではない』<br /><br /> 司令「しかしこのままでは!」<br /><br /> 総司『進言に耳を貸しはするが、命令を出すのは私だ』<br /><br /> 司令「くっ……!」<br /><br /><br /> 「司令! 輸送部隊からの通信です、最後の民間人の避難が完了とのことです!」<br /><br /> 総司『ふむ、頃合いだな……アレを使うぞ』<br /><br /> 「!?」<br /><br /> 司令「ま、まさか……」<br /><br /> 総司令の発言に、指揮所内の人間の顔色が変わる。</dd> <dt id="a102">102 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:47:57.79 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 総司『ああ、GC航空爆弾を使う』<br /><br /> 総司『展開中の部隊を下がらせろ、1700に投下予定だ』<br /><br /> 司令「そんな!? あれはカースどころか、街一つを消し飛ばします!」<br /><br /> 総司『熱くなるな、ここまでカースの増殖を許したお前にも責任はあるのだぞ』<br /><br /> 司令「そうは言いましても……!」<br /><br /> 総司『政府の承認も得ている、地域住民の避難も完了した』<br /><br /> 総司『何を躊躇う必要がある』<br /><br /> 司令「っ!」<br /><br /><br /> 総司『司令、これはな、一種のパフォーマンスなのだよ』<br /><br /> 総司『地底のモグラ共や異界の化け物共が、変に色気を出すことが無いように釘を刺しておくのだ』<br /><br /> 司令「しかし……もし現地にまだ残っている人間がいたら……」<br /><br /> 総司『我々の避難誘導に従わない人間のために、攻撃を中止する道理は無い』<br /><br /> 総司『まあ、火事場泥棒の類や、地底のゴミ漁り連中の何匹かは消し飛ぶことになろうがな』<br /><br /> 司令「……」<br /><br /><br /> 総司『我々の役目は"地球の平和"を守る事だ』<br /><br /> 総司『その為には、あらゆる手段を用いて事に当たる必要があるのだ』<br /><br /> 総司『多少の痛みを伴う事もあろうが、平和の代償としては仕方の無い事なのだよ』<br /><br /> 司令「……」</dd> <dt id="a103">103 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:49:34.34 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> カースの大量発生地域の上空を一機の航空機が飛んでいた。<br /> その航空機のパイロットが管制塔との通信を始める。<br /><br /> 航空機P「フリートレード1よりマイスタジオ、現在高度3万フィート、投下予定ポイント到達まで1分」<br /><br /> 『マイスタジオよりフリートレード1、投下ポイントの風速・湿度・気温全て正常値……オールグリーン』<br /><br /> 航空機P「フリートレード1了解、作戦を続行する」<br /><br /><br /> 航空機P「(いよいよ引き返せなくなったな……)」<br /><br /> 管制塔との通信を終え、航空機Pは物思いに耽る。<br /><br /> 航空機P「(俺がGDFに入隊したのは、人々の生活を……平和を守る為だった)」<br /><br /> 任務とは無関係の思考に走りながらも、種々の機器の確認をする手が止まる事は無い。<br /><br /> 航空機P「(だが、これから俺がやることは……それとは正反対の……)」<br /><br /> 航空機P「(破壊行為だ……)」<br /><br /> コンソールに安全装置の解除コードを入力し、投下ボタンに手をかける。<br /><br /><br /> 航空機P「フリートレード1、投下予定ポイントに到達……GC爆弾、投下!」</dd> <dt id="a104">104 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:51:49.73 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> 地上では、投入された部隊の大半が壊滅し撤退していく中、椿達は決死の抵抗を続けていた。<br /> 周りの部隊が撤退したため、標的を失った周辺のカースが一挙に押し寄せてくる。<br /><br /> 詩織「こっちは弾切れよ……後は拳銃だけしかないわ」<br /><br /> 椿「これ使ってください! こっちもこれが最後ですけど!」<br /><br /> 椿がライフルの弾倉を詩織に放り投げる。<br /><br /> 志保「懐かしいですこの感じ! ウェイトレス時代を思い出しますね!」<br /><br /> 迫るカースに向けて、機関銃を撃ちつつ志保が叫ぶ。<br /><br /> 志保「給料日後のピーク時とか! こんな風にお客さんが押し寄せて来てたものです!」<br /><br /> 椿「じゃあウェイトレス時代みたいに、お客さんを上手い事捌いてくださいよ!」<br /><br /> 志保「そうやって煽られると注文取り違えたりとかしちゃいますよ! ……あれ?」<br /><br /> 突然、機関銃から弾が発射されなくなり、志保は首を傾げた。<br /> 機関部からは煙が上り、銃身は真っ赤に加熱されている。<br /> どうやら酷使しすぎたために不具合を起こしてしまったようだ。<br /><br /><br /> 志保「あちゃー、頼みの綱が使えなくなっちゃいました!」テヘペロ<br /><br /> 椿「軽いですね!」<br /><br /> 詩織「これだからトリガーハッピーは……」ヤレヤレ<br /><br /> 絶体絶命のピンチでも、なお三人は軽口をたたき合う。<br /> どんな状況に置かれても決してあきらめない、GDFの心意気である。<br /><br /><br /> 椿「ん……この音は……」<br /><br /> ふと、どこからかヘリのローター音が聞こえた気がした。<br /> 直後、高空からの銃撃で目の前に迫ったカースの群れが薙ぎ払われる。<br /><br /> ヘリP「待たせたな! 乗ってくれ!」<br /><br /> 志保「遅いですよ!」<br /><br /> 椿「随分待たされましたよ……」<br /><br /> ヘリP「悪かったな! 残った部隊はあんたらで最後だ」<br /><br /> 詩織「何はともあれ、助かったわね……」</dd> <dt id="a105">105 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:52:52.23 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 三人がヘリに乗せられ、息も絶え絶えといった様子で一息ついていると、乗員から話しかけられる。<br /><br /> 「あんたらにも、コレを渡しておこう」<br /><br /> 椿「これは……」<br /><br /> 詩織「遮光グラス?」<br /><br /> 志保「何でこんなものを?」<br /><br /> 「悪い事は言わんから、それを着けておくんだ」<br /><br /> 三人は訝しがりながらも渡された眼鏡を着ける。<br /><br /> 「そろそろだな……」<br /><br /> 乗員が呟くと、突然周囲が光に覆われた。<br /> 遮光グラス越しでさえ目が眩む程の光量に三人は混乱する。<br /><br /><br /> 志保「な、なに!?」<br /><br /> 詩織「眩しいわね……」<br /><br /> 椿「あ、あれは……?」<br /><br /> 椿が機外を見やると、今まで自分たちが居た都市部が爆炎に包まれているのが見えた。<br /><br /> 「衝撃波が来るぞ! 掴まっておけ!」<br /><br /> 乗員がそう叫んだ直後、機が墜落するんじゃないかというほど激しく揺れる。<br /><br /> ヘリP「クソッ! 体勢を立て直せ! オートローテーションだ!」<br /><br /> 爆発の衝撃波に煽られ、パイロットの怒号と墜落の危険を知らせる警報音が響く中、<br /> 三人はそちらを気にする素振りも見せずに、ただ真っ赤に染まった空を眺めていた。<br /><br /><br /> 椿「私達……何のために戦ってたんですかね」<br /><br /> 志保「そりゃ、平和を守る為……ですよ」<br /><br /> 詩織「……」<br /><br /> 志保「だけど……これは……こんな事って……」</dd> <dt id="a106">106 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:53:33.13 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 詩織「二人とも……」<br /><br /> 今まで黙っていた詩織が口を開く。<br /><br /> 詩織「食べ損ねたおやつが、待っているわ……」<br /><br /> 椿「……」<br /><br /> 志保「……」<br /><br /><br /> 椿「そ、そうですね! 今日はたくさん働いたから、甘い物食べてゆっくり休みましょう」<br /><br /> 志保「でも、今からだと、夕食に被っちゃいますね! あ、夕食後のデザートなら良いかな?」<br /><br /> 二人とも詩織の意図を察し、努めて明るく振舞う。<br /> しかし、三人の胸中にはGDFの使命について複雑な思いが残るのだった。</dd> <dt id="a107">107 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:55:24.90 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ──その頃・GDF本部──<br /><br /> 「映像、繋がりました!」<br /><br /> 通信士の一人がそう言うと、指揮所内の一番大型のモニターに爆心地の様子が映し出された。<br /><br /> 「!!」<br /><br /> 司令「……」<br /><br /> そこには、文明の残り香はおろか、生命の一片の存在さえ許さないまっさらな大地が広がっていた。<br /><br /><br /> 「なっ……なんだこれは」<br /><br /> 「数時間前まで……人が生活していたんだぞ……」<br /><br /> 「これを……我々がやったというのか」<br /><br /> 「作戦区域内に……残存するカースの反応……ありません」<br /><br /><br /> 総司『ふむ、上出来だな』<br /><br /> 指揮所内の人間の困惑をよそに、総司令が満足げに口を開いた。<br /><br /><br /> 総司『ただいまを以って、本作戦の終了を宣言する!』<br /><br /> 総司『司令、後の事は任せたぞ……私は総司令部に報告を上げねばならんのでね』<br /><br /> 総司令はそう一方的に告げると、通信を切った。<br /> 残された司令は、うつむいて肩を震わせている。<br /><br /> 司令「……っ!!」<br /><br /><br /> 司令「何が『地球の平和を守る』だッ!!」バンッ!<br /><br /> 司令が怒りに震える拳を机に叩きつける。<br /><br /> 司令「これは……我々の……敗北宣言だ!!」<br /><br /><br /> その日、地図の上から街が一つ消えたという。</dd> <dt id="a108">108 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:56:17.08 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> 司令との通信を終えた総司令だったが、そこに間髪入れずに何者かからの通信が入った。<br /> 音声のみであるため、通信相手の姿は分からない。<br /><br /> 『見事な手際でした』<br /><br /> 『"我々"は、あなたの勇気ある決断を、心より賞賛いたします』<br /><br /> 総司「今回は、貴方達のお陰で難を逃れることが出来ました」<br /><br /> 総司「心より、御礼申し上げます」<br /><br /> 『いえ……今回の危機を乗り越えたのは、間違いなくあなた方人類の力によるものです』<br /><br /> 『我々は、今後も地球の皆さんの繁栄のために、協力を惜しまない所存です』<br /><br /> 『それでは、これにて失礼します』<br /><br /><br /> 総司「友好的な異星人……か」<br /><br /> 総司「何を企んでいるのか分かったものではないが」<br /><br /> 総司「人類に協力するというのであれば、できるだけ利用させてもらうとしよう」</dd> <dt id="a109">109 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:59:23.78 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> GDFの幹部との通信を終えた異星人──野々村そらは、内心でほくそ笑んでいた。<br /><br /> そら「("オモチャ"を与えられれば、それで遊ばずにはいられない……)」<br /><br /> そら「(所詮未開惑星の野蛮人か……御することは容易だったな)」<br /><br /> 六畳一間の中央に据えられたちゃぶ台の上には、ノートPCに偽装された異星人の端末が置いてある。<br /> そこには、先ほどのGDFの戦闘の一部始終が記録されていた。<br /><br /><br /> そら「(上層部の過激さを見せつけ、大半の隊員に不信感を抱かせる事に成功した)」<br /><br /> そら「(もう少し突ついてやれば、内紛も起こりかねないだろう)」<br /><br /> そら「(そうなれば、GDFとやらの戦力の低下は確実……)」<br /><br /> そら「(この分なら、今回の任務は思いのほか簡単に片付くかも知れないな……)」<br /><br /> そらは満足げに頷くと、端末を片づけ休息状態に入るのだった。<br /><br /><br /><br /> 地球人の滅亡を目論むそらの次なる一手とは如何に?<br /> 異星人の陰謀なんかに、負けるな我らのGDF!</dd> <dt id="a110">110 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 04:02:23.02 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ※GDFの戦力<br /><br /> 戦車や装甲車等の機甲部隊、ヘリコプターや戦闘機を中心とした航空戦力も保持してはいるが、<br /> 専らの敵対勢力であるカースや宇宙犯罪者は、人口密度の高い都市部に出現することが多いため、<br /> 小回りが利き火力も抑えられる歩兵が重用される傾向にある。<br /><br /><br /> ※世界のGDF<br /><br /> GDF総司令部(一番のトップ)は北米にあるらしい。<br /> 世界六大陸とさらにいくつかの地域に、各方面軍総司令部が設置されている。<br /> 椿達が居るのは極東(日本)方面軍総司令部。<br /><br /><br /> ※GC爆弾<br /><br /> 通称『ジェノサイド爆弾』<br /> "友好的な"異星人からもたらされたテクノロジーにより開発された秘密兵器。<br /> 基本は航空機から投下されるが、地上に設置して遠隔操作で起爆したりもできる。<br /> その威力の為半ば封印状態にあったが、この度カースの大量発生に伴い初めて実戦で使用された。<br /><br /><br /> ※モブキャラ達<br /><br /> 司令は椿達の所属する基地の一番偉い人<br /> 総司令は極東方面軍の一番偉い人ってことで<br /> ヘリP・航空機PのPはパイロットのP</dd> <dt id="a111">111 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/02(火) 04:06:17.39 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 投下終わりです<br /><br /> ・大量破壊兵器で大罪の悪魔連中をビビらせてやりたい<br /> ・絶体絶命のところにヘリとかが助けに来るお約束がやりたい<br /> ・野々村さんを暗躍させたい<br /><br /> って考えてたらいつの間にかこうなっていた<br /> 次からは茶番抜きにしてアイドルだけを書くんだ…<br /><br /><br /> あとカースの大量発生は前スレ<span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;483</span>の「フェス」を参考にさせてもらいましたが、<br /> もし設定的に問題があるようでしたらただの大量発生ってことにしておいてください</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a118"><span class="resnum">118</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:49:26.66<span class="id">ID:WaXLz+2q0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『流石にコレはやりすぎですね~』<br /> 「ここの街のお店気に入ってたんですけど…」<br /><br /> 廃墟になった街を海老原菜帆は歩いていた。<br /><br /> その顔は、暗い表情だった。</dd> <dt id="a119"><span class="resnum">119</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:50:25.39<span class="id">ID:WaXLz+2q0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『人間は、強力なモノを持つと、こういうな争いを産み出しちゃうのよね~』<br /> 「争いって何も産まないのにね。美味しいものが食べられません」<br /><br /> そして、立ち止りはじめる。<br /><br /> 『菜帆ちゃ~ん』<br /> 「なんですか~?」</dd> <dt id="a120"><span class="resnum">120</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:51:07.59<span class="id">ID:WaXLz+2q0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 『今回のコレ起こした原因に教えてあげましょ~?私達の食べ歩きを邪魔したらどうなるか~?』<br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a121">121 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:54:11.58 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 暴食を司る悪魔は、動き出す。<br /><br /> くだらない理由だ。<br /><br /> たかが、お気に入りのお店がある街を破壊されただけだ。<br /><br /> また他のお店にいけばいいだけの話だ。<br /><br /> だが、本人にとっては許せないのだ。食べ歩きを邪魔されたのだから。<br /><br /> それは、彼女にとっては死活問題なのだから!</dd> <dt id="a122">122 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:57:09.89 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ベルゼブブはこの街にいる虫達に命令を下す。<br /><br /> 今回の爆弾投下を命令した人物とそれを提供した人物を探すために。<br /><br /> 情報を持ってる虫は、他の虫に伝え、拡散し、最終的に私に伝えろと。<br /><br /> どんな情報でもいい。もし、入れない場所ならダニやノミに聞け。<br /><br /> 我々虫に入れない場所などないのだから。</dd> <dt id="a123">123 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 09:00:41.23 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 命令を終えると、ニッコリと微笑む。<br /><br /> 『コレでよし』<br /><br /> 「けど、魔界での法律は守ってるんじゃないですか?わざわざ見つかっても戦わないように」<br /><br /> 『大丈夫ですよ~。別にその原因を殺しはしませんから~。それに……』<br /><br /> 彼女の顔は、普段通りにのほほんと微笑む。<br /><br /> 『こういうのって、誰かが人類の同士討ちを狙ってる相場に決まってますよ~?つまり、人間じゃない可能性がありますから、魔界の法には引っかかりません~』<br /><br /> 「……ベルちゃん。怖いですよ~」<br /><br /> 暴食は嗤う。<br /><br /> コレを計画したモノに教えてあげよう。<br /><br /> 私を---悪魔の邪魔をしたらどうなるかを……</dd> <dt id="a124">124 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 09:01:47.59 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『じゃあ、情報が集まるまで気分を変えて美味しいもの食べにいきましょ~』<br /><br /> 「そうしましょ~」<br /><br /> そう言うと、彼女達はこの場所を去った。<br /><br /> なんの魔力もない虫達のネットワークは果たして、そらにたどりつけるか?<br /><br /> 終わり</dd> <dt id="a125">125 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 09:05:43.97 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 以上です。<br /><br /> それを見て、思いつきで書いたら、<span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;115</span>に当てられて焦りましたw<br /><br /> そらちゃん逃げてー!まあ、見つかっても殺されないとおもいます。<br /> ……記憶やら何か食べられるかもしれませんが…<br /><br /> そらちゃん改心させるのっていいのかな?</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a136"><span class="resnum">136</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 19:58:08.72 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 西園寺琴歌、浅野風香で投下します</dd> <dt id="a137"><span class="resnum">137</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 19:59:55.17<span class="id">ID:+OSYvGVtO</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「風香さん!風香さん!見てください!人がいっぱいです!」<br /><br /> 風香「こ、琴歌さん…。こ、声大きいですよ…。み、みんなこっちみてますよ…」<br /><br /> 街中ではしゃぐ二人の少女がいた。<br /><br /> 一人はどこかの令嬢みたいな子で、なんだか世間知らずっぽい感じだ。<br /><br /> もう一人の子は、眼鏡をかけて地味そうでなんだか臆病そうな感じである。<br /><br /> 彼女達は≪OZ計画≫の実験体で脱走者の≪OZ適合者≫。<br /><br /> 何年ぶりかの街に辿り着いていたのだ。</dd> <dt id="a138">138 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:01:06.31<span class="id">ID:+OSYvGVtO</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「申し訳ございません。ついはしゃいでしまいました」ショボン<br /><br /> 風香「お、落ち込まないでください….。ご、ごめんなさい」あわわ<br /><br /> ……なんだろう。なんだか見ててカワイイ。<br /><br /> 周りで見ている人達もなんだか、和んでいる。</dd> <dt id="a139">139 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:02:34.71 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 風香「と、ところで裕子ちゃんは大丈夫なのかな?……け、怪我してないかな?」はわわ<br /><br /> 琴歌「大丈夫です!裕子さんならきっと無事に帰ってきます。あなたもそう思うでしょう?」<br /><br /> そう言って、左横を見るが、そこには誰もいなかった。<br /><br /> あれ?って顔をした後に、キョロキョロと辺りを見渡し始める。<br /><br /> それに気づいた風香も一緒に、キョロキョロし始める。</dd> <dt id="a140">140 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:03:16.71 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「………」<br /><br /> 風香「………」<br /><br /> 琴歌「た、大変です!あの子がいらっしゃいません!!」<br /><br /> 風香「えっ、ええええええええ!!!ど、ど、ど、ど、どうしよう!!!!」<br /><br /> どうやら、あと一人仲間がいたようだが、いない事に気づき慌て始める。<br /><br /> 慌てる姿もカワイイ。</dd> <dt id="a141"><span class="resnum">141</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:04:13.19 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「た、大変です!探しましょう!」<br /><br /> そう言うと、靴を脱ぎ始め、彼女の両足が変化し始める。<br /> 銀色に輝く、ハイヒールを履いたような異形の両足に変化した。<br /><br /> 風香「だ、ダメだよ!こ、ここで≪ドロシー≫を使っちゃ……って、あれ?」<br /><br /> そう言って、慌てる風香だったが、以外にも周りは普通の反応だった。<br /><br /> 風香は知らない。自分達がOZ計画の実験体になってる間に街に様々な変化が起こり、こういうのは日常化されていることに。<br /><br /> 慣れって怖い……</dd> <dt id="a142"><span class="resnum">142</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:06:35.43 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「では行ってまいります!」ドシューン!!!<br /><br /> そう言うと、琴歌の姿は消えた。<br /><br /> 正確には上空に飛び高速で移動してるのだ……<br /><br /> 風香「い、いっちゃった……」<br /><br /> そう、ポツンと取り残された風香は空を見上げながら、呆然としていた。<br /><br /> そして、しばらくして、風香は気づく。<br /><br /> ---あれ?私達もバラバラになってない?</dd> <dt id="a143">143 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:07:45.31 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 風香「……………………ど、ど、ど、ど、ど、ど、ど、どうしよう!!」あわわ<br /><br /> 事の重大さに気づき、慌てふためく。<br /><br /> ただでさえ、臆病で弱気な彼女はパニックに落ちいった。<br /><br /> ………その時だった。<br /><br /> 『カネヲヨコセェェェェエ!!!!』<br /><br /> 風香「!?」<br /><br /> 突然、黒い泥のような不定形なモノ---カースが発生したのだ。<br /><br /> 風香「な、なんですか?あれ?………」<br /><br /> カースの発生に人々は逃げ出すが風香は足がすくんで動けなかった。</dd> <dt id="a144">144 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:09:07.27 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『オマエカネアルカァァァア!!!ジャンプシロヤァァァア!!!』<br /><br /> 風香「も、もってません!!!!!ご、ごめんなさいっ!!!」<br /><br /> 涙目になりながら、そう叫ぶがカースはお構いなく、風香に突撃してきた。<br /><br /> このまま彼女はカースにやられてしまうのか?<br /><br /> 誰もがそう思ったときだった。</dd> <dt id="a145">145 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:10:00.16 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ザシュン!!!!<br /><br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a146">146 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:11:04.75 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『アガッ………』<br /><br /> 風香に突撃しようとしたカースはナナメに五等分に切断された。<br /><br /> 偶然にも核も一緒に砕かれて……<br /><br /> 何が起こったのかよく見ると、風香の右手が変化していた。<br /><br /> 黄金に輝く、獣を思わせるようなフォルムの、五本の刃のような鋭い爪がついた異形の腕に……<br /><br /> 彼女の右腕に移植されたOZ≪レオ≫の超振動の爪の威力だ。</dd> <dt id="a147">147 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:12:30.58 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 風香「ご、ご、ご、ごめんなさぁぁぁぁいい!!」<br /><br /> 泣きそうになりながら、そう言うと、右腕が普通の腕に戻り、そのまま彼女は逃げたしてしまった。<br /><br /> 果たして彼女の運命は?<br /><br /> 頑張れ風香!負けるな風香!!他の三人に合流できるように!!<br /><br /> というか、一番の苦労人になるだろう!<br /><br /><br /> 終わり</dd> <dt id="a148">148 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:14:31.49 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 西園寺琴歌(17)<br /><br /> 職業・元実験体<br /> 属性・OZ≪ドロシー≫適合者<br /> 能力・両足強化、空中移動、超高速移動、自己修復<br /><br /><br /> 天然お嬢様なOZ適合者。<br /><br /> 性格は世間知らずで天然。<br /><br /> 普段は普通の人間の姿だが、OZ≪ドロシー≫を発動すると、銀色に輝く、ハイヒールを履いたような異形の両足に変化。それは金属でできている。<br /><br /> この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、両脚に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。<br /> そして、この姿の時に、脚力は強化され、空中移動や高速移動が可能になる。<br /> そこから放たれるキックは強力だ。<br /><br /> 第二段階になると、まるで全身が金属でできた異形の女性のような姿になるが、この姿にはならないようにしている。<br /><br /> 彼女は幼少の時から、両足が動けなく車椅子生活だったが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、拉致された犠牲者だった。<br /> だけど、仲間3人の協力で、自力で脱出した。<br /><br /> なお、コレでも戦闘訓練は受けている。<br /><br /> 現在は迷子。<br /><br /><br /><br /> 浅野風香(16)<br /><br /> 職業・元実験体<br /> 属性・OZ≪レオ≫適合者<br /> 能力・右腕強化、五本の爪から放たれる超振動斬撃、自己修復<br /><br /><br /> 小動物系な眼鏡のOZ適合者。<br /><br /> 性格は、自分に自信がなく怖がり。<br /><br /> 普段は普通の人間の姿だが、OZ≪レオ≫を発動すると、黄金に輝く、獣を思わせるようなフォルムの、五本の刃のような鋭い爪がついた異形の腕に変化。それは金属でできている。<br /><br /> この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、右腕のあった部分に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。<br /> そして、この姿の時に、右腕の腕力や振るう力が強化され、更に五本の刃のような爪が超振動し、鉄をも斬り裂く程。<br /><br /> 第二段階になると、まるで全身が金属でできた獅子のような異形の姿になるが、この姿にはならないようにしている。<br /><br /> 彼女は事故で右腕を失い意識不明の重体に陥るが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、親に売られた犠牲者だった。<br /> だけど、仲間3人の協力で、自力で脱出した。<br /><br /> なお、コレでも戦闘訓練とか受けている。<br /><br /> 現在は泣いてる。</dd> <dt id="a149">149 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:17:55.80 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 以上です。<br /><br /> あわわ…なんか風香ちゃんが苦労しそうな感じにしてしまった。<br /><br /> なんか変な所ありましたら、お願いします。<br /><br /><br /> 琴歌ちゃんが天然な風潮</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a152"><span class="resnum">152</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:03:30.93<span class="id">ID:PkzLcA4xo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「何て言えばいいかな……、一言で言うと、私天使なんだよね♪」<br /><br /> ――うちに来る人はどうしてこうも一言目から訳わかんないことを言うんだろうか。<br /><br /> ―――――ここは『プロダクション』。<br /><br /> ――以下略。<br /><br /> 未央「あっ、その顔は信じてないでしょ~!」<br /><br /> 未央「本当に本当! 私は天使なんだよ!」<br /><br /> 未央「自分の事を天使みたいに可愛いって自画自賛してるわけじゃ無くて!」<br /><br /> 未央「んー、でも可愛いっていうのは別に間違ってないからいっか☆」<br /><br /> ピィ「はぁ……」<br /><br /> ――本田未央と名乗った目の前の少女からは、<br /><br /> ――『天使』のイメージから連想される『慎み』のようなものが全く感じられず、<br /><br /> ――どちらかといえば親しみの湧くタイプの子で、<br /><br /> ――元気よくハキハキと喋るその姿は、<br /><br /> ――どこにでもいる普通の女の子にしか見えない。</dd> <dt id="a153">153 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:04:01.09<span class="id">ID:PkzLcA4xo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 未央「じゃなくて」<br /><br /> 未央「う~ん、天使……」<br /><br /> 未央「としか言いようが無いんだよねぇ」<br /><br /> ――何が何でも天使と言い張るつもりらしいが、<br /><br /> ――早速説明に詰まっている。<br /><br /> 未央「そうだ! 証拠見せてあげる、証拠!」<br /><br /> 未央「羽出してあげるよ☆」<br /><br /> 未央「ほいっ♪」<br /><br /> ――言うやいなや、宣言通り羽が生えた。<br /><br /> ――ぶわっ、と、<br /><br /> ――6枚の、計3対の大きな羽が、<br /><br /> ――事務所狭しと伸ばされる。</dd> <dt id="a154">154 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:04:29.65 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「上の羽二枚で顔を隠して、下の羽二枚で体を隠して、真ん中の羽二枚で空を飛ぶんだ~♪」<br /><br /> ピィ「わかった! わかったからしまってくれ!!」<br /><br /> ――空間が圧迫されてかなわん。<br /><br /> ―――――しかし、<br /><br /> ――本当に天使……、<br /><br /> ――に類する何らかの能力者かもしれないが……、<br /><br /> ――とりあえず、認めよう。</dd> <dt id="a155">155 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:05:00.57 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「しかもそんじょそこらの天使じゃないよ!」<br /><br /> 未央「なんと! 熾天使!」<br /><br /> ――してんし、というのが、どうそんじょそこらの天使と違うのか、<br /><br /> ――俺にはわからなかった。<br /><br /> 未央「セラフィム!」<br /><br /> ――英語で言われてもわからない。<br /><br /> 未央「天使にラブソングを、でも歌ってたよね~」<br /><br /> 未央「シング ウィズ アス いぇえ セーラーフィーム♪」<br /><br /> 未央「いやぁ、いい歌だよねアレ」<br /><br /> ――ついには歌を歌い始めた。<br /><br /> ――このままでは話が進まない。</dd> <dt id="a156">156 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:05:29.11 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「ちょっといいかな?」<br /><br /> 未央「おおっ! 何でも聞いて聞いてっ♪」<br /><br /> ピィ「……えっと、してんし?」<br /><br /> 未央「うん、熾天使」<br /><br /> ピィ「……」<br /><br /> 未央「……」<br /><br /> 未央「ご存じない?」<br /><br /> ピィ「うん」<br /><br /> 未央「え、マジで……?」<br /><br /> ピィ「マジで」<br /><br /> ――なにやら、心底『信じられない』みたいな顔をされてしまった。</dd> <dt id="a157"><span class="resnum">157</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:05:55.96 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「天使の階級で一番偉いんだよっ!?」<br /><br /> 未央「こう見えてすっごく偉いんだよ私!?」<br /><br /> 未央「知らないの!?」<br /><br /> ――へぇ、それはすごいな。