勇者「美人な僧侶と魔法使いを」後編2 幽霊の章

 578:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04:08:19.22 ID:hpeqfj4Jo
―――船内 食堂 

船長「てめえら!!!客人にはくれぐれも失礼のないようにな!!!」 

海賊「「うーっす」」 

勇者「いやぁ、罪人から客人にグレードアップとは驚きましたね」 

エルフ「うん」 

僧侶「勇者様のおかげですね」 

魔法使い「そうね」 

勇者「で、どういう意図があるのですか?」 

船長「キャプテンと合流してから詳しいことは話すが、お前ら俺たちの仲間になれ」 

勇者「え?」 

僧侶「海賊になれというのですか?」 

船長「目的は一緒だろ?」 

勇者「確かにそうですが」 

魔法使い「私たちとはやり方が違うわ」 

船長「まあ、すぐに答えが欲しいわけじゃない。ゆっくり考えてくれ。キャプテンもお前たちのことならきっと気に入ってくれるだろうしな」 




579:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04:10:09.69 ID:hpeqfj4Jo
―――夜 甲板 

勇者「海賊か……さて……どうしたものか……」 

魔法使い「ここにいたのね」 

勇者「どうしました?」 

魔法使い「……」 

勇者「どうにも眠れなくて。興奮しっぱなしです」 

魔法使い「……」 

勇者「これはここで貴女をオカズに……」 

魔法使い「ごめんなさい」 

勇者「え?」 

魔法使い「私が騒ぎを起こさなかったら……こんなことにはならなかったのに……」 

勇者「結果オーライですよ。何事も最後が良ければいいのです」 

魔法使い「……ごめんなさい」 

勇者「あの……僕に叱られたいのですか?」 

魔法使い「そ、そういうわけじゃ……あ、いや……そうかも知れないわね……」 




580:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04:18:49.62 ID:hpeqfj4Jo
勇者「なるほど……」 

魔法使い「な、なによ……」 

勇者「では、叱らせて頂きましょう」 

魔法使い「……」 

勇者「いつもいつも貴女は直情的に行動しすぎです。僕と別れる際、ドラゴンに独りで立ち向かうといいだしたときはぶん殴ってやろうかと思いますた」 

魔法使い「ご、ごめんなさい……」 

勇者「貴女は確かに高威力の魔法が使える。だけど、限りなく接近しなければダメ。猪突猛進で勝てるのは下級の魔物ぐらいです」 

魔法使い「はい……」 

勇者「ドラゴンになんてとてもじゃないですが、数秒で轢死でしょうね。貴女はポンコツだということを自覚してください」 

魔法使い「そうですね……はい……アンタに褒められるたびに勘違いしてたのかもしれないわ……」 

勇者「もう少し周囲を見て、考えて行動してもらわないと僕が困ります」 

魔法使い「ごめんなさい」 

勇者「あと、僕にはもう少し優しくしてください。一緒にお風呂入るとか、口移しで飲み物をくれるとか、夜はベッドで運動会するとか」 

魔法使い「はい……え!?いや!!それとこれとは……違う……わよね……?」 

勇者「てめえ!!反省してねえな!!!」 




581:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04:25:57.01 ID:hpeqfj4Jo
魔法使い「だ、だって!!エ、エッチなこととは関係ないじゃない!!」 

勇者「側室のくせに偉そうだな!!あぁ!?」 

魔法使い「側室じゃないって言ってるでしょ!?」 

勇者「いいや!!もうおめえは立派な側室だ!!いいか?側室レベルでいうなら、軽く50だぜ?」 

魔法使い「レベルの上限はいくつなのよ?」 

勇者「30」 

魔法使い「突き抜けてるじゃないの!!側室を超えた側室なの!?」 

勇者「ああ。もう肉便器だな」 

魔法使い「人権侵害でしょ!?」 

勇者「トイレに人権なんてあるわけねーだろ。バァーカ」 

魔法使い「なんですってぇぇ……!!!」 

勇者「悔しかったらなぁ、俺の前で裸になって「抱いてください」って恥ずかしそうに言え」 

魔法使い「できるわけないでしょうがぁ!!」 

勇者「え?ドMだろ!?やれよ!」 

魔法使い「ちが……!!ちがう!!マゾじゃないわよ!!」 




583:NIPPER(北海道):2012/06/20(水) 04:27:27.14 ID:F2gX0rIAO
結局そっちにいくのなww 




586:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 04:38:49.66 ID:hpeqfj4Jo
勇者「えー?Sなのー?イメージとちがーう」 

魔法使い「あー!!もう!!真面目に話したいだけなのにぃ!!!」 

勇者「それは無理な相談でござる」 

魔法使い「もういいわよ!!」プイッ 

勇者「おやすみなさい」 

魔法使い「おやすみ!!!」スタスタ 

勇者「ふぅー……」 

勇者「さて……明日はどうするか……」 

勇者「海賊に協力し、強大な戦力を得るか……」 

勇者「それとも6人の力を……信じるか……」 

勇者「あ、いや、5人か……」 

勇者「はぁ……」 

勇者「感付かれたのかな」 

勇者「軽蔑されるだろうか……?」 

勇者「君たちをただの言い訳にしているなんて言ったら……」 




608:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:02:33.54 ID:hpeqfj4Jo
―――翌日 

海賊「キャプテンがきたぞー!!!」 

勇者「なんだってぇ!!!」 

魔法使い「ちょっと!なんでアンタがいち早く反応するのよ?!」 

勇者「祭りだぁ!!飯食ってる場合じゃねえ!!!」 

船長「よくわかってんじゃねえか!!―――おめえら!!キャプテンを出迎えろ!!」 

海賊「「アイアイサー!!」」 

僧侶「あいあいさー!」 

エルフ「大規模な組織を纏めるリーダー……一体どんな人物なんだろう」 

魔法使い「女性みたいだけど、ゴリラみたいな体格なんじゃないの?」 

エルフ「ゴリラ……」 

僧侶「女性でそういう体型になるのは体質的に無理じゃないでしょうか?」 

エルフ「魔族だったりすれば、あるいは」 

勇者「ごちゃごちゃ言うな!!いくぜぇ!!!」 

魔法使い「はいはい」 




609:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:07:45.42 ID:hpeqfj4Jo
―――甲板 

