2スレ目>>435~>>442

「2スレ目>>435~>>442」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

2スレ目>>435~>>442」(2013/09/05 (木) 00:18:41) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

<p>棟方愛海の朝は早い・・・</p> <p>「愛海ー、そろそろ起きなさーい!朝ごはん食べる時間なくなるわよー!」</p> <p>・・・わけでもない。</p> <p>「・・・んー、いまいくー・・・ぁふ」</p> <p>ついついこれまでのヒロイン達の記録を見返して夜更かし、なんてよくあること。</p> <p>それでも病気以外では意地でも無遅刻無欠席。だって学校には楽しみがいっぱいなんだもの、いろんな意味で。</p> <p>顔を洗って歯を磨いたら気分サッパリ、髪のお手入れとセットは入念に。女の子の嗜み。</p> <p>トーストをもそもそ齧りながら、日課の新聞チェック。ただしヒーロー関係のみ。もっと言うならヒロイン関係のみ。</p> <p>「・・・ん、『カースの活動、謎の活発化』?・・・うーん、ヒロイン達の活躍の場が増えるのは良いけど、気をつけないとなー・・・はむっ」</p> <p>自ら敵役を打って出る(実際戦うのは晶葉製のロボだが)程のヒロイン大好き愛海さんだが、彼女自身は至ってか弱い女子中学生である。</p> <p>カースやらの化け物連中は普通に怖いし、危ない所に自分から好んで飛び込むドM根性もない。</p> <p>「・・・ん、ごちそーさまでした。さって、晶葉ちゃん迎えにいかないと」</p> <p>食器を台所に持って行き、制服に着替えたら行ってきます。時間自体はかなり余裕だが、ある意味愛海の朝はここからが本番。</p> <p><br /> 「あーきーはーちゃーん!!朝だよー、学校だよー!!!」</p> <p> 晶葉の住むマンションまでやってきて、ベルを鳴らしながら部屋の前で大声で呼びかける。幸い周りの部屋は空き家なため、朝っぱらからうるせーぞと怒鳴り込んでくる怖いお兄さんはいない。</p> <p>「・・・・・・ふぅ、今朝もダメか。まったくもー、これだけはいつまでたっても変わらないなぁ」</p> <p>やれやれ、と、しかし少し楽しそうな表情で溜息ひとつ。ふたつ離れた部屋の前、消火栓から合鍵を取り出しがちゃり。</p> <p>「今日はー・・・こっちだったかー」</p> <p> 寝室を覗くと、あどけない表情でぐっすり眠りこける晶葉の姿。だいたい作業机で突っ伏している場合が半分、昨日はしっかりベッドまで戻る体力があったらしい。</p> <p>「ほーらー、起きろ晶葉ちゃーん。朝だよー学校行こうよー」</p> <p>ゆさゆさ、揺り動かされてまだ尚起きようとしない晶葉。「ぅぅん・・・」と一つ唸ると、毛布を手繰り寄せ抱き枕のように抱きしめる。</p> <p>「はぅぅっ!!・・・っぅ、悶えてるばあいじゃないよあたしっ、今日は学校、晶葉ちゃん起こしにきた、おーけー?・・・よしっ」</p> <p>不意打ちに耐え、ノックアウトを免れた愛海は、いよいよもって晶葉を起こしにかかる。</p> <p>「ほ、らっ!!起きろーっ!!」</p> <p>無理やり毛布を引っぺがすと、寝ぼけまなこをこすりつつ、ようやく晶葉ちゃんお目覚めである。</p> <p><br /> 「んぅ・・・あつみー・・・?なんだこんなあさっぱらからぁ・・・」</p> <p>「こんな朝っぱらだから、でしょー。ほら、顔洗ってくる!寝癖もちゃんと直しなよー」</p> <p>洗面所まで追いやると、その間に朝ごはんの準備。といっても、晶葉特製セミオート調理器のおかげで手間はかからない。</p> <p>今朝のメニューは卵焼きサンドイッチ。香ばしい香りに思わずごくりと喉が鳴る愛海だが我慢我慢。あつみちゃんさっきたべたでしょ。</p> <p>「・・・んむ、こくん。きょうのいちげんめ、なんだっけ・・・?」</p> <p>「数学っ。もー、しっかりしろー」</p> <p>どうにもこの天才少女、起きてからエンジン掛かるまでが遅い。それを知っているのはあたしだけだけど、と思うとちょっと優越感。</p> <p>「・・・ごちそーさまでした・・・ふぁぁ」</p> <p>「・・・ん、忘れものなし。ほら、遅刻遅刻っ!」