<br /><br /> ピィ「でも、知らない」<br /><br /> 未央「ラ~ファ~エ~ルっ!」<br /><br /> 未央「ラファエル!」<br /><br /> 未央「本田未央ちゃんの正体はラファエルなのでした!」<br /><br /> 未央「知らないっ!?」<br /><br /> ピィ「まぁ」<br /><br /> ――ラファエル、といわれても、<br /><br /> ――ぶっちゃけ『熾天使』を知らないのだから、その中にどんな奴がいるかなんて余計わからない。<br /><br /> ――というか、本田未央じゃないのか、<br /><br /> ――お前は本田未央なのかラファエルなのかどっちなんだ。</dd> <dt id="a158">158 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:06:25.16 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「み、ミカエルは? ガブリエルは?」<br /><br /> ピィ「あ、それは何となく聞いたことある」<br /><br /> 未央「やっぱりそうなんだ! そっちは知ってるのに私のことは知らないんだ!!」<br /><br /> 未央「ああっ、影の薄いラファエルちゃん!」<br /><br /> ――その二人の天使の名前なら、何となく知ってる。<br /><br /> ――なるほど、ラファエルというのはその辺の天使と同格の存在、ということなんだろう。<br /><br /> 未央「むかぁしアスモデウスをやっつけたこともあるのよ!?」<br /><br /> 未央「今巷を賑わしてる七罪の悪魔のね!」<br /><br /> 未央「それも知らない?」<br /><br /> ピィ「?」<br /><br /> ――天使がどんな悪魔をやっつけた、みたいな逸話を聞かされても、<br /><br /> ――全然ピンとこない。<br /><br /> ――と、いうか……、<br /><br /> ――巷を賑わしている? 七罪の悪魔?<br /><br /> ――何の話だろうか、そっちの方が気になった。<br /><br /> 未央「あー、ここにいる人たち皆モブだからねー」<br /><br /> ――何やら非常に失礼なことを言われた気がする。<br /><br /> 未央「いやー平和なのはいいことだよ、うん」</dd> <dt id="a159">159 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:07:29.17 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「あ、そうそう、藍子ちゃん」<br /><br /> 藍子「はい?」<br /><br /> ――お茶を汲みに来た藍子に唐突に未央が声を掛けた。<br /><br /> 未央「彼女に力をあげたのも私☆」<br /><br /> 藍子「えっ」<br /><br /> ピィ「えっ」<br /><br /> ――いや、ちょっと待ってほしい。<br /><br /> ――そもそも、藍子に能力があった、という事すら最近知ったのだ。<br /><br /> ――しかもカースを退けた、という程度で、実際にどのような能力なのかもわからない。<br /><br /> ――というか俺は本当に能力を持っていることに無自覚だった能力者を連れてきてしまったことになる。<br /><br /> ――もう、とにかく藍子情勢に関しては色々と混乱しているので、<br /><br /> ――これ以上話をややこしくしないでほしい。</dd> <dt id="a160">160 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:08:02.20 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「やー、だってさ、毎日よ?」<br /><br /> 未央「皆が笑顔になれますように、優しい気持ちになれますようにってお祈りしてるの」<br /><br /> 藍子「なっ、何でそれをっ!?」<br /><br /> ピィ「可愛い……」<br /><br /> 藍子「ピィさんっ!」<br /><br /> 未央「それがものっすごい純粋なお願いなんだもん!」<br /><br /> 未央「私キュンキュンしちゃって」<br /><br /> 未央「あげちゃお☆ って」<br /><br /> 未央「あげちゃった♪」<br /><br /> ――ものすごい軽いノリで、目の前のいわゆる『熾天使』様が、<br /><br /> ――自分の力を、藍子に分け与えたことを説明した。</dd> <dt id="a161">161 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:08:34.11 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 藍子「あの、それで私の能力っていったい……?」<br /><br /> 未央「ズバリ! 癒しの能力!」<br /><br /> 藍子「癒しの……」<br /><br /> ――なるほど、合点がいった。<br /><br /> ――藍子のあの尋常じゃない癒しオーラは、能力によるものだったのか。<br /><br /> ――藍子自身の纏う雰囲気があんまり柔らかいもんだから気づかなかった。<br /><br /> 未央「私は癒しの天使♪」<br /><br /> 未央「その能力は人を癒すこと!」<br /><br /> 未央「どんな傷でも立ちどころに癒しちゃうよー☆」<br /><br /> ピィ「……ちょっと待った」<br /><br /> 未央「ん? なになに?」<br /><br /> ――今の説明には違和感がある。<br /><br /> ――藍子の能力は、癒しの能力だと言っていたが、<br /><br /> ――傷を治す力は無かったはずだ。<br /><br /> ――つまり。</dd> <dt id="a162">162 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:09:02.23 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「癒すの意味が違う……?」<br /><br /> 未央「……」<br /><br /> 未央「ほら、ニュアンスニュアンス」<br /><br /> 未央「心の傷を癒す!」<br /><br /> 未央「……ね?☆」<br /><br /> ――こんないい加減なのが偉い天使なのか。<br /><br /> 未央「何なら怪我を治す力もあげよっか?」<br /><br /> 未央「あー、でもそうすると女神が誕生しちゃうな……」<br /><br /> 未央「端的に言うとぐう聖」<br /><br /> ピィ「わかる」<br /><br /> 藍子「ピィさんっ!」<br /><br /> ――ただでさえ、藍子の側にいるだけで心身トロットロになってしまうのに、<br /><br /> ――更に痛いところを治してくれるようになるとか……。<br /><br /> ピィ「女神!」<br /><br /> 未央「聖女!」<br /><br /> 藍子「もうっ! からかわないでくださいっ!」</dd> <dt id="a163">163 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:09:30.92 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「で、何でカースを浄化できるんだ?」<br /><br /> 未央「簡単に言えばアンデッドに回復魔法が効くみたいな感じ?」<br /><br /> ――今の説明でわかってしまった自分が嫌だ……。<br /><br /> ――というかこの天使はゲームまで嗜むのか。<br /><br /> ――そういえばさっき映画の話もしてたな。<br /><br /> ――本当に普通の人みたいだ。<br /><br /> ――普通の人……。<br /><br /> ピィ「『ラファエル』なのに『本田未央』を名乗ってるんだ?」<br /><br /> 未央「あー、それね」<br /><br /> 未央「幽☆遊☆白書の蔵馬みたいな?」<br /><br /> ――どうやらマンガも読むらしい。</dd> <dt id="a164">164 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:09:59.56 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「『ラファエル』である私は、15年前人間の女の子に転生し!」<br /><br /> 未央「本田家に生まれ『未央』という名前を貰い!」<br /><br /> 未央「両親の愛情を一身に受け、すくすくと成長し!」<br /><br /> 未央「『ラファエル』という人格と力を持ちつつも!」<br /><br /> 未央「『本田未央』という15歳の女の子の感性も併せ持つ!」<br /><br /> 未央「ハイブリッド天使!」<br /><br /> ――ドヤ顔の解説はともかく、出自についてはよくわかった。<br /><br /> ――というか……。<br /><br /> ピィ「マジで蔵馬じゃねえか!」<br /><br /> 未央「ね! 初めて読んだ時びっくりしちゃった☆」<br /><br /> ――事実は小説よりも奇なり、というやつだろうか。</dd> <dt id="a165">165 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:10:38.16 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「ほら、私って人間好きじゃない?」<br /><br /> ピィ「知らんけど」<br /><br /> 未央「そうなの!」<br /><br /> ――よくわからん自分語りが始まった。<br /><br /> ――どうやら、およそ天使らしくない、と感じた彼女の性格は、<br /><br /> ――15歳の少女である本田未央という肉体に起因してるらしい。</dd> <dt id="a166">166 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:11:31.33 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「ミカエルはねー、私達の中でも一番強いんだけど、何考えてるのか良くわかんないんだよねー」<br /><br /> 未央「ガブリエルはほら、受胎告知で有名でしょ? でもソドムとゴモラ滅ぼしたりしてる恐ろしい部分もあるし」<br /><br /> 未央「ウリエルはなんて言うか、厳格でさ、冗談が通じないっていうか」<br /><br /> 未央「その点私は人間と一緒に旅したりする庶民派なんだー☆」<br /><br /> ピィ(うわぁ、すげぇどうでもいい……)<br /><br /> ピィ「へぇ~」<br /><br /> 未央「露骨に面倒くさそうな顔するね、そんなんじゃモテないぞっ☆」<br /><br /> ――イラッ☆</dd> <dt id="a167">167 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:12:00.26 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「本日こちらにいらっしゃった理由をお伺いしてもよろしいですか?」<br /><br /> 未央「あっ、帰そうとしてるね?」<br /><br /> ピィ「はっはっは、まさかそんな」<br /><br /> 未央「そうだねっ☆ んー……」<br /><br /> 未央「特に意味など無いっ!」<br /><br /> ピィ「よし、帰れ!」<br /><br /> ――何なんだ本当にコイツは。<br /><br /> 未央「まぁまぁ、私藍子ちゃんのこと気に入ってるしー♪」<br /><br /> 未央「それに……」<br /><br /> ――藍子に注がれていた視線が、ちらりと揺れ、<br /><br /> ――おちゃらけた口調はそのままに、未央が声のトーンを若干落とす。<br /><br /> 未央「他にも気になる子が色々いるしね……☆」<br /><br /> ――意味深なことを呟きながら、未央が見つめる先には、<br /><br /> ――周子と、たまたま来ていた薫の姿があった。</dd> <dt id="a168">168 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:12:29.34 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「それはどういう……」<br /><br /> 未央「あっ、そういえば☆」<br /><br /> 未央「別にここって好きな時に来ていいんだよね?」<br /><br /> ――うちの規則は緩い。<br /><br /> ――物凄く緩い。<br /><br /> ――『プロダクション』は一応まっとうな組織のはずだ。<br /><br /> ――しかし、ここに所属することによって拘束時間が発生することは無い。<br /><br /> ――個々人に仕事の依頼があれば別だが、<br /><br /> ――その仕事すら無いのだ。<br /><br /> ――健全で安全な能力の使用法の提案とその指導。<br /><br /> ――うちの経営理念の一つだ。<br /><br /> ――しかし、もう一つ。<br /><br /> ――能力を用いた社会貢献。<br /><br /> ――これが殆どと言っていいほど無い。<br /><br /> ――たまに楓さんが草刈りの仕事なんかを依頼されているが、<br /><br /> ――それ以外の人は、基本暇をしている。<br /><br /> ――そんな状況でも、わざわざ来てくれるのはありがたいことだが、<br /><br /> ――もはやただの溜まり場の様相を呈しており、<br /><br /> ――そこへ、こいつも加わるのかと考えると……。</dd> <dt id="a169">169 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:13:38.53 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「おことわ―――」<br /><br /> 未央「わーいっ! ありがとっ☆ ピィさんってばやっさし~♪」<br /><br /> ――押し切られた。<br /><br /> ――人の話を聞いちゃいない。<br /><br /> ――来るなといってもきっと来るんだろう。<br /><br /> ――もう、<br /><br /> ――諦めた。<br /><br /> 未央「まぁまぁ、面倒事は絶対に持ってこないからさ☆」<br /><br /> 未央「よろしくねっ、えへへっ♪」</dd> <dt id="a170">170 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:14:21.71 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">本田未央<br /><a href="http://jump.vip2ch.com/http://25.media.tumblr.com/360bef3da70b4dccbe1a8f622d600987/tumblr_mpb4btAsfF1risnoxo1_1280.jpg" style="text-decoration:none;" target="_blank">http://25.media.tumblr.com/360bef3da70b4dccbe1a8f622d600987/tumblr_mpb4btAsfF1risnoxo1_1280.jpg</a><br /><br /> 熾天使の一人ラファエルが人間に転生した姿。<br /> 一応偉い天使のはずだが、性格は完全に15歳の少女のそれ。<br /> 明るく元気で人懐っこく、人間が大好き。<br /><br /> ラファエルとは癒しの天使であり、藍子にその力の一部を与えた。<br /> 聖と光の関係だね! 未央は随分明け透けだけど。<br /><br /> 気分屋なので、昨今の騒動に首を突っ込んでくるかは不明。<br /> ただし、自分と気に入った人に振りかかる火の粉は徹底的に払う。</dd> <dt id="a171"><span class="resnum">171</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:18:25.29<span class="id">ID:PkzLcA4xo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です<br /><br /> ちゃんみおは天使<br /> 藍子も天使</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a175">175 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB<span class="namenum">8</span>Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:52:15.29<span class="id">ID:GZ1E7xQio</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> あっちゃーちゃんみお天使だったかー<br /><br /> バランスよく天(天使ちゃんみお)地(アンダーワールド人しぶりん)人(普通の人間しまむらさん)とそろったニュージェネ<br /> いや、絡みは一切ないんだけども<br /> ……それにしても天使は天使で割と身勝手なのよね、わかるわ<br /><br /> いずみんの投下するよーーーー!!</dd> <dt id="a176">176 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB<span class="namenum">8</span>Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:53:30.43 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  やっと準備が整ったんだ。管理者の目を盗んでくみ上げてきた私の最高の傑作。<br />  このディストピアを救うための最後の手段――<br /><br /> 「……『エクセル』の完成、かな」<br /><br />  見上げればそこに立つのはこの世界の希望。<br />  何よりも優れて、何よりも強く。私の、私たちの夢。<br />  白いボディに緑のラインが入った美しいデザイン。無駄のない流線型のフォルム。<br />  我ながらほれぼれする。かっこいいぞ、すごい。<br /><br />  耳障りな警報音が私の思考を引き戻す。<br />  ……そうそう、感動している場合じゃなかったんだっけ。<br /><br />  私が今いるのはロボたちの自己進化施設の中。<br />  ちょっとだけお邪魔して、私の『エクセル』の完成に協力してもらったわけだ。<br /><br />  私の頭の中にある設計図。ありえないはずのロストテクノロジー。<br />  足りない部分は気合いと、この施設の部品をちょっと拝借してやればいいと気付いて忍び込んだんだった。<br /><br />  おかげさまで絶賛大ピンチ……だったのはついさっきまでのこと。<br />  私の開発環境では完成しなかったからこんなリスクを背負ったんだ。<br />  完成さえしてしまえば問題ない。<br /><br /> 「ね、エクセル?」<br /><br />  エクセルの足を一撫で。起動してないし何の反応もない。<br />  ……うん、知ってる。</dd> <dt id="a177">177 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:55:20.08 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 《シンニュウシャヲ ハッケン ハイジョシマス》<br /><br />  警備ロボがワラワラと群がってくる。<br />  もう少しぐらい、完成の余韻に浸らせてくれたっていいじゃないか。<br /><br />  私は左手の『ワード』を起動させて素早くコマンドを入力する。<br /><br /> 「Ctrl……V! ペースト!」<br /><br />  あらかじめコピーをとっておいた戦闘用のロボたちの弾幕が『ワード』の機能によって再現される。<br />  人間を排除するために放たれる凶悪な弾たちは、皮肉にもロボットを完全に破壊せしめるほどの威力を宿していた。<br /><br />  強烈な弾幕を再現するのにはエネルギーを大量に消費してしまうのが欠点だけど、今はケチケチしていられる場合じゃない。<br /><br /> 「それに……ここさえ、抜ければ終わるんだから……!」<br /><br />  ペースト、ペースト、ペースト。的確に打ち抜く位置へと弾を再現するがだんだんデータが劣化しているのがわかる。<br />  警備ロボたちはあと2小隊ほど残っていて全滅させる余裕はない。<br /><br /> 「それなら……Ctrl、F。ファインド!」<br /><br />  ……隊長期を検索。該当あり。<br />  至近距離へ強烈なグレネードを一発ペースト。爆発させると、周りの機体の動きが目に見えて鈍る。<br /><br />  後はまとめて大きなのをぶち込むだけ。<br />  ……どうやら一旦難を逃れることはできたみたいだ。</dd> <dt id="a178">178 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:55:56.78 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  しかしそろそろ逃げないとまずそうだ。エクセルを起動させないと……<br /><br />  ……あ。その前に資材もいただいておこうかな?<br />  『ワード』のEnterを入力。左手をかざして範囲指定。<br /><br /> 「Ctrl……X。カット」<br /><br />  研究資材やデータを丸ごといただく。<br /><br />  まぁ、どうせどこかにバックアップはあるんだろうけど……<br />  解析してやれば過去人にとってはとんでもないオーバーテクノロジーになるはず。<br />  このディストピアを作った原因……A.Iにだってきっと通用する。<br /><br /> 「……そうだよね。お姉ちゃん、頑張るから」<br /><br />  もういない私の大切な家族。<br />  弟のためにも私は絶対にこのディストピアを――<br /><br /> 「――デリートしてやるんだから!」<br /><br />  『エクセル』へとワードから司令。<br />  起動したエクセルの瞳が緑に光り、私を見下ろす。<br />  内部へ乗り込む。コックピットの作成に協力してくれた友人ももういない。</dd> <dt id="a179">179 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:56:31.89 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「さぁ……飛んで。エクセル!」<br /><br />  人間が持ちうるテクノロジーはすべて詰め込んだ。<br />  私たちにできる最高で、最後の希望の象徴『エクセル』に命を吹き込む。<br /><br />  目指す時間軸は『A.I』が世界に認められずに泣いていた20XX年。<br />  彼女が狂い始めてしまった時へと飛んで……必要だったら、私は人間を――<br /><br /> 「……違うよ。私がするのはディストピアのデリート。バグは消さなきゃだめなんだから」<br /><br />  自分に言い聞かせるようにつぶやく。<br />  人間に時間跳躍ができるのだから、きっとマシンたちにだってできるだろう。<br /><br />  追手は来るだろうか。そいつ相手に『エクセル』で勝てるだろうか。<br />  『ワード』のバッテリーは持つかな? 打ち消されたりしたらどうしよう?<br /><br />  不安が浮かんでは消え、押しつぶされそうになる。<br />  ……それでもやらなきゃいけない。もうあの世界にはいられない。</dd> <dt id="a180">180 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:57:39.27 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  時の流れに逆らう感覚というのは、思っていたよりもずっと気持ち悪い。<br />  体がぐにょぐにょと伸びたり縮んだりしているような錯覚を起こす。乗り物には強いつもりだったんだけど。<br /><br />  急に激しくなったり穏やかになったりするそれにやっと慣れてきたころ、激しい衝撃がエクセルを襲った。<br />  追手の攻撃? でもこんな、飛んでる最中にだなんて想定外だ。まずい、反撃もできない。<br />  揺れがどんどん激しくなる。これはもはや攻撃とかじゃなくて、空間自体がおかしくなってるとしか思えない。<br /><br />  エクセルの計測器がすべて異常値を示す。<br />  視界がゆがむ。体の中身をぐるぐるかきまぜられているみたいで吐き気がする。<br />  想定していた逆行にかかる時間はとうに過ぎているはずだ。まさか失敗した? みんなが繋いでくれた希望がこんなところで?<br /><br />  嫌だ、嫌だ、嫌だ――――<br /><br /><br />  瞬間、目の前が真っ白になった。<br />  </dd> <dt id="a181">181 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:59:15.27 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「う……ん……?」<br /><br />  意識を失っていたみたいで、やっと視界が開けてくる。<br />  エクセルのモニタに映っているのは――人。<br /><br />  人、人、人、人――人がいっぱい?<br /><br /> 「なっ……ま、まずったの!?」<br /><br />  どうやら人たちはみんな私の――エクセルのことを指さしてひそひそと話をしている。<br />  資料にある21世紀初頭の人たちの生活風景。20世紀末から続いているのであろう割とのどかな商店街。<br />  つまり、エクセルはとんでもなく目立っているってことで……<br /><br /> 「A.Iに見つかる!? いや、その前に追手が……あぁ、どうしよう。に、にげっ……」<br /><br />  その時、モニタの中のひとつに映っている男性がメガホンのようなものを向けてきている。<br />  まさかもう追手が――<br /><br /> 「あー、キミ! ロボはこういうところでは乗り回さないでねー」<br /><br /><br /> 「……は?」</dd> <dt id="a182">182 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 22:00:45.88 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">――<br /><br />  そのあと。いろいろ聞かれたが私の知っている、想定してる21世紀とはずいぶんとズレているらしいことが判明した。<br /><br /> 「いやー、ロボとか巨大ヒーローは珍しいけど。ひょっとして最近目覚めたとか? 若い子はすごいねぇ」<br /><br />  とは警察官のセリフ。等身大ヒーローやら怪物なら珍しくないらしい。どういうことだ。<br />  私はエクセルをワードの『カット』で収納したあとしばらくお説教を食らうことになってしまった。<br /><br />  超能力や超科学が珍しくない、悪魔や死神が存在する世界だなんて馬鹿げてる。<br />  本当、バカげてる……けど、現実だ。どうしようもなく、真実だ。<br />  時空跳躍の時に位相がずれたんだろうか? 理由はわからないけど。<br /><br />  エクセルには確かに『A.I』が存在する世界へと指定したはずなのに。<br />  本当にこんな世界に『A.I』がいるかは定かじゃないけど、計器は正常に戻っているし……<br /><br /> 「……とりあえず、ワードにエネルギー充填してやらなきゃ詳しくも調べられないか」<br /><br />  エクセルに間違いがあるとは思えないし、ひょっとしたらこの世界は歴史から抹消されただけなのかもしれないし。<br />  ………うん、だからとりあえずご飯を食べよう。この時代には味覚で喜びを感じるって文化もあったらしいし。<br /><br />  今は何よりも私自身がエネルギー切れで倒れそうだ。</dd> <dt id="a183">183 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 22:05:03.81 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 大石泉(15)<br /><br /> 職業:未来形フリーター<br /> 属性:未来人<br /> 能力:ロボット『エクセル』の操縦および高次元情報端末『ワード』の操作<br /><br /> 機械に支配され、ディストピアと化した未来からやってきた。<br /> 未来を変えるために、全てのロボたちの母と言われた『A.I』がいるという21世紀まで飛んでくるも資料との食い違いっぷりに困惑中。<br /> 左腕につけたキーボード型の情報端末『ワード』は3次元的にコピー、ペースト、カットなどを実現させる。<br /> 『カット』で切り取られたものは無条件で上位次元へとしまわれるが、無機物にしか対応していない。<br /> 『ペースト』は『コピー』したものをエネルギーを消費して再現する場合と、『カット』でしまったものを取り出すパターンの2種類。<br /> 『コピー』は対象のエネルギーなどをデータとして保管しておけるが、何度もペーストを繰り返すとデータが劣化して制度が落ちる。<br /><br /><br /> 『エクセル』<br /> 全長20mほどのロボット。白いボディに緑のライン。<br /> 流線型にシルバーのかっこいいロボ。泉の『ワード』と連結させ、乗り込むことで戦闘が可能。</dd> <dt id="a184"><span class="resnum">184</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/02(火) 22:08:33.76 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 巨大ロボのせようと思った。持ち運び手段必要だと思った。こんなんなった<br /> ……周りの被害大きいから普段はエクセル引っ張り出さないでワードで戦うんじゃないかな、いずみん<br /><br /> A.Iがディストピアを生んだ過去ではたぶん自分のことを理解してくれる親友も秩序が壊れる混沌もなかったんだと思います</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a194"><span class="resnum">194</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:31:45.12<span class="id">ID:WkN5BQNwo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ロボットっていいですよね。<br /> 私大好きです。<br /><br /> アーニャ投下します。</dd> <dt id="a195">195 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:33:31.04 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ここ、ロシアは世界最大の面積を誇る連邦国家である。<br /> 広大な自然は見る者すべてを圧巻し、それに地球の神秘を感じる者もいるだろう。<br /><br /> しかしその暗部は深く、表だってはいないが世界に与えてきた影響も大きい。<br /><br /><br /> 場所はロシア内でも極東に位置する孤島。<br /> あの日より世界中では超常現象不可思議なものが溢れるようになり、ロシア政府の限られていた人間しか知り得なかった能力者などの情報も世界の一般化してしまった。<br /><br /> その未知の力を利用して国家転覆を狙うような組織も台頭してきており、政府も秘匿してきた特殊能力部隊を投入しなければならないようになってきていた。<br /><br /> その国家転覆を組織がこの孤島の廃工場に根城を作っていることを知った政府は特殊能力部隊を派遣した。<br /><br /><br /> しかし、相手は未知のテクノロジー、宇宙人の技術であろう装備を使用してきており、部隊は苦戦していた。<br /><br /> 隊員A「くそ……手こずりすぎた」<br /><br /> 隊員B「ああ、相手の戦力もあと少しだがこちらも犠牲が大きすぎる」<br /><br /> 隊員A「これまでは力を使えばただの人間など問題はなかったが、敵にもそういった力が広まったせいで……」<br /><br /> その瞬間、隊員Aの頭が吹き飛ぶ。<br /> どこからか狙撃されたのだろう。隊員Bはその場を急いで離れる。<br /><br /> 隊員B「ちっ、しくじった。狙撃を許すとはな」<br /><br /> 隊員Bが逃げ込んだ先には他の隊員たちがいた。<br /><br /> 隊員C「油断するからああなるんだ。ビエーリコート、隊員Aを何とかできるか?」<br /><br /> 隊員Cは近くにいたビエーリコートと呼ばれた少女に尋ねる。<br /><br /> 少女「ビェスパリエーズナ……さすがに即死では私の力は使えません。とりあえず私が囮で突入しますのでその隙に。攻撃的な能力の皆さんで殲滅してください」<br /><br /> そういって少女は身を隠していた遮蔽物から飛び出した。<br /><br />  </dd> <dt id="a196">196 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:34:41.39 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> 隊員B「あらかた片付いたな。ビエーリコートはどこだ?」<br /><br /> 隊員C「突入した時に確認した逃げた敵を片付けに行ったんだろう」<br /><br /> 隊員B「追い詰められた人間は何をしでかすかわかったものじゃない。あいつの能力なら死なないだろうが探しに行くぞ」<br /><br /><br /><br /> 少女は崖の先に逃走した敵の男を追い詰めていた。<br /><br /> 少女「シャーフ エ マット……これで終わりです」<br /><br /> 少女は追い詰めた男に拳銃を向けた。<br /><br /> 男「は、はは……。この政府の犬め。せめて巻き添えだ」<br /><br /> 男は懐から小さな白いボールのようなものを取り出した。<br /><br /> 少女「爆弾っ……。させません」<br /><br /> そういって少女は発砲し男の頭を撃ち抜く。<br /> しかしすでに男はスイッチを押していた。<br /><br /> 爆弾はその大きさに似合わず大きな光を発し、薄暗い曇り空の下を照らす。<br /> これも特殊な技術の爆弾なのだろう。かなり大きな爆風を上げ、せり出した崖を根こそぎ削り取った。<br /><br /> 少女(やられましたね・・・・・)<br /><br /> 少女は瓦礫と男に肉片の雨の中まっさかさまに崖から落ちていく。<br /> そしてそのまま荒れ狂う海の中に落ちていった。</dd> <dt id="a197">197 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:36:07.19 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 現在午前7時、ピィは海に来ていた。<br /><br /> ピィ「海はいい。心が安らぐ……」<br /><br /> ここは「プロダクション」から少し離れた港であり周りには倉庫が立ち並び人は彼以外にはいなかった。<br /> 本来彼はこんなとこに来て心の安寧を求めるような性格ではないのだが、ここ最近の自分の仕事である能力者のスカウトがうまくいかず、少し自信を失っていた。<br /><br /> ピィ「でもやはりこういった場所で自身を見つめなおすのも悪くない。柄には合わないがこの海を見ていれば自分の悩みのちっぽけさがわかるよ……」<br /><br /> そんな誰かに聞かれたら黒歴史になるであろう独白をするがあいにく彼の周囲には人の気配はなかった。<br /><br /> ピィ「全くいい天気だよ。青い空に青い海、さんさんと輝く太陽に寂れた倉庫群、海を漂う水死体と……」<br /><br /><br /><br /><br /> ピィ「水死体ぃ!?」<br /><br /> 穏やかな海に場違いなようにそこにはきれいなどざえもん、つまるところ水死体だろう人影がのんきにぷかぷかと漂っていた。<br /><br /> ピィ「こんなときどうすればいい!?救急車?警察?」<br /><br /> そんな落ち着いた心から一変、パニックに陥ったピィはさらに深みにはまっていく。<br /><br /> ピィ(はっ!まさかこのままいくと<br /><br /> 第一発見者→容疑者→ブタ箱<br /><br /> →くぅ~疲れました。これにて人生終了ですw )<br /><br /> ピィ「やだー!!あっ」<br /><br /> パニックにより頭を抱えたまま体を横たえコンクリをごろごろ転がっているとそのまま転がりすぎでピィは海に落ちてしまった。</dd> <dt id="a198">198 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:38:09.23 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「ブクブクブク……ぷはぁ。ってそうだ、とりあえず引き上げないと」<br /><br /> 海に落ちたことにより頭を冷やされたのかピィは冷静な思考に戻る。<br /> そのままピィは水死体の腕をつかみ引き上げられそうな場所まで引っ張っていった。<br /><br /> 何とかピィはその水死体を引き上げ息をついた。<br /> 彼はそのまま死体を確認する。<br /><br /> ピィ「まさか……死んでない?」<br /><br /> その水死体は水を含んで膨れ上がってないどころか血色がよく今にも起き上がりそうな少女だった。<br /> ピィは少女の首に指をあてる。<br /><br /> ピィ(脈は……ある。でも水を飲んでるだろうし<br /> ハッ!<br /><br /> これはやっちゃっていいんじゃないですかァー!?<br /><br /> 人 工 呼 吸!)<br /><br /> ピィ「そうだ、彼女を助けられるのは俺しかいないんだ」<br /><br /> そういってちょっと凛々しい顔つきになったピィは少女に顔を近づけていく。<br /> しかし近づいていくたびにピィの顔がいやらしいものになっていくが。<br /><br /> このまま少女のその唇は下心丸出しの男にズキュウウウンと奪われてしまうかと思われた。<br /><br /> しかしピィの唇が彼女に到達しようとする瞬間、彼女の口から飲み込んだであろう海水が噴き出した!<br /> その水はピィの顔面に直撃する!<br /><br /> ピィ「ぐぁあああ!目が……目がァーー!」<br /><br /> 海水にさらされたピィの目は激痛を訴えた。<br /> ピィの視界が奪われている間に少女はむくりと起き上がる。<br /><br /> 少女『……少し寝過ごしてしまいました。どこまで流されたのでしょう?』<br /><br /> 少女はロシア語で呟く。<br /> 少女は近くにいたのたうち回るピィに視線を向ける。<br /> そのまま腰にある拳銃を手に取った。<br /><br /> 少女『海水に浸されてる。使い物になりませんね』<br /><br /> そのまま拳銃を海に投げ捨てた。<br /> 彼女はのたうち回るピィに手をかざす。<br /><br /> ピィ「ぐぁあ、あ……あれ?痛みが引いてきた」<br /><br /> 少女「ドーブラエ ウートラ。いや、日本語ですか……。どうやらここは日本のようですし、こうですか。おはようございます?」<br /><br /> 少女は首をかしげながらそうやって挨拶した。</dd> <dt id="a199"><span class="resnum">199</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:39:27.18 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> ピィはそのまま少女とともに港から移動し始めた。<br /><br /> ピィ「なるほど、散歩中に足を滑らして海に落ちてしまったのか」<br /><br /> 少女「ダー、助けてもらって感謝します」<br /><br /> 少女はとりあえずこのようにピィに事情を説明した。<br /> 当然本当このことなど話せるわけがない。<br /> 実際少女自身の存在でさえ国家機密、トップシークレットなのだ。<br /> ロシアの孤島から流されてきたことも話せるわけがない。<br /><br /> ピィ「外国人なのか?」<br /><br /> 少女「ニェート。半分正解です。ハーフなのです。ママが日本人、パパがロシア人」<br /><br /> 少女は当たり前のように偽の家族構成を言う。<br /><br /> ピィ「そうなのか。よし、壊れてないか。親には連絡した方がいいんじゃないか?」<br /><br /> そういってピィは少し濡れた携帯電話を確認しながらを差し出した。<br /><br /> 少女「バリショーエ スパシーバ。言葉に甘えます」<br /><br /> 少女はピィの携帯を手に取る。<br /> ここで断るのは不自然であるうえ、たとえ履歴が残ったとしてもピィ自体を処理してしまえば問題ない。<br /><br /> 少女はそのまま日本にある特殊能力部隊とつながりのある組織の日本の支部に連絡を入れた。<br /><br /> 少女『現在日本の○○に流れ着いた。私が証拠を処理したのちに回収を頼みます』<br /><br /> 少女は電話を切ってピィに返した。<br /><br /> 少女「迎えを呼びました。近くのコンビニに迎えに来てくれるそうです」<br /><br /> ピィ「家ではロシア語なのか」<br /><br /> 少女「ダー、ロシアで暮らしていたことも長いので。当然両親も日本語はしゃべれますよ」<br /><br /> 内心少女はすきを窺っていた。<br /> 近くに海はあるし能力を使えば証拠隠滅も造作もない。<br /> 武器はなくとも少女にはピィをすぐに殺せる戦闘力を持っていた。<br /><br /> しかし……<br /><br /> 塩見周子「ピィ。ようやく見つけた」</dd> <dt id="a200">200 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:41:11.58 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 倉庫の屋根の上に一人の少女が座っていた。<br /> 彼女は塩見周子。千年生きた大妖狐である。<br /><br /> 少女「ショールト ヴェイズ ミ(しまった)……」<br /><br /> 少女は小さくつぶやく。<br /> 人が一人増えるだけで手間が二倍になる。<br /> しかもそれ以上に少女が厄介だと思ったのは<br /><br /> 少女(この人……ただの人間じゃない)<br /><br /> 裏の世界に身を置いてきた少女は塩見周子の纏う気配に容易に気付いた。<br /> ただの人間に毛の生えた能力を持つ程度ならともかくこれはやばいと少女の心が警鐘を鳴らす。<br /><br /> 塩見周子が圧倒的格上であることに少女は気づいたのだ。<br /><br /> 後悔した。早めにこの男、ピィを殺しておけばと。<br /> しかし安堵もした。頃さなくてよかったと。もし殺していたら自身が殺されかねないからだ。<br /><br /> 少女(ここはしらを切り続ける。チャンスを伺うしかない)<br /><br /> ピィ「周子か。どうしてここに?」<br /><br /> 周子「どうしてって時計見なよ」<br /><br /> ピィ「時計って……あ」<br /><br /> ピィは腕時計を確認すると文字盤に刻まれていたのは9時をとっくに過ぎていた。<br /><br /> 周子「まったく珍しくピィが遅刻するから心配だから探してきてくれって社長に頼まれてさ。暇だったから承諾したけどよくよく考えれば電話すればよかったのに……」<br /><br /> 周子はそのまま屋根から飛び降り、ピィたちの前に着地した。<br /><br /> 周子「しかもまさか女の子と一緒に海にいるなんて」<br /><br /> ピィ「これは……そう、この子が海で溺れていたから助けたんだ!」<br /><br /> 周子「じゃあピィは一人で海に来てたんだ。一人で海で何してたのかなー?」<br /><br /> ピィ「それは……自分探し?」<br /><br /> 周子「ぷっ、ははははは!自分探しとは傑作だね。しかも自分を見つけるんじゃなくて女の子を見つけるなんて」<br /><br /> 周子は笑いながらそうピィに返す。<br /><br /> 内心少女は戦々恐々としていた。<br /> 表面では普通にふるまっているが気が気ではなかった。</dd> <dt id="a201">201 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:42:21.22 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 少女(大丈夫。平常心を保つ)<br /><br /> 周子「ところであなた、名前は?」<br /><br /> そこに周子に話を振られる。<br /><br /> ピィ「そういえば名前聞いてなかったな」<br /><br /> 少女「私は……○○です」<br /><br /> とりあえず適当な偽名を応えておく。<br /><br /> 少女(そういえば私の名前は何なのだろう?考えたこともない)<br /><br /> 少女は幼いころから特殊部隊で育てられてきた。<br /> 物心ついた時には自身のコードネームで呼ばれていて、そのコードネーム自体も定期的に変更されていた。<br /> つまり自身を識別する記号、名前を彼女は持ち合わしていなかったのである。<br /><br /> 当然彼女はこれまでにそんなことを考えたこともなかった。<br /> こんな状況に陥ったのですら初めてなのである。<br /> 誰も名を尋ねてくることもなかったのだ。<br /><br /> 周子「へぇ……。アタシは塩見周子。よろしく」<br /><br /> 周子の瞳はまるですべてを見透かしたかのような瞳、少女からはそんな風に見えていた。<br /><br /> 少女「オーチン プリヤートナ。よろしく」<br /><br /> ピィ「ああ、そういえば俺の自己紹介も忘れていたな。まぁ……ピィとよんでくれ」</dd> <dt id="a202">202 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:43:54.18 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> 周子「じゃあアタシは先に戻るから。ピィさんに○○ちゃんは任せたよ♪」<br /><br /> そう言って周子は煙を上げて姿をけしてしまった。<br /><br /> ピィ「そういえばあんまり驚かないな。周子を見ても」<br /><br /> 少女「あ……ニェート、驚いてます。でも一度にいろんなことが起こりすぎていて混乱してます」<br /><br /><br /><br /> 少し離れたところで周子は二人のことを見張っていた。<br /> ピィのような素人にはわからないように、それでいてわかる者にはわかるように。<br /><br /> 事実、少女は見張られていることに気づいていた。故にピィに手出しができないことも分かっていた。<br /><br /> 正体を感づかれている。そのことに気が付いた少女は考えを巡らせる。<br /><br /> 少女(とりあえず証拠隠滅はあきらめて、ロシアに戻ろう。<br /> もしかしたら敵に回られることも秘密を洩らされることもないかもしれない。<br /><br /> 厳罰ものだが殺されはしないだろう。<br /> 私の能力は貴重だろうし、多分私を殺すこともできないでしょうから)<br /><br /><br /><br /><br /><br /> 周子はスマートフォンを手に取ってどこかに連絡を取ろうとしていた。<br /> 千年も生きた大妖狐が現代の技術であるスマホを持っているとはまた奇妙な話である。<br /><br /> 周子「もしもし、志乃さん?周子だけど」</dd> <dt id="a203">203 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:45:17.65 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 柊志乃『あら、珍しい。あなたの方から連絡してくるなんて。どうしたの?』<br /><br /> 電話に出た女性、柊志乃は機嫌のよさそうな声で周子に尋ねた。<br /><br /> 周子「ちょっと頼み事したいんだけど、いい?」<br /><br /> 志乃『もちろん。かまわないわよ。私と周子さんの仲じゃない。遠慮なんていらないわ』<br /><br /> 周子「なら別に『さん』付けしなくていいのに」<br /><br /> 志乃『こればっかりはね。あなたのほうが年上なんだから』<br /><br /> 周子「それってほんとに?いつ生まれか教えてくれたことないじゃん」<br /><br /> 志乃『何?私が老けてるってこと?』<br /><br /> 周子「そうはいってないでしょ。つまり秘密が多すぎるの」<br /><br /> 志乃『いい女には秘密はつきものって言うでしょ』<br /><br /> ふたりはそんな他愛もない会話を続けながらも周子は港から出る方向に向かうピィたちから目を離さず、一定の距離を保ちながら追っていた。<br /><br /> 周子「ともかくある人のことを調べてほしくてね。○○っていうんだけど」<br /><br /> 志乃『なるほど、知らないわね』<br /><br /> 周子「やっぱり?まぁ結構ありふれた名前だから多分偽名だろうしね」<br /><br /> 志乃『でも私ではわからないけど、全く知らないことでも知ることのできる人を私は知っているわよ』<br /><br /> 周子「さすが志乃さん。相変わらずいろんな人と友達だ」<br /><br /> 志乃『持つべきものは友人ね。わかったら折り返して連絡するから。ちなみにこれは貸しひとつよ』<br /><br /> 周子「えっ!?ちょっと待って志乃さん?」<br /><br /> 志乃『じゃあ一旦切るわね。どうしても呼び捨てがいいなら周子さんも私を呼び捨てにしてみたらどう?』<br /><br /> スマホのスピーカーからプツリと音が鳴る。<br /> それからはスマホは沈黙した。<br /><br /> 周子「まったく志乃さんは……あっ」<br /><br /> そこで周子は二人から目を離していたことに気づく。<br /> 周りを見渡したが完全に見失っていた。<br /><br /> 周子「やばっ、あの二人どこ行った?」</dd> <dt id="a204">204 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:46:37.79 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> 少女は監視の目が緩んでいることになんとなく感じ取っていた。<br /><br /> 少女(ここで勝負をかける?でもその後どうする?)<br /><br /> 少女はここで動くことはできるがその後に周子から逃げられるとは思えない。<br /> 周子の監視が完全に止んだのならともかく、ほんの一時的なもの。動くことは得策ではない。<br /><br /> 少女(やっぱり……耐えるしかないか)<br /><br /> ピィ「ところで○○ちゃんは、家族とは仲いいのか?」<br /><br /> 唐突にピィはそんなことを訪ねる。<br /> 少女は突然投げかけられたその問いに少し驚くが、表情に出すことはなかった。<br /><br /> 少女「ダー、パパもママも……大好きですよ。どうして突然?」<br /><br /> ピィ「他人の家の事情に首突っ込むのはよくないかなとも思ったけど、さっきの電話の時にあまり家族と話すような感じじゃなかったみたいだからな<br /><br /> もしかしたら何かあるのかと思ってね。だから安心したよ」<br /><br /> ピィはそういって笑った。<br /> 少女は笑顔というものを知らない。感情は殺すように訓練されてきたからだ。<br /> 他の隊員たちもほとんどは感情を見せず機械のように任務をこなしていた。<br /><br /> だからこそまともな感情というものに触れることもなかったので、おのずと心は麻痺した。停止していた。<br /> 仲間が死のうと、自信が傷つこうと、何も感じなかった。<br /><br /> だが麻痺していただけなのだ。凍り付いているだけなのだ。<br /> 部隊の人間の中には人間らしい感情を捨てたものも多い。<br /> ただ彼女は人の感情を知らなかったのである。<br /><br /> ピィの他人を思いやるという当たり前の感情、そしてその感情をそのまま表した笑顔には彼女にとっては未知のものであると同時に<br /><br /> 少女(うらやましい)<br /><br /> 他人が持っていて自分が持ってないものを欲する感情、それでいてはるか遠くにあるものである憧れという感情を少女は幽かだが、初めて抱いた。<br /> その感情は、無自覚にも凍えきった心に熱を与えた。<br /><br /> その未知の感覚に浸っていて彼女はほんの少しだけ油断したのだ。</dd> <dt id="a205">205 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:48:02.89 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「危ない!」<br /><br /> 少女はピィに抱かれ、その場からピィとともに飛び退く。<br /> 先ほどまでいた場所は黒く細長い何かが飛んできて大きく振るわれる。<br /> その瞬間、アスファルトはひび割れながら砕かれた。<br /><br /> その場にとどまっていればただの人間ならいともたやすく引き裂かれていただろう。<br /> それほどにまで鋭利で暴力的な何かが過ぎ去ったことは明らかだった。<br /><br /> ピィ「くそっ、こんな時にカースか」<br /><br /> 少女はピィの声によって我に返る。彼女は攻撃を受けたのだと自覚したのだ。<br /><br /> 少女(カース、資料では見たことがある)<br /><br /> その姿は黒い泥のようなもので核の色によって対応する七つの大罪の性質を持つ人類の脅威。<br /> 少女にとって写真でしか見たことのなかった異形がそこにはいた。<br /><br /> 少女「……初めて見ました」<br /><br /> ピィ「とりあえず逃げよう」<br /><br /> ピィはその場から立ち上がり少女の手を引く。少女自身戦ったことのないの未知の相手、正体がばれるとか関係なしでもここは撤退を考えた。<br /><br /> 少女「ナーディエヌィ……あ、わかりました」<br /><br /> 少女も立ち上がりカースに背を向けて走り出す。<br /> しかしカースも当然見逃してくれるわけもない。<br /><br /> 『ウォオオオオオオオオオオ!』<br /><br /> カースはどこから出ているのかわからないが雄たけびを上げる。</dd> <dt id="a206">206 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:50:11.40 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『許サン!許サンゾォオオオオオ!』<br /><br /> カースは叫びながら先ほどの鋭利な触手を飛ばしてくる。<br /> その矛先は一直線にピィたちに向かっていった。<br /><br /> 少女(この状況では仕方ない)<br /><br /> 少女は正体がばれるよりもこの状況を打破するのが先決と考え触手と対峙しようとした。<br /><br /> 少女(私でもこの触手の矛先を逸らすことくらいはできる)<br /><br /> そう考えカースの方向をむこうとした瞬間、少女は突然横から力がかかり、転倒する。<br /><br /> 少女は驚きに目を見開いた。<br /><br /> 少女(私は、この人に、庇われた?)<br /><br /> そこには触手に串刺しになったピィがいた。<br /> 伸びた触手はカースの元に戻っていくと同時にピィの体から引き抜かれ、体にトンネルが貫通する。<br /> そのままピィはその場に倒れこんだ。<br /><br /> 少女「どうして……私を……」<br /><br /> ピィ「早く、逃げろ……。そして通報するんだ。警察でも、GDFでも……いい。早く、逃げるんだ!」<br /><br /> 息も絶え絶えながらにピィは力を振り絞って叫ぶ。<br /> 確実に致命傷だろう。血はあふれ出し、穴からは欠損した内臓まで伺える。<br /><br /> 少女には理解ができなかった。<br /> 部隊の中でも誰かを庇ったことなんてない。死ぬのは自己責任だ。<br /> それなのにこの男は出会って間もない少女を身を挺して守ろうとしたのだ。<br /><br /> 少女(こんなもの、理解できるわけがない)<br /><br /> 少女はその場から立ち上がる。<br /> その間にもカースは先ほどよりも多くの触手を飛ばしてきた。<br /> とどめを刺すつもりなのだろう。<br /><br /> 少女「全く……柄じゃないです」<br /><br /> 少女(だれかのために戦うなんて)</dd> <dt id="a207">207 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:52:09.63 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 凶器と化した触手は一直線に少女の方に向かっていく。<br /> しかし少女はそれを素手と脚を使って、すべてを逸らすか、掴んだ。<br /> そしてそのまま靴底に仕込まれていたナイフを足元に押さえつけた触手に突き刺す。<br /><br /> しかし泥のような体をするカースには効果がなかった。<br /> それでも少女はカースの触手を離さない。<br /> チリチリと焼けるような軽い痛みが手に走っているが大したことはなく触手を掴んで離さなかった<br /> カースは逸らされた触手を戻し、再び打ち込んできた。<br /><br /> 少女「同じ攻撃を、もう一度とは……芸がないです」<br /><br /> 少女は掴んだ触手を利用して体を上に跳ね上げ、逆立ちのようになり飛んできた触手を回避した。<br /> そしてそのままつかんでいた触手を離して着地する。<br /><br /> そのまま少女は近くにいたピィに手をかざすとピィの体に開いた穴は塞がっていき、失血により悪くなっていた顔色は血色を取り戻していった。<br /><br /> 少女「貸した覚えは、ありませんが……とりあえず、貸しは返しましたよ」<br /><br /> 『アアアアーーー!憎イ憎イ憎イィイイイイ!』<br /><br /> 雄たけびをあげてカースはさらなる数の触手を生み出す。<br /><br /> 少女「カースと言っても、話に聞いていたほどでは、ないですね」<br /><br /> 少女はカースに向かって走り出す。<br /> それに対してカースは触手を飛ばして対抗してくるが少女は紙一重でそれを避けながらカースに接近していく。<br /><br /> そしてカースのすぐ近くまで行くと少女は手刀を構えてカースに向かって突き刺そうとした。<br /><br /> しかしカースはその直前でまるで針山のような触手を少女に向けて生成する。<br /><br /> 少女は驚いたように目を見開くが最小限の動きで針山の間を縫うように回避しようとした。<br /> しかしこの攻撃で手刀を構えた腕は吹き飛ばされ、わき腹に針が突き刺さる。<br /><br /> 少女「ぐ……あ……」</dd> <dt id="a208">208 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:54:11.87 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> カースは針山を自身の体に収めると、少女は地面に膝をつく。<br /> 勝利を確信したのだろう。<br /> そのままカースは少女をとり込もうと動き出した。<br /><br /> しかしその動きは止まった。<br /> すでに少女は立ち上がり先ほど吹き飛ばされたはずの腕がカースに突き刺さっていたのだ。<br /><br /> その手はカースの核を握りしめている。<br /><br /><br /> 少女「シャーフ エ マット(チェックメイト)」<br /><br /><br /> そのまま核を握りつぶした。<br /><br /> 『アアアアアアアアアアーーー!』<br /><br /> カースは断末魔の叫びをあげながら黒い泥は潮風に流されていくかのように消えていった。<br /><br /> 少女は手のひらを開くと赤い砂のようなものが零れ落ちていく。<br /><br /> 少女「なるほど……憤怒のカースですか」<br /><br /> 周子「そうみたいだね」</dd> <dt id="a209">209 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:55:57.36 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 突如と聞こえてきた声に少女は身構えた。<br /> そこにはやはり塩見周子が、倉庫の屋根の上に座っていた。<br /> 周子の近くにはピィが倒れている。<br /> きっと巻き添えを食らわないように周子が移動させたのだろう。<br /><br /> 少女「ピィさんは、大丈夫?」<br /><br /> 周子「うん、ぐっすり眠ってるよ。それにしても意外だね。隠してきた秘密とかはもういいの?」<br /><br /> 少女「ニェート、なんかどうでもよくなった気がします」<br /><br /> 少女も自身の心境の変化に驚いてはいたが、もはやそれさえもどうでもよくなってきていた。<br /><br /> 周子「全くたいしたもんだよ。攻撃性がより高い自然発生のカース、しかも凶暴な憤怒のカースを一人で倒しちゃうなんてさ」<br /><br /> 少女「褒められるとは……スパシーバ?」<br /><br /> 周子「うん。さて、これからどうするの?」<br /><br /> 少女にとっての当面の問題はそれである。<br /> 周子に知られても黙ってもらえば問題なかったものの、これだけ派手に暴れてしまった後だ。<br /> 必ず足はつくだろう。<br /><br /> 少女「……とりあえず、逃亡生活でしょう」<br /><br /> 周子「そんなあなたにお知らせがありまーす」<br /><br /> 周子は急に立ち上がり、傍らに倒れているピィを物色する。<br /> そして何かを取り出したかと思うと少女に向かって投げた。<br /> それを少女はキャッチする。<br /><br /> 少女「これは……ピィさんの携帯電話?」<br /><br /> 周子「そそ、しばらく待ってれば非通知でかかってくると思うからそれに出てみればわかるよ」<br /><br /> 少女は怪訝な顔をするがおとなしく待つことにする。<br /> そして1分くらいたった時に携帯電話は鳴り始めた。<br /><br /> 少女はその非通知からの着信に出る<br /><br /> 『祖国の部隊の隊員にビエーリコートという者は存在しない。以上』</dd> <dt id="a210">210 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:58:27.32 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> それだけを伝えられると電話は切れてしまった。<br /><br /> 周子「わかったかな?ビエーリコート、つまるところ白猫さんの帰る家はなくなっちゃったわけなの」<br /><br /> 少女「これは……どういうことですか?」<br /><br /> 少女は困惑する。<br /> 自分が知らぬ間に仕事をクビになっていたのだ。<br /> 当然であろう。<br /><br /> 周子「あたしの友達にあなたのことを調べるのを頼んだら、勝手にこうなっててね。<br /><br /> おせっかい焼きなんだよ。あの人は」<br /><br /> そういって周子はため息をついた。<br /><br /> 少女「ヴィー……いったいどこまで知っているのですか?」<br /><br /> 周子「そうだね、まずはロシアの特殊能力部隊の隊員で、能力は超回復能力。見事なものだよ。まさか吹き飛ばされた腕が一瞬で回復、いや再生するなんてね。<br /> あとはロシアの極東の●●島で任務中のところ失踪ってところかな」<br /><br /> 少女「すべてお見通し、というわけですか……」<br /><br /> 周子はそのまま屋根から飛び降りてきた。<br /><br /> 周子「この先、行く当てもないでしょ。せっかくだし日本に住むのを手伝ってあげるよ」<br /><br /> 少女「どうしてそこまでするのですか?きっとあなたには、わかっていたでしょう。<br /> 私が、ピィさんを殺そうとしていたことを」</dd> <dt id="a211">211 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:59:54.59 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 周子「だって殺してないし、それどころ治療までくれたじゃん。お礼を言いたいくらいだよ。ありがとう、ピィを守ってくれて」<br /><br /> 心からの感謝の言葉。<br /> これまで憎まれはしても、感謝されることはなかった。<br /> そういう世界に身を置いていたので当然だが、少女にとってはこの感覚でさえも初めてなのである。<br /> 凍り付いていた心はさらに熱を持っていく。<br /><br /> 周子「それに、これも教えてもらったことだけど、あなたでも知ってないことも、あたしは知ってる」<br /><br /> 少女「私の……知らないこと?」<br /><br /> 周子「そう、それはあなたの名前。親からもらったあなただけのもの」<br /><br /> 少女「私……だけの」<br /><br /> 周子「そう、親の願いが込められた絶対の財産さ」<br /><br /> しかし少女は困惑する。<br /><br /> 少女「ノァ……私は、殺しすぎた。今更、その名を、名乗る資格なんて、ない。今更、日の光の当たるところでなど、生きてはいけない」<br /><br /> 少女は今、とても弱々しかった。<br /> むき出しになりかけた心はあまりにデリケートだ。<br /> 先ほどまでカースを素手で倒したとは思えないほどに。<br /> 触れれば、壊れつぃまいそうなほどに。<br /><br /> しかし周子は少女を抱き寄せ言う。</dd> <dt id="a212">212 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 23:01:37.60 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 周子「ならあなたは生まれ変わればいいんだよ。<br /> これまでのような血にまみれた白猫じゃない。<br /> 新しいあなたに。<br /><br /> 罪は消えないかもしれないけど、やり直せるから」<br /><br /> 周子は少女の目を笑顔で見つめて少女に、失っていた名を告げた。<br /><br /> 周子「あなたは<br /><br /> アナスタシア<br /><br /> あなたのお母さんがつけてくれた名前」<br /><br /> アーニャ「ミニャー ザヴート アナスタシア<br /><br /> ミニャー ザヴート アーニャ!」<br /><br /> 幼いころ、まだ自我さえなかった確立していなかった頃、母親の腕に抱かれていた記憶をアーニャは思い出す。<br /> 愛称であるアーニャと母が呼んでいてくれたことを。<br /><br /> アーニャ「まったく、今まで涙など……流したことすら、なかったのに<br /> 涙が、なぜか止まりません」<br /><br /> 周子「泣いていいよ。きっとその涙は大切なものだから」<br /><br /> アーニャ「ううう……<br /> うわあああああああああああああああああん!」<br /><br /> 周子は泣きじゃくるアーニャを腕に抱きながらその頭をなでている。<br /><br /><br /><br /> 周子「まったくこの子、かわいいわ」<br /><br /><br /><br /> 少女の心は完全に溶けきった。<br /> まだ心の歪みは治ってはいないがそれでも<br /> 彼女、アナスタシアは再びこの世に誕生することができたのだ。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ピィ「なんだか出て行き辛いんですけどこの雰囲気」<br />  </dd> <dt id="a213">213 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 23:03:39.00 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> アナスタシア(15)<br /><br /> 職業 元ロシア特殊能力部隊隊員<br /> 属性 能力者<br /> 能力 超回復能力・ロシア式CQC<br /><br /> 言葉もしゃべれないほど幼いころからロシアの超能力者機関に拉致にされて育てられ、10歳より特殊能力部隊に入隊し、様々な任務をこなしてきた。<br /> ロシアの孤島の任務の失敗で遠路はるばる日本まで漂流してくる。<br /> いろいろあって特殊能力部隊をクビになったので、現在日本での生活のための準備中。<br /> あらゆる国の言葉をマスターしているが特に覚えが早かったのは日本語である。<br /> しかしそれでもたまにロシア語は出てきてしまう。<br /><br /> 超回復能力<br /> 細胞を活性化させることにより傷を治癒させることができる。<br /> 世界中に治癒能力者は少なからず存在するが、アーニャの回復力はもはや再生と言ってもいいほど強力なものである。<br /> 自身が傷ついた時には自動で発動し、特に生命を脅かすレベルとなると痛覚が伝わるよりも早く回復することもある。<br /> 他人にも当然使うことができるが少し集中が必要になる。<br /> カースに侵食されそうになると浸食された細胞は自動で死滅して新たな細胞が次から次へと生まれてくるのでカースに侵食されることもなくカースに触れることができる。<br /> しかし無限に回復し続けるわけでもなく、徐々に疲労がたまっていくので多用は禁物。<br /><br /> ロシア式CQC<br /> ロシアで生み出された超次元格闘術。これを編み出したのはアーニャの所属していた特殊能力部隊の隊長。<br /> ジャッキーチェンをも超えるアクション、セガールを超える征圧力、ターミネーターを超える破壊力もモットーに編み出された……らしい。<br /> その強さはアーニャが回復は能力に頼ったもののカースを人間の力のみで倒すほど強力なものである。<br /> おそロシア。<br /><br /> 自然発生型カース<br /> 人の強い感情が核となり自然に生み出されたカース。<br /> 故にほとんど生み出されることのない憤怒などのカースはこれにあたることも多い。<br /> しかし実例は少なく、レアキャラである。<br /> 人の感情の純度が高いので、悪魔製やカースドヒューマン製のものより人間に対してより攻撃的で強力な場合が多い。</dd> <dt id="a214">214 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 23:04:53.37 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です<br /> 自分の書きたい事書いてたらなんか話が臭くなってしまった気がします。<br /> ファブリーズ代わりに最後にピィを置いときました。<br /> 台無しとか言わないで。<br /><br /> 初めてのSSだったんで助言とかもらえるとうれしいです。</dd> </dl><h4>その2へ</h4>
<dl><dt id="a3"><span class="resnum">3</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 17:42:16.36<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;1</span><br /> 乙乙ですー<br /><br /> 前スレの残りだと足りなそうなので少々フライングして<br /> 投下するよー!!</dd> <dt id="a4"><span class="resnum">4</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:43:57.90<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「あれ・・・何でしょう、これ?」<br /><br /> 事務所を閉め、アパートへ戻った都は、郵便受けにやたら分厚い封筒が突き刺さっているのを見つけた。<br /><br /> 「あぁ、やっと届いたみたいですね」<br /><br /> 「翠さん、何かご存じなんですか?」<br /><br /> ぽん、と手を叩いて顔を綻ばせる翠。都が聞くと、彼女は笑顔で、<br /><br /><br /> 「妖精界に頼んでおいた、『秘宝』に関する資料です」「・・・はい?」<br /><br /><br /> 事もなげに素っ頓狂な事を言い出した。<br /><br /> 「かなり細かく調べてもらうように言っておいたので、時間が掛かったみたいですね」<br /><br /> 「・・・・・・それが、何で郵便受けに突っ込まれてるんですか・・・?」<br /><br /> 「お仕事中に見せて邪魔になってはいけないと思って、こちらに届ける様にお願いしたんです」<br /><br /> 無地の茶封筒から中身を取り出してみると、確かに見たこともない文字で何やら長々と書かれている。同封されていた眼鏡を通して見ると、意味のある文章として読み取ることができた。<br /><br /> (・・・なんかもっとこう、魔法かなにかで部屋の中に届けておくとかできなかったんだろうか)<br /><br /> 少々げんなりした気分になりながら、これで少しは『秘宝』探しの依頼も進展するだろうか、と気合を入れなおす都であった。</dd> <dt id="a5"><span class="resnum">5</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:44:40.91<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「えっと・・・うん、これで全部かな」<br /><br /> そのころ、由愛は一人で商店街に居た。商店街の人たちともすっかり顔なじみになり、ここ最近の安斎家では買い物は彼女のお仕事になっている。<br /><br /> 王族、それも末娘であることから、生来身の回りのことは周りの妖精達がやってくれていた由愛にとって、自分がこうして誰かのために何かをすることは新鮮で面白かった。<br /><br /> しばらく前まで「お一人では何かあったら危険です」とついてこようとした翠も、今では納得してくれた。<br /><br /> (早く帰って、ご飯の準備しないと・・・あれ?)<br /><br /> アパートへ向かって歩き出そうとした由愛は、不意に自分を見つめる視線を感じた。<br /><br /> 振り向いて見ると、銀の髪を二つにくくり、先をロールさせた髪型の少女が、こちらをじっと見つめている。<br /><br /> (え、っと・・・誰、だろう。あっ)<br /><br /> と、こちらが見返したことに気づいたらしい少女が、ふい、と目を逸らして立ち去っていく。<br /><br /> 何だったのだろう、と一つ首をかしげ、由愛は改めて帰路についた。</dd> <dt id="a6">6 :<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:45:44.17<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「・・・・・・ふむ」<br /><br /> 資料には、『秘宝』とはこういったものである、こんな力を持っている、といった直接の記述は少ない。<br /><br /> その代わり、『秘宝』を手に妖精の国を興したという初代の妖精王について、並びに建国の経緯について詳しいの資料が見つかったのは幸いだった。<br /><br /> それによると、妖精族とは、かつて魔界を離れた魔族たちが、より魔法・魔術に長けた形で性質を変えた存在なのだという。<br /><br /> 別の種との戦争が起こった際、争うことをよしとしない魔族の集団が時空を越え、新たな世界で国を造り上げた。<br /><br /> (・・・その建国の英雄、初代の妖精王が手にし、国の礎を作り上げるために使用したマジックアイテムこそが『妖精の秘宝』、というわけですね)<br /><br /> 『秘宝』の力を引き出すことができたのは初代の王のみであり、現在では式典や祭典において儀礼用に扱われるのみであるらしいが、さぞや強大な力を持っていたのだろう。<br /><br /> それが持ち去られ、野放しになっている状況というのは、改めて考えると非常に危険だ。<br /><br /> (これだけの情報があれば、少しくらいは何かわかるかもしれません)<br /><br /> 都は、白紙の本を手に取り、『見通す者の目』を行使せんと意識を集中する。<br /><br /><br /> 「・・・あ、れ」<br /><br /> しかし、本を開くと同時に身体から力が抜け、ぐらり、と倒れ込んでしまった。<br /><br /><br /> 「み、都さん!?大丈夫―――」</dd> <dt id="a7">7 :<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:47:08.19 ID:uTDf1N9Ro</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">・・・・・・ぐぅ。<br /><br /> 「―――みたい、ですね」<br /><br /> 「あ、あはは・・・お恥ずかしい」<br /><br /> あらゆる情報を見通す『目』の力だが、使用するためには気力と体力を大きく削られる。対象が多くの情報を必要とする『秘宝』のようなものであれば尚更だ。<br /><br /> 「ただいまー・・・み、都さん!?どうしたんですか・・・?」<br /><br /> 「あ、由愛さんお帰りなさい。いや、その、これはですね・・・」<br /><br /> 「お帰りなさい、由愛様。ふふっ、心配いりませんよ。少し、お腹が減っただけですから」<br /><br /> 「み、翠さん!・・・うぅ、そういうことなので、心配はいりません・・・」<br /><br /> 「な、なんだ・・・良かった、何かあったわけじゃくって。すぐ、ご飯の用意しちゃいますね」<br /><br /> 「お手伝いします、由愛様。都さんは、机の上の資料を片づけておいてください」<br /><br /> 「は、はい・・・とりあえず、『検索』はご飯を食べてから、ですね」<br /><br /> よいしょ、と力を込めて起き上がり、都は資料を封筒にしまっていく。<br /><br /><br /> (・・・そういえば、『秘宝』が見つかったら、お二人はやっぱり、妖精の国へ帰ってしまうんですよね)<br /><br /> 資料を片付けながら、ふとそんな事が都の頭をよぎる。<br /><br /> (・・・それは、少し寂しいかもしれません)<br /><br /> 賑やかになった事務所が、また自分一人になってしまうのか。そう思うと、少しだけ、都の顔に暗い影がさした。</dd> <dt id="a8">8 :<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:47:40.35 ID:uTDf1N9Ro</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 「・・・・・・あの娘」<br /><br /> 「?どうしたの、昼子ちゃん」<br /><br /> 少し時間を遡り、夕暮れの商店街。神崎昼子こと悪姫ブリュンヒルデは、ある少女をじっと見つめていた。<br /><br /> 「・・・ッ」<br /><br /> しばらく黙って見ていたブリュンヒルデだが、相手が視線気づいたのか見返してくると、ふっ、と視線を逸らして歩き出す。<br /><br /> (あ奴、一体何者だ?魔族と近い魔力の波長を感じたが、しかし何かが決定的に違う・・・何なのだ、この奇妙な感覚は・・・)<br /><br /><br /> ―――ブリュンヒルデが知らないのも無理は無い。かつて、竜と魔族の争いから背を向けた一派のことは、魔界の殆どの資料に残されていない。<br /><br /> ―――妖精として種が分化した後も、彼らと魔族の交流は断絶されたままであり、妖精の存在を知る魔族は、全くといっていいほど存在しないのだ。<br /><br /><br /> (・・・父上なら、何かご存じだろうか。いや、しかし・・・)<br /><br /> 蘭子の召喚に応じ、人間界へとやってきて以来、父とは一度も連絡を取っていない。今父と会うのは、何と言うか、少し気まずいものがある。<br /><br /> 待って、昼子ちゃーん、と追いかけてくる蘭子の声を聞きながら、どうしたものか、と思考を巡らす悪姫であった。</dd> <dt id="a9"><span class="resnum">9</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:48:10.20<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">※妖精族<br /> かつての魔族と竜族の争いにおいて闘う事を良しとせず、魔界を離れた者たちの末裔。<br /> 魔族と比べると、身体能力に劣る代わりに魔法・魔術の扱いに長ける。<br /> 現在の魔界とは交流が断絶しており、妖精界の存在を知る魔族はほとんどいない。<br /><br /> ※妖精の秘宝<br /> 魔界から離れた者たちの中心人物で、後に妖精の国を建国し初代の王となった魔族が持っていたというマジックアイテム。<br /> 使用者が望む力を発揮するのに最も相応しい形を取るとされ、一定した形を持たない。(最後に確認されたのは『本の形』)<br /> 初代の王以外に力を扱いきれた者はおらず、現在では王位継承などの式典で儀礼的に使用されるのみとなっている。<br /> 非常に強力なマジックアイテムであるらしいが、具体的に何ができるのかなどの詳しい記録は残されていない。</dd> <dt id="a10"><span class="resnum">10</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆3Y/5nAqmZM</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/01(月) 17:49:50.79<span class="id">ID:uTDf1N9Ro</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ということで、妖精組の設定掘り下げてみましたー</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a19"><span class="resnum">19</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:53:21.48<span class="id">ID:J+jgk+P0o</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">今なら大丈夫かな?<br /> 投下します<br /> 憤怒Pが別人になっちゃった…ごめん</dd> <dt id="a20">20 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:54:16.46 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">また負けた<br /><br /> また、勝てなかった<br /><br /> 『どうしてまた負けたの』<br /><br /> …うるさい<br /><br /> 『今度勝たなくちゃもう後が無いわよ』<br /><br /> うるさい、うるさい<br /><br /> 『この世界では負けたらもう終わりなの』<br /><br /> 黙れ、黙れ黙れ黙れ<br /><br /> 元々貴方のせいであんな世界に入れられた<br /><br /> 貴方のせいで貴方のせいで<br /><br /> 人の自己満足に勝手に付きあわせて何を言ってる<br /><br /> 私は 私は <br /><br /> 私は貴方の…</dd> <dt id="a21"><span class="resnum">21</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:55:17.55<span class="id">ID:J+jgk+P0o</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 憤怒P「その割には未だにそのお方の言葉に振り回されているじゃないですか、貴方は」<br /><br /> また現れた<br /><br /> 久々に出てきたと思ったら何だこいつは<br /><br /> いきなり下手に出てきやがって<br /><br /> 更に気味が悪くなりやがって<br /><br /> 「へっへっへ…お譲ちゃん最近調子悪いじゃねぇか…<br />   少し前まではこんな感じの貴方の『怒り』を煽る場合にはあの話し方のほうが有効だっただけです<br /> 相手が誰かとか今はきっとこんな話し方のほうが便利だからって話し方や態度を変える」<br /><br /><br />                「ほら、人形だった頃のあなたと同じじゃないですか」</dd> <dt id="a22"><span class="resnum">22</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:56:26.78 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">「黙れ」<br /><br /> 「やはり今の貴方にはこの話し方のほうが良い 暫く無視されることも無くなりそうですしね」<br /><br /> 「意外と私 寂しがり屋さんなんですよ?」<br /><br /> 「おっと前置きが長くなりすぎましたね」<br /><br /> 「貴方に大事なお話があります」<br /><br /> 「貴方には新たな『憤怒の王』となっていただきたくお話に上がりました」<br /><br /> 「いきなり何を言ってるんですかって顔をしていますね、よくわかる」<br /><br /> 「わかるわ なんてね」<br /><br /> 「貴方は魔界の王や龍の王の娘には会いましたけど大罪の悪魔については全く知らない身ですからね」<br /><br /> 「いいでしょう、教えてあげます」</dd> <dt id="a23"><span class="resnum">23</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/01(月) 20:57:21.89 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">……<br /><br /> 「まぁ大まかにはこんな感じですね」<br /><br /> 「それでその事を私が知ったからって何が変わるんですか」<br /><br /> 「いつも通りただ私を怒らせに来ただけって訳ですか?」<br /><br /> 「いやいやそんなことはありませんよ 私としては少し感謝してほしいくらいですけどね」<br /><br /> 「でもここまでの話の中でおかしいと思ったことはありませんか?」<br /><br /> 「『カース』を生み出すのはカースドヒューマン 『カースドヒューマン』を生み出すのは大罪の悪魔」<br /><br /> 「どちらの場合にも無意識に生み出してる場合も多いですけどね、特に暴食の悪魔なんかは」<br /><br /> 「しかし憤怒だけは例外です 憤怒の悪魔の魔王サタンは未だ魔界に居る身」<br /><br /> 「無意識にカースを生み出す自我の弱さも彼には全く有りません」<br /><br /> 「しかし貴方は生まれた、それは何故か」<br /><br /> 「この私、邪龍ティアマットが奪った憤怒の王の魔翌力を元に生み出したからです」</dd> <dt id="a24"><span class="resnum">24</span>:<span class="name" style="color:#008000;"><b>saga忘れてた…</b>◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 20:58:33.26 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「私が生み出した呪いによって長い間奪い続けた彼の魔力によってやっと魂だけでも動くことができるようになったので何人か種を撒いた」<br /><br /> 「そして貴方だけが生き残り 憤怒の王の資格を得ることが出来ました」<br /><br /> 「貴方には私が持ってる魔王サタンの魔力を差し上げたいと思っております」<br /><br /> 「貴方の素質は素晴らしい 様々な状況によって生まれた憤怒だけでなく」<br />   ずっと持ち続けた他人への嫉妬、傲慢で強欲な復讐劇」<br /><br /> 「邪魔な怠惰や暴食、色欲以外の様々な罪をお持ちになってる」<br /><br /> 「貴方はただのカースドヒューマンにしておくのは相応しく無い」<br /><br /> 「貴方こそが新たな王にふさわしい存在でございます」<br /><br /> 「もしかしたら、もしかしたら憤怒だけでなくすべてのカースの王にだってなれるかもしれません」<br /><br /> 「所詮は他人の魔力ですので自由に使えるようになるまで何日か時間は必要ですが」<br /><br /> 「強欲の王が倒れ魔力管理人が潜伏、地下世界の侵攻と時間があるのは今です」<br /><br /> 「一応聞いておきますか、貴方の答えは?」<br /><br /> 「お人形さん?」</dd> <dt id="a25">25 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 20:59:39.54<span class="id">ID:J+jgk+P0o</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">正直信じられない<br /><br /> 私はただの少し力を持っただけの人間で<br /><br /> きっとカースの力なら色んな物に勝てるって思ってた<br /><br /> でも現実はそうじゃなくて<br /><br /> ヒーローだけじゃなくって魔族やら龍族やら色んな物を敵に回して<br /><br /> その上私が新たな王?<br /><br /> こいつの胡散臭い言葉に惑わされるのも嫌だ<br /><br /> でも<br /><br /> 勝ちたい<br /><br /> 勝って勝って勝って<br /><br /> 認められたい<br /><br /> あの人に、世界に、そして―私に</dd> <dt id="a26">26 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 21:00:35.02<span class="id">ID:J+jgk+P0o</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「まぁ聞くまでもありませんか」<br /><br /> 「…1つだけ貴方に言っておきます」<br /><br />                「私は、人形じゃない」</dd> <dt id="a27">27 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 21:01:17.47 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> おはようございます、今日もボクはカワイイです<br /><br /> 昨日は色々大変でした、泰葉さんは帰ってきてすぐ引きこもってしまいますし<br /><br /> まぁ昨日は昨日です<br /><br /> さぁて今日はどんな風にボクの可愛さを世界に…<br /><br /> 「さっちゃん!さっちゃん!大変だー! いやよくあることなんだけどね」<br /><br /> 「なんですか杏さん、貴方らしくもない」<br /><br /> 「うーんなんとなく…めんどくさいけど伝えなくちゃって思ったんだよ」<br /><br /> 「泰葉ちゃんが居なくなっちゃった」<br /><br /> うーん確かによくあることっちゃよくあることです<br /><br /> 逆に彼女はここにいることの方が珍しい気がするんですが…<br /><br /> 「…杏さん、お互いのカースを使って泰葉さんを探しますよ!」<br /><br /> 「めんどくさーい…でも今回は流石に手伝おうかなぁ なんか怖いし」<br /><br /> 珍しく杏さんも同じ物を感じてるんでしょうか<br /><br /> なんなんでしょう…この消えそうにない胸騒ぎは…すごい取り返しの付かない事になりそうな…</dd> <dt id="a28">28 :<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 21:02:00.89 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">邪龍ティアマット<br /> 憤怒Pの正体<br /> 元々自分の毒を用いた呪いの魔法が得意だった龍だが<br /> 規律の激しい龍社会に溶け込めず更に魔族の魔法に手を出した事で龍社会から追い出されることになる<br /> その後様々な魔法を組み合わせた魔王にさえ消すことのできない『他人の魔力を奪い続ける呪い』を生み出すことに成功<br /> 呪いをかけたのは本人かは定かではないが奪い続けた魔力は呪いの開発者の彼が持ち続けることになり一度滅ぼされたものの復活<br /> 魔力を渡し新たな憤怒の王を生み出すべくカースドヒューマンを作り続けた<br /> 最終的な目的は不明だが泰葉の事を異常に買っており憤怒だけでなくすべてのカースの王になれる可能性を示唆している<br /> ご覧の通り様々な喋り方やら態度やら声色を効果的に操りめちゃくちゃウザくて性格悪い<br /> 煽り性能は魔界龍世界共にきっとランク1であろう</dd> <dt id="a29"><span class="resnum">29</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆j4KjALPDp2</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 21:06:03.08 ID:J+jgk+P0o</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> おっかしいなぁ…岡崎先輩でろでろに甘やかすss書きたかったのに…<br /> 龍と魔族の戦争とかその辺はぼかしてます 最悪こいつに押し付けても<br /> 色々な奴の共通の敵を作ってみました 魔族にとってもヒーローにとってもいい存在じゃない感じに<br /> あと最初はニーズホッグにしようと思ったら凄い所でアイディア被るものだなぁって</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a34"><span class="resnum">34</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum"><span class="namenum">2</span></span>ss/<span class="namenum"><span class="namenum">4</span></span>dt<span class="namenum"><span class="namenum">7</span></span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:13:30.06<span class="id">ID:vaDF+WPOO</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙ー<br /><br /> ベルちゃん「まさか私は無意識で産み出してたんですか~」<br /><br /> やべぇ……折角唯一かられないよう頑張ってたのに罪が増えてピンチ!<br /><br /> てな訳で、エスパーユッコ投下します</dd> <dt id="a35"><span class="resnum">35</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:14:46.28<span class="id">ID:vaDF+WPOO</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">とある研究施設。<br /><br /> 本来ならここは秘密裏に稼働し、世間には公表されておらず、静かな場所であった。<br /><br /> ……本来ならば……<br /><br /> 爆発が起こり、銃撃音が響きわたっていた。<br /><br /> そこには、吹き飛ばされて、グニャグニャに曲がった鉄柱に取り押さえられてる研究員達がいた。<br /><br /> そして、破壊されていく警備ロボと撃破されて気絶されていく警備兵達。<br /><br /> 残ったモノたちは、様々な装備で、その原因である≪少女≫を狙っていた。</dd> <dt id="a37"><span class="resnum">37</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:16:40.72 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 裕子「あまーい!!このエスパーユッコのサイキックフィールドで弾き返します!」<br /><br /> その少女は、空中に浮かび、目がまるでルビーのように真っ赤に輝いていていた。<br /><br /> そして、彼女に向かって来た攻撃は空間が捻じ曲げられ、反射されるように相手に跳ね返り、襲いかかる。<br /><br /> 警備兵A「超能力じゃねえだr…グガァァア!!!」<br /><br /> 警備兵B「おい!大丈夫か!?……畜生!!なんで、コイツらが脱走するんだ!?他の三人には逃げられたし、コイツだけでも確保s……ゴベバァッ!!!」<br /><br /> 警備兵C「む…無理だぁぁ!!第一段階の姿でこのいりょk…ギャァァァァァ!!!」</dd> <dt id="a38"><span class="resnum">38</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:18:14.85 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> それは≪脱走≫だった。<br /><br /> 脱走したのは、能力者の少女ではない。<br /><br /> とある機関が秘密裏に進めていたあるプロジェクトの実験体達だ。<br /><br /> ≪OZ計画≫<br /><br /> それは異星の技術を取り入れ、人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画だった。<br /><br /> ある星で見つかった金属生命体≪OZ≫。それは生物に寄生し、独自に進化していくモノだ。<br /><br /> それを軍事利用できないかと、ある機関は宇宙犯罪組織の協力を得て、身体が欠損した人間にそれを移植させた。<br /><br /> その金属はみるみるとその人間のパーツに擬態し、独自に進化をしていった。<br /> そして、その人間の身体を金属生命体にあう身体に徐々に侵食させていくのだ。<br /><br /> もちろん。それは人間の身体に拒否反応を起こしてしまう例は少なくない。最初に移植した段階で死んだ人間もいれば、侵食してる最中に死んだ者もいる。<br /> その為に成功した者は僅か4人だ。<br /><br /> その生き残った完成品の金属生命体をOZになぞらえて<br /><br /> ≪ドロシー≫≪スケアクロウ≫≪ティン≫≪レオ≫<br /><br /> という名前をつけたのだ。</dd> <dt id="a39">39 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:19:46.73 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 裕子「コレで粗方片付けたかな?」<br /><br /> そして、この少女---堀裕子もその一人。<br /><br /> OZ≪スケアクロウ≫を両目に移植されたモノである。<br /><br /> 事故で頭部を損傷し、両目も見えない状態の重傷人だったが、多額の礼金と共に病院からこの機関に移されたのだ。<br /><br /> つまり………両親に売られた形だ。<br /><br /> 裕子「これもこのエスパーユッコの超能力の力ね!」ドヤッ<br /><br /> ………決して、脳に障害を得てアホの子になったわけじゃないよ。うん。多分……<br /><br /> 裕子「三人も無事逃げられたみたいね」<br /><br /> その赤い金属のような目で≪確認≫すると、地面に降り立った。<br /><br /> 目は人間の目に戻っていた。<br /><br /> 裕子「私も速く逃げないと!そして自由だ!!」<br /><br /> 久しぶりの街に思いをはせながら、彼女は他の仲間と合流する為に立ち去った。</dd> <dt id="a40">40 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:20:15.40 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そして、この研究所の人達はSDFにしょっぴかれたが、宇宙犯罪組織の影は掴めなかった……<br /><br /> 何よりデータが破損されてる為に、何の研究をしてたかもわからなかった。<br /><br /><br /> 終わり</dd> <dt id="a41">41 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:23:44.42 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">堀裕子(16)<br /><br /> 職業・元実験体<br /> 属性・OZ≪スケアクロウ≫適合者<br /> 能力・千里眼、透視能力、空間の歪みが見え空間を曲げる、傷の自己修復。<br /><br /> ちょっと頭の弱いOZ適合者。<br /> 自称・エスパーユッコ。<br /><br /> 性格は明るく元気で、仲間思い。<br /><br /> 普段は普通の人間だが、≪スケアクロウ≫を発動すると、目が宝石のルビーのように真っ赤に輝く。それは金属でできている。<br /><br /> この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、両目に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。<br /> そして、この姿の時に、千里眼と透視能力が使える。<br /> 更に僅かな空間の歪みを作り出し、そこの空間にあるモノごと曲げたり、向かってくる銃弾や光線とかの起動を曲げ、逸らしたり、跳ね返したりできる。<br /><br /> 第二段階になると、まるで全身が金属でできたカカシのような異形の姿になるが、この姿にはならないようにしている。<br /><br /> 彼女は事故で、頭部を負傷し、両目を失明してしまったが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、売られた犠牲者だった。<br /> だけど、自力で脱出した。<br /><br /> 彼女の他にもあと3人仲間がいて、現在合流しようとしている。<br /><br /><br /> ≪OZ≫<br /> ある星で見つかった金属生命体。それは生物に寄生し、独自に進化していくモノだ。<br /><br /> その金属は、みるみるとその生物のパーツに擬態し、独自に進化をしていった。<br /> そして、その生物の身体を金属生命体にあう身体に徐々に侵食させていくのだ。<br /><br /> だが、ほとんどの生物に拒否反応を起こし、死んでしまい、今まで完全に成功した生物はいなかった。<br /> それに初めて完全に成功したのは僅か4人。<br /><br /> その完成品の金属生命体をOZになぞらえて、≪ドロシー≫≪スケアクロウ≫≪ティン≫≪レオ≫という名前をつけたのだ。<br /><br /><br /> 普段は普通のパーツだが、発動すると、移植した部分とその周辺だけが金属化し、異形化する。<br /><br /> 第二段階になると、全身が金属化し、異形化する。<br /><br /> なお、傷を受けてもしばらくしたら自己修復する。</dd> <dt id="a42">42 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/01(月) 22:28:02.27 ID:vaDF+WPOO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です。<br /><br /> どうしてこうなった?<br /> なんか、人工能力者つくりたいなと思ったらこうなっちゃいました……<br /><br /> なお、ユッコの能力は、わかりやすくいうと空の境○のふじ○んです。<br /><br /> そして、ユッコがスケアクロウなのはアホな子だからじゃないよ(眼を逸らし</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a46"><span class="resnum">46</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:06:56.13<span class="id">ID:CN8cD/wgo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 先輩頑張れ、超頑張れ!<br /> ユッコも頑張れ、色んな意味で頑張れ!<br /><br /> ちゃま投下します。</dd> <dt id="a48"><span class="resnum">48</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:08:32.94<span class="id">ID:CN8cD/wgo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> <br /> 桃華「わたくし、こう言う事ははじめてですのよ・・・・・・。」<br /><br /><br /> 桃華「これを・・・・・・どうすればいいんですの?」<br /><br /><br /> 桃華「ここを握って・・・・・・・もっと優しく?」<br /><br /><br /> 桃華「適当に弄ってるだけではダメですのね、難しいですわ。」<br /><br /><br /> 桃華「ですがやり方はわかりましたわ!次はわたくしが・・・・・・。」<br /><br /><br /> 桃華「そっ、そこはダメですわっ!」<br /><br /><br /> 桃華「あっ!ああんっ!」<br /><br /><br /> PLAYER 1 WIN !!<br /><br /><br /> 紗南「またあたしの勝ちだね!」<br /><br /> 桃華「今の反則ではありませんのっ!?同じところばかり攻撃して!」<br /><br /> 紗南「甘い甘い、これがこのゲームのルールだよ。」<br /><br /> 桃華「くっ、悔しいですわっ!次は、次こそはわたくしが勝ちますわよっ!!」<br /><br /><br /><br /> 本日、櫻井桃華は何故かテレビゲームに興じていた。<br />  </dd> <dt id="a49">49 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:10:12.80 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 三好紗南。<br /><br /> 七つの大罪の悪魔ベルフェゴールに憑かれた少女。<br /><br /><br /> あの日、死神ユズはベルフェゴールの魂を刈取った後、<br /><br /> 疲労で眠る紗南の身体を安全な場所まで運び、一旦放置。<br /><br /> 付近の住民が発見するのを待って、それを見届けると<br /><br /> ベルフェゴールの魂を持って魔界に帰還した。<br /><br /> 故に彼女は三好紗南のその後を知らない。<br /><br /><br /> あの後、<br /><br /> ここ数ヶ月の記憶が曖昧で、『悪魔に憑かれていた』と証言する少女を<br /><br /> 「然るべき機関で療養すべき。」と言う意見のもと、財閥の病院が保護したことなど。<br /><br /> そして、今は『強欲』の悪魔の手元に居ることなど知るはずも無いだろう。<br /><br /><br /><br /> 桃華「三好さんは、悪魔に憑かれていた頃の事覚えてますの?」<br /><br /> 紗南「・・・・・・ほんのちょっとだけね。」<br /><br /><br /> ベルフェゴールは彼女の肉体と精神を完全に支配していたはずだ。<br /><br /> 故に、その期間の事を彼女がほんの少しでも覚えてると言う事に『強欲』の悪魔は興味を示したのだ。<br /><br /> それが今、三好紗南がこの屋敷に居る理由である。</dd> <dt id="a50">50 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:12:31.49 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「その時の事、わたくしに教えてくださるかしら?」<br /><br /> 紗南「本当にちょっとだけだよ。覚えてない事の方が多いから。」<br /><br /><br /> 三好紗南は素直に答える。<br /><br /> なんとなく、櫻井桃華の質問には必ず答えねばならない気がしたからだ。<br /><br /><br /> 紗南「えっと、なんて言えばいいのかな。」<br /><br /><br /> 紗南「・・・・・・近くなのにずっと遠くから、あたしじゃない”あたし”を見てる感覚があってね。」<br /><br /> 紗南「あたしはそこに居るのにそこに居ない。そんな感じだったよ。」<br /><br /> 紗南「丁度、画面に映るゲームの主人公を見てる感じに似てる・・・のかな?」<br /><br /> 紗南「でもコントローラはあたしの手元には無くって、本当にただ見てるだけ。」<br /><br /> 紗南「その頃の”あたし”は、悪魔で。悪魔の仲間が居て。死神と戦ったりして。」<br /><br /> 紗南「まあ、ほとんど覚えてないんだけどね。」<br /><br /> 紗南「でも、一個だけ強烈に覚えてることがあるんだ。」<br /><br /><br /> 紗南「すごく・・・・・・すごく『退屈』だったよ。」<br /><br /><br /> 紗南「あたしもだけど・・・・・・たぶん”あたし”も、ね」</dd> <dt id="a51">51 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:14:25.71<span class="id">ID:CN8cD/wgo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華(なるほど、紗南ちゃま。)<br /><br /> 桃華(やはりあなた、本当は全部覚えていますのね。)<br /><br /><br /> この少女は全て覚えている。<br /><br /> そこに意思はなくとも、自分がベルフェゴールだったことを記憶している。<br /><br /> そして、その時にした事も、その時に感じたことも、やはり覚えている。<br /><br /><br /> ただ少女の脳が、理性が、全てを思い出すことを拒否しているのだろう。<br /><br /> ベルフェゴールの持つ情報の負荷と毒気は、14歳の少女には重すぎる。<br /><br /> 思い出せないのは、少女の精神の防御反応によるものだ。<br /><br /><br /> 桃華(思い出せないだけで、彼女の中にも記憶は確かに存在する。)<br /><br /> 桃華(それが分かれば十分ですわ。)<br /><br /> 桃華「ねえ、三好さん。」<br /><br /> 紗南「ん、何?」<br /><br /><br /> 桃華「その記憶、わたくしが貰ってもよろしくて?」<br /><br /> 『強欲』の悪魔は怪しく微笑む。<br /><br /><br /> 紗南「うん・・・・・・いいよ。あげる。」<br /><br /><br /> 『櫻井桃華の言う事には逆らえない』<br /><br /> 答える少女の目には、光はなかった。</dd> <dt id="a52">52 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:16:02.69 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">――<br /><br /><br /> 桃華「使い魔ですわね。」<br /><br /><br /> サクライPから送られてきた映像を見て、<br /><br /> 『強欲』なる彼女は、そこに映る物の在り方を看破した。<br /><br /><br /> サクライP『随分と変わった使い魔ですね。』<br /><br /> 通信先からサクライPが答えた。<br /><br /><br /> 桃華「魔翌力管理人の・・・・・・あ、いえ違いましたわ。」<br /><br /> 桃華「魔力管理人のユズちゃまにしか作れない使い魔ですから。」<br /><br /> サクライP『魔翌力?』<br /><br /> 桃華「・・・・・・異界の理のせいで言い間違えただけですわ。気にしたら負けですわよ。」</dd> <dt id="a53">53 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:17:42.19 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「魔法塔のクリスタルから製造された使い魔。」<br /><br /> 桃華「ベルフェちゃまの記憶にある姿とは少々違うようですけれど、」<br /><br /> 桃華「その存在を構成する要素は同じですわね。」<br /><br /><br /> サクライP『ニ体発見された時点でもしやとは思っていましたが・・・・・・どちらも本体ではないのですね。』<br /><br /> 桃華「本体は自分のフィールドに逃げ込んだのでしょう。」<br /><br /> 桃華「世界の狭間。穴熊を決め込むならあそこほど適した場所もありませんわ。」<br /><br /> 桃華「けれど、ユズちゃま。魔王の命も残り僅かですのにあまり悠長な事もできませんわよ?」<br /><br /><br /> 三好紗南から『搾取』したベルフェゴールの記憶は、彼女にとって非常に有益であった。<br /><br /> 死神ユズの詳細な来歴、天使「望月聖」の姿と居場所、<br /><br /> 魔王の娘ブリュンヒルデの地上での活動、魔王を侵す竜帝の呪い、<br /><br /> 悪用しようと思えば、幾らでもできそうな情報ばかり。<br /><br /><br /> 桃華「ベルフェちゃまにもう少し野心があれば、本当に怖い存在でしたわね・・・・・・。」<br /><br /><br /> 『怠惰』の悪魔の能力、つくづく恐ろしい力であったと思う。</dd> <dt id="a54">54 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:21:48.13 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> サクライP『本体の代わりを使い魔が勤めていると言う事は、』<br /><br /> サクライP『彼女には魔界からの増援は無い、と考えてよろしいのですか?』<br /><br /> 桃華「無いとは言い切れませんけれど、可能性は低いですわね。」<br /><br /><br /> 桃華「彼女ほど有能な者など魔界広しと言ってもなかなかいませんし、」<br /><br /> 桃華「それに先の戦争で魔界に有能な人材はほとんど残ってませんのよ。」<br /><br /> 桃華「今の日和った魔王に忠義を尽くすほどの人材となれば余計にですわ。」<br /><br /> 地上に来訪者達が現れても、行動を起こさない魔王に不信感を持つ悪魔も少なくはない。<br /><br /> そして、<br /><br /> 桃華「残る忠義に厚い者達も、魔界で虎視眈々と魔王の命を狙う不届き物相手に目を配らせねばなりませんから。」<br /><br /> あわよくば伸上ろうと画策する悪魔や、未だ復讐心に燃える竜族の生き残りを抑える者が魔王の傍に必要なのだ。<br /><br /><br /> 戦争による人材の減少と、魔王の威光の翳り。<br /><br /> それを良いことに、七大罪をはじめとする悪魔達がこぞって地上に出たので<br /><br /> さらに人材不足の傾向は悪化しているようである。<br /><br /><br /> 桃華「ユズちゃまだって魔力の管理と、兼任してわたくし達の捕縛を任されてますのよ。」<br /><br /> 魔力管理人とは決して暇なお飾り官職ではない。なにしろ世界の魔力のバランサーだ。<br /><br /> その魔力管理人に別の仕事を頼まねばならないほどに、魔界は手が足りていないのだ。<br /><br /><br /><br /> サクライP『なるほど・・・・・・魔界は随分と弱っているのですね。』<br /><br /> 桃華「・・・・・・あら。」<br /><br /> 桃華「ウフ、Pちゃま。きっと今すごく悪い顔してますわね♪」<br /><br /> 桃華「でも止めて置いたほうがいいですわよ。幾ら全盛期より弱ってるとは言っても、」<br /><br /> 桃華「それでもなお魔界は深淵ですわ。”人類が侵攻できるほど”には落ちぶれてはいませんわよ。」<br /><br /> サクライP『残念です。獲得できれば、人類はさらに進化できると思ったのですが。』<br /><br /> 桃華「ウフ、ウフフフ!Pちゃまは本当に面白い方ですわね!」</dd> <dt id="a55">55 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:24:51.85 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> しかし、悪魔である彼女にとって考えさせられる話ではある。<br /><br /><br /> ”あの日”から、人類は『異能』を獲得し、貪欲に外の『技術』を手にしてきた。<br /><br /> 『魔術』や『魔法』を扱う人間も居る。悪魔に対抗できる程度の力は十分にあるのだ。<br /><br /> いずれ、人間と悪魔の力関係が反転する事もあり得る事だろう。<br /><br /> 人類の魔界への侵攻も夢物語ではないはずだ。<br /><br /><br /> 桃華(いえ・・・・・・そもそも抑止力であるわたくし達、悪魔が戦争で弱ったからこそ、)<br /><br /> 桃華(人間の渇望に歯止めが掛からなくなったのですわ。)<br /><br /><br /> 人の『欲望』を愛し、『欲望』を力にする彼女にとっては、<br /><br /> それは特に不都合なことではなく、むしろ人類の欲望は積極的に煽っていきたい事なのだが。<br /><br /> 桃華(それはそれとして、気になりますわね。)<br /><br /><br /> 桃華(あの戦争は悪魔と竜の覇権争い。)<br /><br /> 桃華(結果は悪魔の勝利で終わりましたが、悪魔達もまた安くない代償を払いましたわ。)<br /><br /> 桃華(竜帝の崩御、死の呪いに侵される魔王、役職を持つ多くの悪魔達の死・・・・・・)<br /><br /> 桃華(・・・・・・出来すぎてますわね。)<br /><br /> 桃華(どう転んでも・・・・・・パワーバランスは崩壊し、魔界そのものが弱る。)<br /><br /> 桃華(もし、あの戦争を仕組んだ者がいるとするなら、魔界全土の衰退を望むもの?)<br /><br /> 桃華(それはいったい・・・・・・。)<br /><br /><br /> 何者なのか</dd> <dt id="a56">56 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:26:47.94 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「いずれにしても、今はユズちゃまですわね。」<br /><br /> 桃華「翼をもいだのはいいですけれど、引きこもられるのも面白くありませんわ。」<br /><br /> 桃華「あの使い魔を打ち倒せば、出てきてくださるのかしら。」<br /><br /><br /> サクライP『その使い魔ですが、我々としては材料となったクリスタルを手に入れたいのです。』<br /><br /><br /> 桃華「Pちゃまは貪欲ですわね♪」<br /><br /> 桃華「ですがアレには自己破壊機能がありますし、首尾よく無力化できたとしても」<br /><br /> 桃華「クリスタルは魔力管理人以外が触れれば消滅しますのよ。」<br /><br /> 桃華「それをどうやって回収しようと・・・・・・。」<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・ああ、そう言う事ですの。」<br /><br /> 桃華「Pちゃまはわたくしに『動け』と言いたいわけですわね♪」<br /><br /><br /> サクライP『・・・・・・いえ』<br /><br /> サクライP『動くのは私どもです。貴女様は”その場所”に居てくだされば問題ありません。』<br /><br /><br /> 桃華「・・・・・・わかりましたわ。Pちゃまの手腕、期待してますわよ。」<br /><br /> サクライP『ご協力、感謝いたします。』<br /><br /><br /> かくして財閥は死神の使い魔を追い始める。</dd> <dt id="a57">57 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:28:52.30 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 桃華「そうそう、Pちゃま。紗南ちゃまの処遇ですけれど。」<br /><br /> 桃華「財閥の末端組織で能力者として使ってあげなさいな。」<br /><br /> サクライP『能力者としてでございますか?』<br /><br /> 桃華「記憶を貰うついでに、彼女の中身を覗かせて頂きましたけど。」<br /><br /> 桃華「『怠惰』の因子がわずかに残ってましたのよ。」<br /><br /> 桃華「ベルフェちゃまの依り代に選ばれるだけの事はありましたわね。」<br /><br /> サクライP『その力は奪わなかったのですか?』<br /><br /> 桃華「今はまだ小さい力でしたもの。わたくしには必要ない力ですわ。」<br /><br /> 桃華「それをどう扱い、どう成長させるかは紗南ちゃま次第ですのよ♪」<br /><br /><br /> 桃華「それに、たしか・・・・・・紗南ちゃまのご両親はベルフェちゃまに操られた後遺症があるのでしょう?」<br /><br /> 三好紗南の両親は、ベルフェゴールの洗脳によってすっかり怠惰な人間にされてしまっていた。<br /><br /> 彼らも財閥が保護し、治療を受けているところである。<br /><br /><br /> 桃華「財閥としてもタダで治療することもありませんし、ご両親が働けないなら」<br /><br /> 桃華「その分紗南ちゃまに働いて貰うのがよろしいですわよね?」<br /><br /> サクライP「わかりました、ではその様に手配いたしましょう。」<br /><br /> 桃華「頼みましたわよ、Pちゃま♪」<br /><br /><br /> こうして三好紗南の社会復帰が決まったのであった。</dd> <dt id="a58">58 :<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:30:25.11 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">おわり<br /><br /><br /> 『搾取』<br /> 『強欲』の悪魔マンモンの能力の一部。<br /> 対象1体から資産、生命力、魔力、能力、意思、記憶、経験などいずれかを奪い、自分の物とする。<br /> ただしマンモンより弱い相手にしか通用しない。<br /><br /> 『ベルフェゴールの記憶』<br /> 三好紗南がベルフェゴールとして見聞きした情報の記憶。<br /> 内容は主にゲームの攻略情報全般。<br /> 「もし次に紗南ちゃまとゲームで戦うことがあっても、今度は勝てますわ。」<br /><br /><br /> 三好紗南(14歳)<br /><br /> 職業:中学生、兼、財閥の能力者<br /> 属性:怠惰<br /> 能力:?<br /><br /> 「怠惰」を司る悪魔ベルフェゴールに憑かれていた少女。<br /> 悪魔に精神を乗っ取られていたが死神ユズによって開放される。<br /> 一度は財閥の病院に運ばれ、治療を受けていた。<br /> その後、マンモンによって記憶の一部を奪われて社会復帰。<br /><br /> 元の中学校に通いながら、今も入院している両親のために<br /> 能力者として財閥に扱き使われてるとか使われてないとか。<br /> 記憶を奪われたために桃華との面識は無い。</dd> <dt id="a59"><span class="resnum">59</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆6osdZ663So</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/01(月) 23:31:27.44 ID:CN8cD/wgo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 紗南ちゃんが倒れたまま放置されてたので、使わせていただいた。<br /> 魔界関係の話はおかしいところあるかもしれない。都合が悪かったらスルーで<br /><br /> 屋敷の外に出ようとしない桃華ちゃまはユズポンのこと引きこもりとか言えないって思うな!</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a63"><span class="resnum">63</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:27:55.56<span class="id">ID:BXdQXBXW0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 三好家の明日はどっちだ!<br /><br /> もし空いてたら、少ししてから投下するよー</dd> <dt id="a64"><span class="resnum">64</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx<span class="namenum">53</span>OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:32:00.81<span class="id">ID:BXdQXBXW0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 相変わらずチグハグな街だ、名前ではネオトーキョーと名乗ってはいるが河川は淀み、街は荒廃しているようにすら見える。<br /> とてもまともな見立てで立てた街じゃない、どの法則も無視して取り敢えず立てたような町並み。<br /> どちらかと言うと、この街は昔あったような九龍城砦に似ている。<br /> 一言で言うと滅茶苦茶、この意匠は明らかに何も寄せ付けない形になっている。<br /><br /> 早苗「まあ、こういう時は元の職に頼るに限るわ」<br /><br /> そう言って服の袖を捲る、今日は面倒なことになりそうだった。<br /> ネオトウキョウは全部で何層にも別れた、ウェハースのように広がっている。<br /> 下層に行くほどドブや、『歪み』そして様々な情報が増えてくる。<br /><br /> П「……で?今何と」<br /><br /> 早苗「勿論、ネオトーキョーに行くわよ、準備しなさい」<br /><br /> 露骨に嫌そうな顔をしてくれる、そりゃそうか。<br /><br /> П「どうせ、また露骨に嫌なものを見せてくれるんだろ」<br /><br /> 早苗「そりゃあそうよ、じゃなきゃ君を一人でここに呼び出したりはしないもの」<br /><br /> 思いっきり嫌な顔をされた、まあ仕方がない、何しろ今は量より質、優れた人材がほしいもの。<br /><br /> П「自分でどうにか出来ないことを、人にやらせようとするんじゃない」<br /><br /> 早苗「そうなるかはまだ決まってないわよ、ただそうなるかもしれないってだけ」<br /><br /> 今日向かう場所はネオトーキョー、埋立地と名目して作られた迷宮都市、地下部である。<br /> 車を走らせ、隣で奇妙な新聞…何でもゴースト付きが出た、企業の闇…という紙面に目を走らせる青年を見る。<br /> 何とも緊張感にかけた顔で、車の中にあったスルメイカを貪っており、目は眠たげな顔をしている。<br /> これから、命がけの仕事に行くとは思えない顔だ。</dd> <dt id="a65"><span class="resnum">65</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:35:45.13 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> П「で、今日は何を探しに行くんだ」<br /><br /> 早苗「言うなれば悪いやつ探し、詳しく言うと昨日このネオトーキョーにアンダーワールドってとこから来てる奴が、停泊しているみたいね」<br /><br /> П「へぇ、どんな目的だ」<br /><br /> 早苗「アイドル攫いが目的ですってよ」<br /><br /> П「今時熱心な追っかけも居たもんだ」<br /><br /> 何とも緊張感にかける、だがコイツは生まれてこの方、ずっとこの調子で生きてきたのだ。<br /> 天邪鬼で、人を困らせるのが大好き、だが根が腐っているわけではない。<br /><br /> 早苗「アンダーワールドの人間は元来目が悪い、そして高度な技術力を持っているそうよ」<br /><br /> П「へぇ、何でわかるんだ?」<br /><br /> 早苗「何時ものアレよ」<br /><br /> П「ああ、アレか」<br /><br /> そう言うと二人共黙りこみ、早苗は運転、Пはイカの咀嚼に勤しむ。<br /><br /> П「あぁ…くっせぇ……」<br /><br /> 隣席でイカを咀嚼してゲップをしたПがボッソリつぶやいた、確かに臭い勿論2つの意味でだ。<br /> 一つ目は隣でスルメとコーヒーを食って、ゲップしたバカの吐く息。<br /> もう一つは、第2の九龍城塞とも言えるネオトーキョー地下部、そしてある意味人類の坩堝である。</dd> <dt id="a66">66 :<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:37:28.14 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 早苗「あぁ!もうその臭い息どーにかしなさい!」<br /><br /> そう言って口内へペパーミントの清涼剤を放り込む、Пが口をムグムグと動かすと、ふぁぁと間延びしたあくびが出てきた。<br /> コイツここに捨てて行こうかしら……<br /><br /> 早苗「ここからは歩きよ、と言っても隣の部屋だけど」<br /><br /> П「こんなトコまで物好きなこったなぁ、ええ?『風水師』さんよ」<br /><br /> 早苗「……まあね、此処でしか集まらないものも、あるからかしら」<br /><br /> 片桐早苗、通常時はただの婦警だが、その情報網は自分の足と過去に得た能力によるものである。<br /><br /> 早苗「まさか今更になって、この能力が役に立つなんてね」<br /><br /> 五行…世の中を5つの要素とした時、土、金、水、木、火の5つに分けられる、風水師はそれを操る者の事である。<br /><br /> 早苗「まあ、簡単に言うと土地を整理して、大地の能力を自分の味方につけるものってことね」<br /><br /> П「しかし嫌な警官だなお前も、悪徳企業が生んだ『歪み』を利用して、逆に弱点にするとはね」<br /><br /> 早苗「褒められたもんじゃないけどね、ま、直せないなら利用するだけよ」<br /><br /> 風水師は本来はこういう街に立ち入って、土地を整えるのが仕事だが。<br /> 金は誰も寄越さないし、こういう街は寧ろ訝しんで拒否されるのがオチだ。<br /> だったら、逆に歪みを集めて『誰も立ち寄れない空間』を作ればいい。<br /><br /> 早苗「そこだけに歪みが集まる、そしてそれを利用すれば、悪魔も神様も気味悪がって近づかない地域の完成、ってわけよ」<br /><br /> 今回は早苗の指示通り通って此処にたどり着いたが、自分一人、もし能力無しで帰ることは不可能だろう。<br /><br /> П(だって、此処らへん全部空間が歪んでるんだもんなぁ)<br /><br /> コンパスは磁気を狂わされるし、地形は流体的に動き、常に変動し続ける。<br /><br /> П「なる程、そりゃあ誰も近づかないわ」</dd> <dt id="a67">67 :<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:40:23.46 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> この部屋と隣の部屋は固定されているが、今もこの中心点以外は流体的に動作し続けている。<br /><br /> П「他に此処に辿り着ける奴は居るのか?」<br /><br /> 早苗「たどり着いたからさっき入り口に、ドロドロに溶けた人間が落ちてたのよ?」<br /><br /> П「……」<br /><br /> 人外魔境、所謂『歪み』によって生じた波に運悪く深くまで呑まれた人間は、生きた死体として延々彷徨い続ける。<br /> 恐らく、この歪みによって死ぬことすら出来ず、このままあの人間はあそこにあり続けるのだろう。<br /> 先程の臭いの原因…恐らく、チンピラであろう蠢く肉塊をもう一度見返した。<br /><br /> 早苗「まあ、半死体がただのチンピラで良かったわ」<br /><br /> そう言って、道中で拾った車内の『女の子』に目を配る。<br /><br /> П「……」<br /><br /> 早苗「あんたも、本当に昔のトラウマが消えないのね」<br /><br /> 部屋に札を貼り直し、部屋の維持を強固にしつつ、早苗が呟く。<br /><br /> П「どうでもいいだろ、んな事」<br /><br /> 早苗「…まあ、いいけどね」<br /><br /> 半分呆れたように部屋の整備をし終え、酒を地面に振りまきマッチで火を付ける。<br /> すると地面が歪み、今のネオトーキョーの地図を作り出し、目的の男の顔と場所の地図を映し出す。<br /><br /> 早苗「歪みは様々なもの……言うならば情報も集めて動き続ける、それでこの男を見つけて終了ってわけよ」<br /><br /> П「…で、どうすんだコイツ」<br /><br /> 早苗「……アンダーワールドの人間は『日本国内には居ない』……法的に居ない人間を法律で死刑には出来ないわ」<br /><br /> П「……嫌だなぁ」</dd> <dt id="a68">68 :<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:43:13.42 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> パシュン……カランカラン、という音が聞こえたような気がした、だがそれ以上にお腹が空いていた。<br /><br /> どうやら自分は、誰かの車の中に居るようだ。<br /><br /> 小梅「………?」<br /><br /> 外を見ると、渋い顔の男とやけに疲れた婦警のような風貌の二人が銃をカバンに閉まって、コチラにあるってくる様が見えた。<br /><br /> 小梅(も…もしかし……て、き…企業のお、追手…?)<br /><br /> 小梅が昨日見た記憶を思い出し、そして……心臓が高鳴るのを感じた。<br /><br /> 二人は銃を車のトランクに仕舞うと、ドアを開けた瞬間鼻腔になぜだか、爽やかな安らぎを感じる匂いを感じた。<br /><br /> 小梅「……?」<br /><br /> П「……起きたのか」<br /><br /> 小梅「……だ、誰…?」<br /><br /> 早苗「片桐早苗……『普通の東京の警官』よ」<br /><br /> П「ただの…『女子寮のオッサン』だよ」<br /><br /> 小梅は何となく、Пの方からする匂いが気になり、鼻をヒクヒクさせていると、Пが何を思ったのかスルメを手渡し。<br /> 早苗に思いっきりケツを蹴られたのだった。<br /><br /> П「おい!いてぇじゃねぇか!」<br /><br /> 早苗「バカやってないで早く出すわよ!何時追手が来るかもわからないんだから」<br /><br /> そう言うと、小梅がスルメを取り敢えずしゃぶっている中、二人が騒がしく車を出すのを見て、一先ずもう一度眠りに付くことにしたのだった。</dd> <dt id="a69">69 :<span class="name" style="color:#008000;">◆cAx53OjAIrfz</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga sage]:2013/07/02(火) 00:45:19.81 ID:BXdQXBXW0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">今日はここまで<br /><br /> 今日の出来事。<br /><br /> 謎の出資者『奥山沙織の確保の直接の依頼者』がおっ死にやがりました、凶器はライフルと見られていますが、『弾に比べて、射程を遥かにオーバーした距離からの脳幹への一撃』です。<br /><br /> 地下に逃げ込んだ白坂小梅が『女子寮』に一時的にドナドナされました。<br /><br /> ネオトーキョー地下空間にゴールのない、『不思議なダンジョン』が形成されました、運があるなら抜けれるかも。<br /><br /> 追加設定<br /><br /> 片桐早苗(28歳)<br /><a href="http://jump.vip2ch.com/http://i.imgur.com/PkVYNog.jpg" style="text-decoration:none;" target="_blank">ttp://i.imgur.com/PkVYNog.jpg</a><br /><br /> 能力:風水師(New)<br /><br /> 能力は風水師、直接的戦闘は苦手だが、その分『土地を変質』させて戦うことが出来る。(New)<br /> また、各地の『土地』から情報を集め、行動することが出来る。<br /><br /> П(読み:ペー)(23歳)<br /><br /> 過去のトラウマにより親しい人間や、子供が傷つくと精神軸が揺らぎ、吐き、ヘタすると気絶する。<br /><br /> 『歪み』<br /><br /> 空気の淀みや、汚れ、穢れが溜まって重積したもの、最終的に土地を異界へ変質させる。<br /> そこへはまともな人間なら、誰も本能的に立ち寄らない。<br /> 本来は、自然の力によって浄化されるべき存在だが……?</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a71"><span class="resnum">71</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY<span class="namenum">2</span>y<span class="namenum">1</span>UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:55:09.36 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">乙です<br /> 奥山ちゃん安全になったよ!<br /> 小梅ちゃんするめカワイイ<br /> 投下します</dd> <dt id="a72"><span class="resnum">72</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY<span class="namenum">2</span>y<span class="namenum">1</span>UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:55:35.39 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「姫様に見つかったぁ!?そんでもって呼び出し食らった!?…どういうことなの…」<br /><br /> 「ごめんなさーい!」<br /><br /> ユズが引きこm…籠城を初めて一日目。使い魔から送られた連絡は全くもって予想以上に酷い物だった。</dd> <dt id="a73">73 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:56:06.97 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 朝の神崎家。今日も学校へ行く姉妹が朝食をとっていた。<br /><br /> しかし、その平穏もニュースの音で破られる。<br /><br /> 『死神の格好をした謎の少女!強力な能力でカースを生み出し、我々を恐怖の渦へ…!彼女の目的はなんなのか!GDF、アイドルヒーロー同盟は彼女の目撃情報を…』<br /><br /> バギャ!ドン!という音でニュースが途絶えた。<br /><br /> 「…あ、あれ!?テレビが壊れた!?お、おかーさーん!」<br /><br /> 蘭子が二階で掃除中の母親を呼びに行ったが、昼子ことブリュンヒルデは激怒していた。<br /><br /> 「…ユズの紛い物だと…!」<br /><br /> ニュースの一部の映像が偽物であることはすぐに見抜けた。…それよりもだ。<br /><br /> 自らの…悪姫の魔術教師が犯罪者扱いとはどういうことだ。<br /><br /> その怒りが魔力を暴走させ、テレビを破壊したのだった。<br /><br /> 「…ユズ、どうして人間界に…?」</dd> <dt id="a74"><span class="resnum">74</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:57:10.42 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 学校帰り。昼子はいつもよりイライラしていたが、学校生活に支障が出るほどではない。<br /><br /> 父からの教えだ。怒りは抑えなくては。…朝あんなことをして言うことではないと思うが。<br /><br /> 他の友人と別れ、家へあと少しというところだろうか。ふと、気配を感じた。<br /><br /> 「「げげぇ!」」<br /><br /> さっと隠れたが、見逃す程甘くもない。<br /><br /> 「…ユズの使い魔か。こっちへ来い。」<br /><br /> 「へ?何あれ?」<br /><br /> 「どうする?」「どーしよ?」<br /><br /> 「「逃げるんだよぉー♪」」<br /><br /> 空中へ楽しそうに高速で飛び出したそれに向かって連続で呪文を唱える。攻撃魔法ではないから蘭子の補助はいらない。<br /><br /> 『大いなる精霊よ、我が力を代償に汝の潜む魔の霧の力を分け与たまえ!ミスティマジック!』<br /><br /> 『この広大なる地球よ、大いなる我が力に従い、その万能なる拘束を強めたまえ!グラビティ!』<br /><br /> 「「ぐえー!」」<br /><br /> 昼子が指定した空間の重力が強くなり、二体の使い魔が落下する。<br /><br /> そして、辺りはいつの間にか尋常ではない量の霧に覆われていた。<br /><br /> 「なにこれ…昼子ちゃん、一体何をしたの…?」<br /><br /> 「ありとあらゆる物を遮断し、敵意を持ってこちらへ向かう愚か者を永久に迷わせる魔の霧だ。さぁ安心して話せ。ユズはどこだ!」<br /><br /> 「「ご主人様はショックで引きこもりましたー!」」<br /><br /> 「今すぐ連れて来い!一人は人質だ!いいな!」<br /><br /> 「「は、はいー!」」<br /><br /> 蘭子は久々に昼子の魔族らしさを見た気がした。</dd> <dt id="a75">75 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:57:52.22 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…姫様。お久しぶりですね。いろいろ考えて魔の霧を使えるとは…。成長なさいましたね…痛っ!」<br /><br /> しみじみと言うユズに昼子はでこピンを食らわせる。<br /><br /> 「フン、狙われているお前と話せば割れまで狙われるのが不都合なだけだ…蘭子、コイツは我の魔術教師のユズだ。」<br /><br /> 「ああ、姫様の契約者様。アタシは魔力管理人のユズです。」<br /><br /> 「あ、はい神崎蘭子です!」<br /><br /> 霧の中、3人の会話が始まる。使い魔は一度クリスタルに戻してある。<br /><br /> 「…父上に監視とカースの調査を命令されたとは…なんとも忙しいな。」<br /><br /> 「あはは、この位死神時代よりはマシですよー。」<br /><br /> ユズはあえて大罪の悪魔の事は話さなかった。姫様を戦いに巻き込むわけにはいかない。<br /><br /> 「それで、あんな映像、なぜ作られた?」<br /><br /> 「…」<br /><br /> …巻き込むわけには…<br /><br /> 「我に話してみよ…。で き ぬ の か ?」<br /><br /> …</dd> <dt id="a76">76 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:58:41.85 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「…大罪の悪魔に目を付けられまして…」<br /><br /> ユズは今の身の安全を優先した。<br /><br /> そもそも魔術教師一日目で思い切り大怪我してから姫様には少しばかり苦手意識がないこともない。…結構ある。<br /><br /> (姫様とアタシの○○一日目って相性が悪いんじゃ…?)<br /><br /> もはや隠している事はサタンの呪いの事だけだった。<br /><br /> 「…そんなことがあったなんて…!」<br /><br /> 「大罪の悪魔め、父上が忙しい身でなければ一瞬で灰になっているほどレベル差があるというのに…ユズにまで手を出すとは…。そうだ!」<br /><br /> 昼子がユズの手を取る。正直爪が食い込んで痛い。<br /><br /> 「ユズ!蘭子にも魔術を教えてやれ!そうすれば我らの防衛策にもなるし、匿ってやれるぞ!」<br /><br /> 「「ええ!?」」<br /><br /> 蘭子とユズが驚きの声を上げる。<br /><br /> 「姫様!ただでさえ洗脳範囲がギリギリセーフラインだっていうのにまた何かする気ですか!」<br /><br /> 「知ったことか!大罪の悪魔の方がよっぽど悪いのだ!それに匿う程度なら、家の二人の洗脳を変更するだけで何とかなる!」<br /><br /> 「塔がありますから!アタシには塔がありますから!」<br /><br /> 「…駄目か?」<br /><br /> 急にしょんぼりとする。これにはユズも慌てる。<br /><br /> 「あー!大丈夫っぽいなー!塔じゃなくても大丈夫っぽいなー!」<br /><br /> 「そうか!じゃあうちに来い!」<br /><br /> (…わかりやすい騙し方の昼子ちゃんもそれに騙されるユズさんも何なのこれ…?)</dd> <dt id="a77">77 :<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 00:59:56.50 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ユズこと喜多見柚が神崎家に居候することになりました。<br /><br /> それと同時に周辺(家のある住宅街~学校辺りまで)に魔の霧が頻繁に発生するようになりました。<br /><br /> 祝・脱引きこもり!(一日目で終了)<br /><br /> 前回を含めたサブタイトル<br /> ユズ引きこもるよ!→ユズお外に出たよ!<br /><br /> 魔の霧(ミスティマジック)<br /> 本来は精霊などが自らの潜む地域に起こす異常に濃い霧。<br /> 高度な技術の魔術なので、使用できる魔族はかなり少ない。その分性能も高いが。<br /> 発動対象に僅かでも敵意、悪意等を抱いた場合、この霧に精神を犯され、長時間霧の中にいると二度と発動者に出会えなくなる。<br /> 人払いの魔法よりも上位の魔術と思って貰えれば大丈夫です</dd> <dt id="a78"><span class="resnum">78</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆zvY2y1UzWw</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 01:01:15.02 ID:6Xl0CNgo0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です<br /> ユズちゃんと昼子ちゃんの話を書こうとしたらこうなった。どうしてこうなった!<br /> 昼子ちゃん、久々に魔界の知り合いに会えてうれしいようです</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a86"><span class="resnum">86</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS<span class="namenum">0</span>ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/02(火) 03:14:50.18<span class="id">ID:pe0K5Xico</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> レイナサマお借りして雪菜と聖を掘り下げていきます</dd> <dt id="a88"><span class="resnum">88</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/02(火) 03:16:21.05 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 小関麗奈は苛立っていた。<br /> それもそのはず。<br /> ここ最近、自分の悪役としての存在意義があまりにも薄い。<br /><br /> 自称ではあるが『悪のカリスマ』であり、この世界を征服するほどの能力を持っていながら『南条光』こと『ブライト・ヒカル』には毎回の様にあっさりと敗れ、あまつさえ先日転校してきた『望月聖』には手も足も出なかった。<br /><br /> 麗奈「(これじゃあ、アタシがまるでやられ役のザコじゃないのっ!!)」<br /><br /> 今、世界ではほぼカースの存在で話題を持ちきり。<br /> 『ミッシェルフ・レイナサマ』の名など誰も気に留めていないのではないか。<br /><br /> 麗奈「(いや、光だけはそれでもアタシを悪人扱いしてくれるだろうけど…)」<br /><br /> 麗奈「……はぁ」<br /><br /> ため息。<br /> 虚しい。<br /><br /> 小関麗奈は幼き頃から自分自身を誰よりも尊い存在だと信じていた。<br /> だからこそ、その名を。<br /> その存在をこの世界に知らしめさせ、それを周りに認めさせたかった。<br /><br /> けれども、その術がわからなかった。<br /> とりあえずイタズラをして周りを困らせてみたが、時には生暖かい目で見られたり、冷たい視線で見られたりと『悪のカリスマ』と呼ばれる存在には程遠かった。</dd> <dt id="a89">89 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS<span class="namenum">0</span>ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/02(火) 03:17:48.59 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ただのイタズラっ娘としか見られない毎日。<br /> しかし、そんなある日のことだった。<br /> 麗奈は突如空から降ってきた闇に飲まれ変身能力を手に入れることになる。<br /><br /> その変身した姿が暗黒の鎧を身に纏う『自称・悪のカリスマ ミッシェルフ・レイナサマ』だ。<br /><br /> その力は麗奈のイタズラ心を膨らませ、様々なはた迷惑な行為を実現し可能とする。<br /> 麗奈は喜んだ。<br /> あの日、自分を包んだ闇の正体が一体何だったのかはわからないが、この力さえあれば、自分の名を知らしめることが出来る。<br /> 世界が自分に跪き、そして敬うのだ。<br /><br /> 笑いが止まらなかった。<br /> ついに自分の存在を認めさせる日が来たのだから。<br /><br /> しかし現実は甘く無かった。<br /> 自分が変身能力を手に入れたと同時にクラスメイトの『南条光』も変身能力を手に入れ、毎回のように邪魔をする。<br /> 最初は『悪のカリスマ』にライバルは付き物だとは思ったが、どうも『南条光』は自分以外にもカースや他の邪悪な存在とも戦っているらしい。<br /><br /> 現に先日、『南条光』が風邪で学校を欠席という話があったが、実際は自分以外の悪と戦っていたとの話だ。<br /> それはその日に同じく体調不良を理由に欠席をしていた転校生の『望月聖』しかり。<br /><br /> やはりあの二人は仲間だったんだ。<br /> だから『望月聖』も自分に立てついたわけだ。<br /><br /> 麗奈「(だったら、まずはアタシっていう脅威をどうにかしなさいよねッ…!!)」<br /><br /> まるでオマケ扱いされているみたいで気分が悪い。<br /> 苛立ちは募るばかり。</dd> <dt id="a90">90 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">:2013/07/02(火) 03:18:58.32 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> そもそも何故、麗奈が『南条光』と『望月聖』が欠席して本当の理由を知っているのか?<br /> それは決して本人から聞いたわけでは無い。<br /> つまり人づてに聞いた話だ。<br /> では、誰がそのことをわざわざ麗奈に伝えるのか?<br /><br /> 学校の授業が終わり、放課後。<br /> 携帯にある人物からのメールを受信し、麗奈は自分の教室を出て、人の立ち入らない空き教室へと足を運んだ。<br /><br /><br /> ―――そこに待ち受けていたのは悪戯っぽく微笑む小悪魔的な笑顔を持つ少女<br /><br /> ―――否、邪悪な微笑みを浮かべる悪魔そのもの<br /><br /><br /> 雪菜「お疲れさまぁ♪」<br /><br /><br /> ―――「井村雪菜」こと「ルシファー」だった<br /><br /><br /> 麗奈「毎回思うんだけど、よく普通に中学校に忍びこめるわよね」<br /><br /> 麗奈「アンタ、どう見ても高校生ぐらいなのに」<br /><br /> 雪菜「そんなの簡単よぉ」<br /><br /> 雪菜「私のメイクなら、女子中学生になることぐらいわけないことだもの♪」<br /><br /> 麗奈「…あっそ」</dd> <dt id="a91">91 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:20:12.94 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 雪菜「結局今日は『南条光』ちゃんも『望月聖』ちゃんも学校には来なかったみたいねぇ♪」<br /><br /> 雪菜「貴女と違って大忙しってところかしらぁ?」<br /><br /> ルシファーがケラケラと笑う。<br /><br /> 麗奈「…っ!ケンカ売りに来たっての!?」<br /><br /> ルシファーの人を小ばかにしたような態度に麗奈が思わず吠える。<br /><br /> 雪菜「ちょっとぉ、そんなに怒っちゃイヤよ?」<br /><br /> 雪菜「むしろ、怒りたいのはぁ…」<br /><br /> 雪菜「―――その力を与えてあげたのに、まるで有効活用しない貴女に対してってところなんだけど?」<br /><br /> 麗奈「ぐっ…!」<br /><br /><br /> ―――あの日、空から降ってきて麗奈に力を与えた闇の正体<br /><br /> ―――それはルシファーの持つ魔の力だった</dd> <dt id="a92">92 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:21:28.80 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ルシファーは麗奈に自分の力を与えたその日から『南条光』に対する『望月聖』の接し方とは真逆、積極的に麗奈への接触を図っている。<br /><br /> 雪菜「私としても困るのよねぇ、レイナちゃん」<br /><br /> 雪菜「悪魔としての面目丸つぶれっていうのかしら?」<br /><br /> ルシファーの言葉が強く刺さる。<br /> しかし、麗奈が闇の力を手に入れて結果を出させていないのは事実。<br /> 例え、プライドの高い麗奈とはいえ何も言い返せない。<br /><br /> 麗奈「…アンタには悪いと思ってる」<br /><br /> 麗奈「この力を与えてくれたことに…それなりに感謝してるし…」<br /><br /> ルシファーはいけ好かない性格だが自分の野望を叶えるために手を貸してくれた存在。<br /> 彼女の期待に応えられない悔しい気持ちは微かにあった。<br /><br /> そんな麗奈をよそにルシファーはさらに不満を浴びせ、そして…<br /><br /> 雪菜「大体貴女のやってる悪事って、しょっぼいのよぉ」<br /><br /> 雪菜「どうせならぁ…」<br /><br /> 雪菜「―――クラスメイトを殺すぐらいしてみたらぁ?」<br /><br /> 麗奈「なっ…!?」<br /><br /> ―――13歳の少女には、あまりにも残酷な提案を持ちかけた</dd> <dt id="a93">93 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:22:25.31 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 麗奈「こ、殺すってあんた…」<br /><br /> ルシファーの提案に麗奈は思わず狼狽えてしまう。<br /> 麗奈はルシファーが悪魔だということは承知の上だったが、それほどその存在について深くは考えてはいなかった。<br /><br /> 野望は世界征服といえど、誰かを傷つけてまでそんなことをしたいわけじゃない。<br /> 凄い力を手に入れて、自分が凄い人物だと周りに認めさせる。<br /> 麗奈にとってはただそれだけで良かったのだから。<br /><br /> しかし今は目の前にいる悪魔『ルシファー』の冷たい視線が、たまらなく恐ろしいものに感じた。<br /><br /> ルシファーはそんな麗奈の様子を見て肩をすくめる。<br /><br /> 雪菜「呆れたわぁ。これぐらいの言葉で動揺しちゃうだなんてぇ」<br /><br /> 雪菜「貴女の誰よりも人の上に立ちたいっていう「傲慢」の感情……」<br /><br /> 雪菜「―――どうやら見込み違いだったみたいねぇ?」<br /><br /> 麗奈「…っ!!」<br /><br /> 怖い。<br /> 逃げ出したい。<br /> けれど、足が動かない。<br /><br /> 自分はこれからどうされてしまうんだろう?<br /> そんな感情が麗奈を支配した。</dd> <dt id="a94">94 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:23:12.99 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> しかし麗奈の感情とは裏腹にルシファーはケラケラと笑う。<br /><br /> 雪菜「あはっ♪そんな怯えなくても大丈夫よぉ♪」<br /><br /> 雪菜「別に今ここで、貴女に何かをしようだなんて思ってないからぁ♪」<br /><br /> 麗奈「……」<br /><br /> 麗奈は微かに安堵する。<br /> しかしそれもつかの間だった。<br /><br /> 雪菜「でもぉ…」<br /><br /> ルシファーは言葉を続ける。<br /><br /> 雪菜「流石に何かしらの結果は残してもらいたいものね」<br /><br /> 麗奈「け、結果って…?」<br /><br /> 麗奈は恐る恐る尋ねる。<br /><br /> 雪菜「さっきも言ったでしょう?」<br /><br /> 雪菜「―――殺すのよ。貴女のクラスメイト」<br /><br /> 麗奈「…!?」</dd> <dt id="a95">95 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:24:10.82 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 雪菜「何も全員を殺せだなんて言わないわぁ」<br /><br /> 雪菜「いるでしょう?貴女のクラスメイトの『南条光』こと『ブライト・ヒカル』」<br /><br /> 雪菜「あの子を殺してもらおうかなぁ」<br /><br /> 麗奈「な、南条を…?」<br /><br /> 『南条光』<br /><br /> それは決して自ら友人とは呼べる存在ではないが『南条光』個人として麗奈のことを友人と見なしているため、決して関係性は薄くない。<br /> その彼女を自らの手で殺める…?<br /><br /> 雪菜「言っておくけど拒否権は無いわよぉ」<br /><br /> 雪菜「私が与えた魔の力…本来なら人間を殺すことぐらい容易いことなんだから♪」<br /><br /> 雪菜「そうねぇ…期限は今から1週間ってところ?」<br /><br /> 雪菜「それまでに貴女が「南条光」を自らの手で殺めることが出来なかったその時はぁ…」<br /><br /> 雪菜「―――私が貴女のこと、殺してあげる♪」<br /><br /> 麗奈「―――!!」<br /><br /> 雪菜「それじゃ、貴女の活躍を期待してるから♪」<br /><br /> そう最後に言い残しルシファーはその場から姿を消す。<br /> 空き教室には麗奈一人だけとなる。<br /><br /> 麗奈「(アタシが南条を…)」<br /><br /> 麗奈「(そうしないと…アタシ、殺されて…)」<br /><br /><br /> ―――ルシファーに課せられた『南条光』抹殺の命<br /><br /> ―――そしてこの命が後に『小関麗奈』こと『ミッシェルフ・レイナサマ』の運命を大きく変えることとなる</dd> <dt id="a96">96 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:24:49.77 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ルシファーは麗奈の元を去り、自らの思惑を巡らせていた。<br /><br /> 雪菜「(別にレイナちゃんには期待していないけどぉ…)」<br /><br /> 雪菜「(これで、もしも『南条光』ちゃんをホントに自分で殺したりなんかしてくれたら私の手間が省けて儲けものよねぇ♪)」<br /><br /> 雪菜「(そしたら『天使様』はどう動くのかしら)」<br /><br /> 雪菜「(それに自らの希望を魔の力によって、掻き消された時の反応…)」<br /><br /> 雪菜「(うふ…考えただけでゾクゾクしちゃうっ♪)」<br /><br /> 雪菜「(天使様…)」<br /><br /> 雪菜「(…ううん)」<br /><br /> 雪菜「(―――『聖ミカエル』)」<br /><br /> 雪菜「(この世界が迎える結末が楽しみね…)」<br /><br /> 雪菜「(さてと…私はそろそろ死神の姿に変身してお仕事しよっかな♪)」<br /><br /><br /> ―――『傲慢』の大罪を司る悪魔であり<br /><br /> ―――そして『傲慢』の大罪を背負いし堕ちた天使<br /><br /> ―――ルシファーは今日も『死神ユズ』の姿で一人ほくそ笑んでいた</dd> <dt id="a97">97 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆lbKlS0ZYdV.M</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:29:55.30 ID:pe0K5Xico</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">おわりです<br /> 軽くまとめると<br /><br /> 雪菜さんは悪魔であり堕天使。<br /> ひじりんは四大天使の一人。<br /> レイナサマの力は雪菜さんが与えました。<br /><br /> 四大天使はミカエル以外にもガブリエル、ラファエル、ウリエルがいるので使えそうだったら使ってください。</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a98"><span class="resnum">98</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV<span class="namenum">6</span></span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/02(火) 03:41:05.05<span class="id">ID:ycr+R0dAo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;97</span><br /> おつです<br /> ひじりんの神々しさからすると、大天使と言われても納得<br /> でも、そうなると一般的に天国とか天界と呼ばれるような世界もあるってことになるのかな<br /><br /><br /> GDFと野々村さん投下します<br /> 相変わらず要らん展開が多いので状況に応じてスルーしてください…</dd> <dt id="a99">99 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV<span class="namenum">6</span></span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:42:11.96 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ──ある日のGDF本部──<br /><br /> いつもの三人は、基地内の休憩施設にあるカフェテリアに居た。<br /><br /> 志保「今日は何のパフェにしようかな~!」<br /><br /> 椿「たまにはぜんざいとかどうですか? ちゃんと杵つき餅使ってるから美味しいんですよね!」<br /><br /> 詩織「とりあえず、アンドロメダ焼きは外せないわ……」<br /><br /> 三人が三時のおやつの品定めをしていると、基地内に警報がけたたましく鳴り響いた。<br /> なにやら緊急事態が発生したらしい。<br /><br /><br /> 『陸戦部隊所属の各員は、至急作戦指揮所まで来られたし! 繰り返す──』<br /><br /><br /> 志保「ありゃ、問題発生ですか」<br /><br /> 椿「なにがあったんでしょうか」<br /><br /> 詩織「とりあえず、行きましょう」<br /><br /><br /> 指揮所に着くと、ほとんど満員に近い状態だった。<br /> 基地所属の陸戦兵のほとんどが集まっているようだ。<br /> 隊員が集まったのを見て、司令が説明を始める。<br /><br /> 司令「諸君、日々の任務ご苦労」<br /><br /> 司令「先ほど、第五地区から緊急入電が入った」<br /><br /> 司令「詳細は不明だが、突如"想像を絶する数のカース"が出現したとの内容だった」<br /><br /> 司令「既に近隣の第四、第三地区からは応援が出動している、我々第一地区もそれに続くことになる」<br /><br /> 椿「(想像を絶する数のカースって……)」<br /><br /> 詩織「(ただ事じゃないわね……)」<br /><br /><br /> 司令「なお、本作戦は、極東方面軍総司令が直々に指揮を執る」<br /><br /><br /> 「「「総司令が!?」」」<br /><br /><br /> 指揮所内の隊員達がどよめき立つ。<br /><br /> 椿「(極東方面軍総司令といったら、いつもは北米のGDF総司令部に引き籠ってるハズですよね)」<br /><br /> 志保「(そんなのがしゃしゃり出てくるなんて……)」<br /><br /> 詩織「(やっぱりただ事じゃないわね……)」<br /><br /><br /> 司令「作戦の詳細は道中で説明があるだろう」<br /><br /> 司令「陸戦隊各員は準備が整い次第、順次出撃となる……以上だ!」<br /><br /><br /><br /> 志保「あーあ、パフェお預けかぁ」<br /><br /> 出撃の準備をしながら、おやつを逃した件について志保がぼやく。<br /><br /> 椿「まあ、緊急事態じゃしょうがないですねー」<br /><br /> 詩織「こういう時の、食べ物に関する話題は死亡フラグよ……」<br /><br /> 志保「ま、まあ、ちゃっちゃと終わらして、帰って来たからまた食べればいいんですもんね!」<br /><br /> 椿「それじゃ、行きましょうか!」</dd> <dt id="a100">100 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:43:35.36 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> カースの大量発生現場へと向かった三人は、輸送ヘリの中から地上の様子を眺めていた。<br /><br /> 椿「これは……なんというか、すごい光景ですね」<br /><br /> 志保「かつてないカースの量ですよ……」<br /><br /> 詩織「現地の能力者とも協力して鎮圧に動いてるらしいけど……我々が劣勢みたいね」<br /><br /> あちこちから爆音や銃声、カースの咆哮が聞こえてくる。<br /> 普段は人間の生活圏である都市部が、さながら戦場の様相を呈していた。<br /><br /><br /> ヘリP「着いたぞ! あんたらの担当エリアはここだ!」<br /><br /> 椿「送っていただいてどうも!」<br /><br /> 三人は輸送ヘリから目標地点へと降りる。<br /> 到着した場所は空き地になっていて、簡易なバリケードと銃架、山積みになった弾薬箱等が配置されていた。<br /> 先遣隊が陣地を用意してくれていたらしい。<br /><br /> 志保「ここで撤退命令が出るまで立て籠もれば良いわけですね!」<br /><br /> 椿「民間人の避難誘導が完了すれば、装甲部隊を投入できるはずですから」<br /><br /> 詩織「つまりは、それまでの時間稼ぎって事ね……」<br /><br /> 志保「っ!! 一名様ご来店でーす!」<br /><br /> 椿「早速来ましたね!」<br /><br /> 詩織「ウサミン弾で粉々にしてやりましょう……」<br /><br /><br /><br /> その頃本部の指揮所では、展開している陸戦隊からの情報を受け、内勤の隊員らが忙しなく働いていた。<br /><br /> 「全部隊、展開完了しました!」<br /><br /> 司令「うむ……皆、なんとか持ちこたえてくれ」<br /><br /> 「司令! 通信が入っています」<br /><br /> 司令「繋いでくれ」<br /><br /> 通信士が端末を操作すると、指揮所内のモニターに年配の男性の姿が映った。<br /> 着ている軍服の胸には勲章が煌めき、いかにも偉そうな風貌である。<br /><br /> 『司令、首尾はどうか』<br /><br /> 司令「はっ! 作戦区域には既に我が陸戦部隊が展開しております」<br /><br /> 司令の態度から察するに、おそらくこの人物が極東方面軍総司令とやらなのだろう。<br /><br /> 総司『何においてもまずは民間人の避難を完了させるのだ』<br /><br /> 総司『その後、作戦を第二段階へと移行する』<br /><br /> 司令「(第二段階……?)了解しました」</dd> <dt id="a101">101 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:45:59.46 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> 志保「11時の方向! 大きいのが接近中ですよ!」<br /><br /> 椿「キリが無いですね……っ!」<br /><br /> 詩織「そろそろ虎の子のウサミン弾も切れるわ」<br /><br /> 戦闘が始まってからかれこれ数十分は休む間もなく戦い続けている。<br /> 陣地の弾薬は減るが、三人の疲労は溜まる一方だ。<br /><br /> 椿「早いとこ避難が済んでくれないと、持ちこたえられそうにないですね!」<br /><br /> 志保「今日の分のパフェを食べるまでは、やられるわけにはいかないですよ!」<br /><br /> 詩織「それだけ元気ならまだ大丈夫そうね……!」<br /><br /> 例え勝機の見えない戦いであろうと、上の指示とあれば挑まなければならない。<br /> 一兵卒の辛い現実である。<br /><br /><br /><br /> 作戦開始から一時間程経った頃には、<br /> GDF本部の指揮所には、戦地からの悲痛な通信が絶え間なく入ってくるようになっていた。<br /><br /> 『こちらパッション4! 負傷者多数! 救援を!!』<br /><br /> 『本部! 応答願います! 弾薬が尽きました! 撤退の許可を!』<br /><br /> 司令「(クソ……このままでは陸戦部隊は全滅だ!)」<br /><br /> 司令「(総司令は何を考えているんだ……!)」<br /><br /> 司令「総司令! 機甲部隊の投入を進言します! 既に大半の民間人の避難が完了しています!」<br /><br /> 総司『まだ慌てるような時間ではない』<br /><br /> 司令「しかしこのままでは!」<br /><br /> 総司『進言に耳を貸しはするが、命令を出すのは私だ』<br /><br /> 司令「くっ……!」<br /><br /><br /> 「司令! 輸送部隊からの通信です、最後の民間人の避難が完了とのことです!」<br /><br /> 総司『ふむ、頃合いだな……アレを使うぞ』<br /><br /> 「!?」<br /><br /> 司令「ま、まさか……」<br /><br /> 総司令の発言に、指揮所内の人間の顔色が変わる。</dd> <dt id="a102">102 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:47:57.79 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 総司『ああ、GC航空爆弾を使う』<br /><br /> 総司『展開中の部隊を下がらせろ、1700に投下予定だ』<br /><br /> 司令「そんな!? あれはカースどころか、街一つを消し飛ばします!」<br /><br /> 総司『熱くなるな、ここまでカースの増殖を許したお前にも責任はあるのだぞ』<br /><br /> 司令「そうは言いましても……!」<br /><br /> 総司『政府の承認も得ている、地域住民の避難も完了した』<br /><br /> 総司『何を躊躇う必要がある』<br /><br /> 司令「っ!」<br /><br /><br /> 総司『司令、これはな、一種のパフォーマンスなのだよ』<br /><br /> 総司『地底のモグラ共や異界の化け物共が、変に色気を出すことが無いように釘を刺しておくのだ』<br /><br /> 司令「しかし……もし現地にまだ残っている人間がいたら……」<br /><br /> 総司『我々の避難誘導に従わない人間のために、攻撃を中止する道理は無い』<br /><br /> 総司『まあ、火事場泥棒の類や、地底のゴミ漁り連中の何匹かは消し飛ぶことになろうがな』<br /><br /> 司令「……」<br /><br /><br /> 総司『我々の役目は"地球の平和"を守る事だ』<br /><br /> 総司『その為には、あらゆる手段を用いて事に当たる必要があるのだ』<br /><br /> 総司『多少の痛みを伴う事もあろうが、平和の代償としては仕方の無い事なのだよ』<br /><br /> 司令「……」</dd> <dt id="a103">103 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:49:34.34 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> カースの大量発生地域の上空を一機の航空機が飛んでいた。<br /> その航空機のパイロットが管制塔との通信を始める。<br /><br /> 航空機P「フリートレード1よりマイスタジオ、現在高度3万フィート、投下予定ポイント到達まで1分」<br /><br /> 『マイスタジオよりフリートレード1、投下ポイントの風速・湿度・気温全て正常値……オールグリーン』<br /><br /> 航空機P「フリートレード1了解、作戦を続行する」<br /><br /><br /> 航空機P「(いよいよ引き返せなくなったな……)」<br /><br /> 管制塔との通信を終え、航空機Pは物思いに耽る。<br /><br /> 航空機P「(俺がGDFに入隊したのは、人々の生活を……平和を守る為だった)」<br /><br /> 任務とは無関係の思考に走りながらも、種々の機器の確認をする手が止まる事は無い。<br /><br /> 航空機P「(だが、これから俺がやることは……それとは正反対の……)」<br /><br /> 航空機P「(破壊行為だ……)」<br /><br /> コンソールに安全装置の解除コードを入力し、投下ボタンに手をかける。<br /><br /><br /> 航空機P「フリートレード1、投下予定ポイントに到達……GC爆弾、投下!」</dd> <dt id="a104">104 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:51:49.73 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> 地上では、投入された部隊の大半が壊滅し撤退していく中、椿達は決死の抵抗を続けていた。<br /> 周りの部隊が撤退したため、標的を失った周辺のカースが一挙に押し寄せてくる。<br /><br /> 詩織「こっちは弾切れよ……後は拳銃だけしかないわ」<br /><br /> 椿「これ使ってください! こっちもこれが最後ですけど!」<br /><br /> 椿がライフルの弾倉を詩織に放り投げる。<br /><br /> 志保「懐かしいですこの感じ! ウェイトレス時代を思い出しますね!」<br /><br /> 迫るカースに向けて、機関銃を撃ちつつ志保が叫ぶ。<br /><br /> 志保「給料日後のピーク時とか! こんな風にお客さんが押し寄せて来てたものです!」<br /><br /> 椿「じゃあウェイトレス時代みたいに、お客さんを上手い事捌いてくださいよ!」<br /><br /> 志保「そうやって煽られると注文取り違えたりとかしちゃいますよ! ……あれ?」<br /><br /> 突然、機関銃から弾が発射されなくなり、志保は首を傾げた。<br /> 機関部からは煙が上り、銃身は真っ赤に加熱されている。<br /> どうやら酷使しすぎたために不具合を起こしてしまったようだ。<br /><br /><br /> 志保「あちゃー、頼みの綱が使えなくなっちゃいました!」テヘペロ<br /><br /> 椿「軽いですね!」<br /><br /> 詩織「これだからトリガーハッピーは……」ヤレヤレ<br /><br /> 絶体絶命のピンチでも、なお三人は軽口をたたき合う。<br /> どんな状況に置かれても決してあきらめない、GDFの心意気である。<br /><br /><br /> 椿「ん……この音は……」<br /><br /> ふと、どこからかヘリのローター音が聞こえた気がした。<br /> 直後、高空からの銃撃で目の前に迫ったカースの群れが薙ぎ払われる。<br /><br /> ヘリP「待たせたな! 乗ってくれ!」<br /><br /> 志保「遅いですよ!」<br /><br /> 椿「随分待たされましたよ……」<br /><br /> ヘリP「悪かったな! 残った部隊はあんたらで最後だ」<br /><br /> 詩織「何はともあれ、助かったわね……」</dd> <dt id="a105">105 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:52:52.23 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 三人がヘリに乗せられ、息も絶え絶えといった様子で一息ついていると、乗員から話しかけられる。<br /><br /> 「あんたらにも、コレを渡しておこう」<br /><br /> 椿「これは……」<br /><br /> 詩織「遮光グラス?」<br /><br /> 志保「何でこんなものを?」<br /><br /> 「悪い事は言わんから、それを着けておくんだ」<br /><br /> 三人は訝しがりながらも渡された眼鏡を着ける。<br /><br /> 「そろそろだな……」<br /><br /> 乗員が呟くと、突然周囲が光に覆われた。<br /> 遮光グラス越しでさえ目が眩む程の光量に三人は混乱する。<br /><br /><br /> 志保「な、なに!?」<br /><br /> 詩織「眩しいわね……」<br /><br /> 椿「あ、あれは……?」<br /><br /> 椿が機外を見やると、今まで自分たちが居た都市部が爆炎に包まれているのが見えた。<br /><br /> 「衝撃波が来るぞ! 掴まっておけ!」<br /><br /> 乗員がそう叫んだ直後、機が墜落するんじゃないかというほど激しく揺れる。<br /><br /> ヘリP「クソッ! 体勢を立て直せ! オートローテーションだ!」<br /><br /> 爆発の衝撃波に煽られ、パイロットの怒号と墜落の危険を知らせる警報音が響く中、<br /> 三人はそちらを気にする素振りも見せずに、ただ真っ赤に染まった空を眺めていた。<br /><br /><br /> 椿「私達……何のために戦ってたんですかね」<br /><br /> 志保「そりゃ、平和を守る為……ですよ」<br /><br /> 詩織「……」<br /><br /> 志保「だけど……これは……こんな事って……」</dd> <dt id="a106">106 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:53:33.13 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 詩織「二人とも……」<br /><br /> 今まで黙っていた詩織が口を開く。<br /><br /> 詩織「食べ損ねたおやつが、待っているわ……」<br /><br /> 椿「……」<br /><br /> 志保「……」<br /><br /><br /> 椿「そ、そうですね! 今日はたくさん働いたから、甘い物食べてゆっくり休みましょう」<br /><br /> 志保「でも、今からだと、夕食に被っちゃいますね! あ、夕食後のデザートなら良いかな?」<br /><br /> 二人とも詩織の意図を察し、努めて明るく振舞う。<br /> しかし、三人の胸中にはGDFの使命について複雑な思いが残るのだった。</dd> <dt id="a107">107 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:55:24.90 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ──その頃・GDF本部──<br /><br /> 「映像、繋がりました!」<br /><br /> 通信士の一人がそう言うと、指揮所内の一番大型のモニターに爆心地の様子が映し出された。<br /><br /> 「!!」<br /><br /> 司令「……」<br /><br /> そこには、文明の残り香はおろか、生命の一片の存在さえ許さないまっさらな大地が広がっていた。<br /><br /><br /> 「なっ……なんだこれは」<br /><br /> 「数時間前まで……人が生活していたんだぞ……」<br /><br /> 「これを……我々がやったというのか」<br /><br /> 「作戦区域内に……残存するカースの反応……ありません」<br /><br /><br /> 総司『ふむ、上出来だな』<br /><br /> 指揮所内の人間の困惑をよそに、総司令が満足げに口を開いた。<br /><br /><br /> 総司『ただいまを以って、本作戦の終了を宣言する!』<br /><br /> 総司『司令、後の事は任せたぞ……私は総司令部に報告を上げねばならんのでね』<br /><br /> 総司令はそう一方的に告げると、通信を切った。<br /> 残された司令は、うつむいて肩を震わせている。<br /><br /> 司令「……っ!!」<br /><br /><br /> 司令「何が『地球の平和を守る』だッ!!」バンッ!<br /><br /> 司令が怒りに震える拳を机に叩きつける。<br /><br /> 司令「これは……我々の……敗北宣言だ!!」<br /><br /><br /> その日、地図の上から街が一つ消えたという。</dd> <dt id="a108">108 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:56:17.08 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> 司令との通信を終えた総司令だったが、そこに間髪入れずに何者かからの通信が入った。<br /> 音声のみであるため、通信相手の姿は分からない。<br /><br /> 『見事な手際でした』<br /><br /> 『"我々"は、あなたの勇気ある決断を、心より賞賛いたします』<br /><br /> 総司「今回は、貴方達のお陰で難を逃れることが出来ました」<br /><br /> 総司「心より、御礼申し上げます」<br /><br /> 『いえ……今回の危機を乗り越えたのは、間違いなくあなた方人類の力によるものです』<br /><br /> 『我々は、今後も地球の皆さんの繁栄のために、協力を惜しまない所存です』<br /><br /> 『それでは、これにて失礼します』<br /><br /><br /> 総司「友好的な異星人……か」<br /><br /> 総司「何を企んでいるのか分かったものではないが」<br /><br /> 総司「人類に協力するというのであれば、できるだけ利用させてもらうとしよう」</dd> <dt id="a109">109 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 03:59:23.78 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> GDFの幹部との通信を終えた異星人──野々村そらは、内心でほくそ笑んでいた。<br /><br /> そら「("オモチャ"を与えられれば、それで遊ばずにはいられない……)」<br /><br /> そら「(所詮未開惑星の野蛮人か……御することは容易だったな)」<br /><br /> 六畳一間の中央に据えられたちゃぶ台の上には、ノートPCに偽装された異星人の端末が置いてある。<br /> そこには、先ほどのGDFの戦闘の一部始終が記録されていた。<br /><br /><br /> そら「(上層部の過激さを見せつけ、大半の隊員に不信感を抱かせる事に成功した)」<br /><br /> そら「(もう少し突ついてやれば、内紛も起こりかねないだろう)」<br /><br /> そら「(そうなれば、GDFとやらの戦力の低下は確実……)」<br /><br /> そら「(この分なら、今回の任務は思いのほか簡単に片付くかも知れないな……)」<br /><br /> そらは満足げに頷くと、端末を片づけ休息状態に入るのだった。<br /><br /><br /><br /> 地球人の滅亡を目論むそらの次なる一手とは如何に?<br /> 異星人の陰謀なんかに、負けるな我らのGDF!</dd> <dt id="a110">110 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 04:02:23.02 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> ※GDFの戦力<br /><br /> 戦車や装甲車等の機甲部隊、ヘリコプターや戦闘機を中心とした航空戦力も保持してはいるが、<br /> 専らの敵対勢力であるカースや宇宙犯罪者は、人口密度の高い都市部に出現することが多いため、<br /> 小回りが利き火力も抑えられる歩兵が重用される傾向にある。<br /><br /><br /> ※世界のGDF<br /><br /> GDF総司令部(一番のトップ)は北米にあるらしい。<br /> 世界六大陸とさらにいくつかの地域に、各方面軍総司令部が設置されている。<br /> 椿達が居るのは極東(日本)方面軍総司令部。<br /><br /><br /> ※GC爆弾<br /><br /> 通称『ジェノサイド爆弾』<br /> "友好的な"異星人からもたらされたテクノロジーにより開発された秘密兵器。<br /> 基本は航空機から投下されるが、地上に設置して遠隔操作で起爆したりもできる。<br /> その威力の為半ば封印状態にあったが、この度カースの大量発生に伴い初めて実戦で使用された。<br /><br /><br /> ※モブキャラ達<br /><br /> 司令は椿達の所属する基地の一番偉い人<br /> 総司令は極東方面軍の一番偉い人ってことで<br /> ヘリP・航空機PのPはパイロットのP</dd> <dt id="a111">111 :<span class="name" style="color:#008000;">◆lhyaSqoHV6</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/02(火) 04:06:17.39 ID:ycr+R0dAo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">投下終わりです<br /><br /> ・大量破壊兵器で大罪の悪魔連中をビビらせてやりたい<br /> ・絶体絶命のところにヘリとかが助けに来るお約束がやりたい<br /> ・野々村さんを暗躍させたい<br /><br /> って考えてたらいつの間にかこうなっていた<br /> 次からは茶番抜きにしてアイドルだけを書くんだ…<br /><br /><br /> あとカースの大量発生は前スレ<span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;483</span>の「フェス」を参考にさせてもらいましたが、<br /> もし設定的に問題があるようでしたらただの大量発生ってことにしておいてください</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a118"><span class="resnum">118</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:49:26.66<span class="id">ID:WaXLz+2q0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『流石にコレはやりすぎですね~』<br /> 「ここの街のお店気に入ってたんですけど…」<br /><br /> 廃墟になった街を海老原菜帆は歩いていた。<br /><br /> その顔は、暗い表情だった。</dd> <dt id="a119"><span class="resnum">119</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:50:25.39<span class="id">ID:WaXLz+2q0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『人間は、強力なモノを持つと、こういうな争いを産み出しちゃうのよね~』<br /> 「争いって何も産まないのにね。美味しいものが食べられません」<br /><br /> そして、立ち止りはじめる。<br /><br /> 『菜帆ちゃ~ん』<br /> 「なんですか~?」</dd> <dt id="a120"><span class="resnum">120</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:51:07.59<span class="id">ID:WaXLz+2q0</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /> 『今回のコレ起こした原因に教えてあげましょ~?私達の食べ歩きを邪魔したらどうなるか~?』<br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a121">121 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:54:11.58 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 暴食を司る悪魔は、動き出す。<br /><br /> くだらない理由だ。<br /><br /> たかが、お気に入りのお店がある街を破壊されただけだ。<br /><br /> また他のお店にいけばいいだけの話だ。<br /><br /> だが、本人にとっては許せないのだ。食べ歩きを邪魔されたのだから。<br /><br /> それは、彼女にとっては死活問題なのだから!</dd> <dt id="a122">122 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 08:57:09.89 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ベルゼブブはこの街にいる虫達に命令を下す。<br /><br /> 今回の爆弾投下を命令した人物とそれを提供した人物を探すために。<br /><br /> 情報を持ってる虫は、他の虫に伝え、拡散し、最終的に私に伝えろと。<br /><br /> どんな情報でもいい。もし、入れない場所ならダニやノミに聞け。<br /><br /> 我々虫に入れない場所などないのだから。</dd> <dt id="a123">123 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 09:00:41.23 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 命令を終えると、ニッコリと微笑む。<br /><br /> 『コレでよし』<br /><br /> 「けど、魔界での法律は守ってるんじゃないですか?わざわざ見つかっても戦わないように」<br /><br /> 『大丈夫ですよ~。別にその原因を殺しはしませんから~。それに……』<br /><br /> 彼女の顔は、普段通りにのほほんと微笑む。<br /><br /> 『こういうのって、誰かが人類の同士討ちを狙ってる相場に決まってますよ~?つまり、人間じゃない可能性がありますから、魔界の法には引っかかりません~』<br /><br /> 「……ベルちゃん。怖いですよ~」<br /><br /> 暴食は嗤う。<br /><br /> コレを計画したモノに教えてあげよう。<br /><br /> 私を---悪魔の邪魔をしたらどうなるかを……</dd> <dt id="a124">124 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 09:01:47.59 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『じゃあ、情報が集まるまで気分を変えて美味しいもの食べにいきましょ~』<br /><br /> 「そうしましょ~」<br /><br /> そう言うと、彼女達はこの場所を去った。<br /><br /> なんの魔力もない虫達のネットワークは果たして、そらにたどりつけるか?<br /><br /> 終わり</dd> <dt id="a125">125 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 09:05:43.97 ID:WaXLz+2q0</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です。<br /><br /> それを見て、思いつきで書いたら、<span style="color:#0000FF;">&gt;&gt;115</span>に当てられて焦りましたw<br /><br /> そらちゃん逃げてー!まあ、見つかっても殺されないとおもいます。<br /> ……記憶やら何か食べられるかもしれませんが…<br /><br /> そらちゃん改心させるのっていいのかな?</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a136"><span class="resnum">136</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 19:58:08.72 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 西園寺琴歌、浅野風香で投下します</dd> <dt id="a137"><span class="resnum">137</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I<span class="namenum">2</span>ss/<span class="namenum">4</span>dt<span class="namenum">7</span>o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 19:59:55.17<span class="id">ID:+OSYvGVtO</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「風香さん!風香さん!見てください!人がいっぱいです!」<br /><br /> 風香「こ、琴歌さん…。こ、声大きいですよ…。み、みんなこっちみてますよ…」<br /><br /> 街中ではしゃぐ二人の少女がいた。<br /><br /> 一人はどこかの令嬢みたいな子で、なんだか世間知らずっぽい感じだ。<br /><br /> もう一人の子は、眼鏡をかけて地味そうでなんだか臆病そうな感じである。<br /><br /> 彼女達は≪OZ計画≫の実験体で脱走者の≪OZ適合者≫。<br /><br /> 何年ぶりかの街に辿り着いていたのだ。</dd> <dt id="a138">138 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:01:06.31<span class="id">ID:+OSYvGVtO</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「申し訳ございません。ついはしゃいでしまいました」ショボン<br /><br /> 風香「お、落ち込まないでください….。ご、ごめんなさい」あわわ<br /><br /> ……なんだろう。なんだか見ててカワイイ。<br /><br /> 周りで見ている人達もなんだか、和んでいる。</dd> <dt id="a139">139 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:02:34.71 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 風香「と、ところで裕子ちゃんは大丈夫なのかな?……け、怪我してないかな?」はわわ<br /><br /> 琴歌「大丈夫です!裕子さんならきっと無事に帰ってきます。あなたもそう思うでしょう?」<br /><br /> そう言って、左横を見るが、そこには誰もいなかった。<br /><br /> あれ?って顔をした後に、キョロキョロと辺りを見渡し始める。<br /><br /> それに気づいた風香も一緒に、キョロキョロし始める。</dd> <dt id="a140">140 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:03:16.71 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">琴歌「………」<br /><br /> 風香「………」<br /><br /> 琴歌「た、大変です!あの子がいらっしゃいません!!」<br /><br /> 風香「えっ、ええええええええ!!!ど、ど、ど、ど、どうしよう!!!!」<br /><br /> どうやら、あと一人仲間がいたようだが、いない事に気づき慌て始める。<br /><br /> 慌てる姿もカワイイ。</dd> <dt id="a141"><span class="resnum">141</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:04:13.19 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「た、大変です!探しましょう!」<br /><br /> そう言うと、靴を脱ぎ始め、彼女の両足が変化し始める。<br /> 銀色に輝く、ハイヒールを履いたような異形の両足に変化した。<br /><br /> 風香「だ、ダメだよ!こ、ここで≪ドロシー≫を使っちゃ……って、あれ?」<br /><br /> そう言って、慌てる風香だったが、以外にも周りは普通の反応だった。<br /><br /> 風香は知らない。自分達がOZ計画の実験体になってる間に街に様々な変化が起こり、こういうのは日常化されていることに。<br /><br /> 慣れって怖い……</dd> <dt id="a142"><span class="resnum">142</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:06:35.43 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 琴歌「では行ってまいります!」ドシューン!!!<br /><br /> そう言うと、琴歌の姿は消えた。<br /><br /> 正確には上空に飛び高速で移動してるのだ……<br /><br /> 風香「い、いっちゃった……」<br /><br /> そう、ポツンと取り残された風香は空を見上げながら、呆然としていた。<br /><br /> そして、しばらくして、風香は気づく。<br /><br /> ---あれ?私達もバラバラになってない?</dd> <dt id="a143">143 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:07:45.31 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 風香「……………………ど、ど、ど、ど、ど、ど、ど、どうしよう!!」あわわ<br /><br /> 事の重大さに気づき、慌てふためく。<br /><br /> ただでさえ、臆病で弱気な彼女はパニックに落ちいった。<br /><br /> ………その時だった。<br /><br /> 『カネヲヨコセェェェェエ!!!!』<br /><br /> 風香「!?」<br /><br /> 突然、黒い泥のような不定形なモノ---カースが発生したのだ。<br /><br /> 風香「な、なんですか?あれ?………」<br /><br /> カースの発生に人々は逃げ出すが風香は足がすくんで動けなかった。</dd> <dt id="a144">144 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:09:07.27 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『オマエカネアルカァァァア!!!ジャンプシロヤァァァア!!!』<br /><br /> 風香「も、もってません!!!!!ご、ごめんなさいっ!!!」<br /><br /> 涙目になりながら、そう叫ぶがカースはお構いなく、風香に突撃してきた。<br /><br /> このまま彼女はカースにやられてしまうのか?<br /><br /> 誰もがそう思ったときだった。</dd> <dt id="a145">145 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:10:00.16 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ザシュン!!!!<br /><br /><br /><br /><br /><br />  </dd> <dt id="a146">146 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:11:04.75 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">『アガッ………』<br /><br /> 風香に突撃しようとしたカースはナナメに五等分に切断された。<br /><br /> 偶然にも核も一緒に砕かれて……<br /><br /> 何が起こったのかよく見ると、風香の右手が変化していた。<br /><br /> 黄金に輝く、獣を思わせるようなフォルムの、五本の刃のような鋭い爪がついた異形の腕に……<br /><br /> 彼女の右腕に移植されたOZ≪レオ≫の超振動の爪の威力だ。</dd> <dt id="a147">147 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:12:30.58 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 風香「ご、ご、ご、ごめんなさぁぁぁぁいい!!」<br /><br /> 泣きそうになりながら、そう言うと、右腕が普通の腕に戻り、そのまま彼女は逃げたしてしまった。<br /><br /> 果たして彼女の運命は?<br /><br /> 頑張れ風香!負けるな風香!!他の三人に合流できるように!!<br /><br /> というか、一番の苦労人になるだろう!<br /><br /><br /> 終わり</dd> <dt id="a148">148 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:14:31.49 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">西園寺琴歌(17)<br /><br /> 職業・元実験体<br /> 属性・OZ≪ドロシー≫適合者<br /> 能力・両足強化、空中移動、超高速移動、自己修復<br /><br /><br /> 天然お嬢様なOZ適合者。<br /><br /> 性格は世間知らずで天然。<br /><br /> 普段は普通の人間の姿だが、OZ≪ドロシー≫を発動すると、銀色に輝く、ハイヒールを履いたような異形の両足に変化。それは金属でできている。<br /><br /> この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、両脚に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。<br /> そして、この姿の時に、脚力は強化され、空中移動や高速移動が可能になる。<br /> そこから放たれるキックは強力だ。<br /><br /> 第二段階になると、まるで全身が金属でできた異形の女性のような姿になるが、この姿にはならないようにしている。<br /><br /> 彼女は幼少の時から、両足が動けなく車椅子生活だったが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、拉致された犠牲者だった。<br /> だけど、仲間3人の協力で、自力で脱出した。<br /><br /> なお、コレでも戦闘訓練は受けている。<br /><br /> 現在は迷子。<br /><br /><br /><br /> 浅野風香(16)<br /><br /> 職業・元実験体<br /> 属性・OZ≪レオ≫適合者<br /> 能力・右腕強化、五本の爪から放たれる超振動斬撃、自己修復<br /><br /><br /> 小動物系な眼鏡のOZ適合者。<br /><br /> 性格は、自分に自信がなく怖がり。<br /><br /> 普段は普通の人間の姿だが、OZ≪レオ≫を発動すると、黄金に輝く、獣を思わせるようなフォルムの、五本の刃のような鋭い爪がついた異形の腕に変化。それは金属でできている。<br /><br /> この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、右腕のあった部分に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。<br /> そして、この姿の時に、右腕の腕力や振るう力が強化され、更に五本の刃のような爪が超振動し、鉄をも斬り裂く程。<br /><br /> 第二段階になると、まるで全身が金属でできた獅子のような異形の姿になるが、この姿にはならないようにしている。<br /><br /> 彼女は事故で右腕を失い意識不明の重体に陥るが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、親に売られた犠牲者だった。<br /> だけど、仲間3人の協力で、自力で脱出した。<br /><br /> なお、コレでも戦闘訓練とか受けている。<br /><br /> 現在は泣いてる。</dd> <dt id="a149">149 :<span class="name" style="color:#008000;">◆I2ss/4dt7o</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 20:17:55.80 ID:+OSYvGVtO</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です。<br /><br /> あわわ…なんか風香ちゃんが苦労しそうな感じにしてしまった。<br /><br /> なんか変な所ありましたら、お願いします。<br /><br /><br /> 琴歌ちゃんが天然な風潮</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a152"><span class="resnum">152</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:03:30.93<span class="id">ID:PkzLcA4xo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「何て言えばいいかな……、一言で言うと、私天使なんだよね♪」<br /><br /> ――うちに来る人はどうしてこうも一言目から訳わかんないことを言うんだろうか。<br /><br /> ―――――ここは『プロダクション』。<br /><br /> ――以下略。<br /><br /> 未央「あっ、その顔は信じてないでしょ~!」<br /><br /> 未央「本当に本当! 私は天使なんだよ!」<br /><br /> 未央「自分の事を天使みたいに可愛いって自画自賛してるわけじゃ無くて!」<br /><br /> 未央「んー、でも可愛いっていうのは別に間違ってないからいっか☆」<br /><br /> ピィ「はぁ……」<br /><br /> ――本田未央と名乗った目の前の少女からは、<br /><br /> ――『天使』のイメージから連想される『慎み』のようなものが全く感じられず、<br /><br /> ――どちらかといえば親しみの湧くタイプの子で、<br /><br /> ――元気よくハキハキと喋るその姿は、<br /><br /> ――どこにでもいる普通の女の子にしか見えない。</dd> <dt id="a153">153 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:04:01.09<span class="id">ID:PkzLcA4xo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /> 未央「じゃなくて」<br /><br /> 未央「う~ん、天使……」<br /><br /> 未央「としか言いようが無いんだよねぇ」<br /><br /> ――何が何でも天使と言い張るつもりらしいが、<br /><br /> ――早速説明に詰まっている。<br /><br /> 未央「そうだ! 証拠見せてあげる、証拠!」<br /><br /> 未央「羽出してあげるよ☆」<br /><br /> 未央「ほいっ♪」<br /><br /> ――言うやいなや、宣言通り羽が生えた。<br /><br /> ――ぶわっ、と、<br /><br /> ――6枚の、計3対の大きな羽が、<br /><br /> ――事務所狭しと伸ばされる。</dd> <dt id="a154">154 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:04:29.65 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「上の羽二枚で顔を隠して、下の羽二枚で体を隠して、真ん中の羽二枚で空を飛ぶんだ~♪」<br /><br /> ピィ「わかった! わかったからしまってくれ!!」<br /><br /> ――空間が圧迫されてかなわん。<br /><br /> ―――――しかし、<br /><br /> ――本当に天使……、<br /><br /> ――に類する何らかの能力者かもしれないが……、<br /><br /> ――とりあえず、認めよう。</dd> <dt id="a155">155 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:05:00.57 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「しかもそんじょそこらの天使じゃないよ!」<br /><br /> 未央「なんと! 熾天使!」<br /><br /> ――してんし、というのが、どうそんじょそこらの天使と違うのか、<br /><br /> ――俺にはわからなかった。<br /><br /> 未央「セラフィム!」<br /><br /> ――英語で言われてもわからない。<br /><br /> 未央「天使にラブソングを、でも歌ってたよね~」<br /><br /> 未央「シング ウィズ アス いぇえ セーラーフィーム♪」<br /><br /> 未央「いやぁ、いい歌だよねアレ」<br /><br /> ――ついには歌を歌い始めた。<br /><br /> ――このままでは話が進まない。</dd> <dt id="a156">156 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:05:29.11 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「ちょっといいかな?」<br /><br /> 未央「おおっ! 何でも聞いて聞いてっ♪」<br /><br /> ピィ「……えっと、してんし?」<br /><br /> 未央「うん、熾天使」<br /><br /> ピィ「……」<br /><br /> 未央「……」<br /><br /> 未央「ご存じない?」<br /><br /> ピィ「うん」<br /><br /> 未央「え、マジで……?」<br /><br /> ピィ「マジで」<br /><br /> ――なにやら、心底『信じられない』みたいな顔をされてしまった。</dd> <dt id="a157"><span class="resnum">157</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:05:55.96 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「天使の階級で一番偉いんだよっ!?」<br /><br /> 未央「こう見えてすっごく偉いんだよ私!?」<br /><br /> 未央「知らないの!?」<br /><br /> ――へぇ、それはすごいな。<br /><br /> ピィ「でも、知らない」<br /><br /> 未央「ラ~ファ~エ~ルっ!」<br /><br /> 未央「ラファエル!」<br /><br /> 未央「本田未央ちゃんの正体はラファエルなのでした!」<br /><br /> 未央「知らないっ!?」<br /><br /> ピィ「まぁ」<br /><br /> ――ラファエル、といわれても、<br /><br /> ――ぶっちゃけ『熾天使』を知らないのだから、その中にどんな奴がいるかなんて余計わからない。<br /><br /> ――というか、本田未央じゃないのか、<br /><br /> ――お前は本田未央なのかラファエルなのかどっちなんだ。</dd> <dt id="a158">158 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:06:25.16 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「み、ミカエルは? ガブリエルは?」<br /><br /> ピィ「あ、それは何となく聞いたことある」<br /><br /> 未央「やっぱりそうなんだ! そっちは知ってるのに私のことは知らないんだ!!」<br /><br /> 未央「ああっ、影の薄いラファエルちゃん!」<br /><br /> ――その二人の天使の名前なら、何となく知ってる。<br /><br /> ――なるほど、ラファエルというのはその辺の天使と同格の存在、ということなんだろう。<br /><br /> 未央「むかぁしアスモデウスをやっつけたこともあるのよ!?」<br /><br /> 未央「今巷を賑わしてる七罪の悪魔のね!」<br /><br /> 未央「それも知らない?」<br /><br /> ピィ「?」<br /><br /> ――天使がどんな悪魔をやっつけた、みたいな逸話を聞かされても、<br /><br /> ――全然ピンとこない。<br /><br /> ――と、いうか……、<br /><br /> ――巷を賑わしている? 七罪の悪魔?<br /><br /> ――何の話だろうか、そっちの方が気になった。<br /><br /> 未央「あー、ここにいる人たち皆モブだからねー」<br /><br /> ――何やら非常に失礼なことを言われた気がする。<br /><br /> 未央「いやー平和なのはいいことだよ、うん」</dd> <dt id="a159">159 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:07:29.17 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「あ、そうそう、藍子ちゃん」<br /><br /> 藍子「はい?」<br /><br /> ――お茶を汲みに来た藍子に唐突に未央が声を掛けた。<br /><br /> 未央「彼女に力をあげたのも私☆」<br /><br /> 藍子「えっ」<br /><br /> ピィ「えっ」<br /><br /> ――いや、ちょっと待ってほしい。<br /><br /> ――そもそも、藍子に能力があった、という事すら最近知ったのだ。<br /><br /> ――しかもカースを退けた、という程度で、実際にどのような能力なのかもわからない。<br /><br /> ――というか俺は本当に能力を持っていることに無自覚だった能力者を連れてきてしまったことになる。<br /><br /> ――もう、とにかく藍子情勢に関しては色々と混乱しているので、<br /><br /> ――これ以上話をややこしくしないでほしい。</dd> <dt id="a160">160 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:08:02.20 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「やー、だってさ、毎日よ?」<br /><br /> 未央「皆が笑顔になれますように、優しい気持ちになれますようにってお祈りしてるの」<br /><br /> 藍子「なっ、何でそれをっ!?」<br /><br /> ピィ「可愛い……」<br /><br /> 藍子「ピィさんっ!」<br /><br /> 未央「それがものっすごい純粋なお願いなんだもん!」<br /><br /> 未央「私キュンキュンしちゃって」<br /><br /> 未央「あげちゃお☆ って」<br /><br /> 未央「あげちゃった♪」<br /><br /> ――ものすごい軽いノリで、目の前のいわゆる『熾天使』様が、<br /><br /> ――自分の力を、藍子に分け与えたことを説明した。</dd> <dt id="a161">161 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:08:34.11 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 藍子「あの、それで私の能力っていったい……?」<br /><br /> 未央「ズバリ! 癒しの能力!」<br /><br /> 藍子「癒しの……」<br /><br /> ――なるほど、合点がいった。<br /><br /> ――藍子のあの尋常じゃない癒しオーラは、能力によるものだったのか。<br /><br /> ――藍子自身の纏う雰囲気があんまり柔らかいもんだから気づかなかった。<br /><br /> 未央「私は癒しの天使♪」<br /><br /> 未央「その能力は人を癒すこと!」<br /><br /> 未央「どんな傷でも立ちどころに癒しちゃうよー☆」<br /><br /> ピィ「……ちょっと待った」<br /><br /> 未央「ん? なになに?」<br /><br /> ――今の説明には違和感がある。<br /><br /> ――藍子の能力は、癒しの能力だと言っていたが、<br /><br /> ――傷を治す力は無かったはずだ。<br /><br /> ――つまり。</dd> <dt id="a162">162 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:09:02.23 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「癒すの意味が違う……?」<br /><br /> 未央「……」<br /><br /> 未央「ほら、ニュアンスニュアンス」<br /><br /> 未央「心の傷を癒す!」<br /><br /> 未央「……ね?☆」<br /><br /> ――こんないい加減なのが偉い天使なのか。<br /><br /> 未央「何なら怪我を治す力もあげよっか?」<br /><br /> 未央「あー、でもそうすると女神が誕生しちゃうな……」<br /><br /> 未央「端的に言うとぐう聖」<br /><br /> ピィ「わかる」<br /><br /> 藍子「ピィさんっ!」<br /><br /> ――ただでさえ、藍子の側にいるだけで心身トロットロになってしまうのに、<br /><br /> ――更に痛いところを治してくれるようになるとか……。<br /><br /> ピィ「女神!」<br /><br /> 未央「聖女!」<br /><br /> 藍子「もうっ! からかわないでくださいっ!」</dd> <dt id="a163">163 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:09:30.92 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「で、何でカースを浄化できるんだ?」<br /><br /> 未央「簡単に言えばアンデッドに回復魔法が効くみたいな感じ?」<br /><br /> ――今の説明でわかってしまった自分が嫌だ……。<br /><br /> ――というかこの天使はゲームまで嗜むのか。<br /><br /> ――そういえばさっき映画の話もしてたな。<br /><br /> ――本当に普通の人みたいだ。<br /><br /> ――普通の人……。<br /><br /> ピィ「『ラファエル』なのに『本田未央』を名乗ってるんだ?」<br /><br /> 未央「あー、それね」<br /><br /> 未央「幽☆遊☆白書の蔵馬みたいな?」<br /><br /> ――どうやらマンガも読むらしい。</dd> <dt id="a164">164 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:09:59.56 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「『ラファエル』である私は、15年前人間の女の子に転生し!」<br /><br /> 未央「本田家に生まれ『未央』という名前を貰い!」<br /><br /> 未央「両親の愛情を一身に受け、すくすくと成長し!」<br /><br /> 未央「『ラファエル』という人格と力を持ちつつも!」<br /><br /> 未央「『本田未央』という15歳の女の子の感性も併せ持つ!」<br /><br /> 未央「ハイブリッド天使!」<br /><br /> ――ドヤ顔の解説はともかく、出自についてはよくわかった。<br /><br /> ――というか……。<br /><br /> ピィ「マジで蔵馬じゃねえか!」<br /><br /> 未央「ね! 初めて読んだ時びっくりしちゃった☆」<br /><br /> ――事実は小説よりも奇なり、というやつだろうか。</dd> <dt id="a165">165 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:10:38.16 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「ほら、私って人間好きじゃない?」<br /><br /> ピィ「知らんけど」<br /><br /> 未央「そうなの!」<br /><br /> ――よくわからん自分語りが始まった。<br /><br /> ――どうやら、およそ天使らしくない、と感じた彼女の性格は、<br /><br /> ――15歳の少女である本田未央という肉体に起因してるらしい。</dd> <dt id="a166">166 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:11:31.33 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 未央「ミカエルはねー、私達の中でも一番強いんだけど、何考えてるのか良くわかんないんだよねー」<br /><br /> 未央「ガブリエルはほら、受胎告知で有名でしょ? でもソドムとゴモラ滅ぼしたりしてる恐ろしい部分もあるし」<br /><br /> 未央「ウリエルはなんて言うか、厳格でさ、冗談が通じないっていうか」<br /><br /> 未央「その点私は人間と一緒に旅したりする庶民派なんだー☆」<br /><br /> ピィ(うわぁ、すげぇどうでもいい……)<br /><br /> ピィ「へぇ~」<br /><br /> 未央「露骨に面倒くさそうな顔するね、そんなんじゃモテないぞっ☆」<br /><br /> ――イラッ☆</dd> <dt id="a167">167 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:12:00.26 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「本日こちらにいらっしゃった理由をお伺いしてもよろしいですか?」<br /><br /> 未央「あっ、帰そうとしてるね?」<br /><br /> ピィ「はっはっは、まさかそんな」<br /><br /> 未央「そうだねっ☆ んー……」<br /><br /> 未央「特に意味など無いっ!」<br /><br /> ピィ「よし、帰れ!」<br /><br /> ――何なんだ本当にコイツは。<br /><br /> 未央「まぁまぁ、私藍子ちゃんのこと気に入ってるしー♪」<br /><br /> 未央「それに……」<br /><br /> ――藍子に注がれていた視線が、ちらりと揺れ、<br /><br /> ――おちゃらけた口調はそのままに、未央が声のトーンを若干落とす。<br /><br /> 未央「他にも気になる子が色々いるしね……☆」<br /><br /> ――意味深なことを呟きながら、未央が見つめる先には、<br /><br /> ――周子と、たまたま来ていた薫の姿があった。</dd> <dt id="a168">168 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:12:29.34 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「それはどういう……」<br /><br /> 未央「あっ、そういえば☆」<br /><br /> 未央「別にここって好きな時に来ていいんだよね?」<br /><br /> ――うちの規則は緩い。<br /><br /> ――物凄く緩い。<br /><br /> ――『プロダクション』は一応まっとうな組織のはずだ。<br /><br /> ――しかし、ここに所属することによって拘束時間が発生することは無い。<br /><br /> ――個々人に仕事の依頼があれば別だが、<br /><br /> ――その仕事すら無いのだ。<br /><br /> ――健全で安全な能力の使用法の提案とその指導。<br /><br /> ――うちの経営理念の一つだ。<br /><br /> ――しかし、もう一つ。<br /><br /> ――能力を用いた社会貢献。<br /><br /> ――これが殆どと言っていいほど無い。<br /><br /> ――たまに楓さんが草刈りの仕事なんかを依頼されているが、<br /><br /> ――それ以外の人は、基本暇をしている。<br /><br /> ――そんな状況でも、わざわざ来てくれるのはありがたいことだが、<br /><br /> ――もはやただの溜まり場の様相を呈しており、<br /><br /> ――そこへ、こいつも加わるのかと考えると……。</dd> <dt id="a169">169 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:13:38.53 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「おことわ―――」<br /><br /> 未央「わーいっ! ありがとっ☆ ピィさんってばやっさし~♪」<br /><br /> ――押し切られた。<br /><br /> ――人の話を聞いちゃいない。<br /><br /> ――来るなといってもきっと来るんだろう。<br /><br /> ――もう、<br /><br /> ――諦めた。<br /><br /> 未央「まぁまぁ、面倒事は絶対に持ってこないからさ☆」<br /><br /> 未央「よろしくねっ、えへへっ♪」</dd> <dt id="a170">170 :<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:14:21.71 ID:PkzLcA4xo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">本田未央<br /><a href="http://jump.vip2ch.com/http://25.media.tumblr.com/360bef3da70b4dccbe1a8f622d600987/tumblr_mpb4btAsfF1risnoxo1_1280.jpg" style="text-decoration:none;" target="_blank">http://25.media.tumblr.com/360bef3da70b4dccbe1a8f622d600987/tumblr_mpb4btAsfF1risnoxo1_1280.jpg</a><br /><br /> 熾天使の一人ラファエルが人間に転生した姿。<br /> 一応偉い天使のはずだが、性格は完全に15歳の少女のそれ。<br /> 明るく元気で人懐っこく、人間が大好き。<br /><br /> ラファエルとは癒しの天使であり、藍子にその力の一部を与えた。<br /> 聖と光の関係だね! 未央は随分明け透けだけど。<br /><br /> 気分屋なので、昨今の騒動に首を突っ込んでくるかは不明。<br /> ただし、自分と気に入った人に振りかかる火の粉は徹底的に払う。</dd> <dt id="a171"><span class="resnum">171</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆TAACIbOrYU</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 21:18:25.29<span class="id">ID:PkzLcA4xo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です<br /><br /> ちゃんみおは天使<br /> 藍子も天使</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a175">175 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB<span class="namenum">8</span>Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:52:15.29<span class="id">ID:GZ1E7xQio</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> あっちゃーちゃんみお天使だったかー<br /><br /> バランスよく天(天使ちゃんみお)地(アンダーワールド人しぶりん)人(普通の人間しまむらさん)とそろったニュージェネ<br /> いや、絡みは一切ないんだけども<br /> ……それにしても天使は天使で割と身勝手なのよね、わかるわ<br /><br /> いずみんの投下するよーーーー!!</dd> <dt id="a176">176 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB<span class="namenum">8</span>Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:53:30.43 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  やっと準備が整ったんだ。管理者の目を盗んでくみ上げてきた私の最高の傑作。<br />  このディストピアを救うための最後の手段――<br /><br /> 「……『エクセル』の完成、かな」<br /><br />  見上げればそこに立つのはこの世界の希望。<br />  何よりも優れて、何よりも強く。私の、私たちの夢。<br />  白いボディに緑のラインが入った美しいデザイン。無駄のない流線型のフォルム。<br />  我ながらほれぼれする。かっこいいぞ、すごい。<br /><br />  耳障りな警報音が私の思考を引き戻す。<br />  ……そうそう、感動している場合じゃなかったんだっけ。<br /><br />  私が今いるのはロボたちの自己進化施設の中。<br />  ちょっとだけお邪魔して、私の『エクセル』の完成に協力してもらったわけだ。<br /><br />  私の頭の中にある設計図。ありえないはずのロストテクノロジー。<br />  足りない部分は気合いと、この施設の部品をちょっと拝借してやればいいと気付いて忍び込んだんだった。<br /><br />  おかげさまで絶賛大ピンチ……だったのはついさっきまでのこと。<br />  私の開発環境では完成しなかったからこんなリスクを背負ったんだ。<br />  完成さえしてしまえば問題ない。<br /><br /> 「ね、エクセル?」<br /><br />  エクセルの足を一撫で。起動してないし何の反応もない。<br />  ……うん、知ってる。</dd> <dt id="a177">177 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:55:20.08 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">《シンニュウシャヲ ハッケン ハイジョシマス》<br /><br />  警備ロボがワラワラと群がってくる。<br />  もう少しぐらい、完成の余韻に浸らせてくれたっていいじゃないか。<br /><br />  私は左手の『ワード』を起動させて素早くコマンドを入力する。<br /><br /> 「Ctrl……V! ペースト!」<br /><br />  あらかじめコピーをとっておいた戦闘用のロボたちの弾幕が『ワード』の機能によって再現される。<br />  人間を排除するために放たれる凶悪な弾たちは、皮肉にもロボットを完全に破壊せしめるほどの威力を宿していた。<br /><br />  強烈な弾幕を再現するのにはエネルギーを大量に消費してしまうのが欠点だけど、今はケチケチしていられる場合じゃない。<br /><br /> 「それに……ここさえ、抜ければ終わるんだから……!」<br /><br />  ペースト、ペースト、ペースト。的確に打ち抜く位置へと弾を再現するがだんだんデータが劣化しているのがわかる。<br />  警備ロボたちはあと2小隊ほど残っていて全滅させる余裕はない。<br /><br /> 「それなら……Ctrl、F。ファインド!」<br /><br />  ……隊長期を検索。該当あり。<br />  至近距離へ強烈なグレネードを一発ペースト。爆発させると、周りの機体の動きが目に見えて鈍る。<br /><br />  後はまとめて大きなのをぶち込むだけ。<br />  ……どうやら一旦難を逃れることはできたみたいだ。</dd> <dt id="a178">178 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:55:56.78 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  しかしそろそろ逃げないとまずそうだ。エクセルを起動させないと……<br /><br />  ……あ。その前に資材もいただいておこうかな?<br />  『ワード』のEnterを入力。左手をかざして範囲指定。<br /><br /> 「Ctrl……X。カット」<br /><br />  研究資材やデータを丸ごといただく。<br /><br />  まぁ、どうせどこかにバックアップはあるんだろうけど……<br />  解析してやれば過去人にとってはとんでもないオーバーテクノロジーになるはず。<br />  このディストピアを作った原因……A.Iにだってきっと通用する。<br /><br /> 「……そうだよね。お姉ちゃん、頑張るから」<br /><br />  もういない私の大切な家族。<br />  弟のためにも私は絶対にこのディストピアを――<br /><br /> 「――デリートしてやるんだから!」<br /><br />  『エクセル』へとワードから司令。<br />  起動したエクセルの瞳が緑に光り、私を見下ろす。<br />  内部へ乗り込む。コックピットの作成に協力してくれた友人ももういない。</dd> <dt id="a179">179 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:56:31.89 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 「さぁ……飛んで。エクセル!」<br /><br />  人間が持ちうるテクノロジーはすべて詰め込んだ。<br />  私たちにできる最高で、最後の希望の象徴『エクセル』に命を吹き込む。<br /><br />  目指す時間軸は『A.I』が世界に認められずに泣いていた20XX年。<br />  彼女が狂い始めてしまった時へと飛んで……必要だったら、私は人間を――<br /><br /> 「……違うよ。私がするのはディストピアのデリート。バグは消さなきゃだめなんだから」<br /><br />  自分に言い聞かせるようにつぶやく。<br />  人間に時間跳躍ができるのだから、きっとマシンたちにだってできるだろう。<br /><br />  追手は来るだろうか。そいつ相手に『エクセル』で勝てるだろうか。<br />  『ワード』のバッテリーは持つかな? 打ち消されたりしたらどうしよう?<br /><br />  不安が浮かんでは消え、押しつぶされそうになる。<br />  ……それでもやらなきゃいけない。もうあの世界にはいられない。</dd> <dt id="a180">180 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:57:39.27 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">  時の流れに逆らう感覚というのは、思っていたよりもずっと気持ち悪い。<br />  体がぐにょぐにょと伸びたり縮んだりしているような錯覚を起こす。乗り物には強いつもりだったんだけど。<br /><br />  急に激しくなったり穏やかになったりするそれにやっと慣れてきたころ、激しい衝撃がエクセルを襲った。<br />  追手の攻撃? でもこんな、飛んでる最中にだなんて想定外だ。まずい、反撃もできない。<br />  揺れがどんどん激しくなる。これはもはや攻撃とかじゃなくて、空間自体がおかしくなってるとしか思えない。<br /><br />  エクセルの計測器がすべて異常値を示す。<br />  視界がゆがむ。体の中身をぐるぐるかきまぜられているみたいで吐き気がする。<br />  想定していた逆行にかかる時間はとうに過ぎているはずだ。まさか失敗した? みんなが繋いでくれた希望がこんなところで?<br /><br />  嫌だ、嫌だ、嫌だ――――<br /><br /><br />  瞬間、目の前が真っ白になった。<br />  </dd> <dt id="a181">181 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 21:59:15.27 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">「う……ん……?」<br /><br />  意識を失っていたみたいで、やっと視界が開けてくる。<br />  エクセルのモニタに映っているのは――人。<br /><br />  人、人、人、人――人がいっぱい?<br /><br /> 「なっ……ま、まずったの!?」<br /><br />  どうやら人たちはみんな私の――エクセルのことを指さしてひそひそと話をしている。<br />  資料にある21世紀初頭の人たちの生活風景。20世紀末から続いているのであろう割とのどかな商店街。<br />  つまり、エクセルはとんでもなく目立っているってことで……<br /><br /> 「A.Iに見つかる!? いや、その前に追手が……あぁ、どうしよう。に、にげっ……」<br /><br />  その時、モニタの中のひとつに映っている男性がメガホンのようなものを向けてきている。<br />  まさかもう追手が――<br /><br /> 「あー、キミ! ロボはこういうところでは乗り回さないでねー」<br /><br /><br /> 「……は?」</dd> <dt id="a182">182 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 22:00:45.88 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">――<br /><br />  そのあと。いろいろ聞かれたが私の知っている、想定してる21世紀とはずいぶんとズレているらしいことが判明した。<br /><br /> 「いやー、ロボとか巨大ヒーローは珍しいけど。ひょっとして最近目覚めたとか? 若い子はすごいねぇ」<br /><br />  とは警察官のセリフ。等身大ヒーローやら怪物なら珍しくないらしい。どういうことだ。<br />  私はエクセルをワードの『カット』で収納したあとしばらくお説教を食らうことになってしまった。<br /><br />  超能力や超科学が珍しくない、悪魔や死神が存在する世界だなんて馬鹿げてる。<br />  本当、バカげてる……けど、現実だ。どうしようもなく、真実だ。<br />  時空跳躍の時に位相がずれたんだろうか? 理由はわからないけど。<br /><br />  エクセルには確かに『A.I』が存在する世界へと指定したはずなのに。<br />  本当にこんな世界に『A.I』がいるかは定かじゃないけど、計器は正常に戻っているし……<br /><br /> 「……とりあえず、ワードにエネルギー充填してやらなきゃ詳しくも調べられないか」<br /><br />  エクセルに間違いがあるとは思えないし、ひょっとしたらこの世界は歴史から抹消されただけなのかもしれないし。<br />  ………うん、だからとりあえずご飯を食べよう。この時代には味覚で喜びを感じるって文化もあったらしいし。<br /><br />  今は何よりも私自身がエネルギー切れで倒れそうだ。</dd> <dt id="a183">183 :<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[saga]:2013/07/02(火) 22:05:03.81 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">大石泉(15)<br /><br /> 職業:未来形フリーター<br /> 属性:未来人<br /> 能力:ロボット『エクセル』の操縦および高次元情報端末『ワード』の操作<br /><br /> 機械に支配され、ディストピアと化した未来からやってきた。<br /> 未来を変えるために、全てのロボたちの母と言われた『A.I』がいるという21世紀まで飛んでくるも資料との食い違いっぷりに困惑中。<br /> 左腕につけたキーボード型の情報端末『ワード』は3次元的にコピー、ペースト、カットなどを実現させる。<br /> 『カット』で切り取られたものは無条件で上位次元へとしまわれるが、無機物にしか対応していない。<br /> 『ペースト』は『コピー』したものをエネルギーを消費して再現する場合と、『カット』でしまったものを取り出すパターンの2種類。<br /> 『コピー』は対象のエネルギーなどをデータとして保管しておけるが、何度もペーストを繰り返すとデータが劣化して制度が落ちる。<br /><br /><br /> 『エクセル』<br /> 全長20mほどのロボット。白いボディに緑のライン。<br /> 流線型にシルバーのかっこいいロボ。泉の『ワード』と連結させ、乗り込むことで戦闘が可能。</dd> <dt id="a184"><span class="resnum">184</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆IRWVB8Juyg</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage]:2013/07/02(火) 22:08:33.76 ID:GZ1E7xQio</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 巨大ロボのせようと思った。持ち運び手段必要だと思った。こんなんなった<br /> ……周りの被害大きいから普段はエクセル引っ張り出さないでワードで戦うんじゃないかな、いずみん<br /><br /> A.Iがディストピアを生んだ過去ではたぶん自分のことを理解してくれる親友も秩序が壊れる混沌もなかったんだと思います</dd> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> </dd> <dt id="a194"><span class="resnum">194</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:31:45.12<span class="id">ID:WkN5BQNwo</span></span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ロボットっていいですよね。<br /> 私大好きです。<br /><br /> アーニャ投下します。