キャプテン「久しぶりだなぁ!!野郎どもぉ!!!」 

海賊「はいっ!!!」 

船長「キャプテン!ご無沙汰しております!!」 

キャプテン「一ヶ月ぶりぐらいか。元気だったか?」 

船長「そうりゃあもう!!」 

キャプテン「で、話に出てきた勇者っていうのは?」 

船長「あいつらです」 

キャプテン「……」 

勇者「ヘロー、アイアムユウシャ」 

僧侶「ど、どうも……」 

魔法使い「……」 

エルフ「……」 

キャプテン「ふーん……」 

勇者「美しい……年上の女……ふふふふ……!!!!ぬふふふふ!!!」 




611:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:15:09.76 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「あたしが大艦隊の総轄を務める者だ。よろしく」 

勇者「こちらこそ、側室を前提としたお付き合いを」 

キャプテン「話はこの船頭から大体聞いたよ。魔王を倒すために旅をしてるんだって?」 

勇者「いえ。違います」 

キャプテン「え?」 

勇者「綺麗なお嫁さんと10人の側室を得る為に魔王を倒そうとしています」 

キャプテン「あ、あっそ……」 

勇者「貴女は記念すべき7人目の側室候補になりました」 

キャプテン「……本当に魔王に勝てるって思ってるのかい?」 

勇者「まず無理でしょう」 

魔法使い「そうなの?」 

エルフ「多分」 

キャプテン「へえ……自分の力を弁えているみたいだね」 

勇者「でも、貴女と共に戦うのなら!!17割の確率で勝てますねぇ!!!!」 

僧侶「いつもの勇者様です」 




614:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:21:28.67 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「ああ、そう」 

船長「お前!!悩んでたんじゃねーのかよ?!」 

勇者「だまれぇ!!美人と戦えるなら俺は何もいらねえ!!!」 

船長「このやろう!!」 

勇者「にしても、船長さんは僕のことを知っていましたが、貴女は知らないのですか?」 

キャプテン「あたしは勇者に興味はないからねえ。まあ、噂ぐらいは耳にしたけど」 

勇者「どのような?!」 

キャプテン「トロルを倒して国一つを救ったってことは知ってるよ」 

勇者「さっすが」 

キャプテン「でも、国一つを救った勇者なんて過去に何人もいるし、別段珍しいことじゃないだろ?」 

勇者「確かに」 

キャプテン「船頭にガチンコで勝ったみたいだし、実力は認めてやるよ」 

勇者「え?ということは側室になってくれると?」 

キャプテン「話がある、きな。仲間も一緒にね」 

勇者「ふっ。子どもは5人ぐらいでいいですよ?女女男女女が理想です」 




615:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:25:07.44 ID:MzvOJkgIO
じゅうなな割て・・・170%て。鉄板ぢゃなひか() 




616:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:27:48.25 ID:hpeqfj4Jo
―――会議室 

キャプテン「話っていってももう勇者は快諾したみたいだが……あたしたちと共に戦う気はあるかい?」 

勇者「ありますっ!!!」 

キャプテン「お前はいいんだよ。後ろの女どもはどうだい?」 

僧侶「わ、私は勇者様の決定に従います」 

エルフ「ボクは魔王が倒せるならどんな方法でも構わないよ」 

魔法使い「……」 

キャプテン「あんたは?」 

魔法使い「私は……反対なんてしないわ。いつだってコイツの選択は正しかったから」 

勇者「側室ポイントが9アップしましたね」 

魔法使い「そんなにいらないわよ!!!」 

僧侶「いいなぁ」 

キャプテン「そうかい。満場一致ってわけだ」 

勇者「はいっ!!罵ってください!!!」 

キャプテン「でも、あたしはまだ認めてないけどね、あんたらのことなんてさ」 




617:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:38:14.88 ID:hpeqfj4Jo
勇者「えー!?そんなぁ!!お姉様ぁ!!!」 

キャプテン「当然だろう。とくにお前」 

勇者「ご指名ありがとうございます」 

キャプテン「あたしは男をすぐに信用はしない。きちんと見定めてからじゃないとね」 

勇者「では、夜の営みで僕がどれだけ男なのかを見せ付けてあげましょう」キリッ 

キャプテン「魔王と戦うためには兵力と武力がいる。あたしたちの兵力は十分にある」 

キャプテン「あとは武力が欲しいのさ」 

僧侶「そういえば船長さんもそのようなことを……」 

キャプテン「数百年前、まだ人間とエルフが仲良く手を繋いでいた時代だ。あるとき人間は魔王に喧嘩を売った」 

エルフ「……」 

キャプテン「そのときエルフは人間にあるものを託した。なんだが知ってるかい?」 

魔法使い「聞いたことないわね」 

僧侶「はい」 

エルフ「……魔法銃」 

キャプテン「正解。よく知ってるね。才能がない人間でも魔法を扱えるようになる強力な武器があったのさ。それが魔法銃だ」 




618:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:47:41.85 ID:hpeqfj4Jo
魔法使い「へえ……そんなものがあったなんて……」 

キャプテン「それを手に入れた人間たちは魔王を倒す一歩手前までいった。でも、結果は歴史の教科書にも載ってるだろ?」 

僧侶「確か疲弊した魔王軍は孤島に逃げ、その周辺海域に近づけないようにしたとか」 

キャプテン「今でもその海域はどんな船でも通るとこはできない。一瞬で海の藻屑になっちまう」 

エルフ「でも、魔王はもうその孤島にはいないと」 

キャプテン「あそこは最後の砦ではあるけど、あそこから世界を手中に収めることはできないからねえ」 

勇者「魔王の居場所を知っているのですか?」 

キャプテン「勿論さ。奴は今、かつての軍事大国に城を築き、ふんぞり返ってる」 

勇者「……」 

僧侶「魔王は自ら少しずつ動いているということですか」 

キャプテン「そういうこったね。最近は力も増してきているし、早く戦争をしなきゃならない」 

エルフ「そうだね。今のままでも十分に強いだろうけど」 

キャプテン「だからこそ、魔法銃が欲しいのさ!!―――そこで、あんたたちをテストしたい」 

勇者「腰の強度テストですか?」 

キャプテン「魔法銃の探索だ」 




619:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 17:53:45.85 ID:hpeqfj4Jo
僧侶「そ、それはどこに?」 

キャプテン「殆どの魔法銃は海の底にある。けど、最近ある船団が過去の遺産を見つけた」 

エルフ「それって」 

キャプテン「数百年前、魔王の孤島に挑んだ勇者の船」 

魔法使い「数百年前って?!それ船なの!?」 

キャプテン「まあ、あれだよ、幽霊船ってやつだねぇ」 

僧侶「幽霊船……怨念が形となって海を彷徨うという……あれですね」 

エルフ「海って色々あるんだ」 

勇者「ゴーストシップですかぁ。美人幽霊を側室ってどうですかね?」 

魔法使い「幽霊と一緒なんて私は嫌よ」 

キャプテン「魔法銃を見つけてきたら仲間として迎えてやろう。どうだい、悪い話じゃないだろ?」 

勇者「でも、どうして僕たちに探索をさせるのですか?部下にやらせれば……」 

キャプテン「昔から海の世界では幽霊船には乗るなって言われてるんだよ」 

僧侶「乗船した者を永遠の航海に連れて行くといいますね」 

魔法使い「そ、それ……危険じゃない?」 




620:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:06:19.89 ID:hpeqfj4Jo
勇者「つまり誰も乗りたがらないと?」 

キャプテン「とんだ腑抜けどもだよ。全く。海の男が聞いて呆れるね」 

勇者「貴女も?」 

キャプテン「いや。あたしは別に怖くないけど。何かあったらまずいだろ?」 

勇者「……」ニヤァ 

魔法使い「悪い顔になってるわよ」 

勇者「おっと。自重」 

キャプテン「で、どうするんだい?やるかい?」 

勇者「ふっ。貴女のためならたとえ火の中、水の中。幽霊船の中にも行ってみせましょう」 

キャプテン「ふふ。たくましいじゃないか。気に入ったよ」 

勇者「ですがその前に、海賊の村に戻って欲しいのです」 

キャプテン「どうしてだい?」 

勇者「港街のほうに大事な仲間を置いてきているので」 

キャプテン「ふーん……強いのかい?」 

勇者「恐らく、人間では歯が立たないほどに」 




621:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:11:16.13 ID:hpeqfj4Jo
―――海賊の村 

キャプテン「ここに帰ってくるのもいつ以来だろうねぇ」 

「キャプテンだぁ!!」 

「キャー!!!キャプテン!!おかえりなさーい!!」 

キャプテン「お前ら!!元気にしてたかぁ!!!」 

僧侶「人気者なのですね」 

魔法使い「カリスマはあるものね、あの人。なんていうか信頼できるって一瞬で思わせてくれるなにかがあるわ」 

エルフ「早く港町に行こうよ。猶予は1日だけだし」 

勇者「そうですね。急ぎましょう」 

村人「おい、あんたら」 

勇者「なんですか?」 

村人「宿に小さな女の子と可愛い女の子がいるんだが、知り合いか?その二人、勇者を探してるって言ってたけど」 

僧侶「ジーちゃんでしょうか?」 

エルフ「心配になって探しにきたのかな?」 

勇者「案内してください」 




622:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:16:59.24 ID:hpeqfj4Jo
―――宿屋 

魔王『どうだ?勇者のことは何か掴めたか?』 

少女「それがまだ……。中々尻尾を出さないので」 

魔王『あまり余裕はないぞ。最近、ニンゲン共に不穏な動きもあるからな』 

少女「はい」 

魔王『頼むぞ。世界を我が手にするために、些細な障害も捨て置けない』 

少女「承知しております」 

魔王『隙があればお前の判断で殺しても構わんが、絶対に無理はするな?お前を失いたくはない』 

少女「心得ております」 

魔王『吉報を期待している」 

少女「はい」 

キラーマジンガ「……」 

少女「はぁ……やはり海に出るか……」 

キラーマジンガ「マスター、海は危険です。やめましょう」 

少女「お前にとってはだろうが!!!」 




623:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:21:16.69 ID:hpeqfj4Jo
キラーマジンガ「ほら、サメとか出ますし」 

少女「黙れ!!」 

勇者「―――しつれい!!」ガチャ 

少女「うわぁあぁ!?」 

勇者「おや。やはり貴女たちでしたか」 

魔法使い「だからノックしなさいっていってるでしょうが!!」 

勇者「ノックしては裸が拝めません」 

エルフ「ごめんね。心配かけたみたいで」 

少女「う、うん……遅いから……」 

僧侶「申し訳ありません。でも、船は確保できましたから」 

キラーマジンガ「それは重畳です」 

勇者「ただ君の自宅探しは少し後回しになるけど、いいかな?」 

少女「う、うん……いいよ。気にしないでね」 

勇者「いい子だ。僕の側室にはこういう素直な子も必要ですね」 

魔法使い「ロリコンめ……」 




624:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:26:56.93 ID:hpeqfj4Jo
―――船着場 

キラーマジンガ「私も……ふ……船に乗るのですか……?」 

僧侶「勿論ですよ」 

キラーマジンガ「……」 

魔法使い「マーちゃん?どうかしたの?」 

キラーマジンガ「沈む確率を計算しています」 

エルフ「沈まないって」 

キラーマジンガ「75.56%の確率で轟沈します。乗船を拒否させていただきます」 

魔法使い「ダメよ。マーちゃんのマスターだって乗るんだし」 

勇者「乗りますよ。まあ、夜は僕の上に乗っていただきますけどね。なんちゃって」 

キャプテン「早くしな!!時間がないんだよ!!」 

エルフ「ほら!乗るよ!」ググッ 

キラーマジンガ「やめてください。乗船を拒否します。自爆プログラムも発動させますよ?いいんですか?」 

僧侶「そんなのないですよね?」 

エルフ「うん」 




625:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:32:48.26 ID:hpeqfj4Jo
魔法使い「ほら……!!」ググッ 

キラーマジンガ「いやぁ……!!」 

僧侶「我侭言わないでください……!!」ググッ 

キラーマジンガ「人殺し……!!貴方達は人殺しです……!!」 

勇者「オーエス!オーエス!」ググッ 

キラーマジンガ「やめろ!人間の醜い部分が露呈しているぞ!!お前ら!!」 

エルフ「それは君だ……!!」ググッ 

キラーマジンガ「マスター!!お許しを!!海だけはダメなのです!!」 

少女「……」プイッ 

キラーマジンガ「あぁぁ……!!!」 

キャプテン「おいおい、これが本当に頼れる仲間なのかい?あたしにはただの臆病者にしか見えないけどねえ」 

勇者「やれば出来る子なんですよ!!キラちゃんは!!」ググッ 

エルフ「そうそう!!」ググッ 

キラーマジンガ「てめえらは悪魔だ!!!」 

僧侶「ジーちゃんが壊れちゃいました……」 




626:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:39:10.41 ID:hpeqfj4Jo
―――甲板 

キャプテン「出航!!!目指すは幽霊船の出る魔の海域!!!」 

海賊「「アイサイサー!!!」」 

キラーマジンガ「おぉぉ……揺れる……揺れています……」ガクガク 

魔法使い「この子、本当に機械兵士なの?」 

エルフ「改造人間だから、根っこの部分は人間だと思うけど」 

僧侶「でも可愛いじゃないですか、弱点があるなんて」 

勇者「キラちゃんは僕が守ってあげるから。ほら、おいで」 

キラーマジンガ「パパぁ……パパぁ……こわいよぉ……」ヨロヨロ 

勇者「ほーら、ここまでおいでー」 

キラーマジンガ「うぅぅ……パパぁ……いじわるしないでぇ……」 

勇者「もうちょっとだ……がんばれっ」 

キラーマジンガ「パ……パ……」ヨロヨロ 

勇者「よし……よくがんばったな、娘よ」ギュッ 

キラーマジンガ「パパ……大好き……抱いて……」ギュッ 




627:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:45:58.14 ID:hpeqfj4Jo
魔法使い「なにやってのよ……」 

少女「……」 

僧侶「ごめんなさい。寄り道することになってしまっていて」 

少女「ううん。いいよ。―――私、部屋で休んでるね」 

エルフ「うん。わかったよ」 

勇者「……」 

キラーマジンガ「パパぁ」ギュゥゥ 

勇者「よし。終了」 

キラーマジンガ「今のはどうでしたでしょうか?自己採点では過去最高得点なのですが」 

勇者「『パパぁ』の言い方が素晴らしい。だが、最後の抱いてはいただけない」 

キラーマジンガ「なんですって?」 

勇者「いいか?最後の『抱いて』は処女を散らす前の娘っぽさがない。あれでは売女の惚気だ」 

キラーマジンガ「む……違いが理解できません」 

キャプテン「おまえらー!!魔の海域に着くまでは一日以上かかる!!それまで自由にしてな!!!」 

勇者「はい!!」 




628:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 18:54:34.39 ID:hpeqfj4Jo
僧侶「勇者様っ」 

勇者「なんですか?」 

僧侶「船の中を探索しませんか?」 

勇者「いいですね。船内ランデブーとしゃれ込みますか」 

僧侶「わーい」 

魔法使い「私は部屋に行くわ。船旅って疲れるし……」 

エルフ「ボクは……」 

キラーマジンガ「私はマスターのところへ」 

エルフ「ねえ」 

キラーマジンガ「なんですか?」 

エルフ「君のことなんだけど」 

キラーマジンガ「私の知っていることは既に皆様にお伝えしましたが」 

エルフ「これ」スッ 

キラーマジンガ「これは?」 

エルフ「貴女の開発者の日記。あの塔で手に入れてちょっとずつ読んでたんだ。それで分かったよ、君がなんの目的で作られたのかを」 




629:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19:04:30.51 ID:hpeqfj4Jo
キラーマジンガ「来るべき戦いのために私は作られました」 

エルフ「誰と戦うため?」 

キラーマジンガ「分かりません」 

エルフ「貴女の開発者はこう書いている。―――魔王を倒すためにもこの機械兵士キラーマンジガの開発を急がないといけない」 

キラーマジンガ「魔王……」 

エルフ「君は魔王を倒すために作られた」 

キラーマジンガ「……」 

エルフ「ボクが少し変だって気がついたのは君に魔物を探知する機能が搭載されていると知ったとき」 

エルフ「それってつまり、魔物に狙われることを前提にしていることになるから」 

キラーマジンガ「……」 

エルフ「あの魔道士がどういうつもりで魔王と戦おうと思ったのかはどこにも書かれていないけど、君は魔王と戦うために生まれた」 

キラーマジンガ「そうですか。でも、どうしてそのことを私に打ち明けたのですか?」 

エルフ「ほら、心を持っているみたいだし、魔物と戦うことに迷いがあったら辛いかなって……思って……」 

キラーマジンガ「前マスターが魔族だったから、ですか。お心遣い感謝いたします。ですが、私の使命はマスターをお守りすることが第一ですので」 

エルフ「そう。ならいいんだ。ごめん、余計なこと言ったみたいで」 




630:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19:11:30.60 ID:hpeqfj4Jo
キラーマジンガ「ですが、魔王と敵対する者たちがマスターを狙った場合はどうしたらいいのでしょうか」 

エルフ「え?」 

キラーマジンガ「開発者の意思を汲み、魔王と戦うべきなのか。それともマスターを守護するべきなのか」 

エルフ「難しいね。でも、そうなったら君の信じたほうでいいんじゃないかな?」 

キラーマジンガ「信じたほうですか?」 

エルフ「そう」 

キラーマジンガ「信じたほう……」 

エルフ「えっと……」 

キラーマジンガ「なんですか?」 

エルフ「足、震えてるけど大丈夫なの?」 

キラーマジンガ「まさか。私が震えるなんて……本当ですね。私、震えています」ガクガク 

エルフ「部屋に戻っていたほうがいいんじゃない?」 

キラーマジンガ「私も同意見です。ですが、問題が発生しました」 

エルフ「どうしたの?」 

キラーマジンガ「足が動きません。助けてください」 




631:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19:14:23.19 ID:hpeqfj4Jo
―――客室 

少女(海か……。ならば……ここは奴らを呼び出すか……) 

少女「……」 

トントン 

少女「はい?」 

エルフ「よっと」 

少女「ど、どうしたの?」 

キラーマジンガ「申し訳ありません。ここで休憩させてください」 

少女「別にいいけど」 

エルフ「船だめなんだって」 

少女「機械兵士のくせに?」 

キラーマジンガ「面目ありません」 

エルフ「君と一緒がいいみたいだから。それじゃあ」 

少女「うん」 

キラーマジンガ「……」 




633:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19:21:30.66 ID:hpeqfj4Jo
―――船内 食堂 

勇者「色々メニューがあるんですねえ」 

僧侶「ですね。あ、このカレーって美味しそうです」 

キャプテン「―――この船のカレーは絶品だよ」 

勇者「おお。別嬪さんがキター」 

キャプテン「二人は恋人か何かかい?」 

僧侶「そ、そんな大それた関係では……」モジモジ 

勇者「未来の側室なんですよね?」 

僧侶「はいっ」 

キャプテン「側室側室って、お前さん何言ってんだい?」 

勇者「英雄、色を好むといいますよね?」 

キャプテン「まあ、何人も女を転がせるだけの器量があるなら問題はないけどねえ」 

勇者「ありますよ」キリッ 

キャプテン「あたしには見えないけどねえ」 

僧侶「勇者様はすごい人なんですっ」 




634:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 19:35:13.68 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「ははっ。まあ、それは幽霊船での活躍に期待させてもらうさ」 

勇者「そうだ。その件でお話があるのですが」 

キャプテン「なんだい?今更泣き言はききたくないねえ」 

勇者「その幽霊船探索なんですけど、僕たちでやるんですよね?」 

キャプテン「ああ、そうさ」 

勇者「それってどうなんですか?」 

キャプテン「何がいいたんだ?」 

勇者「いや。僕たちのことは……ああ、いや、僕のことは信頼できないんですよね?」 

キャプテン「ああ」 

勇者「なら魔法銃の捜索を見張りもつけないで任してもいいんですかぁ?」 

キャプテン「海の上じゃあ逃げられないだろう」 

勇者「あははは。これはこれは。大艦隊を率いる貴女がいう台詞とは思えません」 

キャプテン「なんだって!?」 

勇者「魔法銃は魔王をも追い込んだ伝説の武器。なら、それを手にした僕がこの海賊団を脅してしまうとは考えないのですか?んー?」 

キャプテン「そ、それは……」 




635:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 20:45:18.32 ID:hpeqfj4Jo
僧侶「勇者様はそのようなことしないですけどね」 

勇者「でも、これだけの大艦隊です。力で屈服させ、我が手に収めたいという欲望に駆られてもおかしくない」 

僧侶「ですね」 

キャプテン「お前……本気で言っているのかい?」 

勇者「可能性の話ですよ」 

キャプテン「……」 

勇者「ここは探索に貴女もついて来るべきだと思うのですが」 

キャプテン「ふ、ふざけんな!!どうして……!!」 

勇者「おや?何故?ついて来るだけなのに?」 

キャプテン「だから……幽霊船には乗るなって海の世界では決まってんだよ」 

勇者「迷信でしょう?」 

キャプテン「バッカ!!幽霊船をなめるんじゃないよ!!」 

勇者「……まさかとは思いますが、幽霊が怖いとか?」 

キャプテン「そんなわけないだろうがよ!!」 

勇者「なら、一緒に行きましょう。共に行動していれば魔法銃を見つけたとき貴女が真っ先に手にできるわけですし」 




636:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 20:50:35.46 ID:hpeqfj4Jo
キャプテン「そんなことしなくてもあたしたちが……」ガッ 

僧侶「きゃ?!」 

キャプテン「あんたの女を人質にすればいいだけの話だろ?」 

勇者「魔法銃と引き換えにというわけですか?」 

キャプテン「ああ、そうだ」 

勇者「そんなことしたら僕は魔法銃を貴女の大事な船に突きつけて人質にします」 

キャプテン「卑怯だぞ!?」 

勇者「なら一緒に行きましょう」 

キャプテン「ふ、ふざ……」 

勇者「ついてきてくれるのでしたら、人質は何人でも構いません。やってくれますか?」 

僧侶「はい。人質になります」 

キャプテン「くぅぅ……!!」 

勇者「どうするんですかぁ?」 

キャプテン「か、考える……ちょっと待ってな」 

勇者「ごゆるりと」 




637:NIPPERがお送りします:2012/06/20(水) 20:55:54.85 ID:hpeqfj4Jo
―――客室 

少女「……頼むぞ」 

少女「これでよし」 

キラーマジンガ「マスター。魔王との交信ですか?」 

少女「いや」 

キラーマジンガ「そうですか」 

少女「……」 

キラーマジンガ「マスターにとって魔王とはどのような存在なのですか?」 

少女「それを知ってどうする?」 

キラーマジンガ「いえ……」 

少女「魔王様は我ら魔族の王。絶対的な存在。魔王様に疑問を抱いたことなどない」 

キラーマジンガ「……」 

少女「その王に楯突くニンゲンを駆逐する。当然のことだろう?」 

キラーマジンガ「はい」 

少女「ふん……」 




656:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 20:42:21.68 ID:hpeqfj4Jo
―――魔王の城 

側近「魔王様、兵が整いました」 

魔王「ご苦労だったな」 

側近「いえ」 

魔王「では、遅延していた計画を進めるとしようか」 

側近「はっ」 

魔王「兵力は十分。時間も掛けた。これで負けることは無い」 

側近「ドラゴンは呼び戻さなくてもよろしいのですか?」 

魔王「奴は我の最後の憂いを取り除く為に行動している。まだ時期ではない」 

側近「そうですか」 

魔王「海に蠢く有象無象も挑発ばかりで攻めてくる様子はないな?」 

側近「はい。兵の増強を行っているようではありますが、今のところ仕掛けてくる素振りは見せておりません」 

魔王「よし。―――では、進軍開始は三日後とする。それまでに出来うる限りの準備をしておけ」 

側近「了解いたしました」 

魔王「トロルが攻め落とせなかったあの大地……今度こそ……」 




658:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 20:47:50.72 ID:hpeqfj4Jo
―――翌日 魔の海域周辺 

キャプテン「てめぇらぁ!!!男だろうが!!!股間についてるもんは飾りかぁ!!!?あぁぁ!?」 

海賊「……」 

船長「キャプテン、しかし幽霊船は俺たちにとっては禁忌で……」 

キャプテン「んなことはわかってんだよぉ!!!ダボがぁ!!!」 

勇者「揉めてますね」 

僧侶「そうですね」 

魔法使い「何があったの?」 

エルフ「幽霊船に同行する人を募ってるみたいだね。誰も行く気なさそうだけど」 

少女「……」 

キラーマジンガ「海賊船の乗組員の方々は、幽霊船を極度に恐れています」 

魔法使い「どうして同行させるのよ?」 

僧侶「見張りがいないと私たちが魔法銃で脅してしまうかもしれないという話になりまして」 

少女(魔法銃……?) 

魔法使い「そんなことするわけないじゃない。まあ、信頼できないって言っていたし、仕方ないか……」 




659:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 20:54:41.73 ID:hpeqfj4Jo
勇者「分かりました。ここはキャプテンが行くべきでしょう」 

キャプテン「あぁ?!嫌ににきまってんだろ!?」 

勇者「怖い?」 

キャプテン「こ、こわくねえよ!!ざっけんな!!!」 

船長「待て。それは流石に反対だ。キャプテンに何かあったらどうする」 

キャプテン「おう!そうだ!もっといてやりな!!」 

勇者「おやおや?キャプテンは幽霊を恐れるようなか弱い御人だと?」 

船長「そんなわけねえだろ!!キャプテンはこの海で最も美しく!!気高く!!そして強いんだよ!!」 

海賊「「そーだ!そーだ!!」」 

勇者「なら、適任でしょう。僕らが魔法銃を見つけ、謀反を働こうとしたとき下っ端の人たちでは到底無理。一度負けた船長さんも無理」 

船長「そ、それは……」 

勇者「キャプテンしかつとまりませんなぁ」 

キャプテン「ぐっ……いや……でも……しかし……」 

勇者「威厳……見せるときじゃねえですか?仮にも大勢を纏める指揮官でしょう?そのカリスマを増大させるチャンスかと思いますけどねえ」 

キャプテン「だ、だから……えっと……うん……」 




660:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:00:41.75 ID:hpeqfj4Jo
勇者「ここで武勇伝をつくれば、士気も上がる。信頼度も跳ね上がる」 

キャプテン「そ、そうかもしれないけど……」 

勇者「貴女の英雄譚を聞きつけた有能な部下が増えるかもしれない」 

キャプテン「そ、そうなのか?」 

勇者「強い人の下に強いやつが集う。これ常識アル」 

キャプテン「……」 

勇者「さあ、魔王を倒し人類の英雄となるときですよ。海賊の存在を公に認めさせるチャンス」 

キャプテン「確かに……」 

勇者「何を迷うことがありますか!!―――何かあっても僕が必ず御身を守護いたします」 

キャプテン「……」ピクッ 

勇者「神に仕える者も僕の仲間にいます。彼女がいれば幽霊なんて怖くない」 

僧侶「……」 

キャプテン「そうだな……ふっ。そうだよ。あたしは大艦隊の海賊団総轄だ!!幽霊船ごときにびびってどうすんだい!!!」 

勇者「と、言うことは……!!」 

キャプテン「いってやらぁ!!!あたしに不可能はないんだよぉ!!!」 




661:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:06:53.76 ID:hpeqfj4Jo
勇者「聞いたかお前らぁ!!!腰抜け共に代わってキャプテン自らが出撃する意思をかためたぁ!!!」 

海賊「「おぉぉー!!!」」 

船長「キャプテン……漢だ……!!俺……俺……一生ついてきます!!!」 

キャプテン「あたしについて来る奴はいねえのかい?!」 

「幽霊船はなぁ?」 

「うん……流石に……」 

船長「生きて帰ってきてください!!!キャプテン!!!」 

キャプテン「てめえら。戻ってきたら覚えてろよ」 

勇者「では準備をしましょうか」 

キャプテン「まちな。こっちも人質を取らせてもらうよ」 

勇者「ああ、そういう約束でしたね。どなたを人質にしますか?」 

キャプテン「そうだねぇ……」 

魔法使い「人質ってどういうことよ?!」 

勇者「信頼できない相手に何かを依頼するとき、担保は必要でしょう」 

エルフ「なるほど……裏切らないように予防線を張っておくわけだ」 




662:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:16:36.36 ID:hpeqfj4Jo
勇者「―――幽霊船に行くメンバーは、僕と」 

僧侶「はいっ」 

エルフ「はーい」 

キャプテン「ふん……」 

魔法使い「大丈夫?」 

勇者「心配してくれるのですか?ふふ、側室としての意識が芽生えたのですね」 

魔法使い「違うわよ」 

キラーマジンガ「最もバランスの取れた陣営だと思われます」 

魔法使い「はっきり言われるとなんか悔しいわね」 

勇者「まぁ、凶悪な魔物がいる可能性もありますが、危なくなったら発炎筒で危険を知らせますので」 

僧侶「悪霊の類なら魔法よりも私の力が役に立つと思います」 

キラーマジンガ「気をつけてね、パパ」 

勇者「行ってくるよ。我が娘たち」 

少女「……それ私も?」 

キャプテン「じゃあ、幽霊船が見つかり次第乗り込むよ」 




664:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:24:27.04 ID:hpeqfj4Jo
―――数十分後 

海賊「キャプテン!!三時の方角!!謎の船影を確認しましたぁ!!!!」 

船長「き、きたか……!?」 

キャプテン「本当に……あったんだねえ……」 

勇者「ふっ。僕が幽霊を蹴散らしてやりますよ」 

僧侶「お願いしますね」 

エルフ「幽霊か……魔法が通じる相手ならいいけど」 

魔法使い「実体がない相手には利かないと思うけど」 

少女「……」 

キラーマジンガ「あぁ……もしもあの幽霊船が砲撃してきたら私たちは海の底に沈む……そしたら錆びる……」ガクガク 

少女「おい」 

キラーマジンガ「はい?」 

魔法使い「ん……?」 

キャプテン「よ、よし……り、り、隣接……しな……」 

海賊「「あ、あああ、アイアイ、アイサー!!」」ガクガク 




666:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:30:31.25 ID:hpeqfj4Jo
船長「キャプテーン!!おげんきでー!!!」 

「キャプテーン!!大好きでしたー!!!」 

「俺!!カーチャンにキャプテンと付き合ってるって報告してました!!ごめんなさーい!!!」 

「キャプテンのブラジャーを昔盗んだの俺でーす!!」 

キャプテン「……」 

勇者「あれ?お見送りに応えてあげないのですか?」 

キャプテン「いくぞ」 

勇者「はい」 

僧侶「もしかして緊張されているとか?」 

エルフ「そんな馬鹿な。魔物の軍勢とも何回か戦っているって言ってたのに?」 

僧侶「ですよね」 

キャプテン「あれ?!―――おい!!こら!!お前はあたしの前だろ!!なにやってんだい!!」 

勇者「そうなんですか?」 

キャプテン「勇者は先頭を歩くもんだろうが!!!そんな基本も知らないのかい!?えぇ?!あぁ!?」 

勇者「分かりました。僕が先頭になります」 




667:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:35:55.02 ID:hpeqfj4Jo
船長「ああ……言ってしまった」 

海賊「寂しくなりますね」 

船長「ああ、そうだ。人質役になった―――」 

キラーマジンガ「やはり私たちも幽霊船に乗り込みます」 

船長「なんだと?!」 

少女「探さないでください」 

船長「バカ野郎!!そういうわけにも―――」 

海賊「頭ぁ!!大変だ!!!」 

船長「どうしたぁ!?」 

海賊「幽霊船の野郎がいきなり動き出して……うわぁ!?」 

ゴゴゴゴ…… 

船長「なんだと?!帆だって破れてんのに波の影響でしか移動なんて……」 

キラーマジンガ「急ぎましょう。海に落ちたくありませんので。―――しっかり捕まっていてください」 

少女「うん」ギュッ 

船長「てめえらも勝手なことすんじゃねえよ?!」 




668:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:42:13.70 ID:hpeqfj4Jo
キラーマジンガ「海が怖いので私は目を閉じます。飛ぶタイミングが自分ではわかりません。なので踏み切る瞬間の合図をお願いします」 

少女「わかった」 

船長「やめろぉ!!」 

キラーマジンガ「うおぉぉぉぉぉ!!!!!!」ダダダダダッ 

少女「うっ……」ギュゥゥ 

キラーマジンガ「おちたくなーい!!!!」ダダダダッ 

少女「―――今だっ!!!」 

キラーマジンガ「はっ!!」バッ 

海賊「本当に飛び移りやがった……」 

船長「あぁ!!キャプテンになんて言えばいいんだぁ!!」 

海賊「頭ぁ!!大変だぁ!!」 

船長「今度はなんだよぉ!!」 

海賊「もう一人の姉さんがいなくなってやがるぅ!!人質が全員いねえ!!」 

船長「ぎゃー!!キャプテンに怒られるじゃねえかぁ!!ええい!!幽霊船をおえ!!絶対に見失うなよ!!!」 

海賊「「アイアイサー!!」」 




669:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:47:19.17 ID:hpeqfj4Jo
―――幽霊船 甲板 

勇者「至るところがボロボロですね」 

キャプテン「……」ギュゥゥ 

勇者「板が腐っています。足下には十分に気をつけてください」 

僧侶「わかりました」 

エルフ「うん」 

勇者「ところで」 

キャプテン「魔法銃は見つかったのか?」ギュゥゥ 

勇者「僕にしがみ付いてくれるのはありがたいですが、せめて目ぐらいは開けていてもらわないと」 

キャプテン「しっかりさがせ……こらぁ……」 

僧侶「どうかしたんですか?元気が無いみたいですけど……」 

キャプテン「無駄口叩く暇があった―――」 

―――ドンッ!!! 

キャプテン「きゃぁぁああああ!?!?!?」 

勇者「なんだ?背後から音が……?」 




670:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:52:10.36 ID:hpeqfj4Jo
僧侶「魔物でしょうか?」 

エルフ「……」 

キャプテン「おぉ……な、なんだよ……こらぁ……」ギュゥゥ 

勇者「確かめに行きますか」 

キャプテン「待てよ……魔法銃を探せ……よぉ……」 

勇者「しかし、海には魔物も多くいます。乗り込まれたら厄介ですよ?」 

エルフ「ボクが見てくるよ。三人は待ってて」 

勇者「そんな危険です。全員で―――」 

エルフ「キャプテンが動きそうにないし」 

勇者「……わかりました。ですがすぐに戻ってきてください」 

エルフ「うん。了解」タタタッ 

僧侶「……」 

勇者「キラちゃんを連れてきたほうが良かったかもしれませんね」 

僧侶「魔物探知機能ありますもんね」 

キャプテン「まだか……よぉ……」ギュゥゥ 




671:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 21:56:14.84 ID:hpeqfj4Jo
勇者「―――遅い」 

僧侶「見に行きましょう」 

勇者「物音一つしないのが気になりますが……」 

キャプテン「怨霊か!?悪霊か?!」 

僧侶「禍々しい怨嗟の念が充満していることは確かですが」 

キャプテン「やめろよ!!そういう脅しはよぉ!!」 

勇者「どうしたんですかー!!!早く戻ってきてくださーい!!」 

僧侶「船尾のほうで何かあったのでしょうか?」 

勇者「急に視界も悪くなってきましたし、やはり行きましょうか」 

僧侶「はい」 

キャプテン「魔法銃はどうなったんだよぉ」 

勇者「ちゃんと探しますから」 

キャプテン「うぅ……」 

勇者「何事もなければいいが……」 

僧侶「……」 




672:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22:00:05.72 ID:hpeqfj4Jo
勇者「どうしたんですかー!!」 

僧侶「返事をしてくださーい!!」 

キャプテン「おう……」 

勇者「貴女が返事をしてどうするのですか」 

キャプテン「わ、悪いね……」 

僧侶「いませんね」 

勇者「下に向かうような場所もないですし」 

僧侶「勇者様、ここ穴があります」 

勇者「板が腐って抜け落ちた感じですね。まさか、この穴から落ちた……?」 

僧侶「それなら私たちも」 

勇者「いえ。どこに繋がっているかわからない以上、正規のルートを辿っていくほうが安全です」 

僧侶「それもそうですね」 

勇者「行きましょう」 

僧侶「はい」 

キャプテン「まてよ……ゆっくりあるけよ……」ギュゥゥ 




673:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22:05:35.66 ID:hpeqfj4Jo
―――幽霊船 Aフロア 