</p> <p>「んぅ・・・いってきまーす・・・ぁふ」</p> <p>鍵をかけ、手をつないで(引っ張って、とも言う)晶葉宅を出発。これが棟方愛海のいつもの朝の光景である。</p> <p><br /> 「らーんーこーちゃん!!」がばっ</p> <p>「ひぁあっ!!?」</p> <p>お時間変わりましてお昼休み。席に座って読書中らしいクラスメイトの神崎蘭子さんに*バックアタックだ*</p> <p>「・・・むむっ、こ、これはっ!!?育ったね、また育ったのだね蘭子ちゃんっ!!!」もにゅもにゅ</p> <p>「ひぅ、ぁ、やっ、やめっ、あつみちゃんっ!」わたわた</p> <p>いやいやと身をよじる蘭子女史だが、いかんせん座った状態で後ろから抱きすくめられ、立ち上がることもままならない!</p> <p>「やめんかおバカっ」ぽかりっ</p> <p>「わが半身に何をするかっ」ぺちっ</p> <p>「いたっ」</p> <p>と、ここで晶葉と昼子のコンビネーション炸裂、たまらず愛海選手身を離します!</p> <p>「まったく、同性でもセクハラは適応されるんだぞ?加減を考えたまえ加減を」</p> <p>「いやぁ、思った以上のものをおもちだったもので・・・うひひ」</p> <p>わきわき、とお得意の指の運動。愛海選手、今日も絶好調の指の冴え。</p> <p>「むぅ、相変わらず度し難いほど欲に忠実なヤツよ・・・半身よ、無事か?」</p> <p>「い、いきなり後ろからきたから、びっくりしただけで・・・大丈夫」</p> <p>「あらあら、仲が良いのはいいことだけど、やりすぎちゃダメよ?わかるわね?」</p> <p>「あ、川島先生。はーい、わかってますよー・・・ごめんね、蘭子ちゃん」</p> <p>「う、うん。いつもの事だし、あんまり気にしないで・・・ひぁうっ!?」もにゅん</p> <p>「と、許可も頂いたところで真正面から遠慮なく「「何を聞いていたこのおバカっ!」」痛いッ!!!」</p> <p><br /> そんなこんな賑やかな学校生活ののち、放課後。</p> <p>下校中の通学路で、愛海と晶葉は『作戦会議』の真っ最中だった。</p> <p>「・・・で、ロボの解析の方は順調?」</p> <p>「さっぱりだ。この分だと、一回凍結処分してマーク2の起動も視野に入れるべきかもしれん」</p> <p>「晶葉ちゃんでもそこまでなんだ・・・異星人の技術とかなのかな?」</p> <p>「かもしれん・・・くっ、この私にも理解できないとは」</p> <p>しばらく前に謎のパワーアップを遂げた晶葉ロボだが、「出どころの解らん技術などに頼れるか!」という晶葉の方針で、現在活動休止中なのである。</p> <p> かつて「音声装置くらいつけたら?」という提案をした愛海に、晶葉は「ヒトと同じくらい流暢に話せるレベルになるまで実装はせん」と言ってのけたことがある。</p> <p> それだけ、自分の手で作り上げたロボに誇りと愛着を持っているのだ。全て自分で満足できるレベルに仕上げて、初めて「自分が作ったロボットだ」と胸を張りたいのだ。</p> <p>「・・・いつか、きちんと解析して、起こしてあげなくちゃね。ロボのこと」</p> <p>「当然だ。その時にはマーク2と連携して事に当たらせようじゃないか」</p> <p>「お、晶葉ちゃん案外ノリ気?楽しくなってきちゃった?」</p> <p>にこやかに会話しながらの、親友との帰り道。</p> <p><br /> 『・・・ネタマシイ・・・・・・ソノキズナガネタマシイイイイイイィィィィィィィ!!!!』</p> <p>「「っ!?」」</p> <p>そんな平和な光景は、突如現れた『嫉妬』のカースによって粉々に砕かれた。</p> <p>「っ、走るよ、晶葉ちゃんっ!!」</p> <p>「あ、ああっ!!」</p> <p>普段からカメラ越しの荒事には慣れっこの二人だが、実際に相対するのとはわけが違う。非力な女子中学生二人に、できることなどあまりに少ない。</p> <p>一目散に逃げる二人と、暴れながら二人を追うカース。</p> <p>「う、うわぁっ!?」</p> <p>「・・・っ」</p> <p>愛海が視界の端に、小さな男の子を捉えたのはそんな時である。</p> <p>気がつけば、その子にむかって体が勝手に動いていた。</p> <p>「お、おい愛海ッ!!」</p> <p>「晶葉ちゃん、『プロダクション』に電話してッ!