</dd> <dt id="a195">195 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:33:31.04 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ここ、ロシアは世界最大の面積を誇る連邦国家である。<br /> 広大な自然は見る者すべてを圧巻し、それに地球の神秘を感じる者もいるだろう。<br /><br /> しかしその暗部は深く、表だってはいないが世界に与えてきた影響も大きい。<br /><br /><br /> 場所はロシア内でも極東に位置する孤島。<br /> あの日より世界中では超常現象不可思議なものが溢れるようになり、ロシア政府の限られていた人間しか知り得なかった能力者などの情報も世界の一般化してしまった。<br /><br /> その未知の力を利用して国家転覆を狙うような組織も台頭してきており、政府も秘匿してきた特殊能力部隊を投入しなければならないようになってきていた。<br /><br /> その国家転覆を組織がこの孤島の廃工場に根城を作っていることを知った政府は特殊能力部隊を派遣した。<br /><br /><br /> しかし、相手は未知のテクノロジー、宇宙人の技術であろう装備を使用してきており、部隊は苦戦していた。<br /><br /> 隊員A「くそ……手こずりすぎた」<br /><br /> 隊員B「ああ、相手の戦力もあと少しだがこちらも犠牲が大きすぎる」<br /><br /> 隊員A「これまでは力を使えばただの人間など問題はなかったが、敵にもそういった力が広まったせいで……」<br /><br /> その瞬間、隊員Aの頭が吹き飛ぶ。<br /> どこからか狙撃されたのだろう。隊員Bはその場を急いで離れる。<br /><br /> 隊員B「ちっ、しくじった。狙撃を許すとはな」<br /><br /> 隊員Bが逃げ込んだ先には他の隊員たちがいた。<br /><br /> 隊員C「油断するからああなるんだ。ビエーリコート、隊員Aを何とかできるか?」<br /><br /> 隊員Cは近くにいたビエーリコートと呼ばれた少女に尋ねる。<br /><br /> 少女「ビェスパリエーズナ……さすがに即死では私の力は使えません。とりあえず私が囮で突入しますのでその隙に。攻撃的な能力の皆さんで殲滅してください」<br /><br /> そういって少女は身を隠していた遮蔽物から飛び出した。<br /><br />  </dd> <dt id="a196">196 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:34:41.39 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /><br /> 隊員B「あらかた片付いたな。ビエーリコートはどこだ?」<br /><br /> 隊員C「突入した時に確認した逃げた敵を片付けに行ったんだろう」<br /><br /> 隊員B「追い詰められた人間は何をしでかすかわかったものじゃない。あいつの能力なら死なないだろうが探しに行くぞ」<br /><br /><br /><br /> 少女は崖の先に逃走した敵の男を追い詰めていた。<br /><br /> 少女「シャーフ エ マット……これで終わりです」<br /><br /> 少女は追い詰めた男に拳銃を向けた。<br /><br /> 男「は、はは……。この政府の犬め。せめて巻き添えだ」<br /><br /> 男は懐から小さな白いボールのようなものを取り出した。<br /><br /> 少女「爆弾っ……。させません」<br /><br /> そういって少女は発砲し男の頭を撃ち抜く。<br /> しかしすでに男はスイッチを押していた。<br /><br /> 爆弾はその大きさに似合わず大きな光を発し、薄暗い曇り空の下を照らす。<br /> これも特殊な技術の爆弾なのだろう。かなり大きな爆風を上げ、せり出した崖を根こそぎ削り取った。<br /><br /> 少女(やられましたね・・・・・)<br /><br /> 少女は瓦礫と男に肉片の雨の中まっさかさまに崖から落ちていく。<br /> そしてそのまま荒れ狂う海の中に落ちていった。</dd> <dt id="a197">197 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:36:07.19 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 現在午前7時、ピィは海に来ていた。<br /><br /> ピィ「海はいい。心が安らぐ……」<br /><br /> ここは「プロダクション」から少し離れた港であり周りには倉庫が立ち並び人は彼以外にはいなかった。<br /> 本来彼はこんなとこに来て心の安寧を求めるような性格ではないのだが、ここ最近の自分の仕事である能力者のスカウトがうまくいかず、少し自信を失っていた。<br /><br /> ピィ「でもやはりこういった場所で自身を見つめなおすのも悪くない。柄には合わないがこの海を見ていれば自分の悩みのちっぽけさがわかるよ……」<br /><br /> そんな誰かに聞かれたら黒歴史になるであろう独白をするがあいにく彼の周囲には人の気配はなかった。<br /><br /> ピィ「全くいい天気だよ。青い空に青い海、さんさんと輝く太陽に寂れた倉庫群、海を漂う水死体と……」<br /><br /><br /><br /><br /> ピィ「水死体ぃ!?」<br /><br /> 穏やかな海に場違いなようにそこにはきれいなどざえもん、つまるところ水死体だろう人影がのんきにぷかぷかと漂っていた。<br /><br /> ピィ「こんなときどうすればいい!?救急車?警察?」<br /><br /> そんな落ち着いた心から一変、パニックに陥ったピィはさらに深みにはまっていく。<br /><br /> ピィ(はっ!まさかこのままいくと<br /><br /> 第一発見者→容疑者→ブタ箱<br /><br /> →くぅ~疲れました。これにて人生終了ですw )<br /><br /> ピィ「やだー!!あっ」<br /><br /> パニックにより頭を抱えたまま体を横たえコンクリをごろごろ転がっているとそのまま転がりすぎでピィは海に落ちてしまった。</dd> <dt id="a198">198 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:38:09.23 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> ピィ「ブクブクブク……ぷはぁ。ってそうだ、とりあえず引き上げないと」<br /><br /> 海に落ちたことにより頭を冷やされたのかピィは冷静な思考に戻る。<br /> そのままピィは水死体の腕をつかみ引き上げられそうな場所まで引っ張っていった。<br /><br /> 何とかピィはその水死体を引き上げ息をついた。<br /> 彼はそのまま死体を確認する。<br /><br /> ピィ「まさか……死んでない?」<br /><br /> その水死体は水を含んで膨れ上がってないどころか血色がよく今にも起き上がりそうな少女だった。<br /> ピィは少女の首に指をあてる。<br /><br /> ピィ(脈は……ある。でも水を飲んでるだろうし<br /> ハッ!<br /><br /> これはやっちゃっていいんじゃないですかァー!?<br /><br /> 人 工 呼 吸!)<br /><br /> ピィ「そうだ、彼女を助けられるのは俺しかいないんだ」<br /><br /> そういってちょっと凛々しい顔つきになったピィは少女に顔を近づけていく。<br /> しかし近づいていくたびにピィの顔がいやらしいものになっていくが。<br /><br /> このまま少女のその唇は下心丸出しの男にズキュウウウンと奪われてしまうかと思われた。<br /><br /> しかしピィの唇が彼女に到達しようとする瞬間、彼女の口から飲み込んだであろう海水が噴き出した!<br /> その水はピィの顔面に直撃する!<br /><br /> ピィ「ぐぁあああ!目が……目がァーー!」<br /><br /> 海水にさらされたピィの目は激痛を訴えた。<br /> ピィの視界が奪われている間に少女はむくりと起き上がる。<br /><br /> 少女『……少し寝過ごしてしまいました。どこまで流されたのでしょう?』<br /><br /> 少女はロシア語で呟く。<br /> 少女は近くにいたのたうち回るピィに視線を向ける。<br /> そのまま腰にある拳銃を手に取った。<br /><br /> 少女『海水に浸されてる。使い物になりませんね』<br /><br /> そのまま拳銃を海に投げ捨てた。<br /> 彼女はのたうち回るピィに手をかざす。<br /><br /> ピィ「ぐぁあ、あ……あれ?痛みが引いてきた」<br /><br /> 少女「ドーブラエ ウートラ。いや、日本語ですか……。どうやらここは日本のようですし、こうですか。おはようございます?」<br /><br /> 少女は首をかしげながらそうやって挨拶した。</dd> <dt id="a199"><span class="resnum">199</span>:<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:39:27.18 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> ピィはそのまま少女とともに港から移動し始めた。<br /><br /> ピィ「なるほど、散歩中に足を滑らして海に落ちてしまったのか」<br /><br /> 少女「ダー、助けてもらって感謝します」<br /><br /> 少女はとりあえずこのようにピィに事情を説明した。<br /> 当然本当このことなど話せるわけがない。<br /> 実際少女自身の存在でさえ国家機密、トップシークレットなのだ。<br /> ロシアの孤島から流されてきたことも話せるわけがない。<br /><br /> ピィ「外国人なのか?」<br /><br /> 少女「ニェート。半分正解です。ハーフなのです。ママが日本人、パパがロシア人」<br /><br /> 少女は当たり前のように偽の家族構成を言う。<br /><br /> ピィ「そうなのか。よし、壊れてないか。親には連絡した方がいいんじゃないか?」<br /><br /> そういってピィは少し濡れた携帯電話を確認しながらを差し出した。<br /><br /> 少女「バリショーエ スパシーバ。言葉に甘えます」<br /><br /> 少女はピィの携帯を手に取る。<br /> ここで断るのは不自然であるうえ、たとえ履歴が残ったとしてもピィ自体を処理してしまえば問題ない。<br /><br /> 少女はそのまま日本にある特殊能力部隊とつながりのある組織の日本の支部に連絡を入れた。<br /><br /> 少女『現在日本の○○に流れ着いた。私が証拠を処理したのちに回収を頼みます』<br /><br /> 少女は電話を切ってピィに返した。<br /><br /> 少女「迎えを呼びました。近くのコンビニに迎えに来てくれるそうです」<br /><br /> ピィ「家ではロシア語なのか」<br /><br /> 少女「ダー、ロシアで暮らしていたことも長いので。当然両親も日本語はしゃべれますよ」<br /><br /> 内心少女はすきを窺っていた。<br /> 近くに海はあるし能力を使えば証拠隠滅も造作もない。<br /> 武器はなくとも少女にはピィをすぐに殺せる戦闘力を持っていた。<br /><br /> しかし……<br /><br /> 塩見周子「ピィ。ようやく見つけた」</dd> <dt id="a200">200 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:41:11.58 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 倉庫の屋根の上に一人の少女が座っていた。<br /> 彼女は塩見周子。千年生きた大妖狐である。<br /><br /> 少女「ショールト ヴェイズ ミ(しまった)……」<br /><br /> 少女は小さくつぶやく。<br /> 人が一人増えるだけで手間が二倍になる。<br /> しかもそれ以上に少女が厄介だと思ったのは<br /><br /> 少女(この人……ただの人間じゃない)<br /><br /> 裏の世界に身を置いてきた少女は塩見周子の纏う気配に容易に気付いた。<br /> ただの人間に毛の生えた能力を持つ程度ならともかくこれはやばいと少女の心が警鐘を鳴らす。<br /><br /> 塩見周子が圧倒的格上であることに少女は気づいたのだ。<br /><br /> 後悔した。早めにこの男、ピィを殺しておけばと。<br /> しかし安堵もした。頃さなくてよかったと。もし殺していたら自身が殺されかねないからだ。<br /><br /> 少女(ここはしらを切り続ける。チャンスを伺うしかない)<br /><br /> ピィ「周子か。どうしてここに?」<br /><br /> 周子「どうしてって時計見なよ」<br /><br /> ピィ「時計って……あ」<br /><br /> ピィは腕時計を確認すると文字盤に刻まれていたのは9時をとっくに過ぎていた。<br /><br /> 周子「まったく珍しくピィが遅刻するから心配だから探してきてくれって社長に頼まれてさ。暇だったから承諾したけどよくよく考えれば電話すればよかったのに……」<br /><br /> 周子はそのまま屋根から飛び降り、ピィたちの前に着地した。<br /><br /> 周子「しかもまさか女の子と一緒に海にいるなんて」<br /><br /> ピィ「これは……そう、この子が海で溺れていたから助けたんだ!」<br /><br /> 周子「じゃあピィは一人で海に来てたんだ。一人で海で何してたのかなー?」<br /><br /> ピィ「それは……自分探し?」<br /><br /> 周子「ぷっ、ははははは!自分探しとは傑作だね。しかも自分を見つけるんじゃなくて女の子を見つけるなんて」<br /><br /> 周子は笑いながらそうピィに返す。<br /><br /> 内心少女は戦々恐々としていた。<br /> 表面では普通にふるまっているが気が気ではなかった。</dd> <dt id="a201">201 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:42:21.22 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 少女(大丈夫。平常心を保つ)<br /><br /> 周子「ところであなた、名前は?」<br /><br /> そこに周子に話を振られる。<br /><br /> ピィ「そういえば名前聞いてなかったな」<br /><br /> 少女「私は……○○です」<br /><br /> とりあえず適当な偽名を応えておく。<br /><br /> 少女(そういえば私の名前は何なのだろう?考えたこともない)<br /><br /> 少女は幼いころから特殊部隊で育てられてきた。<br /> 物心ついた時には自身のコードネームで呼ばれていて、そのコードネーム自体も定期的に変更されていた。<br /> つまり自身を識別する記号、名前を彼女は持ち合わしていなかったのである。<br /><br /> 当然彼女はこれまでにそんなことを考えたこともなかった。<br /> こんな状況に陥ったのですら初めてなのである。<br /> 誰も名を尋ねてくることもなかったのだ。<br /><br /> 周子「へぇ……。アタシは塩見周子。よろしく」<br /><br /> 周子の瞳はまるですべてを見透かしたかのような瞳、少女からはそんな風に見えていた。<br /><br /> 少女「オーチン プリヤートナ。よろしく」<br /><br /> ピィ「ああ、そういえば俺の自己紹介も忘れていたな。まぁ……ピィとよんでくれ」</dd> <dt id="a202">202 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:43:54.18 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> 周子「じゃあアタシは先に戻るから。ピィさんに○○ちゃんは任せたよ♪」<br /><br /> そう言って周子は煙を上げて姿をけしてしまった。<br /><br /> ピィ「そういえばあんまり驚かないな。周子を見ても」<br /><br /> 少女「あ……ニェート、驚いてます。でも一度にいろんなことが起こりすぎていて混乱してます」<br /><br /><br /><br /> 少し離れたところで周子は二人のことを見張っていた。<br /> ピィのような素人にはわからないように、それでいてわかる者にはわかるように。<br /><br /> 事実、少女は見張られていることに気づいていた。故にピィに手出しができないことも分かっていた。<br /><br /> 正体を感づかれている。そのことに気が付いた少女は考えを巡らせる。<br /><br /> 少女(とりあえず証拠隠滅はあきらめて、ロシアに戻ろう。<br /> もしかしたら敵に回られることも秘密を洩らされることもないかもしれない。<br /><br /> 厳罰ものだが殺されはしないだろう。<br /> 私の能力は貴重だろうし、多分私を殺すこともできないでしょうから)<br /><br /><br /><br /><br /><br /> 周子はスマートフォンを手に取ってどこかに連絡を取ろうとしていた。<br /> 千年も生きた大妖狐が現代の技術であるスマホを持っているとはまた奇妙な話である。<br /><br /> 周子「もしもし、志乃さん?周子だけど」</dd> <dt id="a203">203 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:45:17.65 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 柊志乃『あら、珍しい。あなたの方から連絡してくるなんて。どうしたの?』<br /><br /> 電話に出た女性、柊志乃は機嫌のよさそうな声で周子に尋ねた。<br /><br /> 周子「ちょっと頼み事したいんだけど、いい?」<br /><br /> 志乃『もちろん。かまわないわよ。私と周子さんの仲じゃない。遠慮なんていらないわ』<br /><br /> 周子「なら別に『さん』付けしなくていいのに」<br /><br /> 志乃『こればっかりはね。あなたのほうが年上なんだから』<br /><br /> 周子「それってほんとに?いつ生まれか教えてくれたことないじゃん」<br /><br /> 志乃『何?私が老けてるってこと?』<br /><br /> 周子「そうはいってないでしょ。つまり秘密が多すぎるの」<br /><br /> 志乃『いい女には秘密はつきものって言うでしょ』<br /><br /> ふたりはそんな他愛もない会話を続けながらも周子は港から出る方向に向かうピィたちから目を離さず、一定の距離を保ちながら追っていた。<br /><br /> 周子「ともかくある人のことを調べてほしくてね。○○っていうんだけど」<br /><br /> 志乃『なるほど、知らないわね』<br /><br /> 周子「やっぱり?まぁ結構ありふれた名前だから多分偽名だろうしね」<br /><br /> 志乃『でも私ではわからないけど、全く知らないことでも知ることのできる人を私は知っているわよ』<br /><br /> 周子「さすが志乃さん。相変わらずいろんな人と友達だ」<br /><br /> 志乃『持つべきものは友人ね。わかったら折り返して連絡するから。ちなみにこれは貸しひとつよ』<br /><br /> 周子「えっ!?ちょっと待って志乃さん?」<br /><br /> 志乃『じゃあ一旦切るわね。どうしても呼び捨てがいいなら周子さんも私を呼び捨てにしてみたらどう?』<br /><br /> スマホのスピーカーからプツリと音が鳴る。<br /> それからはスマホは沈黙した。<br /><br /> 周子「まったく志乃さんは……あっ」<br /><br /> そこで周子は二人から目を離していたことに気づく。<br /> 周りを見渡したが完全に見失っていた。<br /><br /> 周子「やばっ、あの二人どこ行った?」</dd> <dt id="a204">204 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:46:37.79 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"><br /><br /> 少女は監視の目が緩んでいることになんとなく感じ取っていた。<br /><br /> 少女(ここで勝負をかける?でもその後どうする?)<br /><br /> 少女はここで動くことはできるがその後に周子から逃げられるとは思えない。<br /> 周子の監視が完全に止んだのならともかく、ほんの一時的なもの。動くことは得策ではない。<br /><br /> 少女(やっぱり……耐えるしかないか)<br /><br /> ピィ「ところで○○ちゃんは、家族とは仲いいのか?」<br /><br /> 唐突にピィはそんなことを訪ねる。<br /> 少女は突然投げかけられたその問いに少し驚くが、表情に出すことはなかった。<br /><br /> 少女「ダー、パパもママも……大好きですよ。どうして突然?」<br /><br /> ピィ「他人の家の事情に首突っ込むのはよくないかなとも思ったけど、さっきの電話の時にあまり家族と話すような感じじゃなかったみたいだからな<br /><br /> もしかしたら何かあるのかと思ってね。だから安心したよ」<br /><br /> ピィはそういって笑った。<br /> 少女は笑顔というものを知らない。感情は殺すように訓練されてきたからだ。<br /> 他の隊員たちもほとんどは感情を見せず機械のように任務をこなしていた。<br /><br /> だからこそまともな感情というものに触れることもなかったので、おのずと心は麻痺した。停止していた。<br /> 仲間が死のうと、自信が傷つこうと、何も感じなかった。<br /><br /> だが麻痺していただけなのだ。凍り付いているだけなのだ。<br /> 部隊の人間の中には人間らしい感情を捨てたものも多い。<br /> ただ彼女は人の感情を知らなかったのである。<br /><br /> ピィの他人を思いやるという当たり前の感情、そしてその感情をそのまま表した笑顔には彼女にとっては未知のものであると同時に<br /><br /> 少女(うらやましい)<br /><br /> 他人が持っていて自分が持ってないものを欲する感情、それでいてはるか遠くにあるものである憧れという感情を少女は幽かだが、初めて抱いた。<br /> その感情は、無自覚にも凍えきった心に熱を与えた。<br /><br /> その未知の感覚に浸っていて彼女はほんの少しだけ油断したのだ。</dd> <dt id="a205">205 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:48:02.89 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">ピィ「危ない!」<br /><br /> 少女はピィに抱かれ、その場からピィとともに飛び退く。<br /> 先ほどまでいた場所は黒く細長い何かが飛んできて大きく振るわれる。<br /> その瞬間、アスファルトはひび割れながら砕かれた。<br /><br /> その場にとどまっていればただの人間ならいともたやすく引き裂かれていただろう。<br /> それほどにまで鋭利で暴力的な何かが過ぎ去ったことは明らかだった。<br /><br /> ピィ「くそっ、こんな時にカースか」<br /><br /> 少女はピィの声によって我に返る。彼女は攻撃を受けたのだと自覚したのだ。<br /><br /> 少女(カース、資料では見たことがある)<br /><br /> その姿は黒い泥のようなもので核の色によって対応する七つの大罪の性質を持つ人類の脅威。<br /> 少女にとって写真でしか見たことのなかった異形がそこにはいた。<br /><br /> 少女「……初めて見ました」<br /><br /> ピィ「とりあえず逃げよう」<br /><br /> ピィはその場から立ち上がり少女の手を引く。少女自身戦ったことのないの未知の相手、正体がばれるとか関係なしでもここは撤退を考えた。<br /><br /> 少女「ナーディエヌィ……あ、わかりました」<br /><br /> 少女も立ち上がりカースに背を向けて走り出す。<br /> しかしカースも当然見逃してくれるわけもない。<br /><br /> 『ウォオオオオオオオオオオ!』<br /><br /> カースはどこから出ているのかわからないが雄たけびを上げる。</dd> <dt id="a206">206 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:50:11.40 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 『許サン!許サンゾォオオオオオ!』<br /><br /> カースは叫びながら先ほどの鋭利な触手を飛ばしてくる。<br /> その矛先は一直線にピィたちに向かっていった。<br /><br /> 少女(この状況では仕方ない)<br /><br /> 少女は正体がばれるよりもこの状況を打破するのが先決と考え触手と対峙しようとした。<br /><br /> 少女(私でもこの触手の矛先を逸らすことくらいはできる)<br /><br /> そう考えカースの方向をむこうとした瞬間、少女は突然横から力がかかり、転倒する。<br /><br /> 少女は驚きに目を見開いた。<br /><br /> 少女(私は、この人に、庇われた?)<br /><br /> そこには触手に串刺しになったピィがいた。<br /> 伸びた触手はカースの元に戻っていくと同時にピィの体から引き抜かれ、体にトンネルが貫通する。<br /> そのままピィはその場に倒れこんだ。<br /><br /> 少女「どうして……私を……」<br /><br /> ピィ「早く、逃げろ……。そして通報するんだ。警察でも、GDFでも……いい。早く、逃げるんだ!」<br /><br /> 息も絶え絶えながらにピィは力を振り絞って叫ぶ。<br /> 確実に致命傷だろう。血はあふれ出し、穴からは欠損した内臓まで伺える。<br /><br /> 少女には理解ができなかった。<br /> 部隊の中でも誰かを庇ったことなんてない。死ぬのは自己責任だ。<br /> それなのにこの男は出会って間もない少女を身を挺して守ろうとしたのだ。<br /><br /> 少女(こんなもの、理解できるわけがない)<br /><br /> 少女はその場から立ち上がる。<br /> その間にもカースは先ほどよりも多くの触手を飛ばしてきた。<br /> とどめを刺すつもりなのだろう。<br /><br /> 少女「全く……柄じゃないです」<br /><br /> 少女(だれかのために戦うなんて)</dd> <dt id="a207">207 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:52:09.63 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 凶器と化した触手は一直線に少女の方に向かっていく。<br /> しかし少女はそれを素手と脚を使って、すべてを逸らすか、掴んだ。<br /> そしてそのまま靴底に仕込まれていたナイフを足元に押さえつけた触手に突き刺す。<br /><br /> しかし泥のような体をするカースには効果がなかった。<br /> それでも少女はカースの触手を離さない。<br /> チリチリと焼けるような軽い痛みが手に走っているが大したことはなく触手を掴んで離さなかった<br /> カースは逸らされた触手を戻し、再び打ち込んできた。<br /><br /> 少女「同じ攻撃を、もう一度とは……芸がないです」<br /><br /> 少女は掴んだ触手を利用して体を上に跳ね上げ、逆立ちのようになり飛んできた触手を回避した。<br /> そしてそのままつかんでいた触手を離して着地する。<br /><br /> そのまま少女は近くにいたピィに手をかざすとピィの体に開いた穴は塞がっていき、失血により悪くなっていた顔色は血色を取り戻していった。<br /><br /> 少女「貸した覚えは、ありませんが……とりあえず、貸しは返しましたよ」<br /><br /> 『アアアアーーー!憎イ憎イ憎イィイイイイ!』<br /><br /> 雄たけびをあげてカースはさらなる数の触手を生み出す。<br /><br /> 少女「カースと言っても、話に聞いていたほどでは、ないですね」<br /><br /> 少女はカースに向かって走り出す。<br /> それに対してカースは触手を飛ばして対抗してくるが少女は紙一重でそれを避けながらカースに接近していく。<br /><br /> そしてカースのすぐ近くまで行くと少女は手刀を構えてカースに向かって突き刺そうとした。<br /><br /> しかしカースはその直前でまるで針山のような触手を少女に向けて生成する。<br /><br /> 少女は驚いたように目を見開くが最小限の動きで針山の間を縫うように回避しようとした。<br /> しかしこの攻撃で手刀を構えた腕は吹き飛ばされ、わき腹に針が突き刺さる。<br /><br /> 少女「ぐ……あ……」</dd> <dt id="a208">208 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:54:11.87 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> カースは針山を自身の体に収めると、少女は地面に膝をつく。<br /> 勝利を確信したのだろう。<br /> そのままカースは少女をとり込もうと動き出した。<br /><br /> しかしその動きは止まった。<br /> すでに少女は立ち上がり先ほど吹き飛ばされたはずの腕がカースに突き刺さっていたのだ。<br /><br /> その手はカースの核を握りしめている。<br /><br /><br /> 少女「シャーフ エ マット(チェックメイト)」<br /><br /><br /> そのまま核を握りつぶした。<br /><br /> 『アアアアアアアアアアーーー!』<br /><br /> カースは断末魔の叫びをあげながら黒い泥は潮風に流されていくかのように消えていった。<br /><br /> 少女は手のひらを開くと赤い砂のようなものが零れ落ちていく。<br /><br /> 少女「なるほど……憤怒のカースですか」<br /><br /> 周子「そうみたいだね」</dd> <dt id="a209">209 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:55:57.36 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 突如と聞こえてきた声に少女は身構えた。<br /> そこにはやはり塩見周子が、倉庫の屋根の上に座っていた。<br /> 周子の近くにはピィが倒れている。<br /> きっと巻き添えを食らわないように周子が移動させたのだろう。<br /><br /> 少女「ピィさんは、大丈夫?」<br /><br /> 周子「うん、ぐっすり眠ってるよ。それにしても意外だね。隠してきた秘密とかはもういいの?」<br /><br /> 少女「ニェート、なんかどうでもよくなった気がします」<br /><br /> 少女も自身の心境の変化に驚いてはいたが、もはやそれさえもどうでもよくなってきていた。<br /><br /> 周子「全くたいしたもんだよ。攻撃性がより高い自然発生のカース、しかも凶暴な憤怒のカースを一人で倒しちゃうなんてさ」<br /><br /> 少女「褒められるとは……スパシーバ?」<br /><br /> 周子「うん。さて、これからどうするの?」<br /><br /> 少女にとっての当面の問題はそれである。<br /> 周子に知られても黙ってもらえば問題なかったものの、これだけ派手に暴れてしまった後だ。<br /> 必ず足はつくだろう。<br /><br /> 少女「……とりあえず、逃亡生活でしょう」<br /><br /> 周子「そんなあなたにお知らせがありまーす」<br /><br /> 周子は急に立ち上がり、傍らに倒れているピィを物色する。<br /> そして何かを取り出したかと思うと少女に向かって投げた。<br /> それを少女はキャッチする。<br /><br /> 少女「これは……ピィさんの携帯電話?」<br /><br /> 周子「そそ、しばらく待ってれば非通知でかかってくると思うからそれに出てみればわかるよ」<br /><br /> 少女は怪訝な顔をするがおとなしく待つことにする。<br /> そして1分くらいたった時に携帯電話は鳴り始めた。<br /><br /> 少女はその非通知からの着信に出る<br /><br /> 『祖国の部隊の隊員にビエーリコートという者は存在しない。以上』</dd> <dt id="a210">210 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:58:27.32 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> それだけを伝えられると電話は切れてしまった。<br /><br /> 周子「わかったかな?ビエーリコート、つまるところ白猫さんの帰る家はなくなっちゃったわけなの」<br /><br /> 少女「これは……どういうことですか?」<br /><br /> 少女は困惑する。<br /> 自分が知らぬ間に仕事をクビになっていたのだ。<br /> 当然であろう。<br /><br /> 周子「あたしの友達にあなたのことを調べるのを頼んだら、勝手にこうなっててね。<br /><br /> おせっかい焼きなんだよ。あの人は」<br /><br /> そういって周子はため息をついた。<br /><br /> 少女「ヴィー……いったいどこまで知っているのですか?」<br /><br /> 周子「そうだね、まずはロシアの特殊能力部隊の隊員で、能力は超回復能力。見事なものだよ。まさか吹き飛ばされた腕が一瞬で回復、いや再生するなんてね。<br /> あとはロシアの極東の●●島で任務中のところ失踪ってところかな」<br /><br /> 少女「すべてお見通し、というわけですか……」<br /><br /> 周子はそのまま屋根から飛び降りてきた。<br /><br /> 周子「この先、行く当てもないでしょ。せっかくだし日本に住むのを手伝ってあげるよ」<br /><br /> 少女「どうしてそこまでするのですか?きっとあなたには、わかっていたでしょう。<br /> 私が、ピィさんを殺そうとしていたことを」</dd> <dt id="a211">211 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 22:59:54.59 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 周子「だって殺してないし、それどころ治療までくれたじゃん。お礼を言いたいくらいだよ。ありがとう、ピィを守ってくれて」<br /><br /> 心からの感謝の言葉。<br /> これまで憎まれはしても、感謝されることはなかった。<br /> そういう世界に身を置いていたので当然だが、少女にとってはこの感覚でさえも初めてなのである。<br /> 凍り付いていた心はさらに熱を持っていく。<br /><br /> 周子「それに、これも教えてもらったことだけど、あなたでも知ってないことも、あたしは知ってる」<br /><br /> 少女「私の……知らないこと?」<br /><br /> 周子「そう、それはあなたの名前。親からもらったあなただけのもの」<br /><br /> 少女「私……だけの」<br /><br /> 周子「そう、親の願いが込められた絶対の財産さ」<br /><br /> しかし少女は困惑する。<br /><br /> 少女「ノァ……私は、殺しすぎた。今更、その名を、名乗る資格なんて、ない。今更、日の光の当たるところでなど、生きてはいけない」<br /><br /> 少女は今、とても弱々しかった。<br /> むき出しになりかけた心はあまりにデリケートだ。<br /> 先ほどまでカースを素手で倒したとは思えないほどに。<br /> 触れれば、壊れつぃまいそうなほどに。<br /><br /> しかし周子は少女を抱き寄せ言う。</dd> <dt id="a212">212 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 23:01:37.60 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> 周子「ならあなたは生まれ変わればいいんだよ。<br /> これまでのような血にまみれた白猫じゃない。<br /> 新しいあなたに。<br /><br /> 罪は消えないかもしれないけど、やり直せるから」<br /><br /> 周子は少女の目を笑顔で見つめて少女に、失っていた名を告げた。<br /><br /> 周子「あなたは<br /><br /> アナスタシア<br /><br /> あなたのお母さんがつけてくれた名前」<br /><br /> アーニャ「ミニャー ザヴート アナスタシア<br /><br /> ミニャー ザヴート アーニャ!」<br /><br /> 幼いころ、まだ自我さえなかった確立していなかった頃、母親の腕に抱かれていた記憶をアーニャは思い出す。<br /> 愛称であるアーニャと母が呼んでいてくれたことを。<br /><br /> アーニャ「まったく、今まで涙など……流したことすら、なかったのに<br /> 涙が、なぜか止まりません」<br /><br /> 周子「泣いていいよ。きっとその涙は大切なものだから」<br /><br /> アーニャ「ううう……<br /> うわあああああああああああああああああん!」<br /><br /> 周子は泣きじゃくるアーニャを腕に抱きながらその頭をなでている。<br /><br /><br /><br /> 周子「まったくこの子、かわいいわ」<br /><br /><br /><br /> 少女の心は完全に溶けきった。<br /> まだ心の歪みは治ってはいないがそれでも<br /> 彼女、アナスタシアは再びこの世に誕生することができたのだ。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br /> ピィ「なんだか出て行き辛いんですけどこの雰囲気」<br />  </dd> <dt id="a213">213 :<span class="name" style="color:#008000;"><b>@設定</b>◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 23:03:39.00 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;"> アナスタシア(15)<br /><br /> 職業 元ロシア特殊能力部隊隊員<br /> 属性 能力者<br /> 能力 超回復能力・ロシア式CQC<br /><br /> 言葉もしゃべれないほど幼いころからロシアの超能力者機関に拉致にされて育てられ、10歳より特殊能力部隊に入隊し、様々な任務をこなしてきた。<br /> ロシアの孤島の任務の失敗で遠路はるばる日本まで漂流してくる。<br /> いろいろあって特殊能力部隊をクビになったので、現在日本での生活のための準備中。<br /> あらゆる国の言葉をマスターしているが特に覚えが早かったのは日本語である。<br /> しかしそれでもたまにロシア語は出てきてしまう。<br /><br /> 超回復能力<br /> 細胞を活性化させることにより傷を治癒させることができる。<br /> 世界中に治癒能力者は少なからず存在するが、アーニャの回復力はもはや再生と言ってもいいほど強力なものである。<br /> 自身が傷ついた時には自動で発動し、特に生命を脅かすレベルとなると痛覚が伝わるよりも早く回復することもある。<br /> 他人にも当然使うことができるが少し集中が必要になる。<br /> カースに侵食されそうになると浸食された細胞は自動で死滅して新たな細胞が次から次へと生まれてくるのでカースに侵食されることもなくカースに触れることができる。<br /> しかし無限に回復し続けるわけでもなく、徐々に疲労がたまっていくので多用は禁物。<br /><br /> ロシア式CQC<br /> ロシアで生み出された超次元格闘術。これを編み出したのはアーニャの所属していた特殊能力部隊の隊長。<br /> ジャッキーチェンをも超えるアクション、セガールを超える征圧力、ターミネーターを超える破壊力もモットーに編み出された……らしい。<br /> その強さはアーニャが回復は能力に頼ったもののカースを人間の力のみで倒すほど強力なものである。<br /> おそロシア。<br /><br /> 自然発生型カース<br /> 人の強い感情が核となり自然に生み出されたカース。<br /> 故にほとんど生み出されることのない憤怒などのカースはこれにあたることも多い。<br /> しかし実例は少なく、レアキャラである。<br /> 人の感情の純度が高いので、悪魔製やカースドヒューマン製のものより人間に対してより攻撃的で強力な場合が多い。</dd> <dt id="a214">214 :<span class="name" style="color:#008000;">◆EBFgUqOyPQ</span><span class="info" style="font-size:14px;">[sage saga]:2013/07/02(火) 23:04:53.37 ID:WkN5BQNwo</span></dt> <dd style="margin-bottom:18px;margin-top:5px;line-height:17.5px;">以上です<br /> 自分の書きたい事書いてたらなんか話が臭くなってしまった気がします。<br /> ファブリーズ代わりに最後にピィを置いときました。<br /> 台無しとか言わないで。<br /><br /> 初めてのSSだったんで助言とかもらえるとうれしいです。</dd> </dl><h4 class="AlignRight"><a href="http://www57.atwiki.jp/mobamasshare/pages/369.html">その2へ</a></h4>

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