勇者「ここは……」ガチャ 

僧侶「お部屋ですね。無残な感じですけど」 

勇者「ふむ……」 

キャプテン「なんかあったか?」 

勇者「いいものがありました」 

キャプテン「なんだよ……」ソーッ 

勇者「乗組員と思しき頭蓋骨が」 

キャプテン「ぴゅっ!?」 

勇者「手がかりになるようなものはありませんね」 

僧侶「船尾のほうへ行きましょう」 

勇者「ええ」 

キャプテン「……」 

勇者「どうしました?」 

キャプテン「……こし……ぬけ……た……」 




674:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22:08:28.00 ID:hpeqfj4Jo
勇者「ガイコツぐらいで何をいっているのですか?」 

キャプテン「ばかやろう!!こういうところで見るとまた一味ちがうだろうがぁ!!」 

勇者「―――どうぞ」 

キャプテン「なんの真似だ……」 

勇者「おんぶしてあげます」 

キャプテン「ざっけんなぁ!!」 

勇者「では、ここで待っていてください」 

キャプテン「え?」 

僧侶「勇者様」 

勇者「はい」 

キャプテン「まてぇ!!おいてくなぁぁ!!!」ギュゥゥ 

勇者「なんですか?」 

キャプテン「見張りのあたしを置いていくとかありえねえなぁ!!!」 

勇者「では、おんぶで」 

キャプテン「ちくしょう……」 




675:NIPPER(千葉県):2012/06/21(木) 22:09:12.83 ID:ADLHJ+REo
キャプテンが怖がりすぎなのか勇者たちのきもが座りすぎなのか 




676:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22:12:42.49 ID:hpeqfj4Jo
勇者「よっと」 

キャプテン「……おもくないかい?」 

勇者「いえ。いい感じに弾力があって空中に浮いてしまいそうです」 

キャプテン「はぁ?」 

僧侶「勇者様。こっちも同じような部屋だけです」 

勇者「そうですか。では、下に向かう階段を探しましょう」 

僧侶「わかりました」 

勇者「それにしても不気味なほど静かですね」 

キャプテン「たいまつの灯りは大丈夫だろうね?」 

勇者「問題ありません」 

キャプテン「……」 

僧侶「勇者様!ありました!!こっちです!!」 

勇者「わかりました」 

キャプテン「はぁ……」 

勇者「おふぅ……吐息が耳に……ぬほほぉ」 




677:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22:17:12.48 ID:hpeqfj4Jo
―――幽霊船 Bフロア 

勇者「気配は感じますか?」 

僧侶「いえ……。船全体から悪鬼の熱を感じるので」 

勇者「幽霊の胃の中にいるようなものですか」 

僧侶「そう思ってください」 

キャプテン「あたしたち食べられたのかい?!」 

勇者「食べられに行ったというべきでしょう」 

キャプテン「帰りたい……」 

ギシ……ギシ…… 

キャプテン「なに?!なになに!?」 

僧侶「誰かがこの先にいるようです」 

キャプテン「いるわけないだろう?!」 

勇者「静かにお願いします」 

キャプテン「う……」 

ギシ……ギシ……ギィィ……バタンッ 




678:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22:21:56.40 ID:hpeqfj4Jo
勇者「この部屋ですね」 

僧侶「恐らく」 

キャプテン「ひぃぃ……」チャカ 

勇者「耳元で銃は発射しないでくださいね。鼓膜が破れますから」 

キャプテン「そんな軟弱な鼓膜なのかい……」ガクガク 

勇者「鼓膜は鍛えられません」 

僧侶「開けます」 

勇者「お願いします」 

キャプテン「おぉぉ……」 

僧侶「……」ガチャ 

キャプテン「ひっ」 

勇者「……誰もいませんね」 

僧侶「違う部屋だったのでしょうか?」 

キャプテン「この部屋……見た感じ、船長かなんかの部屋っぽいね」 

勇者「何か分かるかもしれません。調べてましょう」 




679:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22:31:12.83 ID:hpeqfj4Jo
―――船長の部屋 

勇者「うーん……」ゴソゴソ 

キャプテン「魔法銃はないねえ……」 

僧侶「……」ペラッ 

勇者「どうしました?」 

僧侶「航海日誌を見つけました」 

勇者「ほう」 

キャプテン「いいね。他人の航海日誌ほど面白いものはないよ」 

―――今日は快晴。絶好の航海日和だ。俺たちは王国の勇者を乗せ、魔王が住む孤島へ向けて出発する 

先日の戦いで奴らは大きな痛手を負ったはずだ。魔物を駆逐する最大の好機が巡ってきたわけだ。 

エルフ族が開発した魔法の銃さえあれば、俺たちは絶対に負けない。勇者もそう確信しているからこそ、俺たちは魔王の根城に乗り込む。 

勇者は船出の際に皆に宣言した。必ず勝てる。すぐに人間たちだけの時代がくる。俺もそう信じている。 

キャプテン「時代だねえ。今じゃ魔族のほうが強すぎて、人間じゃあ歯が立たないっていうのに……」 

僧侶「そうですね。でも、魔法銃によって一度魔王を追い詰めているわけですし、自信があったのでしょう」 

勇者「続きを見てみましょう」 




680:NIPPERがお送りします:2012/06/21(木) 22:42:57.83 ID:hpeqfj4Jo
―――今日は快晴。魔王がいる孤島まではおよそ五日の航海となる。 

その長旅の間に士気が落ちてはいけないと、勇者一行は色々と考えてくれていた。 

魔物は海にもでやがる。そこで勇者たちは海の魔物を捕らえて、魔法の銃の威力を見せてくれた。 

引き金を引くと大きな音がして魔物の顔が吹っ飛びやがった。他に捕らえた魔物の驚いた顔は傑作だった。 

写真機でも積んでおけばよかった。 

僧侶「……」 

キャプテン「ふーん。すごい威力かと思っていたけど、大したことはないのかねえ……」 

勇者「分かりません。どんなモノでも破壊する力があったのかもしれません」 

―――今日は曇天。三日目にして問題が起きた。空を見る限り、大時化になる。 

それだけならよかったが、魔物の軍勢が攻めてくる様が肉眼ではっきりと見えた。 

ここで戦力を消耗したくはない。なるべく遠方から攻撃するべきだと勇者たちは言う。 

魔王との決戦を占う大一番になりそうだぜ。 

勇者「―――うーん……大したことは載っていなさそうですね」 

キャプテン「じゃあ、どうするのさ」 

勇者「とにかく先を急ぎましょう。今頃、逸れてしまった彼女がワンワン泣いているかもしれませんし」 

 

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最終更新:2013年06月01日 23:25