たぶん『アイドルヒーロー同盟』あたりに連絡いくはずだからッ!!」</p> <p> あるいは、『同盟』ならもうすでにこのカースの情報も掴んでいるだろう。それでも、実際に現場に到着するまでには、どうしてもタイムラグが発生してしまう。</p> <p>(・・・それまで、この子はあたしが守る)</p> <p>怯えてしまって、腰が抜けたのだろう。愛海が駆け寄って抱き上げても、一向に震えが止まらない。</p> <p>それに、愛海自身もきっと恐怖で震えているだろう。走って逃げようにも力がでないのは、男の子を抱えているからだけではないはずだ。</p> <p>そして、それを見逃すカースではない。目ざとく目標を愛海に絞り、襲いかからんと身を振りかぶる!</p> <p><br /> 『ウォラアアアアアアアアアアア・・・アアアアアァァァァッッッ!!!??』</p> <p>やがて訪れる衝撃を想像して、愛海はぎゅっと目をつぶる。・・・しかし、いつまで経っても一向に衝撃は来ないし、体も痛くない。</p> <p>恐る恐る目を開いた愛海の目の前に映ったのは、</p> <p>「・・・・・・ろ、ぼ」</p> <p>『無事ですか、愛海!!』ピピッ</p> <p>ラボで休眠状態にあるはずの、ロボの姿であった。</p> <p>「愛海ッ、大丈夫かッ!!」</p> <p>「あきは、ちゃん・・・え、ロボ、なんで」</p> <p>「ロボ、クロークモード!!私と愛海、この少年も抱えて運べっ!!!」</p> <p>『了解です、博士!!』ピピッ</p> <p>がっし、と愛海と少年、晶葉を一斉に抱えると、ステルス状態『クロークモード』を起動、一目散にカースから距離を取るロボ。</p> <p>『ッ、ドコダッ!!ドコヘイッタアアアアアアァァァァァ!!』</p> <p>襲いかかる対象を見失い、めちゃくちゃに暴れまわるカースと、どこからか聞こえてくるバイクのエンジン音が、ぐんぐん遠ざかる。</p> <p>すっかりカースの姿も見えなくなったところで、ようやくロボは三人を下ろした。</p> <p>「・・・ここまで来れば一安心か。キミ、歩けるか?」</p> <p>「・・・う、うん。あの、ありがとう、おねーちゃん」</p> <p>「何、気にする事はない。私たちだって逃げるのに必死だっただけだ・・・一人で帰れるか?」</p> <p>「大丈夫、ここ、おうちのすぐ近くだもん!」</p> <p>「ん、そうか。気を付けて帰るんだぞ」</p> <p><br /> 「うん!おねーちゃんたち、ありがとー!!」</p> <p>ぶんぶんと手を振って歩いて行く少年に、転ぶんじゃないぞー、と声を掛けながら手を振り返す晶葉。</p> <p>「・・・・・・ロボ、どうやってここまできたの?」</p> <p>それまで茫然としていた愛海が、ようやく口を開いた。</p> <p>「緊急時にはすぐに遠隔起動できるようにしておいたんだ。今回ばかりは、機能が追加されていて助かったな」</p> <p>『博士たちが無事でなによりですよ』ピピッ</p> <p>「・・・だって、晶葉ちゃん、今のロボは動かしたくないって」</p> <p><br /> 「・・・そんなちっぽけなプライドなんかよりッ!!」</p> <p><br /> ぎゅっ、と強く抱きしめられる感覚。</p> <p><br /> 「お前のっ、愛海の無事の方が、大事に決まっているだろうッ!!」</p> <p><br /> 「・・・あき、は、ちゃん」</p> <p>ぽたっ、ぽたっ、と、肩にかかる温かい水の感触。</p> <p>「っ、昔っから、いつもそうだっ!一人で突っ走って、後のこと考えないでっ、それで怪我してっ」</p> <p>「っく、今回なんてっ、ひっく、けがじゃすまなかったかもしれないんだぞっ!!あつみがっ、いなくなったらっ、わた、わたしっ・・・」</p> <p>「・・・ごめんね、晶葉ちゃん。心配かけて・・・・・・」</p> <p>ぎゅっ、と優しく抱きしめ返す。じわりと涙があふれてくるが、我慢することはないだろう。</p> <p>『・・・しばらく、周りを見張ってますね。何かあったら、また戻ってきます』ピピッ</p> <p>そんな空気を読んで、ロボはその場を少しだけ離れる。</p> <p>二人は、お互いに落ち着くまで、しばらくずっと、抱きあって泣いていた。</p>

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: